(´・ω・`)のバーボンハウスのようです
- 1 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:46:23.12 ID:+4cnrabj0
- 第四話、投下します
- 2 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:47:32.28 ID:+4cnrabj0
- その日の晩は、僕の店にはドクオの他にも2,3人のお客さんが来ていた。
しかし、日付が変わったくらいの時間に、僕は“CLOSED”も看板を出した。
もう店仕舞いの時間かと不満げなお客さんたちには、謝罪の言葉とともに、
『貸切なんです』と伝えて帰ってもらった。
(´・ω・`)「申し訳ないことしちゃったな……」
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:47:36.97 ID:Lq/5a/fCO
- ノ ゚ω゚)
- 4 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:47:47.17 ID:+4cnrabj0
- 僕とドクオ、そしてバイトの長岡を残して、空っぽになった店内を眺めてつぶやく。
_, 、_
( ゚∀゚)「こんな時間から貸切なんですか?」
訝しがる彼に、少し微笑みながら言う。
(´・ω・`)「まぁ、彼は特別だからね。
そんなことよりも、長岡君は野球をやってたよね」
- 5 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:48:09.20 ID:+4cnrabj0
- 突拍子のない僕の質問に、長岡はさらに眉をひそめる。
_
( ゚∀゚)「大学では準硬ですけど、野球暦は小学校からですよ。
それが何か関係あるんですか?」
('A`)「それじゃあ、結構面白いことになるかもな」
その光景がつぼにはまったのか、ドクオはこらえきれずに噴出した。
ドクオをたしなめつつも、僕も自然と顔がにやけてしまっていた。
_, 、_
( ゚∀゚)「ちょっと!いったい何なんですか!?」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:48:15.45 ID:tD+vrlh10
- _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''> ゆっくりしていってね!!! <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
|::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ __ _____ ______
|::::ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .||
`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i |
,' ノ !'" ,___, "' i .レ' L.',. ヽ _ン L」 ノ| .|
( ,ハ ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
- 7 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:48:36.59 ID:+4cnrabj0
- ちょうどそのとき、空気を呼んだかのようにドアが開く。
あまりにも勢いよく開かれたせいか、ドアベルの音はその来訪者が次に発した言葉に、すぐにかき消されてしまった。
(,,゚Д゚)「なんで閉店の札がかかってんだ、ゴルァ!
来るって電話しといたじゃねぇか」
(´・ω・`)「やぁ、バーボンハウスへようこそ。
あの札をかけたのは、他のお客さんと八合わないように配慮した結果なんだけどね」
僕は笑いながら彼に言った。
- 8 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:48:59.23 ID:+4cnrabj0
- _
( ゚∀゚)「え、ギコ?VIPスターズの?ちょ、何でここに?」
混乱している長岡を無視して、僕はギコに椅子を勧める。
(´・ω・`)「とりあえずこのこのテキーラはサービスだから、まず飲んで落ちついて欲しい」
(,,゚Д゚)「おう!というか、本当にその言葉使ってるんだな。
恥ずかしいとかは思ったりしねぇのか?」
僕ははにかみながら、『もう慣れたよ』と答える。
相変わらずのマイペースぶりに、少しどきどきしながらも、それが懐かしくもあった。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:49:48.34 ID:Lq/5a/fCO
- ノ ゚ω゚)
- 10 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:49:48.49 ID:+4cnrabj0
- _
( ゚∀゚)「あ、あの!」
意を決したというかのように、長岡がギコに向かって話しかける。
_
( ゚∀゚)「VIPのギコ選手……ですよね?」
(,,゚Д゚)「おう!それがどうかしたか?」
_
( ゚∀゚)「あの!もしよければサインくd」
(´・ω・`)「あ、長岡君、適当に料理作ってー」
- 11 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:50:04.10 ID:+4cnrabj0
- 恨めしげに見つめてくる長岡が厨房に引っ込むと、ギコが話し始める。
(,,゚Д゚)「すまんかったな、ずっと来れなくて。
VIP市には何回か来てたんだが、時間がなくてよ」
('A`)「まったくだ。俺なんか毎日来ているんだぞ」
(;´・ω・`)「それはドクオだからだと思うけどね」
その言葉にドクオは脹れるが、ギコが豪快に笑うのを見て気分をよくしたのか、
笑いながら『お前のためだろうが』と言ってくる。
- 12 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:50:34.92 ID:+4cnrabj0
- (,,゚Д゚)「そういや、ショボンに会うこと自体かなり久しぶりかもな。
なかなか飲み会にも来てなかったみたいだしよ」
(´・ω・`)「それは、まぁ、いろいろ事情があってね」
僕は頭を掻きながら答える。
僕がみんなの集まりにあまり顔を出さなかったのは、自身が感じていた劣等感が原因なのだが、
野球選手になるという夢を叶え、さらにはタイトルを取るほどに活躍しているギコに対しても、
羨望に混じったその思いがあった。
('A`)「ショボン、おかわり」
その声で彼に向き直ると、ドクオが心配そうな顔でこちらを見ていた。
僕は『心配ないよ』と言う代わりに微笑んで、彼に次のジンを注いだ。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:50:56.87 ID:EAUtjebYO
- 支援
- 14 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:51:00.94 ID:+4cnrabj0
- _
( ゚∀゚)「こちら、おつまみの盛り合わせです。
あの、ギコさん、サイn」
(´・ω・`)「あ、氷切れちゃった。
長岡君、悪いんだけど裏から出してきてくれない?」
_, 、_
( ゚∀゚)「……」
(´・ω・`)「嘘だよ。今日はもうあがっていいよ。
いま試験期間なんだよね、シフト入れちゃってごめんね」
_, 、_
(; ゚∀゚)「……」
(´・ω・`)「ごめんごめん、冗談だって。
今日はギコが出してくれるそうだから、一緒に飲もうか」
- 15 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:51:47.59 ID:+4cnrabj0
- その後に『もしギコがよければだけど』と付け加えたが、当然のように彼が断ることはなかった。
それからは僕の店にはめずらしい、男四人だが騒がしい宴会となった。
_
( ゚∀゚)「ギコさんマジスゴいっす!憧れっす!!」
(,,^Д^)「ギコハハハ!そう言ってくれると嬉しいぜ!!」
豪快に笑うギコを見ていると、こちらまで楽しくなってきて、自然と笑みがこぼれていた。
すると同じように笑っていたドクオが、ギコの肩をドンドンと殴りながら言う。
- 16 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:52:00.86 ID:+4cnrabj0
- ('A`)「でも、すげぇよな、ギコは。
子供の頃からの夢をしっかり叶えたんだからよ。」
その言葉にギコは首をかしげるようにする。
(,,゚Д゚)「そうか?でもドクオだって弁護士になるの、夢だったんだろ?」
('A`)「そうだけどよ、俺だって子供の頃には野球選手って憧れてたしよ。
そういう最初に持った夢を叶えられてるってのが、すごいなと思ったんだよ」
(´・ω・`)「確かにね。僕もギコはすごいと思うよ」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:52:59.04 ID:Lq/5a/fCO
- ノ ゚ω゚)
- 18 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:53:10.64 ID:+4cnrabj0
- 何倍飲んでも赤くならなかった顔を赤らめて、照れ隠しだろう、ギコはまた豪快に笑った。
('A`)「それを考えたらさ、ギコってすげぇ成功者なのかって思えてくるわけよ。
別に俺は弁護士が嫌なわけじゃないけど、お前は本当にやりたかったことやれてるわけじゃん。
それで栄光とか、財産とか、いろいろと得てるしよ」
だがそれを聞くと、さっきまで騒がしかったギコが急に黙ってしまった。
ドクオは気づかずに長岡と笑いあっているが、僕はなぜか背中を冷や汗が流れるのを感じた。
一瞬遅れて、二人がギコに気づいて息を飲んだ。
ドクオがおそるおそるその顔を覗き込むと、ギコはびっくりしたようで『おう』と小さく声を上げた。
- 19 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:53:25.02 ID:+4cnrabj0
- (,,゚Д゚)「俺、いまドクオに言われたことを聞いて思ったんだけどよ」
彼にしてはめずらしく、ぽつぽつと喋りだす。
(,,゚Д゚)「たぶんよ、夢は叶えるものなんだけど、叶えてそれで終わりじゃないんだよな。
一個叶えたら、叶えれたとしても、また次のが出てくるんだよ。
内緒だけど、来期はメジャーに行こうかなと思ってるくらいだ」
ゆっくりと一つ一つ言葉を選ぶように続けていく。
(,,゚Д゚)「たしかドクオは、『弱い人を助ける』って言って、弁護士になる夢を持って、実現した。
これって、ある意味終わりのねぇ夢だから、そういうことって少ないかも知れねぇけど。
夢に終わりはないから、だから、あー」
- 20 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:53:37.15 ID:+4cnrabj0
- (,,^Д^)「ギコハハハ!!考えてしゃべるなんて、慣れないことするもんじゃねぇな!!
とりあえず、まぁ、そういうことだ」
笑う彼を見つめて、僕もまた考える。
彼の言いたいことは、なんとなくだが伝わってきた。
そしてそれは、『自分のバーを開く』という夢を叶え終えた自分にも当てはまる。
だからこそ―――――
- 21 名前:第四話 ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:53:49.49 ID:+4cnrabj0
- 僕は、湿っぽくなった空気を戻そうと、テキーラを瓶から直接一気飲みしていたギコに言う。
(´・ω・`)「僕の夢は、これからもたくさんの人を支えていくことだよ。」
店を持ったいまでは、その夢はもっと大きくなってしまった。
いったいどれくらいそれを叶えられるのだろう。
(,,゚Д゚)「俺だって、もっとみんなに夢を見せられるように頑張るぜ」
ニッと格好良く笑い、それから笑い出す。
それからその晩は、僕の店から笑い声が絶えることはなかった
- 22 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/03/31(月) 22:56:07.41 ID:+4cnrabj0
- 第四話はこれでおわりです
ちょっと外すと怒られる系の用事があるので、二時間くらいしたら第五話を投下します
質問とかあれば、適当にお願いします
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 22:59:46.62 ID:EAUtjebYO
- ほ
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:03:41.61 ID:EAUtjebYO
-
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:04:46.88 ID:Lq/5a/fCO
- ノ ゚ω゚)乙
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:04:58.70 ID:ybz3X8EAO
- 最初から読み終えたとこに遭遇とかw
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:10:45.82 ID:EAUtjebYO
-
- 28 名前:みそフォン ◆gFxU/hhNDQ :2008/03/31(月) 23:11:59.73 ID:FxeYGDqi0
- ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:17:08.26 ID:ybz3X8EAO
- 保守!
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:22:42.08 ID:EAUtjebYO
- ほ
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:32:29.46 ID:EAUtjebYO
-
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:38:12.35 ID:VlSogdU3O
- ほほ
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:47:18.22 ID:EAUtjebYO
-
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:47:24.31 ID:ybz3X8EAO
- 保守
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:51:22.81 ID:gFtIAvJn0
- 来てたー
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:56:39.96 ID:5ixvt1Ow0
- ほ
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:57:33.06 ID:Lq/5a/fCO
- ノ ゚ω゚)
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:02:52.51 ID:G6epDsqO0
- ほ
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:04:35.75 ID:08eGzVA7O
- う
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:06:55.19 ID:q4nZ2Z0Ai
- 来てたか!読ませてもらうよ
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:12:42.43 ID:G6epDsqO0
- ほ
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:15:28.57 ID:/NH2Gz+cO
- ほ
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:17:05.61 ID:EXVkQIic0
- ほしゅ
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:26:04.24 ID:q4nZ2Z0Ai
- ほ
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:30:58.45 ID:jd+xba/G0
- も
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:41:18.25 ID:sbEJZjjcO
- アッー!
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:43:08.80 ID:Iz0bpq8H0
- ho ニャー
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:48:42.87 ID:+38Fs/LA0
- 和む
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:00:02.35 ID:08eGzVA7O
-
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:14:48.40 ID:q4nZ2Z0Ai
- ほす
- 51 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:23:24.36 ID:n5ok9DQh0
- ほもとか保守とかホントすいません
俺の勝手な都合なのに、ありがとうございました
第五話行きます
- 52 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:23:50.59 ID:n5ok9DQh0
- ドクオを始め、普段はほとんど男性客が多い僕の店だが、その日はめずらしい来客があり、
さながら店内に花が咲いたようだった。
(*゚ー゚)「さすがショボン君のお店だね。
インテリアとか、凄いお洒落。」
川 ゚ー゚)「まったくだ。そのセンスをドクオも少しは見習ってほしいな」
自分のセンスをけなされたからか、クーと一緒の時間がしぃに邪魔されたからかは定かではないが、
ドクオが不機嫌そうにグラスを煽る。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:26:23.43 ID:+M6W9dtg0
- しねん
- 54 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:26:58.29 ID:n5ok9DQh0
- ('A`)「欝だ……、ショボン、もう一杯くれ」
(´・ω・`)「はいはい」
『そういえば昔からドクオはしぃ苦手そうだったな』と思いつつ、僕は氷を多めにしてジンを注ぐ。
その日は久しぶりのクーとのデートをしてからここに来たらしく、その時点ですでにかなりアルコールが回っていた。
(*゚ー゚)「なんか悪いことしちゃったかな、二人の時間を邪魔しちゃって。
何だかドクオ君、凄いペースで飲んでたし……」
川 ゚ー゚)「気にするな。しぃは私が会いたいから呼んだんだしな。
ドクオが後先考えずに飲むのはいつものことだし、自業自得だよ」
悪びれる様子もなく言うしぃに、クーは笑いながら答えた。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:28:24.93 ID:xtSboY1o0
- しえn
- 56 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:28:52.80 ID:n5ok9DQh0
- (*゚ー゚)「そういえばここって、お料理も出すの?」
自身も料理人であることからだろうか、メニューを覘いた彼女が尋ねてきた。
(´・ω・`)「まぁ、お酒がメインのお店だし、簡単なものだけだけどね。
最初は僕が作ってたんだけど、バーのマスターが裏に引っ込むのもあれだしね。
いまはバイトの子に全部任せてるよ。まだ大学生なんだけどね」
彼女は興味がわいたようで、『料理は上手か』とか『普段何をやっているのか』と、
矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。
バイトの長岡は、よくやってくれている。
大学は大丈夫なのか、というくらいこの店で頑張ってくれているし、彼さえよければ社員として雇いたいぐらいだ。
- 57 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:29:09.09 ID:n5ok9DQh0
- 自分が話題にされていることに気づいたのか、長岡が表に出てきたが、しぃを見ると目を丸くした。
_
(; ゚∀゚)「し、しぃさん!?VIPホテル専属シェフのしぃさんですか!!?」
テレビの取材にもしぃは何度か登場しているし、ひと目見てその人だとわかったらしい。
当のしぃ本人は、最初こそばつが悪そうに照れていたものの、すぐに長岡と打ち解けて、
料理のコツだかなんだかを教えに厨房へと入っていってしまった。
川 ゚ー゚)「あの人懐こさは、昔から変わらんな」
クーが笑みを浮かべながら言う。
- 58 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:29:57.86 ID:n5ok9DQh0
- (´・ω・`)「そうだね。まぁ、君の放浪癖も同じようなものじゃないか。
この前来たときから、もう半年くらい経ってるよ」
川 ゚ー゚)「昔からそんなにふらふらしていた覚えはないが……。
しかし、もうそんなに経ってるんだな」
感慨深げに言うクーを見ていた僕は、その姿にすこし違和感を感じて、見つめる。
その心を読み取ったのか、彼女は微笑みながら切り出した。
- 59 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:30:12.77 ID:n5ok9DQh0
- 川 ゚ー゚)「今の仕事をやめようかと思っていてね」
(;´・ω・`)「え!?」
素っ頓狂な声を上げた僕を尻目に、彼女は続けた。
川 ゚ー゚)「いや、どうやらドクオも結婚したがってるようだし、今日のデートもそれを言うつもりだったらしいしな。
……だから今日は、しぃを呼んでそれを避けたってのもあるんだが。
まぁ、彼と結婚して幸せな家庭を作るのも、悪くないと思ってるんでね」
すでに酔いつぶれたドクオを愛しそうに見つめる彼女は、とてもきれいだった。
僕はなんだか嬉しい気持ちになったが、ドクオの呑気な寝顔を見ているとなんとなくむかついたので、
いつものお返しとばかりに一発殴っておいた。
- 60 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:30:44.94 ID:n5ok9DQh0
- (*゚ー゚)「彼、いいね。見込みあるよ」
満足げな顔で戻ってきたしぃに、新しいグラスを渡す。
一息ついて、僕を見つめながら話し出す。
(*゚ー゚)「うらやましぃな、ショボン君」
(´・ω・`)「何がだい?」
(*゚ー゚)「こんないいお店を持てて、すごいうらやましぃよ。
ドクオ君にさっき聞いたけど、けっこういい調子らしぃじゃない。
前途有望なシェフもいるしね。」
最後はいたずらっぽくそうつけ加えると、彼女はグラスを両手で包みこむように持った。
- 61 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:31:02.31 ID:n5ok9DQh0
- (´・ω・`)「でも君なら、店を出してもやっていけるんじゃないかな」
素直な気持ちで尋ねると、見る見るうちに表情が曇る。
僕はその理由がわからず、無神経だった自分の言葉を悔やんだが、そのまま彼女の次の言葉を待った。
(*゚ー゚)「私は、料理人になるしかなかったから。
私の家庭の事情、知ってるでしょ」
僕は、黙って頷く。
(*゚ー゚)「料理を作るしか能がなくて、それがいつの間にか仕事になってた。」
- 62 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:31:13.43 ID:n5ok9DQh0
- (*゚ー゚)「今の仕事が嫌なわけじゃないの。やりがいのある仕事だし。
自分の好きなことを仕事にしているのは、とてもうれしぃことなんだと思う」
グラスの氷を見つめながら言う彼女は、どこか寂しげにも見えた。
『ごめんね、湿っぽくなっちゃった』と笑ってグラスを傾ける姿を見ていると、
言いようのない切なさが胸にこみ上げてきた。
彼女がうらやましいと言ったのは、僕が自分の店を持ったことじゃなく―――――
- 63 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:31:30.57 ID:n5ok9DQh0
- 僕は、しぃを見つめる。
いまの僕には、まだ彼女にこんなことを言う資格などないかもしれない。
それでも、ここで何もしなかったら、僕自身、これから一生夢を叶えることなどできなくなる気がした。
僕のおかしな様子に気づいたのだろうか、しぃは微笑んで首をかしげる。
(´・ω・`)「しぃの夢って、何かな」
(*゚ー゚)「私の、夢……?」
しぃは困ったように黙ってしまった。
その様子を見て、僕は再び自分の言葉の無神経さを呪う。
- 64 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:31:49.16 ID:n5ok9DQh0
- そんな僕の杞憂を見透かしたように、しぃが言った。
(*゚ー゚)「私の夢は、私の料理でみんなを幸せにすることかな。
ショボン君の夢と、ちょっと似てるね」
そんなやり取りを見ていたクーが、久しぶりに口を開く。
川 ゚ー゚)「そうだな、しぃの料理にはその力がある。
もちろん、君のこの店にもね」
クールにそう笑うクーと、にっこりとしているしぃを見ていると、つくづく自分の力不足を感じた。
- 65 名前:第五話 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:32:04.79 ID:n5ok9DQh0
- 僕なんかが何もしなくて、しぃならきっと自分の中でうまく整理することができただろう。
それでも―――――
(*゚ー゚)「私はもう、夢をかなえられてるのかもしれないね。
ありがとう。ショボン君のおかげで、少し気が楽になったよ」
そう笑ってくれる彼女のおかげで、なんだか悪くない気持ちになった。
- 66 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 01:33:10.99 ID:n5ok9DQh0
- 第五話、終わりです
ちょっと休憩して2時くらいになったら、また投下しにきます
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:33:27.85 ID:xtSboY1o0
- 支援
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:35:34.66 ID:6uDf+OJtO
- 乙だ
そして初リアル遭遇、支援する!
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:36:32.80 ID:7jlab4T6O
- 支援
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 01:51:42.32 ID:xtSboY1o0
- ほ
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:16:31.41 ID:xtSboY1o0
- ほ
- 72 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:18:10.66 ID:n5ok9DQh0
- きっと俺には、どこにも居場所なんか無い。
番外編 ('A`)
- 73 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:18:29.95 ID:n5ok9DQh0
- ( ^Д^)「おい、ドクオ!ちょっといつものやってくれよ!!」
<ヽ`∀´>「早く見せるニダ!!」
(;'A`)「え……あ………」
( 'A`) イキルノマンドクセ
ノ( ヘヘ
- 74 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:20:28.48 ID:n5ok9DQh0
- <ヽ`∀´>「ウェー、ハッハッハwwwマンドクセとは傑作ニダwwwww」
( ^Д^)「お前すごいぜ!それだけだけど!!!」
俺がいつものようにそれをやらされると、教室がにわかに活気づいた。
彼らDQNの嘲笑だけでなく、クラスメイト達も見下したような眼でこちらを見ている。
('A`)(なんだよ……、こんなことの何が面白いんだよ……)
- 75 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:20:42.56 ID:n5ok9DQh0
- そう心の中で思っていても、口には出さない。
そんなことしたって、状況は良くならないばかりか、悪化するのは目に見えてるから。
中学校に入ってからまだ一ケ月と経たぬうちに作られたパラーバランスは、もう決して変えることはできないだろう。
もともと人づきあいが巧いタイプではないのは、自分でもよくわかっていた。
小学校では幼なじみも一緒だったので、それで困ることはなかった。
彼女のおかげで友達も増え、周りの皆よりも勉強もでき、むしろ充実した小学校時代を送れたといえる。
- 76 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:05.11 ID:n5ok9DQh0
- そして、失敗した。
自分の力を過信しすぎた結果であることは分かっている。
心配するクーに見栄を張り、ランクが一つ上の中学校に入学したのだ。
そこには口下手な自分を気遣う世話やきなどおらず、俺はそう長い時を待たずに、“学校”というものが嫌いになった。
やがて1年が過ぎたが、結局クラス替えでもプギャー達と離れることはなく、そしてそのことに対しても別に何も感じなくなってしまった自分がいた。
- 77 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:18.73 ID:n5ok9DQh0
- 昼休みはずっと、プギャー達にからかわれながら過ごす毎日だった。
弁当を食べながら、そして、食べ終わっても。
執拗に茶化してくるプギャーとニダーにうんざりしながらも、日課のように毎日を過ごしていた。
( ^Д^)「このウインナー、もらうぜ」
<ヽ`∀´>「ホルホルホル!この卵焼き、ウリの家のほうがよっぽど美味しいニダ!!」
もう食事をしていても、味など分からない。
砂を噛むような、ただの作業としての食事。
考えてみると、この中学に入ってからの1年間で、多くのものを失った。
自分にはもう何の価値もないのではないかと思え、生きることすら億劫だった。
自分が心地よい居場所なんて、どこにもないと自身に言い聞かせていた。
いつ消えて無くなっても、納得できるように。
- 78 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:31.40 ID:n5ok9DQh0
- だが、変化は突然に訪れた。
プギャー達を避けるため、放課後すぐに向かう図書室で、そいつは話しかけてきた。
(´・ω・`)「きみ、西VIP小のドクオだよね。
なんであんな奴らとつるんでるの?」
クラスが変わったばかりで名前と顔は一致してなかったため、俺はぽかんとそいつの顔を見上げた。
俺は床に体育座りしていたせいか、自然と首を上げる格好になる。
よくよく見ると、新しくクラスメートになったメンバーに、いたような気もする。
('A`)「……」
しかし、別に話すことなんてない。
それすらも面倒臭いし、何より変な同情もされたくない。
俺は、このまま、あいつらに、馬鹿にされ続ける人生でも、いい。
- 79 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:44.72 ID:n5ok9DQh0
- 黙っている俺を見て、何も話すつもりがないことを見抜いたのかは分からないが、そいつは話しだす。
(´・ω・`)「僕は中央小のショボン。聞いたことないかな」
クーが嬉々として、『中央小に君みたいな天才がいるらしい』と言っていたのを瞬時に思い出したが、俺は何も言わない。
(´・ω・`)「なんかすごい子がいるって聞いて、友達になれるかと思ったけど。」
別に友達なんて欲しくもない。
みんなして俺を見下すに決まっているから。
(´・ω・`)「あんな奴らと一緒になって馬鹿やってるようじゃ、無理だね」
- 80 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:22:06.99 ID:n5ok9DQh0
- ショボンはすぐに歩きだす。
その背中に向けて、俺は聞こえるかどうかというようなトーンで、言った。
('A`)「別に俺だって、そうしたい訳じゃねぇよ」
- 81 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:22:55.12 ID:n5ok9DQh0
- ショボンは立ち止まり、こちらを振り返って言う。
(´・ω・`)「でも君は、それを良しとしてるんだろう。
それならそれは、君が選んだ道なんだ。
責任持ってまっとうしなよ」
静かな図書室に響いた声は、はっきりと俺の耳に吸い込まれていく。
(´・ω・`)「別にそういう道でも悪いとは言わないよ。
でも世の中には、自分の将来を良いように期待され、親の敷いたレールの上を歩まなきゃならない人もいるんだ。
そんな中、あの程度のことで自分の人生が決められたように悲観する君には、虫唾が走るんだよ」
- 82 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:25:28.01 ID:n5ok9DQh0
- 流石の俺でも本来なら怒るような場面だったが、彼から出てきた言葉に完全に心を奪われていた。
(´・ω・`)「せっかくそれなりの力を持って生まれたんだ―――――
それなら、いっそ君にしかできないことをやりなよ」
- 83 名前:番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:25:43.54 ID:n5ok9DQh0
- 変わるなら、今しかない。
心のどこかで、俺の叫び声が聞こえた。
どこにもないと思った俺の場所、
こいつなら―――――ショボンなら、教えてくれる気がした。
- 84 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:31:28.45 ID:n5ok9DQh0
- 以上で今日は終了です
投下してると、絶対に見てる人いねぇだろwww的な発作に襲われるけど
後からつくレスを見て、自分のこんな小説でも楽しんでくれるんだと嬉しくなる
- 85 名前: ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:32:13.35 ID:n5ok9DQh0
- 何が言いたいかって言うと、ちょっとドクオのストーリーを練り直したってこと
べ、別に「('A`)が毒男じゃない」って言われて、後付けで書いたとかじゃないんだから///
いやまじで
とりあえず感想をビクビクしながら読んでるってことを高らかに叫びたい
おやすみなさい、保守ありがとうございました(´・ω・`)
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:34:20.74 ID:xtSboY1o0
- おやすみー乙
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:37:22.51 ID:ASILm7NhO
- 追い付いたら終わってたwww
>>1乙!!!!
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:39:43.34 ID:3hszdnbAO
- まとめサイト貼って欲しかった
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:40:08.25 ID:lUMrhG6JO
- ちゃんと読んでるぞ
乙
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 02:40:56.46 ID:5VyZ1Ih40
- 乙
- 91 名前: ◆Qe4wwDKtLk :2008/04/01(火) 02:56:01.21 ID:6qTE7hHL0
-
- 92 名前: ◆vKkbaG4RwY :2008/04/01(火) 02:56:20.20 ID:6qTE7hHL0
-
全部
最新50