2 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:10:56.68 ID:8l9i6YLR0



('A`)と( ^ω^)は異世界で絆と出会うようです




    04「激突する意思」







3 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:11:29.11 ID:8l9i6YLR0

  ヒルトの本国は山脈の隙間に建造された巨大都市である。
 そんな付近には、小さな集落などが幾つも存在し、それは山の麓にも存在する。
防衛の陣は、内の一つである国間を繋ぐ街道沿いの集落に作られた。

 だが、それより数日の間、生活圏の確保や物資の搬入などに時間を取られ、
現状では人がただ集まっている状態にすぎず、陣と呼ぶには程遠いものだった。

从 ゚∀从「そうは言ってもなぁ、これ以上は無理なんじゃないか?」

( - -)「元々、それほど豊かな土地でもないからね」

<_プー゚)フ「えー、出店やら何やらあんだけ賑わってたのに?」

 特に問題となったのが、食料の確保にあった。
ただでさえ雪が多い気候のこの地では、どうしても食料には制限がある。

从 ゚∀从「しかし……ここは本当に肉ばっかだなぁ、いつか成人病になるよ」

<_プー゚)フ「いいじゃん肉、好きだよ肉、こないだのアレうまかったなぁ、何たらぎー」

( 凸)「ギンギー?」

<_プー゚)フ「ああ、それそれ」
5 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:13:49.46 ID:8l9i6YLR0
 _、_
( ,_ノ` )「俺らの所じゃ魚が多かったからなぁ」

(;- -)「SAKANA……あの珍味! その身すべてが生でも食えるという…!」

(;凸)「いやいやいや!」

ノパー゚)「あら、そうなの?」

('、`*川「ええ、川は多いのだけど…陸生の生き物は、日照りが多いあの地では育ちにくいから」
 _、_
( ,_ノ` )「しかもその天気も不安定でなぁ、そういやぁ、大将のとこはどうだったんだい」

ξ--)ξ「湖鏡か……まあ、穀物から肉類まであるにはあった、だが収穫量は最悪だった、
     おかげで貧富の差が大きく、満足に食えない人間が町に溢れていたよ」

<_プー゚)フ「ふーん……でもまあ、大将には関係なかったんだろ?」

ξ--)ξ「…………さあな」

<_フ;゚ー゚)フ「ん?」

  特有の生物がおおく生息することや、広大な土地を利用した牧畜などもあり、
 貧困という訳ではないが、有り余るほどに豊かな国でもない、それがヒルトという国だった。
それが交易をあまり行わない理由の一つでもあったが、何にせよ。

エッダからの難民含め、この場に居る全ての人間へ満足に行き渡るかと言えば、そうでもないのが現状だった。

8 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:16:21.57 ID:8l9i6YLR0

(´・ω・`)「食べ物の話はついつい盛り上がっちゃうのは分かるけど、そろそろ本題に戻りません?」

<_プー゚)フ「そうだった、結局どうすんのさ? 腹が減っては戦はできないんだぜ?」

( - -)「と言ってもねぇ……まあ、水は雪でも取ってきて茹でればいいと思うけど」

ノパ -゚)「狩ってくるのも構わないけど、それに加えるとなると……どのみち限界があるわね」

川д川「話は聞かせてもらった、わしにいい考えがある!!」

(´・ω・`)「あれ、村長さんいつの間に……」

川*д川「シャキン様がお困りとあらば、今の間に」

( 、  川「……」

(;´・ω・`)「……あの、村長さん、もうちょっと離れて」

( - -)「あ、幼女だ」

川#д川「誰が幼女じゃ!!」

ノパー゚)「エッダの方ね、聞かせて貰えるかしら?」

川д川「うむ、実はの……」

11 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:18:21.98 ID:8l9i6YLR0

しかし、その問題も今は亡き国、豊穣の地エッダの人間からの情報により、解決の兆しを見ることになった。

 エッダという国は、豊穣の地と称されるように水と自然に恵まれ、
シャキンという人物が伝えた農業の発展もあり、食料は豊富に存在した。

そして、村は廃墟と化したが、まだ各地には貯蔵庫があり、既に搬入の手配まで行われていると言う。

ノパー゚)「あら、それなら言ってくれれば協力しましたのに」

川д川「もう協力してもらっとるぞ」

ノハ;゚ー゚)「え?」

川д川「いや、腹へったー腹へったーとあまりにうるさいから少し話をしたんじゃが……」


13 :イメージ映像 ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:20:43.05 ID:8l9i6YLR0

 『エッダに貯蔵庫があって食料が蓄えられてる件』

1 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 07:52:06.55 ID:lj8d3XKd0
 マジであるらしい、しかも全部くれるって話、ソースは↓
http://otona.yomiuri.co.jp/life/photo/ecolife/090319_01.jpg
2 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 07:55:56.35 ID:9n/QJBdA0
 マジで!? マジで!?

24 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 07:58:43.23 ID:35PNvgpCO
 やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

52 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:09:01.31 ID:tI1Mk6okO
 キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚Д゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!

92 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:23:52.55 ID:f1Gt31J/0
 行くしかない!! いや、行かせてください!!

103 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:29:06.34 ID:phX6aEL30
 おい、力ありそうな奴呼んでこいwwwwwwwwwww

183:雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:40:45.21 ID:U3fwipHQ0
 話は聞かせてもらった!!

194 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:42:32.17 ID:Q4t59mqkO
 流れはえぇwwwwwwお前らどんだけ腹減らしてんだよwwwwwwwwwwwww

17 :イメージ映像2 ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:23:41.07 ID:8l9i6YLR0
210 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:44:51.47 ID:hjsksf650
 この流れなら言える!!                ヒートは俺の嫁

225 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:45:38.42 ID:QVUTJX3jO
 >>210 様をつけろこのデコスケ野朗!!!

243 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:46:19.26 ID:3BDeeJXwO
 >>210 氏ね

289 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:50:00.29 ID:oYmp4hAuO
 飯が腹いっぱい食えると聞いて来ました

300 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:52:47.04 ID:oU+Mlq/nO
 >>278 おめえの分ねぇから!!

321 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:56:38.52 ID:7tExf1880
 >>300 orz

368 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 08:59:12.13 ID:oYmp4hAuO
 ヒート女王マジ天使スレから(ry 俺も手を貸すぜ! あと>>210は死ねばいいと思う

394 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 09:10:37.49 ID:xheota45O
 今沖田産業!

420 :研究所作業員:2010/08/20(金) 09:30:22.22 ID:/99SSBuZ0
 こちらスネーク、例の高岡博士が作ってる船の持ち出しに成功した

421 :雪国の名無しさん:2010/08/20(金) 09:31:19.02 ID:EVEwk6RA0
 >>404 GJ!!
19 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:27:15.15 ID:8l9i6YLR0

川*д川「いやそれはもう統率された動きじゃったよ、きっと指導者が良いのじゃな」

ノハ;´ー`)「………えぇ……どうも…」

从;゚∀从「うおおおおおおぃ!!??? ちょっと待って!? 聞き捨てならないの混じってたぞ!?」

(´・ω・`)「でも、まだ無事なのかな……かなり酷い事になってたけど」

川д川「大丈夫じゃ、こないだのシャキン様の話を聞いて確信したからのぅ」

<_プー゚)フ「おお、じゃあ米が食える!?」

(;- -)「OKOME……! 伝説の黄金の稲穂…! 炊き立てが一番うまいと言う……!」

(;凸)「いや…うん、うん?」

川д川「ああ、それからのぅ、さっきハイン宛てに荷物が届いておるよ」

从 ゚∀从「ん? 俺宛て? なんだ?」

川д川「よく分からんが、とにかく無駄にでかい物なんじゃが、確認してもらえるかの」

从;゚∀从「でかいの…? まさか……」

21 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:29:43.36 ID:8l9i6YLR0

  こうして、食糧難やその他をどうにか乗り越える事はできた。
 しかし無常にも時は流れ、落ち着くまでには半月もの時間を要する事になってしまう、
その折、ロマネスク配下の軍勢が既に進軍を開始しているという情報が届いた。

从 ゚ -从「…いよいよ、か」

届けられたのは、大量の串と名付けられた鉱石、弟者からの贈り物だった。

 早速ヒルト本国に戻り、珠の大量確保にともない最後の仕上げを行うハインリッヒの下へも、その報せは訪れた。
しばしの間があってから、やがて現れた人影を見つけると、何かを決意するかのようにその人物を見据えた。

「ほー、こりゃ凄いじゃないか……ん?」

从 ゚ -从「……母者」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「何だい、神妙な顔して」

从 ゚∀从「……ルファウスの奴らが、じき、ここに来る」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「そうかい、それで?」

从 ゚∀从「……力を、貸して欲しい」



22 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:32:53.42 ID:8l9i6YLR0

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「やれやれ……断ると言った筈だけどねぇ」

从;゚∀从「それでも……お願いだよ」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「アンタ、それは…………姉者として、言ってるのかい?」

从; ∀从「……!! ち、違う!!」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「まあ当然か、二度も名を棄てたアンタが言えた事じゃない」

从 -从「………」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「…言ったろう、アタシはね、戦争の類には介入しないと決めてるんだよ」

从;゚∀从「でも……このままじゃ兄者や弟者だって…それに妹者も…!!」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「……確かにこの国は気に入ってるし、色んな方面に気になる輩も居る……
     でもね、戦争に加担する、それだけは出来ない相談だ」
26 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:35:56.38 ID:8l9i6YLR0

从;゚∀从「どうして!!」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「アタシみたいな時代に乗り遅れた亡霊はね、表舞台に上がっちゃいけないんだよ、
     あの神気取りが良い例であるように、行き過ぎた力は世の均衡を壊すものだ」

从;゚∀从「なら……せめて教えてくれ、その神気取り……ロマネスクっていうのは、何なんだ?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「………」

从;゚∀从「知ってるんだろ? あいつは何なんだ? 一体、何が狙いでこんな事を…!」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「――――心折れた、理想主義者の成れの果て」

从;゚∀从「…え?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「………ただの、力に溺れた大馬鹿野郎さ、それ以上を考える必要はないよ」

29 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:38:46.24 ID:8l9i6YLR0

从 ゚∀从「…………知る必要も、ないと?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「そういうこったね、とにかくアタシは見届けさせてもらうよ」

 そう言う母者の瞳は、どこか遠い景色を眺めるようで、どこか哀しい何かを見るようで、
ハインはそれ以上追及する事ができず、何も言えずに立ちすくんでいた。

場所は変わり、ヒルトの街道沿いの集落。

 敵襲の報を受けたショボン達は、その迎撃のために再度集合し、
これからすべき事を定めるための話し合いを始めていた。

(´・ω・`)「――――という訳で、こっちから迎えに行く感じで」

( - -)「うん、異論はないよ」
 _、_
( ,_ノ` )「……じゃあ、マジで前の時みてぇに作戦とかは無しかい?」

(´・ω・`)「まあ考えがない訳じゃないですけど……それ、聞きたいですか?」

ノパー゚)「不要ね」

「そうだそうだ!」

即答だった。
32 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:41:25.61 ID:8l9i6YLR0

 そんな彼女の言葉に、ショボンは「ほら」と言わんばかりに見回し、
聞き耳を立てていた周囲の人間たちも、同意を示すように頷き、あるいは野次を飛ばしていた。

<_フ;゚ー゚)フ「おいおい…真っ向勝負がいいって? どうかしてるぜ、戦力差どんだけだと思ってんだ」

( - -)「仮に向こうがこっちの倍は居たとしても、一人が二人倒せば同じ事だよ」

「そうだそうだ! 三人倒せば三倍だ!!」

「三倍だーー!!」

<_フ;゚д゚)フ「何その無茶な計算……本気かよ、いいのかよ」

(´・ω・`)「よくはないけどね……どの道、この状況下において、そういう戦略ってのは意味を成せないんですよ」

('、`*川「成せない、って……どういう事?」

(´・ω・`)「理由はいろいろあるけど、一番大きいのは規模かな」

  戦術というものは、まず一つの統制によってのみ可能な物。
 しかし、現状あるのは寄せ集めによる部隊、思想は同じでも意思統一には至っていない。
準備に当てる筈だった期間も、殆どが戦闘以外のことに時間を費やしてしまったのも大きい。

34 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:45:05.23 ID:8l9i6YLR0

 そんな状況で行動の支持を出したところで、混乱が起きるのは目に見えていた。
特に自我の強いヒルトと言う国色も、それを手伝っている。

「俺は誰にも従わないぜ! ビバフリーダム!」

「イエエエエエ!!!」

部隊を分けようにも、リーダーとなる物が居ないのでは尚のことだ。

<_フ;゚ー゚)フ「厄介な連中だなぁ…」

ξ゚ー゚)ξ「一騎当千の気構えという奴か、面白い」
 _、_
( ,_ノ` )「まあ、シンプルでいいかもしれんな」

<_フ;'д`)フ「うへぇ……今度ばかりは死ぬかも……」

(´・ω・`)「でも、戦力の分散だけはしっかりしましょうか」

ξ゚听)ξ「そうだな、管理者の相手は極力……いや、確実に私たちがせねば」

ノパ -゚)「そうね……向こうの出方次第なのが気がかりだけど」

(´・ω・`)「向こうも分散してきますよ、間違いなく」

38 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:50:56.45 ID:8l9i6YLR0

ノパ -゚)「どうしてそう思うの?」

(´・ω・`)「僕らの悩んでる事と同じですよ、意思統一が果たして行えるのかどうか」

そして、大きく見て三つに戦力は分けられる事になった。

  一つは、二人のヒルト王を中心に兵を配置し、前線にツンと愉快な仲間たちを配置した主力部隊。
 次に、ショボンとペニサスを中心に、統制の取れているエッダの兵を置いた物。
そして最後に、管理者不在だが強力な人材を配置し、更にヒルトの兵の半数を置いた物。

ξ゚听)ξ「大丈夫なのか? これで、言ってる傍から穴ができているぞ」

ノパー゚)「大丈夫よ、とびっきりの子を向かわせるから」

ξ゚听)ξ「ほう……? そいつは、管理者相手に渡り合えるとでも言うのか?」

ノパー゚)「ええ、何せあの子は、本物の怪物なのだから」

 そして、それぞれの配置が終わる頃、地平線の先からついにその姿が現れた。
人の連なりが山の周囲を囲うように存在し、一つの壁となって迫る。



39 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:51:46.14 ID:8l9i6YLR0

圧倒される光景だった。
そんな緊張が流れる戦場の片隅に、ツン達が居た。

ξ゚听)ξ「で……何故ここに居る? 後方待機と聞かなかったのか?」

( - -)「ふふふ……」

ノパー゚)「だって前に出なきゃ、戦えないでしょう?」

ξ゚听)ξ「何を馬鹿な……自分の立場が分かっていないのか?」

( - -)「……ふっふっふ」

ノパー゚)「あら、これでも私、管理者ですのよ?」

 己の非力さは分かっているが、それでも、そこらの相手には決して遅れは取らない。
ヒートはこの場に似つかわしくない声色と、笑みを浮かべながら言い放った。

ノパー゚)「それにこっちの―――ヒルト国王は、私の剣の指南役をしている者…腕は確かよ」

( - -)「ふっ……」

<_フ;゚ー゚)フ「そうかも知れんけど……つーか何でずっと笑ってんだよ、怖いよ」
41 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:55:08.10 ID:8l9i6YLR0
 _、_
( ,_ノ` )「んで、後ろの仮面つけた連中は、護衛の人間かい?」

  そんな赤髪の背後には、それぞれ違う仮面をつけた人間が三名。
 各々が形の違う獲物を手に、眼前に広がる脅威と、走る緊張感を物ともせず、
ただ、姿勢を正し、乱れることなく並んでいた。

(;凸)「いや、護衛って」

(;凸)「……たった3人…?」

  確かに、その人間の風貌、風格からは只ならぬ気配を感じるが、
 やはり正面に見えるあの、圧倒的なまでの数を前にしては霞んでしまう。
カービィ達はその不安を隠しきれず、本当に大丈夫なのかと不安を覚えた。

<_プー゚)フ「……可哀想に」

( 凸)「ああ……人望が」

(#凸)「しーっ!! 馬鹿、そういうこと言うなよ!」

(;凸)「……す、すまねぇ」

43 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:57:14.56 ID:8l9i6YLR0

( 凸)「あ、あの…うまく言えないんですけど、頑張ってください…!」

( 凸)「自分、王女様の事、結構好きですよ」
 _、_
( ,_ノ` )「ああ、俺も」

( 凸)「僕も!」

<_プー゚)フ「……なら、俺も!!」

「「どうぞどうぞ!!!」」

<_フ;゚Д゚)フ「使い方おかしいだろ!?」

ノハ;゚ー゚)「……あなた方、人生満喫してるわね……いつもこうなのかしら?」

ξ゚听)ξ「ああ、迷惑極まりない事にな……まあ、もう死ぬから今回限りだが」

(;凸)「ええっ!? うそぉ!!?」

<_フ;゚д゚)フ「俺死ぬ!? 死ぬの!?」

(;凸)「やだーーーー!!」


47 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 22:59:49.51 ID:8l9i6YLR0

 そして、そんな拭いきれない不安はつい口をつき、思いを吐露させてしまう。
当然だった。彼女の存在は、今や多くの人間の支えとなっている。

<_フ;゚ー゚)フ「あ、あの……嘘っすよね?」

ξ  )ξ「…………」

<_フ;゚д゚)フ「口を閉ざさないで!? あ、ていうかお前ら何で俺を哀れんだ目で見る!? やめろ拝むな!!」

( 凸)「いいじゃん、別に…ほら、形的にも逝けるって」

<_フ;゚Д゚)フ「カービィじゃなかったの!?」

  ヒルトの女王にして、最強の称号、紅牙の名を持つ彼女の言葉と行動は、
 祖国の人間を奮い立たせ、同時にその熱にあてられ全ての兵の士気をも上げていく。
それゆえに、一国の代表である以上に、彼女が持つカリスマ性は今や欠かせない物となっていた。

ξ゚听)ξ「という訳でな、許してやってくれ」

ノハ;゚ー゚)「……大変ね」
 _、_
( ,_ノ` )「……しかし、随分と寛大だな…この姫さんは」

( - -)「流石に怒っていいと思うよ、ふふふ」

ノハ--)「……まあ―――」


51 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:02:49.54 ID:8l9i6YLR0

 そんな彼女が今、これより始まる殺し合いの最前線に位置している。
もしもの事があればどうなるかなど、想像に容易い。

  しかし、ヒルトの人間の性分か、自国の代表たる人間が闘いを前にして座することはむしろ、
 国の汚点だと民は言う、我が王は奥して見下すだけの愚かな人間であると。
強者である事が上に立つ者の条件、その絶対の意思ゆえに、彼女は誰よりも前へ出る。

一つは義務として、そしてもう一つは、己が信念のために。

 そんな彼女の後方にて、同じ志を胸とする戦士も、同じ熱を仮面に隠し、
共に戦わんとする決意を示すように、拳を奮わせる。

(#0w0)「おのれ…!! 人の嫁に何たる言い草!!」

(#0H0)「な、誰が誰の嫁だと!?」

(#<::V::>)「もう一度そんな事言ってみろ…オルァクサムヲムッコロス!!」

(;凸)「うわ! 言ってることはよく分からないけど怒った!」

( - -)「……クックック」

<_フ;゚ー゚)フ「だから何で笑ってんだよ……」

53 :すいじ ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:04:44.02 ID:8l9i6YLR0

(#゚ ゚)「ていうかヒートはいいよ、新しい王ができて責任も軽くなったからって、
      そうやっておしとやかぶってればいいんだからさ!!」
     
(;凸)「なんかこっちも急に怒りだした、怖い!」

(#- -)「一番大変なのは代理である僕じゃないか、私は一向に構わん!!!!」

<_フ;゚Д゚)フ(;凸)(;<::V::>)
    「「「「構えよ!!」」」」


ノハ--)「もう……慣れてるわ、この類の連中」
 _、_
( ,_ノ` )「苦労してんのな」

ξ;--)ξ「………嫌な共感を得てしまった」
 _、_
( ,_ノ` )「いや、大将もけっこう大概なもんだと思うがな」

ξ#゚听)ξ「あ?」
 _、_
( ,_ノ` )「―――って、カービィが言ってたぜ」

ξ#゚ー゚)ξ「貴様……今後、背中には気をつけろよ」

<_フ;゚д゚)フ「えぇ……? 死因ってこれぇ…?」

57 :ツンデレ ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:08:47.27 ID:8l9i6YLR0

  開戦を前に緊迫した空気の中、それぞれが胸に宿すは勇気という名の熱。
 前方には壁のように迫り来る人の群れ、戦力差というものを悟りながらも、それでも人は火を灯す。
己が守るべき者の、守るべき物の為に、点火すれば声に変わり、やがて声は連なり雄叫びとなった。

ノパー゚)「……まあ何にせよ、彼らは護衛ではないわ」

ノパー゚)「あくまで、共に戦う、戦士よ」

<_プー゚)フ「なるほどねぇ」

ξ゚听)ξ「まあ、やる事は変わらんか」

ノパー゚)「それじゃあ皆、覚悟はいいわね」

そして雄叫びの中に、一際映えるは戦姫の号令。

ノハ#゚听)「では往くぞ! 立ち阻む物が何であろうとも、我等を阻める物は無い!」

応、と膨れ上がった戦意が地を揺らし、大気を震わせる。

ノハ#゚听)「壁ならば打破せよ、道ならば踏破せよ、仇なす物は撃破せよ、誇りと共に、今こそ駆け抜ける時!!」

 号令をかき消さんとばかりに、戦人の咆哮が痺れを切らすように迸る。
そして、人の垣根にいくつもの炎雷光が踊り、風は轟と空を翔り、開放の時を待つ。

60 :ウカムルバス ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:11:21.91 ID:8l9i6YLR0

ヒートは前方、広がる人壁に向かって剣を振るい、真っ直ぐに突き出した。

ノハ#゚听)「突―――

 続けて放たれる言葉は、もはや周囲の耳に届くことは無い。

人の踏み出した一歩が地響きとなり、人が叫ぶ言葉が爆発音となり、その全てを掻き消した。

ノハ#゚听)  撃 ! ! 」

 しかし、その言葉は確かに放たれる。
聞いたのは、彼女の傍に居た者たちだった。

( ゚ ‐)「うん、随分と久しい実戦だ、腕がなるねー……物理的に」

ξ゚ー゚)ξ「行くぞお前たち、遅れを取るなよ!」
 _、_
( ,_ノ` )「ああ、背中は任せてもらおう」

<_プД゚)フ「よぉおおおおおっしゃ!! 行っちゃうぜええええ!!」

 そして声は届かずとも、その想いはまた別の場所にも伝わり、
同じ思いで、同じ願いを叶えるために駆け出していた。


64 :ワイリー ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:16:04.61 ID:8l9i6YLR0

(`・ω・´)「行こう、今は……僕らの居場所を護るんだ」

('、`#川「……ええ、今度こそ………!!」

こうして、迎え撃つ側である筈の者たちは、まるで攻め入るように進軍を開始した。

  同時に、相対する群集は、それぞれ違う旗を掲げながらも意思は同じく。
 駆け出した敵を前にして、正義を掲げる彼らもまた、一様に声を張り上げ、
世界の敵を討つべく、迎え撃つかのように、しかし一斉に駆け出す。

(メ._,)「進め! 神の御旗に基づきて、咎人を裁くは我等の使命!!」

(#゚;;-゚)「行きます」

そんな中、白に十字の紋章を掲げる者たちへと叫ぶは、顔に傷を持つ二人組み。

  マントを羽織った男は巻貝のような螺旋を描く、長めにして槍のような形状の剣を目線に沿わせ、
 周囲を走り抜けていく姿を横目に、ゆっくりと前進を始めた。
女は抜き放った短剣を軽く振るい、やはり同じように歩を進めた。

 そんなまた別の場所では、翼の描かれた旗を掲げる者たちが駆ける中にある、
奇妙な二人が立ちすくみ、対照的な様子でこの状況を見据えていた。

(*<●><●>)「オーーーッホホホ!! お行きなさい、戦いなさい、全ては主の御心のままに…!!」

(;><)「……う、ぅぅ」


66 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:18:37.05 ID:8l9i6YLR0

 怯えた様子の男が持つのは、刀身が複雑に折れ曲がり、ろくに斬る事など出来なそうな形状をした剣、
そんな獲物を正眼に構えたまま、男は腕を震わせ、その場から動けずに居た。

  隣に佇むのは、かつてセントジョーンズと言う男が手にしていた神具、聖剣アスカロンを手にした……え、これ女?
 この場にあまりにもそぐわないフリルのついたドレス姿のお、女(?)の足には、すね毛がものっそい生えている。
嫌だが、よく見れば顎の辺りには髭跡らしき物も見えるような気がした、筋肉も結構すごい。
それに目だけはやたらぱっちゅりしててキラキラシューティングお星様、ああもういいや。

(#<●><●>)「チッ……まだ震えてんのアンタは!? 早く行きなさいよ!!この木偶!!」

(;><)「……で、でも、こんな…」

( <●><●>)「忘れた訳じゃないでしょうねぇ……!」

 ふと、女らしき生物は傍らで怯える男へと何かを耳打ちした。
身の毛もよだつ光景だったが、途端に男は肩を跳ねさせ、悲鳴にも似た叫びをあげて駆け出した。
誰もが納得のいく光景だった、そりゃ逃げるわ。

( <●><●>)「そう、それでいいのよ、アンタは私に従っていればいいの、それが最良」

( <●><●>)「それがお互いの為なのは………わかってるものね」


70 :ススキノお嬢さま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:22:27.28 ID:8l9i6YLR0

 更にもう一方では、夜明けと夕暮れを表す旗と、湖に浮かぶ波紋の旗を掲げる二つの群集が、
先頭を駆ける姿に追随するかのように、やはり戦意を連なる声に変え、雄叫びと共に駆けていく。

( ゚∋゚)「………」

  そんな群れの先頭に在るのは、周囲の人間の倍はあろうかという大男。
 咆える事はせず、その表情にも変化は無い、しかし巨人とも言える背丈と、それに見合う体格は、
存在だけで見るものを圧倒させ、ある種の英雄視によって周囲を高揚させていた。

しかも、その手にあるのは陰陽玉を表すような形をした巨大な槌。

 単純にして明快なまでの力を示すハンマーは、大人一人をゆうに隠す大きさであり、
男はその巨大な塊を軽々と担ぎながら、誰よりも早く戦場を駆ける。

 そしてついに、二つの大きな波が、互いをはっきりと視認した。
まず激突するは、波打つように続く人壁の最先端、そのうちの一人は自分の横を見据えながら言った。

「まさかこうして一緒に走る日が来るとはね」

「闘技場じゃあお前らなんかただの敵だったのによぉ…!」


72 :淫魔 ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:24:21.57 ID:8l9i6YLR0

「ああ、けどこういうのも……悪くねぇな…!」

「違いない、今は、一つの志の為に剣を振るう一人として…!」

「我等ヒルトの民が積み上げてきた名が、飾りでは無いと教えてやれ…!」

「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」」」

 大きな自信と誇りを胸に、やがてヒルトの人間はその姿を見る。
相対する壁の先端に、突出して見える大きな姿を。

「って……何だあのでかいのはっ!!」

( ゚∋゚)「『……』」

  そして大男は、手にした大槌を大きく振りかぶる。
 男が持てばさして大きく感じられない槌は、近づくにつれてその巨大という名の異様さを見せた。
よくよく見れば、大男の足は地面に埋まりかけ、今尚、亀裂を広げていく。

(;・(エ)・)「いかん……! 皆、止まれ!!」

それに気付けたのは、ほんの一部であった。


75 :いいじま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:27:57.16 ID:8l9i6YLR0

 制止の声から続けざまに放たれたのは、地面に打ち付けられた大槌が起こした振動と、
抉られた大地から蛇のように幾つも伸びゆく亀裂。そして、槌の形状にも変化が起きた。

「どわーーーっ!! 何じゃこりゃああああ!!」

「お、おいおい!? どんだけ力こそパワーなんだよ!?」

「力こそ力って何だよ! せめてパワーイズビューティホーと言え!!」

「あ……ごめん」

「いや…そんな素直に謝られると俺も困るってか……」

(・(エ)・)「おいアホ共、油断するな、あれは恐らく……」

( ゚∋゚)「……」

 パラパラと破片を舞わせながら、持ち上げた槌は、勾玉のような形へと姿を変えていた。
そして大男は名乗りをあげ、変化した槌を肩に担ぎながら、正面にて足を止めたヒルト勢を見据えた。

「管理者か…!!」

( ゚∋゚)「……」

更に、大男の後ろからは大群が押し寄せる。


80 :いりおもてやま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:33:10.31 ID:8l9i6YLR0

「へっ、それがどうしたってんだ!!」

 しかし、ヒルトの人間たちは怯む事無く、真っ向から向かうべく、
再び足を踏み出し剣を握る、中には笑みさえ浮かべる者も居た。

「相手が何であろうと、立ち向かう事が俺たちの誇り……!」

「その通ーーり!! ハードにキリングしてやんよ!!」

「でも困った、あれにゃちょっと勝てないかもよ!!」

(・(エ)・)「面白い……相手が管理者……怪物だというのなら、こちらは化物が相手をしよう」

「よし、あいつは任せた!!」

(・(エ)・)「うむ、相手があれなら、杞憂無く全力を出せるというもの…!」

壁|0M0)「………」

( ゚∋゚)「………熊?」

  叫び声の中に、単独で空気を震わせるほどの大きな獣の咆哮が混ざる。
 大男の背丈よりも、更に巨大な姿を誇るのは、自然に生きる姿そのままのダッフィー。
かつて彼が居た世界において呼ばれた名は、魔獣アオアシラ。正真正銘の怪物である。

(#・(エ)・)「クマァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

姿勢は低く、獣は四足にて人よりも早く駆け、大男へと飛び掛っていった。
85 :りんぐま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:37:50.40 ID:8l9i6YLR0

………。


 ぶつかりあった群衆は、片や押され、片や押し返す。
戦線はまず、波打つような形となった。

 そんな戦場下における一方では、また別の管理者が猛威を振るい、 
追随する者たちによって、更に道が切り開かれていく。

「怯むな!! 数では勝っているのだ、こいつらさえ片付ければ…!!」

そしてこの戦場において優位に立つのは、ヒルトの軍勢だった。

( ゚ ゚)「片付ければ何だって?」

「…っ! おのれ野蛮人共が!!」

( ゚ ゚)「にゃー、なら文明人とやらの力を見せてごらんよ」

 剣に付着した血を払い、仮面をつけた王代理が怯む男へと向きなおした。
そして武器は下げたまま、軽口とともに招き猫のような仕草を取る。

88 :ねりま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:40:47.56 ID:8l9i6YLR0

「ふざけるなぁ!!」

 男は仮面の人物、ヒルト国王へと駆けながら、剣を高く振り上げた。
対する王は軽く身を浮かせ、ステップ一つで繰り出された剣戟をやり過ごす。

「な……!?」

( ゚ ゚)「な、じゃないよ、そんな馬鹿正直に振り上げてそのまま斬りかかる奴があるか」

 続けて、打ち上げるように放たれる剣線、しかしこれもまた弾かれ空を切る。
更に打ち合いは二度にわたり、軽快な金属音がかち鳴らされ、勝負はついた。

( ゚ ゚)「それでも真っ向から行きたいなら、もっと剣速を鍛える事だね」

  そう言って、王は丸腰で尻をついた男へと切っ先を突きつけ、後退を促した。
 しかし、男は無い隙を目掛けて眼前の剣を払いながら立ち上がろうとし、
返す刃にて、身体ごとその命を絶たれると、すぐさま次の人間が声を荒げ向かっていく。

( ゚ ゚)「悪いけど、容赦はしないよ…フフフ!」

(<::V::>)「シュ……陛下、ここは俺が!!」

94 :ぽりまー ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:44:05.50 ID:8l9i6YLR0

( ゚ ゚)「いやいや、こっちはいいって、この程度なら問題なし」

( ゚ ゚)「問題あるとしたら仮面かな、もう暑くて、これとってもいいかな」

ノハ;゚ー゚)「駄目よ、あと、いくらなんでもテンション上げすぎよ、少し下げなさい」

<_プー゚)フ(あれでテンション高かったのか……)

 ちぇー、と小さく悪態をつきながら、すっかり素に戻っている王代理の態度に、
ヒートはやや肩をすくめながらも、背後に迫る姿へと向きなおす。

だが、ほぼ同時に人影が割り込み、駆け寄る男は断末魔をあげて横転した。

ノハ;゚ー゚)「あら…?」

ξ゚听)ξ「こんな時でも体裁を気にするとは、余裕が過ぎるんじゃないか?」

 水晶剣を赤く染めながら、ツンは斬り伏せた相手を一瞥して言った。
そして、そんな彼の横を赤い髪を翻し、ヒートが駆け抜け、更に背後の一人に剣を突き立てた。

ノパ听)「そういう自分が余所見か!?」

ξ゚ー゚)ξ「そうでもないさ」

 背中合わせに向き合い、剣を構えなおす二人へと、更に敵が迫る。
そしてヒートは自分の横を通り抜けていく物体と、風切り音を聞いた。

97 :イクラちゃんのまま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:48:09.60 ID:8l9i6YLR0

飛翔したのは、透明な刃だった。

<_フ;゚Д゚)フ「危ねっ! 何だ!?」

どこからともなく現れ、彼女の前方へと放たれた刃は、正確無比に敵を射抜いていく。

ノハ;゚听)「……便利な神具ね」

ξ゚听)ξ「……外したか」

<_プД゚)フ「ひぃい!!!??」

  続く戦乱の中、やがてその一部にも変化が現れた。
 止め処なく人が駆け、雄叫びが続く戦場にぽっかりと穴が開いていく。
それはまるでこの場を避けるかのように、流れる人波が途絶えた。

<_フ;゚ー゚)フ「お、お? 何だ、避けられてね?」

( - -)「恐れをなした……って訳でもないみたいだね、本命が来るよ」

 言って、王代理は正面を指し示す。
その先には、一組の男女の姿があった。

(#゚;;-゚)「………」

(メ._,)「    」

102 :いじめだよまま ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:54:23.03 ID:8l9i6YLR0

 二人組みは若干の早歩きながらも、悠然とした仕草で前へと進む。
ふと、男は黒マントを翻し剣を両手に持ち直すと、上段へと掲げるように振りかぶる。

 まだ距離がある状態での行動に、ヒート達は疑問を浮かべたが、
一人、ツンだけが浮かべた刃を二人組みへと放ちながら、前へと跳躍した。

ξ#゚听)ξ「来るぞ! 立ち止まるな!」

 続けてツンが叫び、遅れて正面に居るマントの男が何もない空間へと剣を振るい落とす。
その一閃の過程に異変が起きた、振り下ろされた切っ先が、一瞬の内にヒート達の真上を通過したのだ。

<_フ;゚Д゚)フ「いぃ!?」

ノハ;゚听)「っ!?」

 螺旋を描く剣、その刀身が文字通り伸びて、彼女を切り裂かんと降りかかる。
しかし大慌てで飛び退く周りを他所に、ヒートは己の剣を掲げ、防御の姿勢を取る。

だが、長距離からの遠心力をくわえたその一撃は、細身の剣で受けられる代物ではない。

 マントの男は勝利を確信する、このままあの女を叩き壊し、
返す刀でこちらへ迫るもう一人を斬り捨てると、次の行動までを思案する。

(メ._,)「……!」

そして衝突の瞬間。マント男は更なる異変を見る。

106 :◆6Ugj38o7Xg :2010/08/20(金) 23:58:40.46 ID:8l9i6YLR0

 遠めには、何の変哲もない細身の剣に見えていた、赤髪の女が掲げる剣が変貌した。
一瞬の金色の発光と共に、その姿を身の丈よりも大きな剣へと変えたのだ。

 そして、その巨大な剣の盾に隠れるように、ヒートは降りかかる剣を受ける。
鈍い破裂音が響き、若干その表情を引きつらせながらも、しかと止めた。

 続けて衝突した剣は、火花を散らしながら下に向かい、両者間の地面を大きく切り裂いた。
その衝突による反動によって、両者の動きはこの時点で止まる。

ここでマントの男は、迫るもう一人の姿の他に、もう一つの存在があった事を知る。

 それは先ほどツンが放った、二つの水晶剣の刃だった。
アロンダイトという神具が持つ、飛刃能力による物だ。

(メ._,)「……!!!」

 気付きながらも、マント男は反応できない。
更にその奥からはもう一人、見覚えのある人物が疾走してくる。

112 :居間 ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:02:27.36 ID:wYEowy0N0

しかし、そこへもう一人の女が割り込んだ。

女は素早い動きで飛んできた刃二つを叩き落とし、その奥から迫るツンへと切りかかった。


 一瞬の攻防は、それで一先ずの決着となる。
ツンと傷の女は、一度の剣戟の後、弾きあうように距離を取った。


(;<::V::>)「陛下…! お怪我は!?」

ノハ;゚听)「大丈夫だ……それより剣がここまで届いた…これが、神具という異能の力か」

<_フ;゚Д゚)フ「び、びびび、びっくりしたあ! 何だってんだよもう!!」

( - -)「吃驚してる場合じゃないんじゃないの?」

( 凸)「いやぁ、一般人の俺らは驚くのが仕事みたいなもんだから」

<_プ∀゚)フ「最高のガヤ芸人でしょう!?」

( - -)「いや、あんた等がそれでいいならいいけどさ……お宅の大将、一人で行ってるけど」

116 :いもまも離れい… ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:06:12.83 ID:wYEowy0N0

ノパ听)「……私が行く、お前たちは引き続き周囲の相手を」

 そして対峙する、ツンと二人組み。
二対一という状況下にあって尚、ツンは怯む事無く剣を構えなおした。

(メ._,)「……礼は言わんぞ、でぃ」

(#゚;;-゚)「……」

ξ゚听)ξ「お前たち……奴のところに居た管理者だな……確か、サンゲツと、D、と言ったか」

(メ._,)「貴様、月鏡の……祖国を捨て、我が国の神具を使う痴れ者が、まだ生き恥を晒すか」

ξ--)ξ「……そんなもの、とうに晒しつくした」

(メ._,)「狂人が、所詮、世に混乱を齎した者達に組する輩の言う事か!!」

ξ゚ー゚)ξ「ならお前はその混乱が、その根本がどこにある物か、それに気付けぬ愚者だな」

(メ._,)「裏切り者風情がよく吼える……ならば咎に溺れたその魂、神の代行者として我が裁こう」

ξ--)ξ「ふん、どうでもいいがお前―――」



117 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:09:03.48 ID:wYEowy0N0

(メ._,)「その身に刻むがいい、己が罪を、その罰を」

ξ゚ー゚)ξ「臭うぞ? 思春期にかかる病気の匂いだ」

(メ._,)「フ……でい、貴様は手を出すな、奴はこの私がじきじきに葬り去る」

(#゚;;-゚)「……」

 そう言うと、男はマントの紐を解き投げ捨てる。
傍らの女は、肯定も否定もしめすことなく、ただその場に立ちすくんでいた。

ξ-听)ξ「だ、そうだ、手を出すなよ」

ノパー゚)「あら残念……じゃあ、私の相手はそちらの貴女、という事になるのかしら?」

 ツンの傍へと駆けつけたヒートだったが、既に戦闘準備に入った二人を横目に、
もう一人の女へと向きなおす、だが、彼女はそこで奇妙な感覚を覚えた。

(#゚;;-゚)「……」

ノハ;゚听)(………!?)

ぞわり、と身の毛がよだつような悪寒だった。


120 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:11:43.44 ID:wYEowy0N0

 相手に感情が見えないせいか、それとも別の直感だったのか、
得体のしれない感覚に、ヒートは女へと切りかかる事を躊躇ってしまう。

 そんな彼女の傍らを、ツンが名乗りを上げ、駆け抜けて行った。
相対する男も、やはりどこか気取った口調で自らの名を叫び、迎え撃った。

そしてすぐに連なるのは、金属がかち鳴る連音。


ノハ#゚听)「……!」

  しかし、この感覚を自分が臆しているせいだと思い込み、
 この状況で、自分が臆病風に吹かれる訳にはいかないと、
ヒートは剣を強く握り締め、駆け出すと共に、剣の形状を再び変化させた。

色は銀、片刃の幅広剣だ。

この形の名を、バルムンクと言った。

122 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:14:14.67 ID:wYEowy0N0

  身体強化の力を持つ形態だが、ヒートは長時間の使用を嫌っている。
 何故なら、この強化という物は本来ならば、後遺症が付きまとう物だからだ、
あるいは、それに準ずるだけの代償を要するが、彼女の場合、単純な疲労となって襲い掛かる。

ゆえに行使は一瞬、剣はすぐに元の細身の姿へと変貌した。

 全力で地を蹴り、踵を浮かせた時点でそれを解く。
あとは最初の加速に合わせて、自身を飛ばすつもりで更に駆ける。

 それだけで、互いの距離は、すぐに無くなってしまう。
対する女は、無機質な眼でヒートを睨むと、短剣を軽く構え、

ノハ#゚听)「勝負だ!!」

(#゚;;-゚)「……はい」

  女は軽やかに後ろへ跳んだ、ヒートは追うべく姿勢を低く、身体に更なる力を込める。
 続けて、間合いに届くや否やの一閃、互いの獲物にはリーチの差があるのに加え、
何を思ったか女は宙に身体を投げ出している、無条件の攻撃機会、だが。


125 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:16:53.03 ID:wYEowy0N0

(#゚;;-゚)「      」

ノハ#゚听)「…!?」

これを逃す手はないと伸ばした腕と、その剣線は虚しく空を斬る。

  ヒートは目の前で起きた不自然な事態に、困惑を示す。
 避けられた事にではない、それ以上に疑問が浮かび、その姿を眼で追う。
まるで、見えない何かに引っ張られるように、数メートル先にて着地した女の姿を。

ノハ;゚听)(浮い…!? いや、飛んだ…?)

(#゚;;-゚)「……」

ノハ#゚听)「…っ!!」

  更に追撃するべく、ヒートはその姿を追った。
 だが、やはり先と同じように、女は小さなステップで浮き上がり、間合いの外へと離れてしまう。
ならば、とヒートは振りぬいた剣で地面を切る、と、石に擦れたか小さな火花が散った。

129 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:19:41.71 ID:wYEowy0N0

ノハ#゚ー゚)「なら……これはどう!?」

(#゚;;-゚)「……!」

  次の瞬間、ヒートの持つ剣が炎に包まれ、轟と空気を焦がす。
 続けざまに、未だ宙を後退する姿へ向け、炎の剣を一閃。
すると、いくつかの火球が弾かれるようにして、飛翔した。 

(#゚;;-゚)「……は」

そしてヒートは、今度はしかと耳にした。

ノハ;゚听)「何!?」

見たのは。

自らが放った火球が見えない何かに操られるように向きを変え、自分目掛けて飛ぶ姿だった。

そして咄嗟のことに反応しきれず火球は、そのまま直撃した。





04 「激突する意思」 終

132 : ◆6Ugj38o7Xg :2010/08/21(土) 00:21:49.84 ID:wYEowy0N0

一ヶ「終わりへと辿る」済          十一ヶ「       」
       ↓
二ヶ「それぞれの在り処」済        十二ヶ「        」
       ↓
三ヶ「とある記憶の視点変更」済     十三ヶ「       」
       ↓
四ヶ「激突する意思」済           十四ヶ「       」
       ↓
五ヶ「それぞれの決意」          十五ヶ「         」

六ヶ「夢で逢えたら」              十六ヶ「       」

七ヶ「         」           十七ヶ「      」

八ヶ「      」              十八ヶ「     」

九ヶ「      」              十九ヶ「          」

十ヶ「  」                  二十ヶ「              」

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