2 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:06:02.39 ID:JgXraifO0





旅の始まりは、一つの争いだった。







 一つの地に始まり、やがて全土にまで広がって行く。
その争いはやがて、過去最大規模のものになっていく。




そして大きな争いが起きた。





  接続者と呼ばれ、火や水、風や雷を操る者たちと、
 管理者と呼ばれる、特別な武具を持った者たちによるその争いは、
数え切れない夜を跨ぎ、数え切れない人の死を生み、それでも続いていた。
6 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:08:33.16 ID:JgXraifO0


一人の少年が居た。



 自分の中にぽっかりと開いた穴が、必要の無い空白であると思っていた少年は、
やがてそれも掛け替えのない存在なのだと気付き、抱えるように前を向いた。



少年を救いたいと思った少年が居た。



  失う事を恐れるあまり、無力である事を何よりも嫌った。
 自分を自分にしている物が何なのか、それも分からないままに。
けれど、やがて自分の願っている事の答えを得る。





そうして少年たちは出会いの果てに、自分という存在を確立させていった。



10 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:16:24.98 ID:JgXraifO0

『僕は……誰だ?』



――――あの。




『お前は我が半身、ロマネスクだ』




――――最後の日まで。




11 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/18(日) 23:17:04.01 ID:JgXraifO0





『 ('A`)と( ^ω^)は異世界で絆と出会うようです 』






 01「終わりへと辿る」






12 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/18(日) 23:18:05.79 ID:JgXraifO0

 いくつもの廃墟が並ぶ、人気のない集落があった。
地には折れた剣が散らばり、焼け跡が至る所に刻まれている。

ここにはかつて、平和な村があった。

 豊かさを象徴するかのように、村は大いなる自然に囲まれ。
畑にはいつも大地の恵みが芽生える。

この地はかつて豊穣の国と、そう呼ばれていた。

 そんなかつての平和の地にて、変わり果てた村の姿をただ見つめる者が居る。
ひゅう、と吹く風に身を任せ、彼はどこか遠くを眺めたまま、やがて目を細めた。

(´-ω-`)「……何で、来ちゃったんだろうなぁ」

 そして、自らへと問いかけるように、そう口にした。
返ってくる言葉も、返す言葉もなく、ただ、時だけが静かに流れていく。

 ここを訪れれば、こんな光景を見ることになるのは分かっていた。
ここへ来なければ、こんな光景を見ずに済んだのは分かっていた。

それでも足が向いてしまった。その理由は、感傷と後悔からだろうか。

(´・ω・`)「…………」

笑っていられた頃を思いながら、やがてショボンはその場に背を向けた。
16 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:22:12.17 ID:JgXraifO0



           あの戦いから、およそ一月あまり。




   神具強奪を繰り返し、一国の姫をも惨殺した非道の犯罪者集団は、
   
   ついに管理者を集め、豊穣の地にて徒党を組み、世界を混乱に陥れるべく動き出した。

   以前より彼らの存在と、その危険性を察知していたルファウス国王ロマネスクは、

   逆賊を迎え撃たんと各国に助力を仰ぎ、幾度もの交渉の果てに同盟国をまとめあげた。

   そして、自らも神具を手に指揮を取り、ついには単身で管理者二人を討ち取る功績を残す。

   同時に、敵は主力であった太陽と破壊の管理者を失った事で勢いを失くし、敗走。

   後に終末の戦いと名付けられる、長きに渡る争いはひとまずの決着を見る。

   同時に、この勝利において多大な貢献を残したロマネスクを支持する声は更に高まる事になった―――。

   




17 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/18(日) 23:24:19.19 ID:JgXraifO0

 音のない情景の先には、白色に覆われた街がある。


 険しい渓谷の上に建造されたその街は、まるで雲の上に浮かぶようにして連なり、
その全貌は雪に隠されながらも、街灯の明かりがどこまでも続いている事で、その広大さを証明していた。

  降り続く雪のなか、人々はこの世界情勢を知りながら、それでも活気を失わせることなく、
 薄暗い通りにはオレンジの灯りが雪を染め、更にそれを埋め尽くすように影が行き交い、
威勢のいい行商の声がいくつも重なれば、それに応える声もまた、いくつも上がっていた。

「あー……いい匂いがする」

「よう、兄ちゃんもどうだい、ヒルト特製サンドパン、んまいぞー!?」

「へー…パンに肉とかいろいろ挟んでんのかー、うまそうだなー、
 けどおっちゃんさ、このガウ○カとか、アプケ○スとかなんで隠語なん?」

「近頃はいろいろあんのよー」

「ふーん…つまりこの地方独特のエロ単語なのか」

「いや違くて」

「んぐんぐ……うい、道草食ってないで行くぞ」

「えー、いいじゃんちょっと待ってよ」

20 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:27:41.20 ID:JgXraifO0

 火にくべ吊るされた大きな肉塊を前に、夢中になっている男の傍らで、
長身の男がやれやれ、とでも言うように肩をすくめた。

 _、_
( ,_ノ` )「これだからカービィは食い意地ばっか張って困る」

<_プД゚)フ「だからカービィ言うなや!!」

ξ゚听)ξ「ハフハフ、国王直々の呼び出しだ、のんびりしてる場合ではないぞ」

<_フ;゚ー゚)フ「へいへい……つーか何か食ってるし!? いつの間に!?」

ξ゚听)ξ「む、次はあれだ、あれがいい、あの白団子」

( 凸)「あれこないだ食ったわ、クリームのがうまかった」

( 凸)「マジか、いいな」

ξ゚听)ξ「よし、急いで買ってこい! 40秒でな!!」

<_プー゚)フ「俺が言うのも何だけど、馴染みすぎじゃね?」

22 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:29:13.41 ID:JgXraifO0


沢山の通行人に混ざる彼らは、この平和な光景とは不釣合いに誰もが腰に剣を携えている。


 しかし、それすらも自然に見えるのは、彼らだけではなく、この国に生きる誰もが、
己の一部であるかのように、それぞれ武器を所持しているからだ。

そんな国の名をクリムヒルトと言う。

  世界最大の武力国家と称されるこの地では、強くある事が絶対の正義であり、
 己が理念に誇りを持ち、強者として隣人を見下さず、誰もが自分に自信をもって生きている。
だがそれ故に、ここでは戦いの文字が耐えることは無い。しかしそれも、一つの平和の形かもしれない。










25 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:31:14.02 ID:JgXraifO0


     敗走した逆賊、豊穣の地エッダの軍勢は、この戦いの直後から姿を消す。

     同盟国のリーダーとして、世を率いる事になった英雄王ロマネスクは、

     逆賊はまず、デンオウ国から使者として活動を始めたという情報から、

     まずデンオウ国、そして双を成す国と呼ばれるオーデンへと使者を送った。

     すると、驚くべき事実が判明する。

     今回の一連の事件、その戦犯はハインリッヒという一人の女性。
    
     そしてその人物こそ、かつて※接続珠を作り、世界の技術を大きく前進させた、

     かの有名な科学者、高岡博士その人であると言うのだ。
     


28 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:33:47.07 ID:JgXraifO0

  両側の壁を埋め尽くさんばかりに、大きな本棚が立ち並び。
 豪華な装飾がなされた窓を背に、一人の男は手紙を広げ、しばし睨む様に見つめたあと、
そっと机の引き出しへと手紙を仕舞い、やがて静かに、大きくため息をついた。

( ´_ゝ`)「………」

(=゚ω゚)ノ「………弟さんからは、なんと?」

( ´_ゝ`)「うん、話に聞いた通り、全てはあの子が始めたという事になっているみたいだね、
       名を捨てたという事実が、それに拍車をかけてしまっているようだ」

(= ω )ノ「そう…ですかょう」

( ´_ゝ`)「それと……僕らが変な気を起こさないように、と釘を打たれてしまったよ」

(=゚ω゚)ノ「………………………」

( ´_ゝ`)「そんな事は当たり前だろうに、僕らには国と、民を守る義務がある、
       だから真実がどうあれ、僕らもあの嘘話に合わせるしかない」


30 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:36:17.80 ID:JgXraifO0

(=゚ω゚)ノ「神具……グングニルは、己が立場を利用した高岡博士が強奪を企み、オーデンへと訪れたが、
     ロマネスク王の迅速な行動によって、それは防がれ、危険が及ばぬよう自国で保管する……」

( ´_ゝ`)「そして、彼等は計画が失敗に終わると、ロマネスク王配下の人間を虐殺し、
       双国オーデンから逃走した、つまり我々は被害者である、
       この証拠として、未だ大地にはその焼け跡が残り、国民もそれを記憶している、と来たものだ」

(=;゚ω゚)ノ「こんな……いくらなんでも、出来すぎじゃないかよぅ…!?」

( ´_ゝ`)「ああ、ついでに知っているかい? あの強奪の際、この国を武装集団が包囲した訳だけど、
       そのとき、どうやら旅人や行商の人間が彼らと接触していたらしくてね、
       彼等は皆、口をそろえてこう言うそうだ」

(=゚ω゚)ノ「…?」

一呼吸の後、笑みを浮かべ。

( ´_ゝ`)「その理由を口にしたりはしなかったけれど、彼等はとても親切だった、そうだよ」

 その言葉の意味を、イヨウはしばし考えるような素振りを見せ、
その言葉の真意に気付くと、背筋を凍らせた。

(=;゚ω゚)ノ「な、なんだよぅ、なんだよぅそれ!? それじゃ、それじゃあまるで、
      最初からこうなる事がわかってたみたいじゃないかよぅ!?」

( ´_ゝ`)「ああ、もしそうなら完璧なシナリオだよね、どんな手を使えばそうなるのか知らないけど、
       結果として、被害者は妹者だけで、真実を知る僕らは民を人質に取られ、言葉すら封じられた」


33 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:39:19.80 ID:JgXraifO0

 そしてデンオウ国の弟者に至っては、事実を口にした所で、恐らく誰も信じはしない。
更に言えば、いざとなれば逃げ口もある。そう、一人の管理者が裏切った事にすれば、それで済むのだ。


( ´_ゝ`)「だから分かっているさ、僕らはただ、遠まわしな服従を見せるしかない、
       それしか道は無い、ああ……分かっている、分かってるよ」

だが、と。

(#´_ゝ`)「何故だ……? 何故、誰一人としてそれを疑えない…!!
       こうまで人々の役に立ち、生活の糧となり、必需となった物を生み出した彼女を、
       どうしてこうまで悪と出来る!? 人の為にと生きてきた彼女を、どうして否定しかできんのだ…!!」

(#´_ゝ`)「在って当然という概念を持てば感謝も忘れ、信じる心も失くす、人間とは、その程度の物なのか……!?」

 ならば、そんな物を守る価値は果たして本当にあるのか。
飛び出しかけた言葉を、兄者は目を伏せ、必死に押し留めた。

 イヨウは、そんな兄者の悲痛なまでの怒りを前に、何を言葉にする事もできなかった。
強く机を叩く音にさえ、ただ目を伏せ、唇を噛みしめ同じように俯いた。

  中には、高岡という名に敬意を持ち、それを疑う者も居るかもしれない。
 だが、そんなものは大衆を前にすれば飲み込まれてしまう。それが分かって尚、
何もできない自分への憤りが抑えきれず、兄者は震える拳を握った。

37 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:42:15.87 ID:JgXraifO0

と、その時。不意に入り口の方から小さく軋む音が響き、イヨウは慌てて振り向いた。


(=;゚ω゚)ノ「ぁ……い、妹様」

 そこには、入り口の扉から身体を半分だけ覗かせ、何処か不満そうに中の様子を伺う少女が居た。
兄者は一瞬だけ眉を上げるが、すぐに平静を装い、穏やかに少女へと声をかけた。


( ´_ゝ`)「もう一人で歩いても平気なのかい、妹者」

壁|A・ノ!リ「………」

( ´_ゝ`)「ほら、そんな所に居ないで中においで」

壁|・A・ノ!リ「……兄者、なんだか怒ってるのじゃ」

( ´_ゝ`)「そんな事ないよ」

从・A・ノ!リ「それは嘘なのじゃ」
40 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:44:18.04 ID:JgXraifO0

 少女はやはり不満気に言葉を返すと、書斎のような部屋へと跳ねるように飛び込んだ。
見れば杖を腋に当て、片足を引きずるようにびっこを引いている。

 そして、ひょこひょこと兄者が座る長机の前へとやってくると、真っ直ぐにその目を見据えた。
やや見詰め合ってから、兄者はふと目をそらし苦笑を漏らす。

( ´_ゝ`)「全く、適わないな……うん、正直かなり怒ってた」

从・∀・ノ!リ「うむ、でも怒っちゃ駄目なのじゃ、わらってわらってぷりいず」

 そう言って、少女はその痛々しい姿とは裏腹に、ほがらかに笑った。
二人は少女の笑顔を前にして、やがて同じように笑みを浮かべる。





しかし、それでも内心思うのは。






41 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/18(日) 23:45:30.53 ID:JgXraifO0





     話を聞けば、博士は以前から不審な動きを見せていたと国民は語り、

     国外を徘徊する姿も、付近の集落や行商人がたびたび目撃している。

     恐らく、そうして他の人間を集め、他国とコンタクトを取っていたのだと思われる。





44 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:48:04.86 ID:JgXraifO0

(´<_` )「あーあ、なんか落ちつかねえなぁ」

 ぽつりと口にした言葉は、石柱が並ぶ王室にむなしく響いていた。
弟者はその最奥にて、金色に装飾された椅子に腰掛け、がらんどうな空間に何かを見る。

  内藤という少年が太陽の剣を手にしたことは、弟者も伝え聞いている。
 弟者が最後に見た内藤は、生まれ故郷に帰りたいと泣く、戦いとは無縁そうな少年だった。
そんな姿に、この子は戦いには向かない、弟者はそう感じていた。

 けれど、太陽の管理者は戦死した。かなり確実性のある情報だった。
他にも相当な数の人間が命を落としている、戦争ゆえにそれは仕方のない事かもしれない。

だからこそ。

(´<_` )(……また、泣いてんのかなぁ……自分のせいだーってさ)

  弟者は思う。こんな時、あの人が居ればなと。
 今頃どこで何をしているのかは知らないが、自分たちを王たらしめたその原因が。
そうしたら、果たして何が変わっただろう。

47 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:50:00.10 ID:JgXraifO0

 考え。しかし不毛だな、と助けを求める思考を止めた。
居もしない人間に頼ったところで、何も得る事は無いということは、昔に思い知っている。

(´<_` )「……けど、まあ、これで終わらせるつもりは無いけどな」

 言って、弟者は立ち上がり、部屋の隅にある塊を見た。
何か小さな物が無造作に積まれ、大きな山を作っている。

  塊の正体は、四角形が重なり合い、赤蒼紫のグラデーションが彩る鉱物だった。
 その結晶の名を、串と言った。一般には公表されていないため、
見た目だけで物を判断できる人間は極僅かという代物である。


(´<_` )「出来る事はこれだけ、ってのも悔しいけど、何もしないよりはマシってな」



51 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:53:57.07 ID:JgXraifO0




       更に、王姫である日陽の巫女殺害の件においても、

       入国の際には高岡の名があった事を、当国の人間が語っている。

       これも、最初から狙いは彼の国の神具、太陽の剣であったとされた。

       だが、現状において日陽の国代表とも言える、悲劇の管理者ペニサスは、

       終末の戦いより以前からその姿を消しており、行方不明となっている。

       そして――――。



55 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /18(日) 23:56:30.81 ID:JgXraifO0

 荒地を分断するように連なる、大きな崖があった。
それは下を流れる川が、長い年月をかけて作り出した物である。

下っていくと、やがて森の中へと入っていく。

 多種多様な動植物がそこには息づき、木漏れ日はスポットライトのように中を照らし、
明かりと暗がりの間を、今も一匹の真っ白い羽虫が通り過ぎていく。

そのうちの一つに、桶を抱えた人影がある。

木で作られた不恰好な桶には水が張られており、男はそれを抱えながら空にを仰ぎ見ると、眩しさに目を細めた。

「今日で……何日だ?」

「はぁ……あいつら、どうしてっかな」

  果たして無事で居るのか、気がかりだが、それを確かめる術は無い。
 もし彼女を信じるのならば、ここへ戻ってこない事が、まだ無事である証拠になる。
ここを離れる訳にいかない以上、それを信じる以外に道はなかった。



56 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07/18(日) 23:58:41.30 ID:JgXraifO0

とは、言え。

( ゚∀゚)「……我慢するってのは、どうにも合わねぇな」

 それも、そろそろ限界だった。
だから、ここを離れようと思った。

  この言葉を口にすると言うのは、とある人間を心から信じる事に他ならない。
 その人間は、決して許す訳にはいかない人間で、決して信用できない人間、だった。
故に、今この時まで動けずに居た。しかし、認める事だけはできた。

  あんな姿になってまで、助けようとしている姿に、少なくとも嘘は無いと、そう思い。
 ジョルジュは木々の奥地を見据えると、言うべき言葉を選びながら足を向けた。








59 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:00:03.19 ID:qW3LWsJi0





    
    敗走したエッダの軍勢は、遠い北の地であるヒルトへ逃げ込んだ事が判明した。

    ロマネスクはその行方を掴むと、使者を送り管理者の引渡しを要求。

    しかしヒルトは抵抗の意思を見せ、数度に渡る交渉の後、ついには決裂。

    この時より一月の猶予期間を置き、以降は武力行使も已む無しとなった。

    




61 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:02:54.87 ID:KF78Kfa90

ノパー゚)「集まったわね」

  彼女の一言に、ざわつく室内は一斉に静まり返った。
 いくつもの雷珠が取り付けられた、豪勢なシャンデリアの明かりの下には、
大きな円卓と、それを囲うように椅子が並び、いくつかの空白を作りながら人が座っている。

ノパー゚)「……さて、話を始める前に、一つ確認するわ」

 言葉には、沈黙をもって返された。
ヒートは目で一度伺ってから、一息後に口を開く。

ノパー゚)「失礼だけど、貴女は本当に信用してもいいのかしら?」

 言って、一つの席を静かに、しかし冷ややかな視線が流れる。
その先には、黙ったまま、しかし真っ直ぐにその視線を受け止める姿があった。

('、`*川「…………」

(´・ω・`)「……信じる信じないは、思うようにしてほしい、彼女はそう言った筈ですよ、
      どうしても無理なら、軟禁でもなんでもすればいい、とも」

(´・ω・`)「それに……今は、情報の取捨選択をしている余裕はないかと」

  敗走したショボン達がヒルトの地に逃げ込む際、その前に現れたのが彼女だった。
 管理者二人を失った事と、沢山の犠牲を払って尚の敗北と、口には出さずとも感じていた絶望。
気落ちする彼らへ、ペニサスは開口一番にこう言った。


65 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:05:20.79 ID:KF78Kfa90


(あの二人……内藤君とドクオ君は生きているわ、でも―――)


ノパー゚)「……そう、ツンさん、と後ろのあなた達はどう? 聞けば古い知り合いだそうだけど」

<_プー゚)フ「え? いや、知り合いっつーか、元上司っつーか、うん、まあアレだよ、アレ」

( 凸)「どれだよ……」

<_プー゚)フ「まあ、いいんじゃね! なあみんな!」
 _、_
( ,_ノ` )「少しは空気を読んでから喋れ」

ξ--)ξ「………」

  ツンは思う。彼女とは、幾度と無く剣を交わした。ある意味では、一番信用できる相手だ。
 そして、そんな彼女が狂ってしまったのが、とある神具による物だということは知っている。
その現場も、自分が一番近くで見ていたし、よく理解している。

だからこそ、今の彼女の姿を見るのは初めてだった。

 自分と同じように、剣に己の誇りと自信を乗せて、強かった頃の面影はなく、
ただ、叱られる子供のように口を閉ざし、何処か、諦めの様な意思を見せる弱々しい姿は初めてだった。

72 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:09:32.40 ID:qW3LWsJi0

('、`;川「ツン……」

ξ゚听)ξ「ペニサス、まず言っておく……私はお前を信用しない、絶対にな」

('、`;川「……………そう、でしょうね」

ξ゚听)ξ「ああ、少しでもおかしな真似をしてみろ、その時は、私がお前を殺す」

ξ゚听)ξ「……だから、信用を得たければ示し続けろ、情けない言葉に頼るな、
     己のしてきた事を悔やむなら、行動でのみそれを示せ」

ξ--)ξ「私が言えるのは、それくらいだ」

(-、-*川「………」

<_プー゚)フ(ツンデレキター!)

ξ゚听)ξ「プププランドに帰れ」

<_フ;゚д゚)フ「あ、あれぇー!? 心読まれた!?」

77 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:11:25.92 ID:qW3LWsJi0

('、`*川「そう、ね……その通りだわ」

  陰が落ち、ぼんやりとした彼女の瞳に、少しばかりの灯が見えるのを、ヒートは見た。
 それは俯いた顔を上げ、目を開いたことで天井の明かりが映りこんだだけの事だ。
しかし、ヒートはそこに何かを見出したのか、小さく頷き、穏やかに笑みを浮かべた。

ノパー゚)「それじゃ、今後についてを話しましょうか」




    こうして、約束の期日は近づいていく。

    世界は完全に二分され、それぞれの未来を決める闘いが、もうじきに始まろうとしていた。

    




一ヶ 終



79 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2010/07 /19(月) 00:12:37.20 ID:qW3LWsJi0

一ヶ「終わりへと辿る」済          十一ヶ「       」
       ↓
二ヶ「それぞれの在り処」         十二ヶ「        」

三ヶ「            」        十三ヶ「       」

四ヶ「      」              十四ヶ「       」

五ヶ「       」             十五ヶ「         」

六ヶ「      」              十六ヶ「       」

七ヶ「         」           十七ヶ「      」

八ヶ「      」              十八ヶ「     」

九ヶ「      」              十九ヶ「          」

十ヶ「  」                  二十ヶ「              」


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