5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 16:59:26.62 ID:NZi5omjHO
※登場人物の一覧書くのはあまりにもめんどくさいし長いので、
これからは主要人物と、まだ出てないキャラの名前だけ書いていきます

登場人物紹介
( ^ω^) 内藤ホライゾン
症状は『水』で、発生条件はちんこ。

ξ゚听)ξ ツン
症状は『雷』で、発生条件は目。
('A`) ドクオ
症状は『から揚げ』で、発生条件は口。

(´・ω・`) ショボン
症状は『無重力』で、発生条件はなし。

(-@∀@) アサピー
症状は『ダイヤモンド』で、発生条件は目。

(,,゚Д゚) ギコ
症状は不明、発生条件も不明。

彡 l v lミ  鈴木
症状は不明で、発生条件も不明。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:00:55.76 ID:NZi5omjHO
川 ゚ -゚) クール
症状は『幽鬼召喚』で、発生条件は口笛。

从 ゚∀从 ハイン
症状は『冷却』、発生条件は息。

( ´_ゝ`) 兄者
症状は『加速』?発生条件は不明。

(´<_` ) 弟者
症状は不明、発生条件も不明。

( <●><●>) ワカッテマス
症状は『読心』で、発生条件は目。

(*゚∀゚)  つー
症状は『スプーン曲げ』で、発生条件は指。
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:02:21.85 ID:NZi5omjHO
|  ^o^ | ブーム
症状は『記憶力』で、発生条件は頭。

| ^o^ |  ゆうたろう
症状、発生条件共に不明。

( ・∀  ∀・) 奇形モララー
症状、発生条件共に不明。
脳に障害があるが、天才なのかもしれない。
死亡。

(゚A゚* ) のー
症状、発生条件共に不明。

,(・)(・),  シャーミン松中
ラウンジ役館で働く、科学者兼精神科医。
奇形モララーの世話をしていた。
症状は『物体模写』で、発生条件は手。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:03:13.69 ID:NZi5omjHO
『まだ出てきてない奴ら』

シャキン、モララー、荒巻、フサ、ニダー、タカラ、プギャー、
ヘリカル、シラネーヨ、こっちみんな、
ロマネスク、ビコーズ、クックル、渋澤、妹者、父者、マリントン、
バルケン、エクスト、ゼアフォー、セントジョーンズ、
クマー、大佐、アヒャ、あらやだ、宗男、ぃし、モカー、ガナー、
花瓶、狐娘、狼娘、雪苺、ギコアイス、スパム、原子王、電気王、
蒸気王、エンジン王、じぃ、づー、ギコタイガー、トラギコ、
ギコイヌ、ネーノ、ノーネ、妹


どうしよう
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:04:17.53 ID:NZi5omjHO
この話を書くにあたっての目標・総合のテンプレのAA全員出演
でもさすがに全員は話に絡ませてあげられない。

Q.「症状」とは何ですか?
A.「症状」とは、ワンピースの悪魔の実だと思ってください。

Q.「発生条件」って何?
A.「発生条件」とは、症状が発動する部位や物のことです。
  目や口、手などがそれにあたります。
  結構重要になるかもしれません。

Q.テンプレのAA全員出せるんですか?
A.せっかくいるんだし、出します。日の目を見ないAAにも光を!

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:05:35.63 ID:NZi5omjHO


第八話「逃走」

※ちょっと閲覧注意



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:07:10.58 ID:NZi5omjHO
「はぁ、はぁ、はぁ」

人気のないそこは、いつもの見慣れたはずの学校の廊下。
少しだけ汚れていて、廊下を走ると用務員のおっちゃんが箒振り回して追いかけてくるような、

どこの学校にもあるような普通の廊下。

普通とは違う点を挙げるとするならば、それは―――

(;'A`)「くそ、何でこんな事に!」

太陽の光が存分に入ってくるはずの窓は全て割られ、壁や床には『人だったはず』のものが転がっていること。

誰のものかも分からない手首を踏みつけ、何かが潰れるような嫌な感触を上履きの向こうに感じながら、
ドクオはただただ廊下を全力で走っていた。

恐怖や気持ち悪さ、何故自分がこんな目に遭わなければならないのか、という行き場のない憤り。

それら全てを、握り締めた右手に隠し、左手は必死で『彼女』の手を掴んでいた。

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:09:32.44 ID:NZi5omjHO
まだ温かいその手のぬくもりを守る為、ドクオは廊下を走り続けた。

(;'A`)「大丈夫か!?」

時折ドクオは、荒れた呼吸の合間に『手を引いている誰か』に声をかける。

「…………」

彼女から返事は返って来ないのだが、唯一『誰か』と繋がっている手の温かさだけが、
ドクオが必死に守ろうとしている『彼女』がちゃんと生きているという事を教えてくれていた。


(;'A`)「畜生、どうして誰もいないんだよ! おかしいだろ、ここは学校なのに!」

思わず悪態を吐くその語気にも力はない。
そして、やはりドクオに手を引かれている者も無言を貫いたままだ。

(;'A`)「くそ、もういい! お前一人でも先に行け! 修練場に行って、中から鍵を「ドクオ」

今までずっと無言だった『彼女』が、ドクオの口上を遮って発言した。
その声は低く、無感情だ。

「もういい。もういいから、お前だけでも逃げてくれ。死ぬとしたら、重い怪我を負った方に決まっている」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:12:55.18 ID:NZi5omjHO
「治癒の能力の人も、蘇生の能力の人も、皆みんな死んでしまった」

「生き残れるとしたら、まだ傷を負ってないお前だけだ。気付いてるだろう? もう、生きてる人は私達と、」

「……『奴』だけ。後は全員殺されてしまってる」

「ここで二人とも死ぬ理由もないだろう、お前は逃げろ。逃げてくれ」

('A`;)「……」

彼女の声を背中で受け、ドクオは走る脚を止めずに何やら考え込む。
その間にも廊下に転がる死体の数は増え、まだかろうじて息がある者も、次第に生者から死者へと変わっていった。

考えている暇はないらしい。

そう悟ったドクオは自嘲気味に笑うと、今まで自分と彼女を繋いでいた手を離した。

('A`)「お前は何か勘違いしてる」

「え?」

('A`)「俺が何でもかんでもお前の言うことを聞くとでも思ったのかよ。ここでお前を見殺しにする位なら――――」

('A`)「ここで『絶対に死なない』っていう僅かな希望に賭けてやる」
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:15:59.92 ID:NZi5omjHO
('A`)「生きて、逃げよう」

('A`)「二人で」

「…ドクオ」

ドクオの手が、彼女の体を押す。

いとも容易く彼女の華奢な体は空き教室に吸い込まれ、血が広がる床へ尻もちをついた。

そんな彼女の姿を見届け、ドクオは微かに笑みを浮かべて教室の扉を閉めた。

外から鍵をかけ、血の海の真ん中で堂々と胸を張る。

逃げるつもりはない。

絶対にお前には敵わないとしても、俺は絶対にお前から逃げない。

凛としたその横顔を見る者は、そこらに散らばった屍の濁った目のみ。

次の瞬間、今まで何もいなかった場所に一人の女が立っていた。

('A`)「お前、誰?」

<(' _'<人ノ「あら…わたくしの事を知らない男がまだいるとは思いませんでしたわ」

('A`)「……あぁ、確かラウンジのトップモデルの高崎美和…」

<(' _'<人ノ「そうです。どうぞお見知りおきを、ドクオさん」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:19:44.61 ID:NZi5omjHO
('A`)「で、そのトップモデルが俺に一体何の用だ?」

('A`)「もちろん、学校の人みんなを惨殺したくらいなんだから、相当な理由があると思うけど」

<(' _'<人ノ「そうですね…」

挑発的な口調のドクオに対し、問い詰められた側の美和は言葉を濁す。
宙を見つめ、どう切り出そうか考えているようにドクオには見えた。

<(' _'<人ノ「もちろん、理由はありますわ」

('A`)「……」

<(' _'<人ノ「わたくしとあなた、二人きりでこの学校に取り残されて…」

<(' _'<人ノ「あなたと結ばれるのが、わたくしの目的でした」

(;'A`)「な、何…何言ってんだよ」

シュールに『フラグは一切立たない』と宣告されたドクオにとって、美和の言っていることは理解不能だった。

美和はにっこりと微笑み、ドクオに一歩近付く。

血の海がぱしゃりと音を立てた。
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:25:20.86 ID:NZi5omjHO
(;'A`)「俺はアンタと会ったのは今日が初めてだぞ!」

<(' _'<人ノ「そうです。ですが、わたくしはあなたを前から知っていました」

<(' _'人ノ「フッジサーン」

('A`)そ「!?」

<(' _'<人ノ「あなたがバイトしている、お店の名前ですよね」

('A`)「……そ、そうだけど」

<(' _'<人ノ「この前、ロケでお弁当を何個か注文したはずです。そして、フッジサーンのお弁当には必ず…」

<(' _'<人ノ「から揚げが入っています」

<(' _'<人ノ「そう、あなたが毎日毎日作っている、あのから揚げが」

('A`)「まさか」

<(' _'<人ノ「大変美味でした…。わたくしが我を忘れて、マネージャーの分のお弁当も奪うくらいに」

<(' _'<人ノ「このから揚げの為なら何でも出来る。そうも思いましたわ」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:29:05.45 ID:NZi5omjHO
<(' _'<人ノ「そして、そのから揚げは他の誰にも食べさせたくはない。それが例え、あなたの友達だったとしても」

<(' _'<人ノ「だから、この学校の人を手始めに殺したのです」

(;'A`)「な…」

<(' _'<人ノ「そして、残るは後ひとり。あなたが必死で匿って、守ろうとしたあの女子生徒!!」

<(' _'<人ノ「ク(#'A`)「ふざけんなッ!! たかがから揚げの為に、俺の友達もクラスメイトも、みんな殺したってのかよ!」

(#'A`)「そんな理由があってたまるか!!」

<(' _'<人ノ「あなたにとっては、『そんな理由』でも…。わたくしにとっては、とても大切な理由ですわ!!」

<(' _'<人ノ「それに、抵抗された場合の事も予想済みでしたわ」

<(' _'<人ノ「あなたはとてもお友達を大切にしていると聞いていましたので、大切な友達を殺されたとあってはわたくしを軽蔑するのも無理はない」

<(' _'<人ノ「どうせ軽蔑されるのだから、あとちょっとだけあなたの心をズタズタにさせていただきますわね」

<(' _'<人ノ「その後に、わたくしはあなたの罵倒を聞きます」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:30:35.84 ID:NZi5omjHO
それまで柔和だった美和の笑みが、狡猾なものに変わった。
それを視認したドクオは、空気が膨張するような―――

妙な気配を感じて、振り返る。

('A`)「ぶ、ブーン?」

そこに立っていたのは、

( ^ω^)「おいす! どうしたんだお、ドクオ? いつも不細工な顔が余計に不細工だお」

今はもう懐かしい親友の姿―――

(;'A`)「ど、どうして―――お前俺をかばって死んだはずじゃ」

ドクオの記憶だと、ブーンはドクオをかばって包丁で刺されて事切れたはず。

思わずドクオはブーンに駆け寄り、そのぶよぶよした腹を軽く殴った。
ドクオの手はブーンの腹に跳ね返される。

実体がある。

幽霊なんかじゃない。

ただそれだけの事が嬉しくて、ドクオの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

( ^ω^)「死んだ? 僕が? おっおっおっ、ドクオは冗談が下手だお」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:34:30.36 ID:NZi5omjHO
( ^ω^)「僕は生きてるお」

ブーンは笑いながら、胸を張った。

('∀`)「良かった…」

('A`)「でも積もる話はまた後でだ。俺は高崎美和をどうにかしなきゃならない」

( ^ω^)「…ドクオ」

( ^ω^)「僕は―――」

ブーンの言葉は、それ以上出てくることはなかった。

なぜなら。

('A`)「ぶ、ブーンお前」

ドクオの目の前で、ブーンは周りの景色に溶けるように姿を消したから。

(;'A`)「ま、幻か!? でも、確かに実体があったはず!」

やけにすっきりした視界に映ったのは、嫌がる『彼女』の髪を鷲づかみにした美和の姿。
どうやら、ドクオが幻に惑わされていたうちに美和は教室に隠れていた『彼女』を捕まえていたようだ。

('A`)「!」

<(' _'<人ノ「どうでしたかしら? お友達と少しだけ話せた感想を、お聞かせいただける?」

<(' _'<人ノ「まやかしとはいえ、一応実体はあったと思いますけど」

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:36:16.26 ID:NZi5omjHO
('A`)「…最悪だよ」

<(' _'<人ノ「あら…。そうでしたか…」

少しだけがっかりした様子の美和をよそに、『彼女』は掴まれている髪をどうにかしようともがいていた。

「くそ、離せ!」

<(' _'<人ノ「そうですわね…。これ以上引っ張ると、ドクオさんに怒られそうですものね」

美和の瞳が、彼女に向けられる。
今までドクオは気付かなかったが、美和の手には銀色に輝く包丁が握られていた。
美和はその包丁を、『彼女』の元へ放り投げる。

<(' _'<人ノ「仮にもトップモデルだったわたくしが、自ら手を汚すことはしたくありません」

<(' _'<人ノ「この子には、自殺してもらいますわ」

('A`)「!」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:38:11.30 ID:NZi5omjHO
美和が放り投げた包丁は、『彼女』の目の前に落ちた。

今まで美和の手から逃げようともがいていた『彼女』は、包丁が床に落ちると同時に激しく暴れ、
髪が抜けるのも構わずに、血だらけの廊下を這って行く。

まるで、何か恐ろしいものに追われているかのように、その表情は必死で。

廊下を這い、屍を越える彼女の目には恐怖の色が宿っていた。

(;'A`)「おい…」

ドクオが『彼女』の肩に手をかけた瞬間、突然その時は訪れた。

「うわああああああああああああああああああ!!!!」

肩に手を置かれた瞬間、『彼女』はあらん限りに絶叫。

そして、目にもとまらぬ早さで手近に落ちていた包丁を手にすると、その切っ先を自分の喉へと突き立てた。

一連の動きにためらいは見受けられず、ドクオが止める間すら与えなかった。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:39:55.15 ID:NZi5omjHO
『彼女』は最期の力を振り絞り、喉に刺さった包丁を力任せに引き抜く。

今まで包丁でせき止められていた血が、物凄い勢いで吹き出して血の海の範囲を広げていった。

(;'A`)「あ……あああああ」

<(' _'<人ノ「ドクオさん、嘆かないでください」

美和がドクオに近付き、その髪を撫でる。
その手つきはとても今まで『彼女』の髪を鷲づかみにしていたそれと同じだとは思えないほど優しく、柔らかかった。

ドクオは、少し生ぬるい血の海に膝をつく。

その前には『彼女』の亡骸が横たわり、落ちた包丁は全てを真っ赤に染めていた。

(∞゚∋。)

(;A;)「く、クク子ぉー!!!」

美和と二人きりになってしまった学校の廊下に、

ドクオの絶叫だけがいつまでもいつまでも響いていた。
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:42:47.53 ID:NZi5omjHO
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

<クク子ぉー!!!

( ;ω;)「クク子ー!!」

('A`;)

(´;ω;`)「うっ…」

(-;∀;)「」

彡 T v Tミ 「クク子を殺すなんて、高崎美和は氏ね!」

|  ^o^ |「クク子が しんでしまいました」

| ^o^ | 「それは ゆゆしき じたいです」

(,,;Д;)「これはないぜ…ゴルァ…」

兄者が弟者に殴られていた頃。
男子寮では、暇を持て余した男子達がゲームをして遊んでいた。
このゲームを作ったのは、兄者と弟者。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:44:52.95 ID:NZi5omjHO
兄弟二人で協力して作ったもので、舞台や主人公は学校にいる人に似せてある。

最新作が出来たようだったので、悔いのないようにこの機会に遊んでおこう、ということになったようだった。

( ^ω^)「そういえば、兄者と弟者はどっか行ったきり帰ってこないおね」

(´・ω・`)「そう言われてみれば、そうだね。まぁ、明日の事を話し合う機会は十分にあるから大丈夫だと思うけど」

(,,゚Д゚)「全然緊張しないのは何でだろうな?」

彡 l v lミ 「どうにかなるって思ってるからだろうよ」

| ^o^ | 「ぼ、ぼくは とても きんちょうしているのですが」

|  ^o^ |「ゆうたろうは おくびょうですから」

('A`)「……(あれはそろそろ壊れた頃だろうか、壊れてくれてないと意味がないんだよな…)」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:47:11.87 ID:NZi5omjHO
それぞれ、思いおもいの胸中。
それは女子寮の面々も同じだ。

ξ;゚听)ξ「あぁ、なんだか緊張してきたわ」

川 ゚ -゚)「そうか? 私はあまり緊張していないが」

(*゚∀゚) 「オレもしてねぇなぁ。むしろ、早く明日になってほしいぜ!」

(゚A゚* )「つーちゃんは緊張ってもんを知らんからやろ…」

ξ゚听)ξ「そうだ、この前からずっと気になってたんだけど、クー、その人形は何?」

川 ゚ -゚)「これか。これはドクオにもらったんだ」

(*゚∀゚) 「何だそれ!」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:50:39.57 ID:NZi5omjHO
(゚A゚* )「くくくクーちゃん、告白されたん!?」

川 ゚ -゚)「いや、餞別としていつも肌身離さず持っててくれ、って」

ξ゚听)ξ「そそそそれって、『この人形を俺だと思って大切にしてくれ』って事?」

(゚A゚* )「でも、それにしちゃー随分ボロボロの人形をドクオくんは寄越したんやなぁ」

お世辞にも広いとは言えない部屋で、雑談するクールやツン達。
その会話を聞きながら、窓際でぼんやりと外を眺めていたハインの目に、不意に見慣れた姿が映った。

(´<_` )

なんとなく憮然とした表情で、校舎の石畳を何処かへ向かって進んでいく弟者。

兄者は一緒ではないようだ。

从 ゚∀从「おーい、弟者ぁー」

窓を開け、ハインは何の気なしに弟者を呼ぶ。
ハインの声に気付いた弟者が、歩を止めて辺りをキョロキョロと見渡した。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:52:39.14 ID:NZi5omjHO
从 ゚∀从「こっちこっち、女子寮の方だ」

(´<_` )「……ハインか」

ようやくハインを見つけた弟者が、女子寮の窓の傍までやって来た。
しかし、やはりどこか不機嫌そうな雰囲気は拭えない。

从 ゚∀从「どうしたんだよ? やけに不機嫌そうじゃねーか」

(´<_` )「……」

从 ゚∀从「兄者と喧嘩でもしたのかぁ? 仲直りしとけって。明日は重要な日なんだからさ」

(´<_` )「………」

从 ゚∀从「…弟j(´<_` )「俺は必要ないんだそうだ」

ようやく喋った、その一言。
ハインは目を丸くさせて、聞き返した。

从;゚∀从「必要ないって…」

(´<_` )「むしろ、俺がいたら邪魔らしい」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:54:19.32 ID:NZi5omjHO
(´<_` )「俺は『要らない』んだと。兄者は大層ご立派なお考えをお持ちのようだ」

(´<_` )「俺には考えの及ばないようなところまで、深くふかく考えていらっしゃるんだろうよ」

从;゚∀从「そ、そんなことない! お前の症状だって十分に役に立つはずだって!」

从;゚∀从「何だって兄者は突然そんな事を言い出したんだ!?」

(´<_` )「本当に俺が邪魔なんだろう」

从;゚∀从「そんな訳―――(´<_` )「ハイン、クーはいるか?」

淡々と受け答えをしていた弟者が、無表情のままクールの名を呼んだ。

困惑した様子のハインは、自分のベッドに座っているクールを一度視界に入れてから頷く。

同室の者達は、みんな黙ってハインと弟者の会話を聞いていたようだ。
先ほどのおしゃべりとは打って変わって、今では声を出す者すらいない。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:56:08.12 ID:NZi5omjHO
从 ゚∀从「クー」

川 ゚ -゚)「…」

(´<_` )「クー、聞こえてただろ?」

川 ゚ -゚)「あぁ」

(´<_` )「そういうことで、明日俺はお前を見送ることは出来ない。多分、今この瞬間以降は会うこともないと思う」

(´<_` )「気をつけて、行って来い」

最後まで無表情のまま、弟者は女子寮の窓際から立ち去った。

(#*゚∀゚) 「兄者は今、どこにいるんだ?」

弟者の後姿が見えなくなり、クールが窓を閉めた頃。

成り行きを見ていたつーが電話を片手に、寮室の真ん中で立ちはだかっていた。

ξ゚听)ξ「ブーンたちの部屋は?」

(*゚∀゚) 「今かけてみる」

ここにいる誰もが、知りたかった。
何故兄者は弟者にそんな事を言ったのか。

本当に弟者の症状は必要ないのか。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 17:59:00.54 ID:NZi5omjHO
微かに聞こえる電話の呼び出し音を数えながら、ハインは弟者の表情を思い出していた。

――――――――――

(´<_` )

――――――――――

あの無表情の裏に隠れた気持ちが少しでも読めないか―――

从 ゚∀从「…オレには無理、か」

微かに漏れた呟きは、つーの右手に握られた受話器から聞こえたブーンの声に掻き消された。

(*゚∀゚) 「よぉ、ブーン。兄者は?」

( ^ω^)】『まだ帰って来てないお』

(*゚∀゚) 「どこにいるんだ?」

( ^ω^)】『確か、パソコン室で明日の計画の最終チェックしてくるって言ってたお』
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:02:10.86 ID:NZi5omjHO
(*゚∀゚) 「…じゃあ、弟者は?」

( ^ω^)】『兄者と一緒にいるんじゃないかお?』

(*゚∀゚) 「…そうか。分かった」

受話器を置き、つーはブーンに聞いた事を代弁する。
わざわざ言わなくても、この静けさではブーンの明るい声はよく響いたのだが。

川 ゚ -゚)「兄者に話を聞く必要があるな」

(*゚∀゚) 「お? じゃあ、行くか? パソコン室」

つーは、ベッド脇の小さな机の引き出しから一本のスプーンを取り出した。

(*゚∀゚) 「どこかで使うことになるかもしれないしな」

そう言うと、つーはそのスプーンを握りしめて率先して窓から外へ降りた。

寮室の扉には外から錠がかかっているから、窓から出入りせざるを得ないのだ。

つーに続々と倣う、クールやツン達。
本来なら待機していなければならない時間だが、そんな事はどうでも良かった。

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:04:22.27 ID:NZi5omjHO
現に、ツン達が外に出た事を咎める者は誰もいない。

ひと気のない外の石畳を歩いていくと、学校の敷地は異常な事になっているのに誰もが気付いた。

ひしゃげた机が辺りに落ちていたり、学校の校門や裏門は見えない力で封鎖されている。

綺麗に整備されていたはずの花壇の花は折れ、踏み荒らされたような跡がある。

いつもみんなで昼食を共にしていた中庭のテーブルベンチも、椅子の脚が酷く腐り落ちている。

至る所には、少量の血と思われる赤い液体が飛び散っていた。

ξ;゚听)ξ「……随分と、酷い有様ね。ここまでみんなが必死になるなんて、思わなかったわ」

川 ゚ -゚)「…血を流してまでVIPに帰りたいのか。私が言えた事ではないが」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:07:22.65 ID:NZi5omjHO
(゚A゚* )「見て、保健室の前!」

すっかり荒れ果てた学校の様を目の当たりにしていたツン達。

のーに促され、保健室に視線を映せば、そこには地獄のような光景が広がっていた。

(メ;メД##;)「いてぇよぉ……」

(;##-;#メ)「………」

('、`*;川「はい! 次!」

(`・ω・´) 「はい! 次の人!」

<;ヽ`∀´>「シャキン! これはウリの腕じゃないニダ! 20年近く付き合ってきた腕じゃないニダ!」

(`・ω・´) 「わがまま言うんじゃない! まだ綺麗な腕があっただけマシだと思いなさい!」

<;ヽ`∀´>「! そそっそそそ損害賠償と謝罪を要求するニダ!」

('、`*川「んもう、そんな事言ってる暇があるなら、ニダーも手伝って!」

<;ヽ`∀´>そ 「う、ウリは怪我人ニダよ?!」

('、`*川「じゃあおとなしくしてて!」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:08:53.93 ID:NZi5omjHO
血だまりの床に転がる、無数の人々。
明らかにもう息が無いであろう者も、そこに無造作に転がっていた。

大怪我を負い、泣き叫ぶ生徒達の中で慌しく治療に当たっているのは、保健医であるペニサスと、生徒であるシャキン。

そして、腕や足が千切れ、頭は原型を留めていない程に壊されたような遺体の前に立って震えているのは、

【+  】;ゞ゚)

棺桶死オサム。

彼はおもむろに上履きを脱ぐと、震える足で遺体を踏みにじった。

すると、破壊の限りを尽くされた遺体は微かに脈打ったように動き出す。

尚もオサムは遺体を踏みつけていくと、
最初は目も当てられなかったような悲惨な遺体は次第に生を取り戻していった。

生き返った遺体を、オサムは頭の先からつま先までガタガタと震えながらペニサスに引き渡す。
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:10:37.65 ID:NZi5omjHO
その一連の流れを見ていたのーが、堪り兼ねてペニサスに話しかけた。

(゚A゚*;)「ぺ、ペニサス先生!」

('、`*;川「あら、のーちゃん! 何でこんなところに!?」

元気よく答えてみせたペニサスだったが、今も続々と運ばれて来る瀕死の生徒を前にして、治療の手を休めることはない。

清潔だった真っ白な白衣も今では、誰のものかも分からない血で赤く染まり、ペニサス自身も疲労困憊しているように見えた。

(゚A゚*;)「そんなことより、う、うちも治療手伝います!」

(゚A゚*;)「だから、ツンちゃん達は兄者くんの所へ行って!」

ξ;゚听)ξ「のー从 ゚∀从「分かった。後で詳細はちゃんと話すからな」

从 ゚∀从「行こうぜ」

眉を顰めるツンの言葉を遮り、ハインはパソコン室へ向かう。

その後を、一人、またひとりと着いて行った。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:13:21.15 ID:NZi5omjHO
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――――パソコン室は、至って静かだった。

まるで誰もいないかのようにひと気はなく、パソコン室自体にも明かりは灯っていなくて、
暗い部屋の中でひとつだけ煌々と光るパソコンを見つけなければ、誰も兄者には気付かなかっただろう。

ξ゚听)ξ「兄者」

パソコン室の扉を開け、教室の中に入ったツンが開口一番兄者の名を呼ぶ。
兄者は黙ったままパソコンのキーボードを叩き、返事はやはり無い。

『パソコンをいじっている時、滅多に口を開かない』という兄者の癖を知っているツンは、そんな彼の後姿を睨むように見据えていた。

ξ゚听)ξ「さっき、弟者を見かけたわ。弟者と何かあったんでしょ? だから、『必要ない』なんて言ったんでしょ?」

( ´_ゝ`)「違う」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:16:40.86 ID:NZi5omjHO
しばらく返事はかえって来ないだろう、というツンの予想に反して、兄者はすかさず答えた。

そして、パソコンを覗き込んだまま続ける。

( ´_ゝ`)「本当に必要ないんだよ、明日俺達に必要なのは『迅速さ』」

( ´_ゝ`)「弟者の症状はいらないし、足止めだったら鈴木がいる。
 もしも弟者が怪我でもしたら、足手まといになるのは目に見えているだろう。だから、必要ないと言ったんだ」

(*゚∀゚) 「でも、ただの怪我なら、のーがある程度は治せるだろ?
 それに、怪我をしたら足手まといだっていうのはオレたちも変わりないと思うけど」

( ´_ゝ`)「何を言う。俺も含めて、お前らはちゃんと役割がある。俺は全員を『加速』させて、ツンやクーやハインは、もしもの場合の攻撃役。
 つーは、鍵を開けられるし、その気になりゃ攻撃も出来る。のーは治療」

( ´_ゝ`)「ブーンも、ショボンも、アサピーも戦える。
 ブームとゆうたろうは司令塔の役をするし、鈴木は広範囲に渡って足止めが出来る。ギコは色々な所で陽動が出来る」

( ´_ゝ`)「考えれば考えるほど、弟者を連れて行く理由は何も無い。却ってリスクが高まるばかりだ。
 まぁ、盾くらいにはなるかもしれないが…。流石に、そこまであいつを危ない目に遭わせたくないしな」

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:19:21.11 ID:NZi5omjHO
( ´_ゝ`)「最善の考えだと思うが」

ξ;゚听)ξ「……」

(;*゚∀゚) 「今列挙した中にドクオの名前が無かったのは?」

( ´_ゝ`)「この前俺、『要らない』って言っただろ?」

从;゚∀从「…」

( ´_ゝ`)「俺達側にも、危険な目に遭うかもしれない奴が少なくなるんだぞ?
 それに、少しでも人数を減らして『敵』に見つからないようにする。一体何が不満なんだよ」

川 ゚ -゚)「……。…ドクオも、兄者にとっては『足手まといの邪魔者』なのか?」

今までずっと黙って話しを聞いていたクールが、腕組みして兄者に訊ねた。
その声は機械のように無感情で、抑揚はない。
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:24:18.77 ID:NZi5omjHO
( ´_ゝ`)「……」

川 ゚ -゚)「こう言うのもドクオには悪いが、私は一番あいつがこういう状況では『使えない』と思う。
 揚げ物好きの敵がいれば、話は別だがな」

( ´_ゝ`)「……」

椅子を引いて、こちらを向いた兄者は何も言わなかった。
じっとクールを見上げるその目は虚ろ。

从 ゚∀从「……」

川 ゚ -゚)「……。…ちょっと話を変えようか」

至って静かな声で、クールが呟いた。
彼女は手近な椅子に座り、足を組む。

川 ゚ -゚)「明日、全てが上手く運んだとして―――」

川 ゚ -゚)「全員が無事でいられる確率はどのくらいだ?」

ξ;゚听)ξ「クー、それ一体どういう事? 兄者は川 ゚ -゚)「計算高い兄者さまなら、答えられるだろう?」

ツンの言葉を遮って、痛烈な皮肉を吐いたクールは兄者に問う。
兄者はゆっくりと目を閉じて、息を吐いた。

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:25:42.76 ID:NZi5omjHO
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一方、クール達の前から立ち去った弟者はというと。

(´<_` )「……」

なんだかむしゃくしゃした思いを抱えたまま、早足で科学室へ向かっていた。

目指すは科学部の部室。

愚痴るつもりはないが、寮にいたって苛立ちはつのるだけだろう、という判断からの行動だ。

科学室へ向かう為に、第二棟の廊下を進んでいた時だった。

(-_-)「あ…弟者くん」

『彼』に遭ったのは。

(´<_` )「ヒッキーか、珍しいな。お前が外に出てるなんて。症状、少しは軽くなったのか?」

小柄で線の細い彼の名は、ヒッキー。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:28:27.55 ID:NZi5omjHO
症状は『読心』。
最近症状を酷く拗らせ、能力のコントロールが出来ないのが悩みらしい。

(-_-)「いや…。もう僕はダメかもしれない。
 今君と話しているこの瞬間にも、いろんな人の考えてる事が頭の中に流れ込んで来るんだ」

(-_-)「ワカッテマスくんが羨ましいよ。ある程度は自分で症状を抑制出来るし」

ヒッキーは、大きなため息をついた。

しばらく見ないうちに、また痩せたように見える。

言葉では言えないような、他人の罵詈雑言までもがヒッキーにはダイレクトに読めてしまうのだ。

精神的に疲れるのも、無理はない。

だから、彼は今ほとんど授業は受けていないし、寮も特別に個室にしてもらっている。

人が沢山集まるところでは人々の『思い』が無差別に頭に流れ込んで来て、発狂しそうになるのだとか。

(-_-)「…今、学校のどこかではワクチンを巡って生徒同士で戦ってるんだよね」

(´<_` )「ああ」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:32:49.16 ID:NZi5omjHO
(-_-)「ワクチンは僕も欲しいけど、殺されるのが関の山だろうな。それ以前に、まず僕はあの場所へ近づけない。
 昨日まで温和だった人が、今目の前で『悪意』を垂れ流してる―――」

(-_-)「それが分かるのは、もう嫌だ」

ヒッキーはなんだか、いつもとは違ってよく喋った。
言葉の端々から推理するに、恐らく久しぶりに人と接したのだろう。
弟者の『心』に巣喰った『気持ち』に気付かない程、ヒッキーは喋る。

(´<_` )「今日はお前、よく喋るな」

(-_-)「あぁ、だって自分の部屋にいたっていなくたって、どこかからか『殺せ!』だとか、『痛い』だとか悲鳴が聞こえてくるんだ。
 一人だと気が滅入って、恐ろしくて仕方がなくて」

(-_-)「あの悲鳴が本当に叫ばれた悲鳴なのか、心が上げた悲鳴なのか、もう僕には分別がつかないし。
 ……久しぶりに人と話せて、良かったよ。ちょっとだけ、症状が良くなった気がする」

(-_-)「弟者くんは素直だから、一緒にいて楽だよ」

(´<_` )「……それはどうも」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:34:39.81 ID:NZi5omjHO
(-_-)「あ、でも―――」

不意にヒッキーが言葉を切った。

彼は愕然と弟者を見つめ、元々少ない血の気は完全に失せている。

何か恐ろしい事を知ってしまったような―――

ヒッキーは、そんな顔をしていた。

(´<_` )「ヒッキー?」

(;-_-)「あ…!」

弟者がヒッキーに一歩近付く。

ガタガタと震えるヒッキーは、思わず弟者の体を突き飛ばして絶叫しながら廊下を走り去って行ってしまった。

(´<_`;)「? な、何だったんだ?」

尻餅をついた弟者は、突き飛ばされた意味も分からずにひとり、取り残されていた。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:36:19.19 ID:NZi5omjHO
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至るところに血のような跡がこびり付いた廊下を疾走し、
ヒッキーは、たった今、頭に流れてきた『心』の内容を思い出していた。

悪意と共に断片的に流れて来たのは、

兄を殴った事に対する罪悪感。
『要らない』と言われた事に関する孤独感。
『どうして自分だけが』という疑問。
その他、色々な感情の渦巻き。

そして、それに至るまでの、誰にも知られる事の無かったであろう計画……。

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:38:16.93 ID:NZi5omjHO
――――――――――

川 ゚ -゚)「近いうちに、VIPに戻ろうと思う」

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('A`)「………俺、協力するぜ」

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(´・ω・`)「気持ちは分からなくもないけどね」

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( ´_ゝ`)「仕方ない、そこら辺のバリアについては俺と弟者が調べよう」

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( ^ω^)「僕に出来ることなんてたかが知れてるから、もしもクーを連れ戻そうという人がいたら、全力で邪魔してやるお」

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(;,,゚×゚)

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彡 l v lミ 「俺の症状の魅せどころがやっと訪れたか」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:42:20.39 ID:NZi5omjHO
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从 ゚∀从「で、いつVIPに行くんだ?」

――――――――――

|  ^o^ |「かいわの すべてを おぼえています」

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(-@∀@)「じゃあ僕はブーン班に行くよ」

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(*゚∀゚) 「マジかよ…」

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(゚A゚* )「だ、だったらクーちゃん、貰ってきた方がいいんやないの?」



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:43:19.32 ID:NZi5omjHO
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| ^o^ | 「がっこうの せいとが ほぼぜんいん ワクチンのために たたかうってことですか?」

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ξ゚听)ξ「……なんか、嫌な感じがするわ」

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( <●><●>)「私もクール脱走計画に協力しましょう」

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64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:45:34.75 ID:NZi5omjHO
《クール脱走計画》

それが一体どういう事なのか、ヒッキーにですら手に取るように分かる。

一度ラウンジに運ばれた『患者』がここから『退院』することは不可能で、
脱走しようとした者には重い罰が下るということも。

ヒッキーにとって、クール脱走計画に関わる人のうち何人かは、数少ない友人の一人だった。

だからこそ、彼らに罰が下るのは見たくない。
出来れば、馬鹿なことは止めて欲しい。

罰で済めば御の字だが、昔は脱走者および、企画者は処刑されていたという話も聞いた事があった。

ただでさえ少ない友達を無くすことに、ヒッキーは耐えられないだろう。

だから、だから。

(;-_-)「どうにかして兄者くん達を止めなきゃ……!」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:47:58.90 ID:NZi5omjHO
人のいない廊下を走りながら、ヒッキーはただそれだけを考えていた。

しかし、至る所から聞こえて来る悲鳴や絶叫が、彼の思考を邪魔する。

とにかく、少しでも悲鳴が聞こえなくなる場所を目指していたヒッキーの足は、
廊下の突き当たりに差し掛かっても減速することはなかった。

廊下の角を曲がるヒッキーの目に、とある女子生徒の影。

彼女を避ける暇もなく、ヒッキーはその影と正面から思い切りぶつかった。

(;-_-)「うわ!」

「わあ!」

(;-_-)「す、すいません!」

¥#・∀・¥「気ィ付けェ! お前、何年クラスのモンじゃい!」

ヒッキーがぶつかった彼女は食パンこそ銜えていなかったが、大層怒っているようだ。

何度も頭を下げて謝るヒッキーは、尻餅をついている彼女を起こそうと手を差し伸べた。

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:52:57.54 ID:NZi5omjHO
(;-_-)「ほんとすいません、急いで―――」

(;-_-)「あれ?」

ヒッキーには、目の前でご立腹の女子生徒に見覚えがあった。
彼女は学年こそ違うが、確か放送部の部長だったはずだ。

彼女はガラの悪さと口の悪さで有名な割りに、心の中で考えている事のギャップが大きかったのが印象に残っていたのだ。

そして、放送部部長として活躍する彼女の症状。

(;-_-)「あああああの!!」

今のヒッキーにとって、それ以上に都合のいい症状はないだろう。

彼女に協力してもらえれば、『クール脱走計画』は白紙になるかもしれない。

(;-_-)「マニーさん!」

¥・∀・¥「あァ? 何でお前、アタシの名前知ってんだよ?」

(;-_-)「土下座でも何でもします! お願いがあるんです! 僕の友達を、助けてください!」

¥・∀・¥「……はァ?」

本当に目の前で土下座したひょろい男子生徒を見下ろし、マニーは首をかしげた。

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 18:55:55.74 ID:NZi5omjHO
八話 終わり

NEW!

('、`*川 ペニサス
症状は『治療』で、発生条件は手。

(`・ω・´) シャキン
症状は『接着』で、発生条件は手。

【+  】ゞ゚) 棺桶死オサム
症状は『蘇生』で、発生条件は足の裏。

(-_-) ヒッキー
症状は『読心』で、発生条件は目。
重症化している。

¥・∀・¥ マニー
症状、発生条件共に不明。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/17(火) 19:01:54.03 ID:NZi5omjHO
支援ありがとうございました!


次回予告!

ξ ゚听)ξ「なん…だと…?」

( ^ω^)「これから、俺の力を抑制してた拘束具を外す…。お前、影も形も残らないと思えよ…」

('A`)「俺…この戦争が終わったら結婚するんだ…」

(*゚∀゚)「はぁ? オレとお前がきょうだいだって? 寝言は寝て言えよ」

( ´_ゝ`)「そう…全ての黒幕は、この俺だ!」

(´<_` )「な、なんだってー!」


次回、183話『そして誰もいなくなった』!ご期待ください!

※予告は嘘です

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