以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:08:58.83 ID:8lrne8sY0<> ┌| ∵|┘まとめサイトさま┌| ∵|┘
http://boonsoldier.web.fc2.com/hosi.htm
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/becouse_hosi_wo_sagasu.html
やっほー
いっぱい現行きてて、存在感が隠れて、いい感じ! <>( ∵)はξ゚听)ξと星を探すようです
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/14(土) 22:11:02.08 ID:VQrTTD5jO<> あらら〜…ずっと待ってたよ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:11:24.13 ID:8lrne8sY0<> 第十三話 上は洪水・下は大火事(前)
太陽の輝く世界から隔離された空間。
ドクオの炎の剣だけが光源となって、その場を照らしていた。
慄くレイラ王。そしてツン。
勿論、依然として剣士は寡黙を貫くのみ。
/ ,' 3 「……」
('A`)「……」
ξ;゚听)ξ「ドクオさん! 何を!?」
王が小さく口を開く。
/ ,' 3 「ほう。所詮雇われの兵士なんぞ信用できぬということじゃ」
/ ,' 3 「貴様はどこの反逆者かな?」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:11:57.15 ID:TRQ7IUtOO<> ktkr!! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:13:22.47 ID:dAP4FWHlO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:13:25.70 ID:8lrne8sY0<> ξ;゚听)ξ(そんな…… ドクオさんが……)
王が腰元の短剣に手をかけた。
刀身は短いといえども、王の所持する武器。材質は特別で、切れ味は優と推測できる。
一方、ドクオの構えはぴくりとも変わらず。揺らめく剣先は、王の眉間を指していた。
/ ,' 3 「ふん。炎の剣か。史書で見たことがあるようなないような…… だな」
/ ,' 3 「ワシを斬って本当に良いのかな? 今頃、上の階ではショボンが魔法兵を破っているだろうな」
('A`)「……」
/ ,' 3 「構わんと?」
対峙する王とドクオ。緊迫した空気に、ツンが一石を投じた。
ξ;゚听)ξ「ドクオ!! 剣を下げなさいっ!!!」
('A` )「!」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:13:38.98 ID:Pms27umvO<> ほ、ほんもの!? <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:15:26.06 ID:8lrne8sY0<> / ,' 3 「去ね!」
ツンの怒号に一瞬反応してしまったドクオ。
その瞬間を狙い、王は彼の胸元を目掛け踏み込んだ。
しかし。
ドクオはまるでその動作を予測していたかのように、受け流す。
死角を取られた王の左腕に、大剣が振り下ろされた。
思わずツンは目を伏せる――
ξ; )ξ「お父様ぁーーー!!!」
/ ,' 3 「あ゛ぁあああああっっ!!!」
('A`)「……」
滴る血溜まり。
その中央に、王の豪腕が、ぼとりと落ちた。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:17:29.76 ID:8lrne8sY0<> ※
(´・ω・`) 「どーなってんだこりゃ」
川 ゚ -゚)「まやかし… ですね」
城内も、地下と同じくショボン達に幻覚を見せていた。
どの扉を開いても、辿り着く部屋は堂々巡り。階段を下りても上ってもフロアは変わらない。
窓の外からは喧騒が続く。
(´・ω・`) 「これは面倒だな……」
川 ゚ -゚)「闇雲に進んでも絶対に親玉のところには辿り付けません」
(´・ω・`) 「何か策があるか」
川 ゚ -゚)「この世の全てには普遍の真理、絶対的な法則があります……」
(´・ω・`) 「そんなの分かっているさ」
(´・ω・`) 「しかし、今、我々が置かれている状況は例外だろう?」
(´・ω・`) 「ランダム、なんだよ」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:17:37.94 ID:TRQ7IUtOO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:19:04.90 ID:8lrne8sY0<> 川 ゚ -゚)「果たしてそうでしょうか」
そう言うと、クーは手前の扉へと駆けた。
この扉は、ドアノブが青色に塗られている。
ショボンは後を追い、彼女に尋ねる。
(´・ω・`) 「もしや扉のドアノブの色の相関性か?」
川 ゚ -゚)「もしや です」
ドアノブを回し扉を開ける。二階から一階へと戻ってきてしまった二人。
しかし、後ろを振り向いてノブの色を確認すると、青である。
(´・ω・`) 「なんという簡単なことなんだ。急いでいたから、出口側の扉のノブの色など見ていなかった」
川 ゚ -゚)「そんなものです。さて、三階の階段に通じる二階のドアノブの色は?」
ショボンは眉間に皺を寄せ、おもむろに瞳を閉じた。
遥か遥か昔のことのように思える、あの時期のことを、ゆっくりと思い出そうとする。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:19:26.09 ID:k0p2fw6B0<> 待ってた〜 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:21:12.33 ID:8lrne8sY0<> (´-ω-`)「……」
まだあの頃のアラマキは王子だった。
そう、先代の王にいつも謁見していた。その都度登らなければいけなかったあの階段。
そしてその前に置かれていた扉……
(´・ω・`) 「黄色だ」
川 ゚ -゚)「捜しましょう。そして、そこに徐々に近づいていくのです」
(´・ω・`) 「よし」
再び走り出す二人。
迷宮の謎は少しずつ解けてきたものの、ショボンもまた焦燥を感じていた。
王女と未知数の剣士。果たしてそうスムーズに任務は成功するだろうか。
そんな親心のような不安と、この城にかけられたまやかしへの憤り。
それが、彼の足並みを急かせていた。 <>
スーパー保守タイム<><>2009/02/14(土) 22:21:35.94 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) 続けろ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:23:39.87 ID:8lrne8sY0<> ――数分が過ぎた。まだなんとか手下達はVIPを混乱させているようだ。
しかし、思わぬ壁にぶち当たる。
単純な仕掛けには、単純故の理不尽さがある。
(;´・ω・`) 「くっ……」
川 ゚ -゚)「黄色のドアノブを持つ扉が、ありませんね」
(´・ω・`) 「まやかしを理解したところで、城内のほとんどの場所には辿り着くことができた」
(´・ω・`) 「だがしかし…… そこらの何処にも黄色のドアノブがないということは」
川 ゚ -゚)「階段を登ることができないということですね」
(´・ω・`) 「考えろ。考えるんだ」
そう言って、神妙な顔をしてショボンは地べたに座り込んだ。 <>
スーパー支援タイム<><>2009/02/14(土) 22:24:33.04 ID:fxVq1F1Q0<> (´゚ω゚`) キエエエエエェェェェ!!!!! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:26:23.63 ID:8lrne8sY0<> (´・ω・`) (ふん。私としたことが中々手こずらされているではないか)
(´・ω・`) (このまやかしがもし レイ とやらの力だったら)
(´・ω・`) (私たちは手ごわい相手に喧嘩を売っていることになるな)
(´・ω・`) (だがこちらにも勝算はある)
(´・ω・`) (そのためにはツン王女が…… ドクオ、頼むからしっかり護っていてくれよ)
(´・ω・`) (しかし、どうするべきか……)
※ ※ ※ ※ ※ ※
/ ,' 3 「ぐっ…… 血が、血が止まらぬ!!!!」
ξ;听)ξ「お父様! 大丈夫ですか!?」
ツンは首に巻いていたスカーフを解き、それで父の手当てをしようと接近した。
同じく歩を進めるドクオ。しかし接近の方向はツンだった。
ξ;听)ξ(!! まさか私まで!?)
('A`)「……」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:27:07.71 ID:q3uGzyZ60<> 久々w
ずっと待ってたんだぜ( ^ω^) <>
スーパー支援タイム<><>2009/02/14(土) 22:27:24.29 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) ツンの左目無くね? <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:27:44.26 ID:0hFXqGQy0<> 何やってんだよ
どんだけ待ったと思ってるんだ
お帰り支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:28:15.50 ID:8lrne8sY0<> >>19
携帯から見てみるとあるよw
泣いてる目を表す;は半角だと小さくて見えなくなっちゃうんだな。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:28:24.91 ID:RbxbiC6pO<> 今日はなんか凄いな…今日だからか
支援 <>
スーパー支援タイム<><>2009/02/14(土) 22:30:12.32 ID:fxVq1F1Q0<> >>21
( ^ω^) 汗だと思ってた
( ^ω^) 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:30:22.40 ID:8lrne8sY0<> ('A`)「……」
('A` ) ぷい
ξ;゚听)ξ「何よ…… どけろっていうの? させないわ! お父様は私が護る!」
/ ,' 3 「ぐっ…… ツンよ」
次の瞬間、ドクオの大きなモーションがツンを捕らえた。
剣を持たぬ方の腕で、王から剥ぎ取られるように、吹き飛ばされるツン。
石の壁に頭を叩き付けられ、意識は遠のいてしまった。
再び対峙する二人。先程とは違い、王の額には汗が滴っている。
('A`)「……」
/ ,' 3 「ふん…… 斬るのか? 本当に…… 斬るのか?」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:33:02.21 ID:8lrne8sY0<> ('A`)「……」
ドクオはこくりと頷いた。
/ ,' 3 「……」
/ ,' 3 「…なぜだ? なぜダ?」
「ナゼ、バレタアァアアアアアア!!!!!!!!!!」
――レイラ王という人間の形が変質する。
皮膚はドス黒く染められ、ぶくぶくと膨れ上がる。
額からは角が突き出し、眼球が勢いよく飛び出た。
衣服という名の飾りは、身体の肥大によって破り捨てられ、
代わりに、おどろおどろしい斑紋が浮かび上がる。
ドクオは、剣を、下げない。
(続く) <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:34:30.01 ID:8lrne8sY0<> あのー
いつものようにもう1話書き溜めてるんですが
お風呂入るので保守お願いします! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:34:43.53 ID:/c88M/Nc0<> 保守 <>
スーパー支援タイム<><>2009/02/14(土) 22:34:43.91 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) 寸止め・・・だと・・・
( ^ω^) 後編も投下だよな!!! <>
スーパー保守タイム<><>2009/02/14(土) 22:36:08.30 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) ほ <>
スーパー保守タイム<><>2009/02/14(土) 22:42:27.05 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) 保守 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:43:37.62 ID:6n8lLKKOO<> ktkrwktkほっしゅほしゅ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 22:44:02.84 ID:k0p2fw6B0<> ほす <>
スーパー保守タイム<><>2009/02/14(土) 22:50:21.27 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) 保守してやんよ <>
スーパー保守タイム<><>2009/02/14(土) 22:57:55.00 ID:fxVq1F1Q0<> ( ^ω^) じゃあ保守で。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/14(土) 23:00:36.34 ID:eezm38Yx0<> ほす <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/14(土) 23:03:42.88 ID:Y6Nrvee10<> ほしゅる <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:08:23.40 ID:6n8lLKKOO<> ほっ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:08:28.04 ID:3nWXtnzFO<> ボストロールめ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/14(土) 23:12:41.47 ID:3godqlWC0<> 待ってたぜ。
ホシュ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:17:10.36 ID:6n8lLKKOO<> 今ある分読み終えた
保守 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:25:41.91 ID:jEer8ker0<> 保守 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:29:05.73 ID:0hFXqGQy0<> ほ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:41:53.23 ID:CEtYMplyO<> ほ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/14(土) 23:55:18.16 ID:hoUb1cVR0<> なげー風呂だな <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:00:06.29 ID:ynY8ApdkO<> ぉー <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:10:34.69 ID:W6zskcEm0<> 保守 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:25:51.71 ID:eVwWjMduO<> 来てたのか!
wktk <>
1<><>2009/02/15(日) 00:26:29.69 ID:QlZq9i7P0<> 投下しまーす
遅くなってごめん! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:28:50.45 ID:hA/nBAkeO<> おせぇwww
待ってた支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:30:12.28 ID:QlZq9i7P0<> 第十四話 上は洪水・下は大火事(後)
姿を現す異形。 地を這うような低い声で、ドクオに喋りかける。
「ナゼ、オレ レイラ王ジャナイッテ ワカッタ?」
「ダレニモ ワカラナイハズナンダ。ダレニモ」
「ダッテオレサマ マホウヘイナンダ。コノヨデ イチバンツヨイ、ソンザイナンダ」
「オレハ、チカラモツヨイシ、”マホウ”ダッテツカエルンダゼ?」
「コノシロニ、マヤカシヲカケタノモ オレサ」
「……ソウダ!!! キサマラハ、ドウシテココマデ、タドリツケタンダ!!! オカシイ!!!」
「アサピサマガ、イッテクダサッタ。オマエノ、コノ、マヤカシハ、ダレニモトケヤシナイ トナ」
「キサマハ イッタイ ナニモノダァアアア!!!!!!!!」
('A`)「……」
ドクオは少しも表情を変えない。
それどころか、後ろを振り返ってツンのほうへと進んでいった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:31:48.68 ID:hA/nBAkeO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:34:16.21 ID:QlZq9i7P0<> 「フン! キサマ、ソレデハ、オレニ ”コロシテクダサイ”ト イッテイルヨウナモノダ!」
「シネ!」
ドクオの背後に凶牙が襲い掛かる。しかし、喰らう直前の距離で、跳んだ。
「……ナッ」
重厚そうな鎧をもろともせず、逆に魔法兵のバックを取るドクオ。
そこから剣を抜き、敵の胴を貫くまで、”一瞬”としか形容できないほどの時間しか、経っていない。
「ウギャァアアアアアアアウウウウ!!!」
冷たい地面に、音を立てて沈む巨体。ドクオは再びツンの方へと進行する。
そして、彼女を抱き上げ、戦火が及ばないであろう隅の場所へと連れていった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/15(日) 00:35:31.01 ID:7cKXNKES0<> ドックンつえええ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:35:39.08 ID:W6zskcEm0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:36:00.03 ID:uoIHSyFw0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:36:38.47 ID:22rSy4BZ0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:37:00.39 ID:QlZq9i7P0<> ドクオは、王が居た小部屋へと戻る。
……そのとき、魔法兵は起き上がっていた。
「グフフ…… ヤハリ オレハツヨイ」
「ソウサ マホウヘイハ フロウフシ」
「ダガ コブシ デハ キサマヲ トラエラレナイヨウダ」
そう言って、魔法兵は痰を溜めるように喉の奥を鳴らした。
そして吐き出す。 所謂、火炎放射がドクオの体躯に浴びせられた。
「ゴハハハ!! ヤケロ! ヤケロ! ニンゲンハ、ホノオニヨワイ!」
ドクオは火炎に包まれる。しかし、ぴくりとも動かない。
熱そうな表情すら見せない。どうやら、纏っている鎧が関係していると推測できる。
それでも、魔法兵は高笑いをしながら炎を吐き続ける。
炎の中、ドクオが身を屈め、ゆっくりと前進していることも知らずに。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:39:31.92 ID:hA/nBAkeO<> ドクオつええ…… <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:41:33.74 ID:QlZq9i7P0<> 「ゴハハ!…… ングッ!!!???」
('A`)「……」
――ドクオの剣は再び兵を貫いていた。
今度は、口から脳天へと一直線の、太刀。
「アグァアァァァアアアアアア!!!!!!!!」
「ガァッ! グガア゛アッ!! ヌ゛ゲ! ヌ゛ケ゛ェエ゛エエ゛!!!」
激しく痛覚を揺さぶられる魔法兵。急所を捕らえたらしい。
ドクオはゆっくりと剣を差し抜いた。崩壊寸前の体躯が、足元に沈む。
「ガァッ…… ガアッッ……」
「ナゼ…… オレハ…… ツヨカッタノデハ ナカッタノカ」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:43:55.70 ID:QlZq9i7P0<> 朦朧とした意識の中、魔法兵はドクオの顔を見上げる。
少しも目を合わそうとしない。 ただ押し黙って、帰り道の方を向くだけだ。
その態度がつれないのだろうか、魔法兵は思わず口を開く。
「オイ……」
「グググ。コレデハ、シャベリヅライ」
兵は喉元を捻る。声色を、人間(レイラ王)にするためだ。
「おい、貴様……」
「俺は……」
('A`)「……」
俺は、お前等みたいに”生まれた”んじゃない、”造られた”んだ。
これがどういうことだか分かるかい。
俺という自我がある日、ポッと出て湧いたのさ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:44:39.45 ID:hA/nBAkeO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:46:29.43 ID:QlZq9i7P0<>
そして、目覚めたばかりの俺に、俺を造ったヤツは言った。
「お前は地上で一番強い存在だ」 とな。
俺はそんなこと言われても何のことだかさっぱり分からなかったよ。
だから黙っていたら、「喜べ」と言われた。
「喜ぶ」とはどういうことだと訊いたら、笑うことだと言われた。
では「笑う」とは何なのだと訊いたら、そいつは「笑う」動作をした。
間抜けな顔だと思った。 だが俺も真似してみたんだ。
……中々いい気持ちだったよ。
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:47:46.38 ID:QlZq9i7P0<> ξ-听)ξ「ん……」
ξ゚听)ξ(お父様の声?)
街を行く子供たちや、鼻歌交じりの工場の男たち。
俺はそいつらに密かに憧れていたよ。
いつでもニコニコとしていたからな。
だが、”造られていた”俺に課せられていたのは、殺し、殺し、殺戮だらけだ。
ちっとも笑えないよ。
そうさ。俺という自我を成り立たせていたのは、この強さ、だけだ!!
しかし、それも今この瞬間、あっけなく崩れ去ってしまったんだ。
なあ、ならば、
ウグ! ゴッホ! ゴッホ! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:49:16.88 ID:QlZq9i7P0<> ('A`)「……」
ξ;゚听)ξ(なんなの!? あの怪物は……)
ゴホ……
ナラバ、オレハドウシテ、コノ ダイチニ アラワレタンダ?
オレハナンノタメニ ソンザイ シテイタンダ!!!
「グフフ…… マアイイ」
「オレハ シッパイ シタガ、ジョウナイノ ヤツラハ、ドウダ?」
「アヤツラレテイル ホンモノノ オウサマヲ オヤダマト カンチガイシテ」
「ブッコロシテルカモナア!!! グハハハハハハ!!!!」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:50:16.47 ID:W6zskcEm0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:50:49.12 ID:QlZq9i7P0<> (くそ…… どうしてこんなときだけしか、笑えないんだ!)
(……ん? なんだこれは)
(……そうか、これがアサピー様がおっしゃっていた”涙”か)
(今度生まれてくるときは…… ちゃんとした、”イキモノ”に……)
怪物の巨大な眼球。その瞳孔は完全に開いた。
それを確認すると、ドクオは剣をしまって、ツンの元へ歩み寄る。
ξ゚听)ξ「……」
状況をなんとなく理解した彼女の表情は、沈んでいた。
慰めの言葉の一つもかけず、ドクオはただ帰路を進む。
彼にはそれしかできなかった。
自分の不甲斐なさから染み出る涙を堪えて、ツンはそれについて行く。
彼女にはそれしかできなかった。
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:52:39.92 ID:QlZq9i7P0<> ※
(´・ω・`) 「盲点だったっ! まさか扉以外も”ワープゾーン”になっていたとはな!」
川 ゚ -゚)「小腹が空いたと言って、食料庫の黄色い壺を開けたことが功を奏しましたね」
(;´・ω・`) 「だが…… この階段はいつまで続く?」
まやかしを掻い潜り、なんとか三階へと階段を登る突撃班。
しかし、次の幻惑が彼らを妨害する。
まるで果てが無いかのような長さに、階段が変容しているのだ。
いや、きっと果てが無いのである。しかし二人にはもう走るしか術はなかった。
(;´・ω・`) 「はぁはぁ…… くっ。年を取ったな」
川 ゚ -゚)(ドクオ達は上手くやっているだろうか? もう王を救出しただろうか?)
川 ゚ -゚)「……ん?」
川 ゚ -゚)「ショボンさん! 扉が目の前に現れました! まやかしが解けたのです!」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:53:06.26 ID:W6zskcEm0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:54:06.69 ID:QlZq9i7P0<> 天井を仰いでいた目線を下げると、確かに扉はそこにあった。
両扉造りの立派な拵えだ。
(´・ω・`) 「まるで我々の徒労を馬鹿にするかの如くひょっこり現れたな」
(´・ω・`) 「なぜ、ここにきて永遠回廊が途切れたと思う?」
川 ゚ -゚)「敵の親玉が”早くかかってきな” と挑発しているのでは」
ショボンはにやりと笑った。
(´・ω・`) 「同感だ」
(´・ω・`) 「三階に着いたらすぐに王の間だ! 行くぞ!」
勢いよく窓を叩く。
南中した昼の太陽の光が、窓から差し込んで眩しい。
二人は駆ける。すんなりと王の間の前まで辿り着いた。
もはや城にかけられていた幻惑は、完全に解かれたようだ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:55:24.69 ID:QlZq9i7P0<> ショボンは深呼吸をして呟いた。
(´・ω・`) 「この扉の前。レイラの国に仕えていたころを思い出すよ」
川 ゚ -゚)「なぜ今はレジスタンスの長を?」
(´・ω・`) 「その話はまた、いつかな」
もう一度、大きく深呼吸をして、扉を開く。
ゆっくりと絨毯の上を進んでいく。
その先には、真っ青な顔をした敵の親玉が、悠然と待ち構えていた。
/ ,' 3 「……」
(´・ω・`) 「おいでなすったかレイラ王…… いや、化けているんだろう?」
(´・ω・`) 「魔法兵とやらの実力を見せてもらおう!」
そう言ってショボンは剣を抜く。 鋼の刀身が太陽に照らされ輝く。
クーに背中を向け、喋りかける。
「おい、クー」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:56:46.26 ID:QlZq9i7P0<> 川 ゚ -゚)「はっ」
「お前の魔法は治癒の力もあるのだろう」
川 ゚ -゚)「ええ」
「ならばお前の魔法力はそれにとっておけ! まずは俺一人で戦う!」
川 ゚ -゚)「了解。私は必要に応じて援護射撃を…… 小火球弾を用いて行います」
そう言うクーの五本の指には、早くも第一陣、
つまり一本一本の指に、火球が蓄えられていた。
/ ,' 3 「……」
一方親玉は、すごみを効かせてショボンを睨んだ後に、ゆっくりと剣を抜いた。
黄金に煌くフルーレ。
だが、構えが少しもそれになっていないのが、ショボンにとって気になった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:57:58.13 ID:QlZq9i7P0<> (´・ω・`) 「魔法兵よ。剣っていうのはただ振り回すだけじゃないんだぜ」
(´・ω・`) 「……こうするんだっ!」
一気に間合いを詰める。この隙の多さならば一撃で仕留められると直感したからだ。
しかし、反射的に親玉は太刀を防御する。
完璧に塞がれたショボンの第一手。
(;´・ω・`) (ぬっ! あの構えからどうしてこの動きが出る!?)
(;´・ω・`) (実はやり手か……)
/ ,' 3 「……」
(;´・ω・`) 「……」
川;゚ -゚)(回り込んで撃ち込むか……?)
(;´・ω・`) 「……!!」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:58:44.20 ID:UoO7o9JmO<> やれやれ! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:59:33.65 ID:79NWZHQU0<> いいぞ!もっとやれ! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 00:59:44.37 ID:QlZq9i7P0<> ショボンの疑念を、とある発見が覆す。
その発見は、彼に笑みすら浮かばせるものであった。
「クーよ! 撃つな!」
川 ゚ -゚)「!!」
クーはその指示がなければ、二秒後に火球を発射していた。
咄嗟に腕を下ろし、ショボンの表情の変化から戦局の流れを思考する。
……思考不可能。 一体、彼は何を発見したのだろうか。
(´・ω・`) 「もう少しで首をたたっきるところだった」
(´・ω・`) 「クー! 水だ! 思いっっっきりこいつに水を浴びせろっ!」
川 ゚ -゚)「み、水!? 私の魔力では、水鉄砲で擦り傷を作らせるくらいしか……」
(´・ω・`) 「水鉄砲じゃなくていいんだ! バケツの水をぶっかけるように、早く!」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:00:24.51 ID:W6zskcEm0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:01:39.91 ID:QlZq9i7P0<> 川 ゚ -゚)「了解!」
クーは掌に巨大な水球を創る。
魔力の膜で覆われていて、それが物体に衝突すると中身の水が溢れる。
いわば水ヨーヨーのような仕組みだ。
/ ,' 3 「!!」
(´・ω・`) 「おっと!」
親玉の攻撃意識は変わらず。むしろ先程より激しくなっていた。
ショボンは手を出さない。必死で受け流しつつ、何かの機を待っている。
(´・ω・`) 「その手…… その足の運び…… 操られていても出ちまうな」
川 ゚ -゚)「!?」
(´・ω・`) 「お前は酒に弱いから、一緒に酒盛りをしたときは、いつも泥酔して眠ってしまう」
(´・ω・`) 「だから、私が水をぶっかけて、城まで背負って運んだものさ」
喋りながらも巧みに太刀はかわす。
まるで相手の次の手が分かっているように。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:02:21.73 ID:hA/nBAkeO<> wktk <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:03:11.11 ID:QlZq9i7P0<> 川 ゚ -゚)「いきます! 伏せてください!」
「豪快にぶちまけてやれ!」
水球が、操られているレイラ王目掛けて発射される。
ちょうど顔面に直撃し、一寸ひるむ体躯。
その隙を狙い、水飛沫の中、懐にショボンは飛び込んだ。
崩れ落ちる身体に、ショボンは馬乗りになった。
びしょ濡れになった彼に、クーが言葉をかける。
川 ゚ -゚)「もしやそいつは本物のレイラ王ですか!?」
「ああ。フルーレの癖がそっくりだ」
「それに…… 両耳たぶに一個ずつ黒子がある」
「魔法兵も、さすがにここまでコピーできないだろう!」
川 ゚ -゚)「ならばどうやって我を取り戻させるのですか!?」
(´・ω・`) 「ふっ」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:06:17.80 ID:QlZq9i7P0<> (´・ω・`) 「水をぶっかけても酔いから覚めないとき、私はどうしたと思うね?」
川;゚ -゚)「……」
(´・ω・`)つ 「平手打ちさ! 2、3回ベチンベチンとやると、否が応でも目覚める!」
そう言ってショボンは、腕を高く振り上げ、手をパーにする。
……しかし、すぐに掌を閉じた。
川 ゚ -゚)「まさか」
ショボンはクーの方を向き、にんまりと笑った。
(´・ω・`) 「娘や国民に多大なる迷惑をかけおって」
(´・ω・`) 「悪酔いだから、グーだ!!!」
鈍い音が城の上から響く。
レイラ奪還は、ひとまず成功として幕を閉じた。
(続く) <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:10:59.86 ID:hA/nBAkeO<> 寝落ちだと思ってたが待ったかいがあった
乙! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:13:23.95 ID:UoO7o9JmO<> いちもつ! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:15:01.33 ID:QlZq9i7P0<> 第十五話 「僕」
牙猫団のアジト。その一角で或る夫婦の会話が聞こえてくる。
(*゚ー゚)「ほらあなた…… 後ろの帯緩んでる」
(,,゚Д゚)「おお本当だ。直してくれ」
ギコは鏡に映った自分の姿を見て呟く。
(,,゚Д゚)「しっかしなんだね。いつ見てもこの格好はださいな」
(*゚ー゚)「いいのよ。今日はお城に招かれたんでしょ? ネコミミ族はネコミミ族の正装でいかなくちゃね」
(,,゚Д゚)「ご先祖様はセンス悪いなー。くそう」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:15:04.11 ID:W6zskcEm0<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:16:34.09 ID:hA/nBAkeO<> まだあったか
支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:17:54.07 ID:QlZq9i7P0<> 着付けが終わり、くるりとターン。溜息一つ。
そして、おもむろに呟く。
(,,゚Д゚)「そういやフサは? 今日は、一応あいつも招かれているんだぜ」
(*゚ー゚)「先に城下町へ行ったわよ。用事があるって」
(,,゚Д゚)「そうか…… 正装か?」
(*゚ー゚)「普段着だったわね」
(,,゚Д゚)「畜生。あいつめ!」
ぶつぶつと文句を零しながらギコは地上へ出た。
あいも変わらず、砂漠を照らす太陽は大きい。しかし、その輝きは、今日なら希望の類に感じるのだった。
ホバーボートに勢いよくキーを差し込む。
そして、乗り込んだ。尻が座席に沈み込むのと同時に、エンジンが唸る気がいつもする。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:18:47.05 ID:Vk/lLzYmO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:20:03.33 ID:QlZq9i7P0<> ゴーグルを付け、ターバンを被り、アクセルに足を乗せる。
まさに出発のそのとき、シィが口を開いた。
(*゚ー゚)「あの、あなた」
(,,゚Д゚)「なんだい?」
(*゚ー゚)「なるべく早く帰ってきてね」
(*゚ー゚)「大切な話があるの」
(,,゚Д゚)「……わかったよ」
シィはホバーボートが地平線の彼方に消えるまで見送り続けた。
心なしか膨らんできたお腹をさすりながら。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:20:46.45 ID:hA/nBAkeO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:22:24.35 ID:QlZq9i7P0<> ※
VIPから解放されて一週間。レイラの街は賑わいを取り戻していた。
鬱陶しい関所もない。街に着いて、ギコはまずフサを捜すことにした。
通りを歩きながら、彼は思った。
街行く人々の顔に笑みがある。たとえ種族が違うとしても、その変化はとても嬉しいものがある。
(,,゚Д゚)「あいつのいそうなところは……」
「兄貴」
人ごみの中、見慣れた姿が顔を出した。
(,,゚Д゚)「おう! そっちから出てきてくれたか」
ミ,,゚Д゚彡「会議に出るのか?」
(,,゚Д゚)「そうだよ。お前も来るんだ」
ミ,,゚Д゚彡「絶対行かねぇよ」
(,,゚Д゚)「……そういうと思った。だが、ならばどうしてここに?」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:23:06.15 ID:W6zskcEm0<> しえん <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:24:05.37 ID:QlZq9i7P0<>
ミ,,゚Д゚彡「……」
ミ,,゚Д゚彡「兄貴、大事な話があるんだ。城から戻ったらホバーボートの所で待ってるぜ」
(,,゚Д゚)「やれやれ、お前もかよ。わかった。じゃあな」
ミ,,゚Д゚彡「……」
フサは意気揚々と城門へと歩いていく兄をずっと見つめていた。
ターバンをいつもより目深に被りながら。
※ ※ ※ ※ ※
( ∵)「ふああーあ」
( ∵)「最近暇だなあ。街は賑やかになったけど」
( ∵)「ツンやフサたちと完璧に別れちゃったんだもん」
( ∵)「ま、いっか! それでもいつか会えるのが友達ってフサが言ってたもんね」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:25:38.88 ID:QlZq9i7P0<> ――僕はあの時から、ずっとレイラの城下町にいた。
城下町といっても、塀の外。だって、街をぴょこぴょこ歩いたら、街の人に驚かれるもんね。
あぁ、本当は色んな人と話したりしたいのだけれど、無理な願い。
( ∵)「だからずっとここに居ろって?」
( ∵)「……それじゃただのサボテンと変わらないじゃないか」
そう、最近思うことがある。
自分がなぜサボテンなのかってことに、疑問を持ち始めたんだ。
いや、もっと具体的に言うと、”自分がサボテンであること”に、疑問……
憤りに似た疑問を、感じている。
( ∵)「僕は人間みたいに喋ったりできるよ」
( ∵)「でも街に行って驚かれて、捕まえられたりしたら、意味がないじゃないか!」
( ∵)「―――あっ」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:30:00.30 ID:QlZq9i7P0<>
僕はフサが言った色んな言葉を思い出した。
そう、彼らも人間と同じような力を授かった故に、色んな悲しみを経験してきているんだ。
僕にもそのうち深い悲しみが……?
いや、今こそ悲しい時期だ。
誰か僕に会いに来て!
ξ゚听)ξ「やっほ」
( ∵)「どわー!!」
( ∵)「つ、ツン!」
ξ゚听)ξ「久しぶり、ビコーズ。まさかまた会えるとは思わなかったわ。」
( ∵)「ぼっ、僕もだよ!」
ξ゚听)ξ「驚くこと、覚えたんだね」
久しぶりに出会えたのに、とてもツンは乾いた表情をしている。
どうして? そう考えていると、お城のベルがリーンゴーンと鳴った。
僕は、お城のベルが鳴るのを聴くのは初めてだった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:31:31.30 ID:QlZq9i7P0<> ※
会議の間。厳粛な雰囲気が漂う。
円状のテーブルに座るのは、レイラ王、ギコ、ショボンだ。
/ ,' 3 「……それではこれから会議を始める」
/ ,' 3 「ギコ殿、フサ殿はどうしたんだね?」
(,,゚Д゚)「あいつは人間嫌いだから欠席です」
/ ,' 3 「……そうかね」
/ ,' 3 「まずはお礼を述べたい。ショボン殿、今回の奪還作戦非常に感謝致す」
(´・ω・`) 「非常に感謝致されました」
レイラ王はむっとしたような表情を浮かべる。
ショボンは早く本題に入りたそうな素振りだ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:34:16.29 ID:QlZq9i7P0<> / ,' 3 「いやはや。私はVIPをなめていたかもしれぬ」
/ ,' 3 「なんといっても、ツンから訊いていたが」
(´・ω・`) 「魔法兵か」
/ ,' 3 「そうじゃ。そいつらの存在が大きかったかもしれぬ……」
(´・ω・`) 「結局対決できなかったな。私にとっては未だ未知数の存在だ」
(,,゚Д゚)「じゃ、じゃあレイラもマホウヘイ雇えばいいじゃねぇか」
(´・ω・`) 「ネコミミはとりあえず黙ってな」
(,,゚Д゚)「むっ……」
/ ,' 3 「紳士らしからぬ態度だなショボン。そんなに本題が気になるか」
(´・ω・`) 「ああ、気になるね」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:36:32.79 ID:QlZq9i7P0<>
/ ,' 3 「……」
/ ,' 3 「今のところ、ワシはレジスタンスとも牙猫団とも手を組むつもりはないぞ」
ギコとショボンの表情が、一瞬にして強張る。
(´・ω・`) 「……!!」
/ ,' 3 「だが」
/ ,' 3 「城下町内の自由をネコミミ族には与えよう。もちろんそれに合わせた法も順次作成する」
ギコの方のみ、頬が緩む。
(,,゚Д゚)「あ、ありがてえ。ならば俺たちの要求はほとんど満たされたようなものだ」
/ ,' 3 「そうであろう? だからこその決断じゃ」
/ ,' 3 「同じようにショボン」
/ ,' 3 「お主もそうであろう。レイラと同盟を組みたいという裏には」
(´・ω・`) 「……」
ショボンは、「言うな」という意味を込めた強い視線を王に送る。
恐らく、第三者が同席しているからだろう。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:38:42.63 ID:QlZq9i7P0<> / ,' 3 「確かにVIPは強大じゃ…… これからさらに強くなるだろう」
/ ,' 3 「しかしじゃ。今ここでまんじゅうのようにフタバ地区の組織が合わさってもだな」
/ ,' 3 「烏合の衆じゃ」
ショボンが、やや強めの口調で反駁する。
(´・ω・`) 「ならば王が考える、現時点での最善の判断は?」
/ ,' 3 「敵の研究じゃ」
真っ当すぎる返答に、ショボンは思わず拳をテーブルに叩きつける。
(´・ω・`) 「そんな猶予はあるのか。サーバ砂漠全域がVIPに支配されてもいいのか!?」
/ ,' 3 「年を取ってせっかちになったのう。お主は」
(´・ω・`) 「ふん」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:41:38.13 ID:QlZq9i7P0<> / ,' 3 「明日、東の国から使節団が来る」
/ ,' 3 「東の国は天文術が進歩しているのじゃ。きっと”レイ”の核心にも触れられるかもしれん」
(´・ω・`) 「レイ!? そんなものはこの砂漠のローカル的なものではないか?」
/ ,' 3 「それはまだ分からんわい」
(´・ω・`) 「ふん。まるで話が通じない。今日は帰るぞ」
/ ,' 3 「……」
ショボンが重苦しい空気を残して退室した。
ギコはそんな雰囲気に耐え切れず、沈黙を割る。
(,,゚Д゚)「どうしてレジスタンスはレイラと同盟を?」
/ ,' 3 「なぜじゃろうな。ふぉっ」
/ ,' 3 「……」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:42:18.44 ID:W6zskcEm0<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:43:17.25 ID:QlZq9i7P0<> レイラ王は、眉間に皺を寄せる。そして、ショボンが退席した扉をずっと、じっと、見つめていた。
/ ,' 3 (あのとき、魔法兵によってどれだけの兵士が殺されたか分かるかショボンよ……)
/ ,' 3 (分かってくれ。今は守りの時期じゃ……)
※ ※ ※ ※ ※
ξ゚听)ξ「……ふーん。で、そのA作とB次郎ってのが面白かったのね」
( ∵)「A次郎とB作だよ! …多分」
( ∵)「でね! でね!」
( ∵)「えっと……」
ξ゚听)ξ「……」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:44:42.00 ID:QlZq9i7P0<> ――どうしてツンはそんなに悲しそうなの?
ξ゚听)ξ(……はっ)
ξ゚听)ξ「そ、そうかしら?」
( ∵)「うん。だって僕がおしゃべりしても、ちっとも笑わないんだもん」
ξ゚听)ξ「あはは」
( ∵)「それは作り笑い。サボテンでも分かるさ」
ξ゚听)ξ「……腹立ってんのよ」
( ∵)「僕に?」
ξ゚听)ξ「違うわ」
ξ )ξ「自分の不甲斐なさに……」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:45:56.74 ID:QlZq9i7P0<> 次はツンがおしゃべりをした。
どうやら、ツンもツンで大変だったらしい。お父さんを助けるために、城の下に潜ったようだ。
でも、そこにいるのはお父さんじゃなかった。
それを見抜けなかったのが、本当に悔しかったみたい。
ξ゚听)ξ「私ってやっぱり駄目ね。ショボンさんに助けを求めるくらいしか役に立ってない」
( ∵)「それで十分だと思うんだけど……」
ξ゚听)ξ「あー! 今でもあの地下のことを思い出すと! 情けなくて、恥ずかしくて、苛立ってくるわ!」
( ∵)「……」
( ∵)「でも、お父さんが無事で、良かったじゃない」
ξ゚听)ξ「……」
なぜか僕はそのとき、怒ったような声で、言ってしまったんだ。
( ∵)「僕なんか、お父さんって存在すらいないんだ!!」
ξ 凵@)ξ「…………」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:47:39.68 ID:QlZq9i7P0<> ( ∵)「家族かぁ」
( ∵)「僕、最近、思うんだ」
( ∵)「人間っていいなって……」
ξ゚听)ξ「そう? 人間も色々大変よ?」
( ∵)「……」
僕は、次の言葉を口にするのを少しためらった。
でも、ツンは一番の友達だから、言っても大丈夫だと思ったんだ。
ねえ、ツン?
なぁに?
――――ぼく、人間になりたいんだ。
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:48:47.28 ID:hA/nBAkeO<> ビコーズ…… <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:49:25.30 ID:QlZq9i7P0<> ☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
・
・
・・・・ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:49:34.17 ID:Vk/lLzYmO<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:50:38.32 ID:QlZq9i7P0<> ※
船の倉庫。鼠は、出航の前、男たちが退治した。
生き物の気配はないはずだ。
それなのに、なぜ奥から三番目の大樽がぐらぐらと揺れているのか。
今夜は、潮風も波も、穏やかなのに。
めきり、めきりと、樽が割れる音がする。
「……ぷはぁ〜。やっと出られた」
大きい鼠か? 勿論違う。
”彼”は懐に忍ばせておいた果物ナイフを誇らしげに見つめた。
そして、ゆっくりと樽から身を乗り出す。
抜き足、差し足、忍び足で、倉庫の入り口へと向かう。
この感触、どうやら鍵は掛けられていない。引き戸のようだ。
使う予定だったナイフをそっと仕舞い、甲板へ出る。
久方ぶりの外の空気に、”彼”は思い切り伸びをしてみる。
実に清清しい気分だ。たとえ時刻が真夜中だとしても。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:51:32.79 ID:hA/nBAkeO<> wktk <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:52:00.51 ID:QlZq9i7P0<> 「さあーて……」
酔っ払った船員が近寄る。異常な酒臭さに、思わず鼻を摘んだ。
(おっ、これは臭いも消せるし声色も変えられるから一石二鳥!)
「お前…… その服は、天文学徒か?」
「は、はい! そうですお! ……じゃない、そうでございます!」
「ガキは早く寝ろよぉ? うーい。ひっく」
(良かった。鼻摘んどいて)
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:53:46.13 ID:QlZq9i7P0<>
……あんな所、二度と戻るもんか。
僕は、一人でもちゃんとやっていけるんだ。
それを証明させてやる。
僕は僕。 僕には、僕だけの人生があるんだ!!
( ^ω^)(レイラ国…… どんな国だろう?)
(*^ω^)(胸が、どきどきするおwwww)
少年。どこにでもいるような少年。
両手を広げ、甲板をドタドタと走り抜けた。
船はゆっくり西へと進む。
行く先は、サーバ砂漠。
(続く) <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:55:08.58 ID:QlZq9i7P0<> 投下全て終了です。
何か>>1にある人は民主党ばりにどうぞ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:56:14.54 ID:W6zskcEm0<> ビコーズが良いキャラしてるな <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/15(日) 01:58:02.25 ID:aLCzaPqdO<> 次の投下はいつ頃に? <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 01:58:07.15 ID:hA/nBAkeO<> 今日の投下分は多かったな
乙! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 02:09:33.06 ID:RWs8JpV6O<> 眠いのでPC消しました
>>113
今回ビコーズの出番少ないのにどうもです
>>114
うーん
朝の占いでかに座が一位になったら
>>115
久しぶりですしね <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 02:42:31.91 ID:WfD2QckL0<> ほ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 03:14:04.01 ID:YzcV7vVn0<> もっと堅物な作者だと思ってたら全然違ったww <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/15(日) 03:55:16.29 ID:D8Ezj1Oa0<> うおお、久しぶりだなぁ
面白かった <>