- 1
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:39:42.75 ID:ShTM8SSI0
- この小さな子供と、あたしを残して。
( ^ω^)
アイツは家を出て行った。
ξ゚听)ξが子供を育てるようです
- 2
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:45:08.18 ID:ShTM8SSI0
あたしはツン。
世間で言うところのシングルマザーだ。
最悪のそれは数ヶ月前おきた。
( ^ω^)「本当に・・・本当にごめんお!!」
ξ )ξ「もういいわよ・・・いいから早く出てってよ・・・」
( ;^ω^)「ツンが嫌なわけじゃないんだお!ただ僕が・・・」
ξ;;)ξ「いいから!早く出てってって言ってんでしょ!!」
('A`)「全く・・・女の癇癪ってこれだから怖いわ・・・ブーンさぁんww早く行きましょww」
( ;^ω^)「お・・・。ツン・・・。」
ξ )ξ「・・・さよなら」
- 3
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:45:50.30 ID:ShTM8SSI0
こんなことって現実に起こるのだろうか。
アイツはあんなにあたしに愛してるって、好きだって言ったのに。
この子だって、あたしとアイツの愛の結晶・・・のはずなのに。
それをあんな・・・あんなオカマに・・・!
(´;ω;`)「おぎゃーーー」
ξ;゚听)ξ「あ、ごごごめんね!」
あたしはあわてて息子のショボンをあやす。
なにやってるんだろ、子供に八つ当たりなんて・・・。
数ヶ月前ならあんなやつ居なくたってとか言って二人で生きていく気満々だったのに。
ξ )ξ「あたし・・・もう疲れちゃったよ・・・ブーン。」
狭い部屋の中にはぐずる子供の声だけが響いていた。
ほら、この子も泣いてるじゃないもう生きてるのがいやだって。
そうだね、ママと一緒にいこうか。
- 6
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:47:24.67 ID:ShTM8SSI0
こんな世界、やめちゃおっか。
脳裏に浮かんだのは、ガス栓。
不注意で開けっ放しにしてしまった、そういうことにすればいい。
そしたらもう、こんなに悲しくないよね、楽になれるよね。
私の手は、自然と台所のガスコンロにのびてい
( ゚∀゚)「どーもー!毎度おなじみあなたのジョルジュです!」
ξ゚听)ξ「・・・」
時が止まるというのはこういうことなのか。
開いた口は塞がらないし身動きも取れない。
何も、ショボンの泣き声すら聞こえない。
わかるのは瞳が羽根の生えた気持ち悪いのが浮いているのを捕らえたということだ。
- 8
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:48:23.35 ID:ShTM8SSI0
( ゚∀゚)「あれ?行き成りの登場で驚いちゃってる口かな?」
ξ;゚听)ξ「は?え?何!?」
( ゚∀゚)「じゃぁ改めて自己紹介を・・・私ジョルj・・・」
ξ;゚听)ξ「この虫キモいーーーー!!!」
( ゚∀゚)「あqwsでrftgyふじこlp;@」
思いっきり叩き落とすと全ての感覚が戻った。
部屋は先ほどまでの空間に戻った。
ただし謎の虫が飛んでいき中身が散乱してしまったゴミ箱以外。
- 11
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:49:44.83 ID:ShTM8SSI0
( ゚∀゚)「たしかにね、私も行き成り声かけて驚かせちゃったかな、とは思いますよ。でも暴力はいけないと思うんです。」
ゴミ箱を元に戻そうとショボンをベビーベッドに寝かせゴミ箱に近づくと、のそのそと先ほどの虫が這い出てきた。
叩き潰そうかと思ったが普通の虫よりもグロいことになりそうだからやめた。
見なかったことにすればどうにかなるのではと思ったが、あまりにしつこく話しかけてくるので一応話だけ聞くことにした。
( ゚∀゚)「それに私を虫呼ばわり・・・私はせっかくあなたを助けるためにやってきたのに!」
それまで適当に話を聞いていたあたしは、助けると言う単語に異様に反応してしまった。
ξ゚听)ξ「アンタ・・・なんなの?」
( ゚∀゚)「ですから私はジョルジュ長岡。あなたを3回だけ、お助けするためにやってきた妖精です。」
通常では信じられないことでも、そのときのあたしはすぐに受け入れてしまった、この虫が妖精であることは別として。
世の中もう何が起こるかなんてわからないのだ。
ξ゚听)ξ「わかった。そのはなしkwskおねがい。」
- 13
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:50:28.97 ID:ShTM8SSI0
謎の虫、もといジョルジュが言うには本当に困ったとき、呪文を唱えれば3回その状況から助けてくれるのだという。
だれがターゲットということはなく、私を助けに来たのはただの偶然らしい。
ξ゚听)ξ「で、その呪文って言うのは?」
( ゚∀゚)「はい、一度しか言いませんよ、よく聞いてください・・・。」
ξ゚听)ξ「ゴクリ・・・」
( ゚∀゚)o彡「タスケテトテチテトッテッテ☆」
ξ#゚听)ξ「・・・。」
( ;゚∀゚)「痛い痛いいたい!さすがに丸パクリはダメですよね!反省してます!」
- 19
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:52:28.64 ID:ShTM8SSI0
あくまで軽めに羽根を引っぱるとジョルジュはすぐさま猛烈に謝罪し始めた。
離してやると意味があるのかは知らないが羽根をさすりながらため息をつく。
だがまぁ今の様子なら呪文は予測できる。
ξ゚听)ξ「今ので大体把握したわ、呪文はタスケテケs」
( ゚∀゚)「ああー!カウントされちゃいますよ!!」
ξ゚听)ξ「う・・・、危なかったわ・・・。」
( ゚∀゚)「全く・・・三回だけなんだから大切に使ってくださいよ?」
一つウィンクをして見せるが、正直感想はキモいだった。
そして最後にジョルジュは本当に困ったとき、だけですからね!とつぶやき溶ける様に消えてい・・・
くことはなかった。
普通にうちに居座ることに決め込んだらしい。
しかもしっかり食事もいただくつもりだ。
- 20
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:53:08.84 ID:ShTM8SSI0
ξ゚听)ξ「ちょっと、妖精なら夢とか希望とか食べてなさいよ!」
( ゚∀゚)「夢や希望で生きていける分けないでしょ、世の中金ですよ、金。」
夢ですら金で買う時代になにをメンヘラなことを・・・とつぶやくその存在自体がメルヘンだというのに。
そして何より悪いことにショボンはジョルジュが気に入ったらしく、おもちゃとして遊ぶようになってしまっている。
奇怪な生物と、あたしとショボンの生活はそうして始まった。
- 22
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:54:01.29 ID:ShTM8SSI0
- ※タスケテケスタの効果が元と少し違うのはご勘弁。
ξ゚听)ξ「ちょっとショボン!それは毒物よ!口に含んじゃダメ!」
( ゚∀゚)「ちょ、ツンさん私の心配はww」
(´・ω・`)「オエロロロロ」
ξ;゚听)ξ「ぎゃーーー!」
案の定口から粘液と共にジョルジュを吐き出したショボン。
あたしは混乱しながらもショボンが喉にものをつまらせないように対処する。
( ゚∀゚)「ちょwwまじww体がすっぱいww」
- 24
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:55:08.12 ID:ShTM8SSI0
あれからとりあえず色々考えた。
困ったこと、ってなんだろう。
ブーンがいないこと?子育てが大変だってこと?頼れる身内がいないこと?
でも良く考えたら、なんだの一言で終わることばかりだった。
もちろん未だに子育ては大変だし頼れる身内なんて居ない。
正直、ブーンに未練もある。
それでも不思議なのだ。
ジョルジュが来てからと言うもの、前みたいに明るい声や言葉を発する機会が増えた気がする。
泣いてばかりいると思っていたショボンも最近はとても元気で笑顔が絶えない様だ。
- 27
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:55:33.34 ID:ShTM8SSI0
( ゚∀゚)「ツンさん、やばかったらいつでも呪文唱えてくれておkですよ」
ξ;゚听)ξ「大丈夫・・・これくらいは自分でやれるわ・・・」
困ったことが突然出てくるわけではない、とは言え簡単に呪文を唱えてしまうのはもったいない。
落ち着いてきたショボンの洋服をかえ、カーペットの汚れを拭く。
ついでにジョルジュも濡れた布巾でふいてやる。
部屋がこれ以上汚れるのがいやだから、それだけだ。
- 28
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:56:35.30 ID:ShTM8SSI0
ξ゚听)ξ「さてそろそろ夕ご飯・・・あ、そうだ」
唐突に思い出したあたしは玄関を指差す。
ξ゚听)ξ「ちょっと、体拭いてやったんだからごみ捨ててきて」
そこには燃えるごみの袋がふたつ。
出しそびれた前回の分も入っている。
( ゚∀゚)「いや、それこそこれくらいは自分でやれるわ、でしょうが・・・さすがの私もそれに呪文使うのはもったいないと思いますよ」
その一言にあたしはふふん、と鼻で笑った。
- 31
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:57:14.02 ID:ShTM8SSI0
ξ゚ー゚)ξ「これはお助けじゃなく、命令よ。ただ飯食べてんだからそれくらいはしなさい」
( ゚∀゚)「いえいえ、今日のその努力が明日の為にですね・・・」
ξ゚ー゚)ξ「ふーん・・・ww」
( ;゚∀゚)「ツンさんその右手の刃物をどうか下ろして!何なりとご命令ください!!」
ξ゚ー゚)ξ「そう言ってくれるとおもったわ、じゃ行ってらっしゃいww」
ふらふらと荷物を持ち上げたジョルジュをショボンと二人で見送り、あたしは夕飯を作り始める。
今日のメニューは肉じゃが、ショボンには薄めて食べやすく小さくして与えればいい。
あたしが、一番最初に練習した料理。
ξ゚听)ξ「ふぅ、感傷になんか浸ってられないわ。ショボンを飽きさせちゃダメだし」
- 35
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:58:11.55 ID:ShTM8SSI0
あたしは軽快に包丁を鳴らす。
自分でも感心するくらい上達したものだ。
(´・ω・`)「マーマー」
ξ゚听)ξ「ちょっと待っててね、もうすぐジョルジュが帰ってくると思うから・・・」
平和だ、そう感じていた。
でもあたしは忘れていた。
平和ボケしたときこそ危険だということ。
包丁をまな板の上に置き、ジャガイモを水に浸す。
べたつく手を洗い、まな板を洗い場に移そうと横を見たとき。
ξ゚听)ξ「え」
調理台からはみ出たまな板につかまり、ショボンが立ち上がろうとしていた。
ξ;゚听)ξ「やめなさいっ!」
- 36
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:58:54.12 ID:ShTM8SSI0
そこからスローモーションに見えた。
まな板は斜めになり上においていた包丁がゆっくりと刃先の向きを変えながら滑り落ちていく。
手を伸ばす、でも届かない。
嘘嘘嘘嘘嘘嘘!
ショボンとそのすぐ回り以外の光景が真白に変わっていく。
――本当に困ったとき――
考える、より口が動く。
ξ )ξ「 タスケテケスタ!!!! 」
視界がついに、真白になった。
- 37
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:59:21.84 ID:ShTM8SSI0
( ゚∀゚)「というわけで毎度おなじみジョルジュ長岡です。」
ξ゚听)ξ「別に毎度おなじみじゃないわよ。」
周りの景色をようやく把握できるようになったとき、目に写ったのは包丁が突き刺さったジョルジュの姿だった。
言葉が出ない。
妖精だからなのか、血こそでては居なかったが、ぎりぎり貫通していないとは言え、深々とその胸に刃物が突き刺さっている。
ゆっくりジョルジュがこちらを振り返る、それと同時に床に包丁が落下した。
いつの間に移動したのか、ショボンは台所ではなくカーペットの上に居た。
( ゚∀゚)「・・・。」
ξ゚听)ξ「・・・。」
( ゚∀゚)「なんじゃこりゃぁ!!!」
ξ゚听)ξ
ξ゚听 )ξ
- 40
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/11(木) 21:59:52.36 ID:ShTM8SSI0
そう、あれほどの傷にもかかわらずジョルジュは平気だった。
呪文の効果ですww等説明を受けたが、全く理解できなかった。
かけよって胸を調べても、先ほどまでは確かにあったはずの傷跡すら見つけることはできなかった。
(´・ω・`)「ジョージューww」
( ゚∀゚)「あ〜はいはい、今行きますよ〜。」
ξ゚听)ξ「あ、肉じゃが・・・作らないと・・・」
本当に、何事もなかったかのような晩御飯時。
あたしはついに身をもって呪文の効果とやらを体験してしまった。
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