7 :愛のVIP戦士:2007/03/10(土) 21:29:23.48 ID:fe++e7ir0
――――これはブーンが見事ホームインする三分前のお話――――

ξ゚听)ξ「やっぱ最高だったわね、ザ☆ヒキコモリンズ」

(;-@∀@)「う、うん。特にドラマーの人が凄かったよね……」

この金髪巻き髪とメガネのアベックは、
現在VIP校生の通学路とも言える道路を歩いていた。
ふいんき(ry 的には付き合っているようだが、別にそんな関係では無い。
よってアベックでは無い。そもそも今の時代アベックなんて使わない。カップルでおk。
そういう言葉は六十を過ぎた老夫婦にでも使えばいいじゃない。

何故付き合ってもいない男女二人がこうして肩を並べ、歩幅を合わせて歩いているのかと言うと、
今日は『今をときめくスーパーバンド』のキャッチフレーズでお馴染み、
『ザ☆ヒキコモリンズ』の男女のペアしか参加出来ない、カップル限定ライブが、あったからだ。

(;-@∀@)(つーかバンドって言うよりドラムのワンマンショーだったじゃねぇか……)

『ザ☆ヒキコモリンズ』は人前にめっぽう弱く、毎回ギターのジョージとベースのオサムが
欠席する奇妙なグループである。ドラムのタツオは目が悪く、そんなに人の顔が見れないので
平気なんだとか。その代わり自身の楽器である、ドラムもよく認識できない程の弱視であった。
ちなみにボーカルはいない。

それでもファンが絶えないのは、タツオの音楽に対する情熱が並じゃないからだ。
もうソロでやれよ。
9 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:30:45.02 ID:fe++e7ir0
ξ゚听)ξ「てか朝日君いつまでそうやって並んで歩いてる気?
      ライブは終わったんだから、もう止めてよね。気持ち悪い」

(;-@∀@)「あ、ご……ごめん津出さん。つい……惰性で……」

ξ゚听)ξ「…………ねぇ」

( -@∀@)「ん?どうかしたのかい?」

ξ;゚听)ξ「あそこの学校……黒い煙が出てない!?」

888
888
888                     に|
888|\_/ ̄ ̄\_/|          __|_
888\_|  ▼ ▼|_/ .    に|   ┌’‘┐  に|
=||    \  皿 /   ___|__| :。。  |___|____
  ||.   /    \  | E EEEEEEE! ’    EEEEEEEEE.|
_||._ | |     | |__|   EEEEEEE! ===    … .  …  |___
| |関西学院大学| | NEC |.| E EEEEEEE! EEE!   。。。。。。。 |KONAMI|
三三三三三三三三三|―――――――――――――― |三三三
三三三三三三三三三| 三塁への送球に御注意ください |三三三
三三三三三三三三三|_______________|三三三
三三三三三三三三三 /l  |                   |  |i三三三三
三三三三三三三三三/_|_|__________|_|,l三三三三

      ( ^ω^)ブーンが甲子園の魔物を狩りに行くようです

            第十八歩『悪女(ワル)』
11 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:32:17.08 ID:fe++e7ir0
「ブーン生還!VIPが一点先取!!」

( ^ω^)「ドンナモンジャーイwwwwwwwwwwww」

煙の中から男が登場。
マジックでも何でもなく、野球をしていたという事実に二人は固まった。

( -@∀@)「どうやら火事じゃなくて小火みたい……だったけど」

ξ゚听)ξ「野球をやっていたの……?どうやったら試合中に炎が出るのよ……」

ごもっともです。
野球試合中にホームが炎上なんて聞いた事ありません。

( -@∀@)「しかしVIP校……?野球部は無かったはずだが」

ξ゚听)ξ「……それより、あの面子を見てよ。
      マモノの半ケツ王子に捕手の流石弟者……“あの”渋澤もいるわ」

そして、と女は続ける。

ξ゚听)ξ「あの十字架に磔となっている男……」

とにかく遠くから眺めているだけじゃ真実を把握しきれない。
女は男を引っ張り、現場へ急行した。
13 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:34:01.46 ID:fe++e7ir0
  _
( ゚∀゚)「流石ブーン、俺達に出来ない事を平然とやってのける!そこに痺れる憧れるゥ!!」

( ≡)
('A`)「今ならお前に尻を差し出す覚悟はあるぜ!」

( ゚д゚ ) 「しかもまだワンアウト、ランナー ニ、三塁!」ニ(*'ω' *) 三【 ´_ゝ`】

児玉清「大事な大事な追加点のチャ〜ンス!」

(-_-)「嬉しいや……VIP野球部始まっての、初得点だ。
     あなたがもぎ取った一点だよ。ありがとう、ブーンさん」

空に花火があがり、サーカス団がパフォーマンスを始めた。
テーブルにはフランス料理のフルコース。ブーンは温泉に浸かっている。

ξ゚听)ξ「何やらお祭り状態みたいね……」

地面に書かれたスコアを見ると、まだ二回のようだ。
それにしてもホワイトボードの一つも無いのかと。サーカス雇う金で買えばいいのに。
16 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:36:31.57 ID:fe++e7ir0
ξ゚听)ξ「あの喜び方は最終回で逆転勝利でしょうよ……
      まだ二回表なのに、おめでたい奴ら」

( -@∀@)「出来たての野球部なんだろ……それにしても渋澤が落ち込んでいる。
      あのアホそうな奴らに打たれるとは落ちたな」

わざとらしくボリュームを上げた発言。
真っ先に反応したのは渋澤ではなく、21世紀のキリスト、ショボンだった。

(´・ω・`)「そのピラピラしたチェックのスカートはシベリア大学附属か。
       先輩に頼まれてスパイしに来たのか?」

ξ゚听)ξ「失敬ね、偶然という名の必然よ。
      それにしても……ちびっこの野球ゴッコにしちゃ錚々たる顔ぶれじゃない?」

( -@∀@)「『半ケツ王子』の民名浩二、『千里眼』の流石弟者、
       『孤高の銀狼』渋澤おいなりまで……今日はそういうイベントなのか?」

(;^ω^)「ちょwwwww個別に呼び名があるのかおwwwwwwww
       テラカッコヨスwwwwwwwwwwwwwwwwww」
18 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:37:44.76 ID:fe++e7ir0
ブーンの、自分にもカッチョイイ通り名を付けてくれという要求をスルーし、
二人の来訪者は十字架の中年に目を向けた。
無論、その目は穏やかなものではなく、何処か蔑んだ冷たい目だった。

どう思う?という男の問いに対して、女は静かに口を開く。

ξ゚听)ξ「20年前の夏の甲子園、それまで良くて一回戦敗退程度のマモノ高校が優勝した。
      シベリア、ラウンジの二強時代に下克上よ。
      当時は奇跡とかって、もてはやされたみたいだけど実はそうじゃない」
      
( -@∀@)「マモノ優勝の裏には、ある仕掛けがあった。
      決勝の相手、我等シベリアに裏切りのユダがいたのさ。
      これ以上、詳細を言う訳にはいかないが、そこの中年は『そいつ』に良く似ている」

ξ゚听)ξ「でも微妙なのよね……写真で見たアイツはもっとこう……強気な顔だったような」

( -@∀@)「うーむ、確かに眉毛はつr

眼鏡が吹き飛んだ。
いや別にメガネという物自体が飛んだわけではなく、ここでいう眼鏡は
その男を指しているというか、何かそんな感じ。
20 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:39:13.02 ID:fe++e7ir0
(´・ω・`)

加害者はイエス改めコーチ・ショボン。
十字架を自力で破壊し、男に鉄拳を浴びせた模様。
眼鏡小僧は鼻血を噴出しながら怒り狂う。

(;-@∀@)「な、殴ったね!親父にも殴られた事の無いお前が!!」

( ≡)
('A`)「それはおかしいだろ……東国原的に考えて……」

(´・ω・`)「次にその話題を僕の前でしたら、顔面に尻の穴増やすぞ」

(;-@∀@)「ヒィッ!」

( ^ω^)「日本語でおk」

緊迫したグラウンド。静まり返った不穏な空気。
試合続行というふいんき(ryでは無かった。

「くだんねーな」

その沈黙を破ったのは誇り高き王子だった。

( ゚д゚ )「高校野球の昔話なんてどうだっていい。大体お前らシベリアの生徒が、
     俺達の真剣勝負に水差してんじゃねーっつーんだよ。とっとと出てけ」

21 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:41:17.03 ID:fe++e7ir0
ξ゚听)ξ「それは失礼したわ。ところで見た所、どちらも九人九人のギリギリで、
      補欠もいないような状態じゃない。そのキャッチャーの子は大丈夫なの?」

タケシのへんじはない。どうやらもえつきたようだ。このグレーバッチをもっていけ。
テッテレー、テレテッテレー、テーレー、レ
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「タケシはもう駄目だ……俺の球を捕れるのはコイツしかいねぇし、
          八人じゃ真剣勝負にもならねぇ……悔しいが、ここまでか」

ξ゚听)ξ「ねぇ、私がキャッチャーやってもいい?」       

(;-@∀@)「バッ……何言ってるのさ津出さん!君は大会用のリーサルウェポン
       なんだから、こんな所で実力をばらしちゃ…………あべし!」

(#´・ω・`)「その薄汚ぇ口を開くなっつったろメガネ野郎!!
        ゆくゆくは勉三さんコンタクトバージョンみたいにしてやるぞコラァ!!」

(;-@∀@)「そ、そんな恐ろしい事が――――――!!」

ξ゚听)ξ(細々と自分の情報隠すよりは相手のピッチング、バッティングを肌で感じた方が、
      ずっと有意義だと思うけどね……九々キャプテンもきっと許してくれるし)

ライバル登場に合わせて、さり気なく伏線をベラベラと語らせ、
さり気なく試合に混ざる。なんと無駄のない構成!
23 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:43:17.31 ID:fe++e7ir0
( ^ω^)「女が男同士の戦いにしゃりしゃり出てくるなお。
       そもそもあんたみたいな華奢な身体にキャッチャーは無理だおぜ」

(-_-)(だおぜ……!?あ、新しい……!!)

ξ゚听)ξ「ご存知ないのかしら。高校野球連盟によるマモノ討伐制度は、
      高校野球界のパワーバランスを崩すマモノを倒すには男女を問わない、
      という事よ。男女平等の世の中で、女だけが懸賞金を貰えない訳ないじゃない」

(´<_` )「事実、最近は女部員も珍しくない程だからな。
       要するに俺らさえ潰せれば、ちんでもまんでもどっちだって構わないのさ」

太陽の照りが一層強くなってきた。
まだ四月だというのに、相当地球の温暖化が進んでいるようだ。

カリスマデビルX「オゾン僧侶死んだな」

渋澤は謎の女子高生、津出の試合参加を散々悩んだ末に承諾。
だが、信頼はしていない。強い球を投げるつもりも無い。
彼が信じているのはバックの子供達だけだ。
25 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:45:11.10 ID:fe++e7ir0
試合再開。
VIPの攻撃。ワンアウト、ニ・三塁で追加点のチャンスだ。

児玉清「ド真ん中を投げていただきたいっ!」

ξ゚听)ξ(渋澤の球が実際どれ程の物なのか、ここで把握しとかなきゃね)

ちなみに彼女は制服である。
座っちまったら、そりゃ見えるもんは見えますよ。はい。
だってほら、女子高生ですよ。一番そういうの過敏になる時期じゃないですか。
自分がよく使ってる駅とかなんて夕方になると、ものっそい女子高生が集結しますよ。
まぁ大体がケバい感じの茶髪でピアスなアマですけど、その中にやっぱいるんですね本物が。
美しい黒髪の清楚な娘がね。はい。はい。
手に持ってるのはチャラチャラした携帯じゃなくて、本ですよ本。はい。
あれね。もう、薄汚れた駅のホームで、唯一の良心だよね。はい。うん。
こう化粧の必要が無いっていうかね。はい。素顔のままが一番なんですね。
そんなん言ってもね。やっぱそういうのには男がいるよね大体。
もう昼間は清らかで純潔を装っているのに夜になると悪いオオカミさんの餌食にされているのね。
なんていうかそのGジェネレーションギャップがいいよね。
つまり何が言いたいのかというと、
俺の自転車のサドルにガム吐いたギャル死ね。
俺お前の真後ろにいたんだからな、その時に注意しなかった俺もチキンだが、
何でよりによってお前なんだよ。ヘソピアスの奴!ヘソピアスのブサ色黒!
最近メタボリックシンドロームの影が蠢いてる俺より脚太いじゃねーか。ガッデム。
どうせなら、そのもう一つ前にいた清楚な感じのお姉さんにガム吐いて貰いたかったわ。ボケ。
サドルネバネバで青りんごの香りだったよ。
27 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:48:15.39 ID:fe++e7ir0
児玉清「ぬん!!」

老いた肉体から繰り出される打球。
しかし、僅かに一塁線を切れてファールとなった。

ξ゚听)ξ「タイム!」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「何だ?」

ξ゚听)ξ「あんた私が捕れないと思ってるわけ?何よ今のヒョロヒョロ球」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「当然だ、この試合は俺が引っこ抜かれるか否かが懸かっている。
          つまり、このチームの存亡が懸かっているようなものだ。
          下手に後ろに逸らされちゃ困るんだよ」

ξ゚听)ξ「だったら尚更私を信じてよ。
      騙されたと思って、私に従ってみなさい」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「面倒な……」

ξ゚听)ξ(内角と外角をもっと使い分ければ……この手の初心者なんて……)

「スットルルァーイク!ベァッターウァウチッ!」

児玉清「残念!」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「…………………………………………………………………………」
30 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:51:04.79 ID:fe++e7ir0
(´・ω・`)「九番・ピッチャー、民名」

ξ゚听)ξ(問題はこいつね……マモノ……)

( ゚д゚ )「私は何時でも全力投球だ。それはバッティングも同じ、
     相手が全力で来るからこそ、私も最高の打球で返してやるまでさ」

(´・ω・`)「あーっと民名君引っ掛けた――――!ボテボテのピッチャーゴロです!」

「スリーアウト!チェンジ!」

( ゚д゚ )「俺……低目だけは苦手なんだ……」

民名はチームメイトの手によって、穴に埋められた。

31 : ◆R38CE/IWYU :2007/03/10(土) 21:54:12.86 ID:fe++e7ir0
( -@∀@)(津出・キャサリン・麗子……大リーガーの父を持つ、天才野球少女……
      野球に対する情熱と、一度始めた勝負は決して投げ出さない不屈の闘志の持ち主。
      しかし彼女は……)
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「あ、ありがとうよ……」

ξ#゚听)ξ「当然でしょ、糞馬鹿。あと私タバコ死ぬほど嫌いなの、
      とっとと消して!糞馬鹿糞人間!!」

( -@∀@)(彼女にはデレ成分が全く無い!!)

( ^ω^)(罵られてぇ……)

第十八歩『悪女(ワル)』か……漢だ

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