- 2 :
◆4972gaB/9o :2010/03 /26(金)
22:57:35.19 ID:m6AhjAYl0
- 3日目
―08:24:12―
それは早朝に入った1本の電話だった。
官邸から議事堂へ向かう途中、広々とした車内に着信音の音が鳴る。
知らない電話番号。俺は顔を顰めながらも通話ボタンを押した。
( ・∀・)「はい、もしm…」
『流石兄弟は首都21番区の駅前「田園ビル」にいる』
( ・∀・)「?…誰だ?」
『…………』
そこで通話は途絶えてしまった。結局誰かもわからないまま。
声が編集されていたので、男か女かもわからない。
悪戯だと思ったが、一国の大統領の電話番号が漏れるなどあってはならない事だ。
というか、この電話は特注で、ダイアルもこの国では10、11桁の電話番号が主流だが俺のは16桁になっている。
適当にボタンを押して繋がる番号ではない。
しかし、内容はとても興味深いものだった。
- 4 :
◆4972gaB/9o :2010/03 /26(金)
23:00:24.27 ID:m6AhjAYl0
- 流石兄弟…俺と同じ「Player」のメンバー。
幼少の頃から鍛えられたハッキング、クラッキングの能力を活かし、様々な情報管理システムに侵入し、国家を脅かすサイバーテロリストとして世界に名挙げ
た。
その驚異なまでのクラッキングに【ポケットテン】…「10分を収める者」という異名が付いたほどだ。
今、IT界でその名を知らない人間はいない。
奴らはその名を大層気に入ったようで、コードネームにも使い始めた。
俺にとっては国の財政、国家に影響が出なければ奴らの活動など興味もなかったが、ついにその時が来てしまったようだ。
昨日の軍に入ったクラッカー。その精確で完璧な侵入は奴らの仕業であるという何よりの証拠である。
俺はそのせいでプルトニウムの密輸に失敗し、多額の賠償を負う羽目になった。
まぁその日のうちに収支の差を0にすることはできたが。
今思い出すだけでも腸が煮えくりかえる。
ジョルジュ、ショボン、ロマネスク、流石兄弟…
こいつらは必ず殺す。
どんな手を使ってでも。
- 5 :
◆4972gaB/9o :2010/03 /26(金)
23:03:30.92 ID:m6AhjAYl0
- そんな時に入った電話がこれだった。
最初はショボンだと思った。
奴はよく電話で自分の声を変えていたので、間違いないと思った。
だが、情報屋であるアイツがみだりに情報を無償で流すだろうか?
恐らく声の主の正体はショボンではない。だが「Player」の誰かではある。
今はわからないが、後々調べるとしよう。
恐らくだが、そいつもあの双子を生かしておくべきではないと考えたのだろう。
俺は顔もわからない「Player」と共闘を提案されたのだ。
( ・∀・)「…いいだろう。その話、乗ってやるよ」
俺は昨日の通話履歴を探り、軍に連絡をかける。
たとえガセでもその声の主の正体に近づくことはできるだろう。
罠だったとしても俺が行くわけではないのでどうでもいい。
たかが100人ほど死ぬだけだ。
( ・∀・)「…流石…ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwww」
もう、俺の中に同じ仲間などという概念は消え去ったようだ。
あいつらは俺の作る天下にいらない。
- 7 :
◆4972gaB/9o :2010/03 /26(金)
23:07:28.66 ID:m6AhjAYl0
- 3日目
―09:41:54―
(´<_` )「ダイヤ……?…もしかしてロマネスクか?」
(;*゚ー゚)「なんでアイツが…」
( ´_ゝ`)「俺たちにとって大事なものとは何だと思う?」
(´<_` )「PCとその周辺機器だな」
(*゚ー゚)「金」
( ´_ゝ`)「お前には聞いてない」
あしらわれた。
( ´_ゝ`)「恐らく、ロマネスクは俺らの仕事道具を一式盗むつもりだ」
(´<_` )「10m以上の像を盗んだ男だ。これぐらい盗めてもおかしくない」
( ´_ゝ`)「そこを逆に利用する。ロマネスクに運んでもらい、俺らはここを脱出。そして後で取り返す」
なるほど。確かに合理的かもしれない。
かなり無理があるが。
まだロマネスクが運べるとは限らないだろう。
- 8 :
◆4972gaB/9o :2010/03 /26(金)
23:09:52.96 ID:m6AhjAYl0
- ( ´_ゝ`)「そして、ロマネスクが来るまでの15分間を俺らはここを守らなければならない」
(´<_` )「その15分が運命の分かれ道だな」
( ´_ゝ`)「ここにはナイフは愚か、銃もない。かなり過酷な戦いになるだろう」
(;*゚ー゚)「まさか銃の一つもないとは…」
協力すると言った手前、こんな事を言うのもあれだけど…正直不安になってきた。
この廃ビルには腐敗したゴミは数あれど、己を外敵から守る武器が何一つと用意されていなかった。
これは、結果を求めて身の危険を賭け金としてゲームに参加した代償なのか。
( ´_ゝ`)「いいか。今からこのビルについて説明する」
兄者はPCに顔を向けながら私に話し始めた。
( ´_ゝ`)「このビルは6階建て。面積は324u」
(´<_` )「そしてここまで来るには2つのルート。全てのフロアを渡り、最上階までたどり着く方法と、裏ルートを使い、暗証番号を入れて入る方
法だ」
それに乗っかるように弟者も参加してきた。
( ´_ゝ`)「お前はいいよ。作業に戻りな」
(´<_` )「うい」
すんなり戻った。
- 10 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:12:29.48 ID:m6AhjAYl0
- ( ´_ゝ`)「裏ルートが見つかる事は考えにくい。ましてや暗証番号がお前みたいなクソサギに解除されるとは思えない」
(*゚ー゚)「随分なご紹介だこと。このひきこもりが」
( ´_ゝ`)「そして、さっきも言ったと思うがそのフロアごとに侵入を妨げる為のトラップを用意した」
トラップ。それこそがこの防衛線でもっとも重要になるポイント。
一体どれほどの罠が張られているのだろうか。
( ´_ゝ`)「さて、その用意した罠なんだが…まず1F」
( ´_ゝ`)「まぁ簡単に言うと落とし穴だな。人間がフロアの真ん中に行くと床が開き、地下に落とされる仕組みになっている」
(*゚ー゚)「地下には何があるの?」
( ´_ゝ`)「3m下に長さ50cmの剣山がセットされている。これに刺さればいくら防具に徹していたとしてもひとたまりもないだろう」
(´<_` )「ちなみに、剣山というが針山みたいなのではなく実際の剣だ。130本の全てに職人の心が込められている。切れ味は本物だ」
(;*゚ー゚)「なんて金と労力の無駄遣いを…」
( ´_ゝ`)「だからお前は戻れっての」
(´<_` )「あい」
すんなり戻った。
- 12 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:15:02.38 ID:m6AhjAYl0
- ( ´_ゝ`)「そして2階。この部屋には人感センサーが付いている。」
(*゚ー゚)「人感…?あの人に反応するって奴?」
( ´_ゝ`)「ああ。そのセンサーが反応すると足元がスライドし、1階までの吹きぬけになるようになる。」
(*゚ー゚)「なるほど…つまり下に落ちて、さらに床が開き落とし穴にはm………ん?」
( ´_ゝ`)「そして3階。一見、何もないと思わせておいて実は中心部分はペイントされており、ただの紙なん…」
(;*゚ー゚)「え?…ちょっとまって」
( ´_ゝ`)「どうした?」
(;*゚ー゚)「1階から3階まで全部落とし穴じゃない!」
( ´_ゝ`)「いや正しくは、1階から5階まで全部だ」
(;*゚ー゚)「まさかの実質2階建て!」
- 14 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:18:40.05 ID:m6AhjAYl0
- まずい…。そんなの簡単に破られるに決まっているだろう…。
(;*゚ー゚)「どうするの!?そんなのすぐに攻略されるに決まっているじゃない!」
( ´_ゝ`)「だから話を最後まで聞け。これからするのは新たな罠の設計だ」
(;*゚ー゚)「新しい…ってどうやって?」
( ´_ゝ`)「今、軍は2階で苦戦している。1階は侵入個所を変えればどうとでもなるが2階からはそうはいかない。」
なるほど…そこまで考えての落とし穴か…。
果たしてこれは感心していいものなの?
( ´_ゝ`)「今2階にいるこのチャンスを逃したくはない。そこで、お前に一肌脱いで貰う」
(*゚ー゚)「私の出番ね。何をすればいいの?」
これからが私の役目。命がもらえるのだったら何だってやってやる
( ´_ゝ`)「文字通りだ。脱いでくれ」
- 15 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:22:37.84 ID:m6AhjAYl0
(*゚ー゚)
( ´_ゝ`)「脱いでくれ」
(*゚ー゚)
( ´_ゝ`)「下着まで全部」
(*゚ー゚)
( ´_ゝ`)「できれば、そこで股を開いてもらえると尚良し。」
(*゚ー゚)
( ´_ゝ`)「ごめん。嘘」
- 17 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:27:02.68 ID:m6AhjAYl0
【◆( ´_ゝ`)ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】
- 19 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:30:04.57 ID:m6AhjAYl0
- ◆4:ナポレオン 後編
―09:40:01―
( ФωФ)「さてと…。そろそろか」
吾輩は自分の右手を上げ、巻かれた腕時計を見る。
残り20分。吾輩は予告通り10時に田園ビルに舞い降りるのだ。
奴らがその最上階にいるのは調べが付いている。様々な罠を張り巡らせているようだが、所詮は付け焼刃。
大怪盗の吾輩にとって、そのような侵入対策など猫避け対策のペットボトルのようなものだ。
流石兄弟は確かに「Player」内では上位に入る高額な成績を誇っている。が、
吾輩と向き合ってしまえば、勝ち目はないだろう。
彼らは現実世界では無力だ。
( ФωФ)「…悪くは思わないでくれよ」
吾輩はこのゲームが始まった時から理解していた。
このゲームは「Player」が稼いだ金を横取りする事が一番利口な稼ぎ方なのだ。
- 23 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:35:35.98 ID:m6AhjAYl0
- 手袋を装着し、ホルダーを腰に巻く。
この銃は使う事がないかもしれないが、一応脅しぐらいには役に立つだろう。
奴らもこのように吾輩が来るとは想定していまい。
不意を突かれた人間ほど無防備なものなど無いだろう。
臨機応変に反応できない人間は殺されても文句は言えまい。
吾輩はどのようなシミュレーションにも対応できるように下準備を揃えてきた。
失敗など起こるはずがない。
ただ…懸念材料がないわけではないが。
( ;ФωФ)「なんだあの人の数は…」
田園ビルの周りに包囲網が出来上がっていた。
周囲の家屋を巻き込み、道路には規制が張られていた。
お前達は何をやっているんだ?
- 26 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:38:37.73 ID:m6AhjAYl0
- 3日目
―00:23:19―
(´・ω・`)『やぁ、またかい?彼は無事だったようだね』
(*゚ー゚)「相変わらずの減らず口ね。商談ぐらい静かにしてくれない?」
(´・ω・`)『相変わらず男にはきっついなぁ。軽い世間話さ』
私は、あの男に再度電話をかけた。
情報屋。
「Player」は専門職の性質上、どうしても自分ひとりの力では任務を遂行できない場合、他の「Player」に仕事を依頼する事がある。
しかし、私達はお互いがお互いを好ましく思っていないのであまり頼りにした事は無い。
その中でも、全員が必ず一度はお世話になるのがこの情報屋。
ショボンの情報は的確且つ広い。
彼から買った情報は必ず任務の遂行に欠かせないものとなっている。
【「Player」で誰が一番稼いでいるのか?】
その問いを聞かれたら私は私の次に彼の名を上げるかもしれない。
- 28 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:41:02.25 ID:m6AhjAYl0
- (´・ω・`)『それで、次はどんなご用件かな?』
(*゚ー゚)「知ってるんじゃないの?このくらい」
(´・ω・`)『そりゃ僕は手品師じゃないもの。サーカスなら他を当たってくれないかな』
(*゚ー゚)「ごめんね。超能力者だと思ってたわ」
(´・ω・`)『スプーンを曲げるくらいなら自分でやれば?』
(*゚ー゚)「…流石兄弟の」
(´・ω・`)『ん?』
(*゚ー゚)「流石兄弟の居場所を教えてほしいの」
(´・ω・`)『……それはまた変わった要望だね』
- 30 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:43:42.33 ID:m6AhjAYl0
- (*゚ー゚)「駄目?駄目なら良いんだけど」
(´・ω・`)『駄目なもんか。ただ…その理由が気になっただけさ』
(*゚ー゚)「それは…あなたには関係ない。とにかくその情報、くれるの?くれないの?」
(´・ω・`)『…3000万だ。それともう一つ』
(*゚ー゚)「もう一つ?」
(´・ω・`)『このゲームが始まってから流石兄弟がこなした仕事の内容とか…いる?』
(*゚ー゚)「…いくら?」
(´・ω・`)『こっちは4780万のご提供で贈りしよう』
- 31 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:47:13.38 ID:m6AhjAYl0
- (*゚ー゚)「助かるわ。ありがとうね♪」
(´・ω・`)『いやいや。そんなそんな』
取引は成立だ。
私は電話を切り、携帯を助手席に放り投げる。
ミッドナイトの高速道路は静寂に包まれていた。3分に1回程度すれ違う対向車線の車のライトだけが孤独を忘れさせる。
クーの言っている事が正しいとは思わない。
私にはわかる。彼女がまだ何かを隠している事を。
そして、私を流石兄弟の所へ行くように促したのも何か訳あっての事だ。
(*゚ー゚)「…モナーさん…。」
私達の恩師であり父であるモナーさん。
常に厳しく子供だからといって訓練に容赦することは無かった。
血も吐いたし、3日間食事を貰えない事もあった。
この世界ではその程度の厳しさなど赤子の頬をなでるようなものだからだ。
- 32 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:50:28.42 ID:m6AhjAYl0
- しかし、その厳しさには愛情があった。
モナーさんがしてきた事は、世で言えば決して善とはならないだろう。
けれど私達にとっては彼こそが善だった。
彼がいなければ私達は何もできず、大衆社会の歯車の一つでしかなっていなかっただろう。
ましてや私達は孤児。
まともな生活は元より望めなかった。
もし、彼は殺されたのだとしたら、私は絶対にその犯人を許さない。
この世界は深く暗い闇で満ちている。
いつ死ぬかもわからないこの世界の住人が死ぬことは何の意味もなさない。
私がその犯人に天誅を下す権利などどこにもない。
だけど。だけれど。
(*゚ー゚)「これで…終わらせない。必ず」
このまま終わってしまうのだけは嫌だ。
- 34 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:53:19.58 ID:m6AhjAYl0
- ―09:32:11―
コーヒーの引きたった香ばしい香りが隣の部屋まで漂ってしまったのか、私の患者が目を覚ましてしまってしまったようだ。
(///Д )「…うぅ…ここは?」
顔は酷い火傷でボロボロ、体には銃弾一発胸に埋め込まれ、全身に火傷や怪我まで負った状態でこの男は運ばれてきた。
本当ならここに来るまでに絶命していてもおかしくないのにも関わらず、何とか意識を保っていたようだ。
その精神力と生命力は褒めるべきなのかもしれない。
川 ゚ -゚)「やぁ。お目覚めか?包帯男君。顔には触らないでくれよ。まだ治療中だからな」
(///Д )「ああ…ここは病院か…」
ギコはやっと思い出したように口を動かす。
まったく可哀相な男だよ。
- 35 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/26(金) 23:57:12.19 ID:m6AhjAYl0
- 川 ゚ -゚)「君のフィアンセは半日前に出掛けてしまってね。しばらくしたら見舞いに来るだろう」
(///Д )「フィア…あぁレイの事ですか…。」
そう言えば昨日の愚痴を彼は聞いていたんだったな。
最愛に人に自分が騙された事に気付いた時、人がどんな反応を示すのか興味があるものだ。
(///Д )「ふふ…馬鹿みたいですよね。俺だけ必死に恋をしてただけなのかって…今思うと恥ずかしいですよ」
川 ゚ -゚)「君は…彼女を愛していたのかい?」
(///Д )「ええ。最初は一目惚れでした。父の知人のパーティに出席した時にね」
私は2つのマグカップに真黒な液体を注ぐ。
彼も、寝起きで口が渇いているだろう。
(///Д )「何とかして声をかけようと思ってたら向こうから話しかけてきてくれて」
(///Д )「今思えば、全てそこから始ってたんですね」
- 38 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:00:03.16 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「…ブラックでもいいか?」
いくら目がふさがれている彼でもこの香りをかげば何を言っているかはわかるだろう。
(///Д )「あ…どうも。…えっと」
川 ゚ -゚)「君の担当医だ。Dr.クローバーと呼んでくれ」
(///Д )「ああ。ありがとうDr.クローバー」
彼の右手までマグカップを近づけゆっくりと手渡す。
ギコは手さぐりに
川 ゚ -゚)「よかったじゃないか結婚する前に気付いて。あと少し遅かったらもっと大変なことになっていたぞ」
(///Д )「…確かにそうかもしれない…けど」
(///Д )「まだ、彼女の事を好きでいる自分がいるんだ」
- 40 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:03:28.59 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「ほぉ。それはまた変わった性癖をお持ちで」
私は熱いコーヒーをゆっくりすする。
口の中いっぱいに苦味が伝わる。
(///Д )「俺は馬鹿だからさ、いっつも親の金だけを取り柄にして生きてきた」
(///Д )「レイだって俺じゃなく金が目的で寄ってきた。レイだけじゃない。俺の周りの人間全てそうだ」
(///Д )「Dr.クローバー。あんたもそうだろ?」
川 ゚ -゚)「…人は大切じゃない人間には本音を出さないものだ」
- 41 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:06:29.06 ID:wwJDISP70
- (///Д )「でも、アイツは…レイは出してくれた。昨日、俺が起きてるのをわかって」
川 ゚ -゚)「いや、あれはアイツが感情的に…」
(///Д )「きっと自分の罪を曝け出したかったんだ!」
川 ゚ -゚)「それはあんまり関k…」
(///Д )「彼女は…待ってるんだ!!俺が許してくれるのを!!」
川 ゚ -゚)「いや、だかr…」
(///Д;)「やっぱりレイは苦しんでいたのかもしれない!!俺に何も伝えられなかった事を!!」
川 ゚ -゚)「お前らやっぱお似合いだよ」
- 44 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:10:37.17 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「ところで…一つ気になっていたんだが」
マグカップをデスクに置き、机の上に置いてあったケースを開く。
(///Д )「な、なんですか?」
川 ゚ -゚)「君はどうして撃たれたんだろうか?なにか殺し屋に頼まれる程、恨まれる事でも?」
(///Д )「……」
さっきまで饒舌だった彼の口が再び閉じてしまった。
川 ゚ -゚)「正直、君がいくら金持ちだとは言え、殺し屋まで雇うのはおかしい。人質に取るならまだしも…だ」
(///Д )「それは…言えません。固く口止めをされているので。申し訳ないですが」
彼は豪く強張った表情をした。
なるほど。それが彼の秘密か。
- 48 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:15:58.78 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「いや、いいんだ。私の興味だ。気にしなくていい」
ケースから取り出した1枚のCDをラジオカセットに入れる。
川 ゚ -゚)「君の体の治療はもう終わった。あとリハビリを兼ねて2週間で退院できるだろう」
(///Д )「そうですか…ありがとうございます先生。」
川 ゚ -゚)「それと、愛しの彼女からの頼みでな。君が起きたらこれを流せと言われた」
再生ボタンを押す。
CDはラジオカセットの中でぐるぐると回転する。
しばらくしてメロディが流れてきた。ロックは余り聞かないが、これはなかなか…。
そこから流れてくるボーカルの声にひとつ特徴的な歌詞があった。
《ゲームに加わるためには、切り札を探さないとね》
- 49 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:18:37.31 ID:wwJDISP70
- 3日目
―09:48:26―
( ´_ゝ`)「そういえば、しぃは何を聞きに来たんだろうか」
(´<_` )「さぁな。見当もつかん」
俺と弟者は一心不乱になってキーボードを叩く。
軍にクラッキングを仕掛け、軍の情報を少しでも多く得る。
通信機器に障害を与え、本部との連絡を切断。ヘリのGPSも無効にする。
こうすれば上からの奇襲はとりあえず避ける事が出来る。
(´<_` )「あの女は危険だ。何をたくらんでいるかわかったもんじゃない」
( ´_ゝ`)「そうだな。信じた瞬間全てが終わる。ここから脱出したら素早く奴から離れよう」
現在しぃは3階に行って新しい罠を張っている。
あの罠には何の意味もない。この程度の修羅場、俺ら兄弟だけで抜けられる。
あの女が邪魔だっただけだ。
他人の陰口を止める事が出来る人間なんていやしない。言いたい放題だ。
( ´_ゝ`)「……お」
(´<_` )「どうした?」
( ´_ゝ`)「面白い事がわかった。この突入を指揮しているのはかの大統領だそうだ」
- 50 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:22:53.24 ID:wwJDISP70
- 大統領。それはもちろんおなじみのモララー君の事だ。
すぐカッとなりやすいくせに、世間体だけはきっちりする男。
早い話、おばちゃん気質だ。
(´<_` )「やはりアイツか…。余計な事を」
これが意外と厄介な男だったりする。
奴はチマチマと何かをやる事を嫌う。仕事も生活も。
恐らくこの突撃部隊を引っ込めるのも時間の問題だ。
そのうち、バズーカ砲でも用意して…
その時、ビルに設置された監視カメラのモニターに変化があった。
俺はとっさに画面へ目を向ける。
( ;´_ゝ`)「まずいぞ。弟者」
俺のこめかみに一滴の冷や汗が滲む。
(´<_` )「お?何があった?」
( ;´_ゝ`)「軍隊が撤収している。」
- 52 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:26:17.10 ID:wwJDISP70
- (´<_`; )「なんだって?どういうことだ?」
( ;´_ゝ`)「恐らく…必要が無くなったんだろうよ」
部隊の撤収。これはバズーカ砲フラグだ。
まずい。あんなのを何度も食らっては俺達のPCは守りきれないだろう。
俺は椅子から立ち上がり、窓の外を見た。
( ;´_ゝ`)
( ;´_ゝ`)「………」
( ;´_ゝ`)「弟者、しぃを呼んでくる。その間に逃げる準備を」
(´<_`; )「どうした?一体何が起きたんだ?」
( ;´_ゝ`)「糞……」
- 56 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:29:59.16 ID:wwJDISP70
- 俺は開いた口がふさがらなかった。
バズーカ砲なんて発想が生温かったんだ。
俺の目がおかしくなければあれはあと20分足らずでここに到着するだろう。
( ;´_ゝ`)「あの野郎…」
( ;´_ゝ`)「戦車連れてきやがった」
- 57 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:32:44.69 ID:wwJDISP70
- ―09:54:35―
(*゚ー゚)「これでよしっ…と」
私はこれから来るであろう軍隊のあらゆる突撃を想定し、この3階に罠を張った。
罠といってもお手製のピアノ線だが。少しでも足止めはできるだろう。
心理戦だったらどんな状況下におかれても私は負けることは無い。
2年前にチェスのロボットと戦って勝ったし。
(#*゚ー゚)「ってか私がそんなに邪魔か?あいつら…」
私が最上階で与えられた任務は『どっか行ってろ』だった。
―09:47:02―
(;*゚ー゚)「…なにこれ?掃除機?」
(´<_` )「違う。掃除機型自爆装置だ。半径2mなら確実に吹き飛ぶ」
(;*゚ー゚)「いやいやいや。こんなボロいのが自爆装置とか」
( ´_ゝ`)「掃除機型だ。カモフラージュとしてそのデザインにしているがなかなかに高性能だ」
(;*゚ー゚)「いやいやいやいや。空き部屋に掃除機の方がおかしいでしょ」
- 58 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:36:05.32 ID:wwJDISP70
- (´<_` )「いいか?このコンセントを差し込む。そうすることで中の爆弾に電流が渡り爆弾が作動する。」
( ´_ゝ`)「誰かがこのコードに足を引っ掛けたその瞬間!!ボカーンだ。」
(;*゚ー゚)「こんな太いコード、誰が引っ掛かるのよ!」
(´<_`#)「部外者は黙ってろ!!」
(;*゚ー゚)「それ気に入ってるだろ!」
―09:56:17―
まぁそんなこんなでここにいる。
明らかに騙されたが、これじゃ埒が明かないので上は任せることにした。
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03 /27(土) 00:37:24.54 ID:wwJDISP70
- どの道、上にいては逃げられないんだから放っておいても問題無いだろう。
(*゚ー゚)「あぁもう、早くロマネスク来ー……………」
私は首を上げた。
そこにいた人影に気が付き、とっさに振り向く。
(;*゚ー゚)「…………おはようございます♪」
( )「…………」
防弾チョッキにヘルメット。手には立派なピストルを構えている。
どう見ても、軍の方です。本当にありがt
( ;´_ゝ`)「しぃ!大変だ!逃げるz…」
上階から下りてきた兄者に銃口が向けられた。
( ;´_ゝ`)「…………こんにちは♪」
- 61 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:38:53.27 ID:wwJDISP70
- ―09:59:23―
(´<_`; )「おい、兄者!まだなのか?」
扉の向こうから声がする。
すまない。こんな結果になってしまって。
俺はゆっくりと扉を開ける。
( ;´_ゝ`)「ただいま」
(´<_`; )「おい、遅………」
弟は俺の後ろで銃を突きつけている男に驚いたのだろう。
できればそっちに加わりたかった。
俺だって驚いたんだから。まさかまだ残っているとは思わなかった。
(;*゚ー゚)「……捕まっちゃった」
( ;´_ゝ`)「てへっ☆」
精一杯の強がり。
(´<_`; )「……ほんとアンタは俺の許可なく人を連れてくるのが好きだな」
- 62 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:39:43.63 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「あっ…そう言えばロマネスク!!」
まずい。そろそろアイツが来る。
アイツまで捕まったらこっちに切り札は無くなってしまう。
どうにかしてここを切り抜けなければ。
しかし、こっちは日々訓練を重ねている方達。
引きこもり歴10年以上の俺らに勝ち目はないだろう。
ああ、時間が……
―10:00:03―
( ;´_ゝ`)「すまない……ロマネスクっ」
( )「何が?」
後ろから声がした。
- 63 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:40:31.05 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「え?…いや、あんたには…」
その時、俺の足元に何かが落ちた。
カツンと音がした元へ俺は顔を向ける。
ヘルメット。それにピストル。なぜ?
俺としぃはそっと後ろを振り向く。
(´<_`; )「なるほど。そうやってここまで来たか。」
その男は特徴のある鋭い目つきをしていた。
( ;ФωФ)「ふぅ…時間通りか?ってかここ臭っ!!!」
大怪盗 ダイヤ。
やっと現れたか。
- 65 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:43:03.80 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「ろっロマネスク!」
(;*゚ー゚)「な、なんで?」
( ФωФ)「いやだって予告突き付けたし…」
聞いてるのはそこじゃねーよ。
(;*゚ー゚)「もっとこっそり来るもんじゃないの!?」
( ФωФ)「いや、案内してもらった方が早いかなって…ってか何でお前がいるのだ?」
相変わらずの能天気振り。
その独尊とした態度はまるで野良猫そのもの。
(´<_`; )「そ、そんなことより!いまはPCだ!」
( ;´_ゝ`)「あっそうだな!ロマネスクPCを頼む!」
( ФωФ)「PC?」
- 66 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:44:29.30 ID:wwJDISP70
- (´<_`; )「惚けるな。PCを盗みに来たんだろう?」
( ;´_ゝ`)「早いとこ運んでくれ」
( ФωФ)「えっ、何を言ってるのか吾輩良く分からない」
( ;´_ゝ`)「だから、今日俺らのパソコンを盗むんだろ?」
( ФωФ)「いや、全然違うけど」
(´<_` )
( ´_ゝ`)
(;*゚ー゚)(畜生…ツッコミは増えないか…)
- 69 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:45:26.35 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「ちょっと待て。ロマネスク、お前は何が欲しいんだ?」
( ФωФ)「この前お前らが盗んだ軍のデータ。媒体はメモリースティックで」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「…もしかして、大きな荷物を持って帰る予定は?」
( ФωФ)「無いわ。普通に手ぶらであろう」
俺達の希望はどっかに消え去っていった。
- 71 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:46:20.04 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「うおい!!どうするんでぃよ!最初に戻っちまったじゃねーか!」
噛んだ。
(´<_`; )「やべぇよ!戦車が構えてるっつーのに!!」
(;*゚ー゚)「戦車!!?何それ!?」
しぃは慌てて窓の外を見る。
既に戦車は目の前の道路にいた。
(;*゚ー゚)「どうするのよ!!これじゃロマネスクまで死ぬわよ!」
( ;ФωФ)「聞いてないぞ!吾輩そんな戦車など…!」
どうやら一部の人間にしか知られていないようだ。
俺らも調べきれなかった情報だ。スケールのでかい情報規制があったに違いない。
- 72 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:47:54.36 ID:wwJDISP70
- (´<_`; )「おい!見つけたぞ!戦車の発動は10時20分!」
デスクに向かった弟者が振り向いた。
とっさに時計を見る。
―10:11:43―
(;*゚ー゚)「あと8分じゃないの!」
( ;ФωФ)「吾輩…急用を思い出したので」
(´<_`; )「逃がすかぁ!死なばもろともじゃい!」
( ;ФωФ)「はなせえええええええええええ!!」
室内は興奮状態だ。
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03 /27(土) 00:48:45.44 ID:wwJDISP70
- ( ´_ゝ`)「ロマネスク…一つ聞きたい事があるんだが」
俺は弟者に羽交い絞めにされたロマネスクに尋ねる。
( ;ФωФ)「ん?」
( ´_ゝ`)「一番最初、ダイヤのデビュー戦の石像はどうやって盗んだんだ?」
その情報はこの危機を脱出するヒントに繋がるかもしれない。
俺はそこに賭けてみることにした。
( ;ФωФ)「ああ、あれはあの石像の地下には吾輩専用の地下鉄があってだな…」
( ´_ゝ`)「地下鉄?どういうことだ?」
そう聞くとロマネスクは傍らのペンと紙を取り出して
紙に漢数字の「三」を書いた。
- 74 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:50:08.36 ID:wwJDISP70
- ( ФωФ)「一番上が地上。ここに石像がある。一番下が世間で言う地下鉄であるが、その間が吾輩専用のトロッコ線路がある」
つまり、この真ん中の線に地上の石像を落とし、乗せて行ったのか。
( ФωФ)「トロッコはかなりでかいからな。巨大な物でも運べる。あとは穴を塞いで、トロッコの存在を隠せばおw…」
( ;´_ゝ`)「なぁ!その線路なんだが…もしかしていたるところに四角のマークを描いていないか?」
俺はパッとペンを奪い取り、紙にひし形に近い正方形◇を書いた。
( ФωФ)「ああ。それこそ吾輩、【ダイヤ】のマークである数字が書いてあれば吾輩のだ」
もしかしたら…。俺の脳内に微かな希望が宿る。
- 77 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:51:15.44 ID:wwJDISP70
- ( ;´_ゝ`)「そのトロッコはどうやって動かしているんだ!?」
俺の怒鳴り声に他の二人も振り向く。
( ;ФωФ)「ん?あ、ああそのマークは停留所でな。俺が持っているレシーバーで操作すればマークの元へどこでも駆けつける」
よし!よし!間違いない!
この勝負、俺らに勝機が見えた。
(´<_`; )「どうした兄者。何かわかったのか」
( ;´_ゝ`)「もしかしたら…PCと共に脱出できるかもしれないぞ」
(;*゚ー゚)「!!…それ…本当なの?」
( ´_ゝ`)「弟者…あの剣山の下には何があったか覚えているか?」
- 78 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:52:38.63 ID:wwJDISP70
- (´<_` )「剣山の下…?ああ確か古ぼけた線路があったな。あと変な模様が無かったか?」
( ;ФωФ)「ま、まさか…」
( ´_ゝ`)「そうだ。この下にはロマネスクのトロッコの線路と停留所がある。俺達がこの罠を作った時に見つけた」
( ´_ゝ`)「ロマネスク。トロッコを呼んでくれ。あとどのくらいで着く?」
( ;ФωФ)「そ…そうだな。ここに来るときに乗った奴をこの付近に停めたから5分あれば…」
(´<_`; )「まさか…それに乗って脱出するのか」
( ´_ゝ`)「ああ。床を開け地下から脱出する。」
完璧だ。いやそれしかない。
俺達に残された方法は真下にあった。
(;*゚ー゚)「ちょ…ちょっと待ってよ!」
そこでしぃがメスを入れた。
ホントめんどくさい女だな
- 79 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:54:02.26 ID:wwJDISP70
- (;*゚ー゚)「この真下には剣山があるんじゃないの!?それはどうするつもり!?」
( ´_ゝ`)「実は…このビル、地下の剣山も6階も床が開くようになってる」
(;*゚ー゚)「なっ…」
そうじゃなきゃトロッコの事なんか知らなかったしな。
( ´_ゝ`)「だからこの階から真っ逆さまに落ちても大丈夫なんだ」
(;*゚ー゚)「※▼□◎♪★………………!!」
(;*゚ー゚)「この建物、床無いのかよ!!」
- 80 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:55:00.90 ID:wwJDISP70
- (;*゚ー゚)「け、けどこの高さからPCはもちろん、私達までも叩きつけられるじゃない!!」
( ;ФωФ)「一応クッションは付いているが…確かにこの高さからだと難しいな」
( ´_ゝ`)「えっそうなの?」
(;*゚ー゚)「そこまで考えてから発言しろ!!」
(´<_` )「その辺は大丈夫だ。クッションの変わりならいくらでもある」
弟者が指をさす。
その先には散らかされたゴミ屑の山。
確かにこれだけの量があればクッションにはなるだろう。
(;*゚ー゚)「ちょっ…勘弁」
( ´_ゝ`)「そうとなれば掻き集めるぞ」
(´<_` )「流石だな俺ら」
( ´_ゝ`)b d(´<_` )
- 84 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:57:06.80 ID:wwJDISP70
- ―10:18:45―
( ・∀・)「やっとっか……戦車の準備は?」
受話器の向こうから完了ですという威勢のいい声が聞こえた。
あの田園ビルによこした戦車の数は4台。
一斉攻撃を食らえば、ひとたまりもないだろう。
( ・∀・)「ふふふ…やっと邪魔ものが消える」
恐らく俺以外にもお互いで「Player」を潰そうと考えている奴はいるだろう。
当たり前だ。このゲームはお互いで取り合う事が一番の利益につながる。
だったら先手を打っておくのも悪くないだろう。
それに、俺さえいれば「Player」を育て上げる事が出来る。
( ・∀・)「さぁ!!戦車を発動しろ!!」
俺のコールに軍が動いた。
さようなら。屑ども。
- 86 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 00:58:38.90 ID:wwJDISP70
- ―10:19:45―
( ;´_ゝ`)「いくぞ!!しっかりと掴まれ!!」
地下から開いた床がようやく6階に辿り着いた。
歯車の回る音だけが聞こえる。
隙間からゴミがどんどん落下していく。
PC周りだけはしぃお手製のピアノ線で結んでもらった。
切れないよな?これ。
(´<_`; )「いっけええええええ!!!」
床が完全に開いた。
俺らは真っ逆さまに落っこちていく。
途中、窓ガラスから見えた戦車が見えた。
1、2、…3。4台か。あれをまともに食らったら確実に死ぬだろうな。
そう思ってるうちに視界が一気に暗くなった。
- 88 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:00:04.54 ID:wwJDISP70
- 俺らが着地したのと、戦車が火を吹いたのはほぼ同時だった。
轟音が上空から聞こえてくる。
トロッコは思ったよりもサイズがでかかった。
体操で使うような大きなマットが敷かれ、器もそれなりに深かいしクッションがなくても大丈夫だったようだ。
上からコンクリートの塊が降ってきたが、間一髪でトロッコが動き出した。
(;*゚ー゚)「…い、生きてる…?」
初めて声を出したのはしぃだった。
騒ぎに乗じて、現在彼女のCカップが膝に当たっている。
ごちそうさまだよ本当にもう。
- 89 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:01:35.66 ID:wwJDISP70
- ( ;ФωФ)「吾輩のアジトには連れて行かんぞ」
(´<_`; )「どこでもいい。とにかくここから離れないと…」
トロッコは静かにライトを照らして動いていく。
PCは無事なのだろうか…
(;*゚ー゚)「とりあえず、か匿える場所になら案内できるけど…」
しぃの発言は何よりもうれしいものだった。
やっぱコイツを連れてきて正解だったな。
( ;´_ゝ`)「じゃあそこに向かってくれ。場所はわかるのか?」
(;*゚ー゚)「一応ね。一回だけでけど行ったことあるし」
俺はあいさつ代わりに右のおっぱいを揉む。
左頬が腫れるだけ済んだ。
- 90 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:02:40.40 ID:wwJDISP70
- ―13:22:49―
吾輩達はしぃが提案した「匿える場所」に着いた。
着いたのだが。
( ;´_ゝ`)「なんで…?」
(´<_`; )「いや、ここに来る意味がわかんねぇ」
( ;ФωФ)「吾輩…猫目であるが猫では…」
(*゚ー゚)「?じゃあ帰れば?」
その言葉に反論できずにしぶしぶ中に入る男性陣。
『素直わんにゃんクリニック』
看板にはそう書いてあった。
- 91 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:04:21.79 ID:wwJDISP70
( ;´_ゝ`)「な…なるほど」
(´<_`; )「確かに匿ってくれるかも知れんね」
( ;ФωФ)「動物関係無いし…関係無く殺すし」
川 ゚ -゚)「やぁ。随分とオールスターだな」
そこには悪名高き闇医者の姿があった。
吾輩が恐れている女の一人だ。
まさかコイツの診療所に来るなんて。
(*゚ー゚)「クーただいま。あなたの話通り行ってきたわよ」
川 ゚ -゚)「………そうか。そうきたか」
女どもが意味ありげな話をしているが吾輩にはよくわからない。
吾輩達は路頭に迷うのもあれなので上がる事にした。
- 92 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:05:30.20 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「ギコは先程眠ったよ。残念だったな」
(*゚ー゚)「ちょっと、私の旦那に手を出してないでしょうね」
川 ゚ -゚)「それは性的な意味でか?それとも…」
(´<_` )「おまえらそういう会話しかできねぇのか」
( ;ФωФ)「吾輩、すこし手洗いの方へ…」
ホントに恐ろしい女どもだ。
これにもう一人加わると、最強といっても問題ないだろう。
川 ゚ -゚)「……」
- 93 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:06:30.96 ID:wwJDISP70
- ( ФωФ)「ふぅ〜…」
トイレを済ませ鏡を前に手を洗う。
ここのトイレはとても清潔にされていた。
アイツの潔癖症も未だに健在のようだな。
( ФωФ)「もうちょっと刺をとればいいであるが…」
川 ゚ -゚)「刺がどうかしたか?」
( ;ФωФ)「うぉおい!!」
後ろからの声に吾輩は毛を立てて驚いた。
川 ゚ -゚)「怪我をしたなら治療するが?…高額で」
( ;ФωФ)「い、いやなんでもない。吾輩は健康体だ」
川 ゚ -゚)「そうか…つまらん」
何がだ。
- 95 : ◆4972gaB/9o :2010/03
/27(土) 01:08:56.74 ID:wwJDISP70
- 川 ゚ -゚)「それじゃあ、私から依頼を頼もう」
( ;ФωФ)「!?依頼だと…?今はゲーム中だぞ」
川 ゚ -゚)「十分承知の上だ。盗んでほしいものがある」
あまり…いやかなり良い予感がしない。
一体、この女は何を考えている…?
( ;ФωФ)「…物にもよる。何を盗んできてほしい?」
川 ゚ -゚)「…………モナーさんの」
川 ゚ -゚)「モナーさんの亡骸だ」
◆4:ナポレオン 後編〜END〜 To Be
Continued―
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