2 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:17:11 ID:tWpPyKGM0
6日目
―11:14:44―

眩い、ストロボの光が当たる。
俺はカシャカシャと鳴るカメラの音に包みこまれる。
光の中にいる記者達は俺…いや私の発言の一つ一つを待ちわびている。

( ・∀・)「この攻撃は私ではなく、この国を狙った犯行であります」

( ・∀・)「間違いなくテロ行為でしょう」

俺は味付け程度に作った嘘の仮面を被り、演技をこめて国民に叫ぶ。
俺の一言は、この国の国民にとっての全てだ。
殺せと言えば、それはこの国の為に違いないと民衆は思い、躊躇い無く愛する人を殺すことだってできる。
つまり、俺の口はこの国の全てを動かす権限を持っているんだ。



( ・∀・)「本日、20時をもって、この国の全ての航空機及び全ての船舶は国外への渡航、また国外からのを入国を一時的に禁止とする」
4 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:18:57 ID:tWpPyKGM0
◇9:大富豪

―14:05:43―
吾輩はクーの顔面に向けて銃を構えた。
しかし、クーはそれすらも省みず吾輩の元へ走る。



そして、一発の銃声が部屋に響き渡る。




川 ;゚ -゚)「!!………」

( ;ФωФ)「っ!!…………」

カランカランと手にしていた銃が地に落ちる。
握っていた手はビリビリと痺れ、指先に激痛が走る。
何が起きたのか最初はまったくわからなかったが次第に脳が状況に対応してきた。

( ;ФωФ)「ドクオ…!貴様……」
6 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:20:25 ID:tWpPyKGM0
銃声は吾輩のものでは無く、ドクオのものだった。
吾輩がクーに向けて引き金を引くその瞬間、吾輩が引き金を引くよりも速く銃を構え吾輩の拳銃の銃身に弾丸を当てた。
その衝撃によって、銃は吾輩の手から零れ落ちていった。

吾輩は銃口をこちらへ向ける男の顔を睨む。

('A`)「…冷静になれよロマネスク」

( ФωФ)「貴様には関係ないだろう。それとも自ら犯人だと名乗り出したのか?」

('A`)「話を聞く限りだとお前も容疑者にしか思えないがな」

( ФωФ)「その銃を突きつけてどうするつもりだ?」

('A`)「お前次第だ。とりあえず…そのペースメーカーってのをよこせ」

( ФωФ)「…貴様に渡して何になると言うんだ」

('A`)「俺は何もしねぇよ。ただロマネスク。あんたが信用できないだけだ」
9 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:24:40 ID:tWpPyKGM0
( ФωФ)「下らん…。そんな曖昧な理由で貴様は銃を発砲するのか?」

('A`)「理由?そんなもんに何の意味があるんだよ。お前は呼吸をする事に理由がいるのか?」

( #ФωФ)「何も知らないくせにほざくな!信用だと?モナーさんの死を前にして何を言っているんだ!」

('A`)「ああ。たしかにお前らの会話から何が真実で何が嘘なのか、俺にはさっぱりわからねぇ…けどな」


('A`)「真実は俺の目で確かめる。お前の好きにはさせねえよ」

ドクオは銃を構えたままゆっくりと吾輩の元へ近づく。

('A`)「死ぬか渡すか5秒以内に選べよ。ロマネスク」

( ФωФ)「貴様にはほとほと呆れたわ。次会った時は必ず一騎打ちをしようではないか」

('A`)「次…?」

10 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:26:41 ID:tWpPyKGM0
ほんの一瞬の隙を吾輩は見逃さなかった。
吾輩は袖に仕込んでいた煙幕玉をドクオに向かって投げつける。

('A`#)「お前っ…!!」

ドクオはすかさず宙に浮く球体に目掛け銃弾を放つ。
わかっている。
ドクオ…貴様のその反射神経の良さは時として仇になるのだ。

煙幕玉に弾丸が接触する。
それがきっかけとなり、煙幕玉は破裂し、室内に大量の白煙を撒き散らした。

川 ;゚ -゚)「う…!!ゲホッ!ゲホッ…な゛んだこれは…!」

(;*゚ー゚)「ロ…ロマネスク…!」

( ФωФ)「吾輩はここで引くとする…。調べることは山積みだ」

吾輩は白闇の中で語りかける。

( ФωФ)「そして…この中にいるかもしれない、犯人よ。」

( ФωФ)「必ずこの手で…貴様を殺す」
12 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:29:19 ID:tWpPyKGM0
('A`#)「待て!ロマネスク!」

煙によって2cm先すらも見えない室内で、ドクオが吾輩の影を追う。
無駄だ。吾輩は逃走のプロ。
貴様らに捕まるわけがない。

ドクオは銃を乱射し、室内にあるあらゆる家具を破壊する。

(´<_` ;)「ドクオ!落ち着け!俺まで殺す気か!」

弟者がドクオの腹を掴み、乱射を阻止する。
賢明な判断だ。

吾輩にそんな玩具は当たらないのだから。

('A`#)「ふざけるな!おい!戻ってこい!」

(  ωФ)「…吾輩はしばらく海外へ立つ。貴様らとはしばらく会うこともないだろう」

そして吾輩は素直わんにゃんクリニックを後にした。
ドクオの気持ちはよくわかる。



自分自身の目で真実を見るのだ。
15 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:32:04 ID:tWpPyKGM0






【◆( ФωФ)ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】

16 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:34:44 ID:tWpPyKGM0
7日目
―11:56:12―

ロマネスクが去ってから丸1日が経った。
夜通しで騒がしかった街も、今では静かになり、住民は祭りの片付けに徹しているようだ。
騒がしかったのはこのクリニック内も同じで。
ドクオとロマネスクが争った室内は酷く荒れており、ドクオとクーも町人同様片付けに勤しんでいる。

ドクオは片付けなどやらないかと思っていたが、クーの命令により渋りながらもせっせと片付けている。
ロマネスクに首筋を叩かれ、昨日の夜まで寝込んでいた俺の兄もトイレで盛大にぶちまけた嘔吐物を懸命に拭き取っている最中だ。
どうやらここの男達はこの女に逆らえないようだ。
なんというカースト。

しぃは国内を騒がせている財務省職員、ギコの元へ向かったようだ。
まさかしぃがあのギコをターゲットにしていたとはな…。
前々から思っていたが、この国は想像以上に狭い。

一方の俺はと言うと、ギコが眠っている部屋とは別の病室に向かった。


あの女に用があるからだ。
18 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:38:25 ID:tWpPyKGM0
病室のドアを開け、中に入る。
3つのベッドとグリーンカーテンに覆われた区画が目に入った。
おそらく彼女はあの中にいるのだろう。

(´<_` )「よう、相変わらず下品な巻き髪だな」

俺は憎まれ口を吐きながら、カーテンを引く。
予想通り、ヤツは中にいた。

ξ゚听)ξ「何の用?」




だがピストルを突きつけられるのは予想外だ。

(´<_` )「首から下はほとんどミイラじゃないか。よく生きてたな」

ξ゚听)ξ「あんたには関係ないでしょ?ねぇ、さっさと出てってくれない?」
21 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:42:16 ID:tWpPyKGM0
(´<_` )「あれから6年か…。早いもんだな」

ξ゚听)ξ「うるさい。いいから出てって」

(´<_` )「こうやって二人で話すのもあの日以…」

ξ゚听)ξ「やめて。その話はしないで」

(´<_` )「懐かしいな…あの頃はよく」

ξ゚听)ξ「撃たれたいの?黙ってよ」

(´<_` )「つれないな。俺とお前は…」

ξ゚听)ξ「黙れ!!」







あんなにも、愛し合っていたのに。
23 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:45:45 ID:tWpPyKGM0
俺達、流石兄弟とツンは同期で「Player」に入った。
そのせいか、入りたての頃は常に一緒に過ごしていた。
時にはいがみ合い、時には笑いあい。
ツンといれば飽きることのない毎日が送れた。

ツンが運航した船に乗りながらプログラムを作り、海の向こうの依頼主に手渡した事もあった。

俺とツンは性格も仕事も正反対だ。
しかしその真逆の性格が、俺達を磁石のように引き寄せたんだ。

あの頃はその気持ちだけを信じていた。

そして、俺達の距離はゆっくりと縮まり、気付けば唇を重ねあい、体を求める間柄になっていた。
そして、お互いがお互いを愛し、共に歩くことを決意した。
あの頃は本当に若かった。




20歳のツンの誕生日に俺は彼女にプロポーズをした。

24 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:47:49 ID:tWpPyKGM0
ツンは快く、俺が用意した指輪を受け取ってくれた。
俺達は永遠の愛を信じて疑わなかった。


しかし、それはたった2週間で崩れ去った。
理由は簡単だ。





彼女が手掛けた密輸船が俺達「ポケット10」がGPSを狂わせた事により、沈没した為だ。




船は氷山にぶつかり大破。乗組員49名は全員死亡した。

ξ゚听)ξ「忘れたとは言わせないわよ。おかげで私は地位も仲間も全て失ったわ」

(´<_` )「何度も言うが…あれは事故だ。俺達が狙っていた船と対象がズレてしまったんだよ」

ξ゚听)ξ「だから何?あなた達が沈めたのは事実でしょう?」

確かにそうなんだが、まったく話が噛み合わない。
あの時もそうだった。
お互いがお互いに傷つけあい、具体的な解決策さえも見つからないまま、指輪は海に投げ捨てられた。
26 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:50:18 ID:tWpPyKGM0
(´<_` )「わかった…。もうその話はしない」

ξ゚听)ξ「だったらもう用は済んだでしょう?すぐに私の目の前から立ち去って」

(´<_` )「待て。本題は別だ…お前、昨日の俺達の会話、聞いてたよな」

ξ゚听)ξ「………ええ」

ツンは一向に銃を持った手を降ろそうとはしなかった。
しかし、その表情には何かしらの変化が感じられた。
俺はツンが横になっているベッドの傍に置いてあった椅子に腰を掛ける。

(´<_` )「モナーさんはどうやら殺されたらしいな」

ξ゚听)ξ「…あんたがやったんじゃないの?」

(´<_` )「憶測で物を言うな。せめて証拠をだせよ」

時の流れとは面白いものだ。
あれだけ愛していた女から近親殺害犯だと思われるとは。

27 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:52:48 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「私は信じないわ。あんな泥棒男の話なんて…」

(´<_` )「しかし…証拠は十分にあった。あの解剖記録は信用しても問題ない」

ξ゚听)ξ「そんなものはどうでもいいの。モナーさんは病気で死んだの。これ以上話をややこしくしないで」

(´<_` )「現実をみろよ。子供でも分かるぞ」

ξ゚听)ξ「だったら犯人探しはあんたらで勝手にやってよ!私は残りの4日をどう稼ぐかでいっぱいなの!」

確かにそうだ。
俺達はただでさえ「ゲーム」の真っ最中だ。
自分のことだけに集中しても勝てるかどうかわからないのだ。
しかも、ツンと首位を独占しているモララーの差は5億以上もある。

(´<_` )「…わかった。もう何も言わない」

俺は立ち上がり、グリーンカーテンをそっと閉めた。

ξ゚听)ξ「…私達、いつからこうなったの?」

カーテン越しに聞こえる彼女の声。

(´<_` )「…さあな。」

俺はそれだけ伝え、カーテンから離れる。
29 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 22:56:07 ID:tWpPyKGM0
―12:01:30―

あの男はいったい何をしに来たのだろう。
私は彼が尋ねた質問を全て曖昧に返しただけだ。

弟者―。私の人生を棒に振った男。
「Player」で集まる事は多々あれど、絶対に顔だけは合わせようとはしなかった。
私は例え世界が逆転したとしても彼を許すことは無いだろう。

そんな事を考えていた時に、扉の開く音が聞こえた。
また弟者だろうか…。

私は傍らの銃を構える。
その足音は次第に大きくなりこのベッドに近づいてくる。

ξ゚听)ξ「…誰?」

その問いに向こうの人間は以外にも返事をした。

('A`)「俺だ」


お前か。

30 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:00:09 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「…何よ。高速の事なら謝らないわよ」

相手がドクオだからと言って銃を持った手の力を緩めるわけにはいかない。
むしろドクオだからこそ警戒心を強めなければならない。

('A`)「謝ってもらうために、ここまでお前を担いでに来るわけねぇだろ」

そういえばと私は思いだす。
ここまで私を運んだのは、この貧相な男だ。
つまり、私を生かすことでコイツは何か利益を得ようとしているのだろう。

金なら死んでも渡さん。

ξ゚听)ξ「それなら…何のためよ?」

('A`)「…お前と取引がしたい」

ξ゚听)ξ「取引?何のよ…」

仕事の話とは意外だ。
しかし、この前のモララーの一件があるので、簡単に引き受ける訳にはいかない。
32 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:03:37 ID:tWpPyKGM0
('A`)「取引つってもそう難しい事じゃない。お前が扱っている商品を俺に流してほしいんだ」

ξ゚听)ξ「商品…?何言ってんのアンタ。そんなことできるわけ無いじゃない」


ドクオの言うことは明らかだ。
私が運んだ、あるいは運ぶ予定の武器をドクオに渡すという事。
冗談じゃない。こっちは仕事でやっているというのに。

('A`)「だからこうやって頼んでるんだろ?あの兵器はお前しか扱って無いんだよ」

ξ゚听)ξ「あの兵器って…何よ」




('A`)「IR−777…通称『ルーレット』だ」

ξ゚听)ξ「!!」

その単語がドクオの口から発せられた瞬間、私は息がとまった。
35 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:07:09 ID:tWpPyKGM0
「ルーレット」
この世界のどこかで誰かがそう言った。
それは、兵器と呼ぶには小さ過ぎる商品で、武器と呼ぶにはとても危険な代物だ。

43年前―。
とある列強国と、とある発展途上国が7年にもわたる戦争を行っていた。
当時、列強国では密かにある計画が進められていた。
それは、人工衛星に核弾頭、ミサイル、ロケット、etc.…計777発を乗せて打ち上げ、それらの弾を対戦国の国中に降り注ぐという計画だ。
当時、その国にはその計画を達成できるほどの技術と財力があった。

計画は着々と進み、7年後―ついに打ち上げの日がやってきた。
その操作は全て大統領に委ねられた。

大統領に渡された掌に乗るリモコン。
座標軸を設定し、衛星まで電波を送信する。
すると、衛星は目的の座標軸に向かって移動する。
到着すると同時に、積み上げられた全ての弾頭が降り注ぎ、その地域一帯を焼き尽くす


…筈だった。
37 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:10:31 ID:tWpPyKGM0
その計画は結局中止に終わった。
発展途上国側がその計画の情報を極秘にキャッチしたため、恐れをなした発展途上国は白旗を振らざるを得なかったのだ。
おかげで、戦争は終結を迎え、その計画による死者は出なかった。

しかし、その代わりにとんでもない事態が起こった。

大統領が保管しているはずのそのリモコンが、盗まれたのだ。
その国は慌てて探したが、結局そのリモコンが見つかる事は無かった。
盗まれたリモコンは、裏で高額な値段で人々の手を渡った。

いつしか、そのリモコンは人々の間で語り継がれることになった。

『あのリモコンのスイッチを押すと、どこかの世界が滅ぶ』

まさにギャンブル。
もしかしたら明日にもわが身の頭上にミサイルが落下してくるかもしれないのだ。
その運任せの兵器に人々は『ルーレット』と名付けた。




そのリモコンを私が買ったのは今から4年も前だ。
41 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:15:33 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「…あんた、なんでそれを知ってるの…?」

('A`)「俺ら『Player』には最強の情報屋がいる事を忘れんなよ」

そんな事だろうと思った。
恐らくショボンには全てを知られていたのだろう。

ξ゚听)ξ「意味がわからないわ。あんたは殺し屋でしょ?なんでそんな物が欲しいわけ?」

('A`)「そんなの決まってるだろ?ネームバリューだよ」

ξ゚听)ξ「…どういう事?」

('A`)「正直なところこのままじゃろくに金も稼げねぇ。タイムリミットも4日を切った」

('A`)「世界には殺し屋に仕事を依頼したい奴なんかうじゃうじゃいる。だがその分だけ同業者も多い」

('A`)「俺の名前も一応は売れている…だが残り4日で逆転できるほどの上客を捕まえられるかどうかは怪しいところだ」

ξ゚听)ξ「そこで『ルーレット』なのね…」

('A`)「そうだ。『ルーレット』を持つことによって、依頼人は必ず俺を求める。なにせ世界最凶の兵器を持っているんだからな」

42 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:17:07 ID:tWpPyKGM0
下らない…。使うならまだしもただの肩書に使うなんて。
確かにルーレットはそれほどの威力と恐怖を生み出す事ができるスイッチだ。
だがそんな簡単に使っていいものではない。
この男はそんなこともわからないのだろうか。

ξ゚听)ξ「残念だけど…それは渡せないわ。だって…」

その瞬間、私の脳内に雷が走った。
強烈なインスピレーション。
繋がっていくロジック。




だって……だって?その次は?
45 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:20:20 ID:tWpPyKGM0

「Player」

「モナーさんの死」

「高速道路」

「残り4日」

「国外への船舶の渡航の禁止」

「ルーレット」



様々な単語が行き交う。
もしかしてこれは…。
47 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:21:37 ID:tWpPyKGM0
ξ )ξ「あ……………」

('A`;)「…?どうした……?」

そうか。そういうことか。
そのロジックが1本の線となり繋がった時、私はようやく理解した。

私のすべきことを。
私の役割を。

私も、私自身の目で見なければならないのだ。
真実を。

ξ )ξ「…ドクオ」

('A`;)「…なんだよ」

ξ )ξ「今、ここにいる『Player』のメンバーを全員呼んできて」

('A`)「いや…だから先に取h」

ξ )ξ「呼べ!!!!」

48 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:24:00 ID:tWpPyKGM0
私の怒声にドクオは凍りついた。

('A`;)「………わ…わかったよ。わかったから落ち着けって…」

ドクオは立ち上がり、カーテンを開ける。
そして部屋を出る前にもう一度振り向く。

('A`;)「おい、後でこの話は必…」

ξ )ξ「いいわよ」

('A`;)「あ?」

ξ )ξ「『ルーレット』くらいあげるわ。だから…」



ξ゚听)ξ「あんたも来るのよ。【Trick Taking号】に」
50 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:25:26 ID:tWpPyKGM0
0日目
―22:48:37―

真夜中の繁華街。
ネオンの光を浴び、男は獣に、女は悪魔に変わる。
恐らくここはこの世界で最も汚れた場所。

<_プー゚)フ「…そろそろいいかな?」

俺は彼女の唇に顔を近づけ、その唇と俺の唇を重ねた。
ゆっくりと口の奥に舌が入っていくのが伝わる。
それに応じて俺も彼女の口の中に舌を入れる。

クチャクチャと音を立て、何度も俺達はキスを重ねた。
前歯の後ろ、右の頬、舌の付け根を撫でるように何度も舌を動かした。

(*゚ー゚)「暖かい…」

俺の名前は、エクスト・プラズマン28歳。職業…映画俳優。
高校の頃スカウトでこの業界に入り、2年後にはドラマに出演する事ができた。
それから様々な映画、ドラマに出て今ではこの国のトップアクターだ。
趣味はデート。女から受けた誘いは酷いブスでもない限りは断らないようにしている。
52 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:26:11 ID:tWpPyKGM0
今日はこのメイという女に誘われた。
出会いは俺がいつも通っているバー。
会員制で俺のような顔が利く人間と知り合ってなければ決して入れない店だ。
この女とは酒を飲んだ辺りから気が合い、それはとても楽しい一時を過ごせた。


もちろんそのまま持ち帰るために、ホテルに誘う。
彼女は快くOKをした。
俺は部屋に着くなり彼女の唇を奪い、今に至る。

(*゚ー゚)「んん…」

口と口が透明な糸で繋がれながらゆっくりと離れる。
俺の吐息を彼女の唇から首筋に移す。
その吸いつきに彼女の体は反応し、声を漏らした。

そろそろ頃合いだろう。
俺は彼女の肩に掴んでいた手を胸元へずらす。
その時、メイの手がいきなり俺の腕を払った。

<_プー゚)フ「…?どうした?」

(*゚ー゚)「先に…シャワーしてから…ね?」

53 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:27:27 ID:tWpPyKGM0
おっと…そうだったな。
俺は彼女からパッと離れ、背広を脱ぐ。

<_プー゚)フ「じゃあ先に入ってくるよ」

(*゚ー゚)「うん。いってらっしゃい」

俺は服を脱ぎシャワーのノズルを捻る。
サアアと降り掛かる暖かいお湯に体を潜らせる。
今回の女は割と上出来だ。
顔も悪くない。いやむしろ今まであってきた女の中で一番いいかもしれない。
スタイルも良く、話も合う。

いいじゃないか。
これで体の相性もあったのなら完璧だな。

<_プー゚)フ「♪〜………………ん?」

髪を洗っている時に、ふと目の前が歪んだ。
足の力が抜け、バランスが崩れる。

その場に倒れそうになる前にもう一度踏み直し、体を支える。

54 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:28:37 ID:tWpPyKGM0
<_;プー゚)フ「…なんだ?」

一瞬、脳が揺さぶられるような感覚に襲われ、目に映る世界がぶれた。
飲み過ぎか?いや、そこまで酔ってはいない。

俺は疑惑を感じつつも、髪に付いた泡を流し浴室を出る。

タオルで全身を拭き、部屋に戻る。
そこにはベッドに横たわっていたメイの姿があった。

(*゚ー゚)「あ、おかえり〜」

<_プー゚)フ「ああ。次、入ってこいよ」

彼女は俺の頬にそっとキスをすると笑いながら浴室へ向かった。
その間、暇になった俺はテーブルに置かれたルームサービスのワインを取り出し、グラスに注ぐ。
グラスの傍らには飲みかけのワイングラスがあった。

おそらくメイの飲み残しだろう。
俺はワインを注ぎ、一気に飲み干す。
おかしいな。何故だろう。俺は酒を一気に飲めるような人間ではないのだが、今日は何故だかぐびぐびといける気がした。

あの女に会って俺が高揚しているのだろうか?

55 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:29:48 ID:tWpPyKGM0
つまらない深夜帯のバラエティー番組を見ながら彼女を待つ。
なぜだ?今日は無性にヤりたくてヤりたくて仕方がない。
彼女の帰りを今か今かと待ちわびている。
俺のアレにも血が巡り、どうしようもなく膨らんでいた。

もう、既にテレビ画面の内容をまともに把握できていない。
次第に、涎が止まらなくなり、ダラダラと口元からこぼれ出る。
何で涎が?涎って何?あれ?俺どうしちゃったんダロ?

何カガオカシイ

<_フー )フ「ウヒヒハイヒヒイイヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ヒヒャフハぁああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああ
あああああぁああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああぁあああああああああああああああああああああ
ああああぁあああああああああああああああああああああああああぁあああああああああああ
ああああああああああああああ
あぁあああああああああああああああぁあああああああああああ
57 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:32:13 ID:tWpPyKGM0
(*゚ー゚)「お待たせ〜」

彼女がバスローブを巻いて部屋に戻ってきた。
俺はフラフラと立ち上がり、彼女の元へ近づく。

(*゚ー゚)「うん?どうした…きゃ!」

俺はベッドにメイを押し倒し、そのままのしかかる。
バスローブが緩み、その隙間から綺麗な乳房が露わになる。
俺は綺麗なピンク色の突起が付いたソレを掴み、強く揉む。

<_フー )フ「ハッハッ…ハッハッハッ…」

俺は夢中で彼女の穴を探す。
しかし、頭が揺れてうまく見つからない。

どこだ?どこだ?どこだ?

俺は彼女の股を腰に付いた棒で探る。
棒の先からネバついた液体が零れ落ちる。

(;*゚ー゚)「ちょ…落ち着いて?…ねぇ」

彼女が何か言っているが俺には聞こえない。
何を言っているんだろう。
59 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:33:44 ID:tWpPyKGM0
俺は探す事を止め一心不乱に腰を振る。
そうすれば、俺が求めていた穴も見つかると思ったからだ。
もしかしたら、既に入っているのかもしれない。
そう思うとなんだか気持よくなってきたなぁ…

<_フー )フ「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

気持ちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwwwwwwwwwwwwww

ぎゅほyぽsdぽいprjぽjdc。ぁs;おあすおうeo;aihgr:oiew:09oおうぃrh・kn\dnw:ぽえjうぇぢうwwwwwwwwwww

(;*゚ー゚)「落ち着いてよ…落ち着かないと…」









(*゚ー゚)「カードの番号が聞けないじゃない」

60 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:36:25 ID:tWpPyKGM0
―23:52:37―

真夜中の繁華街。
ネオンの光を浴び、男は獣に、女は悪魔に変わる。
恐らくここはこの世界で最も汚れた場所。

(*゚ー゚)「4000万…ふぅ…こんなもんかな♪」

私は彼の財布に入っていたクレジットカードとキャッシュカードを取り出す。
カードと、彼が教えてくれた暗証番号のメモを私の財布に入れる。

彼はベッドの上で涙と泡と、精液を垂らしながら横たわっていた。

(;*゚ー゚)「若干…強すぎたのかな…」

私は、たまたま知り合いから貰ったお薬を、バーで飲んだお酒の中に入れたにすぎないのに。
少々刺激が強すぎたようだ。

(*゚ー゚)「まぁ…いいや。関係無いし」

私は着替え終わると、バッグを持って部屋を出る。
あ〜あ。私の初めてをもらってくれる人はいつになったら来るんだろう。



その時、携帯が震える。
この振動パターンは…留守番電話だ。

61 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:38:51 ID:tWpPyKGM0
―12:12:45―

( ´_ゝ`)「本当にツンもいたのか…どうなってんだよ」

(*゚ー゚)「何よツン…話って」

ξ゚听)ξ「みんな揃ったの?」

('A`)「ああ、全員呼んだ。ハートにクローバー、そしてポケットテンだ」

俺はツンの言われた通り、「Player」全員をこの部屋に集めた。
いったいこれから何をしようってんだ…。

川 ゚ -゚)「もう体の具合は大丈夫なのか?」

ξ゚听)ξ「おかげさまで。もう動けるわ」

川 ゚ -゚)「嘘を付け。この足ではまだ当分は歩けないぞ」

ξ゚听)ξ「それでも動くわ。私はもちろん…みんなもね」

(*゚ー゚)「?…どういう事?」

(´<_` )「……………」
63 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:39:42 ID:tWpPyKGM0
まったくもってツンの考えている事がわからない。
「ルーレット」の話をしていたと思えばその次は「Player」を呼べ?
だから女っていきものは嫌いなんだ。糞が。

ξ゚听)ξ「ここにいるメンバーはモナーさんを殺した犯人を探しているそうね」

川 ゚ -゚)「聞いていたのか」

ξ゚听)ξ「ええ。あんなに怒鳴っていればね」

ツンは上体を起こし、俺たちを見つめる。
何故今さらになってモナーさんの話を?

(*゚ー゚)「ツンは…モナーさんの真相について何か知ってるの?」

ξ゚听)ξ「何も。殺されたってのも今さっき知ったし…でも」





ξ゚听)ξ「犯人を見つけ出すことはできる」

64 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:40:46 ID:tWpPyKGM0

('A`;)「お前…何か証拠でも掴んだのか?」

ξ゚听)ξ「正直、あんた達犯人探す気ないでしょ。こんなところに引きこもっておいて証拠も糞も無いわよ」

正論だ。
ロマネスクだって各所を回ったというのにコイツらときたら

川 ゚ -゚)「私だって医者のはしくれだ。患者を放置するわけにはいかない」

ξ゚听)ξ「夜中くらい空いてるでしょうが」

( ´_ゝ`)「だったらどこに行けっていうんだ」

ξ゚听)ξ「それを今から話すんじゃない。黙ってろカス」




( ´_ゝ`)


( ´_ゝ`)「おうふっ」

65 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:41:42 ID:tWpPyKGM0
川 ゚ -゚)「しかし、ジョーカーは間違いなく私達の誰かだ。探すまでもない」

ξ゚听)ξ「じゃあそのジョーカーの容疑者が全員集まるとしたらどうする?」

(;*゚ー゚)「そ…そんなことが可能なの?」

('A`;)「無理だ!ロマネスクだって国外に行くっつってたんだぞ」

そもそも今まで職種が全く違う俺らが同じ場所に集まることすら皆無だったのに、
こんな時に都合よく集まるわけがない。
呼びかけたって恐らく無駄だ。

ξ゚听)ξ「だからこそよ。私達『Player』は必ず全員集まるわ。」



ξ゚听)ξ「【Trick Taking号】に」
67 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:42:41 ID:tWpPyKGM0
川 ゚ -゚)「【Trick Taking号】…?」

('A`)「なんだよそれ…」

号と付くからには列車や飛行機の名前だろうか。
しかし聞いたことも無い名だ。

ξ゚听)ξ「この国最大の豪華客船よ。年に20回VIPとラウンジを往復し、年に1回だけ世界を回る。あまりの素晴らしさに3年先まで乗船予約が入っているわ」

俺の頭の中にタイタニック号が浮かんできた。
規模としてはそのぐらい大きいのだろうか。

(´<_` )「豪華客船?なんでそんなものに集まるんだ?」

ξ゚听)ξ「昨日、モララーが一時的な鎖国令を出したのは覚えてる?」

( ´_ゝ`)「ああ、テロ対策として…ってやつだろ?」

ξ゚听)ξ「そう。あの政策によって、この国にいる全ての人が外に出れなくなった。」

ツンは淡々と語る。

68 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:43:57 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「しかし、一つだけ国外に出る方法があるの。それが…」

(*゚ー゚)「【Trick Taking号】」なの…?」

ξ゚听)ξ「そうよ。実はあの船にモララーも乗る予定なの」

川 ゚ -゚)「なるほど…。大統領の権限を使って…か」

わかりやすい話だ。
鎖国をしておいて自分だけ国外に出れるようにすれば、他の「Player」の行動範囲を狭め、稼ぎにくくする事ができる。
あの男、モララーの考えそうなことだ。

ξ゚听)ξ「そして、【Trick Taking号】はVIPとラウンジを結ぶ唯一の船。この意味もわかるわよね」

( ´_ゝ`)「ロマネスクは…それに乗るしか外に出られないのか」

ξ゚听)ξ「そうよ。そしてジョルジュ。あいつも必ず乗る。何故ならアイツが金を取る相手はモララーしかいないから」

まさか本当に合流しているとは…。
確かにこれにここにいる連中が混ざればほとんどの「Player」が集結する。

69 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:45:30 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「そしてこの船には世界最高峰のカジノバーがあるの。ブーンも必ず来るわ」

(´<_` )「…しかし、ショボンは来るのか?アイツは乗っても何の利益も無い」

ξ゚听)ξ「私達があの船に乗る事は恐らく今日中にアイツの耳に入ると思うわ」

ξ゚听)ξ「これは賭けだけど、ショボンはこの集まりに乗ってくるはず。必ず」

ショボンは来るかわからない。
しかし、それ以外のメンバーは集まる可能性が高い。

ξ゚听)ξ「私は、犯人が誰だかわからない…けど」



ξ゚听)ξ「舞台を整えることはできるわ」

ツンの言葉にはハッキリとした闘志が感じられた。
コイツも、モナーさんの死について何かしらの決意を持っているのだろう。
71 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:46:59 ID:tWpPyKGM0
(´<_` )「………そうか」

弟者はそう呟き、ベッドの横にあった椅子に腰をかける。

川 ゚ -゚)「私は乗ろう。」

そして、クーが名乗り出た。

川 ゚ -゚)「もともと私はモナーさんの死の疑問を解消するためだけに参加しただけだ。」

川 ゚ -゚)「行かない理由が無い」

クーはきっぱりと断言した。
コイツは最初から行くつもりだったのだろう。

( ´_ゝ`)「そうなると俺らも行かざるを得なくなるな…」

(´<_` )「そうだな。飯を作る人間がいなくなっちまう」

川 ゚ -゚)「自分達でやれよ…と言いたいが、正直外に出てほしい私の家がボロボロになりそうだ」

(´<_` )「なら決まりだな。」

72 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:48:08 ID:tWpPyKGM0
ξ゚听)ξ「しぃ。あんたはどうするの?」

(*゚ー゚)「私も行く。この数日間この問題に振り回されっぱなしだったのよ?ここで引くわけにはいかないわ」

ξ゚听)ξ「決まりね。…ドクオ、あんたは?」

('A`)「…聞くまでもないだろ?」

ξ゚听)ξ「そうね。…わかったわ。全員、あの船に乗るってことで」

ξ゚听)ξ「出航は明日の2時。遅刻は厳禁よ」

( ´_ゝ`)「コイツらはどうしようか」

(´<_` )「何とかして運べ。引越しの準備だ」

ツンが考えていた事はこれか。
俺達は犯人…ジョーカーを見つけ出せるのか?
それともジョーカーから言いだすのだろうか?

とにかく…全ては明日こそわかる事だ。
74 ◆4972gaB/9o:2010/05/14(金) 23:49:51 ID:tWpPyKGM0
―19:34:00―

アハハハハハハハハ。

そうかそうか。みんな集まるんだー。

なら僕も参加しないといけないね。

みんな集まってるのに僕だけ参加しないなんて…ねぇ。

ここは招待されているんだし空気を読もうじゃないか。





(´・ω・`)「もしもし?…まだトリックテイキング号のチケット、余ってたよね?」



ちょっとだけ…遊びに行こうかな。


◇9:大富豪 〜END〜 To Be Continued―

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