2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /31(月) 20:11:57.70 ID:mJg9hDqe0

『まだ出て来てない奴ら』

モララー、荒巻、フサ、タカラ、プギャー、ヘリカル、シラネーヨ、こっち見るな、
ロマネスク、ビコーズ、クックル、渋澤、妹者、父者、マリントン、バルケン、
エクスト、ゼアフォー、セントジョーンズ、クマー、大佐、アヒャ、あらやだ、
宗男、ぃし、モカー、ガナー、花瓶、狐娘、狼娘、雪苺、ギコアイス、スパム、
王シリーズ、じぃ、づー、ギコタイガー、トラギコ、ギコイヌ、ネーノ、ノーネ、妹、イトーイ
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /31(月) 20:14:15.59 ID:mJg9hDqe0

 生まれてすぐに引き離され、
14歳になるまでお互いの存在すら知らなかった双子がおりました。

兄の方は普段からちゃらんぽらんで、
どうしようもないという不名誉なレッテルを貼られ、

対して弟の方は、生徒会長をも努めるほどのしっかり者。

そんな二人はひょんなことから再開し、
14年という歳月を埋めるかのように毎日行動を共にして。

でも、それでも、14年は余りにも長すぎたようです。

毎日一緒にいた双りは、
もうお互いを知り尽くしたと思っていました。

思い込んでいました。

ですが、彼らは自分が思っている以上に、お互いを知りませんでした。

 生命の危機が間近に迫った時、兄は思います。

『このまま一緒にいては、弟が危ないかもしれない。
弟は俺とは違って優秀で、才に恵まれている』

『なんとしてでも、弟を引き離さなければ』

それは、今まで兄らしい事を何一つ出来なかった彼の願いでもありました。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお 送りします:2010/05/31(月) 20:16:55.12 ID:mJg9hDqe0

しかし、彼は至極不器用なひとでした。

思ったことを直接言っても弟は頑として聞き入れないと思ったのでしょう。

実際その通りなのですが、とにかく兄は、弟に嫌われる努力をしました。

心ないことを言って、弟を傷付けて。

かなしい努力は結ばれ、弟は兄を嫌いになりました。

弟に嫌われるのはとても悲しく、兄は少し落ち込みました。

ですが、これで弟の命は救われたようなものです。
悲しくても、兄は心を鬼にして危険に立ち向かう事になりました。

 兄を嫌いになった弟もまた、悲しみに包まれていました。

今まで楽しくやって来たのに、
何故兄があんな酷いことを言ったのかが分からなくて。

悲しみはやがて、冷たい怒りに変わっていきました。

自分だけ仲間外れにされたという疎外感が、
弟の心を冷たく冷たく冷やしていきます。

頭がどれだけ良くても、どれだけの功績を残しても、
彼は突然の兄の豹変の理由が解りません。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお 送りします:2010/05/31(月) 20:18:50.26 ID:mJg9hDqe0

そしてついに、彼は、決心しました。

理不尽に仲間外れにされた悲しさを。
突然酷い言葉を投げ掛けられた怒りを。

兄にも、味わわせてやろうと思ったのです。

深い所は分かり合えなかった、かなしい双子。

時間が残した、何よりも深い溝。

それが恐ろしくもかなしい結果を生み出すことになるとは、
双子はもちろんのこと、彼らの友達ですら知る由もありませんでした。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお 送りします:2010/05/31(月) 20:20:59.35 ID:mJg9hDqe0

( ^ω^)ブーンたちは学校に隔離されているようです
第九話『嘘』
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /31(月) 20:23:39.52 ID:mJg9hDqe0
¥・∀・¥「そんで? その、クール脱走計画とやらを阻止する手伝いをして、
      アタシに何のメリットがあるんだよ」

 学校中を騒がせているワクチン争奪戦のせいで亀裂や血が飛んだ壁に身を預け、
マニーは心底面倒臭そうな表情で、土下座するヒッキーを見下ろしていた。

¥・∀・¥「言っとくけど、アタシ別にワクチンはいらねェからな」

(;-_-)「何でもします! だから、お願いします! 手伝ってください!」

 地面に頭を擦りつけ、何度も何度も懇願するヒッキー。
マニーは組んでいた腕を解き、ヒッキーの前にしゃがみ込んだ。

¥・∀・¥「仕方ねぇ。マジで土下座しやがったし、大負けに負けて10万。
      依頼料として頂くよ。それでもいいなら、やってやるよ」

 かなりの無理難題だ。
バイトすら出来ないヒッキーに10万なんて払える訳がない。

働くにも働けない事情があるヒッキーは、
それでも、数少ない友人を止める為にマニーの難題を飲み込んだ。

(;-_-)「分かりました、一生かかっても払いますから! お願いします!」

¥;・∀・¥「あーもう分かった分かった! 
      …ったく、10万払えって言われても止めたいほど友人が大切かよ」

(;-_-)「大切なんです! お金なんかよりも、ずっとずっと大切なんです!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:25:39.83 ID:mJg9hDqe0
¥;・∀・¥「ふーん。……まぁどうでもいいや。
      それより、アタシは何をすりゃいいんだ?」

(;-_-)「あ、はい、マニーさんに、『症状』でやって欲しいことがあるんです。
     その内容は―――」

**********
**********

川 ゚ -゚)「―――そうか」

 薄暗いパソコン室の中、
兄者が告げた数字を聞いたクールはゆっくりと頷いた。

川 ゚ -゚)「兄者の計算では、全員が無事でいられるんだな?」

( ´_ゝ`)「……あぁ、『計算では』な。実際は何があるか分からない。
      だから、俺はなるべく無駄を省こうと言ってるんだ」

 クールやツン達の視線を避けるように、
兄者はまたパソコンに向き直り、キーボードを叩く。

まるで、『話は終わった』とでも言いたげな態度。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:27:49.45 ID:mJg9hDqe0
拒絶の意を告げる背中。
それでもクールは、兄者の背中を見つめていた。

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「……分かった。私は兄者を『信じる』よ。
     明日はよろしくな」

 しばらくの沈黙の後。

困惑した様子のつー、ツン、ハインに目配せをし、
クールはパソコン室を後にした。

パソコンの明かりに照らされた兄者の表情は、
張り付いてしまったかのように動かない。

ただディスプレイを見て、キーボードを叩くだけ。

( ´_ゝ`)「……信じる、か」

( ´_ゝ`)「嘘ばかりついてると、耳に痛いな」

 兄者が吐いた嘘は、二つ。

『弟者とドクオを必要ないと言った理由』と、
『全員が明日無事でいられる確率』。

どちらも、兄者のただのエゴによって吐いた嘘だ。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:30:31.38 ID:mJg9hDqe0
だから弟者に殴られることも、仕方がないと受け入れた。
当たり前だとも思った。

クール達に疑われるのも、当然だ。

だが、それでも真実を言う勇気は兄者にはなかった。

( ´_ゝ`)「あぁ、最っ低な人間だよ俺は」

 キーボードを叩く指に、自ずと力が篭る。

自分だけが知りたくもなかった真実を知り、
その先に起こるであろう結末が見えている。

最低、卑怯者、卑劣。

世界中の罵詈雑言をかき集めても足りないくらい、
自分の吐いた嘘は罪深い。

( ´_ゝ`)「だけどな、俺だって真面目に考えたんだよ。
      奇跡が起きない限り、誰も傷付かずに事が運ぶ訳がない」

( ´_ゝ`) それが分かってるのに、どうすればいいのか分からない」

( ´_ゝ`)「だったら、何も知らない方がいいじゃねぇか。
      知ってるのは、何の役にも立たないちゃらんぽらんの俺だけだ」

( ´_ゝ`)「笑えるな。何が『計算』だよ……。
      その『計算』すら、誰かの行動ひとつで大きく変わっちまうくらいあやふやなくせに」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:33:20.17 ID:mJg9hDqe0
 様々な計算やシミュレーションをするにあたって、
兄者はラウンジでたった一人、蘇生の症状を持つ棺桶死に多数の質問をしていた。

蘇生と言っても、その能力は万能じゃないらしい。

遺体そのものが無ければ蘇生は出来ないし、
死んだ人物を構築する肉片が少しでも欠けていたら、蘇生は不可能だ。

申し訳なさそうに震えながら、棺桶死は語っていた。

( ´_ゝ`)「敵の症状は全く分からん。
      少しでも体の一部が欠けて死んだら、蘇生は出来ない」

( ´_ゝ`)「バリアぶっ壊して、
      多数の敵から身を守りながらクーをVIPへ送り届ける」

( ´_ゝ`)「……成功率は、ほぼ0%……」

 何度も何度も計算し直した。
シミュレーションし直した。

だが、数字はいつも非情だ。
こちらの望みを、実に的確に裏切ってくれる。

( ´_ゝ`)「……」

 椅子の背もたれに体重を預け、電気の付いていない天井を見上げた。

弟や友人を傷つける嘘を吐いても成功率は0%。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:35:19.48 ID:mJg9hDqe0
( ´_ゝ`)「……」

(#´_ゝ`)「っくそ!!」

 キーボードを左手で薙ぎ払い、兄者は頭を抱えた。

思うのは、明日の安否。
自分のエゴで傷つけた、弟者やクール達。

所詮机上の計算だ。
もう兄者にできることは何もない。

明日は、計算から排除された運だけが完全に頼りだった。

**********
**********

 マニーと別れ、ヒッキーは血まみれの廊下を進んでいた。
遠くの方からは、未だに悲鳴や爆発音が聞こえてくる。

とにかく、ヒッキーは心が見えない所へ行きたかった。

大きく刔れた地面を避け、悲鳴とは逆の方向へ歩き続ける。
頭の中は、他人の心中でいっぱいだった。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:38:15.52 ID:mJg9hDqe0
情報を処理しきれずにガンガンと痛む頭を押さえ、ヒッキーは歩を進める。
その正面からは、

( <●><●>)「ヒッキーじゃないですか」

 同じ症状を持つ、ワカッテマスが向かって来ていた。

(;-_-)「あ、わ、ワカッテマスくん……」

( <●><●>)「やはり、症状はまだ酷いままですか」

 少し哀れむような表情を浮かべ、ワカッテマスは立ち止まる。

ワカッテマスは比較的症状が軽いから、ヒッキーの辛さが分からないのだろう。

人々の『思い』を、自分の意志で遮断することも出来るからだ。
だがヒッキーは違う。

(;-_-)「う、うん。今も凄いよ……」

( <●><●>)「……」

 不可避な『思い』から少しでも逃げるよう、
ヒッキーは顔をしかめて目を閉じてみせた。

( <●><●>)「気分が悪いなら、保健室に」

(;-_-)「あ、うん、大丈夫だよ……。
    今保健室は僕みたいなのを相手にしてる暇はないと思うし……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:40:42.41 ID:mJg9hDqe0
 大きく溜息を吐いた彼を、ワカッテマスは不敏そうに見つめる。
しかし、ワカッテマスの目はヒッキーの『心』に向いていた。

(;<●><●>)「……」

 ―――不特定多数の『思い』のせいで、
ヒッキーはすっかり失念していた事がある。

(;<●><●>)「(クール脱走計画のことを、何故ヒッキーが知ってるんだ……?)」

 ワカッテマスも、人の心が読めるということ。
そして彼自身も、クール脱走計画の賛同者であること。

(;<●><●>)「……私、少し用事を思い出しました。
      それではヒッキー、どうしても耐えられなかったら保健室へ行くことを推奨しますよ」

(;-_-)「……う、うん。分かった……。ありがとう……」

 弱々しい笑みを浮かべ、ヒッキーは、
遠ざかっていくワカッテマスの後ろ姿を見送る。

ワカッテマスが自分の心を読んだ、だなんて、ヒッキーは考えもしなかった。

ゆっくりゆっくりとズレていく、ラウンジの日常。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:41:44.04 ID:mJg9hDqe0
( <●><●>)「何故ヒッキーがクール脱走計画を知ってるのかはさておいて……」

( <●><●>)「ブーンたちに知らせなければ。
      邪魔されてしまったら、計画は失敗だ」

『二つの嘘』
『ヒッキーの思い』
『とある依頼を受けたマニー』
『弟者』

どんどん複雑になっていく状況の中、時間は矢の如く過ぎていく。

(;<●><●>)「ブーン!」

 男子寮の扉をノックもせずに開け、
ワカッテマスは少々慌てた様子で唖然としている面々に視線を走らせる。

('A`)「どうしたよ、ワカッテマス? お前が慌てるなんて珍しいな」

( ^ω^)「何かあったのかお?」

 テレビゲームに興じていたブーンは、
コントローラーを置いてワカッテマスに向き直った。

(;<●><●>)「大変です、ヒッキーに計画がバレていました。
      あの様子では、恐らく誰にも話してはいないと思いますが……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:43:06.93 ID:mJg9hDqe0
(;^ω^)「ヒッキー? 何でヒッキーが……。
     僕たちはみんな朝からここにいたから、ヒッキーが計画を知れるわけがないお!」

( <●><●>)「……兄者たちは?」

 部屋にいる面子を数え、ワカッテマスは怪訝な表情を浮かべる。
部屋にいるのは、ブーン、ドクオ、ショボン、アサピー、ギコ、鈴木、ブーム、
ゆうたろうの8人だ。

いつもなら、この暑苦しい面子の中に兄者たちが加わっているはずである。

(;,゚Д゚)「兄者たちなら、朝から部屋抜け出してパソコン室に行ってるみたいだぜ」

(;´・ω・`)「あの二人がこんな重要なこと喋るわけないから、心を読まれたのかな」

(;<●><●>)「えぇ、多分。知られてしまった以上、仕方ありません。
      どうしますか? このままでは大事な時に邪魔が入るかもしれない」

(;<●><●>)「ヒッキーも、必死ですから」

 知られてしまったものを取り消すことなど出来はしない。

テレビゲームの中の勇者が喋る以外、音が消えた男子寮の部屋の中。
控えめなノックの音が響き、出入り口の扉が開いた。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:44:43.40 ID:mJg9hDqe0
( ´_ゝ`)「……なんか取り込み中?」

 扉を叩いたのは兄者ひとり。

弟者はいないが、お構いなしにブーンは、
要点をかい摘まんで今聞いたことを兄者に話す。

最初は困惑したように聞いていた兄者だが、
せっかく綿密に考えた計画が水泡に帰すかもしれないということが分かると、顔色を変えた。

(;´_ゝ`)「それ、かなりヤバいじゃん」

( <●><●>)「そうなんです。ヤバいんです。
      だから、少し予定を変えてはいかがでしょう」

(;^ω^)「予定を変える?」

( <●><●>)「はい。日にちを変えるのが一番いいのでしょうが、
      そうもいかないようですから」

(,,゚Д゚)「どうするんだ?」

( ´_ゝ`)「誰が聞いてるかも分からんから、あまり喋りたくはないんだが……。
      計画実行の時間を早めるか」

( ´_ゝ`)「俺らが絶対にやらなきゃならないことは、
      ラウンジ役館地下にある、症状妨害装置を止めるか壊すかすること」

( ´_ゝ`)「まぁ、時間早めるだけなら多分大丈夫だろうと思う。
      ただ、いつ邪魔が入るか分からないから迅速な行動は不可欠だけどな」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:46:18.62 ID:mJg9hDqe0
( ^ω^)「じゃあ?」

( ´_ゝ`)「明日の朝、4時。大体の人間は寝静まってるだろ。
      俺らは迅速かつ静かに行動」

( ´_ゝ`)「ブーン達は、クーを連れてどこか人目につかない場所で待機しててくれ。
      機械を止めたら合図する」

( ^ω^)「分かったお」

( ´_ゝ`)「それから、今日はなるべく外に出ないでくれ。
      ヒッキーに会って心を読まれたら、もうどうしようもなくなる」

彡 l v lミ「女子側にも言っておくぜ」

 部屋の隅に追いやられていた電話の受話器を取り、
鈴木は女子寮の番号をプッシュする。

静かな部屋に微かに響く呼び出し音を聞きながら、
兄者は大きく息を吐いた。

とりあえず、穴だらけではあるが計画は固まった。

|  ^o^ |「兄者さん ためいきを つくと しわよせが にげますよ」

| ^o^ |「ぜひ にげてほしいですね ただしくは しあわせです」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:47:31.00 ID:mJg9hDqe0
 ―――ため息をつくと幸せが逃げる。

―――もしもその話が本当なら、
もう俺の幸せはひとつ残らず全速力で逃げた後だろうな。

( ´_ゝ`)「……そうだな」

 適当に相槌を打ち、兄者は思った。

**********
**********

 一方、女子寮では。

ξ゚听)ξ】「明日の4時から? ずいぶん早いのね。他に変更点はない?」

川 ゚ -゚)「……」

(*゚∀゚)「……」

从 ゚∀从「……」

 男子寮からの電話を受けているツンの声以外、
誰も喋る者はいなかった。

誰もかれもが、先ほどの兄者の言動を思い返しているのだろう。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIP がお送りします:2010/05/31(月) 20:49:10.38 ID:mJg9hDqe0
ξ゚听)ξ】「分かったわ。うん、じゃあね」

 通話を終えたツンが、受話器を電話のフックに戻した。
それを横目で眺めながら、クールは掠れた声で『何だった?』と尋ねる。

ξ゚听)ξ「ヒッキーに計画が知られたから、明日の行動は朝の4時から。
     それと、なるべく今日は外に出るな。だって」

从 ゚∀从「……知られた、ねぇ」

(*゚∀゚)「……あ、あのさぁ」

 どこか冷ややかなハインの声に、おずおずと切り出すつー。
小柄な身体を忙しなく揺らし、つーは続けた。

(;*゚∀゚)「やっぱさっきの兄者、おかしいって皆思ってるんだろ?
     オレだけがもやもやしてるんじゃないよな?」

(*゚∀゚)「邪魔って言ってたけど、あれは本当は 川 ゚ -゚)「……おかしい?」

川 ゚ -゚)「なんかおかしいところなんてあったか?
     いつも兄者はおかしいから、分からなかったな」

川 ゚ -゚)「私は兄者を、友達を信じるよ」

 つーの言葉を遮り、クールは首を振りながら答えた。
その腕には、ドクオから贈られたボロボロの人形が大切そうに抱き抱えられている。

思いがけないクールの言葉に、
つーは面食らったように瞳を丸くさせた。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:50:28.60 ID:mJg9hDqe0
(*゚∀゚)「……そっか、なんか兄者がおかしいと思ってたのはオレだけか……」

 半ば自身を納得させるように呟き、
それ以降つーはもう何も言わなかった。

もちろん、兄者の様子を不審に思っていたのはつーだけではない。

ξ゚听)ξ「……」

 黙ったまま、膝の上に作った握り拳を見つめるツンも。

从 ゚∀从「……」

 睨むように窓の外を眺めるハインも。

川 ゚ -゚)「……」

 壊れないように気を遣いながら、
人形を抱きしめるクールも。

みんな、兄者の態度がやはりどこかおかしいのだと思っていた。

だが、もう深く突っ込む時間はない。
計画の時間は早まったのだ。

今は、この小さなしこりのような違和感を気にしている程の余裕はない。

外からは、相変わらず悲鳴や爆発音が聞こえていた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし ます:2010/05/31(月) 20:52:23.83 ID:mJg9hDqe0

( ^ω^)ブーンたちは学校に隔離されているようです
第9話『嘘』終わり

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