- 4
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:12:18.29 ID:CPAJziM40
- 甲子園――――――高校球児達が目指す夢の舞台
そこは夏の汗と涙と血が詰まった聖域、故に誰が支配する場所でも無い……
筈であった。
実況『強い!強い!圧倒的な強さ!!今年も甲子園を征服するのは
ニュー速県代表、マモノ高校だァ――――――――――――――!!!』
解説『一回で既に75点とは……毎度ながら甲子園決勝とは思えませんね』
歓声も無ければ野次も無い、観客も応援も誰一人席に座っていない。
もう結果など分かっているのだから。
- 5
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:15:04.83 ID:CPAJziM40
- 実況『ここでようやくスリーアウト、チェンジです。
しかし相手校の鎌瀬工業、すごい絶望的な顔をしています』』
解説『それはそうでしょう、地区大会の初戦から今の今まで完全試合を達成してきた
天才一年ピッチャー、半ケツ王子の「民名」君が相手なのですから』
( ゚д゚ )
( ・∀・)「さっさと片付けろよ民名」
(´<_` )「外野は寝てていいよな?」
ウグイス嬢『えーゲホゲホ、うぇ……鎌瀬高校一番センタ〜雑魚田君』
雑魚田「天才だか何だか知らんが、やれるもんならやってみやがれ!!」
( ゚д゚ )「目を瞑れ」
雑魚田「あ?」
( ゚д゚ )「今夜トイレに行けなくなるぞ」
実況『民名振り被って――――……第一球!』
- 6
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:16:28.59 ID:CPAJziM40
- , イ / ̄ ̄`ヽ, ト、
i !-/ ヘ.-ノ i
ヾ_l 〉__ j j __〈 l_ジ ’、′・ ’、.・”; ”
’、
_ | `-",':: `-" | ’、′ ’、 (;;ノ;; (′‘
・. ’、′”;
/´ ト _ イ ’、′・
( (´;^`⌒)∴⌒`.・ ” ; ’、′・
/' |ヽ `竺" /| 、 ’、 ’・ 、´⌒,;y'⌒(( ´;;;;;ノ、"'人
ヽ
,゙ / ) ノ `ー^ー" `ヽ、 、(⌒
;;;:;´'从 ;'>000;:;;) ;⌒ ;; :) )、 ヽ
|/_/ ヽ
( ´;`ヾ,;⌒)´ 从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・ ヽ
// 二二二7 __
ヽ ′‘: ;゜+° ′、:::::. ::: ´⌒(,ゞ、⌒)
;;:::)::ノ
/'´r -―一ァ"i '"´ .-‐
\ `:::、 ノ ...;:;_) ...::ノ
ソ ...::ノ
/ // 广¨´ /' /´ ̄`ヽ
⌒ヽ 『決まった――――!
ノ ' / ノ :::/ /
ヽ } 今年も優勝は……マモノ高校!!』
_/`丶 / ::i {:::...
イ
- 7
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:22:41.23 ID:CPAJziM40
- 888
888
888
に|
888|\_/ ̄ ̄\_/| __|_
888\_| ▼ ▼|_/ . に| ┌’‘┐
に|
=|| \ 皿 / ___|__|
:。。 |___|____
||. / \ | E EEEEEEE! ’
EEEEEEEEE.|
_||._ | | | |__| EEEEEEE! ===
… . … |___
| |関西学院大学| | NEC |.| E EEEEEEE! EEE! 。。。。。。。 |KONAMI|
三三三三三三三三三|――――――――――――――
|三三三
三三三三三三三三三| 三塁への送球に御注意ください |三三三
三三三三三三三三三|_______________|三三三
三三三三三三三三三 /l |
| |i三三三三
三三三三三三三三三/_|_|__________|_|,l三三三三
( ^ω^)ブーンが甲子園の魔物を狩りに行くようです
- 8
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:26:42.02 ID:CPAJziM40
- 空前絶後の夏の甲子園20大会連続優勝、
そのせいもあって年々甲子園はマンネリ気味となっていた。
これではイカンと踏んだ野球連盟のお偉い人は
マモノ高校に3000万円の賞金を懸けたのである。
それにより高校野球界は再び燃え上がる。
今年こそはマモノをぶっ潰してやろうと、全国からの猛者が揃って
甲子園を目指す事になった。
そう、甲子園という舞台で魔物を殺すために。
これは戦争である。
- 10
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:29:28.43 ID:CPAJziM40
- ニュー速県立VIP高等学校
(-_-)「……野球部ないんだ、この学校……」
入学式を終えた、新入生の匹小森まことは絶望した。
高校では必ず野球部に入って、地区大会でマモノを潰し、
自分が甲子園に行くという夢が、ボールも触れないまま終わってしまった。
しかし、それくらいでは挫けないのが今の高校生。
(-_-)「校長先生、僕どうしても野球がしたいんです!!」
( <●><●>)「では一週間以内に部員を九人集m(ry
(-_-)「うはwwwwwwおkwwwwwww」
- 12
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:33:22.21 ID:CPAJziM40
- とは言ったもののどうするか。
彼は母親の腹を裂いて誕生してから友達というモノを知らずに育った。
そんなロデオボーイがどうやって九人も仲間を集めるか、
それ以前に九人に話し掛ける事が出来るか、雲行きは怪しくなってきた。
(-_-)(当たり前だけど二、三年生は駄目だ……
やっぱり新一年生をスカウトしないと……うーむ……)
そんな匹小森が腕を組んで考え込んでいる場所は便所。
そう、時間は昼時である。
この方程式を解くと、彼は入学初日から便所飯という事になる。
(-_-)「和式とは……トコトンふざけた学校だ、
洋式じゃないとテーブルの代わりになる物が無いじゃないか」
青春の微塵も感じられない台詞。
そんな愚痴を零しながら、弁当箱にギッシリ詰まったカレーを頬張る匹小森であった。
- 13
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:37:23.97 ID:CPAJziM40
- (-_-)「さて、食事も済ませたし出るか……」
と、ドアを開いた次の瞬間!
o-o、
('A`)「あっ……」
匹小森は硬直した。
自分が目の前に居る。
自分と同じ様に便所に弁当を持って来ている人ガイル。
(-_-)「あ、あっ……ここ……僕の領域(テリトリー)なんで……」
o-o、
('A`)「こ、こちらこそ悪かった。じゃあ俺は隣りの便所で」
頭にグラサンを乗せた男は隣りの個室のドアを開いた。
(;´_ゝ`)「あ……は、入ってます」
o-o、
('A`)「…………ごめんなさい」
その又隣りにも人が居た。
カレーパン片手にノートパソコンを弄っている。
- 15
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:41:16.88 ID:CPAJziM40
- o-o、
('A`)
( ´_ゝ`)
(-_-)
すんごく気まずい空気が三人の周りを漂う。
こればかりはブルーレット奥田家も意味を成さない。
o-o、
('A`)(この空気はキツイな……トップアイドルを目指す俺として
こんなところで嘗められてはいけない!!)
(-_-)(クッ……これから部員を集めようってのに、
その張本人が便所飯ってのは……イメージを取り戻さないと!)
- 16
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:45:37.84 ID:CPAJziM40
- (;´_ゝ`)「お、お二人さんはココで弁当ですかい?」
o-o、
('A`)「(先に言われた!)いやぁ……新入生として
その学校のトイレってのは知っておくべきだろう?
昼食だから手を洗うついでに個室の中も見ておいたのさ、アンタは?」
(;-_-)「いやぁ……僕も同じ考えだけど」
( ´_ゝ`)「んー?口元にカレーついてんぞ?」
(-_-)「……………………うんこだよ」
苦しい弁解だった。
便だけに。
- 18
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:50:58.59 ID:CPAJziM40
- ここでグラサンの男が長身の男の方を向いて指差す。
o-o、
('A`)9m「あ、あんたテレビで見た事あんぞ!!」
( ´_ゝ`)「はいはい、それは俺の弟ですよーだ。
双子の弟はマモノ高校野球部のレギュラーだからな」
o-o、
('A`)「あー、夏の甲子園で!て、こたぁアンタ新入生じゃないの?」
( ´_ゝ`)「二年生なんだぜ?」
(-_-)「敬語使いたくねぇ……」
(#´_ゝ`)「なっ、なんだと!!」
長身の男が匹小森に殴りかかろうとした瞬間――――
「おまえらうるせぇお」
――――――――――――天の声
- 22
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:54:05.95 ID:CPAJziM40
- (;´_ゝ`)「こ、この独特の口調……間違いない、便所の主だ!!」
o-o、
('A`)(-_-)「便所の主?」
説明しよう、便所の主とはこのVIP校の一階男子便所で飯を食ってる男子生徒という
噂が立っている、トイレの守り神の事だ。
しかしその伝説は五年以上も語り継がれているため、本当に我が校の生徒なのか
という疑問が後を絶たないのだ。
(;´_ゝ`)「声を聞いたのは初めてだ、いるんだろう!?
出て来てください便所の主様ァ――――――!!」
ガタッ
(-_-)「――――!そこだ、壊れてて使用禁止の個室ッ!!」
匹小森が指差した、その扉がゆっくりと開く……
川 ^ω^)ノシ「おいすー」
髪はボサボサ、服はボロボロの制服を着ている男が現れた。
o-o、
('A`)(-_-)( ´_ゝ`)『トイレの主――――――!!!』
- 26
名前:新水 :2007/01/06(土) 01:58:55.66 ID:CPAJziM40
- 川^ω^)「お前ら近年稀に見る五月蝿さだお。
トイレでは静かにって父ちゃんと母ちゃんに習わなかったかお!?」
o-o、
('A`)「失礼ですがおいくつですか?」
川 ^ω^)「ピチピチの23です」
o-o、
('A`)(-_-)( ´_ゝ`)『何浪してんだ――――――!!!』
三人の的確なツッコミに、主はこう答えた。
川 ^ω^)「単位とか出席日数とかより……僕はこの便所生活に
慣れすぎてしまったんだお、今やここが僕の家だお!!」
この男は一生卒業せずに、ここで生活するようだ。
言われてみれば小さい個室だが、テレビ、パソコン、冷蔵庫と
必要最低限の電化製品が置いてある、というよりねじこんである。
- 28
名前:豊水 :2007/01/06(土) 02:02:40.52 ID:CPAJziM40
- (-_-)「あれ……そのテレビに映ってるの去年の夏の甲子園だ」
(#´_ゝ`)「ゲ……ホントだ、忌々しい我が弟が映ってる。
一年のクセにレギュラーとは、マモノも人手不足なんじゃね?」
(-_-)「違う、あそこの野球部は完全実力主義だよ。
弟さんは相当な実力を持ってるって事だよ……」
実況『ここでようやくスリーアウト、チェンジです。
しかし相手校の鎌瀬工業、すごい絶望的な顔をしています』』
解説『それはそうでしょう、地区大会の初戦から今の今まで完全試合を達成してきた
天才一年ピッチャー、半ケツ王子の「民名」君が相手なのですから』
- 29
名前:豊水 :2007/01/06(土) 02:06:48.54 ID:CPAJziM40
- o-o、
('A`)「あー、あの半ケツ王子か……ティッシュで尻汗を拭うので
火がついたってヤツ……どう考えてもおかしいよな」
(-_-)「主さんは、何故このビデオを見てたんです?」
川 ^ω^)「……野球がしたいんだお」
(-_-)「……!!」
川 ^ω^)「ここだけの話……僕はずっと待ってるんだお、
この学校に野球部が出来るのを、ずっとずっと……」
『ショー……ヘーイ……ヘ――――――――イ!!』
チャイムが鳴ったが三人は動かずに主の話を聞く。
- 31
名前:VIP皇帝 :2007/01/06(土) 02:12:28.55 ID:CPAJziM40
- 川 ^ω^)「いつか……あのマモノを倒して、甲子園に行って……」
(-_-)「“いつか”じゃありません!!」
川 ^ω^)「お?」
(-_-)「やるなら今からです。今から野球部を作って、マモノを倒して、
甲子園行って戦って……そして堂々と卒業すればいいじゃないですか!!」
( ´_ゝ`)「面白そうな話だな、マモノを倒せば兄の威厳も取り戻せるし
懸賞金3000万だっけか?アレもいただきで願ったり叶ったりだな」
川 ^ω^)「お……おぉ――!?
な、なんか一気にサクセスストーリーが展開されていくお!!」
(-_-)「凄い、もう部員が四人も……」
o-o、
('A`)「四人……?」
- 33
名前:豊水 :2007/01/06(土) 02:16:02.20 ID:CPAJziM40
- 川 ^ω^)1 ( ´_ゝ`)2 (-_-)3
↓4
o-o、
('A`)「ちょwwwwww俺はパスだぜwwwwwwwwww」
川#^ω^)「何でだお、グラサン!
僕ら小学生のスニーカーの臭いを分かち合った仲じゃないかお!」
o-o、
('A`)「何それwwwwwとにかく俺はな、野球なんてダッサいスポーツは
死んでもやらないの。じゃあ俺もう行くわ、お前ら授業遅れんぞ」
川#^ω^)「グラサ――――――――ン!!」
グラサンの男が退出しました。
( ´_ゝ`)「俺はやるからな。じゃ、また放課後ここで」
長身の男が退出しました。
(-_-)「(野球はダサくない……)僕ももう行くね、主さん」
川 ^ω^)「主じゃなくて内藤ホライゾン、略してブーンだお」
(-_-)「分かった、またねブーンさん」
青ざめた男が退出しました。
- 34
名前:豊水 :2007/01/06(土) 02:22:48.99 ID:CPAJziM40
- 川 ^ω^)「……さて、僕も今日から高校球児だお!」
ビデオを止め、テレビの電源を切った。
ブーン自身は気づいていなかったが、停止した場面は丁度
ピッチャーの民名が振り被った瞬間だった。
その球を打つのは、この学校の誰かかもしれないという暗示か。
はたまた偶然か。
多分偶然だ。
川 ^ω^)「さーて、頭でもボーズにするか」
夏のドラマは……今始まったのだ。
第一歩『ゴールデンボール』完
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