- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:26:13.80 ID:rUXQ5N1BO
(*゚ー゚)「……」
人々の足音に掻き消されそうな少女がいた。
純粋そうな瞳、しかしその実、何も見てはいない。
彼女には何も、ない。
(*゚ー゚)「今日はパン屋さんに行こう」
そこならば残飯を貰えるかもしれない。
もしも駄目なら?
その時はその時だ。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:29:33.79 ID:rUXQ5N1BO
( ^ω^)「クックック…」
男は歓喜していた。
手に入れた。力を。
この世で今、なによりも頼りになる力。
財力を。
ξ゚听)ξ「三つまでなら聞くけど?」
( ^ω^)「どうしようも無いときに他はたのむお」
ξ゚听)ξ「ふうん」
( ^ω^)「お金があればなんだってできるお」
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:34:01.90 ID:rUXQ5N1BO
( ^ω^)「王様になるには使用人が必要だお」
金があれば、なんでも出来る。
食べ物が買える。
服が買える。
家が買える。
人が買える。
心だって、買える。
てくてくと町を歩いていく。
何を、買おうか。
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:40:24.92 ID:rUXQ5N1BO
- (*゚ー゚)「どうかパンを頂けないでしょうか?」
(*゚ー゚)「どうにもお腹が空いて仕様が無いのです」
媚びを売るのは慣れている。
始めは四つの時、数では既に数え切れないくらいに売った。
(*゚ー゚)「お願いします」
それでも、
「家無しは店にはいるんじゃない!」
(*゚ー゚)「お願いします」
うまく行かないときは、
(*;ー;)「お願いします」
どうしようもなく惨めになる。
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:46:23.20 ID:rUXQ5N1BO
- とぼとぼと帰路に立つ。
(*゚ー゚)「……」
ああ、死んでしまおうか。
それとも既に死んでいるような物か。
そんな少女にとって、
( ^ω^)「さあさあ!誰か僕に命を買われたい物はいないかお!」
目の前で人々に叫ぶ男は、
(*゚ー゚)「……」
救いのようにも見えた。
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:52:06.33 ID:rUXQ5N1BO
(*゚ー゚)「すみません」
( ^ω^)「なんだお?」
(*゚ー゚)「買われたらどうなってしまうのでしょう」
( ^ω^)「ふふふ…それはとてもひどいことになるんだお!」
(*゚ー゚)「ひどいこと?」
( ^ω^)「そうだおね、まず掃除や洗濯、食事の用意を全てさせるお!」
(*゚ー゚)「それから?」
( ^ω^)「以上!」
(*;ー;)「やります!嗚呼、神様ありがとう!」
(;^ω^)「え!?」
(*゚ー゚)
( ^ω^)
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /04(日) 23:58:39.45 ID:rUXQ5N1BO
- まずは一人目。
使用人の少女を男は買いました。
( ^ω^)「え…ありがとうって…え…」
(*゚ー゚)「さあ!何を致しましょうか!」
( ^ω^)「ええ……」
( ^ω^)(もっと買われるって嫌がることな気が……)
(*゚ー゚)「さあ!」
( ^ω^)「えっとじゃあとりあえず、」
(*゚ー゚)「はい!」
( ^ω^)「僕の住んでる小屋掃除で……」
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /05(月) 00:01:42.88 ID:rUXQ5N1BO
「小屋…ですか…?」
「お城が建設に時間がかかるなんて知らなかったんだお……」
「小屋ですね!掃除します!」
「君はなんでそんな元気なんだお……」
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /05(月) 00:07:38.23 ID:A55ZIUfWO
- まずは一人目。
使用人の少女を男は買いました。
その様子を魔女は見ていました。
遠くからじっと見ていました。
ξ゚听)ξ「それであなたの願いは叶うのかしらね」
ξ゚听)ξ「時間は追ってくるわよ」
ξ゚听)ξ「逃げ切れるかしら」
ξ--)ξ「……まぁ、いいか」
「私には関係ないからね」
次の瞬間、彼女はそこには居ませんでした。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07 /05(月) 00:10:04.88 ID:A55ZIUfWO
その1 使用人の話
おしまい
戻る