終話「極限一閃」
外に出張った部位につながる大窓を逆光に、その一つが振り返る。
影はゆっくりと内藤の方へと向き、手にした物を掲げる。
ξ゚听)ξ「遅かったな」
そして湯気が立つティーカップに口をつけた。
優雅に午前のお茶をたしなむ姿だった。
あまりにも想像の斜め下をゆく光景に、内藤は思わず固まってしまう。
(;゚ω゚)「な……なっ」
( ФωФ)「どうした、呆然として?」
ξ゚听)ξ「そうだぞ、お前もどうだ、この飲み物は中々だぞ」
( ФωФ)「ふはは、当然であろう、我が口にするものぞ」
(#゚ω゚)「いや何しとんじゃーーーい!!!」
ξ゚听)ξ「茶だ」
(#゚ω゚)「それは見ればわかるお、ていうか見たまんまか!」
ξ゚听)ξ「わめくな、何が言いたいんだ」
(;゚ω゚)「だから何で、ツン、おま、だって時間稼ぎをって…!」
ξ゚听)ξ「ああ、無論挑んだとも、そして敗れた」
( ^ω^)「……それで?」
ξ゚听)ξ「ああ、それで仕方なく、こうしてお茶を頂くことになったのだ」
( ^ω^)「意味がわからないんだけど」
( ФωФ)「何、この余興を楽しむのにちょうどよい手合いであったのだ」
( ^ω^)「……余興?」
( ФωФ)「そうだ、お前も見るがよい」
様々な覚悟の上にやってきたはずがこの始末。
しばし二人を交互に見やり、やがて観念するように内藤は歩み寄った。
石造りのテーブルが鎮座するテラスに出れば、先ほどまでの薄暗さから一変、
陽光に目を細めながら、内藤はロマネスクが示したものを見る。
黒煙と、赤く染まる大地が覗く戦場の風景だった。
(;゚ω゚)「あれって……ドクオ…? ドクオがやってるのかお?」
もはやそこに、争いは存在しなかった。
内藤を追いかけようとしていた者たちは、軒並み足止めをくらい。
船を中心とした戦いにまで影響を及ぼしたのか、あるいはペニサスたちの説得が上手くいったのか、
わからないが、そこかしこで文字通りの火花が散るものの、明らかに数は少なく、小競り合いとも取れる程度。
しかし終わった訳では無い、あくまで膠着状態に陥っているだけだ。
何か切欠があれば、それはすぐにでも崩壊する。
そう、良くも、悪くも。
( ФωФ)「うむ、見事であるな」
( ^ω^)「……何が、だお」
( ФωФ)「幾度もの試練を越えた、美しくも儚い、人の命の輝き」
( ФωФ)「それが、この光景を造ったのだ」
( ω )「……」
( ФωФ)「鍵の担い手は、あらゆる惑いを捨て去り、真なる管理者となった」
( ФωФ)「数千年の時を経ても成しえなかった偉業だ、見事である」
(# ω )「……お前が…」
(#゚ω゚)「お前が、それを言うんじゃ……っ…くそ!」
激情に駆られそうになるのを堪え、内藤は壁を殴りつけた。
何よりも、その言葉をその通りだと受け入れてしまう自分に気がついて。
ξ゚听)ξ「ふん……それで貴様はどうするつもりだロマネスク王」
( ФωФ)「うむ、そろそろ頃合か」
( ФωФ)「神の力というものを、下々の者達に教えてやらねばな」
ξ゚听)ξ「ほう…」
(;^ω^)「…っ!」
ロマネスクは、ゆっくりとした動作で大剣を振るう。
内藤もすぐさま相手取るため構えを取るが、ツンの声は続く。
ξ゚听)ξ「だが、最早手遅れだな」
( ФωФ)「?」
ξ゚听)ξ「此方が何の考えもなしに来たとでも?」
( ФωФ)「ああ――――」
(;^ω^)「そ、そうだお、今頃もう」
( ФωФ)「王国と双国の同時発起の件だな?」
(;^ω^)「っ……な!?」
( ФωФ)「珠と交易の要となる二国が同時に真実を語り」
( ФωФ)「各国へ秘密裏に行われた書文と合わせ、国交会議の場を造る事で戦争を締結させる」
( ФωФ)「その為に消耗戦を選び、誘き寄せるように国へ篭った、いわば全てが時を稼ぐ為の事」
( ФωФ)「今頃世界は混乱の渦中であろうな、最早、この戦場の勝敗すら無意味」
( ФωФ)「誓賢の担い手の画策であろう?」
ξ゚听)ξ「……知っていたのか」
( ФωФ)「知らぬはずがあるまい?
うむ、こちらも見事であるな」
( ФωФ)「流石は賢たる者、戦争というもの…いや、その歴史すら熟知していると見える」
ξ゚听)ξ「そこまで分かっていて、何もしなかったのか?
何故だ?」
( ФωФ)「言ったであろう、人の輝きだ、我はそれを否定せぬ」
( ФωФ)「抗うことは罪ではない、そこにあるのはただ、乗り越えるか、潰れるかだ」
( ФωФ)「そして彼らは越えて見せた、この光景こそがその証明であろう」
( ^ω^)「……なんだ」
内藤は思う。
敵意は未だある、だがこの話が、物言いが、先ほどまでの状況と合致した。
つまり既に、戦う意思をなくしている。
戦争は既に、話し合いという次のステージへ向かっていて、
ロマネスクという男はそれを理解している、ゆえの行為なのだと。
かつて同じ名で過ごした時に感じた、理解のある人物だと。
許す許さないではなく、少なくとも分かり合おうとできる。
それなら、と。
いつしか内藤は剣を下げていた。
( ФωФ)「では、行くとしよう」
( ^ω^)「……」
どうあるべきなのかは分からない、だけど、これでひとまず終わるなら。
内藤は歩き始めた姿を、複雑な思いを込めながら見送った。
ロマネスクは何も言わず、出口へ向かう。
ξ゚听)ξ「……太陽の、何をしている?」
(;^ω^)「何って?」
ξ゚听)ξ「何を突っ立っている、お前は、奴を止めに来たのではないのか?」
(;^ω^)「そう…だけど、これで、あの戦いが止まるなら……」
ξ--)ξ「愚か者が、言葉に惑わされおって」
(;^ω^)「…え?」
( ^^ω)(……思い出せ、その前に奴は何と言った?)
問われ、背筋を走る冷たさに促されるように内藤は彼の背を追った。
そして駆けながら名を呼び、名の主はそこで立ち止まる。
( ФωФ)「どうした?」
(;^ω^)「……どこに、何しに行く気だお?」
( ФωФ)「言ったであろう?」
( ФωФ)「神の力というものを教えにいくと」
(#^ω^)「…だから、それがどういう意味かって言ってんだお!!」
( ФωФ)「痴れた事、我に反目する者達を、これより皆殺しとするのだ」
( ω )「っ……―――」
( ФωФ)「如何な策を講じたところで、真実の語り部無くしては意味もあるまい」
( ФωФ)「誓賢も、詰めが甘いという所か、いや、人間にしてはよく働いておるがな」
( ФωФ)「そもそも彼奴ならば、相手を虐殺する手段など幾らでも講じられたろうに」
( ФωФ)「あれだけ人を弄んでいながら、そうせんとは不思議よの?」
(#゚ω゚)「…!!!!!」
( ゚ω゚)「…っ」
( ‐ω‐)「………」
( ω )「………っ、…………ふーーーーー」
( ФωФ)「む?」
( ^ω^)「違う……」
( ^ω^)「ショボは、この戦争に巻き込まれた人を、少しでも助けたいと思ってるから」
( ^ω^)「敵も味方も関係なく、生きるために、これからを、未来を目指すそのために」
( ^ω^)「僕を信じてくれたんだお」
ロマネスクを追い抜き、扉の前に立ち。
思う。
怒りに呑まれてはいけない、激情のままに戦えば、
それは自分さえも見失う、それだけは繰り返してはならない。
ドクオ、彼の心の強さには未だ届かないままだけれど、
憎しみや、怒りだけで力を振るわないと言った、彼の言葉に倣って。
成すべきを成す、その為に。
…だけど許せない。
怒声を張り上げてしまいたい。
だけど許されない。
だから、と。
( ^ω^)「……ええと、こういう時、なんだったかな」
( ^ω^)「仇をとるときには……そう」
剣を、切っ先を向け。
( ^ω^)「僕の名は内藤ホライゾン」
( ^ω^)「僕らを助け、救ってくれた亡き英雄達の名誉のために」
( ^ω^)「僕をここまで導いてくれた、友の絆に、信頼に応えるために」
( `ω´)「お前が神を名乗るなら、あるべき場所へ、あの世に送ってやる!!」
決意を、高らかに叫んだ。
( ФωФ)「お前もまた、人として立ち向かおうと言うのだな」
( ФωФ)「ならばよかろう、足掻いてみせよ、欠けし我が半身よ」
( ФωФ)「……それで? お前はどうする、再び挑むか?」
ξ゚听)ξ「む…」
( ФωФ)「二人でも構わんぞ」
と、ロマネスクは振り向き、テラスに佇んだままのツンへと声をかける。
しかしツンは首だけを小さく横へ振り、自分は既に負けた身であると告げた。
ξ--)ξ「口惜しいが、私ではそこの太陽にすら及ぶまい」
(;^ω^)「ツン……」
ξ゚听)ξ「だから代わりに見届けさせてもらう、この戦争の終結を」
( ФωФ)「そうか、うむ、許そう、しかと見届けよ」
ロマネスクが黒剣を振るい、地を掠めた切っ先に火花が散る。
構えれば、いくつかの黒い線が浮かび上がり、空間を歪ませた。
( ^^ω)『来るぞ』
頭に響いてくる声、内藤は小さく頷き、剣を両手に構えなおす。
差し込む光は弱い、しかし刀身は鋭く、白銀の輝きを携えている。
心臓の鼓動が、やけに大きく聞こえていた。
ξ゚听)ξ「…ああ、そうさせてもらおう」
言って、ツンは手にしていたカップを放る。
小さく弧を描きながら、回転し、やがて地に落ちる。
パリンとした割れ音に、すぐさま剣戟の音が重なった。
ツンはその姿を目で追いかけるが、秒に行われる攻防の苛烈さに、
やがて嫌気がさしたのか目を伏せため息をついた。
ξ--)ξ(……まったく腹立たしいことだ)
視線を下げた間にも、耳には連続した音が響いてくる。
子供がお遊びにカップを叩くような、ふざけた剣戟音。
しかしかと思えば、金属音が止み、風切り音だけが鳴る瞬間がある。
見れば互いに、高速の一閃に対して身をひねり、屈み、迫る剣を避けていた。
(;^ω^)「―――……っ」
( ФωФ)「……む」
行動の読み合いすら見て取れず、その速度はただひたすらに、馬鹿げていた。
だが、そんな凄まじさの中にあって、しかし疑問が浮かぶ。
互角の戦いが未だ続いている、ように見える。
ξ゚听)ξ(……何故、神具を、能力を使わない?)
ひたすら速度を上げていく内藤に対し、ロマネスクはただ合わせるばかり、
聞いた話では、あの黒い大剣には強化の類の能力はない、
つまりロマネスクは、元々の身体能力だけで戦っているということ。
そしてそれは、対峙する内藤自身が一番に理解していた。
(; ω )(……こ、の…!!!)
手加減されている。
いや、相手にされていない。
相手をしているだけで、していない。
一度距離を取った。
剣は届く、速度も劣っていない、むしろ得物の差で僅かながら上回る。
とはいえ同じ理由から、こちらもあの大剣をいなすので精一杯だった。
( ФωФ)「ふむ……やはり、この程度か」
(;^ω^)「…っ」
( ^ω^ω)「『そう言う割には、てこずってるじゃないか?』」
(;^ω^)(何を…! てかなんかこれ久しぶりっ!)
( ФωФ)「うむ、では少しばかり手を抜くことをやめよう」
(;^ω^)「む…っ」
( ФωФ)「ではゆくぞ、これで終わるような真似はしてくれるでないぞ?」
言うなり、ロマネスクが地を蹴り、大剣を打ち下ろす。
内藤がその行動に反応できたのは、頭上に刀身が落ちる寸前だった。
咄嗟に地面を転がるようにして、ギリギリ避けきった。
しかしそれだけ、反撃など考える暇もなかった。
目では追えた、それが限界だった。
(;゚ω゚)(な、なんだ今のは…!!)
( ФωФ)「さあ立ち上がるがよい、もう一度だ」
言われるがまま、内藤は剣を支えに立ち上がる、
しかし正面、ロマネスクの姿が、その距離が瞬く間に詰められ。
横、薙ぎ払いの一閃。
避ける、暇はない。
受けるべく剣を振るう。
金属音、だが均衡は生まれることなく、押し込まれる。
それも当然、圧倒的速度を乗せた一撃は、同様の威力をも見せた。
内藤は地を蹴り、圧に身を任せるように投げ出し、大剣に振り回されるようにして、
吹き飛ばされ、幾度か地面を転がって、やがて壁に衝突することで停止した。
ξ--)ξ「………」
(;゚ω゚)「ぐっ……う」
(;゚ω゚)「そんな……こ、ここまで…?」
( ;^^ω)『差があるのか…!?』
( ФωФ)「何を驚いている、当然であろう」
(;^ω^)「ま、まだだ…!」
(#^ω^)「瀬川、もっと力を…!
サンバースト!!」
( ФωФ)「無駄だ、そんなバラバラな意思で、神化などできるものか」
(;^ω^)「…っ」
( ФωФ)「剣と一体と成り、蓄えた力を身に宿す、それがその剣の本質だ」
( ФωФ)「だがお前は、恐れている、そればかりか距離を置こうとしている」
(;^ω^)「そんな、こと…!」
( ФωФ)「先ほども奴の人格が浮き出ていたな、一体となっていればああはならぬ」
( ^^ω)『………』
(;^ω^)「っ……!!」
( ФωФ)「能力だけの話ではない、己が手足とすべき剣を恐れ、感情にすら躊躇する」
( ФωФ)「そのような弱き心で、力を制する事なぞ、できるものか」
違うと言いたかった、しかし言葉の通り、湧き上がる力は微々たる物で、
先ほどまでとそう変わらず、頭にはどこか遠く、彼の声が響いていた。
( ФωФ)「…もう、諦めよ、内藤ホライゾン」
(;^ω^)「……だ、誰が!
ふざけんなお!!」
( ФωФ)「真価も出せず、出した所で自我も保てず、そもそもが無謀なのだ」
(;^ω^)「………」
( ФωФ)「ここまでを歩んだ命の輝きは、素晴らしい物であった、それでよかろう?」
( ω )「……………」
( ФωФ)「我と共に来るも良し、去りたければ去れ」
( ФωФ)「あるいは……お前達、みな、もとの世界に帰してやる事もできる」
( ω )「……そんなこと、できるのかお」
( ФωФ)「何、簡単な話よ、召還者を殺せばよいのだ」
( ^ω^)「はっ……聞いた僕がバカだったお」
( ^^ω)『……だが内藤、奴の……言うとおりだ』
(;^ω^)(……お前も、さっきから何を言ってんだお!)
( ^^ω)『このままでは、無理だ、だから……』
( ^ω^)(それは嫌だって言ったお……)
( #^^ω)『状況を見ろ! もうそんな場合じゃ…!!』
(#゚ω゚)「焦って状況が見えてないのはお前の方だ瀬川!」
( ФωФ)「む?」
ξ;゚听)ξ「…!?」
(;^^ω)『な、何を…!』
(#゚ω゚)(お前を消すだって?
そもそもお前、どうやって消せってんだお!?)
(#゚ω゚)(僕が願えば消えるとでも思ってるのか?
それならお前、とっくに消えてるだろ!)
(;^^ω)『っ!!』
( ゚ω゚)(この場所で、僕はお前に消えろと言った、でもお前は居るじゃないか)
( ω )(そうした所で、消えたのは繋がり、力だけだ)
( ω )(今この場で、また戦う力を失くせってのかお…!)
(;^^ω)『………あ、ああ…そう、だな』
(;^^ω)『……すまん』
( ω )「いいお…だけど、もう、わかったお」
( ФωФ)「相談は終わりか?」
( ^ω^)「ここからさ」
( ω )「…………瀬川」
( ω )「覚悟、決めろ、僕は決めたぞ」
(;^^ω)『…お前…!!』
もう、やるしかない。
それ以外の手はない。
内藤は目を閉じ、剣を構える。
思い出せと。
自分を失ったあの日、それでも尋常ならざる力を感じたあの感覚を。
自分を失ったその間、当然のようにその力を制し戦ったあの感覚を。
目を閉じているのに、周囲の様子が理解できる。
全身の存在がわからなくなるほど、手足が軽くなる。
けれど感触は、感覚は鋭く、額から頬にかけて熱が走る。
手足にも痺れのような、軋むような感覚、体格すらも書き換えて。
( メω-)「……」
ξ;゚听)ξ「あれは……」
( ФωФ)「愚かな……同じ事だとわからんのか」
(#メωФ)「同じかどうか、確かめてみろ!!」
言葉と同時に、その場に砂埃だけを残して、内藤の姿が掻き消えた。
次いで重厚な金属音がロマネスクの振るう剣との間で響く。
(#メωФ)「…は、あっ!!」
( ФωФ)「ほう…」
大剣が反対方向へと弾かれる、その隙を逃すまいと追撃の一閃、
ロマネスクはスウェーのような動作でそれを避けた。
更に着地と同時に身を回し、遠心力も加えての連斬、
そして今度は、互いの剣が中空でぶつかりあい、弾きあう。
弾きあった剣線は距離を取り、また衝突する。
一度、二度、と今度は奇妙な間を置いて、音と閃光が弾ける。
まるで空中でぶつかりあうボールのように、
瞬間的な衝突が、その回数を速めながら続いていく。
(#メωФ)「見える…動ける…! そうだ、これなら…!!」
( ФωФ)「うむ、確かにこれは我に匹敵する力よ」
( ФωФ)「だがいつまで持つかな」
(#メωФ)「……そんなもの」
(#メωФ)「お前を、ぶっ倒すまでだ!!!」
激しい金属音は、石造りの空間によく反響し包んでいく。
もはや居るだけで鼓膜を叩かれ苦痛を感じる場となった。
しかしツンは平然としたまま、その戦いの様子を眺めていた。
どれだけぶつかり合ったのだろう、やがて変化が起きた。
( メωФ)「…」
ξ゚听)ξ(止まった?)
(;メωФ)「っ…!!」
弾かれ距離を取った内藤の動きが、僅かな間ではあるが停止したのだ。
それも、どこか不思議そうに、周囲を伺いながら。
すぐに行動を再開したものの、徐々に、その頻度があがっていく。
(;メωФ)「く、そ……また…っ!」
頭を振るう、しかし頭にかかる靄のようなものは晴れない。
先ほどから時折、内藤は踏み出す理由を見失いそうになっていた。
原因はわかっている。
覚悟の上だった。
だからその前に、と。
けれど、すべての力を振り絞ろうとする、その度に。
(#メωФ)「でやあああああああああああああああああ!!!!!!」
(;ФωФ)「……むっ…!!」
その度に、欠けていく。
自分が欠けていく。
もう、友人がつけてくれた呼び名も思い出せない。
それを恐ろしいと思う自分すら、見失ってしまった。
けど、わかっている、わかっていた、だから今回は大丈夫。
(;ФωФ)「くっ……何故、まだ戦う、どうなるか分かっているのか?」
自分はどうなっても、ロマネスクを倒す。
そう、それだけを、ただ忘れないよう願い続けた。
そしてもう少し、もう少しで届く。
現に奴にも疲れが見える、力が上回る瞬間もある。
先ほども剣を押し切り、体を掠めた。
次で決める、それで駄目だならその次で、今度こそ。
死ぬ訳では無いのだ、一度は帰る事が出来た、
ならもう一度、すぐには無理でも、何時の日か。
何のために、倒さなければならないのかも、もうわからないけれど。
希望の為なのだから、大丈夫だと。
更に剣を振るう。
誤算だったのは。
未だ倒しきれないほど、ロマネスクの底が見えない事と。
( ФωФ)「このままでは、記憶や人格では済まぬ、廃人となろう」
( ФωФ)「それでは、あまりにも惨めであるな……仕方が無い」
( ФωФ)「侵断の剣、世界を分かつ銛よ」
ここまで、未だ神具を使用していなかったという、現実。
( ФωФ)「我が前にその力を示すがよい!」
そして、大剣からおびただしい数の黒い線があふれ出した。
ロマネスクを中心に、それらは一度広がり天井や床に張り付いては蠢く。
(;メωФ)「う…うわっ!?」
ξ;゚听)ξ「なん……だ、これは!?」
黒線の隙間から覗く向こうの景色は、すべてがズレて、歪んでいる。
まるで、割れて散らばったガラスに映りこむ世界のよう。
次いで、広がった黒線が今度は収束を始め、大剣に纏わりついていく。
ロマネスクは一度、剣を振る。
何の力も込めていない、軽い所作だった。
そんな剣線をなぞる様に、複数の黒線が飛び、壁に張り付いた。
瞬間、その境目ともいえる箇所が上下左右にずれた。
もう一度、返す刃で同じ剣線がなぞられる。
傍目に見れば、ただ剣を上下に振っただけ。
たったそれだけの動作で、城砦の重厚な石壁と天井の一角が切り抜かれ、
瓦礫となった石が崩れ、大きな穴が開いてその一角に陽が差した。
( ФωФ)「さて…」
ロマネスクは対する相手を改めて見据え、踏み出す。
対する内藤は、思わず後退、あとずさりして距離を取ってしまう。
あの結果を見て、壁を斬るだけだなど思えない。
もしもあの線が人体に触れ、剣を振るえば、距離すら関係なく、
恐らくは当然のように、あの瓦礫と同じ末路を辿るだろう。
どうすればいい、どうすれば、そう思う間もなく。
( ФωФ)
ロマネスクが、目の前に立っていた。
今度は、何の挙動も見えなかった。
しいて言うなら足元に剣を向けた程度のこと。
だがもっとおかしな事実に気付く、ロマネスクは先の位置から移動していない。
つまり移動しているのは、内藤自身のほう、ということ。
(;メωФ)「……は?」
( ФωФ)「慌てるな、お前との間の世界を、空間を断っただけのこと」
(;メωФ)「く、空…間…? な、なに、言って…」
そして、動揺し後ずさる内藤が手にした剣へと、大剣が突きつけられた。
同時に渦巻く黒線が伸びゆき、白銀の刀身へと巻き付いていく。
不味い、反射的に身を引くが、それも遅く。
キン、と澄んだ音を響かせながら、折れた剣が地面に向かい、
切っ先を小さく地面に差し込んでから、カランと倒れた。
根元から折られた刀身が、みるみる輝きを失っていくのを、
内藤は震える体を止められないまま、呆然と眺めていた。
(;メωФ)「あ…あ、あ……そ、んな……」
自分の手に残る部分も、すぐにくすんだ色となり、
刃こぼれがいくつも生まれ、更に崩れていく。
( ФωФ)「我が半身よ、せめて人のまま、眠るがよい」
( ФωФ)「お前は神である我に最後まで抗い、立ち向かったのだと、誇りながら」
(;メωФ)「……う、うう…っ」
ロマネスクが、ゆっくりと剣を持ち上げていく。
それはまるで、断頭台の刃のよう。
ξ゚听)ξ「……なるほどな」
ツンは遠巻きに眺めながら、思う。
あれが、奴の求めた力、あれだけ神具を集めて尚、求めた神具。
ロマネスクという男の身体能力に加えて、あの理不尽そのものといえる能力の剣。
成程、神を名乗るのも伊達ではないと。
もはやこの世界に、あの男に敵う者は存在しないのだと、理解しながら。
ξ゚听)ξ(……だが)
ξ゚听)ξ「気に入らんな」
ξ#゚听)ξ「……太陽、いや、内藤ホライゾン!!!」
( ФωФ)「む?」
(;メω )「……え、な、いとう…?」
ξ#゚听)ξ「貴様は、いったい何をしに来た、こんな結末でいいのか!」
ξ#゚听)ξ「その身を捧げた英雄達の名誉と、お前が言ったのだぞ!」
ξ#゚听)ξ「それがその様は何だ!
それで、お前は向こうで会った者たちに何と言うつもりだ!!」
(;メω )「う……く、で、でも……もう」
ξ#゚听)ξ「同じ事を繰り返し、何も果たせず、無気力に殺されるつもりか、恥を知れ!!」
ξ#゚听)ξ「死ぬなら、その前に、せめて最後まで彼らに誇れるよう、抗ってみせろ!!」
叫びと共に、割れ音が響いた。
音の正体は、ツンが握っていた水晶剣の砕けた音だった。
(;メω )「…これは…」
そして、内藤の目の前に、先ほど砕けたはずの水晶剣が浮かんでいた。
ξ゚听)ξ「月鏡アロンダイト、私の命と共に、お前に預ける!!」
ξ゚听)ξ「剣が必要なら、それを使え!」
ξ゚听)ξ「そしてそれでもお前が敗北し、息絶えたなら、返してもらおう」
ξ゚ー゚)ξ「その後は、私も命を賭ける、安心して死ね」
(;メω )「命って…」
ξ゚听)ξ「元より時間稼ぎが目的、それを果たすだけだ」
( ω )「………」
ξ゚听)ξ「さあ、剣を取れ! 初めて相対したあの頃と違うというのなら、見せてみろ!!」
( ω )「……ああ」
なんてことだと、笑みを浮かべて内藤は顔を上げた。
安心して、戦って死ね、そんな、あまりにも雑で、乱暴な言葉に、
これほどまでに勇気を得て、そして力が沸くのを感じてしまうなんて。
( ^ω^)「ああっ……遠慮なく借りるお!
ツン!!」
( ФωФ)「………そうか、ここで、お前がその剣を手にするか、そう…か」
( ФωФ)「…ふ」
(#^ω^)「ロマネスク、お前の言う人間の、最後の輝きってやつを…!!」
(*ФωФ)「ふふ、はははっ、面白い!!
いいだろう…!!」
(#^ω^)「みせ――――――――――――」
浮かぶ剣を握り、両手に剣を携えて、頭上の剣に視線を向けて、
内藤は立ち上がりながら、迎え撃つべく剣を。
今。
その瞬間。
刃を失った剣と。
刃を生み出す剣が。
その手に、握られた。
『内藤』
声がした。
( ^ω^) ……?
『約束の……今がその時だ』
(;^ω^) 何言ってるんだお、はせが…
( ^ω^)……
( ^ω^) はせがわ……?
ふと思う、何をしていたのだろう。
精々、まばたきをした、ほんの一瞬視界が暗くなって。
そして。
そして?
『ああ、俺の名はハセガワ』
『理解したんだ、すべて、思い出したんだよ、内藤』
『俺が誰で、そして何故、お前だったのかも』
( ^ω^) 僕であった理由…?
『ああ、悠久の時の中、もはやどちらが俺だったのかも定かではなくなってしまったが』
( ^ω^) どちら…ってどういう意味だお
『だが確かなのは、俺と奴がかつて同じ、一人の人間として、この剣を手に戦ったこと』
( ^ω^) 奴……?
『続く戦乱に心折れ、欠けた刃と共に二つに分かれたモノ』
『故にこの剣は、今も管理者と繋がっている、故に他の誰も、この剣を手にすることはできない』
『はずだった』
(;^ω^) ちょっと話が難しくてよくわからんお!
ちょっと、いい加減姿を…!
『そう』
振り向いた先に、彼は居た。
その姿に、内藤は凍りついた。
( ^ω^)『違う世界から、もう一人の自分がやってくる、その日までは』
(;゚ω゚) …ハセ…ガワ……? え、その、顔…は…
( ^ω^)『そうだ、奴も言ったろう、半身と』
( ^ω^)『そう、奴は、ロマネスクという男は……』
( ^ω^)『かつての俺自身、そして、同時に、俺は―――お前だ、内藤ホライゾン』
( ^ω^)『違う世界に存在し、更に同じ時間軸に存在する、本来出会うはずの無い存在、それが』
(;^ω^) もう一人の…異世界、僕…?
( ^ω^)『そうだ、それゆえに、お前はこの剣に選ばれた』
( ^ω^)『いや、既に、管理者となっていた』
( ^ω^)『この―――――成王剣のな』
(;^ω^) その……せいおうけん、って、何だお、太陽の剣…ガラティン、じゃないのかお?
( ^ω^)『それは分かたれた時につけられた仮の名だ』
( ^ω^)『失われた刃の輝きを、光を求める剣として』
( ^ω^)『そしてもう片方、折れた刃は時を経て別の形となった』
( ^ω^)『自らの帰る場所を探すように、刃を生み出し続けながら』
( ^ω^)『そして今、それらは一つとなった』
(;^ω^) それが……成王剣…?
( ^ω^)『そうだ、選定の意思によって手にする事ができる剣』
( ^ω^)『手にしたその人間を、王とする剣』
( ^ω^)『名を、成王剣コールブランド』
( ^ω^)『お前は意思の台座よりこの剣を引き抜いた』
( ^ω^)『これで、今度こそ正真正銘、お前はこの剣の、成王の管理者となった』
(;^ω^)……それって…ハセガワ、お前は…
( ^ω^)『俺は、かつて剣と一体となった、その残滓に過ぎない』
( ^ω^)『真の管理者が生まれ、剣と一つとなったなら、消え往くが定めよ』
( ω ) そんな……
( ^ω^)『……やれやれだ』
( ^ω^)『お前なぁ、忘れてないか?
お前たちは、神具をこの世界からなくすのが目標だろ』
( ^ω^)『ならどのみち、これが終わったらお別れなんだ、何を悲しむことがある?』
(;^ω^)それは……でも、そんな急すぎるお
( ^ω^)『……ああ、でもまあ、この意思がある限り、お前の戦いを見守っているから』
( ^ω^)『もう、こうして合間見えることはなくても、それは絶対だ、ここに居る、見ているから』
( ^ω^)『だから、最後に見せてくれ、お前が打ち勝つ、その先を、お前のこれからってやつをさ』
( ω )………
( ^ω^)わかったお、どのみち消える、それが、お前の……望みなら
( ^ω^)「今すぐに…!」
(#^ω^)「――――て、やるおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
両手には、いつしか一振りの剣が握られている。
金色の柄と、眩い金色の刀身が輝く剣だった。
振り下ろされる黒い大剣に、黄金の剣が重なった。
ぶつかりあった剣戟が、押し合う形で止まる。
体勢を見れば圧倒的不利であるはずの内藤だが、押し負ける気配は無く。
頭上にて交差する剣の向こう、対するロマネスクを見据えた。
( ФωФ)「その輝き…この力…まさに、かつての我が神具」
( ^ω^)「そうだ、かつてお前が切り捨てた、そして、その剣に対抗できる唯一のものだお」
( ФωФ)「どうかな、いかな神具とて……このエアの前では!」
距離をとるロマネスクと、それを追う内藤、
その間にも幾度かの剣戟が繰り返された。
しかし先ほどまでとは様子が違う。
弾かれながら、ようやく防いでいた大剣の一撃を、
今は体制もそのまま、ついには片手で捌いてみせている。
そんな姿に、ロマネスクはついに攻撃の手を止めた。
( ФωФ)「…そうであったな、衝撃すらも、取り込んでしまう、それが」
( ^ω^)「ああ、ハセガワが教えてくれた、この剣の本当の力を…!」
太陽と呼ばれていた頃の、光を吸収して力に変える能力とは、
いわば本来の能力の、こぼれだす様なほんの一滴でしかなかった。
この、黄金の聖剣がもつ本来の能力は、吸収。
王たる者が他者から富を奪う事で大きく、強くなるように、
この剣もまた、他者の力を奪うことで王たる抜き手に力を与える。
あの雪国の闘技場の舞台で、剣が打ち砕かれるほどの威力を受けた事で不完全に発現し、
衝撃自体を取り込み、わが身の力と変えて彼の女王を打ち倒したように。
あるいは戦場で、敵対する者が放つ雷を取り込んだように。
力となるエネルギーを、質量の有無に関係なく吸収し、己が力とする。
戦えば戦うほど、剣にダメージを与えれば与えるほど、
どこまでも強く、無限進化を促す究極のカウンター能力をもつ神具。
それが神具たるコールブランド、その真価であり。
ハセガワと、そしてショボンが内藤ならばと託した理由。
( ФωФ)「だが、空間、そして事象すらも断ち切る、このエアの前ではどうだ…!」
(;^ω^)「っ…!?」
黄金の剣に、蠢く黒線がふたたび絡み付いていく。
振りほどこうとするも、質量もなく、ただのホログラムのような存在は、
引き剥がすことも、能力によって吸収することもできない。
見れば刀身は、絡みついた箇所からズレが徐々に大きく。
( ФωФ)「神は二人と要らぬ、これ以上力を高める前に……消えよ!」
ロマネスクが剣を振るう。
(#^ω^)「いや、いいや…! 僕は、僕らは……もう折れたりしない!
するもんか!!」
内藤は迷うことなく前に踏み出し、受けるべく剣を眼前に。
瞬間。
衝撃が、圧力となって空間を満たす。
火薬の炸裂音にも似た音が響いた。
( ω )「………」
( ω )「………うぅ」
( ФωФ)「……まさか、な」
( ФωФ)「驚いたぞ、よもや、この世界を裂く力までも……」
たしかに、あの黒線は防ぐ術がない、あの割断も不可視の現象ゆえ避ける術も無い。
だが、剣が折られるその瞬間は、その一瞬だけは、確かに、世界をも裂くという『衝撃』が発生する。
故に今、内藤が剣から感じているのは、まさに究極の力。
そして放たれる剣は。
(#メω゚)「う、ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
極限まで高められた、一閃となる。
昂ぶる力を抑えきれず放ったそれは、ただ虚空を切り裂くだけの結果となった。
しかし斜めの剣線は、天井から床までを真っ直ぐに刻み、幾度かの砂埃と地鳴りの音を響かせ、
その空間のおよそ半分が文字通りに切り取られ、ゆっくりと落ちていった。
見れば、下は一階層分まるまる切り取られており、二階層の半ばまで覗いている。
そして地上では、突如として、最上部が真っ二つに断たれる異常を目撃し、
どよめきが広がっていく、見れば大穴が斜めに空いている、そんな突然の異変と、
落ちてきた巨大な瓦礫に動揺する声が上がっていた。
ξ;゚听)ξ「……き、斬った、のか、城ごと…!」
(;メω゚)「っ…づ、う」
( ФωФ)「く、くく……いいぞ、久しく感じていなかった感覚だ」
( ФωФ)「流石は我が半身……我が全力で相手をするに相応しき者よ!」
(;メω゚)「ふー…う、ううう…!!!」
( ФωФ)「どうした、何を堪えている、神化の力を解き放ってみよ」
( ФωФ)「そして挑んでくるがよい、かつて神々を制し世界を救ったこの我に!!」
(;メω゚)「うる、さい…! 僕は、お前と同じになんか……ならない…!」
(#゚ω゚)「なってたまるか! 僕は、人間として、お前を……倒す!!!」
(#゚ω゚)「そうだ、今度こそ……本当の、究極進化を…!!!」
額から浮かんでいた、赤い腫れが引いていく。
神化の証と言わんばかりに浮かんでいたその痕が、中心、内藤の目に向かって。
代わりに、その黒い瞳の色を、鮮烈なまでの赤い輝きに変えて。
(#^ω^)「行くぞ、ロマネスク…!
千年越しの決着を、ここでつけてやる!!!」
( ФωФ)「フフ、フハハハ!!
いいだろう、受けて立つぞ人間!!!」
どちらともなく駆け出し、最初の斬りあい、その一撃で、砦の最上部は崩壊した。
下の階層へ崩れ落ちる瓦礫の上、ツンは外を見る。
ξ-听)ξ「やれやれ、見物人のことも考えてほしいものだ」
二人は宙に投げ出され、落ちていく。
その過程でまた斬り合って、また離れた。
( ФωФ)「下で待っているぞ」
ロマネスクは宙を切る、黒い歪が生まれるや否や、その姿が掻き消えた。
姿を探せば、地上の岩場、その一角から内藤を見上げている。
(;^ω^)「くそっ…ズルい…!」
(#^ω^)「エアロバリア、オン…!!」
その場所へ向けて、渦巻く風の道を造れば、
砂を巻き上げ、茶色い巨大な竜巻が生まれ両者の姿を覆い隠す。
続けざまに起きた城砦の崩壊と、巨大竜巻の発生。
既に収まりかけていた戦場は、それで完全に停戦状態と化した。
代わりに場はひたすら騒然とし、あちらこちらで混乱が起きている。
(;'A`)「おわわっ、また瓦礫が! 石が!」
(;'A`)「って……あれは…ブーンか!?」
('、`*川「あれは……」
<_フ;゚Д゚)フ「オイオイオイ、今度は何だ、どうなってんだ!?」
( 凸)「あの竜巻さー、見覚えあるわ」
( 凸)「俺もだ、あんまりいい思い出じゃねーけどな」
(´・ω・`)「やれやれ、ちゃんと働いてるみたいだね」
川;゚ -゚)「……な、なんだ、まさか、空で戦ってるのか…?」
(´・ω・`)「いやぁ、落ちてるだけでしょ」
(*'ω' *) 「ポヒヒィーーーン!!!」
( - -)「ほんとにアレ、大丈夫なの?」
ノパー゚)「問題ないわよ、この私が見込んだ子なのだから」
lw´‐ _‐ノv「だから心配なんだけど…」
lw´‐ _‐ノv「ていうか、もう仮面取ってもいいよね、いい加減邪魔だよ」
ノハ;゚听)「取ってから言うな」
やがて竜巻は舞い上がった砂だけを残して消えた。
視界の悪い空間に、音だけが遠く響く。
地鳴りのような音が響いては大地が揺れる。
見れば他の城砦がまた一つ、ひび割れながら崩壊する。
辺りの岩肌に謎の線が走れば、それらは歪に砕かれて崩れていく。
当初は近づいて様子を伺おうとした者も居たが、そんな彼らの近く、大きな岩山が三つほど、
見えない力により、まとめて切り崩された事で身の危険を察したのか、すぐに逃げ出した。
気付けば、誰もが争いを忘れてその光景を眺めていた。
一体何が起きているのか、何が暴れたらこうまで、
あれほどあった、切り立った岩山の群れが更地となってしまうのか。
と、その時。
砂埃の中から二つの影が飛び出した。
( ФωФ)「むん…!!」
一つは束ねられた黒い線を鞭のようにしならせ、その跡を追うように斬撃を放つ。
大岩や瓦礫を砕き割りながら、鋭利な線がもう一つの影へと伸びる。
そして地面を割る線が、黄金の剣を構える姿にぶつかると、
破裂音だけを残して霧散し、互いの間に綺麗な亀裂を生んだ。
(#゚ω゚)「うおりゃあ!!」
お返しと言わんばかりに、黄金の剣が、離れた相手に向かって振るわれる。
直線だった亀裂が大きく幅を広げ、見えない衝撃に吹き飛ばされるように進んでいく。
合間に存在した大岩は、その衝撃で砕け散り、砂埃をさらに巻き上げる。
そして互いに地を蹴り、衝突する。
それだけで、凄まじい衝撃が周囲に発せられ、地は陥没し、瓦礫の山がまた崩れていく。
山を消し飛ばすほどの力が反発し合う結果だ、遠巻きに居ても尚、圧だけで人が尻餅をついた。
( ФωФ)「……よくぞ、ここまで」
( ^ω^)「……」
ロマネスクは息を切らしながら、眼前の内藤を見る。
対する内藤は息も乱さず、ただ、周りの様子を見ていた。
( ^ω^)「…僕の力なんて、無いようなもんだお」
( ФωФ)「だが結果的に、お前は我をも凌ぐほどの神化を果たした」
( ФωФ)「最後に忠告しよう、今、ここで我を討てば、お前は不幸になる」
( ФωФ)「これほどの力を見せ付けたのだ、人のまま、人として生きる事などできぬ」
( ФωФ)「恐れ、妬み、やがてその悪意がお前を殺す、かつての、我が半身のようにな」
( ^ω^)「……」
しばし固まっていると、どこからか野次めいた声が聞こえてくる。
行け、やれ、負けるな等の声援から、何してんだ、さぼるな、とブーイングまで。
聞き覚えのある声ばかり、なんだかにやけてしまう。
けれどその反面、そんな声が聞こえてしまうほどに、不気味なまでの静寂がそこにあった。
( ФωФ)「現に見ろ、周囲の目を、誰もがお前に畏怖の目を向ける」
( ФωФ)「友の存在とて、今は救いになろう、だがもし、それを失くしたならば、どうだ」
( ФωФ)「お前は、永遠の孤独を背負うことになる」
( ω )「………」
( ФωФ)「必要なのだ、信仰されるべき神が、絶対の存在が…!」
( ФωФ)「見よ、世界は今、試練に直面し、一つとなろうとしている」
( ФωФ)「今が好機なのだ、我か、お前でも良い、絶対の力をもつ者が君臨するのだ」
( ФωФ)「全ての者が神を信仰し、その神が統治する世界、これこそあるべき平和の形だ」
( ^ω^)「まるで、お前がそう仕向けたみたいな言い草だお」
( ФωФ)「無論そうではない、あくまでこれは、お前たちがたどり着いた結果だ」
( ФωФ)「だからこそ、これが最後の選択肢となる」
( ФωФ)「内藤ホライゾン、我が半身よ、もう一度、我と共に歩まぬか」
( ^ω^)「んー……」
( ^ω^)「悪いけど、話が難しくてよく聞いてなかったお」
( ^ω^)「まあ、なんせ友達にも言われるくらいだから、考えなしの大馬鹿者だって」
( ^ω^)「実際、本当に、そうだな…って、思うことばかりでさ……」
( ^ω^)「僕の考えなんて、きっとろくでもない事にしかならないって、思うんだお」
( ^ω^)「…だから僕は、ただそいつの為に、そいつの言うとおりにしようって思ってるんだお」
( ^ω^)「そしてお前は、そいつの考える世界にとって、邪魔なんだお」
( ^ω^)「だからお前を倒すよ、理由も、大義も関係ない、あとの事なんて、全部丸投げだお」
( ФωФ)「そうか」
返事を聞き、ロマネスクは小さく頷いた。
口惜しさや無念は感じられない、ただただ、受け入れるように。
そして空を眺めている。
雲ひとつ無い快晴の空は、こんな殺し合いの場とは不釣合いに青く、綺麗だった。
ドクオの言うように、完全な悪は存在しないのかもしれない。
目の前の男にも、きっと計り知れない何かがあったのだろう。
ハセガワの、僅かな記憶と想いが確かなら、彼は千の年を越えた存在。
人の理で測れるものではないのだろう。
だが、それでも許されないとも思う、罪は、やはり罪なのだから。
容赦はしないと、決意を新たに見据える空に、異様なものが浮かんだ。
(;゚ω゚)「…は?」
青空に、黒い線が走っている。
山の彼方から続くそれは、向かう地平線の彼方まで伸びていた。
そして線の出所は、目の前に立つ男が掲げる大剣から発せられている。
(;゚ω゚)「何を…おま!?」
( ФωФ)「ふ、ならば、神殺しがどういうものかも、教えてやろう」
( ФωФ)「世を統べる神を殺すという事は、世界を導く光が消えるという事」
( ФωФ)「その責を、どう果たす、人間よ!!」
(;゚ω゚)「てめ、やめろこの…!!!」
( ФωФ)「もう遅い!!」
すぐさま駆け出すが、ロマネスクの掲げる剣はすでに振り下ろされ。
剣線を止める事はできず、大剣が地に突き立った。
その両腕を切り落とすが、ロマネスクは笑みを浮かべたまま空を見る。
空に走る線を中心に、亀裂が広がっていく。
青空が、堕ちていく。
ひび割れるように、剥がれ落ちるように。
(;゚ω゚)「あ、あ…っ、こ、んな…!
嘘、だお…!?」
( ФωФ)「は、ハハ、フハハハハハハハハハ!!!!!!!!」
(#゚ω゚)「ろ、マネスクぅ……お前ぇ…っ!!!」
( ФωФ)「これぞ、最後の試練……」
内藤は剣を振るう。
その首が数度回転しながら、血を撒き散らし、落ちていく。
生首は、それでも言葉を続けた。
「見事、越えてみせよ」
(#゚ω゚)「くっ……こ、この、やろ…!!」
血の海に沈む姿を、影が覆っていく。
空の落下は勢いを増して、その向こう、一切の明かりの無い常闇が広がっていた。
その闇が広がるにつれ、地上も影で覆われて、夜がくる。
しかし月も、星も存在しない夜空はただ、どこまでも黒く。
影から逃れようと人が最後の明かりに群がっていく。
悲鳴と、苦悶が、世界に満ちていく。
もはや敵も味方も無い。
争いのない世界が訪れようとしている。
゚ω゚)「みえ…ない……全部、消えて、いく」
遠い空から、何もなくなっていく。
地平線も、山も、境が無い、一面の黒。
世界が、闇に閉ざされていく。
人が小さな灯りを焚いて、光を見出さんとする。
しかしこの暗闇は影ではない、そのせいなのか、
光は一切広がらず、小さな点にしかならず辺りを照らさない。
悲鳴がまた、響いてくる。
ω )「僕が…僕が…もっと早く」
「僕の、せいで…」
あんな、余計な話などするべきでは無かった。
勝機と見た瞬間に、迷わず首を跳ねてしまうべきだったのだ。
甘さが、決意の弱さが、この結果を招いた。
果たしてこの規模はどれほどの物なのだろう。
この周囲だけ、そんな可愛いものである筈が無い。
ともすれば世界中、すべてが闇の中。
光の無い、永遠の世界。
「さ、むい……」
「ちがう、こんな、こんな世界にするために、戦ってきたんじゃ……」
最後の最後で、またしても、失くしてしまった。
それもこんな規模で、もう、どうしたって償えない。
「…僕のせいで……」
「ごめん……ごめんなさい……ジョルジュさん、僕は、結局……!!」
何もない世界でひざまづき、いつしか剣をも落としていた。
カラン、カランと音が鳴り、いつしか足音が側で聞こえた。
「ブーン、大丈夫だ、あとは俺が…」
「………え、ドク、オ…?」
俯いていたから、そして光が広がらないから気がつかなかったけれど、
ふりむけば、光る線をもつ誰かの影が立っていた。
「ああ、言ったろ、ここは、任せろって」
そこは、気付かなかったけれど、城砦前。
最後にドクオと別れた場所だった。
「だ、だけど……もう、こんな…」
「ずっとさ、考えてたんだ」
「世界を焼くって、どういう事だろうって」
「世界中に火をつける事なのか、焼き払う事なのか」
「でもそれって、単に地上にあるものを焼いてるだけだよな」
「だからさ、世界を焼くってのは……きっと」
光の柱が、闇を貫くように天へと昇っていく。
どこまでも、どこまでも高く、空をも突き破るように、どこまでも。
「太陽だよ、太陽なんだ、世界を焼くって」
「いつだって俺たちを、世界を、焼き焦がしながら」
「そして、照らしてくれるもの」
輝く柱が闇夜にかかる姿を、今、世界中の人間が見つめていた。
自分の姿さえ見えない世界で、それは紛れも無い希望であるが故。
「こいつはさ、そんなのと同じ事ができるんだって、すごいよな」
「だから、もうこの剣は、破壊の剣でも、災いの杖でもない」
「もう、誰にも呼ばせない、こいつは……今この時から、世界を照らす永遠の光」
「永光の剣」
(♯'A`)「レーヴァテインだっ!!!!」
光の柱が闇を斬り裂いていく、まるでカーテンを開くようにして、
輝きのあとに眩しいほどの青空が追従していく。
更にその後を追いかけるように、地上の影が消えていく。
地上と、そして再び現れた空の太陽、二つの光が世界を満たす。
どよめき、そして、一斉に歓喜の声が溢れる。
天へと昇った光の柱は、小さな粒子になって空を流れ、消える事無く振り続ける。
それはまさに、奇跡と呼ぶに相応しい光景だった。
( ;ω;)「あ、ああ、まぶ、まぶしい…!
眩しい!?」
(;'A`)「よお、って……おま、なんだその目、真っ赤だぞ!?」
( ;ω;)「……ひかりが……戻って……あぅ、あ」
(;'A`)「てか、そんな、泣くなよ……まったく、どっかの誰かさんみたいだ」
( ;ω;)「だっで、だっでもう、だめだど…!!」
( ;ω;)「ありがとうドクオ、ありがとうだおーーーー!!!!」
(;'A`)「お、おい…! あーもう、締まらないなぁ!」
( ;ω;)「うわああああああああああん!よかった、よかったよおおお!!!」
(;'A`)「それより! それよりもさ!
ブーン、終わったんなら、俺たち行かなきゃいけないとこあるだろ!」
( ^ω;)「え? あ、ああっ」
( ^ω^)「そうだお、報告しに行かなきゃ!!」
('A`)「ああ! 行こうぜ!!」
( ^ω^)「ようし、ぽっぽちゃんやーーーーい!!!!」
(;'A`)「そんな金色雲呼ぶみたいな……」
(*‘ω‘ *) 「ぽヒヒヒィィィィン!!!!!」
(;'A`)(来てるし……)
( ^ω^)「何度も悪いけど、ヒルトまでお願いしたいんだお」
(*‘ω‘ *) 「おっけー!!」
(;^ω^)(;'A`)「「!!!!!?????」」
そしてそんな様子を、遠巻きに眺める姿があった。
巨大船の上、小さくて、声も聞こえないけれど何やら楽しそうだ。
川 ゚ -゚)「混ざりたいんじゃないのか?」
(´・ω・`)「…そっちこそ、会いたいんじゃないの?」
川 ゚ー゚)「ふふ、ああ、だけどすべき事がある、今がそうだろう?」
(´・ω・`)「うん、今以上のタイミングは無いね」
(´・ω・`)「スピーカーの用意は?」
( 凸)「アイ、サー!」
(´・ω・`)「それじゃあ、これがファイナルフェーズだ、みんな、頼んだよ」
「「「「おおーーーー」」」」
そして元、戦場の最中では、敵も味方も入り乱れたまま、
暗闇そして解放という混乱にのまれ、しゃがみこんだ姿ばかりが見える。
ノパ听)「終わったのね…本当に」
('、`*川「けど、結果的には、勝ち負けではなく完全に戦意の喪失による停戦…」
('、`*川「まるで……まるで、こうする事が目的だったような……」
ノパ听)「承知の上の…手のひらの上だとでも?
趣味が悪いぞ、そういう思考は」
ノパ听)「我々は立ち向かい、目標を達成した、今はそれを尊ぶべきだ」
<_プー゚)フ「そうそう、考えすぎてもしょうがないって」
('、`*川「あなたは本当に考えたほうがいいと思うわ」
( 凸)「あの暗闇の中でもなんか、平気そうだったよなこいつ」
<_プー゚)フ「え、なんで、結構落ち着く感じだったじゃん?」
( 凸)「なんやこいつこわ……」
lw´‐ _‐ノv「これで、これからはうちも外交国家の仲間入りかぁ、照れるや」
ノハ;゚ー゚)「……何が?」
『ザザーーーーーザ』
『 の戦場に るすべて に聞いて い
』
ノパー゚)「始まった、では、ご拝聴するとしましょうか」
lw´‐ _‐ノv「そうだねぇ」
『凄惨な戦いに先の暗闇、さぞ疲労しきっている事と思うが、なんて、言っても』
『姿も見えない人間の言葉など不審だったな』
『まず名乗らせて欲しい、私は、今は亡きVIPの王族だった』
『今こうしてこの場を借りて語っているのは、この場の全ての人に、聞くだけでいい、聞いてほしいことがあるから』
『今ここに居るのは、とても強い、勇気をもった人たちだから』
(´・ω・`)「相変わらず下から目線な演説だなぁ」
( 凸)「えー、それがいいのに」
(´・ω・`)「王族言ってるんだから、多少威厳ってのも…」
( 凸)「それに可愛いし」
( 凸)「それな」
(´・ω・`)「彼氏持ちだけどね」
『私には、恐ろしくて立つ事もできない場所に居る、それは、本当にすごいと、心から思う』
『ここには、世界に伝わっている通り、逆賊から世界を守るため、正義の心で立ち上がった人も居ると思う』
『愛国心で戦う人も、譲れない何かのために戦う人も、あるいは、何らかの…恨みの下に』
『そしてきっと、どうしてこの争いが起きたのか、それすら知らないままの人も居るだろう』
『私は今、この戦争が何故起きたのか、それを、伝えたく、ここまで来た』
(;^ω^)「これ……クー、だお?」
('A`)「ああ、そうだよ」
(;^ω^)「よかった、のかお? 何も、言わないで…」
('A`)「大丈夫だよ、ブーンは知らないだろうけど」
('A`)「あれ、行動力すっごいから、常に支えなきゃいけないほど、弱くないさ」
(;^ω^)「そ、そうなの…? いや、でもなぁ…」
('A`)(聞こえますか、ギコさん、しぃさん、つーさん)
('A`)(彼女が、自分の足で進んで、自分が戦うべき場所に立ってます)
('A`)(強く、なったでしょう、フッサールさんも、安心して、聞いてあげてください)
『私の知る真実を』
『あなた達の知る真実と、照らし合わせるために』
『信じろとは言わない、ただ、まずは話を聞いて欲しい』
『そしてできれば、問いかけて欲しい』
『よくも、という憎しみの前に』
『どうして、という問いに答える機会を私達に与えてほしい』
川 ゚ -゚)「……ふー」
心臓が早鐘を打つ、マイクが拾わない事が不思議なほど強く、
しかし大丈夫だ、頭はまだちゃんと回っている。
次の言葉を紡ぎながら、ふと視線を泳がせる。
一隻の船が、何かの動物にひかれて走っていく。
その船から、こちらを見ている誰かと、目が合ったような気がした。
手を差しだし指先で泳がせた。
どこへ行くのか知らないが、まったく酷い話だ、人が頑張っているのに。
無視してどこかへ、また、行ってしまうなんて、どうかしている。
思いながら、その行為が信頼の証なのだと、ただ依存していた過去の自分が叱咤する。
だからせめて、次に会ったらそう、まずひっぱたいてやろう、そう思いながら。
『呪われた神具を利用して、湖鏡という国を脅し』
『ロマネスクの支配下にあった人間の暗躍により』
『結果……私達を迎えてくれた、あの心優しい巫女たちが犠牲となってしまった』
『今でも、悔やみきれない事だ、原因だ真実だと語ったところで、私達の行動の結果である事は変わらない』
『その事に不審を抱いた事が、彼の湖鏡国の管理者が私達の下へつく発端と』
<_プー゚)フ「………」
「それが……今のが、真実だってのか!?」
('、`*川「…そうよ、まだ、私の体にはあの時の傷痕があるわ、見たい?」
「い、いや、そんなのは……」
<_プー゚)フ「なんだよ、信じられないのか?」
「そういうわけじゃ……いや…そう、だな」
「信じ……たく、ないのかもな」
「……ああ、俺も、それだな」
<_プ -゚)フ「お前ら…」
「だってよ…それ、信じたら、俺……なんて事を…」
「必死に身体張ってくれたあいつらに……俺たちは……」
('、`*川「……それについては、私も同じよ」
('、`*川「エクスト達、そして渋沢、彼らが居なければ、きっと、もっと取り返しのつかない事をしていたわ」
('、`*川「押し潰されそうな気持ちも、真っ直ぐに彼らを見れない気持ちもよくわかる…」
('、`*川「でも、罪の意識から目を背けてはダメ、それでは前を向けなくなってしまう」
('、`*川「ちゃんと後悔して、悔やみながら進むの、そして自分にできること、一緒に考えましょう?」
<_プー゚)フ「………」
( 凸)「何、ニヤニヤして、トマト食べたいの?」
<_プД゚)フ「次Mって書いて渡したらおこだからな!!」
( 凸)「ところで、ツンさんどこに居るんだろう」
<_フ;゚ー゚)フ「あ、そういえば……まさかまだあの城ん中か?」
(;凸)「めっちゃ崩れてんだけど、え、大丈夫なの、あれ?」
(;凸)「いや、そもそも、足止めに一人で行ったんだろ…?」
(;凸)「ああ、あんな、山を荒野にしちまうような化物と相手に……」
( 凸)「………いや、無理じゃね、今度ばかりは」
<_プ -゚)フ「ツンの兄貴……ちくしょう、人の事カービィ扱いして、自分が星になってどうすんだよ…!」
(;凸)「どうか安らかに……」
『人を操る神具を使うものを相手に、己が仲間を守るために単身』
『月鏡の管理者、彼の存在なくして私達はありえなかった、彼こそ英雄であると』
「へくしっ」
ξ゚听)ξ「……なんか、背中がかゆくなるな」
ξ゚听)ξ「ていうかここ埃っぽくていかん」
ξ゚听)ξ「さっきからくしゃみが……」
ξ;゚听)ξ「ふぇ…」
ξ゚听)ξ「止まった、くそ、早く出口を探さんと……」
ξ#゚听)ξ「ええい、通路はどこだ!
目印くらい用意しろ!」
………。
しばし時は流れ、ここはヒルトの街から少し離れた山間の広場。
石碑が立ち並ぶその場所で、両手を組んだまま目を閉じる少女の姿があった。
晴れ間は覗けど、まだ降った雪は新しく、獣の歩いた跡すら存在しない。
吐息は白く、雪が煌く世界はまだまだ寒さだけを伝えている。
从 ゚∀从「……な、なあ…さすがに、身体壊すって、な、宿に戻ろうぜ?」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、私は大丈夫です、ハインさんこそ付き合わなくていいんですよ」
从;゚∀从「そう言われてもなぁ……またあんなのがあったら、怖いし」
ζ(゚ー゚*ζ「あのいきなり真っ暗になったの……なん、だったんでしょうね?」
从;゚∀从「うーん…異常気象…じゃないよな、流石に…」
从 ゚∀从「ま、晴れたからいいけどさ」
「ィ ン」
从;゚∀从「ん…なんか今聞こえたか?」
ζ(゚ー゚*ζ「えっ、どんなですか?」
从 ゚∀从「なんか、鳴き声みたいな…」
「ヒヒヒィィン」
ζ(゚ー゚;ζ「っ!」
从;゚∀从「これって、あん時の…!?
まさか…!」
山道に足跡を残して駆ける二人の先には、あの時の馬と、
ボロボロになった船、そしてその上で手をふる、あの二人の姿。
そして笑顔で、親指を立てるジェスチャーが、その結末を教えていた。
( ^ω^)
('∀`)
从*゚∀从
ζ(;ー;*ζ
泣き笑いのような声が、何度も何度も上がっては山間をこだまする。
彼らは奥へと進んでいった、目的地は、とある石碑。
直接、まず第一に伝えなくてはならないと、そう思っていたから。
英雄を目指し、英雄にはなれなかった少年と。
復讐を誓い、復讐を果たせなかった少年は。
しかし、とても満足そうな笑顔に涙をためて、最後に感謝を告げた。
ここまでこれた。
あなたに出会えた、おかげです、と。
遠く空へ、響いていた。
next
to epilogue、、、、、、l
戻る