( ∵)はξ゚听)ξと星を探すようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:13:26.41 ID:aELG6mTG0
- 現行・・すごく・・・おおいです・・・
前回の投下からかなり間隔開いてしまいすいません。 はじめましてのひとはじめまして。
まとめサイトさま
http://boonsoldier.web.fc2.com/hosi.htm
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/becouse_hosi_wo_sagasu.html
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:14:32.51 ID:7mNmTLaS0
- _人人人人人人人人人人人人人人人_
> ゆっくりしていってね!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
/{ィ,. -‐ァ‐
......-‐―――-..、 __ ,. -‐く}V / /--―‐z-
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ィ.:´l.:.:.´.: :.:.:ヽ /⌒' ´ ̄ ̄ ` く⌒>ー- 、 ‐<..
/.: .:./ | |./ `\ ̄` ヽ- 、_\
/: :/:/..:.:.:.:.:.:.:/|:.::.:.:.:ト:.:::..:.. : / / ヽ. l::.. \ `
'.:.: :/:/.:.:.:.:.:/::/_ィ'|::.:.`|十lー:.:../ /:__.:/:.イ:./ _ ∨ l::::::... ヽ
|:.:.:::|:l:.:/.:.:斗/´ !:|::..::リ, lハ::././/ィ:.:/厂7フ´ ヽ/: .: . ヽ l !:::::::.ヽ\
|:.:.:::|:|∧:.::/,ィ==ミjハ::::/z=ミlィ|イ | :|/==ミ、 jイ: :/ |ソト/.__: }.| : . l:::::: ト::|`ヽ
Y:::!:.:.ハz/′ / , xxx }イ /l xx ゙ jノ,__/_j/}:.ィ:: / :/::ハ : . l::::::ハ!
\|:.:.:.:.:.| xxx ァー‐く{ } .l 、__' ´ ̄`ミノ'j::/ :::リ/: : : ..|::/
, .-‐|:.:.:.:.:.|. { | /|八 / ヽ._, xxx`7' .::::/'′: l : .|:{
/z....:::|::.:.::.:.lミjz . _ ヽ.__ノ..イ:::::.:.|| :ヽ. { ノ ノ . .::::/ : : : : . :l : :||
// :::/!::..::::.:∨\  ̄/、 l:::::_.::|| .:::::l` `二 .. z≦ァ´.: .::/:/! : : : : : :| :|!
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- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:14:57.98 ID:85Ls7oFQO
- サボテンみたいなバイブがあるんだぜ支援
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:16:04.00 ID:aELG6mTG0
- 第三話 きみはともだち
( ∵)「…」
僕のヒフをまだ弱い光の太陽が照らす。
空は青みが増し、切れ切れの雲が姿を現してくる。 朝がやってきた。
サボテンは早起きだ。
それに加えて、何故か昨夜の僕は目が冴えていた。
実は、ずっと前から、じっと夜が蒼に切り替わるのを待っていた。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:18:25.45 ID:aELG6mTG0
- ※ ※ ※
ξ゚听)ξ「…ん」
ξ゚听)ξ「おはよう」
( ∵)「おはよう」
彼女が目を覚ましたのは、朝日が昇りきってしばらくした頃だった。
よっぽど疲れていたんだろう。 だって今も、なんだか元気のない顔をしている。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:20:35.10 ID:aELG6mTG0
- ξ゚听)ξ「砂漠のめざめは最悪ね」
ξ゚听)ξ「寝起きの気分もよくないわ…」
( ∵)「フライパンで転がされている気分」
ξ゚听)ξ「巧いね」
泉の水で、ぱしゃぱしゃと顔を洗いながら、彼女はぽつりと一言呟いた。
ξ゚听)ξ「汗で体が気持ち悪い…」
( ∵)「汗 ってどんな感じ?」
ξ゚听)ξ「砂漠に雨が半端に降って、地面がべちょべちょになる感じ」
( ∵)「巧いね」
そう言って僕は砂煙をあげながら、後ろを向く。
ξ゚听)ξ「ほんとに気がきくサボテンさんね」
ξ゚听)ξ「さて… 水浴びしようかしら」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:23:06.35 ID:aELG6mTG0
- ┌| ∵|┘「…」
┌| ∵|┘「…そろそろ?」
水の跳ねる音が聞こえなくなる。 水浴びは、終わったみたいだ。
僕はゆっくりツンの方を向いてみた。
ξ;゚听)ξ「…ちょっ!」
両手で上半身を覆う彼女の姿、天気の良い日に見る雲のような肌の色。
やっぱり綺麗だ。 だけど、その表情は強張っていて…
ξ;゚听)ξ「まだもうちょっと後ろ向いててよ! バカっ!」
( ∵)「ごめんなさい…」
ξ゚听)ξ「…ま、サボテンだし、別に見られてもいいわね」
そう言うと彼女は、薄い布にまた一枚二枚と服飾を重ねていった。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:23:59.72 ID:85Ls7oFQO
- シエンダー
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:26:16.26 ID:aELG6mTG0
- 泉の水を最後に一飲みし、ツンは再び歩き始めた。
僕もなんとなく後を着いていく。
( ∵)「ねえツン」
ξ゚听)ξ「なに?」
( ∵)「さっき、ツンの裸を見たとき、人間ならどうするのかな?」
彼女は微笑み混じりに答える。
ξ゚听)ξ「顔真っ赤にして、鼻から血出すんじゃない」
( ∵)「なにそれ、面白い!」
( ∵)「ぼく、人間になりたいな」
ξ゚听)ξ「ばぁか、ビコーズのすけべっ」
( ∵)「スケベ ってなに?」
( ∵)「人間には、男の人と女の人がいるんだよね」
( ∵)「スケベ っていう人間もいるの?」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:28:35.64 ID:ZIGvTeLl0
- 平井剣支援
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:29:44.57 ID:aELG6mTG0
- ξ゚听)ξ「スケベは男の人よ… もう」
( ∵)「へーえ そうなんだ」
僕は「男」だろうか 「女」だろうか?
ツンは自分のことを「私」というから、女だろうな。 見た目もそうみたいだし。
じゃあ僕は僕を僕と呼ぶから 男?
ああそうか
サボテンは、サボテン!
( ∵)「うん、なるほど」
ξ゚听)ξ「何に納得してるのよ」
( ∵)「自分の存在について」
ξ゚听)ξ「あなた… 昨日から思ってたけど、面白いわねっ」
( ∵)「ふふふ。ありがとう」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:32:23.02 ID:aELG6mTG0
- ツンと砂漠を歩いた。 ひたすらに歩いた。
「目指している場所まであとどれくらいなの?」と尋ねたら、「ラクダを2000頭並べたくらいよ」と答えてくれた。
僕は、納得した。 そして、それ以外にも沢山質問をした。
砂漠では、太陽は西から昇って東へ沈むけど、ツンが住んでいるところも一緒なの? とか
砂漠を歩いているターバン姿のおじさんは、いつもなにを運んでいるの? とか
気がつくと、全て砂漠が絡む質問だった。
僕は、僕という世界の狭さを思い知らされた。 ああ、もっと色んなことが知りたい。
だから、僕はツンについていくんだ。
( ∵)「あっ、そうだ」
ξ゚听)ξ「なによー。まだ訊きたいことがあるのかしら?」
( ∵)「うん」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:34:24.53 ID:aELG6mTG0
- ( ∵)「ツン って名前は、誰がつけてくれたの?」
ξ゚听)ξ「お母様よ」
( ∵)「名前をつけてくれるのは、お母さんか、お父さんなんだね?」
ξ゚听)ξ「そうよ」
( ∵)「じゃあツンは… 僕のお母さんだね!」
僕はぴょんぴょんと飛び跳ねた。
その後すぐに石につまづいて、転んでしまったのだけれど。
ξ゚听)ξ「そうねえ… でも私はまだ若いわ… お母さんになんかなれない」
( ∵)「えっ、そんなあ」
ξ゚听)ξ「ビコーズは、私の”友達”よ」
( ∵)「ともだち?」
ξ゚听)ξ「そう」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:36:07.48 ID:aELG6mTG0
- ともだち。
不思議な四文字が、僕の目の上の、トゲトゲらへんでふわふわ浮かぶ。
ああ、アタマの中にあるってだけで、意味が分からない言葉が、僕には多すぎる。
( ∵)「ともだち… ってなに?」
また彼女はくすっ、と笑ってこう言った。
ξ゚听)ξ「ともだちは、ともだちよ」
( ∵)「わからないよ」
ξ゚听)ξ「わかりなさい」
( ∵)「わかった、わかる」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:37:56.10 ID:aELG6mTG0
- ともだちともだちともだちともだち。
親とか、兄弟とか、そういうのなら、なんとなく分かるんだ。
でも、ともだち というのは… いまいちイメージが沸かない。
もやもやとしていて… 正に、目の前で漂っている蜃気楼のようだ。
あの蜃気楼の向こうには、何かしらの答えが待っているのだろうか。
ξ゚听)ξ「村まであともう少しだわ…」
ξ;゚听)ξ「がんばらなきゃっ」
ツンは額に滴る汗を拭い、ひたすら前方を見て歩いていた。
僕は逆らって横っつらを向く。
ああ、どこを見渡しても、広がるのは砂漠色だ… そして、蜃気楼。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:39:19.16 ID:aELG6mTG0
- ( ∵)「…」
( ∵)「?」
蜃気楼の向こう、砂丘がぞわっと蠢いた気がした。
砂嵐に崩されてしまったのだろうか?
いや、違う。 あの蠢き方は、風に吹かれているものじゃない。
蜃気楼が、ぴしりと歪んだ気がした。
――――蠢きが、僕たちに近づいてくる。
( ∵)「ツンっ、あぶない!」
ξ゚听)ξ「!?」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:40:50.14 ID:xfWUjUyT0
- 支援
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:42:56.51 ID:aELG6mTG0
- 僕らとラクダ10頭分くらいの距離で、そいつは姿を現した。 凄まじい砂と風を伴って。
砂漠では、初めて見る顔だ。 背丈は僕を20こ積み重ねたくらい、横の幅はえーと…
ξ;゚听)ξ「さ、サンドワームだわ!」
( ∵)「サンドワーム?」
ξ;゚听)ξ「…」
ツンの喉が、ごくり、と唸った。
そして、一瞬に蒼白となる彼女の表情で、コイツがどんな存在だか、飲み込めた気がした。
「クシュウウウウウゥッ!!!」
ξ;゚听)ξ「わっ!! す、吸い込まれそう!!!」
さらに強い風が吹き荒れた。 それは、サンドワームとやらの「呼吸」と気がつくと、
僕はほんのりと恐怖というものを覚えた。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:45:24.34 ID:aELG6mTG0
- ξ;゚听)ξ「ビコーズ! 大丈夫!?」
( ∵)「うん。 しっかり”足着いてる”からっ!」
ξ;゚听)ξ「こいつは砂漠の掃除機って異名で有名の怪物なのよ…
逃げなきゃ… 村まではもう少しなのに!」
ツンは、吸い込みの攻撃に抗い、前進しようとする。
しかし、サンドワームの口は予想以上にデカイ。 えーと… 僕5個分。
彼女は中々進めず、足元に砂塵を溜めていくのみだ。
「クシュウウウウウウウウウッ!!!」
ξ;゚听)ξ「きゃあーっ!!!」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:47:14.42 ID:aELG6mTG0
- ┌| ∵|┘「…」
僕は地中深くに体躯を突き刺したから、なんとかなる。
しかし、これは危機というやつだ。 このままじゃツンが、吸い込まれてしまうかもしれない。
そんなのは絶対嫌だ。 ツンはぼくの「ともだち」なんだ。
ぜったいいやだ
ぜったいいやだ
ぜったいいやだ――――――――
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:47:15.52 ID:xfWUjUyT0
- 支援
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:49:36.82 ID:aELG6mTG0
- 「クシュウウウウウウウウウッ!!!!」
プツッ
「ク、クシュッウッ…………」
巨大な影が、攻め寄せる。
ξ;゚听)ξ「こ、こっちに倒れてくる!?」
( ∵)「右だツン!」
その言葉と共に、ツンは僕の教えた方向に横っ飛び。ぎりぎりセーフ。
巨大なサンドワームの体躯が、ゆっくりと、砂漠に沈んだ。
奴のイモムシみたいな皮膚には、傷一つない。 だのに何故?
しかし、ツンを救えたという安堵感の方が、僕の体の中で先に駆け巡った。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:51:16.30 ID:aELG6mTG0
- ξ;゚听)ξ「ど、どうしたんだろう。 突然」
ξ;゚听)ξ「やっつけちゃったね…」
( ∵)「やったね」
ξ゚听)ξ(あら、これ…)
ξ゚听)ξ(サボテンの棘?)
ツンは、サンドワームをまじまじと観察していた。
僕はご機嫌に話しかける。
( ∵)「何やってるんだい、ツン!」
( ∵)「突然起き上がって、また襲ってくるかもしれないよ! 早く行こうよ!」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:53:20.01 ID:aELG6mTG0
- ξ;゚听)ξ「え、ええ! 先を急ぎましょう!」
強風で煽られた髪を整えながら、彼女は呟く。
ξ゚听)ξ「…ありがとね、ビロード、私を護ってくれて」
護った? いつ? 僕は身体を砂漠に埋めて、祈りを捧げていただけだ。
でもまあ… ここは頂いておくことにしよう。
( ∵)「だってツンは僕の…」
( ∵)「友達だもの」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:54:01.81 ID:aELG6mTG0
- ( ∵)「……使い方、合ってるかな」
ξ(゚ー゚*ξ「うん、合ってるよ」
その時、僕には彼女が砂漠に咲く一輪の花のように見えたんだ。
この笑顔を、僕はおそらく死ぬまで忘れない。
(続く)
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:55:40.10 ID:aELG6mTG0
- 第5話 ネコミミの盗賊団・砂上のレジスタンス
サンドワームとの遭遇からまた少し歩いて、僕たちは遂に「村」に辿り着いた。
「村」だとか、「町」というのは、人間が集まって暮らしているところらしい。
ツンみたいなのが沢山いるのかなあ。 僕は胸を弾ませた。
…だけど
ξ゚听)ξ「やっと… 着いた…」
( ∵)「やったね」
ξ゚听)ξ「それじゃ、あなたはここに立っていなさいね」
( ∵)「ええっ!?」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない!
サボテンが通りを闊歩したら、村のみんなは驚いちゃうわよ!」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:55:54.16 ID:xfWUjUyT0
- >>1乙!!
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:56:22.82 ID:xfWUjUyT0
- アッー!
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:57:46.97 ID:aELG6mTG0
- ( ∵)「そうかなあ」
ξ゚听)ξ「そうよ」
僕は、足元に力を入れ、この身を大地に深く差し込んだ。
ξ゚听)ξ「しばらくただのサボテンに戻ってなさい! いいわね?」
( ∵)「うん。ツンはともだちだから、言うこときく」
ξ゚听)ξ「いいこね。それじゃ……また」
※ ※ ※
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:58:47.04 ID:4lXUTLLx0
- この短さがいい
アニメにしたら一話五分〜十分ってとこか
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 00:59:53.53 ID:aELG6mTG0
- オアシスの村 「スイーツ」
広大なVIP砂漠を歩く旅人や貿易の中継地点。
村の人口自体は決して多くないが、放浪の者や商人が通りにはたむろしている。
ツンは、村の隅に沸いている泉で水を飲み、酒場へと歩を進めた。
ドアを開けると、ひんやりとした空気がツンを包み、彼女は久方ぶりの心地良さを覚える。
そして、目的の人物を見つけると、その人物のテーブルの向かいに、腰を下ろしたのだった。
ξ゚听)ξ「ちょっと遅れたかしら」
「いいえ、そんなことはありませんツン様」
ξ゚听)ξ「ここでその名は言わないで」
「…すいません」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:02:58.95 ID:aELG6mTG0
- ツンの向かい側に座る男―― 軽装だが、腰には片手剣を携えている。
顎鬚を擦りながら、神妙な語り口で会話を進める。
「レイラの国がVIPの襲撃を受けたと聞き、
我々レジスタンスは、こうしてスイーツに布陣を張って貴方の到着を待っていたのです」
ξ゚听)ξ「ありがとう。 騒ぎが収まるまで身を隠させてもらうわ」
「レイラ王の行方は?」
ξ゚听)ξ「VIPに捕らえられたわ」
ξ゚听)ξ「今頃…… 城の檻の中よ」
「それはなんと……!」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:04:01.58 ID:4lXUTLLx0
- しえん
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:04:05.11 ID:zN0CsId0O
- >>24
ビロード?
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:04:52.70 ID:aELG6mTG0
- 憤怒の念を口にする兵士の表情を、彼女はわざとらしいと見抜いていた。
こうして相手の挙動を観察しつつ、ツンは会話を進めていく。
ξ゚听)ξ「でもあの豪傑よ… きっと何とか活路を見出すはずだわ」
「はい。 レイラ王の行動力は、私達のリーダーからいつも聞かされております」
ξ゚听)ξ「今の私は… 私のことで精一杯だわ」
ξ゚听)ξ「だけど…」
兵士が一呼吸を置いて呟いた。
「お姉様ですね?」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:07:31.56 ID:aELG6mTG0
- ふいを突かれた。
その話題は、最後のほうにと彼女は取って置くつもりだったのだ。
ξ゚听)ξ「…! お姉さま、お姉さまはどこなの!?」
「ご心配なく。 デレ様はこの先50キロの地点にある修道院で安静に療養中です」
ξ )ξ「……良かった」
何処かのタガが外れたのか、ツンはうっすらと睫毛を濡らす。
そして、細い小指でそれを拭うと、再び口を開いた。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:10:28.71 ID:aELG6mTG0
- ξ゚听)ξ「とにかく、レイラの国は壊滅状態だわ」
ξ゚听)ξ「城に残してきた兵士のことを思うと… 胸が…」
「苦心お察しします。 それで、この会談の要旨ですが……」
さっきとは裏腹に、精一杯芯の通った口調でツンは呟く。
ξ゚听)ξ「レジスタンスとの協定を結べ でしょう?
残念ながら、それを決める権力は今の私には無いわ」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:13:19.03 ID:aELG6mTG0
- ツンは頭の中で用意していた言葉を、整理して並べていく。
レジスタンスとレイラの協定。 分かっていた。
ξ゚听)ξ「VIPに襲撃され、王が捕虜になり、自由に動けるのは私だけ」
ξ゚听)ξ「だからチャンスとでも思っていたのかしら?」
「そ、その通りでございます」
ξ゚听)ξ「私は… 王の代役でもなんでもない」
ξ゚听)ξ「ただ、姉が心配で… 姉一人の安否のために、
国のみんなを捨ててここまで来た、一人の、我侭な女よ」
ξ゚听)ξ「それに… レジスタンスとレイラの関係は…」
ξ゚听)ξ「私が口を挟めるものではないわ」
「ご無礼失礼致しました」
ξ゚听)ξ「いいのよ。 お互い様だわ。 私も私で、都合のいいときだけレジスタンスを隠れ家に利用する…」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:15:12.86 ID:aELG6mTG0
- ξ゚ー゚)ξ「困ったときは、お互い様よ」
「はい! それでは、アジトへ向かいましょう」
レイラ王救出のシナリオを組み立てなければ……」
※ ※ ※
┌| ∵|┘「…」
┌| ∵|┘「暇だなあ」
僕は単調な景色を相手に、時間を持て余していた。
ああ、僕も村に入りたい。 人間と、色んな話がしたい。
しかし、そうは問屋が卸さないらしい。
あ、今、ぼく人間臭いこと言ったよね。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:18:25.15 ID:09qf8lI00
- 「何言ってんすか親分。 サボテンが喋るはずねえじゃありませんか」
ぞろぞろと男達が僕の目の前に集まってきた。 皆、カラフルなターバンやバンダナを巻いている。
僕は胸を躍らせた。
(,,゚Д゚)「いや、喋ったんだよ」
ターバンよりもちょっとスリムな帽子を被った男は、僕をじっと見つめる。
(,,゚Д゚)「…」
┌| ∵|┘
(,,゚Д゚)「…」
┌| ∵|┘
(,,゚Д゚)「…」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:19:12.26 ID:09qf8lI00
-
(,,゚Д゚)「おいサボテン野郎、お前ちょっと喋ってみろ」
( ∵)「…」
( ∵)「ワーーッ!!!!!!」
「「「「「ギャアァアアアアーーーッ!!!!!」」」」」
集まっていた男達はみな、慄き、震えた。 僕の性? なんだか楽しいな。
(,,゚Д゚)「お前らぁ! 大の男が揃ってわなわな震えてんじゃねぇぞゴルァ!」
(,,゚Д゚)「……ふん。喋るサボテンか。こいつは珍しい」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:20:16.38 ID:09qf8lI00
- ( ∵)「はじめまして。ぼく、ビコーズだよ」
「かーーちゃーーん!! こえーーよーー!!」
(,,゚Д゚)「うるせぇ! へへ…ビコーズってのかい。
俺は銀猫盗賊団の長、ギコってんだ」
(,,゚Д゚)「後ろにいる臆病な奴らが子分さ。 宜しくな」
( ∵)「よろしく。ギコ」
ギコという精悍な男は、一息をつくと、拳を高らかに突き上げて、叫んだ。
(,,゚Д゚)「おおし!! 今日はこいつをかっぱらう!!!」
( ∵)(…え?)
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:21:04.11 ID:09qf8lI00
- 「おやびーん! 今日は悪徳商人の野郎を襲撃するんじゃなかったのかい?」
(,,゚Д゚)「気が変わったんだ! こいつを見ろよ! 喋るサボテンだぜ?
こいつぁどこの見世物小屋でもお目にかかれないシロモノだ。 高く値がつくぜ」
( ∵)「ねえねえ、見世物小屋って何?」
(,,゚Д゚)「へっ、あとで教えてやらあ。
おい! こいつをひっこぬけ!!」
「へいっ!!」
もしこの人が、さっきのサンドワームみたいな奴だったら、僕は必死で抵抗しただろう。
だけど、僕はギコに何も嫌味を感じなかったから、その身を委ねた。
僕の身体は、小気味良く、すぽんと抜けた。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:21:41.02 ID:Hy+nR99o0
- 支援
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:21:49.79 ID:JmzmokQQ0
- http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/soap/1205881992/
このスレに
「レスが全てチョン次郎の書き込みに思えてコピペにも悔しく怯えて長文で釣られまくるオタがいるスレはここでつか」
って書き込むとコピペに長文マジレス連投発狂してワロスwwww
オマエらでも100%釣れるぞw
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:22:15.32 ID:09qf8lI00
- そして僕は、ギコの子分たちに担がれて、見たこともない生き物に括りつけられた。
( ∵)「ギコ! これ、なに?」
(,,゚Д゚)「あん? そいつはおめぇ… 俺達の足、”ホバーボート”だよ!」
( ∵)「かっこいい!」
(,,゚Д゚)「ありがとよ! それじゃあ、出発だ!」
ギコがそう叫ぶと、ホバーボートがぶるぶるぶると震え、一直線に砂漠を駆け始めた。
物凄い風、だけど、サンドワームの吸い込み攻撃とはまったく違う。 心地良い風。
いつまでも、これを浴びていたいような……
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:23:23.15 ID:09qf8lI00
- 風に煽られながら、僕はとあることを尋ねた。
( ∵)「ねえ、ギコ」
(,,゚Д゚)「なんだよ」
( ∵)「ギコには、尻尾が生えてる」
(,,゚Д゚)「へっ、こんなもん、邪魔なだけさ」
( ∵)「どうして、尻尾が生えてるの? ギコは、人間じゃないの?」
(,,゚Д゚)「…ふっ。 聞きたいか?」
( ∵)「すごく聞きたい!」
(,,゚Д゚)「半獣、半人だよ」
( ∵)「はんじゅうはんじん?」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:24:58.39 ID:ccr6sNj+0
- そう言うと、ギコはボートのレバーをがちゃがちゃと動かした。
ボートが自動的に進むようになる。
そしてハンドルから手を離し、帽子を脱ぎ始めた。
ぴょこん、と、二つの長い耳が飛び出た。
(,,゚Д゚)「俺たちは…… ただの猫だったのさ」
(,,゚Д゚)「数百年前まではな」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:25:40.53 ID:ccr6sNj+0
- ( ∵)「…! ただの猫だったの?」
(,,゚Д゚)「ああ、そうだ。 だがしかしある日突然、ご先祖様は言葉を覚え、二本足で歩くの覚え、”にゃー”と鳴くのをやめたんだってよ」
(,,゚Д゚)「まるでおとぎ話だなあ!! はは!」
( ∵)「僕と似てる」
(,,゚Д゚)「あん?」
( ∵)「僕も、ただのサボテンだったんだ」
( ∵)「でもある日、僕は僕を手に入れたんだ!」
(,,゚Д゚)「ほお… こいつはおもしれえぇな。 見世物小屋に売っ払うのはもったいないような気がしてきたぜ」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:26:18.68 ID:ccr6sNj+0
- 「みせものごや ってなにー?」
「ははは。 なんだろうなー」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
いくつもの砂塵を切り裂いて、ホバーボートは砂の海を進む。 やがて何処へ辿り着くのだろう?
ツンの用事が済むまでには戻らなきゃ。 そんなことを、いつもと変わらぬ空を眺めながら思っていた。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:29:30.54 ID:ccr6sNj+0
- ※ ※ ※
申し訳なさそうに、兵士はツンをラクダへと導いた。
「こちらです」
ξ゚听)ξ「あら? レジタンスお得意のホバーボートはどうしたのかしら?」
「それが… その」
「巷で暴れまわっている銀猫盗賊団という輩に盗まれてしまいまして」
ξ゚听)ξ「盗賊団… まったく、レジタンス、鍛え直さなきゃダメじゃない?」
「ううっ」
ξ゚听)ξ「レジスタンスのアジトは、何処にあるのかしら」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:31:35.21 ID:ccr6sNj+0
- 兵士に事項を尋ねたその時、ツンは村の入り口について違和感を覚えた。
ビコーズが、いない。
ξ;゚听)ξ「…あれ?」
「アジトはこの先15キロの三角岩を…」
「あの、姫様、聞いてますか?」
(続く)
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:32:06.31 ID:ccr6sNj+0
- 今日の投下は以上です。
質問やら感想などあったら言ってくれると嬉しいです
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:32:35.34 ID:eB58wztb0
- 乙!
ビコーズにいつも癒されてます!
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:32:49.21 ID:QxJi31ym0
- 乙
続きが気になります
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:36:54.85 ID:OFfl5ag20
- 乙
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:39:41.44 ID:ccr6sNj+0
- おまけ 〜地名について〜
・砂上の村「スイーツ」
砂漠 → デザート(Desert) →スイーツ
こんなふうに、オリジナルの地名には何かしら洒落っ気を含ませてみたい・・・
多分無理だけどwwwww
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:44:45.03 ID:h7pHLyFt0
- 乙
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:45:16.12 ID:zN0CsId0O
- >>57
>>34
なんかむしろ伏線とかだったらすまん
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 01:46:13.84 ID:ccr6sNj+0
- >>59
あっwwwww ミスです。明らかにミスです。
ごめんなさい。すっかり放置してました。
まとめさん、まとめる際は修正してくれるとうれしいです
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/25(日) 02:21:32.80 ID:zvnnHlBS0
- 追いついた。支援・・・はもう遅いか。乙
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