- 3
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 13:39:46.89 ID:Honm8i8xO
- >>1
ありがとうございます!
このスレは、
547:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/12/09(木) 12:08:43.28 ID:Honm8i8xO
代理スレ立てを頼みたいんだけど、
タイトルは指定しない
自由にタイトルを決めてスレを立ててくれないか
そのタイトルから即興で話を考えて、ながらで書いていきたいんだ
(後略)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
という試みの下に立ててもらいました
ながらで、ゆっくり進めていきます
-
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 13:51:57.76 ID:Honm8i8xO
ξ゚听)ξ「……長くないだろうって、先生が」
病室。ベッド。
すっかり痩せ細って――いや、やつれてしまった母は、
しゃがれた声で、そう言った。
ξ゚听)ξ「泣かないでよ、マルタスニム」
母の声は、もっと綺麗だった。
母の瞳は、もっと澄んでいた。
母の腕は、こんな、枯れ枝のようじゃなかった。
ξ゚听)ξ「お母さんは、お父さんに会えるから恐くないけれど。
――あんたを1人にさせるのだけが、ちょっと不安だわ」
1人にしないで、なんて。
子供みたいなこと、言えないから。
( ;;ω)「……大丈夫ホマ。僕、……1人じゃないホマよ――」
母を安心させるために。
母離れをするために。
嘘を、ついてしまった。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 13:59:43.97 ID:Honm8i8xO
ξ゚ー゚)ξ「そうなの? 恋人、いたんだ」
母は笑った。
僕は頷き、カレンダーを見る。
今は11月初旬。
頭の中で必死に計算する。
考えて、数えて。
(;^^ω)「……クリスマス!」
ξ゚ー゚)ξ「うん?」
(;^^ω)「クリスマスに、連れてくるホマ、かか、か彼女」
ξ゚ー゚)ξ「そう。楽しみにしてるわ」
一ヶ月以上も時間があるなら、何とか恋人を――いや、そうでなくとも、
「恋人役」を用意出来るかもしれない。
その人を母に紹介しよう。
今更、母が助かるとは思えない。
それならば、せめて、安心してほしい。
安心して、父のもとに行ってほしい。
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:03:58.56 ID:Honm8i8xO
母が手を伸ばす。
曲がったままの5本の指から、小指だけを、ゆるりと上げた。
ξ゚ー゚)ξ「指切り」
( ^^ω)「……分かったホマ」
その折れてしまいそうな指に、僕の小指を絡め、
「――ゆーびきーりげーんまん……」
約束を、した。
したのだ。約束を。
なのに。
母が、それを守ってくれなかった。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:06:33.23 ID:Honm8i8xO
ξ--)ξ
死んだ。
母は、死んだ。
それは、12月になったばかりの。
クリスマスなんかまだまだ先の日のことだった。
( ^^ω)クリスマスには間に合わなかったようです
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:12:57.49 ID:Honm8i8xO
从 ゚∀从「せーんーせー」
どんどん。
玄関のドアが叩かれる。
いや、殴ってるんじゃないか、これ。
安普請のアパートなのだ、壊れたらどうする。
勘弁してほしい。
( ´`ω)「ホママ……」
のそりと布団から起き上がり、僕は玄関に向かった。
この声。呼び名。
相手は決まりきっている。
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:22:54.09 ID:Honm8i8xO
( ´`ω)「おはようホマ、ハイン君」
从 ゚∀从「もう昼っスけどね」
腕組みをして言い捨てた女性、ハインリッヒ高岡。
僕の――何と言えばいいのか。
知り合い。友人。ううむ。
そのまま表現するならば、そうだな。
小説家である僕、マルタスニム内藤の、「熱心なファン」だ。
从 ゚∀从「寒っ、寒いな、このアパートは本当にもう」
( ^^ω)「今ストーブつけたホマ。お茶はあったかい方がいいホマね?」
从 ゚∀从「あざっす、は瀬川先生」
は瀬川、とは僕のペンネームだ。
先生という呼び方が少しむず痒くて、台所に向かいながら
思わず首筋をがしがしと擦ってしまった。
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:42:09.20 ID:Honm8i8xO
――小説家という職に就いたのは、5年前、僕が20歳になった頃だ。
きっかけは、暇潰しに書いた小説を、
何となく目についた小さな賞に応募したことだった。
小説というより、僕の鬱々とした気分を書き殴っただけの言葉の集まりだったのだが
何故だかそれがウケてしまったらしく、あれよあれよと言う間に
「作家デビュー」を果たしてしまった。
リアリティのある心情描写が何とか、読む者の心をえぐる文章力が何とか。
あまり納得はいかなかったが、当時の僕は典型的なヒキニートだった。
だから、働けるだけマシ、と思い、ありがたく作家になることにしたのである。
――とはいえ、正直なところ、5年経った今でも人気はあまり無い。
収入も大したことはない。
ちょっと、いやかなり、将来が不安だ。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 14:50:59.81 ID:Honm8i8xO
从 ゚∀从「新作は?」
( ^^ω)「そこの机の上」
从*゚∀从「よっしゃ!」
忙しなく辺りを見渡していたハインリッヒ――ハイン君は、
「目的」の居場所を知るや否や机に飛び掛かった。
机上に散乱する原稿用紙をかき集め、ぱらぱらとめくっていく。
从*゚∀从
从 ゚∀从
从#゚∀从
从#゚∀从「全然進んでねえじゃねーか!
おいコラ顔面奇形!!」
(;^^ω)「やめてその言い方」
担当さんより厳しいことを仰る。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 15:05:10.81 ID:Honm8i8xO
「顔面奇形」。
……これだ、これ。この言葉。
ものすっごい勢いで僕の心を引きちぎる。
( ´`ω)ショホマーン
一体、何度言われてきただろう。
「気持ち悪い」「顔がエグい」「神様はお前の顔作るときだけ福笑いしてたの?」。
ああ、ああ。街を歩いただけで死にたくなる。
二度見するな。指差すな。
( ´`ω)
僕が5年前にヒキニートをしてた理由は、この顔にある。
外に出れば、顔が気持ち悪いと馬鹿にされるんだ。
だから、人前に――外に出るのが、億劫で仕方なかった。
その辺りを考えると、やっぱり作家になって良かった気もする。
頑張れば、外に出ずとも金を稼げるのだから。
入ってくる金は雀の涙ほどだが。
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 15:22:45.66 ID:Honm8i8xO
( ´`ω)
从;゚∀从「……トラウマ触ったか、ごめん」
( ´`ω)「いいけどさ……別に……」
お茶の入ったマグカップを2つ、ちゃぶ台の上に乗せる。
うっひょう、と奇妙な声をあげて、ハイン君はマグカップで両手を温めた。
――彼女と仲良くなったのは、つい2ヶ月ほど前のことだった。
新作の打ち合わせにやって来た担当さんがこの部屋のドアを叩いているのを、
たまたま前を通りすがったハイン君が見付けたらしい。
『――先生。マルタスニム先生。は瀬川先生――』
担当さんの言葉に、ハイン君は驚いたという。
いわく、『大好きな作家の名前だったから』。
彼女は、数少ない、僕のファンの1人だったのだ。
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 20:12:30.75 ID:Honm8i8xO
从*゚∀从『――は瀬川先生!? まさか小説家の!?
ちょちょちょっ、私、あんたの作品好きだよ! 大好――』
担当さんを押し退けて叫ぶ彼女。
騒がしさに耐え切れず、僕がドアを開けて顔を見せると、
从*゚∀从
从 ゚д从
失礼なことに、とても失礼なことに、彼女は『人間か?』と呟いた。
これは後日聞いたのだが、
『繊細で薄暗い文章が綺麗だから、作者は線の細い美形だと思ってた』らしい。
僕は、本のカバーに載せる著者近影等が恐ろしくて堪らないので、
いつも、原稿用紙に適当に文字を連ねたものを撮ってもらっていた。
だから、彼女は好き勝手に僕へ幻想を抱けたのだろう。
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 20:24:45.08 ID:Honm8i8xO
ああ、これで貴重なファンが1人消えたな。
もしかしたら彼女がネットに言い触らしてしまうんじゃないか。とか。
嫌な考えが頭の中を満たし始めた僕に。
从 ゚∀从『ま、作品の素晴らしさにゃ関係ねえか』
あっけらかんと、彼女は言った。
そして僕は、ねだられるがままに握手とサインをし、
『また来る』と微笑み去っていく彼女を、呆然と眺めることしか出来なかった。
宣言通り、彼女はまた来た。
コンビニで買った菓子を抱えて、上がり込んできた。
『新作あるなら見たいな』
きらきらした瞳でそう言われては、追い出すに追い出せなくなり。
――それから、彼女は暇さえあれば僕の家にやって来るようになったのである。
- 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 20:37:13.98 ID:Honm8i8xO
从 ゚∀从「前見たときと変わんねえじゃん。まさか一文字も続き書いてねえのかよ」
( ^^ω)「……母の葬式やら何やらで」
从 ゚∀从「……ああ。ごめんなさい。ご愁傷様です――でいいんだっけ」
( ^^ω)「ホマホマ」
原稿を放って、ハイン君はお茶を啜った。
目を伏せた顔が綺麗だと思う。
別に恋心を持っているわけではないが。
――恋といえば。
ハイン君は大学生らしいのだが、僕なんかと一緒にいて楽しいのだろうか。
大学生なんて友達と遊んだり恋人と過ごしたりするもんじゃないのか。
僕には友達も恋人もいないし、大学に行ったこともないから分からないけど。
从*゚∀从「お茶うめー」
( ^^ω)「……」
まあ、退屈なわけでもなさそうだし、いいか。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 20:49:22.68 ID:Honm8i8xO
マグカップの中身を一気に飲み干し、僕は机に向かった。
ハイン君はテレビのスイッチを入れながら、「頑張れ」と言う。
適当に返事をし、ペンを取った。
パソコンは持っていない。
執筆は、手書きのみだ。
( ^^ω)「……」
ペン先を原稿に宛てがう。
ぼんやり、思うままに文字を書き込んでいく。
頭の中には一応ストーリーがあるが、書いていく内にどんどん方向が変わる。
いきあたりばったり。
原稿の中で女が泣いた。
男はそれを慰める――いや、何もせず、ただ見つめている。
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 20:56:23.83 ID:Honm8i8xO
慰めない。
それでも、男は女を愛しいと思っている。
原稿の中の男女は愛し合っている。
じゃあ、何故慰めないのだろう。
( ^^ω)
愛って何だ。
僕は親の愛しか知らない。
愛しているのに、何故男は女に優しい言葉をかけないのだろう。
分からない。
それでも勝手に物語は進む。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 21:07:53.20 ID:Honm8i8xO
女の泣き声は激しさを増す。
体を折り曲げ、泣きじゃくる。
男の恋心は激しさを増す。
立ち尽くして、女を見下ろす。
男は、包まれたい?
彼女の涙に。
溺れて、死んでしまいたいのか。
きっと、彼は、彼女の涙が一番好きなのかもしれない。
涙を絞り尽くし彼女は小さくなっていく。
彼女は涙で出来ている。
彼は涙が好き。だから涙で出来た彼女が好き。
彼が涙で溺れる頃には。
彼女は、彼女ではなくなる。
共に消えられるなら、多分、幸せ。
从 ゚∀从「厨二」
完成した短編を読み終えて、ハイン君はばっさり切り捨てた。
酷い、この子。
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 21:20:41.61 ID:Honm8i8xO
( ^^ω)「それがマルタスニムクオリティ」
从 ゚∀从「まあそうだな。オレも、そこが好きだよ」
好き、とストレートに言えるのは凄い。
僕には言えそうにない。
从 ゚∀从「しかし、今回のは一段と暗くて厨二臭がすげえな。
意味分かんねえし」
( ^^ω)「……面白くないホマ?」
从 ゚∀从「一般的には、多分、ウケないよ。
でもあんたの作品わざわざ読むのなんて、
オレみたいな趣味の奴ぐらいだろ。
んで、オレからすりゃ、これはかなり面白い方だと思う」
( ^^ω)「ホマー」
元より一般受けなど度外視している。
彼女が面白いと言うなら、それでいい。
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 21:31:43.40 ID:Honm8i8xO
从 ゚∀从「てか、あんたの作品ってバラバラだよな」
( ^^ω)「?」
从 ゚∀从「そりゃ、作品ごとに雰囲気とか違うなら当たり前だけど。
あんたの場合、同じ作品内でも雰囲気がめちゃくちゃ変わるだろ。
そこが面白いんだけど」
( ^^ω)「……そうホマ?」
从 ゚∀从「うん」
( ^^ω)「んー……書いてるときの気分によって変わるんだと思うホマ」
从 ゚∀从「……作家として、あんまり良くないよな」
( ´`ω)ショホマーン
从 ゚∀从「でも、あんたに限っては、それで良いんじゃないか。
だからこそ面白いわけだし」
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 21:59:39.37 ID:Honm8i8xO
ハイン君は、微笑んで、僕の肩をばしばしと叩いた。
加減してくれないかな、結構痛い。
从 ゚∀从「これからも、この調子でな!」
(;^^ω)「あうあう」
――気分によって変わるなら。
今回の、この短編は、間違いなく母の死が影響している。
それが面白いと言うのであれば、
僕は、絶望や悲しみの中で執筆した方がいいらしい。
……複雑な気持ちだ。
- 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 22:11:08.58 ID:Honm8i8xO
――ハイン君が帰宅した後。
何となく、カレンダーを見た。
12月も中旬に差し掛かろうとしている。
( ^^ω)「……クリスマスが近いホマ」
もう、母はいない。
それでも。
約束を守らなければいけない気が、した。
- 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 22:25:14.28 ID:Honm8i8xO
(´・ω・`)「――急ですね」
翌日。
原稿の回収に来た担当さんに
「女性を紹介してもらえないか」と言うと、
しょぼくれ顔の彼は、驚いたように目を丸くした。
僕よりもいくつか年上の筈なのだが、どうしても年下に見えてしまう。
(´・ω・`)「先生、いつもは恋人なんかいらないって言ってたのに」
( ^^ω)「ちょっと色々と思うことがあるんだホマ」
(´・ω・`)「へえ……で、たとえばどんな人がいいんですか?」
( ^^ω)「……優しくて、僕の顔を馬鹿にしなくて、おとなしい人」
(´・ω・`)「真ん中の条件が悲しいです先生」
- 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 22:35:37.36 ID:Honm8i8xO
(´・ω・`)「しかし、あの子は駄目なんですか? 先生のファンとかいう……」
( ^^ω)「ハイン君は優しくないし僕の顔を馬鹿にするし騒がしいホマ」
(´・ω・`)「全滅じゃないですか。
――ふむ、それなら」
1人、思い当たる人がいますよ、と。
担当さんは、にっこり笑った。
川 ゚ -゚)「初めまして、素直クールといいます」
( ω) ^^
(´・ω・`)「先生顔面崩壊とかいうレベルじゃないですよ」
数日後、担当さんが喫茶店で紹介してくれた女性は、
何かもう物凄く美人だった。
- 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 22:53:21.34 ID:Honm8i8xO
(;^^ω)「ちょちょ、タイム!」
川 ゚ -゚)「はあ」
担当さんを引っ張り、僕は店の隅へ移動した。
素直さんは首を傾げながら僕らを眺めている。
(´・ω・`)「何ですか」
(;^^ω)「何であんな美人連れてきたホマ!? 心臓止まるかと思ったホマ!」
(´・ω・`)「何でって言われても……先生の言う条件に合う女性なんて、
彼女しか思い浮かびませんでしたし」
(;^^ω)「だからって……」
(´・ω・`)「彼女は、人を顔で判断するような人間じゃありませんよ。
……先生は顔で判断するんですか」
(;^^ω)「……う……」
(´・ω・`)「安心して下さい。クーさんは嫌いな人間に対しては辛辣な態度をとりますが、
そうでない人には優しいですし」
(;^^ω)「でも、嫌われたら――」
(´・ω・`)「余程のことが無い限りは大丈夫ですよ」
さあ行きましょう、と今度は僕が担当さんに引っ張られ、テーブルに戻された。
- 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 23:08:57.33 ID:Honm8i8xO
川 ゚ -゚)「――内藤さん、でしたね」
( ^^ω)「はい、マルタスニム内藤ですホマ」
素直さんは、注文したミルクティーに目を落とし、
「珍しいお名前ですね」と言った。
川 ゚ -゚)「記憶に残りやすくて、いいと思います」
( ^^ω)「ありがとうございますホマ。
クールさんも、いい名前ですホマ」
川 ゚ー゚)「それは嬉しいですね」
(´・ω・`)b そ
(;^^ω)(『GJ』じゃねえホマこっちはかなり緊張してんだホマ)
素直さんの隣に座っている担当さんが、こっそりとサインを送ってきた。
今分かった、この人楽しんでる。
- 92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 23:19:55.22 ID:Honm8i8xO
川 ゚ -゚)「マルタスニム、といえば」
ミルクティーを一口飲んで、素直さんは名前の話題を続けた。
コーヒーにミルクをたっぷり垂らしながら、僕は「はあ」と相槌をうつ。
そして――次いで飛び出した言葉に、手元が狂いかけた。
川 ゚ -゚)「マルタスニムは瀬川、という作家を知っていますか」
(;^^ω)「っ!?」
川;゚ -゚)「わわ、大丈夫ですか?」
(;^^ω)「は、はい……」
じろりと担当さんを睨みつける。
どうやら、僕が小説家であることを素直さんに教えていなかったようだ。
(´・ω・`)「あれ、クーさん、は瀬川先生の作品読んだことあるっけ」
川 ゚ -゚)「ああ」
(´・ω・`)「あの人の話、好きなの?」
担当さんは、にやにやしながら問いかけた。
「良かったですね先生」という目を僕に向けてくる。
- 93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 23:22:09.26 ID:Honm8i8xO
素直さんは、答える。
川 ゚ -゚)「いや、寧ろ大嫌いだ」
( ω) ^^
(´ ω `) ・ ・
- 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 23:35:29.50 ID:Honm8i8xO
( ^^ω)(おい)
(;´・ω・`)ノシ
知りませんよとでも言いたいのか、担当さんはぶんぶん手を振った。
……まあ、多分本当に知らなかったのだろう。
あれを分かっていて紹介するほど、意地の悪い人ではない。
川 ゚ -゚)「暗いし意味が分からない話を書く。
何が書きたいのか、さっぱりだ」
素直さんは僕達の恐慌状態に気付くことなく、つらつらと僕の批判を口にする。
ハイン君と同じ感想でありながら、正負真逆のイメージだ。
川 ゚ -゚)「あのような話を書く人間とは絶対に仲良くなれn……――」
はたと、素直さんが口を閉じる。
それから、「すみません」と頭を下げてきた。
川 ゚ -゚)「内藤さんも本好きだと聞いていたもので……つい興奮してしまいました。
ごめんなさい、気持ちのいい話ではなかったですね」
( ^^ω)「い、いや……気にしてないホマ」
- 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/09(木) 23:46:06.68 ID:Honm8i8xO
川 ゚ -゚)「話を変えましょう。
――内藤さんは、どんなお仕事をなさってるんですか?」
話変わってねーよ。
( ^^ω)「……」
( ^^ω)「フ、リーター、……を」
誤魔化すにしても、もっと他にあっただろう、僕よ。
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