2 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:46:16.55 ID:A3KPZCYU0


 ヒルトの城下近くの渓谷に、巨大な建造物が組み立てられている。
何百人もの人間が作業に取り組み、およそ全体の輪郭が現れてきた。

ノハ;゚听)「……改めて見ると、凄い代物ね…」

( ‐ ‐)「これ、こんなのが本当に動くの?」

 その光景に感嘆の息をつきながら、ヒルト国王と、その女王が現れるが、
人々は一瞥するも、すぐに作業へと戻っていった。

从 ゚∀从「やあ、女王さまと代理」

( ‐ ‐)「やあ、景気はどうだい」

ノハ;゚ー゚)「……代理っていうのは止めて欲しいわね」

从 ゚∀从「8割は完成したようなもんだよ、だけど、ちと問題があるんだ」

ノパー゚)「……問題?」



3 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:48:20.03 ID:A3KPZCYU0

从 ゚∀从「ああ、これが無いと、ちと手詰まりなんだが……」

( ‐ ‐)「僕が何とかできそうな話?」

从 ゚∀从「……いや、こればっかりはどうにもならないな…実は珠が足りなくてなぁ」

( ‐ ‐)「ああ…それはちょっと難しいね、既に集められるだけは渡しちゃったし」

从 ゚∀从「だよなぁ……まあ、当てが無い訳でも無いんだけどさ」

ノパー゚)「あら、そうなの?」

从;゚∀从「うん、けど………弟者だからなぁ……」

 ハインは一人、深くため息をつく。
二人は、そんな様子に首をかしげていた。



…………。





4 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:49:15.96 ID:A3KPZCYU0







('A`)と( ^ω^)は異世界で絆と出会うようです




    02「それぞれの在り処」








5 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:50:16.19 ID:A3KPZCYU0

場所は変わり、ルファウス国城内。

 ロマネスクは次々にやってくる謁見者の相手に勤しみ、
その周りには、何人かの管理者の姿があった。

( ФωФ)「さて……我は喉が渇いたぞ、誰か茶を淹れて参れ」

(#゚;;-゚)「ここに」

 そう言って、お盆に載せた茶を差し出すのは、
顔に深い傷を負った、物静かな女性だった。

( ФωФ)「おお、気が利くではないか、流石はでぃ、我が見込んだ女よ」

(#゚;;-゚)「……」

 ロマネスクは茶を受け取り飲み干すと、満足げに茶碗を返す。
でいと呼ばれた女は、小さくお辞儀を一つすると、その場に背を向けた。

(#<●><●>)(……きぃい!! またあの子なの!? いつもいつも…煩わしい子ね!!)

  そして、そんな様子を筋肉質な男の背後から、憎々し気に睨む者が居た。
 二次元キャラよろしくのキラキラした大きな目と、それに不釣合いな長身の体格、
だが服装は女の代物で、スカートの下はしっかりと無駄毛処理が施されている。



6 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:52:25.83 ID:A3KPZCYU0

(*<●><●>)「ね、ねえ…見てくださる? あの子、ああやってロマ様に取り入ろうとしているわ」

 そう言って、問いかけるのは自らが身を隠す筋肉質な男。
だが、その筋肉男は物言わず、無反応。無言のまましばしの間が流れる。

( ゚∋゚)「……………」

( <●><●>)「………」

( ゚∋゚)「…………」

(#<●><●>)(きぃいい!! スカしやがってええええ!!)

(;><)(痛っ!!)

 そして、彼女(?)は背後に居た小柄な男の足を踏みつけた。
突然のことに涙目になって抗議の目を向けるが、睨み返され萎縮した。

( <●><●>)(……けど、何より気に入らないのは……あの新顔ね)

 そして、ロマネスクの傍らに佇む、長身の男を睨んだ。
男の目には、王と同じような痣があり、やたら王に気にかけられている。

(#<●><●>)(何か特別な関係なんでしょう、それは分かるわ……でも気に入らない、気に入らないわ!!)

 こうして、彼女(?)は怨念混じりの視線を、傍らの男に向けた。
しかし、ふと視線が交差すると、すぐに笑顔になった。



7 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:55:08.74 ID:A3KPZCYU0


…………。




ヒルトの街の中心に、大きな広場があった。

  城下前からやや離れた場所に位置する広場には、人の群れが辺りを埋め尽くしている。
 それも、広場だけでは間に合わず、家の合間から屋根の上にまで、至る場所に人がおり、
彼らは皆一様に、同じ方向、同じ場所を見据え、これから始まる何かに備えている。

 そして、その視線の先には鉄塔と、その中腹あたりにあるステージへと向けられていた。
壇上では、国王を中心に幾人かの姿が見える。

ノパー゚)「それじゃ、頼みますよ」

川 ゚ -゚)「……わかった」

 クーは一度喉を鳴らし、ゆっくりとふりむいた。
どよめく声と、圧倒されるような見果てぬ先まで続く人の群れ。

事の始まりは、数日前に行われた、今後についての話し合いだった。

9 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 22:58:54.34 ID:A3KPZCYU0

(´・ω・`)(けど、信用という話を言うなら……ヒートさんは、いいんですか?)

ノパー゚)(何がかしら?)

(´・ω・`)(こんな状況になって……ブーン……内藤も居ないのに、どうして僕らを)

ノハ--)(ここに、もし内藤君が居たら)

(´・ω・`)(……?)

ノパー゚)(……必ず、そうしたでしょう? それが我が王の意思なら、私はそれを叶えるわ、
    どんな状況でも、例えここに居なくても…それが、信じると決めた人間の務めでしょう)

(´・ω・`)(……凄い、ですね)

ノパー゚)(ふふ、あまり見くびらないでほしいわ、ちょっと問題があったからって、
    簡単に考えを変えるような、軽い女じゃないのよ?)

从;゚∀从(……強敵だ)

( ‐ ‐)(まあ……いきなり居なくなったなんて問題が起きたら、立場ないもんね)

ノハ;゚ー゚)(うるさいわよ、シュール)

( ‐ ‐)(うん…まあ、僕としても、王代理として立場ないし…)

ノパー゚)(……でも、まさか代理を用意したのが、こういう形で役立つとは思わなかったわね)


11 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:01:29.23 ID:A3KPZCYU0

ξ゚听)ξ(ふん…だが、民はどうする? 騙したままにするのはいいが、その意思はあるのか?)

ノパー゚)(そうね……それは問題ないと思うけど、何なら、試してみましょうか?)

ξ゚听)ξ(試す?)

ノパー゚)(ええ、彼らの意思を、その場はこちらで用意するから、あなた方の誰かが問えばいいわ)

 そうして、誰かがそれを問うことになり、それに相応しい人間として選ばれたのが、クーであった。
亡国の元国王にして、この旅を最初から見てきた彼女こそ、適任であると。

川;゚ -゚)(……私なんかで、いいんだろうか)

从 ゚∀从(ああ、つーか他に居ないって)

ξ゚听)ξ(私はそういう場に立つべき人間ではないからな)

('、`*川(……私も、そんな資格はないわ)

川 ゚ -゚)(………)

(´・ω・`)(……打算的な事を言うようだけど、一番効果はあると思うよ)

川;゚ -゚)(しかし……何を言えば)

(´・ω・`)(そうだね……全部を、これまでの旅で見てきたもの、感じたこと、
      そういうのを何もかも、伝えてみればいいんじゃないかな)

13 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:03:40.86 ID:A3KPZCYU0

………。



こうして、彼女は壇上に立つに至った。

 ステージには台が置かれ、その上にはハインが作成した、
声を大きくさせる拡声器が置かれている。

川 ゚ -゚)(………)

  クーは、布地に包まれる折れた剣の欠片を握り締め、祈るように目を閉じた。
 思うのは、この剣の主、生きているとは聞かされたが、まだ自分で見たわけではない、
不安もあった、本当は、すぐにでも会いに行きたい。

 けれど、彼女は思う。彼がそれを望むだろうか、と。
きっと、そんな事は望まない。そして、きっとこうあって欲しいと、そう願ってくれるはずだ。


川 ゚ -゚)「皆、聞いて欲しい……私たちは世界の――――」

 まず言った切り口に、聞いた人々は一様に目を丸くして、
それを後ろで聞いていたヒートは、小さく笑みをこぼした。

 そして、深く息を吸い、真っ直ぐに眼下を見据え、
はっきりとした声で、ゆっくりと次の言葉を紡いでいった。


16 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:06:50.48 ID:A3KPZCYU0

   自分がかつて滅ぼされた国、VIPの王であった事。
  そして、歪んで伝わった英雄と、その戦いの真実を。
 これまでの戦いと、旅の中で見てきた物と、出会った物。
失った物と哀しみの原因、それは全てが、一つに帰結する。

川 ゚ -゚)「そして……ロマネスクと呼ばれる人間が、全てを狂わせた、
     たった一人の人間の思想が、世界をこうまで変えてしまった」

川 ゚ -゚)「…だが、私たちは生きている、状況は悪く、絶望が今も迫ってきているとしても、
     生きて、同じ志の下に集い、そして……全ての真実を知り得る、唯一の存在となった」

川 ゚ -゚)「もし、今私たちの記憶が途絶え、敗北の名の下に全てが統一されたとして、
     果たして世界に平和は訪れるだろうか?
     出来た傷の理由も知らず、復讐を果たしたとて、本当に報われるだろうか?
     力によって形作られ、虐げる者と虐げられる者という統一が、平和と呼べるのだろうか?」

川 ゚ -゚)「……私は、このヒルトという国で学んだ事がある」

 戦いという物は、決して悪ではない。
生きる事こそ戦いであると言う様に、それは尊い物だ。

ただ、それに関わる人の心次第なのだ。

川 ゚ -゚)「そして……その尊さの中にあるのは、互いを認め合う心だ、
     強者が作る統一では、決して生まれ得ない物」

それこそが、人が目指すべき平和であると続け。
18 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:09:19.37 ID:A3KPZCYU0

川 ゚ -゚)「故に、私達が目指すのは勝利ではなく、知らせる事」

川 ゚ -゚)「ロマネスクを討ち、世界に真実を伝える事」

川 ゚ -゚)「そして、人を狂わせる源である、神具をこの世界から追放する事」

川 ゚ -゚)「故に、私達はこの記憶を消してはいけない、この狂い始めた世界を正せるのは、
     他でもない、ここに居る全ての人間だけなんだ、それを皆、自覚してほしい」

川 ゚ -゚)「もう一度言う、私たちは、世界の希望だ」

川 ゚ -゚)「その上で、私は皆に求める」

川 ゚ -゚)「今一度、その力を貸してほしい」


 クーはそう言うと、言葉を待つように見渡した。
しかし、返事は無く、ただ静かな空気が流れていく。

その時、静寂を一つの声が切り裂いた。


「いや、もういいよ、駄目だわ姉ちゃん」

21 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:11:25.36 ID:A3KPZCYU0

川;゚ -゚)「……え?」

「あんた分かってねぇよ、全然わかってねぇ!」

( 凸)「何てーか…ねえ?」

(・(エ)・)「うむ、駄目だな」

<_プー゚)フ「ちょっち甘いんだよねぇ」
 _、_
( ,_ノ` )「ああ……詰めがな」

  そして、釣られるようにして、騒がしい声が広がっていく。
 クーはそんな皆の態度に、困惑するばかりだった。
だが、彼らの表情に彼女を否定するような素振りはなく。

ノパー゚)「そうね、その言葉は必要ないわね……」

 ヒートは壇上にて、前へと歩み出た。
そして頭上に剣を掲げると、声高々に、

ノパ听)「皆、剣を持て! 己が英雄である事を誇れるならば、その誇りを掲げよ!!」

 叫びが、遠く反響し。
渓谷を木霊した。

 そして、見渡す限りに広がる人の群れが、雄々と叫び、次々と剣を掲げていく。
ヒートの後ろでも、やはり同じように各々が持つ誇りを掲げていた。
24 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /20(火) 23:15:25.75 ID:A3KPZCYU0

(´・ω・`)「ちょっと最後が間違ってたね」

川;゚ -゚)「あ……」

ξ゚ー゚)ξ「ここに居る時点で、そもそも意思は一つだったのだろう?」

( ‐ ‐)「なら、言うべきは願いではない」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「その意思を、ただ告げる事」

ノパ听)「皆、覚悟はできているな!! これより我等は、明日を造る世作者として!!」

ノパ听)「そして、我等は世界を照らす希望の光とならん!!」

 雄々しき叫びが、幾千と重なり、山々を反響し、どこまでも木霊していく。
地鳴りのごとき声々は、お互いを震わす音となり、それぞれが士気を上げていく。


ノパ听)「これより、出陣する!!」

 こうして、彼らはヒルトの地を降り、
山のふもとにて陣を組み、迎撃と、反撃の準備を進めていった。


02 「それぞれの在り処」 終

25 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/20(火) 23:17:20.45 ID:A3KPZCYU0

一ヶ「終わりへと辿る」済          十一ヶ「       」
       ↓
二ヶ「それぞれの在り処」済        十二ヶ「        」
       ↓
三ヶ「とある記憶の視点変更」        十三ヶ「       」

四ヶ「      」              十四ヶ「       」

五ヶ「       」             十五ヶ「         」

六ヶ「      」              十六ヶ「       」

七ヶ「         」           十七ヶ「      」

八ヶ「      」              十八ヶ「     」

九ヶ「      」              十九ヶ「          」

十ヶ「  」                  二十ヶ「              」

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