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从゚∀从は鋼鉄の処女のようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:36:44.35 ID:S//kewfw0
電脳世界に全身機械
何でもござれの近未来


それでは、格好良く生きましょう!

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:37:07.37 ID:S//kewfw0
という代理

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:37:31.29 ID:Q94kaKwDO
投下速度、内容ともに素敵!

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:38:08.89 ID:R4wUza3jO
もう投下か
がんばれ

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:38:30.62 ID:NzrhfEtiO
いやっふーー!!待ってたぜーーー!!

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:39:44.46 ID:CmNvZDGrO
リアル初遭遇ktkr

7 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:41:39.11 ID:ZAHEGDGEO
>>1乙であります

マト#>д<)メ「まとめサイトだよ!」
http://boonsoldier.web.fc2.com/maiden.htm


初北産業
サイバーパンク
だった
気がする

それではdisc 3.第三話、行きまーす

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:42:39.61 ID:i/fFMIEPO
初私怨

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:42:41.38 ID:iF0pZ+jU0
支援!

10 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:43:40.08 ID:ZAHEGDGEO
〜track-γ〜

━━落ち着かない。

((('A`)))「落ち着かないよー」

从゚∀从「貴様が貧乏揺すりする姿は凄く様になっているな」

( ^ω^)「流石、貧乏の中の貧乏。キングオブプアーだお」

((('A`)))「賞賛するなら金をくれ!賞賛するなら金をくれ!」

オレが落ち着かないのは言わずもがな。
ブーンから連絡を受けてすぐ我が家へ帰り着いたオレは、着の身着のままにいつもオレ達が使うツーショットチャットルームへ没入、奴から詳しい話を聞き出していた。

('A`)「で、その情報提供者ってのは誰なんだ?」

( ;^ω^)「いや……その前に、何でお宅の格闘娘さんがここに?」

从゚∀从「保護者が稚児の側付きをするのは常識であろう。何か問題でも?」

( ;^ω^)「でも、リアルでも変なピエロに襲われたんだお?それならハインちゃんはリアルで待機していた方が……」

从゚∀从「それなら心配無用だ。私はネットに接続しながらもリアルを知覚出来る。伊達にアイアンメイデンでは無いのだ。安心してくれ」

( ;^ω^)「はぁ」

11 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:44:37.15 ID:ZAHEGDGEO
('A`)「そういうこった。まぁ、ハインに詳しい話をするのは後にして…とにかく、その“街”の場所を知ってるってお方は誰なんだYO?」

( ^ω^)「いや…それが僕にもわからないんだお」

('A`)「はぁ?」

( ^ω^)「あれから僕も、“街”を探してあちこちのチャットルームに聞き込みをしてたんだお」

あれから、というのはウイルス騒動の後のことだろう。

( ^ω^)「んで、色々と回っていくうちにとあるチャットルームで、僕に伝言を預かっているっていう人が接触してきたんだお」

('A`)「伝言……恋の伝言サービスか?」

( ^ω^)「は?いや、ネタ元がわからんお」

('A`)「オレもわからん」

( #^ω^)「……続けていいかお?」

从゚∀从「どうぞ」

( ^ω^)「どうも。……で、その伝言っていうのがこれなんだおけど…」

そう言ってブーンは一枚のホロディスクを取り出すと、携帯式ホログラファーに入れた。

【+  】ゞ゚)『ごきげんよう、ブーン君。君が“電子の海を泳ぐ街”について色々と嗅ぎ回っているのはよく知っている』

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:45:09.92 ID:iF0pZ+jU0
支援!

13 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:45:50.17 ID:ZAHEGDGEO
ホロに映し出されたのは、棺桶の中から不健康な顔を覗かせた男。随分とアクの強いアバターだな。

【+  】ゞ゚)『君がどんなつもりで“街”について調べているのかは知らないが、世の中には知らない方が幸せな事というものが多分にある。“街”もその一つだ』

【+  】ゞ゚)『命が惜しかったら“街”には関わるな…と言いたいところだが、君は言ったところで聞く耳を持たないだろう。だから一度、君と会って話がしたい』

【+  】ゞ゚)『このホロを見た日の内に、添付されたアドレスにアクセスしてくれ。
そこで全てを伝える事を約束は出来ないが……私は“街”の居場所もさる事ながら、ある程度の真相もわかっている。とにかく、君と“街”について話がしたい。待っているよ』

意味深な言葉を残して、男の映像が途切れる。

( ^ω^)「僕は、これからこのアドレスにアクセスしてみようと思うお」

(;'A`)「いや、待てよ!これはどう見ても罠だろ!」

あの男が語った言葉に、嘘は無いだろう。確証は無いが、奴の話しぶりは真実を知る者のそれだった。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:46:40.64 ID:iF0pZ+jU0
支援!


15 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:47:19.35 ID:ZAHEGDGEO
しかし、オレ達の行動を知った上でこんな形での接触を求めてくるというのは、明らかにオレ達に対して友好的な人種の取る行動では無いような気がする。

(;'A`)「自分の正体を明かさない。アドレスを指定してくる。一見友好的。十中八九、オレ達を陥れたいハッカーの罠だろうが」

( ^ω^)「ドクオの言っている事は正しいお。でも、このまま調査したところで“街”を見つけ出すのはいつになるか分からないお。虎穴に入らずんばなんとやら。いずれ危険を冒さなきゃいけないなら、今の内冒しておくお」

(;'A`)「しかし……」

( ^ω^)「安心するお。僕たちには、ハインちゃんという強力な護衛がいるお。相手がどれほどの腕かわからないけど、アイアンメイデンの防壁を破れる奴なんてそうざらに居るもんじゃないないお。そうだお?」

从゚∀从「あぁ。このようなダメ人間に管理されているとはいえ、私は特A級の護衛専任ガイノイドだ。そこらのハッカーには遅れを取らぬ」

(;'A`)「おまっ、さらっと酷いこと言いやがって……」

( ^ω^)「そ・れ・に!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:48:04.36 ID:iF0pZ+jU0
支援!


17 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:49:14.46 ID:ZAHEGDGEO
(;'A`)「あぁ?」

( ^ω^)「ドクオは随分と僕の腕を侮っているみたいだけど、僕は“電子の王”だお?」

(;'A`)「あ痛たたたぁ!出たよ!出た出た!痛々しい二つ名出たよ!」

从゚∀从「羞恥心、という言葉を君は覚えていて損は無いぞ」

( ;^ω^)「確かに痛いのは解ってるお!でも、僕だってそこそこ腕は有るつもりだお!だから安心汁って意味だお!言葉尻だけ取るなお!」

確かにこいつの腕はかなりいい。人間の脳核にハッキングをかけられる程だ。そこそこ腕が立つなんてレベルじゃない。“電子の王”は言いすぎかつ痛いがな。

('A`)「……あぁ、わかってるよ。ったく、そこまで言うなら止めはしねぇ。オレも付いていくぜ」

あれ?なんか少し前と立場が逆転してね?自分でも、襲撃ならなんやらがあって臆病になってたのかな。

('A`)「しかし、戦場では臆病な奴が最後まで生き残る」

( ^ω^)「重々承知。でも、臆病なだけじゃ戦には勝てないお」

ニヤリと笑いながら、サムズアップする“電子の王(笑)”。

从゚∀从「おい、私にも突っ込ませろ」

人間臭い事を言う特A級護衛専任ガイノイド。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:49:55.87 ID:iF0pZ+jU0
支援!


19 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:50:12.45 ID:ZAHEGDGEO
('A`)「うむ。では、いざ鎌倉!」

この二強が居れば、オレが死ぬ事は無いだろう。
そんなダメ人間思考を繰りながら、オレ達は添付されたアドレスへとアクセスをかけた。

( ;・∀・)「ちょ!僕は!?僕の存在は!」

……オレ達は、添付されたアドレスへとアクセスをかけた。

( ;・∀・)「待ってぇ!待ってよぉ〜!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:51:00.95 ID:iF0pZ+jU0
モララーwwwwww

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:51:10.57 ID:9fF9WuvzO
そういやモララーもいたな支援

22 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:51:40.08 ID:ZAHEGDGEO
 ※ ※ ※ ※

━━夥しい十字架の群れは、そこが墓地である事を無言のうちに知らしめる。

('A`)「棺桶のアバターに西洋墓地のチャットルーム……どうしてこう、サブカルオタは形から入りたがるのよ?」

添付されたアドレスの先は、どこかのオカルト系チャットルームだった。
頭上を飛ぶ鴉のアイコンが悲しげな鳴き声を上げる度、ゾンビのアバターが墓石の陰から出てきそうな予感がして、落ち着かない。

( ;・∀・)「はぁ…はぁ…どうして、僕を置いて話を進めちゃうかなあなた達は……」

電子体のくせに息を荒げてぶーたれるサブカルオタク。詰まるところ、こいつらもオレと同じく無駄が好きなんだろうなと結論。
その存在に、オレは今初めて気付いたフリをしてやろう。

('A`)「あ、居たの?」

( ;・∀・)「居ましたよ!あのチャットルームにも居ましたよ!?なのに、わけわかんない毒舌娘を連れてくるわ、いきなり話は進んじゃうわで…僕は蚊帳の外かぁ!僕の存在意義はぁ!?」

('A`)「我思う。故に、我あり。デカルト先生の言葉だ。ハインリッヒ君、解説を」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:52:50.24 ID:iF0pZ+jU0
しえん

24 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:53:30.37 ID:ZAHEGDGEO
从゚∀从「何故自分は存在するのだろうか?自己とは、自我とは、本当に存在するのだろうか?
そうあなたが疑問を持った時点で、あなたは確かにそこに存在している。大いに悩め、青年よ」

('A`)「と言うことらしいです」

( ;・∀・)「それらしい引用で誤魔化さないで!デカルトとかお呼びじゃないから!今問題なのは、僕の影が異様に薄いって事なの!」

('A`)「大丈夫。影が薄いというのは、それ自体が強烈な個性だから。“影が薄いキャラ”という地位を確立している時点で、君の影は十分濃いと言えよう」

( ;・∀・)「異議あり!人は自分の成りたい者に成る自由が有る筈です!僕はそんなポジション嫌です!もっと硬派なキャラがいいです!」

('A`)「あのなぁ、“個”というのは周囲の人間があって初めて“個”として認められるんだぞ?君がどう有りたいかはともかく、君の存在を観測するのはオレ達なんだよ。だから……」

( ;^ω^)「はいはいはいはい!どうでもいい哲学話はまた今度にしてくれお!今は、そんな話をしている場合じゃないお!」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:53:35.93 ID:nW9Dua2XO
ちょうど今日まとめで全部読んだ
支援

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:54:32.62 ID:iF0pZ+jU0
しえん


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:54:38.13 ID:9fF9WuvzO
支援

28 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:56:55.14 ID:ZAHEGDGEO
ブーンの声にはっとなり前方を見据えれば、十字架の影に見覚えのある無骨なシルエット。

【+  】ゞ゚)「遅かったじゃないか……」

あのホログラフの棺桶男が、そこに直立していた。

('A`)「本当に棺桶に入っちゃってるよ……」

从゚∀从「人間の装飾趣向がよくわからん」

( ^ω^)「あんたが、あのホロを僕に届けさせた人かお?」

油断ない足取りで、棺桶男へと近付いていくブーン。

【+  】ゞ゚)「あぁ。その通り。ここではオサムと呼んでくれたまえ」

微かに開いた棺桶の口から、少しだけ覗く顔。

一見しただけではわからないが、二人の周囲には何重にも張り巡らせられた攻性防壁の幕が存在している。
素人のオレでも注意すれば知覚出来るレベルで展開されているという事は、お互いに牽制し合っているのだろう。

( ^ω^)「そうかお。丁寧なご忠告、有り難く受け取っておくお。でも、どうしてあんなホロを送ってきたんだお?僕を止めたいのなら、黙ってこないだみたいにウイルスを仕向ければいいだけなのに。わざわざこんな悪趣味な所に呼び出して……」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:57:57.10 ID:dQB9WJjY0
支援


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:58:11.75 ID:VWdhwMwK0
今からdisc 2をまとめで見てくる
支援

31 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 20:58:40.63 ID:ZAHEGDGEO
【+  】ゞ゚)「ふふ。君が私を疑っているというのなら、当然の疑問だな。だがホロでも言っただろう。
私はただ、君と話したいだけだとね。……だから、先ずはちゃんと私と向き合ってくれたまえ」

言うがいなか棺桶の蓋が開きそこから伸びた黒い触手が、ブーンのアバターを突き刺す。

。%$"^ω^)「おっ。スケープゴートを見破るトは。そレダけの腕の方だッタとは知らズ、失礼シたオ」

ノイズ混じりの声と同様にぶれるブーンのアバターは、直後黒い触手だけを残して霧散した。

【+  】ゞ゚)「まぁ、のこのこ剥き出しの電子体でやって来るようだったら、問答無用で刈り取るつもりだったがね」

出した時と同様に、黒き触手を瞬時に棺桶の中へと戻すオサム。

从゚∀从「なかなかの腕だ」

(;'A`)「……こいつぁ相当だぞ」

あれだけの攻性防壁を一撃の下に貫く技量もさることながら、ブーンのアバターがフェイクだと気付くとはなかなかに御しがたい相手だ。

( ^ω^)「実技試験は突破ってとこかお。次はリスニング?それともペーパーかお?」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 20:58:45.55 ID:iF0pZ+jU0
しえん


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:00:30.42 ID:S8vnTqt4O
オサムさぁん!!

34 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:00:39.75 ID:ZAHEGDGEO
背後からの声に振り向けば、傷一つ無いブーンのアバター。
先と同じ足取りで、“電子の王”はオサムへと歩み寄っていく。

【+  】ゞ゚)「いや、次は個人面接だ。君があの“街”を追う動機について聞かせてもらおう」

お互いに張り巡らせた攻性防壁が干渉しないギリギリの距離で対峙する、ハッカー達。

( ^ω^)「……それを聞いて、あんたは一体どうしたいんだお?」

【+  】ゞ゚)「……」

( ^ω^)「そして、どうしてあんたは僕の名前を知ってるんだお?……まぁ、さっきの腕なら僕の名前ぐらい簡単に調べられると思うけど……」

【+  】ゞ゚)「君を、止める為だよブーン君。君は、あの“街”が本当に危険なものだという事ぐらいはわかっているのだろう?」

( ^ω^)「ウイルスに襲われて、あんたみたいなのが出て来るんだから危険じゃないって方が可笑しいお」

【+  】ゞ゚)「……そこまで分かっていて、何故君はあの“街”を追う。“電子の王”よ、アレは君の手にも余る。否、君のような人間が知るべきでは無い事実が、あそこには有る」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:01:12.80 ID:iF0pZ+jU0
しえん


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:01:31.38 ID:9fF9WuvzO
しえーん

37 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:02:15.52 ID:ZAHEGDGEO
( ^ω^)「……さっきから聞いてれば、随分と僕を知った風な事を言ってくれているけど…そこまで言われて、はいそうですかなんて引き下がれる訳がないお」

【+  】ゞ゚)「……ならば、聞かせてもらおうか。何故、君がそこまであの“街”に固執するのかお」

そう言えば、ここ最近のブーンは随分と“街”の調査に対して積極的だった。

最初はあれだけオレに反対していたというのに。どういう風の吹き回しだろうか。

( ^ω^)「…それを、あんたに語る必要が有るのかお?」

【+  】ゞ゚)「君の返答次第では、“街”の在処について情報を提供しよう」

( ^ω^)「……理由がわからんお」

【+  】ゞ゚)「個人的興味だ。君が気にする事では無い」

しばらくの間、ブーンは逡巡するように頭を垂れていたが、やがて何かを吹っ切るように顔を上げると重い口を開いて言葉を紡ぎ始めた。

( ^ω^)「あの“街”には、因縁が有るんだお」

【+  】ゞ゚)「ほう、因縁」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:02:48.44 ID:iF0pZ+jU0
しえん


39 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:04:13.39 ID:ZAHEGDGEO
( ^ω^)「五年前、“街”を探しにいった知人がフラットラインしんだお。別にそいつの死の真相が知りたいとか、そういうのではないけど……」

【+  】ゞ゚)「……」

( ^ω^)「ただ、そいつの墓参りがしたい。そいつが最後に立っていた場所に行って、花を備えたい。ただ、それだけだお」

【+  】ゞ゚)「……ふむ。これまた、随分と感傷的だ」

( ^ω^)「笑いたければ笑えお。そんな理由で命の危険を犯すなんて馬鹿のする事だってのは分かってるお。でも、今じゃ僕ぐらいしかそいつの墓参りなんてしてやれる奴が居ないんだお。だから……」

【+  】ゞ゚)「いや、馬鹿になどするものか。……むしろ、君がただの興味本位であの“街”を探しているのでは無いという事が分かって、私は満足だ」

( ^ω^)「は?」

【+  】ゞ゚)「良いだろう。それだけの覚悟が有るなら、進むがいい」

( ^ω^)「別にあんたに許可を貰わなくても……」

【+  】ゞ゚)「“シャングリラ計画”」

( ^ω^)「はぁ?」

【+  】ゞ゚)「それについて調べてみたまえ。それぐらい君達なら調べ上げるのも造作無いだろう」

40 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:05:17.28 ID:ZAHEGDGEO
( ;^ω^)「あの、それって……」

【+  】ゞ゚)「話は以上だ。君達の進む道に、せめて神のご加護があらん事を」

そこで唐突に話を切ると、オサムは棺桶の蓋を閉める。
瞬間、先までそこに確かに存在していた筈の棺桶のアバターは跡形もなく姿を消し、後には墓地の荒涼とした景色が残るだけとなった。

( ;^ω^)「シャングリラ計画……って」

('A`)「……」

墓場に取り残されたオレ達の頭上で、一羽の鴉が鳴く。

寂しくも禍々しいその響きは、オレ達の耳に嫌な余韻を残していった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:05:17.92 ID:iF0pZ+jU0
しえん

42 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:06:32.25 ID:ZAHEGDGEO
 ※ ※ ※ ※

( ・∀・)「シャングリラ計画。電脳時代の開拓期、今から十数年前に、日本政府が電脳空間の可能性を拡張しようと立案した、研究計画ですね」

例の図書館。熱弁を振るうモララー教授を中心に扇形に座ったオレ達は、彼の論説に耳を傾けていた。

( ・∀・)「研究の目的は至ってシンプル。電脳空間という仮想現実の世界に、人間が電子体として永住する事が出来る空間を作ろう!という訳です」

( ^ω^)「先生、質問だお!」

( ・∀・)「はい、ブーン君」

( ^ω^)「人間が電脳空間に永住するとしたら、没入の間のリアルボディのケアはどうするんですかお?電脳空間で暮らせたとして、体をほうっておいたら死んでしまうお」

( ・∀・)「その通り。長期間の没入は人間の脳に多大な負担をかける上、リアルボディのケアも必要になってくる。じゃあ、ネット空間に永住するにはどうしたらいいのかな?」

从゚∀从「栄養摂取の必要が無いリアルボディを作る、つまりは義体化する…と言いたいところだが、脳に栄養がいかなければいずれは死ぬ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:06:47.58 ID:VWdhwMwK0
支援

44 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:08:25.00 ID:ZAHEGDGEO
( ・∀・)「そう。電脳空間に永住するには、どうしても肉体という枷が邪魔になる。それならば、肉体と精神を切り離してしまおうと偉い人たちは考えたんだ」

(;'A`)「ちょっと待て。肉体と精神を切り離すって簡単に言うけど、精神ってのは脳が有るから存在するんだろう?そんな荒唐無稽な……」

( ・∀・)「はい残念!僕たちがどうして、このネット空間に電子体として存在してるかからやり直してね」

( ^ω^)「電子体は、僕たちの脳の中身をおおざっぱにコピー、情報化してネット空間に投影しているもの……だったおね」

( ・∀・)「そゆ事。感情だって突き詰めていけば、脳内の化学物質が引き起こす現象だからね。ロジックが分かれば、模写出来ない事は無い」

从゚∀从「電脳空間に永住化するには肉体を捨てる必要が有る。人間の精神は、コピー&ペーストが可能」

( ・∀・)「つまり、人間の脳みその中身を丸ごとコピーしてプログラム化する事によって、完全に自立した一つの電子体を作れば、人間が電子空間に永住する事は可能という事だよ」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:09:52.62 ID:iF0pZ+jU0
しえん

46 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:10:19.22 ID:ZAHEGDGEO
(;'A`)「そんな事が……」

( ^ω^)「出来る…のかお?」

( ・∀・)「よっしゃぁぁあ!これだよこれ!こういうキャラ!僕はこういうキャラがやりたかったんだよー!」

('A`)「なぁ、本当にそんな事出来るのかよ?」

( ・∀・)「ったく、少しは余韻に浸らせろと。……まぁ、理論上は可能だと言われてるね」

从゚∀从「しかし、人間の脳が持っている機能の全てを複写したとして、それを運用するには天文学的な数値を管理、運営する為のAIが必要となってくる」

( ・∀・)「そう。だから、この説は机上の空論。残念ながら、実現は出来ませんでしたとさ。まぁ、その研究も一応無駄では無かったんだけどね」

('A`)「というと?」

( ・∀・)「人間の脳の仕組みを調べる過程で、AIの技術が飛躍的なまでに進歩したんだ。アイアンメイデンだとかの高性能ドロイドに備わってる自由発想許容型AIってのも、その研究の副産物みたいなものなんですよこれが」

('A`)「人間の感情を、数値化ねぇ……」

隣に座る、ハインリッヒの横顔をちらりと見やる。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:11:24.80 ID:iF0pZ+jU0
しえん

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:11:47.81 ID:1apUvkoE0
支援

49 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:12:56.23 ID:ZAHEGDGEO
確かに、こいつの言動や行動を見ていれば、人間の頭の中身なんて情報化するのは造作が無いような気がしてくる。

('A`)「……」

何だか、ちょいとおセンチ入っちゃいそう。鬱入っちゃいそう。

从゚∀从「安心しろ。貴様のダメっぷりを数値化するには無限のAIが有っても不可能だ。貴様の底辺っぷりは貴様だけのものだ」

('A`)「オレのアイデンティティってそれだけっすか……」

( ^ω^)「まぁまぁ、今度エロゲを貸してやるからそう落ち込むなお」

('A`)「ハーレムものにしてくれ。無条件でオレを肯定してくれるエロ可愛いおにゃのこだらけのを!」

( ^ω^)「……で、そのシャングリラ計画が“電子の海を泳ぐ街”とどう繋がるんだお?」

( ・∀・)「それなんですが…その計画のうち、完全に独立した電子体が暮らす事を想定して創られた電脳都市というものがありまして……」

( ^ω^)「それが、例の“街”だというのかお?」

( ・∀・)「恐らくは……」

('A`)「じゃあ、そのアドレスを調べればいいんじゃね?」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:13:58.43 ID:iF0pZ+jU0
しえん

51 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:14:43.54 ID:ZAHEGDGEO
( ;^ω^)「いやいや、一応政府の研究計画なんだから、そう簡単に……」

( ・∀・)「有りますよ。アドレス」

( ;^ω^)「……」

('A`)「ほうれみろ。モララー教授を舐めんな」

( ・∀・)「伊達に都市伝説研究家を名乗っていませんよ。シャングリラ計画についても色んな都市伝説が囁かれてたんだで、その時にちょっと調べたんです」

( ;^ω^)「じゃあどうしてそんな関連性のある話を今まで黙ってたんだお!」

( ;・∀・)「いやぁ、推理とか苦手でして……」

从゚∀从「……」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:15:21.14 ID:1apUvkoE0
支援


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:16:47.51 ID:iF0pZ+jU0
しえん

54 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:17:11.98 ID:ZAHEGDGEO
('A`)「まぁ、取り敢えずあのオサムとかの言葉を信じてみるなら、そこに行くしか無いだろうな」

( ^ω^)「……あいつは、信頼出来ると思うお」

('A`)「その根拠は?」

( ^ω^)「ハッカーのカン…かお」

('A`)「まぁ、そんな事はどうでもいいや。手掛かりがそれしか無い以上、行ってみるしかないわけで」

( ;^ω^)「僕にももっと格好つけさせろお」

('A`)「え?さっきの赤裸々告白で十分だと思うけど」

( ^ω^)「……」

('A`)「はいはい、サクッと話を進めちゃおうねぇ。モララー教授、そのアドレスをここに」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:17:39.99 ID:iF0pZ+jU0
しえん


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:17:41.04 ID:S8vnTqt4O
ハインたん今回の出番増えててよかった……

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:18:21.05 ID:1apUvkoE0
支援


58 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:18:43.53 ID:ZAHEGDGEO
( ・∀・)「ちょっと待って下さいねぇ……」

オレの言葉に教授は立ち上がると、本棚をごそごそやり始める。

( ・∀・)「確かここに……お、あったあった」

やがてその中から、一冊の分厚いファイルを取り出してくると、教授はあるページを開いてオレ達の前に広げておいた。

( ・∀・)「このアドレスが、シャングリラ計画の折に製作された電脳都市のものです」

彼が指差す箇所、英数字の羅列を目で追いながら。

(;'A`)「これは…まさか、おい……」

オレは自分の中で放り出していた方程式の解を、意外な形で知る事となった。



next track coming soon...

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:18:57.30 ID:1apUvkoE0
支援

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:20:14.18 ID:iF0pZ+jU0
乙!続きが気になるな・・・

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:21:10.04 ID:1apUvkoE0


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:23:22.73 ID:Fi5FBzKt0
乙!!

63 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:25:10.91 ID:ZAHEGDGEO
というワケでトラックγおしまいであります

支援してくれた人、並びに読んでくれた人たち、皆さん有難う!次回、いよいよ解決編です。

質問やらなんやらがあれば気軽にドゾー

マト#>д<)メに答えて欲しい人は、来週までの我慢じゃ!

あと、Disc4ではどんなお話が読みたいかのリクエストも受け付けております。
抽象的な意見でいいので、こちらのほうもバンバンレスしちゃって下さい。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:25:15.01 ID:S8vnTqt4O
おつー。
前回のに乗り遅れたから少なくとも一週間はないだろうと思っていたら……恐ろしい子!!
まださっちゃんの下書き終わってないのにorz

ディスク1後の阿呆
http://mu.skr.jp/1224245419-Image044.jpg

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:27:07.22 ID:Q94kaKwDO

なんか、少し救いの無い話が読みたい

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:28:06.40 ID:S8vnTqt4O
ショボン絡みのエピソードはたぶん書く予定に入ってるだろうから、
ドクオ達が(クライアントの依頼のせいで仕方なく)悪役に回る物語を見てみたいっすね
下手したら物語のベクトル変わっちゃうかもだけど…

67 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:36:20.05 ID:ZAHEGDGEO
>>65
待ってました!シリーズ構成の初期段階で浮かんだ話の殆どが鬱話ばっかだから、そういうのは任せろ!

>>66
ベクトルとかは気にしないで大丈夫ですよ。
('A`)と从゚∀从の馬鹿なやり取りを軸に、サスペンスからホラー、クライムアクションにラブロマンス、ミステリーに人情話とありとあらゆるジャンルに手を出そうというのが、このお話の主旨であります!
ちょっとネタを練ってみますね

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:38:39.13 ID:+zmUNnLRO
>>1の中でマトマトは幼女ですか?

69 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 21:44:32.82 ID:ZAHEGDGEO
>>64
いつもイラスト有難うございます!
こうやって、キャラのイラストを描いてもらうと話を書く時の原動力になります!重ねて有難うございます!

>>68
JC辺りと想定すれば、オレが背徳感を感じなくていいかな、と思ってる

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:53:38.59 ID:+zmUNnLRO
読み終わった、乙

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 21:56:32.28 ID:CB16RgTdO


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:12:54.25 ID:ya5eG2L0O
乙 

いつかイヨウにスポットを当ててほしい

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:17:12.35 ID:Fi5FBzKt0
イヨウが活躍しない話が読みたい

あれ・・・?

74 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 22:18:01.30 ID:ZAHEGDGEO
>>72
彼には課せられた重大な使命があります
ある日突然オマケコーナーを飛び出して、大活躍しますよ。笑い男ばりに

75 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 22:24:19.40 ID:ZAHEGDGEO
>>73
なんとお答えしていいかわかりません。
ですが、活躍しないと言えばオマケコーナーではすこぶる活躍していない彼ですので、彼がマト#>д<)メに虐げられる様を見て欲求を満たして頂ければ幸いです

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:24:53.00 ID:Fi5FBzKt0
>>74
勘弁してくれ。活躍するイヨウなんてイヨウじゃない・・・

あれ、こんな時間にだれk

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:30:08.11 ID:8CJq3Idn0
乙。
ドクオハインペアが泥棒さんをやるお話なんてのもアリ?
ルパンまたはキャッツアイ的な感じで。

78 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 22:39:16.31 ID:ZAHEGDGEO
>>77
実は作者は、ネタ切れの為にリクエストを募ってるという噂があります。
今もネタ帳に皆さんの案をせっせせっせと書き込んでいる最中でしてね。
あなたがここで出してくれた貴重な意見は、いつか必ず一つのお話になるでしょう。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:44:32.47 ID:Fi5FBzKt0
>>78
モララーの性癖暴露話

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:47:41.14 ID:8CJq3Idn0
期待してるんだぜ。
しかし作者IDすげぇな全部大文字アルファベットか

81 名前: ◆cnH487U/EY :2008/10/17(金) 22:50:43.21 ID:ZAHEGDGEO
>>79
次回の投下を楽しみにしていて下さい。うふふ


さて、そろそろ意見や質問などは締め切らせて頂きます。
次回投下(遅くても一週間以内)の時も、リクエストなんかは取っていきたいと思いますので、お気軽にドゾー

では、皆さん乙でした!

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:54:13.05 ID:iF0pZ+jU0
乙!

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:55:59.21 ID:9B0/Rvp10
いつAces Highの話題になるのかと思ってみてたが普通に面白かったw

乙!!

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 22:57:32.25 ID:8CJq3Idn0
あらためて乙
ハインがメタルバンドの助っ人に入る話なんてのも書けそうだなこの作者

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/17(金) 23:03:56.89 ID:Fi5FBzKt0
おつんつん


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