- 2 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:08:08 ID:MNMrj35A0
- 9日目
―00:03:45―
文化財が多く並ぶこの街は、夜も眠らず、建築物をライトアップさせ、街に彩りを与える。
過去数100年に及ぶ長い歴史の中で培ってきた文化。この全てを掌握した僕を見て、この国で育った数々の偉人はなんて言うだろう。
ここに国の総本山を置いたのは良い判断だと思った。
(´・ω・`)「いいね、この椅子も。ラウンジの首都を一望できる」
('、`*川「ええ。ラウンジ国の歴代大統領しか座れない特別な椅子です」
ラウンジ国国議会総本部。
このビルにつけられた名前だ。
僕はこのビルの最上階に座り、世界を見る。
昨日までここに座っていた彼も、今は僕の言われたとおりに齷齪と国を動かすことに必死になっているだろう。
(´・ω・`)「大統領さん…。彼もあんな秘密さえ持ってなければ僕に席を譲ることも無かったのに…ね」
- 4 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:13:30 ID:MNMrj35A0
- 僕はこの国の大統領の決定的な秘密を握っていた。
いや、大統領だけではない。
警視総監、財務局長、ラウンジ軍元帥…等など。この国の用人の秘密を全て手に入れていた。
実際には目に見えないもの。
この為だけに、彼らは必死になって僕の無茶な命令を聞いている。
('、`*川「…いいんですか?あの男をシベリアに送って」
ペニサスさんが僕に尋ねてきた。
彼女は、ラウンジのスパイとしてVIPに送りこまれていた諜報員だ。
VIPで知り合い、同じ志を持った仲間として意気投合し、計画を共にした。
(´・ω・`)「まぁそういう約束だしね。今まで協力してくれたんだ。それぐらいの頼みは聞こうじゃないか」
('、`*川「しかし…現在、我々の計画を阻止できるとしたら、彼しかいないでしょう」
ペニサスさんは弟者の事がとても心配らしい。
そんなこと、どうでもいいのにね。
僕は最初っから彼との勝負…3日後に始まるラウンジとシベリアの戦争などに興味は無い。
ただ、アイツがしたいしたいと喚いているから僕もしたいと言っているだけだ。
- 7 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:16:32 ID:MNMrj35A0
- (´・ω・`)「大丈夫。あの男に阻止できるような不完全な計画だったのなら、もともと企てたりなんかしないさ。…それに」
('、`*川「…それに?」
(´・ω・`)「シベリア以外にも…僕達を止める事ができる連中はいる」
('、`*川「それは一体…」
僕は椅子から立ちあがり、外の景色を見る。
(´・ω・`)「ギャンブラー達さ」
('、`*川「…?それはショボン様がおっしゃっていたブーンとかいう…」
(´・ω・`)「いやいや…彼はもう死んじゃったよ。関係無い…」
僕は彼女と背中で話す。
ペニサスさんも座ればいいのに、律義にその場に立たなくても…。
そして、彼女の心配性は見ていてホント愉快だ。
(´・ω・`)「僕が言っているのは…連中の事さ」
('、`*川「もしかして…【Trick Taking号】に乗っていた…。しかし、彼らは船と共に沈んで行っ…」
(´・ω・`)「彼らが簡単に死ぬわけ無いじゃないwあれは宣戦布告なのさ」
- 8 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:19:12 ID:MNMrj35A0
- ('、`*川「宣戦布告…?」
そう。宣戦布告だ。
僕は彼らと戦う事を望んでいる。
その為には「Player」は欠かせない存在なのさ。
僕はくるっと振り向き、彼女の顔を見る。
(´・ω・`)「だってそのまま僕らの計画を進めたいのなら、あんな場所で公言する事もないだろう?」
('、`*川「だったら何故…?」
(´・ω・`)「それが僕の目的だから…ね」
('、`*川「私には、ショボン様の考えている事がわかりません…」
僕は高笑いをしてもう一度席に着く。
(´・ω・`)「気にしなくていいよ。僕らの目的は最初っから同じさ」
(´・ω・`)「VIPを消すことなんだから」
- 9 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:23:43 ID:MNMrj35A0
- ―00:13:45―
(´<_` )「拡散率は…73%…。上々だな」
俺が用意したナノマシンは、着々とこの国の人間に広まっている。
数億匹の蚊を用意させ、そいつらの体内にナノマシンを入れ国民の体内へ送る。
たった半日前に蚊を流しただけで、既にこの国のほとんどの人間が俺の手によって操られている。
ついにここまで来た。長い…長い戦いだった。
ようやく俺の願いが達成される。
この俺が…世界に名を残す時がやってくる。
(´<_` )「俺は…天才なんだ」
そうだ。俺は天才だ。
あんな下らない組織にいては一生俺の元へ光が届く事は無い。
金なんてそんなちんけなものを集めて何の意味がある?
人の命の制限時間は限られている。
誰だって最後は死ぬ運命なんだ。
だったら何故動かない?
こうやって、人間として生まれたのならば、より多くの人間に自分の存在を知らせるべきなんじゃないのか?
- 10 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:29:50 ID:MNMrj35A0
- 何故俺は隠れていなくちゃいけない?
何故俺は電子の世界でしか名を残せない?
俺は天才なんだ。
こんな所で終わるわけにはいかない。
このVIPへの攻撃も俺にとってはほんの通過点に過ぎない。
俺はここから世界的な犯罪者となり、世界中の人間に名前を残す。
世界を征服し、この星を掴み取るんだ。
(´<_` )「さぁ…始めようじゃないか」
俺はゆっくりと背もたれに寄りかかり、肘を掛ける。
この段階で俺の計画に抗う事ができるのはショボン。そして…奴らだ。
本当はもう少し早い段階で始末をしておくべきだったが、クーのナノマシンを手に入れた時にはもう遅かった。
わかってる。この世に決して負けないゲームなんて存在しないのさ
俺はこの勝負に自分の全てを掛ける。
(´<_` )「お前達は…『Player』君達は何を賭ける?」
- 11 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:33:32 ID:MNMrj35A0
【◆(´・ω・`)ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】
- 13 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:39:45 ID:MNMrj35A0
- ―05:21:14―
( ;・∀・)「ふぅ…疲れた…」
官邸に戻り、一度ネクタイを緩ませる。
長く…辛い5時間半だった。
ξ゚听)ξ「お疲れさん。どうだった?」
( ・∀・)「どうだったじゃねぇよ…これほど精神的に来た記者会見も久しぶりだわ」
ふぅ、とため息をつく。
そりゃ、クタクタになって家に帰ってきたのに、出迎える奴がコイツらじゃあなぁ…。
( ・∀・)「そりゃお前…いきなり『明日から隣国2ヶ国が攻めてくるので戦争始めました』って言われて『はいそーですか』っていう馬鹿なんているわけ無いだろ…?」
( ´_ゝ`)「そうか?ネットではモララーに賛同の声が強いが」
( ・∀・)「そりゃあ俺が今まで必死に洗脳し続けたからなぁ…」
ξ゚听)ξ「なんて下衆な大統領なの…」
何とでも言え。俺は俺の思うままに国を動かし続けただけだ。
ソファーに腰を掛け、首を左右にねじる。
- 14 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:42:46 ID:MNMrj35A0
- ( ・∀・)「軍を動かすのにも苦労したんだぞ…こんな夜遅くに1時間40分で会議を終わらせた俺の努力を褒め称えろ」
( ´_ゝ`)「それで…これからどうするんだ?」
向かいの席に座る兄者がマジマジと尋ねる。
( ・∀・)「とりあえず…俺がやる事は1つ。今日1日VIPを守り抜く事。それだけだ」
ξ゚听)ξ「世界中のルートから武器を発注したわ。午後には間に合うはず」
ツンには予め、武器の配達を依頼した。
軍内部で既成されてある武器の量だけでは到底かないっこない。
( ・∀・)「それで持つといいんだがな…。なにせこっちはたった今準備を始めたばかりだ。」
ξ゚听)ξ「5時ちょうどにシベリアとラウンジは軍艦と戦闘機を動かしたそうね。」
( ´_ゝ`)「計算上、ラウンジの戦闘機がVIPの領空内に入るのは今から2時間後。領土上空に入るのはそれから3時間後だ」
なるほど。開戦は今から5時間後と言うことになる。
それまでに最善の防衛を構えておかなければ。
- 16 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:45:47 ID:MNMrj35A0
- ( ・∀・)「戦闘機は領土内に入れこませない。海上で始末する」
ξ゚听)ξ「まっ、あんたには人海戦術はお手のもんよね」
ツンはどうってことないような雰囲気で呟いた。
そんな簡単にいくわけねーだろーが糞。
( ・∀・)「だといいんだがな…今回は手配も作戦も急だ。全体に俺の意図が伝わるといいが…」
( ´_ゝ`)「それで、軍艦の方はどうするんだ?」
ξ゚听)ξ「そうよ。戦闘機はミサイルやロケットでどうとでもなるけど、軍艦はそうはいかないでしょう?」
俺は一度首を下に曲げ、もう一度ため息をつく。
ここまで脳が追いつかない事態も久しぶりだ。
( ・∀・)「そいつは諦める。海岸付近の住民は避難させた」
( ;´_ゝ`)「諦めるって…どうするつもりだよ…」
( ・∀・)「どんな手を使って国を支配しているか知らないが…所詮アイツらは戦争に関してはド素人だ。恐らく数だけ集めて、そのままぶつかってくるだけだろう」
まぁ俺も戦争を経験するのは初めてだが、それでもあっちの国よりかは統率が執れているだろう。
それだったら少なくともこっちにも可能性が出る。
- 18 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:51:07 ID:MNMrj35A0
- ( ・∀・)「だったらこっちはその塊を防ぐだけでいい。海上で追い込まれるよりも、地の利を生かして陸で構えていた方がよっぽど効率がいい」
( ;´_ゝ`)「なるほど…それならば勝機はあるか」
( ・∀・)「どうだろうな。」
ξ゚听)ξ「…?どういうこと?」
確かに今言った俺自身の言葉を否定するのもあれだが…そう言うしかないだろう。ここは。
現に、この戦いはリスクが大きい。その上、勝手も何も利益が生まれないところにある。
( ・∀・)「相手に地を踏ませるということは言いかえれば追い込まれているってことだ。長期戦を考えてみれば、全くもって良い作戦ではない」
( ・∀・)「よくて3日…。それ以上はもたない」
( ;´_ゝ`)「じゃあどうするつもりなんだ…?」
焦った顔をした兄者が恐る恐る尋ねる。
コイツはコイツなりに責任を感じているのだろう。
なにせ自分と血の繋がった兄弟が裏切ったのだから。
( ・∀・)「だから言っただろう?俺の目的は今日1日を守りきることだ」
( ・∀・)「そのタイムクライシスは…アイツらにかかっている」
- 19 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 00:53:31 ID:MNMrj35A0
- ξ゚听)ξ「ジョルジュと…ドクオとロマネスクね」
今、手を組んだ残りの3人はそれぞれの戦地へ赴き、大将を打ち取る準備をしている。
この防戦の時間を決めるのは…アイツらの奮闘次第だ。
( ・∀・)「俺も、協定を組んだ国と争うのは避けたい…。何も得をしないからな」
( ・∀・)「最終的には弟者とショボンを打ちとればいいんだ。一番少ない犠牲で済む」
( ;´_ゝ`)「……」
ふと、兄者と目があった。
そうだよな…。コイツにとっては身内を殺すことになるんだ。
相当の覚悟がいるだろう。
俺は、目を逸らし、話を続ける。
( ・∀・)「ジョルジュがシベリアにいる弟者を。ロマネスクとドクオがラウンジにいるショボンを殺せば、この無利益な防衛線も終わる」
ξ゚听)ξ「そう簡単に行くかしらね…」
( ・∀・)「行く。アイツらなら問題ない…だって」
俺はニヤリと口角を上げ、ツンを見る。
( ・∀・)「アイツらはモナーさんの認めた『Player』だぞ?」
ツンが俺の顔を不気味そうに見ていた。
- 22 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:04:26 ID:MNMrj35A0
- ◆12:ババ抜き 前編
―08:24:18―
('A`)「…なぁロマネスク」
( ФωФ)「なんだ?」
('A`)「お前…なんで船に乗ってるときにショボンを殺そうとしなかったんだ?」
( ФωФ)「…大した理由ではない。躊躇ってしまったのだ。不覚にもな」
('A`)「ショボンを殺すことにか…?」
( ФωФ)「…ああ。これでも同じ釜の飯を食った仲だ。あんな場面で下らない情が出てしまった」
('A`)「あんた程のベテランがねぇ…情けねぇな」
吾輩達が雑談しているここは、海面下40mの海の底。
ツンから借りた潜水艦を駆使し、吾輩とドクオ、2人でラウンジを目指す。
「Player」は皆、潜水艦の操作は学習しているので、さほど問題は無かった。
強いて言うならば、ラウンジに到着するまでの極限なまでの暇。
ドクオと話す事もあまり無いので、会話が出ては途絶えてを何度も繰り返していた。
- 24 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:12:53 ID:MNMrj35A0
- ( ФωФ)「何とでも言え……そういう貴様こそ何故殺せなかった。本職だろう?」
吾輩は操縦ハンドルを握りながら、隣でレーダーを見ているドクオに返事を返した。
('A`)「見てなかったのかよ。俺はあの犬のせいで腕を負傷していたんだぜ?」
( ФωФ)「そのくらいの攻撃、貴様なら回避できたのではないか?」
('A`)「あれは油断しただけだ。あんな子犬にまさかそんな脅威になるなんて思わないだろう?」
( ФωФ)「お前は何年殺し屋をやっているんだ。お前の反射神経は役に立たないのか?」
('A`)「何とでも言え。ボケ」
実に下らない。
さっきから、口を開くたびに、お互いの罵り合いになる。
吾輩はただ年輩からの助言程度のつもりなのだが…ドクオには嫌味にしか聞こえないらしい。
いちいち訂正するのも面倒だったので、そのまま放っておいたらこのざまだ。
そしてまた現れた沈黙。
沈むのは船体だけにしてほしいものだ。
- 25 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:19:19 ID:MNMrj35A0
- その時、吾輩はふと昨日のドクオの言動を思い出した。
そうだ、ついでにコイツも聞いておこう。
( ФωФ)「そう言えば貴様…昨日ラウンジに忘れ物があると言っていたが…あれは」
('A`)「おい、ロマネスク」
せっかくの質問をドクオの声により掻き消されてしまった。
答えるつもりは無いにしても、せめて人の話は最後まで聞け。
( ФωФ)「………なんだ?」
吾輩は視線を逸らす事無くドクオに聞き返す。
('A`)「来たぜ。こりゃハーレムだな」
その声に反応して、吾輩もレーダーを見る。
レーダーの画面上に現れたのは、十数にも及ぶ光点の数。
この光はラウンジの戦艦を示している。
( ФωФ)「ついに来たか…」
ドクオは画面を切り替え、衛星写真から捕えた海上の様子を表示した。
レーダーの通り、何十席にも及ぶ艦隊がまっすぐVIPに向けて渡航していた。
29 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日)
01:30:07 ID:MNMrj35A0
- ('A`)「この量が一度にVIPに行くのか…威圧感が半端無いな。何とかしろよモララー…」
ドクオはぽつりとそう呟いた。
流石のこいつも、この量に不安を抱かずにはいられないようだ。
画面を切り替え、潜水艦の外部の映像を流した。
( ФωФ)「とりあえず標的は我輩たちでなくVIPだ。今は構わず進もう」
('A`)「ああ、そうだな。念には念を入れてもう少し深く沈んでおいた方がいいんじゃねぇの?」
( ФωФ)「いや…待て。」
ドクオの意見を遮る様に、人差指を唇にあてる。
この映像…何か違和感がある…。
何なんだ?一体…。
('A`)「なんだよ」
( ;ФωФ)「艦隊の様子がおかしい」
('A`)「ああ?」
ドクオも不思議そうに、映像を見た。
しかし、何度も見返した後、何が?と聞き返した。
- 33 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:34:50 ID:MNMrj35A0
- 吾輩はもう一度画面を切り替え、潜水艦の屋根に付いているカメラ映像を表示した。
この潜水艦の遥か上に、ラウンジの軍艦が見えた。
軍艦を映したカメラの映像を拡大していく。
そこに映っていたのは、船底にぽっかり空いた筒状の穴。
その筒が何かを探す様にカクカクと動いていた。
( ;ФωФ)「あの口は一体何を…」
吾輩はその正体についてマジマジと考える。
しかしその答えは吾輩の横から飛んできた。
('A`;)「魚雷だ」
( ;ФωФ)「え…?何だと!?」
一瞬、吾輩の耳を疑った。
魚雷…?
何故そんなものが動いているのだ。
まるで…まるで…標的はもう目と鼻の先にでもあるかのように。
('A`;)「急げ…あいつら俺らに気付いてやがる…!!」
あれほど頻りに動いていた魚雷の砲口がこの潜水艦に向き、止まった。
- 31 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:33:37 ID:MNMrj35A0
- ―08:20:49―
朝食のローストビーフをフォークで絡み取り口に運ぶ。
肉にかかったソースの甘酸っぱさが舌を刺激し、肉の味を引き立たせている。
肉に添えられたマリネを口に入れるその瞬間に、目の前のモニターから轟音が流れてきた。
(´・ω・`)「さすがは『Player』。実行に移る速度は評価しよう」
(´・ω・`)「でも、これも想定済みさ。君達の考えている事なんて全てお見通しなんだ」
彼らの行動は分かり易かった。
空から行けば目立つし、海を進めば鉢合わせになる可能性もある。
一番目立たずに目的地を目指す事ができる海中。
(´・ω・`)「さぁ…僕は一つの問題を提示したよ。」
四方八方から攻め続ける魚雷の雨。
一見すれば攻略は不可能に見えるこの状況。
もう避けて通ることはできないだろう。
(´・ω・`)「君達の解を教えてもらおうか」
- 35 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:39:18 ID:MNMrj35A0
- ―08:27:33―
('A`;)「おい!来たぞ!!」
( ;ФωФ)「右だ!右に避けろ!」
('A`;)「うをおおおおおおおおおおおおお!!」
レーダーを見に来たロマネスクの代わりに俺がハンドルをきる事になった。
とっさの判断でハンドルを精一杯回す。
間一髪で、魚雷との接触を避けた。
('A`;)「あ…危ねぇ!!」
( ;ФωФ)「休んでいる場合か!次が来ているぞ!」
ロマネスクが強く叫び、ハッとなって窓を見る。
もう発射されたのか、砲口は動きを見せなかった。
('A`;)「!!次はどっちだ!?」
( ;ФωФ)「上だ!前進しろ!」
ロマネスクが切り替えた画面は、船体のサイドに設置したカメラが捕えた映像だ。
真上からハッキリと船を目掛けて魚雷が突っ込んで来ていた。
- 37 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:44:55 ID:MNMrj35A0
- 頭では考えず、ロマネスクの指示通りにハンドルを操作することにした。
('A`;)「うええええええええええええええええええええええええ!!?」
( ;ФωФ)「左だ!」
('A`;)「ずあああああああああああああああああああ!!」
( ;ФωФ)「前!」
('A`;)「おぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
( ;ФωФ)「黙れ!!」
ロマネスクから叱責を食らい、我に帰る。
つくづく防戦と言う戦い方には慣れない。
( ;ФωФ)「!!ドクオ!後ろだ!」
ハッとなって画面を見る。
潜水艦の後ろを、複数の魚雷が横1列になり付いていていた。
1…2…3…。
('A`;)「よ……4発だと!?」
- 39 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:49:22 ID:MNMrj35A0
- ( ;ФωФ)「まずい…張り付かれた!」
今からでは軌道補正が間に合わない。
このままでは直撃も免れないぞ。
('A`;)「やべぇぞ!来る!!」
俺は最後の意地を振り絞り、船体をできるだけ低く沈めた。
その直後に起きた船内に広がる轟音と、揺れ。
('A`;)「うおっ!!あ…当たったのか!?」
揺れが納まったと同時に反射的に伏せた頭を上げる。
( ;ФωФ)「船体を掠めただけだ!まだ無事だ!」
どうやらツンさんご達しのこの潜水艦は防御力にも定評があるようだ。
状況を把握した俺は、すぐに立ち上がりハンドルを持ち直す。
('A`;)「こんな機動力の無い状態で避けろってのが無理な話なんだよ…」
( ;ФωФ)「良いから手を動かせ!このままだと陸に上がる前に死ぬぞ!」
- 40 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:53:25 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「手を動かしたぐらいじゃ、どうにもならない状況じゃねぇか!」
( ;ФωФ)「そもそもこっちに攻撃する手段すら無いというのはどういうことだ!」
事が事なだけあって、俺もロマネスクも冷静になっていられなかった。
どうでもいことに声を荒げ、相手を貶す。
('A`;)「ツンからの借りもんにいちいち文句言ってんじゃねぇよ!」
( ;ФωФ)「ドクオ!貴様海中戦用の武器は持っていないのか!?」
('A`;)「ターゲットを海中で仕留める仕事なんてやったことねぇわ!あんたこそ怪盗七つ道具みたいな…」
( ;ФωФ)「吾輩は義手の海賊か!!そんなもんはキャンプでしか使った事無いわ!」
下らない口げんかの途中でレーダーが強く警告音を鳴らした。
慌てて俺らはレーダーを見る。
そんな事を話している間に事態は最悪の展開を迎えていたようだ。
- 42 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 01:57:49 ID:MNMrj35A0
- ( ;ФωФ)「おい…回り込まれたぞ!」
前と後ろには其々大小隻ずつの軍艦が囲んでいた。
('A`;)「なら左側に…」
( ;ФωФ)「そっちからもだ…。既に全方位を囲まれておる」
サイドのカメラ映像を見る。
軍艦が3隻こちらへ向かっていた。
('A`;)「んな馬鹿な…」
右も左も。前も後ろも。全ての方角を封鎖されてしまった。
まさに四面楚歌。あまりにも笑えないジョークだ。
( ;ФωФ)「砲口はこちらへ向いておる…もう駄目だろう」
('A`)
('A`;)「えっ、嘘…ちょまっ」
こっちを向いた大砲から一斉に魚雷が飛んできた。
- 43 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:01:14 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「痛ってぇ…………糞っ!アイツら…」
壁にぶつけた頭を擦りながら体を起こす。
口の中に広がる血と海水。
塩水が口内の傷口に染み込みズキズキと痛む。
待てよ…?海水?
俺は慌てて辺りを見渡すと、既に足首の高さまで海水が押し寄せてきていた。
('A`;)「畜生…海水が船内に…!」
どこか船体に穴が開いたのだろう。
むしろあの攻撃を喰らって、この程度のダメージで済んだ事が驚きだ。
定評があるってレベルじゃねーぞ。
('A`;)「もうこの潜水艦は駄目だ。何とかしねえと…おい、ロマネスク」
俺は床に寝そべっているロマネスクの肩を叩く。
( ω )
- 45 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:06:57 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「…おい、いつまで寝てんだよ…早くしねぇと外にも出られねぇぞ…」
( ω )
('A`;)「…ロマネスク?」
おかしい。
何度体を揺すっても反応が無い。
気絶でもしているのか?
('A`;)「おい…しっかりしろよ…」
('A`;)「あんなのたかが衝撃じゃねぇか…そんなんで…」
( ω )
俺は静かな不安を覚えた。
まさか…なぁ。
…なぁ。
- 46 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:09:42 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「おい!ロマネスク!起きろよ!」
( ω )
俺は力強く腕を掴む。
その時、手首に食い込んだ指がある事実を掴み取った。
('A`;)「!!脈が…」
脈が無い。
俺は驚きつつも、もう一度腕を握り今度は正確に脈を測る。
('A`;)「嘘だろ…?ロマネスク……」
無い。やっぱり脈が無い。
俺はロマネスクを仰向けにし、ロマネスクの左胸にに耳を当てる。
鼓動は……………しなかった。
俺は慌てて、心臓に手を当てマッサージを始める。
冗談じゃねぇぞ。ロマネスク。
('A`;)「ロマネスク!!おい!起きろよ!ロマネスク!…こんなところで死んでる場合じゃないんだよ!!ロマネスク!!おい!」
( ФωФ)「なんだよ」
Σ('A`;)「どっから出てきた!」
- 48 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:12:35 ID:MNMrj35A0
- 天井に張り付いていたロマネスクがサッと降りてきた。
海面が少し跳ね、俺の顔にかかる。死ね。
( ФωФ)「そいつは吾輩の等身大の人形だ。クッション代わりに使わせてもらった」
('A`;)「なんでだよ!なんでんなもんを持ってきた!?」
( ФωФ)「怪盗の仕事はな、一度死んだと思わせることで仕事がスムーズにいく。だから常に持ち歩いているんだ」
('A`;)「そうか…どうでもいい豆知識をありがとう」
俺の焦りを返せ。
そして死ね。
('A`;)「それよりもどうするんだ!!じきにこの潜水艦は海水で満たされるぞ!!」
そうだ。今はそれどころじゃない。
もうすぐ、この船が機能しなくなるかもしれないのだ。
- 50 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:15:53 ID:MNMrj35A0
- ( ФωФ)「ああ…そのようだな」
こんな状況だと言うのに、ロマネスクは酷く落ち着いていた。
というか人形の空気を抜いていた。
('A`;)「そのようだな…っておい…」
( ФωФ)「ならば乗り換えるしか無かろう」
('A`;)「ああ?」
ロマネスクが非常に気になる言葉を言った気がした。
( ФωФ)「あの軍艦を盗む」
- 52 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:20:24 ID:MNMrj35A0
- ―08:30:30―
(///Д-)
(*゚ー゚)「……ギコ君」
私は、港から一番近い専門(私達の業界の事)病院にギコ君を連れていった。
銃弾をまともに喰らっていたものの、急所は掠めていたので何とか九死に一生を得る事ができたようだ。
(*゚ー゚)「あの人達…どう思う?」
私は、全ての話を兄者から聞いた。
彼らは今日一日であの二人を倒すそうだ。
(*゚ー゚)「たかだか復讐の為にわざわざ無謀な戦地に行っちゃってさ…」
(*゚ー゚)「バッカみたい…」
これは本当にそう思う。
下らない…。その言葉しか思いつかない。
(*゚ー゚)「そんなことする暇があるなら今すぐ逃げればいいのに…」
逃げれば…良いのに…。
- 54 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:24:45 ID:MNMrj35A0
- ―08:45:19―
_
( ゚∀゚)「あと2時間で到着か…」
ツンから借りた戦闘機はなかなか乗り心地が良かった。
アイツのルートは4次元だ。
何でも出てくる。
ってか1日で戦闘機1台用意してくるその人脈と金と時間はどこから出てくるんだ。
さて…あの女よりも、今関心があるのはお前だ。
_
( ゚∀゚)「テメ―の腹にドでかい弾ぶっこんでやるよ。弟者」
_
( ゚∀゚)「姉貴も…親父も…俺の家族をめちゃくちゃにしやがって…」
_
( ゚∀゚)「さらに俺よりも目立つとは良い度胸だな。糞つり目野郎…」
アイツだけは俺が殺す。
この手で…必ず。
_
( ゚∀゚)「ぶっ殺してやる…絶対にだ」
その時、真下に何か異様な光景がちらっと見えた。
_
( ゚∀゚)「……………ん?」
俺は機体を傾け海上を覗きこむ。
- 56 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:26:39 ID:MNMrj35A0
- そこにはVIPへ押し寄せるシベリア艦隊の姿があった。
青い空、青い海にその行軍は明らかに異様だった。
_
( ゚∀゚)「…何だ。もう来たのか意外に早いじゃねぇか」
俺が見える視界の30%を支配している程の艦隊。
この距離で30%だ。それはとてもじゃないが数え切れない。
_
( ゚∀゚)「いいぜ。事の序だ。お前のおもちゃ…グッチャグチャにしてやるよ」
俺はハンドルを切り返し、艦隊の群れへ突っ込む。
_
( ゚∀゚)「死に晒せ。お前が操ってる国の人間なんてどうでもいいからな」
程良くして距離が縮まったせいか、乗組員も俺の存在に気付き、銃弾やロケットを放ってきた。
甲板の動きも慌ただしくなり、全ての乗組員の視線が俺に集まった。
この視線がたまらない。
_
( ゚∀゚)「無駄無駄!!ヒャッハハハハハハァ!!」
しかし、俺のテクニックにかかればそんな弾幕など無意味に等しい。
奴らのアンコールに応えて、爆弾を数個、船体に向けて落としておいてやった。
大きな爆音と煙をたて、一隻の軍艦は木っ端微塵に吹き飛んだ。
_
( ゚∀゚)「いいぜ!お前らもっと俺を見ろ!見て驚け!叫べ!嘆け!」
- 57 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:28:37 ID:MNMrj35A0
- 俺が2度目の攻撃を始めようとしたその時だった。
巨大航空母艦から幾つもの戦闘機が飛び立ち、俺の方へ目掛けて飛んできた。
_
( ゚∀゚)「へぇ〜…俺と空中戦なんて良い度胸じゃねぇか…」
俺は熱烈なファンの要望には必ず応えてやるようにしている。
熱くぶつかりたいのならば、その願いを聞いてやろうじゃないか。
_
( ゚∀゚)「いいぜ。来いよいくらでも。ブンブン、ブンブンうるさい蝿の駆除だ」
俺は一機一機指でさしながら数を数える。
_
( ゚∀゚)「1、2、3、4、……12機か」
_
( ゚∀゚)「ちょっと俺を仕留めるには少ねぇんじゃねぇか?…まあいいや」
あまりこいつらと遊んでやる時間もねぇしな。
手っ取り早く終わらせるとするか。
_
( ゚∀゚)「所詮、糞野郎のロボットだ。天才の俺に勝てるわけねぇよ」
- 58 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:31:12 ID:MNMrj35A0
- 母艦から出てきたシベリアの戦闘機は変則的な動きでアピールをしているつもりだろうが、ここは俺の出番だ。
モブは引っ込んでろ。
_
( ゚∀゚)「はい、皆さんごちゅーもーく!私、【ジャック】による奇跡の空中ショーでござい!」
俺はうねうねと曲がる戦闘機の一匹を狙い、後ろに付く。
付いたや否や、すかさず機関銃を発射した。
当たりが良かったのか、23発の銃弾により戦闘機は墜落してしまった。
_
( ゚∀゚)「はい、まずはひとーつ!」
続いてその横で俺を狙っていた2機の戦闘機に向けて機関銃を放つ。
もちろん少ない弾数で海に落っこちていった。
_
( ゚∀゚)「ふたーつ!みーっつ!」
気分がだんだん良くなってきたので、テンポよく3機の飛行機を大破させた。
なんだコイツら。マジで雑魚じゃねぇか。
_
( ゚∀゚)「よーっつ!いつーつ!むーっつ!おら、もっと骨のある奴はいねーのかよ!!」
右、左、前と囲んできたがまったくもって無意味。
すかさず急上昇し、下へ向きを変え、銃口を向ける。
_
( ゚∀゚)「ななーつ!やーっつ!ここのーつ!」
- 59 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:34:59 ID:MNMrj35A0
- ふと、俺の背後を取った機体の姿がミラー越しに見えた。
口元をニヤニヤさせ、もう打ち取った気になっている。
_
( ゚∀゚)「後ろを取ったぐらいで図に乗ってんじゃねぇよ!!カス!」
そのまま機体ごと縦に一回転し、すぐに相手の後ろを取った。
お前が間抜けなのは、ここですぐ引き金を引かない事だ。
_
( ゚∀゚)「はいじゅー!!残りはー?ふたつか!」
十一匹目は諦めたのか、何も工夫をせず、真正面から突っ込んできた。
もちろん、そんな奴に俺が屈することは無いが。
引き金を引き、精確に奴の頭部を狙い、防弾ガラスを突き抜けて墜落させた。
_
( ゚∀゚)「はいじゅういーち!!ラストひとーつ!!」
最後の一匹は、その後ろにいた。
俺が引き金を引いても、絶妙な機動力でかわし続ける。
そして、隙を見計らっては俺に向けて銃を構えた。
もちろん俺もそれ並みの…いやそれ以上の回避力を使い無傷で事を済ます。
しかし、こいつは随分と面倒な敵だな。
コイツと遊んでると日が暮れそうだ。
俺は一発で終わらせるためにロケット弾をセットした。
奴より上空に上がり、下方向に向きを変え、急降下する。
スイッチを押し、相手の機体に目掛けてロケット弾を発射した。
- 61 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:39:13 ID:MNMrj35A0
- それでもアイツも俺が見込んだだけの事はある。
こんなサプライズな攻撃にも、軽々とかわしてしまった。
_
( ゚∀゚)「へぇ〜…お前はやるじゃねぇか…だけどなぁ…避けちゃって良いの?」
_
( ゚∀゚)「お前の後ろ…母艦があるのによ」
俺の目的は最初っからあの母艦を潰すことにあった。
これ以上、ゴミを出されると困るから。
母艦は俺の思っていた以上に燃え盛り、俺を撃つどころでは無くなってしまった。
その母艦に意識が行っていた最後のパイロットも撃ち殺し、海に沈める。
_
( ゚∀゚)「もうお前らと遊ぶのは飽きたからな〜。もう遊びは終わりだ」
俺は進路を再びシベリアに変え、速度を上げる。
_
( ゚∀゚)「あばよ。カスに洗脳された哀れな凡人」
_
( ゚∀゚)「っとー…弾を使いすぎたな…まずいまずい」
俺には俺の役割があるのに…こんなところでモララーの役に立っちまった。
コイツは反省点だな。
_
( ゚∀゚)「残りは頼んだぜモララー。弟者は俺に任せろ」
- 63 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:42:19 ID:MNMrj35A0
- ―09:00:05―
( ・∀・)「今、観測から連絡が入った。一台の戦闘機によって、シベリアの軍艦隊が相当な被害を被っているようだ」
( ´_ゝ`)「ジョルジュの奴だな」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。誰が貸した戦闘機に乗ってると思ってんの?」
ツンはさっきからしきりにその事を主張してくる。
まったくうるさい女だ。
( ・∀・)「本当にアイツは敵に回すと恐ろしいが、味方になると心強いな」
( ´_ゝ`)「敵に回すと…か」
俺はふと弟者の顔を思い出した。
そう言えば…俺にとって味方だったのはずっとアイツだけだったんだな…。
俺の呟きをモララーは聞き逃さなかったらしく、俺の元に近づき睨みながらこう言った。
( ・∀・)「…お前、いっつも一緒にいておいて、本当に気付かなかったのか?」
ξ゚听)ξ「無理よモララー。アイツはいっつも本音をどこかに隠して生きてきた男だから」
モララーの突っかかりに何故かツンが反応した。
- 64 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:45:58 ID:MNMrj35A0
- ( ・∀・)「なんでそんな事がお前に分かるんだよ…」
ξ゚听)ξ「どうでもいいでしょ、そんなことは…」
( ・∀・)「えっ…お前まさか…」
ξ;゚听)ξ「何よ……」
( ・∀・)「…………」
ξ;゚听)ξ「………………………」
( ・∀・)「趣味…悪いな」
ξ゚听)ξ「死ね」
その時、俺の頭の中で何かが動き出した。
( ´_ゝ`)「そうか…わかったぞ」
ξ゚听)ξ「………?何よ急に…」
- 65 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:47:42 ID:MNMrj35A0
- ( ´_ゝ`)「アイツの手口だよ。いくらアイツが本音を閉じても、敵に回ったとしても…アイツの癖だけは変えられない」
( ・∀・)「クラッキングに癖とかあるのか…?」
( ´_ゝ`)「ある。パスワード一つにしても、そいつの性格が組み込まれるもんだ」
ξ゚听)ξ「へぇ…そんなもんなの?」
( ・∀・)「さっぱりわかんねぇ世界だ…」
別に、素人向けに話すつもりもないので、そのまま無視して話を続行することにした。
( ´_ゝ`)「コンピューターは精確だ。その精確さゆえにユーザーの色が出る。それならば…できるかもしれない」
( ・∀・)「何がだよ」
( ´_ゝ`)「クラッキングさ。もしかすれば、アイツのプログラムに侵入する事ができるかもしれない」
ξ゚听)ξ「え…どういうこと?つまり何が起きるの?」
( ´_ゝ`)「アイツはシベリアの国民を洗脳することで国を支配している。その洗脳プログラムをジャックすることで洗脳そのものを止める事ができるかもしれない」
( ・∀・)「そ…そいつはいいぞ。さっそく取り掛かれ!」
ξ゚听)ξ「でも…その逆もあり得るじゃない」
- 66 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:48:32 ID:MNMrj35A0
- ツンが、ゆっくりと車椅子を動かして、俺の元へと近寄ってくる。
その目には哀愁が漂ったような瞳が映し出されていた。
( ・∀・)「どういうことだよ…」
ξ゚听)ξ「弟者もアンタの癖を知ってるんでしょう?だったら意味がないじゃない…。それに、アンタよりも弟者の方ができるんでしょ?」
( ´_ゝ`)「それは問題ない…。」
ξ゚听)ξ「どうしてそう言い切れるの?」
( ´_ゝ`)「確かに俺の方が劣っているのは事実だ。だがアイツは俺の事など眼中にないからな。アイツはいつも俺の事を見下していた」
ξ゚听)ξ「…………」
( ´_ゝ`)「しかし、俺は違う。俺は…アイツの事をずっと見てきた。アイツの腕前なら全て把握している」
( ・∀・)「そこまで見てるんならモナーさんの事も気付けよ…」
( ´_ゝ`)「俺が知っているのはアイツの表面的な能力だけだ。内側までは知らない。それに…まさかアイツがモナーさんを殺したなんて思いもしなかった」
( ´_ゝ`)「技術で劣っている分、可能性は薄いが、何が何でも侵入して見せる…」
( ´_ゝ`)「これは俺の…下剋上だ」
- 67 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:50:13 ID:MNMrj35A0
- ―09:03:55―
('A`;)「軍艦を乗っ取るってことか…?」
なんでコイツはこんなぶっ飛んだ話をしているんだ…?
ここから軍艦を奪う?どうやってだ…。
( ФωФ)「それしかないだろう。もうこの潜水艦はもたない」
('A`;)「………まぁそうだな。それしか無いわな…」
( ФωФ)「ドクオ。今から吾輩が船体を上昇させる。海面から出たと同時に乗り込むんだ」
('A`)「お前はどうするんだ?」
俺は当然の疑問をロマネスクにぶつける。
そりゃそうだ。これは俺らの戦いだ。
今までの個人戦とはわけが違う。
( ФωФ)「問題無い。吾輩は脱出のプロだぞ?」
('A`)「問題無いってお前…」
( ФωФ)「いいから行くぞ。もう時間が無い。何かあればこのトランシーバーを使え」
- 68 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:54:53 ID:MNMrj35A0
- ('A`)「………わかったよ…健闘を祈るぞロマネスク」
俺はトランシーバーを受け取り、準備に取り掛かる。
ロマネスクの言葉に、何か不安な違和感を感じた。
なんだこの感覚は…。
( ФωФ)「準備はいいか?ドクオ」
('A`)「ああ、いつでもオーケーだ」
( ФωФ)「よし。上げるぞ」
船体はぐんぐんと上がり、艦隊の中心に向かう。
水深はどんどん上昇していく。、20…15…10…。
5…2…1…。
メーターの数値が1になった。
俺は梯子を登り、
蓋の取っ手を握る。
( ФωФ)「今だ!行け!」
('A`)「ああ。任せろ」
俺は勢いよく蓋を開け、外に出る。
突然の陽射しは少し刺激的だったが、それに怯んでいる暇はない。
ロープフックを軍艦のマストに掛け、それを伝って甲板に上る。
- 69 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:56:15 ID:MNMrj35A0
- 甲板に昇りきった時、俺を出迎えてくれたのは、銃を構えた何百人もの海軍兵だった。
('A`)「こういう対面した戦い方は好きじゃないんだが…」
しかし…一度顔を出してしまったからには仕方がない。
諦めて、喧嘩をしようか。
('A`)「お前らには恨みはねぇが…このままだと俺が死ぬしな」
銃を構え、スタンバイ完了。
あ、それと…宣戦布告だけはしておいた方がいいのか?
なら…一つだけ言っておくか。
('A`#)「いいか!?これだけは聞いておけ!」
俺は高鳴る心臓を抑え、息を深く吸い込む。
('A`*)「こちとら、せ…せ…セックスをするまで死ねないん…」
その瞬間、敵の将校の「撃て!!」の合図に、銃弾が飛んできた。
('A`;)「さ…最後まで話させろ!!」
- 70 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:57:38 ID:MNMrj35A0
- 俺はサッと煙玉を取り出し、甲板に煙幕を張る。
しかし、腐ってもここは船の上だ。
風の影響で煙幕もものの数秒程度しか効果をなさなかった。
だが俺には、その数秒で充分だ。
俺は気配を消し、軍兵の背後に潜り込む。
兵士達は闇雲に銃を乱射するが、そんな弾が俺に届くわけがない。
('A`)「甘い。後ろだ」
俺は左胸を的確に撃ち抜き、死体を蹴り飛ばす。
煙が消えかかった頃合いを見計らい、薄らとみえた敵の姿に向けて容赦なく弾を当てる。
撃つ。撃つ。撃つ。
煙が完全に晴れた頃には数十人がその場に倒れていた。
しかし、それでも圧倒的に立っている人数の方が上だ。
('A`;)「流石に限がねぇな…。国を相手にするってことの規模を舐めてたな…」
ため息しか出ない。
別に皆殺しにするのは簡単だが、そんな事をして時間を潰すのだけは避けたい。
- 71 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 02:59:27 ID:MNMrj35A0
- ('A`)「こりゃあ…甲板にいると潰されるだけだな…。急いで中に入るとするか」
俺は閃光弾を取り出し、甲板に投げつける。
('A`)「じゃあな。こっちは時間が無いんだ」
眩い光が甲板を照らす。
その間に俺は艦内に侵入し、脱出に使えそうなボートや小舟を探す。
しかし、そんな暇を連中は与えてくれなかったようだ。
通路に差し掛かった時に前から何十人もの海軍が銃を構えてやってきた。
むしろ好都合だ。これは俺にとってのチャンスになる。
('A`)「いいか?細い通路ってのは、1対複数でとても戦いやすいんだ。向きが一方になって隙ができやすい」
('A`)「お前らに銃は使わねーよ。」
俺は銃をホルダーにセットし、腰につけていたアーミーナイフを取り出す。
('A`)「これ1本で十分だ。」
俺は足を踏み込んで駈け出し、銃を構えた群れに突っ込む。
奴らが放った弾丸を、右へ左へかわし、着々と距離を縮めていく。
('A`)「遅い。近距離戦は躊躇った瞬間が死だと思え」
- 72 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:00:34 ID:MNMrj35A0
- 切先を一番手前にいた男の首元に当て、盛大に切り裂く。
そのまま、もう一人の男の鼻に突き刺し、横にスライドする。
鼻に穴のあいた男を蹴り飛ばした後に、周囲にいた連中の心臓をザク、ザク、ザクと刺しては引き、刺しては引きと繰り返す。
そして十分な人数を殺したと思ったら、次はナイフを逆手に構え、片っ端から首を切りつける。
この間、約10秒。
バタバタと次々に倒れていき、その5秒後には最後の一人になっていた。
もちろんそいつも殺したが。
('A`)「これでラスト…っと。ふぅ…あとどのくらい殺せばここを奪えるんだよ…」
ここに来たのもほんの一部にすぎない。
さらにこれ以上時間がかかれば、他の艦隊から増援が来るか、この船ごと潰されるだろう。
('A`)「ロマネスクはどうしたん…」
その瞬間、遠くの方から大きな爆発音が聞こえてきた。
地鳴りは止む事無く続き、爆発音も絶えることなく続いた。
('A`;)「!!なんだこの音は…!」
一体、外で何が起きているんだ?
そう思った時、俺がさっき考えていた事が甦った。
('A`;)「まさか…!!」
間違いない。連中はこの船を沈める気だ。
- 73 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:01:54 ID:MNMrj35A0
('A`;)「ふざけやがって…!俺らの貴重な船が!」
いつかは切り捨てると思っていたが…いくらなんでも早すぎだろう…。
('A`#)「糞…どおりでこんなに乗組員が減った訳だ。おい!ロマネスク!!どこだ!?」
俺はトランシーバーのアンテナを伸ばし、ロマネスクと応答を取る。
意外にも、ロマネスクは素早く、応答に出てくれた。
( ФωФ)『ああ。ドクオか。すまないそっちには行けそうにない…』
('A`;)「な…何言ってんだ!おい!」
( ФωФ)『いいか、よく聞け。今から後部の甲板に出るんだ。今、軍艦は前部を重点的に狙っている。もう後方部には誰もいない』
('A`;)「それよりもお前はどうするんだ!!」
( #ФωФ)『黙って聞け!!』
('A`;)「!!」
ロマネスクの声に、流石の俺もたじろいだ。
っていうか小便漏れた。
- 74 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:02:34 ID:MNMrj35A0
- ( ФωФ)『吾輩は今、敵の目を引きつけておる。貴様はただ何も考えず後部左側にいる小さな船に飛び乗れ』
なるほど…次の新しい船を奪えばいいわけだな。
('A`;)「…わかった。それで…ロマネスクお前は…」
( ФωФ)『貴様が船に乗り込んだのを確認してから吾輩も合流する。大丈夫だ。心配無い』
もうこれ以上何も言っても無駄だろうと内心感じていたのだろうか。
根拠も何もない発言にも反論する気力が無くなっていた。
('A`;)「…………必ず来いよ」
( ФωФ)『……時間が無い。打ち合わせはこれまでだ。船に乗ったらすぐに運転を始めろ』
( ФωФ)『じゃあな。健闘を祈る』
('A`;)「あっ…おい…!」
結局、不明瞭な作戦が出来上がっただけでこのミーティングは終了してしまった。
('A`;)「何なんだよアイツ…」
('A`;)「……………行くしかないな…。急ごう」
- 75 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:03:20 ID:MNMrj35A0
- 考えても仕方がない。
今はロマネスクを信じていかなければ。
俺は再び走り出し、後方甲板を目指す。
途中、何度も爆発音が聞こえてきたが、気にせず前へ進む。
('A`)「よし!甲板だ!!」
俺は勢いよく甲板のドアを開いた。
('A`)「…………………………え?」
そこにいたのは、銃を構えた中隊程の人数の海軍だった。
中心には将校クラスの人間が立っており、その取り巻きが周りを囲んでいた。
馬鹿な。もう、海軍はこの船から撤退したんじゃないのか…?
('A`;)「どういうことだ…?ロマネスク…」
アイツが裏切るとは思えない。
俺一人を騙したところで何の意味もないからだ。
…となると、考えられる事は一つ。
('A`;)「まさか…アイツ…!!」
…死んだのか?
- 76 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:04:04 ID:MNMrj35A0
- まさか…。いや、また冗談かもしれない。
…いや、それは無い。さっきのはあくま
でも俺の思い込みだ。
だとしたら…残る可能性は…。
その時、さっきのロマネスクとの通信を思い出した。
【( ФωФ)『吾輩は今、敵の目を引きつけておる。貴様はただ何も考えず後部左側にいる小さな船に飛び乗れ』】
そうだ。俺が今すべきことは左側にある船を奪い取ること。
ロマネスクの安否など、今は気にする事じゃない。
しかし…このまま飛び出すのは危険だ。今回に限っては殺されるかもしれない。
だが、俺は行く。それが約束なのだ。
もう、2度と手を組みたくないような連中だとしても、組んだからにはその約束を守らなければならないだろう。
('A`;)「糞…!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は一目散に駈け出し、甲板を駆け抜けた。
- 78 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:09:46 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「ん…………?あれ?」
おかしい。銃弾は飛び交うどころか、誰も撃とうとはしない。
確かに銃口は俺に向かっている。
しかし誰一人として引き金を引こうとする輩はいなく、海兵の連中はただじっと待機をしている。
('A`;)「どういうことだ…?」
気が付けば、もう隣の船に乗ってしまっていた。
しかし、それでも奴らは撃ってこなかった。
('A`;)「糞…!ロマネスク!俺はもう行くぞ!!」
タイムオーバーだ。これ以上待つ事は出来ない。
俺は船の装置を動かし、発進する。
その瞬間だった。
( )「待て!!」
さっきまでピタッと止まっていた将校らしき男が船に乗り込んできた。
そして、そのまま俺を連れて、艦内へ入って行った。
- 79 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:10:27 ID:MNMrj35A0
- ('A`;)「!!チッ…この野郎!!」
俺はすぐに銃を構えようとするが、その前に手を前に出された。
( )「撃つな!吾輩だ!!」
俺の体も、金縛りにあったように止まった。
聞き覚えのある声。つい最近の声だ。
('A`;)「…!?…お、お前まさか」
その男は俺の目の前でぺリぺリとマスクを剥がした。
( ФωФ)「強奪ごくろう。なかなかいい走りだったな」」
('A`;)「敵の目って…そういうことだったのね…」
つまり、ロマネスクは敵の指揮官に変装することによって、軍隊を直接指揮して動きを封じたのだ。
大将が敵の船に乗ってしまえば、連中はしばらく身動きが取れなくなるだろう。
( ФωФ)「吾輩は脱出のプロであり、同時に変装のプロでもある」
流石に、今回は言いたい。
さっき言えなかったあの言葉を。
('A`#)「俺の下らない心配を返せ!!」
( ФωФ)「さぁ行くぞ!アイツらはまだ状況が理解できておらん」
('A`;)「お前……………………………………いや、もういいや」
- 80 : ◆4972gaB/9o:2010/06/27(日) 03:11:13 ID:MNMrj35A0
- ―09:30:34―
( ´_ゝ`)「準備は整った。それじゃ始めよう」
( ´_ゝ`)「弟者…お前と俺の一騎打ちだ」
( ´_ゝ`)「俺は…凡人なんかじゃない」
( ´_ゝ`)「モナーさんが…お前が殺した俺の恩師に認められた…」
( ´_ゝ`)「『Player』なんだ」
◆12:ババ抜き 前編 〜END〜 To Be
Continued-
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