- 5 :
◆4972gaB/9o :2010/05 /30(日)
20:20:45.35 ID:7JImlfpa0
- ◆10:ダウト 後編
8日目
―05:00:15―
朝日が昇り、ようやくこの船内にも暖かい陽射しが立ち込めてきた。
俺は両手の指を組みながら腕を伸ばす。
ギュウっと引き締まる肩の筋肉に僅かな痛みと快感が広がる。
( ´_ゝ`)「お、ここか」
俺達はダイニングレストランに辿り着いた。
その室内の奥にある窓ガラスの向こうに甲板があった。
(´<_` )「…ん、おいクーがいるぞ」
弟者に言われ、じっと甲板を見つめる。
よくみると甲板には2人の人間と1匹の犬がいた。
一人はクー。ドレスアップ姿がまたボディライン引き立て、朝日に写されたシルエットが美しく見える。
昨日までの白衣とは違い、艶やかな魅力のある女がそこには立っていた。
足元ではあの鬱陶しい犬が走りまわっていた。
- 8 :
◆4972gaB/9o :2010/05 /30(日)
20:22:21.71 ID:7JImlfpa0
- そしてもう一人。スーツを着用しているところを見ると男のようだが…。
どうも様子がおかしい。
右手を左手で抑え、膝を少し曲げクーを睨んでいる。
その右手からは血がポタポタと垂れ落ちていた。
(´<_` )「あれは…モララーか?」
( ´_ゝ`)「んん?……ああ、そうみたいだな」
窓ガラスを引き、外に出る。
強い潮風が顔面に当たり、風圧で少しだけ部屋に押し戻されそうになる。
( ´_ゝ`)「おい、お前ら…こんなところで何…」
(#・∀・)「ふ…、ふざけるなああああっ!!」
俺らが甲板に足を踏み入れたと同時に、モララーが怒声を放った。
川 ゚ -゚)「ふざけてると思うのなら結構。しかし【ジョーカー】は私達の中に必ずいるんだ」
(#・∀・)「何を馬鹿げた事を…!」
- 10 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:23:28.49 ID:7JImlfpa0
- 川 ゚ -゚)「馬鹿げているかどうか…自分の目で確かめるといい」
(#・∀・)「…どういうことだ?」
川 ゚ -゚)「今、この船には9人以上の『Player』が乗ってる」
( ;・∀・)「はぁ!?何だと!?」
川 ゚ -゚)「誰がモナーさんを何故、どうやって殺したのか。全てがはっきりするだろう」
( ;・∀・)「………お前ら馬鹿じゃないのか?俺達が今何をやってるのかわかってんだろ?」
川 ゚ -゚)「関係無い。私達がこうしてこの船に乗っている間は誰も稼ぐことはできないからな」
( ;・∀・)「ぐっ………」
そのままモララーは黙り込んだ。
それにしてもよくあの傷であれだけ叫べるのかと、素直に感心してしまった。
そして、モララーはしばらく俯いた後、もう一度口を開いた。
( ;・∀・)「……………本当に…本当にモナーさんは殺されたのか?」
川 ゚ -゚)「…ああ。それは…」
- 11 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:26:08.31 ID:7JImlfpa0
- (´<_` )「本当だ」
すると、いきなり弟者が会話に割り込みに行った。
二人の視線が俺らに向かう。
弟者はポケットに手を入れながら甲板の中央まで歩いて行った。
そこに立ちつくすのはカッコ悪いので俺も弟者の後ろをついて行く。
(#・∀・)「流石…お前らどの面下げて俺の前に出てきたんだよ…」
(´<_` )「あれはお互い様だろ?俺らだってアジトが壊滅させられたんだぜ」
( ´_ゝ`)「おかげで俺達は代金の高い宿泊施設に泊まるはめになったんだがな」
(#・∀・)「黙れ…お前らは必ずこの船がラウンジに行く前に殺す」
モララーは血まみれの右手を背広の裏ポケットに運ぶ。
あの手が握るのは拳銃だろうか。
川 ゚ -゚)「やめとけ。またお前の新しい怪我を増やすだけだ」
( ;・∀・)「う………」
その瞬間、クーの足元にいた犬がモララーをじっと睨む。
あの手はコイツに咬み付かれたのだろうか。
モララーの動きが止まり、そのまま腕を降ろした。
- 14 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:28:11.70 ID:7JImlfpa0
- 川 ゚ -゚)「この船では誰も殺させはしない。その為にコイツを連れてきたのだからな」
( ´_ゝ`)「凶器で凶器を抑止しているだけだろうが。根本的にはお前も変わらないな」
俺がそう答えると、クーは我に返ったように俺達の顔を見た。
川 ゚ -゚)「そう言えば…お前達はジョルジュを探してくるんじゃなかったのか?」
(´<_` )「全然見つからないから諦めた」
川 ゚ -゚)「よし、お前らを殺すから待ってろ」
( ´_ゝ`)「やだ、この子…自分で言った決め台詞ガン無視!」
( ;・∀・)「ジョルジュ…?アイツも来ているのか!?」
俺達の会話にモララーが反応する。
川 ゚ -゚)「わからない…だが恐らく来ているだろう。アイツは昔っから祭りごとには目が無いからな」
- 15 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:30:31.81 ID:7JImlfpa0
- ( ;・∀・)「そうか…」
そのまま、モララーはガクッと床に腰をついた。
コイツとジョルジュの間に何があったのか知らないが、恐らくこの前のハイウェイロケット暴発事件で何かあったに違いない。
( ・∀・)「…お前らは誰が犯人なのか目星はついているのか?」
(´<_` )「まったくだ。何せ全員が全員、共通して動機を持っている」
( ´_ゝ`)「アリバイも全員不透明だ。証拠だって揃っていない」
( ・∀・)「ここに何しに来たんだよ…。こんなところに証拠が眠っているわけ無いだろ?」
確かに、証拠や痕跡を探しだすとしたらVIPにいた方が賢明だろう。
しかし、俺達「Player」がそんな物を残すとは思えない。
川 ゚ -゚)「正直、手詰まりなんだ。これ以上探しても意味がない」
( ・∀・)「じゃあどうするん…」
川 ゚ -゚)「こうなった以上、答えを知っているのは【ジョーカー】だけだ」
クーは言った。
犯人は必ず名乗り出ると。
- 17 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:31:44.37 ID:7JImlfpa0
- 0日目
―22:43:12―
( ´_ゝ`)「よし。終わったぞ」
(´<_` )「こっちも準備は整った。いつでも行けるぜ」
HDDの雑音、ファンの回る音。
部屋中に設置したスパコン。
天井の蛍光灯は、しばらく取り替えていないので何度も点滅を繰り返している。
最終チェックが終わる。
俺達の旅立つ用意が整った。
国内最大のネットオンラインゲームサイト「AMU」。
RPG、格闘ゲーム、パズル・クイズ、ボードゲーム、カードゲーム…etc.
様々なジャンルのゲームを幅広く扱っており、老若男女問わずIT業界で圧倒的な人気を誇っている。
アカウント数は瞬く間に3億を越え、劣るところを知らない。
世界一安全といわれるセキュリティーもこのアカウント数の増加の要因の一つとも言える。
俺は今からそこに攻撃を仕掛ける。
- 19 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:32:58.66 ID:7JImlfpa0
- 「AMU」の有料会員はおよそ2000万人。
現物としての金はそこから回収し、残りの3億のアカウントから個人情報を引き出し、お得意様に売りつける。
このサイトの面白いところは、世界的な芸能人や政治家など、ネームバリューのある人もこのサイトに登録している。
この情報はかなり高値で売れるだろう。
(´<_` )「それじゃあ、行こうか」
( ´_ゝ`)「ああ。お互い健闘を祈るよ」
俺達は別々に仕事を受け持っている。
俺は「AMU」。弟者は金融商品…いわゆる証券取引所に攻め込む。
俺の方は推定すると50億以上の利益が出るが、弟者のクラッキングが成功した場合、その成功報酬は計り知れない。
何せ、為替の全てを操作する事ができるのだから。
俺達はモニターに向かう。
これから作業が終わるまで俺達は何も喋らない。
別に決まりはないが、昔からそうしていたので、今では仕事前に健闘を祈るのが慣習になってしまった。
- 20 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:34:50.96 ID:7JImlfpa0
- マウスを握り、人差指を押す。
俺の目の前に移る、この世界だけの言語。
1と0の世界。
正直言えば、もうあらかたの作業は完了しているので、物の数分で全てが終わってしまう。
あんな漫画や映画のようにリアルタイムで打ち込むようなバカはいない。
ましてや画面いっぱいに緑色の文字列を並べるのはどうなのよって話だ。
クリック一つで俺自家製のウイルスをばら撒き、システムに忍び込む。
向こうにどんなハッカーがいようと、俺達の攻撃に対応できる奴はいないだろう。
( ´_ゝ`)「さてと…そろそろか」
雪崩のように舞い込んでくる文字列。
ぞくぞくと他人のアカウント情報が舞い込む。
この文字が数億の金になると思うと、身の毛がよだってしまう時期もあったなぁ…とふと思いだした。
- 22 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:37:13.38 ID:7JImlfpa0
- ( ´_ゝ`)「こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」
(´<_` )「ああ、終わったよ。今までとは桁が違うな」
弟者がモニターの向きを変え、俺に見せる。
最終収益に表示された数字には0が13個並んでいた。
( ´_ゝ`)「これ…大丈夫なのか?国家が破綻するレベルだぞ?」
(´<_` )「問題無い。先進国の中でもVIPと最も交流の浅い国を選んだ。それでもしばらくは不況が続くだろうな」
( ´_ゝ`)「足跡は残してないだろうな?」
(´<_` )「俺が今までそんなへまをした事があるのか?」
俺を納得させるのに十分な根拠だ。
この優秀な弟は今まで失敗をした事が無い。
いわゆる天才だ。
- 23 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:39:01.89 ID:7JImlfpa0
- 俺達は常に共に暮らしていた。
同じ病院で同じ女の股から生まれた。同じ環境で育った。
同じ親を同じタイミングで失った。
それから俺達は孤児院に預けられた。
特段比較される事もなかったが、双子は珍しかったのか、何かと注目されるようにはなった。
しかし、俺と弟の間には決定的な違いがあった。
それは才能だ。
弟は何をやらせても優秀だった。
運動も、勉強も、仕事も。
このクラッカーの仕事に付いたのだってただ「動くのが面倒だから」という理由で始めたものだった。
適正でいえば、彼は何にでもなれたのだ。
- 27 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:40:29.39 ID:7JImlfpa0
- (´<_` )「ん?…どうした兄者。」
ハッとなって弟者の顔を見る。
( ´_ゝ`)「いや…なんでもない。バオバブ味について考えてただけだ」
(´<_` )「そうか。何ボーっとしてたのか気になってな」
それでも弟者は俺の事をずっと兄として慕ってきた。
こんな何の価値もない兄を、たった一人の肉親と言うだけの理由で。
( ´_ゝ`)「さて…早めにデータを移さないとな」
(´<_` )「まだかよ。俺はもう終わってるぞ」
( ´_ゝ`)「やだねー。これだから早漏は」
(´<_` )「能力が無いのを自分のナニのせいにするなよ」
- 30 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:42:59.85 ID:7JImlfpa0
- 時々、コメントが辛口だがそれでもいいんだ。
俺達には切っても切れない繋がりがある。
それはこの世界では強力な武器になるろ信じている。
( ´_ゝ`)「おっ…電話か?」
ズボンのポケットが徐に震える。
俺は携帯を取り出し画面を見る。
しかし、見た瞬間に電話は途切れてしまった。
(´<_` )「珍しいな…。兄者の電話が震えるなんてな」
( ´_ゝ`)「ああ。とても珍しい人からだった。」
(´<_` )「誰だい?」
( ´_ゝ`)「フォックスさんだ」
それから数10秒後にフォックスさんからの留守番電話が待ち受けに表示された。
俺はそれを聞くために受話口を耳に当てる。
『モナーさんが死んだ。今すぐ帰ってきてほしい』
- 32 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:45:35.99 ID:7JImlfpa0
【◆川 ゚ -゚)ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】
- 33 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:48:15.72 ID:7JImlfpa0
- 8日目
―04:33:43―
_
( ゚∀゚)「よう。お二人さん…俺に用か?」
('A`)「…気配は完全に消したつもりだったんだがな」
_
( ゚∀゚)「おいおい…いつまで先輩面してんだよ。俺は3日後にあんたの上司になるんだぜ?言葉を選べよ」
('A`)「初っ端からうぜえな…」
_
( ゚∀゚)「ってか何であんたらこの船に乗ってんの?」
ジョルジュは会話を途切らせることなく質問を被せる。
きっとこの男は知らないのね。何もかも。
ξ゚听)ξ「今…この船にほとんどの『Player』が乗ってるわ」
_
( ゚∀゚)「へぇ〜何で?海外に社員旅行でもしたかったの?」
- 35 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:50:35.12 ID:7JImlfpa0
- ξ゚听)ξ「…やっぱりアンタ…何も知らないのね」
_
( ゚∀゚)「……?何の事だ?」
私達…いえドクオが探していたターゲットでは無かった。
むしろ先日とてもお世話になった元凶だ。殺したくてたまらないほどに会いたくない。
しかし、少なくとも私達はコイツに伝えなければならない事がある。
('A`)「いいか。よく聞け…モナーさんは…」
('A`)「殺されたんだ」
- 37 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 20:53:10.78 ID:7JImlfpa0
- _
( ゚∀゚)「……………は?」
あれほど騒いでいたジョルジュの動きがピタッと止まる。
('A`)「文字通りだ。モナーさんは殺された…俺らの誰かによってな」
_
( ゚∀゚)「何を言ってるんだ?親父は心筋梗塞だろ…?」
ξ゚听)ξ「あれはフォックスさんがついた嘘よ。あの人の真意はまだ掴めていないけど、もしかしたらあの人が…」
_
( ゚∀゚)「え?何お前ら…こんなところまで来てそんな嘘をつく為だけにここに来たの?」
('A`)「これはロマネスクが置いて行ったモナーさんのカルテだ。」
ジョルジュはドクオが持っていたカルテを乱暴に奪い、隅から隅まで読みとおす。
呼んでいる時のジョルジュの目は瞳孔が開いており、死んだ人間のように見えた。
_
( ゚∀゚)「は?え?カルテとかジョークにしては演出懲りすぎじゃね?」
ξ゚听)ξ「めんどくさいわね。いい加減認めなさ…」
その瞬間、ジョルジュが握っていた銃から破裂音が飛び出した。
- 49 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:02:19.85 ID:7JImlfpa0
- _
( ゚∀゚)「親父を殺したのは…俺以外の『Player』全員だ!そうなんだろ!?」
ξ゚听)ξ
('A`)
もはやギャグだ。
どのような思考回路が完成すればそんな結論が出るのよ…。
('A`)「…お前がそこまで馬鹿だとは知らなかったわ」
_
( ゚∀゚)「だったら…俺が仇を討つしかないのか。うん。そうだ。そうだ。」
ジョルジュは誰と会話しているのか、一人でブツブツと喋り始めた。
その姿がまた不気味に感じた。
_
( ゚∀゚)「よし!そうしよう!」
そう言うとジョルジュは振り返り私達に向かってこう言った。
_
( ゚∀゚)「今からこの船を沈ませるわ」
- 51 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:04:10.47 ID:7JImlfpa0
- ―05:36:49―
(;*゚ー゚)「ぶ…ブーン君!!」
(´・ω・`)「………」
ショボンの後ろに立っていたのは私が数時間も待っていた本人その人だった。
( ^ω^)「おっおっおっwwなんか待たしてたみたいだおねw」
(*゚ー゚)「うん!そりゃ待ったよ。というか船に乗って無いと思ったもん」
( ^ω^)「そこまで期待されると照れるおねww」
彼は相変わらずのようだった。
気楽な性格、固く太った体型、細いつり目。
(*゚ー゚)「今まではどこに…?」
( ^ω^)「部屋でくつろいでたおww」
いやはや…彼らしいというか何というか…。
- 55 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:07:19.26 ID:7JImlfpa0
- (´・ω・`)「やあ、ブーン。元気そうだね」
( ^ω^)「元気だおwwwでも…誰かがめんどくさい事をしなければもっと元気だったお」
(´・ω・`)「はははwそいつはすまなかったね。悪い悪い…」
(*゚ー゚)「……?」
話の流れからしてこの二人は「ゲーム」が始まってから一度会っているようだ。
しかも、空気は険悪になるほど、厄介な事が起きたらしいが。
(´・ω・`)「さてと…ブーンが来たんじゃ仕方ないね。僕は降りるよ」
( ^ω^)「何でだお?せっかくだしもう1ゲームやってけお」
(´・ω・`)「君と戦っても勝てない事は実証済みじゃないか」
( ^ω^)「気にすんなお。たかがギャンブル、遊びじゃないんだし」
- 60 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:10:13.91 ID:7JImlfpa0
(´・ω・`)「そういわれてもなぁ…」
( ^ω^)「何でだお?この前は受けたじゃないかお」
(´・ω・`)「………うーんそうだね。それもそうか」
( ^ω^)「じゃあ決まりだおね」
どうやら、ブーン君の説得の結果、ショボンはまたゲームに参加することになたようだ。
私としては、強いのが2人並んで戦いたくないのだが。
(´・ω・`)「いいよ。その勝負受けようじゃないか。その代わり…条件がある」
( ^ω^)「…なんだお」
(´・ω・`)「場所を変えよう。別のゲームをしようじゃないか」
(*゚ー゚)「…別のゲームって何?」
(´・ω・`)「うーん…そうだなぁ…じゃあたまには童心に帰って…」
(´・ω・`)「ばば抜きなんてどうだい?」
- 63 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:14:01.71 ID:7JImlfpa0
- ―05:09:31―
頭が痛くなってきた。
この男が言いだした言動が理解できなくて。
ξ;゚听)ξ「ちょっと、何考えてんのよあんた!!」
ツンが車椅子に乗りながら騒ぐ。
正論だが、今さらその質問を唱えたところで無駄だとは思う。
_
( ゚∀゚)「この船にはほとんど『Player』がいるんだろ?だったらみんなまとめて沈めればいいじゃないか」
('A`;)「なんだこの馬鹿は…本気で頭が吹っ飛んだのか?」
ジョルジュはさっきからヤクでもやってるかのように暴れている。
いったい何が起きたのか俺にもわからない。
_
( ゚∀゚)「確かに…親父はお前らの誰かに殺されたみたいだ…。だがそれは違う」
_
( ゚∀゚)「お前ら全員で殺したんだ」
- 65 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:15:47.05 ID:7JImlfpa0
('A`;)「『Player』一の馬鹿とは聞いていたが…まさかここまでとは…」
ξ;゚听)ξ「返す言葉も見当たらない」
俺達は空いた口がふさがらず、ただずっと目を輝かすジョルジュを見ていた。
なんでこんな馬鹿をモナーさんは「Player」に入れたのだろうか。
_
( ゚∀゚)「…じゃ、そういうことで俺は今からセットしてくるわ。お前らはそこで余生を楽しんでな」
そう残すと、ジョルジュはさっと駈け出していった。
まずい。あいつを今野放しにしてはならない。
('A`;)「糞…あの野郎…!!」
俺もジョルジュの銃を拾い、奴を追いかける。
('A`;)「おい!待て!!」
俺は銃を構え、ジョルジュの脇腹に向かって狙い撃つ。
_
( ;゚∀゚)「おっとお!!?…チッ…ドクオか」
しかし、ジョルジュはその瞬間で角を曲がり、間一髪で銃弾をかわす。
- 66 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:19:21.79 ID:7JImlfpa0
- 俺達のいたちごっこはどこまでも続く。
貨物室を抜け、関係者用通路を抜け…。
キッチンに入って、ジョルジュが冷蔵庫の角に入って初めて足が止まった。
('A`)「…もう、お前には何を言っても無駄なんだろうな」
_
( ゚∀゚)「そういうこった。もう諦めて死ね」
('A`)「そうか…。だったら痛みで黙らせるしかないな」
俺は背広の裾から1丁のベレッタを取り出す。
_
( ;゚∀゚)「おい!2丁は卑怯だぞ!」
('A`)「はぁ?知るかよ」
俺はジョルジュが隠れた業務用冷蔵庫に向けて、銃弾を撃ち込む。
_
( ;゚∀゚)「ぐっ…糞が!!」
ジョルジュも負けじと乱射するが、狙いが定まっていない。無駄だ。
- 74 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:25:34.62 ID:7JImlfpa0
- キッチンにいたコックたちは慌てて逃げ出した。
これでこの室内に残るのは俺達だけになる。
('A`)「お前は甘いんだよ。いつも自分よりも弱い立場の人間を人質にとって金にする」
俺は調理台の上に乗り、冷蔵庫まで駆け抜ける。
_
( ;゚∀゚)「ふざけるな…!親父殺す事もお前の仕事だったのか!?」
('A`)「だから俺はモナーさんを殺してなんかいない。お前の被害妄想だ」
俺は奴の銃弾を全てかわしながら間合いを詰める。
20mあった距離も、気付けば目安5mにも満たない。
_
( ;゚∀゚)「う…嘘をつくなっ………あっ!」
ついにジョルジュの持っていた銃は弾切れになった。
当たり前だ。俺はあの銃の残り弾数を知っている。
何故なら奴が今持っているのは俺の銃だから。
- 77 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:27:33.05 ID:7JImlfpa0
- ('A`)「嘘じゃねえよ。ジョルジュ」
俺は調理台を蹴り、思いっきり飛びあがる。
そして、銃を構えジョルジュに向けて引き金を引いた。
_
( ;゚∀゚)「うおおおおおおおおおお!!」
ジョルジュは冷蔵庫のドアを開け、銃弾の防ぐ。
業務用なだけあってか、ベレッタではその厚いドアを貫通させることはできなかった。
しかし、俺は止まらない。
そのまま冷蔵庫のドアにしがみつき、ドアの上辺部分を掴み、いっきに冷蔵庫の上に上る。
扉を越えると、そこには冷や汗を流しているナルシストがいた。
('A`)「みっともねぇな」
_
( ;゚∀゚)「だ…黙れ!」
('A`)「お前聞いたぞ…?まだ1レスもキャッシュカードに入れてないらしいな」」
- 79 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:29:59.07 ID:7JImlfpa0
- _
( ;゚∀゚)「!!…なぜそれを」
('A`)「最終日まで貯めてる…なんてことはねぇよな。モナーさんを敬愛しているお前が振り込まないはずがない」
_
( ;゚∀゚)「よせ…それ以上言うな…」
('A`)「お前…稼げてないんだろ?『Player』として失っか…」
_
( #゚∀゚)「やめろ!!」
ジョルジュは声を荒げ、手に持っていた弾の入っていない俺の銃を投げつける。
そんな原始的な攻撃が俺に当たるわけもなく、銃は冷蔵庫を跨ぎ、キッチンの奥へ飛んで行った。
('A`)「ここで死ねてよかったな。そうすれば少しは振り込まなかった事にも理由が付くぜ」
俺は冷蔵庫から飛び降りる。
('A`)「ゲームオーバーだジョルジュ」
俺は引き金に人差指を乗せる。
_
( #゚∀゚)「ぐ…………ああああああああああああああああああ!!!」
- 3 :
◆4972gaB/9o :2010/05 /30(日)
21:32:37.09 ID:7JImlfpa0
- その瞬間、ジョルジュが俺に猛烈なタックルを仕掛けてきた。
('A`;)「ぐっ!!」
俺は反射的に引き金を引いたが、その弾は標準がズレて奴の肩に当たった。
しかし、ジョルジュは引くことなく俺に目掛けて飛び込んできた。
俺は作戦を変え、銃でジョルジュの顔面を殴る。
_
( ∀ )「カハッ…!!」
殴った瞬間、ジョルジュは不敵の笑みを漏らした。
その瞬間、俺の腹に一発拳を入れた。
('A`;)「ゴフッ…!!」
しまった。完全に油断していた。
ジョルジュがこんなところで反撃してくるとは思わなかった。
窮鼠猫を噛むとは言ったものだ。
- 85 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 21:34:19.76 ID:7JImlfpa0
- 俺は銃を背広にしまい、ナイフを出し距離をとる。
('A`)「…俺に接近戦で挑むとはいい度胸だな」
_
( ゚∀゚)「今、ここでお前を倒しておかねぇと後でどんな邪魔が入るかわかったもんじゃねぇからな」
('A`)「へぇ…お前も意外と馬鹿じゃないんだな」
_
( ゚∀゚)「何言ってんだよ。俺は最初から天才だろ?」
ジョルジュも拳を構える。
どうやらあっちも接近戦がお好きらしい。
('A`)「とりあえず俺はモナーさんを殺してないとだけ言っておくからな」
_
( ゚∀゚)「なんとでも言え。俺はこの船を沈める」
('A`)「おっけーわかった。じゃあ死ね」
俺はナイフを構え、ジョルジュに飛びかかる。
- 105 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:08:23.98 ID:7JImlfpa0
- ―05:40:11―
(´・ω・`)「ここだよ。」
ショボンが連れてきたのは、とても広いダイニングレストランだった。
赤い絨毯と、シャンデリアがとても印象的に感じられた。
奥には柄の良いカーテンが掛けられ、ムードある雰囲気を出していた。
まだ営業はしていないのかテーブルに乗っている燭台に火は灯されてない。
( ^ω^)「レストランはまだ営業していないのかお?」
(´・ω・`)「君はそればっかりだね。まぁいいや適当に座ろうか」
そういうと、ショボンは目の前にあった4人用テーブルの椅子を引いた。
私達もそれに続き、椅子に腰を掛ける。
(*゚ー゚)「それにしても…なんでばば抜き…」
(´・ω・`)「もうカジノゲームは飽きちゃってさwせっかくだし身内でできるようなギャンブルがしたいんだよ」
気持ちは分からなくもないが…なにか歯痒さが残る。
- 107 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:12:32.13 ID:7JImlfpa0
- ( ^ω^)「それで?ルールや賭け金はどうするんだお」
ブーン君がショボンに尋ねる。
(´・ω・`)「簡単さ。最後までジョーカーを持っていた人が負け。それ以外は勝ち」
( ^ω^)「賭け金は?」
(´・ω・`)「君達が今宵用意した金額全てだ。1抜けには所持金の75%を。2抜けには25%」
(*゚ー゚)「でもそれだと次のゲームができないじゃない」
(´・ω・`)「次のゲームなんていらないよ。そんなに時間も無いしね」
ショボンが言っている事がいちいち鼻にかかる。
時間とはいったい何の事だろうか。
( ^ω^)「…まあいいお。さっさと始めるお」
- 110 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:17:52.60 ID:7JImlfpa0
(´・ω・`)「ものわかりがいいね。しぃもそれで大丈夫かい?」
(*゚ー゚)「ええ。構わないわ」
正直、ばば抜きは心理戦を得意とする私にとって最も条件の良いゲームだ。
まず、この勝敗を握るのは心理の読み比べと言っても過言でないし、イカサマを仕込みにくいゲームだ。
まぁカジノでは滅多にというか絶対に扱われていないので、出番は無いのだが。
( ^ω^)「カードはどうするお?」
(´・ω・`)「うん、こっちで用意させてもらった。これを使おうか」
そういうと、ショボンは胸ポケットからカードケースを取り出す。
( ^ω^)「そのカード…ちょっと見せてくれないかお?」
(´・ω・`)「ああ、いいよ。はい」
ショボンはブーン君にカードを渡す。
ブーン君はカードを1枚1枚確認していく。
(´・ω・`)「………」
- 111 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:22:25.95 ID:7JImlfpa0
- ブーン君が確認し終え、カードをショボンの元に戻す。
(´・ω・`)「どう?しぃも調べる?」
(*゚ー゚)「私はいいわ。だってブーン君が調べれば問題ないってことでしょ?」
彼は本業だ。
私が調べなくともブーン君が問題無いと判断すれば問題ないのだろう。
(´・ω・`)「そう。じゃあ次のステップだ。君達の今持ってる金額を全部出してくれ」
( ^ω^)「残念、僕は一文なしだお」
(´・ω・`)「僕が情報屋だってことをお忘れかな?」
( ^ω^)「冗談冗談。2000万レスだお」
(*゚ー゚)「私は1億とちょっとかな?」
(´・ω・`)「随分稼いだもんだね……僕は6千万レス」
そして、3人が紙に書いたカードが中央に寄せられる。
- 116 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:28:59.93 ID:7JImlfpa0
(´・ω・`)「それじゃあ、始めようか。しぃカードを切ってもらえるかな?」
(*゚ー゚)「うん、いいよ」
私はカードを受け取り刻みよくシャッフルする。
数分間切った後、私とショボンとブーン君にカードを配る。
配り終えるのにそこまで時間はかからなかった。
(*゚ー゚)「完了っと」
私が配り終えたと同時に全員でカードをめくる。
私は一通りカードを見た後、同じランクのカードを捨てていく。
(´・ω・`)「あ、一応、捨てるカードも覚えておいてね。スペードのAを持ってる人から時計回りに始めようか」
( ^ω^)「了解だお。じゃあ俺からだおね」
- 118 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:32:36.27 ID:7JImlfpa0
- 全員がダブついたカードを捨て終え、いよいよゲームに入る。
3人それぞれの手札は、私が4枚、ショボンが4枚、ブーン君が3枚だった。
まずはスペードのAを持っていたブーン君が私のカードをとる。
そして私がショボンのカードをとり、最後にショボンがブーン君の…という流れになった。
( ^ω^)「それじゃあいくお」
ブーン君が私の手札から1枚だけ抜き取る。
( ^ω^)「おっ…そろったおね」
ブーン君はそういうとスペードとダイヤのJを場に捨てた。
( ^ω^)「これでラスト2枚だおwww」
こうなる事はショボンも私もわかっていただろう。
何せ彼は奇跡の力を持っているのだから。
私も最初から1位になるなんて思っていない。
よくて次点。2位で抜ける事が目標だ。
- 120 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:35:53.97 ID:7JImlfpa0
(*゚ー゚)「それじゃあ…私ね」
私はショボンとにらみ合い、ショボンが握ったカードをつまむ。
カードをひっくり返す。マークはクローバーの4だった。
私の手札は4枚。
スペードの4、ダイヤのK、ハートの6、そしてハートのA。
ここで私は1枚捨てる事ができる。
当たり前だ。ショボンが持っているカードは全て私が持っているのだから。
私は4のカードを捨てる。
(´・ω・`)「じゃあ僕の番か。」
ショボンがブーン君のカードを見つめる。
2枚ある手札の内、ショボンは左側のカードを選んだ。
(*゚ー゚)「………?」
私はこの時、妙な違和感に襲われた。
先程のショボンとのゲームほどではないが小さな、小さな違和感が頭をよぎった。
それがなにを指しているのかはわからないが。
そして、ショボンはそのカードをしぶしぶと手中に収める。
あのカードはジョーカーか。それとも別のカードか。
- 121 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:39:53.20 ID:7JImlfpa0
( ^ω^)「この前の用にもっと頑張れお」
ブーン君が突然、ショボンに語りかけた。
(´・ω・`)「ああ、そうしたいのは山々だけどさ…君じゃないんだから、そう上手くは行かないもんだよ」
(*゚ー゚)「ねぇ…さっきから言ってる、この前って何のことなの?」
( ^ω^)「この前はこの前だお。コイツと会ってギャンブルしてたんだお」
(´・ω・`)「えーっとあれは雨が降ってた日だったから…『ゲーム』が始まって5日目かな?」
なるほど。合点がいった。
しかし、ショボンもブーン君の挑戦に乗るとはすごい度胸だ。
(*゚ー゚)「それで…?結局どっちが勝ったの?」
(´・ω・`)「もちろんブーンさ。僕が勝つわけ無いじゃないか」
- 128 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:47:00.45 ID:7JImlfpa0
- ブーン君の手は止まったまま動かない。
何があったというのだろう。
(*゚ー゚)「…?どうしたの?」
( ^ω^)「あ…………いや、何でも無いお」
ブーン君は一度手を引っ込めて、手札を見る。
何を迷う事があるのだろうか。
(´・ω・`)「どうしたんだい?ブーン。君ならそのカードを引いておしまいじゃないか」
ショボンがニヤつきながら、ブーンに尋ねる。
( ^ω^)「何でも無いお…ただ、腹痛っぽいだけだお…」
その言葉を聞いて、また違和感が湧いた。
いったいなんだろう…。この違和感の正体は。
- 129 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:49:28.04 ID:7JImlfpa0
- ( ^ω^)「もう大丈夫だお…。それじゃあ引かせてもらうお」
そう言ってブーン君はもう一度私のカードを手に取る。
カードはダイアのK。もし彼がKを持っていればその時点で1抜けが確定する。
ブーン君がカードを引いた。
その瞬間、違和感の正体がハッキリとした。
私はおもむろに立ち上がり、ブーン君を見下ろす。
(;*゚ー゚)「…ああ…あ…」
( ^ω^)「どうしたんだお?しぃ。」
まさか。まさか。
(;*゚ー゚)「あ……………………」
(;*゚ー゚)「あなた…ロマネスクなの?」
- 132 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 22:52:57.80 ID:7JImlfpa0
( ;^ω^)「…?何を言ってるんだお?」
この男は私の顔を怪訝そうに見つめる。
(;*゚ー゚)「さっきからおかしいと思ってた…。あなたは…ロマネスクだったのね」
間違いない。彼はブーンなんかじゃない。
あの変装の達人ロマネスクだ。
( ;^ω^)「いや…だから何を根拠に…」
(´・ω・`)「あっはっはっはっはっはwww」
突然、ショボンが割り込んで笑い始めた。
(´・ω・`)「やっぱりねwwそうだろうとは思ったよ」
ショボンは笑いながら、そう答えた。
やはりおかしい。ブーン君とショボンには何かある。
- 140 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:08:30.43 ID:7JImlfpa0
- ( ;^ω^)「だから何を…」
(*゚ー゚)「最初におかしいと思ったのは、カードを持つ時の手。ブーン君は右手でいつも持つのにあなたは左手で持った。」
( ;^ω^)「!!………」
(*゚ー゚)「ブーン君は奇跡の能力を持っているから、自分の癖なんか気にしていなかった。だからその癖は露骨に出ていたの」
私は今自分が気付いた事を順序良く話す。
(*゚ー゚)「そして、私は一度覚えた人の癖は決して忘れない。これは断言できるわ」
(´・ω・`)「なるほどねw確かに根拠としては十分だ。…僕も気になってたんだ。ブーンの言動について」
ショボンは立ち上がり、テーブルにカードを置く。
(´・ω・`)「何故君はあの日の事を濁らせていうのかなってね…まるでそこにはいなかった人のようだ」
( ;^ω^)「…………………」
- 146 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:15:07.02 ID:7JImlfpa0
( ^ω^)「…………本当に、『Player』は吾輩の変装を見破るのが上手いな」
(´・ω・`)「変装が下手なだけじゃないの?ww」
( ^ω^)「いや…ゲームが始まるまで、一度も見破られた事が無かった…。流石は天才か」
その男は立ち上がり、ゆっくりと顔のマスクを外す。
びりびりと音を立て、カツラもパサッと落ちた。
( ФωФ)「…………」
(*゚ー゚)「何でこんなことを…?」
( ФωФ)「…吾輩は昨日、ある物を追っていた」
ロマネスクは私達に顔を見せようとはせず、喋る。
彼は確かモナーさんの真相について探っていたはず。
(*゚ー゚)「ある物…?」
( ФωФ)「プルトニウムだ」
- 151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /30(日) 23:18:04.47 ID:7JImlfpa0
(*゚ー゚)「プルトニウム…?」
そんな物騒なものとモナーさんの死の真相は何が関係あるのだろうか。
( ФωФ)「しぃは知らないだろう。葬儀の翌日、VIPのある飛行機がハイジャックにあった」
(*゚ー゚)「ハイジャック…?ってまさか…」
( ФωФ)「もちろんジョルジュだ。まぁアイツの本職だからジャックした事はわかる。しかしアイツがジャックした飛行機にそのプルトニウムが乗ってい
た」
(;*゚ー゚)「どういうこと…?」
話がさっぱり見えてこない。
いったい何が関連しているといのだろうか。
( ФωФ)「このプルトニウムは密輸品だった。ツンとモララーによって計画された…な」
(;*゚ー゚)「ツン…モララー…ジョルジュ…」
( ФωФ)「この事件に関わった『Player』は他にもいる。まずこの便にブーンが乗っており、モララーが飛行機に向けて目掛けたミサイルを阻止したのもアイツの力だろう」
- 155 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:23:53.53 ID:7JImlfpa0
(;*゚ー゚)「ミ…ミサイルですって!?」
( ФωФ)「モララーはジョルジュにプルトニウムを奪われると察したのだろうな。あいつのやりそうなことだ。」
(;*゚ー゚)「た…確かに」
( ФωФ)「そして、このミサイルを物理的に阻止したのは流石兄弟のクラッキングだった」
(;*゚ー゚)「そんな事が2日目にあったなんて…」
( ФωФ)「しかし、そのプルトニウムを最終的に手に入れたのは吾輩だったのだ」
( ФωФ)「一つの事件に関わった『Player』が7人…。これは普通か?」
( ФωФ)「モナーさんの葬儀が終わり、まだ何も知らない状態で、全員が関わるのはおかしい。吾輩はそこに裏があると思い、探っていたのだ」
(´・ω・`)「それで…?ロマネスク名探偵の素行調査の結果は…?」
- 158 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:29:50.58 ID:7JImlfpa0
- ショボンはくたびれたようにロマネスクに質問を投げた。
( ФωФ)「吾輩は、フッサールと言う男にプルトニウムを売ったのだが…その男もまた転売をしていたらしい」
( ФωФ)「ショボン…貴様だ」
ロマネスクは人差指をショボンに突き付けた。
(´・ω・`)「僕か………」
( ФωФ)「そして、ショボン…貴様を追っていくうちに、貴様がブーンと接触した情報を手に入れた」
(;*゚ー゚)「それが…あの日ってこと?」
( ФωФ)「ああ、そうだ。しかし、あれ以来ブーンはどこにも姿を見せなくなってしまった」
ロマネスクはショボンに近づき、胸倉を掴む。
( ФωФ)「貴様…ブーンと何をしていた?そして…ブーンはどうした」
(´・ω・`)「あっ…ブーン?ブーンは死んだよ」
(;*゚ー゚)「えっ…!?」
( ;ФωФ)「なんだと!?」
- 163 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:35:05.30 ID:7JImlfpa0
- その言葉を聞いて、私達は空いた口が塞がらなかった。
ブーン君が…死んだ?
(´・ω・`)「あーあ。もうそろそろ良いかな。喋っても」
ショボンは立ち上がり、振り返る。
(´・ω・`)「別に言わないつもりじゃなかったんだ。前金はすでに受けっとっていたし」
(;*゚ー゚)「まさか…あなた…」
( #ФωФ)「貴様…モナーさんを!!」
(´・ω・`)「いやね、別に僕はモナーさんを殺してないよ?」
(´・ω・`)「ただ、ジョーカーだと言われたら僕は首を縦に振るだけさ」
まさか…ショボンがジョーカー?
コイツが…モナーさんを?
( #ФωФ)「どういうことだ!!」
(´・ω・`)「ねえ…君達知ってた?」
(´・ω・`)「トランプってジョーカーが2枚入ってるもんなんだよ?」
- 168 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:38:05.44 ID:7JImlfpa0
- ―05:54:42―
_
( ゚∀゚)「おらぁ!!」
俺は勢いを付けハイキックを繰り出す。
しかし、ドクオはそれを回避し、ナイフを俺の脚に目掛けて振り降ろす。
すかさず俺は手を伸ばし、ドクオの腕を掴む。
('A`)「きったねぇ手で触るなボケカス」
_
( ゚∀゚)「無料で握手してやってんだ。ありがたく思えよ」
ドクオの頭に目掛けて踵を落とす。
すかさず、ドクオは俺の腹にエルボーを喰らわす。
_
( ;゚∀゚)「ぐ…!!」
('A`;)「おっ…!!」
- 172 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:42:45.24 ID:7JImlfpa0
- ドクオのエルボーはなかなかやるようだ。
俺の体が浮き、1m程飛んだ。
俺は、その際、調理場にある包丁を掴んでから受け身をとる。
体勢を整える間もなく、目の前にはすでにドクオがナイフを構え迫って来ていた。
飛びかかるナイフを、包丁で受け止める。
('A`;)「ここがキッチンだった事を感謝するんだな」
_
( ;゚∀゚)「良いだろ。俺にはFカップの勝利の女神が付いてんだよ」
金属と金属のぶつかる音が響く。
ドクオは隙あらばそこにナイフを攻め込んでくるので、俺のターンが一向に回ってこない。
流石に凶器と調理器では差が激しいか…。
- 177 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:45:30.33 ID:7JImlfpa0
- ナイフと包丁が絡み合う時に俺は一つ気になる事があった。
_
( ;゚∀゚)「なぁ…一つ聞いていいか?」
('A`;)「なんだよ…」
_
( ;゚∀゚)「仮にお前が犯人じゃないのなら…お前は誰が犯人だと思う?」
('A`;)「ああ?…命乞いなら無駄だぞ」
_
( ;゚∀゚)「はぁ?俺が勝つのに何言ってんだよ…」
('A`;)「………………やっぱ、クーじゃねぇのか?アイツが一番モナーさんの傍…」
_
( ゚∀゚)「それは無い」
('A`)「即答かよ」
- 180 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:50:59.72 ID:7JImlfpa0
('A`)「別にお前がクーを庇う理由なんてどうでもいいけどよ…じゃあお前は誰があやしいんだって話だよな」
_
( ゚∀゚)「俺か?…俺は………」
その瞬間、俺の脳内で何かが動き出した。
【Player】【プルトニウム】【ジョーカー】【カルテ】
_
( ;゚∀゚)「まずい…」
こうしちゃいられない。
急いで行かなければ。
('A`)「どうした?隙だらけだぞ」
ハッとなった時にはもう遅過ぎた。
俺の包丁はナイフで弾き飛ばされていた。
_
( ;゚∀゚)「っー!!…ガッ!!」
その瞬間、横からドクオの足が迫っていた。
俺はそれをかわす事ができず、頭に直撃した。
- 186 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:56:38.95 ID:7JImlfpa0
- それでもドクオの攻撃は止まらなかった。
顔面に2発、腹に蹴りが5発、顔と脇腹を3回切られた。
それをたったの数秒で。
_
(−∀ )「ガハッ……!!」
口から血が飛び出し、歯が数本抜けた。
俺は立っていられなくなり、その場に崩れ落ちる。
('A`)「決着がついたな」
ドクオはポケットから銃を取り出し、俺の額に当てる。
糞…時間がねぇってのによ…。
('A`)「あばよ。【ジャック】」
ドクオが引き金を引くその瞬間、遠くから声が聞こえた。
ξ;゚听)ξ「ちょ…なにしてんのよあんた達!!」
- 189 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/30(日) 23:59:58.14 ID:7JImlfpa0
('A`)「何って勝負がついたところだ。気にすんな」
ξ;゚听)ξ「馬鹿言わないでよ!私達がなんのためにここに来たのかわかってんの?」
('A`)「何って…犯人探しだろ?」
ξ;゚听)ξ「そうよ!全員そろわないと意味がないのに、殺してどうすんの!!」
('A`)「でもコイツが死んでも情報なんて出てこないと思うぞ…」
ξ;゚听)ξ「何の情報も出てこないお前が言うな!…とにかく殺しちゃダメ!」
二人の会話だけが耳に入ってくる。
ツンがそう言うと、ドクオはしぶしぶと銃を閉まった。
ξ゚听)ξ「まったく…。さっきクーから連絡があったわ。甲板にいるって」
('A`)「わかったよ…おい、コイツもつれていくのか?」
ξ゚听)ξ「当たり前でしょ?」
- 194 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:03:55.43 ID:RQ36zl4p0
- ―06:00:00―
( ´_ゝ`)「…と、まぁここまでが今までの概要かな」
(´<_` )「さすがだな。この1週間を簡潔に説明しやがった」
( ´_ゝ`)「だろ?ベルマークくれよ」
▼・ェ・▼ヘッ、ヘッ、ヘッ、
( ・∀・)「…………」
俺はコイツらに発砲できる機会を窺っていた。
俺が少しでも銃を構えようとすると、あの犬が俺に向かってくる。
しかし、この犬に命令を送っているのはこの女だ。
だったら一瞬でもいいからクーの注意を逸らせればいい。
一瞬でも逸らせば俺はコイツらを殺す事ができる。
川 ゚ -゚)「と言うことだ。つまりこれからみんなで集まり、最後の討論をしようというツアーだな」
( ・∀・)「下らねぇな。そんな暇があったらさっさと稼いでボスになってから考えりゃいいだろう」
川 ゚ -゚)「私はモナーさんを殺した人間の元で一瞬でも働きたいとは思わないがな」
- 196 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:09:08.16 ID:RQ36zl4p0
- ( ・∀・)「だったら早く呼んでこいよ。この船に乗ってる『Player』達を…」
川 ゚ -゚)「もう少しだ。ツンと、しぃには連絡してある」
ああそうだ。奴らが着た瞬間、まずはお前の脳天に穴を開けてやる…。
この中にモナーさんを殺した奴がいる?
だったら全員殺せばいいだろうが。
むろん俺は最初からそのつもりだ。
お前らを俺の下につける気などさらさらない。
その時、レストランのカーテンが空いた。
カーテンの向こうにはしぃとロマネスク、そしてショボンがいた。
しぃは鍵を開け、甲板に入ってきた。
(;*゚ー゚)「クー!!大変なの!」
川 ゚ -゚)「どうした…?」
よし!!今だ!!
- 202 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:15:06.30 ID:RQ36zl4p0
- その瞬間、脇のドアから車椅子に乗った女が入ってきた。
ξ#゚听)ξ「クー!!馬鹿二人連れてきたわよ!!」
( ;・∀・)「ぐっ…!!」
糞…この女のせいでタイミングを外された。
畜生、せっかくのチャンスが。
ツンの後ろには、ジョルジュを担いだドクオがいた。
まさか本当に全員乗っていたとは…。
川 ゚ -゚)「ああ、ごくろう…。それでしぃ。何が大変なんだ…?」
(;*゚ー゚)「ブーン君は…ブーン君は死んでた」
('A`;)「な…」
川 ;゚ -゚)「ブーンが…死んだだと!?」
クーが完全にしぃの方向を向き、俺に背を向けた。
良いタイミングだ!!
( ;・∀・)「今だ!!」
俺はクーに目掛け、銃を構えた。
- 203 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:17:09.56 ID:RQ36zl4p0
- 210 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:20:44.54 ID:RQ36zl4p0
あの犬は確かに俺の構えに反応した。
そうだろう。あいつの脳に埋まっているチップは、常に飼い主の意思と疎通しているのだから。
一目散に飛びかかり、首の肉を食いちぎった。
ただし
その首は俺の首ではなく、
クーの首だった。
- 222 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:25:40.45 ID:RQ36zl4p0
▼・ェ・▼ヘッ、ヘッ、ヘッ、
( ´_ゝ`)「は…?」
クーはその場に倒れこんだ。
('A`;)「え……」
抉れた首からドクドクと血を流し。
(;*゚ー゚)「………な」
痙攣を起こしながら。
( ;ФωФ)「…クー?」
傍には、クーが飼っていた犬が口を真っ赤にし、その場に座っていた。
(´・ω・`)「あ〜あ…死んじゃったw♪」
- 231 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:31:19.55 ID:RQ36zl4p0
- ( ;・∀・)「は……………?」
俺も何が起きたのかさっぱわからなかった。
ただ中途半端に構えた銃を握りその場に佇む。
ξ;゚听)ξ「クー!!え…どうしたの!?」
クーはそのまま動かなくなった。
しぃが駆け付け、体を揺するが反応が無い。
(;*゚ー゚)「クー!!しっかりして!クー!!」
( ;´_ゝ`)「な、何が起こったんだ?…あの犬は確かクーの脳と繋がってるんじゃ…」
(´<_` )「わかるだろ兄者。電波ジャックだよ」
- 233 : ◆4972gaB/9o :2010/05
/31(月) 00:32:17.96 ID:RQ36zl4p0
- 俺の後ろから声がした。
甲板にいた人間が一斉にその方向を向く。
( ;´_ゝ`)「ど…どういうことだ?弟者」
兄者が恐る恐る尋ねる。
(´<_` )「今はその名前はやめてくれよ」
▼・ェ・▼ヘッ、ヘッ、ヘッ、
そこにいた男の元にあの犬は駆け寄って行った。
その犬を拾い上げ、男はこう言った。
(´<_` )「改めて自己紹介をしよう。俺が【ジョーカー】だ」
◆10:ダウト 後編 〜END〜 To Be Continued-
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