- 2
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:16:44.50 ID:NKlv8dm20
※印は、特に重要だと思われる奴ら。
登場人物紹介
【モナークラス】
( ´∀`) モナー 31歳 ブーンたちのクラス担任。
症状は『物理的妨害』で、発生条件は手。
※( ^ω^) 内藤ホライゾン 18歳
一応主人公。
症状は『水』で、発生条件はちんこ。
※ξ ゚听)ξ ツン 18歳
ブーンの親友。
症状は『雷』で、発生条件は目。
※('A`) ドクオ 18歳
ブーンの親友。
症状は『から揚げ』で、発生条件は口。
※(´・ω・`) ショボン 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状は『無重力』で、発生条件はなし。
※(-@∀@) アサピー 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状は『ダイヤモンド』で、発生条件は目。
- 3
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:18:10.18 ID:NKlv8dm20
- ※(,,゚Д゚) ギコ 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状は不明、発生条件も不明。
(*゚ー゚) しぃ 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状は『爆弾』で、発生条件は胸。
ζ(゚ー゚*ζ デレ 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状、発生条件共に不明。
※彡 l v lミ 鈴木 18歳
ブーンたちのクラスメイト。
症状は不明で、発生条件も不明。
_
( ゚∀゚) ジョルジュ 18歳
転入生。
症状は『一部増殖』で、発生条件は手。
ミ*゚∀゚彡 ふー 18歳
転入生。
症状は『腐食』で、発生条件は息。
( ・−・ ) シーン 18歳
転入生。
症状は『言霊』で、発生条件は言葉。
- 4
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:20:53.94 ID:NKlv8dm20
- 【デルタクラス】
※川 ゚ -゚) クール 18歳
ブーンたちの友人。
症状は『幽鬼召喚』で、発生条件は口笛。
※从 ゚∀从 ハイン 18歳
ブーンたちの友人。
症状は『冷却』、発生条件は息。
※( ´_ゝ`) 兄者 18歳
ブーンたちの友人。
症状は『加速』?発生条件は不明。
※(´<_` ) 弟者 18歳
ブーンたちの友人。
症状は不明、発生条件も不明。
( <●><●>) ワカッテマス 18歳
誰か(主にギコ)の心を覗いてほくそ笑んでいる。
症状は『読心』で、発生条件は目。
( ><) ビロード 18歳
症状は不明、発生条件も不明。
(*‘ω‘ *) ちんぽっぽ 18歳
症状は不明、発生条件も不明。
- 5
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:24:50.35 ID:NKlv8dm20
※(*゚∀゚) つー 18歳
症状は『スプーン曲げ』で、発生条件は指。
(・∀ ・) またんき 18歳
症状は『盗聴』で、発生条件は耳。
【シラヒーゲクラス】
( ´W`) シラヒーゲ ?歳 ジャンヌたちのクラス担任。
症状は『不老不死』で、発生条件はなし。
ノリ, ^ー^)li ジャンヌ ?歳
ブーンたちの友人。
症状は『不老不死』で、発生条件はなし。
|゚ノ ^∀^) レモナ 17歳
症状は『レモン』で、発生条件は口。
lw´‐ _‐ノv シュール 17歳
症状は『スライム』で、発生条件は口。
川 ゚ 々゚) くるう 17歳
症状は『破壊音波』で、発生条件は声。
【その他】
N| "゚'` {"゚`lリ 阿部 36歳 保健の先生。
症状は不明、発生条件も不明。
- 6
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 17:25:06.34 ID:mn5WgET6O
- | ^o^ | ブーム 13歳
症状は『記憶力』で、発生条件は頭。
| ^o^ | ゆうたろう 13歳
症状、発生条件共に不明。
※( ・∀ ∀・) 奇形モララー 21歳
症状、発生条件共に不明。
脳に障害があるが、天才なのかもしれない。
※(゚A゚* ) のー 16歳
症状、発生条件共に不明。
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ 19歳
症状は『聴覚増幅』で、発生条件は耳。
爪゚A゚) ぬー 19歳
症状は『まばたき写真』で、発生条件はまばたき。
(;;・∀・;;) 黒マララー 21歳
症状は『酸』で、発生条件は体液。
リ´−´ル リル子 20歳
症状は『遠隔操作』で、発生条件は手。
/ ゜、。 / ダイオード 19歳
症状は『物質増殖』で、発生条件は手。
- 7
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:27:56.40 ID:NKlv8dm20
ノパ听) ヒート 19歳
症状は『炎』で、発生条件は髪。
从'ー'从 渡辺 19歳
症状は『出汁』で、発生条件は足。
o川*゚ー゚)o キュート 19歳
症状は『物質化』で、発生条件は手。
爪'ー`)y‐ フォックス 24歳
症状は『書写実現』で、発生条件は字を書くもの。
,(・)(・), シャーミン松中 56歳
ラウンジ役館で働く、科学者兼精神科医。
奇形モララーの世話をしていた。
症状は『物体模写』で、発生条件は手。
从´ヮ`从ト 狸娘 31歳
ラウンジ学校の教員。
症状、発生条件共に不明。
|::━◎┥ 歯車王 ?歳
ラウンジ学校の校長。
症状、、発生条件共に不明。
( ゚¥゚) 偽モナー 39歳
ラウンジ学校の教員。
症状、発生条件共に不明
- 8
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 17:28:01.88 ID:mn5WgET6O
- この話を書くに当たっての目標・総合のテンプレのAA全員出演
でもさすがに全員は話に絡ませてあげられない。
Q.「症状」とは何ですか?
A.「症状」とは、ワンピースの悪魔の実だと思ってください。
Q.「発生条件」って何?
A.「発生条件」とは、症状が発動する部位や物のことです。
目や口、手などがそれにあたります。
結構重要になるかもしれません。
Q.テンプレのAA全員出せるんですか?
A.せっかくいるんだし、出します。日の目を見ないAAにも光を!
- 9
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:29:06.04 ID:NKlv8dm20
第七話「『混乱』」
- 10
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 17:32:54.85 ID:mn5WgET6O
- 川 ゚ -゚)「え?」
寮からの明かりでうっすらと照らされたクールの横顔。
その傍らには、少し前にシュールに死刑宣告を受けたドクオがいた。
('A`)「だから、全部全てみんな終わったら、俺とブーンとツンとクーとハインと兄者と…。みんな誘って遊びに行こうって」
陰鬱な顔を更に濃くさせ、ドクオはクーに一歩だけ近付く。
('A`)「ブーンなんか、もうかなりノリノリだしさ」
('A`)「『たしかにラウンジにはありきたりな娯楽施設しかないけど、みんなで一緒にいることに意義があるんだお』
とか訳の分からんことを言ってたくらいだからな」
川 ゚ -゚)「(あ、愛の告白を受けるのかと思った…。他の作品的に考えて)」
川 ゚ー゚)「いいな、行こう。一晩中遊んで、夜が更けた頃に寮に帰って、みんなで怒られるのも悪くない」
- 11
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:33:43.36 ID:NKlv8dm20
- ('A`)「優等生なフリしてるツンは、怒られて泣きそうだな。それでもあいつは何だかんだ言ってちゃんと着いて来るんだけど」
川 ゚ -゚)「兄者と弟者は、いつものように寮監さんに殴られそうだな。二人いっぺんに」
('A`)「ショボンは、絶対にうまく言い逃れて一人で先に部屋に戻るだろ?」
川 ゚ -゚)「アサピーはショボンのまねして、変なところで墓穴掘って捕まるだろうな」
('A`)「ハインはああ見えて意外に素直なところがあるから、ちゃんと説教くらうんだろうな」
川 ゚ -゚)「ギコは要領が悪いから、下手ないいわけしてまた罰点を喰らいそうだな」
('A`)「つーは、……あいつは説教聞くタマでもしおらしく反省するタマでもないな……」
- 12
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 17:36:01.89 ID:mn5WgET6O
- 川 ゚ -゚)「のーは泣きそうな顔で反省してると見せかけて、裏ではほくそ笑んでる奴だな」
('A`)「ブームとゆうたろうはいつも通り。『おこられて しまいました』『ぼくも です』とか言って笑ってるんだろうな」
川 ゚ -゚)「鈴木は、他の人が怒られてる隙をついてひとりだけ難を免れそうだ」
('A`)「ブーンは……」
川 ゚ -゚)('A`)「「『楽しかったお』とか適当言って、話を逸らそうとするな」」
川 ゚ー゚)「……ふふふ、楽しみだ。早く行きたいな」
('∀`)「……俺もだよ」
校門に寄りかかり、クーは夜空を見上げる。
雲よりも高い場所にラウンジはあるので、いつでもここは晴れ渡っているのだ。
- 13
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:37:06.65 ID:NKlv8dm20
- ('A`)「で、俺がお前を呼び出した本題だ」
自分を引き締めるかのようにドクオは真面目な顔を作り、クールに向ける。
クールを呼び出してから今までずっと肌身離さず持っていた鞄のチャックを開け、中に入っていた何かを取り出した。
('A`)「これ、ずっと持ってて欲しいんだ」
ドクオの手に鎮座していたのは、もうほとんど壊れかけている人形。
可愛らしく微笑み、長い金髪を持った彼女はドクオの手からクールの手へと渡された。
川 ゚ -゚)「?何でこんな可愛らしいものをドクオが…。それに、もう随分古いな。ボロボロじゃないか」
('A`)「クー、よく聞いてくれ」
やけに真面目な表情のドクオに、クールも思わず姿勢を正す。
大して変わらない身長の二人が真正面から向き合うかたちとなった。
('A`)「いつどこで誰が聞いているかも分からない。だから、その人形はVIPに行ってからも絶対にいつも持っていてほしい」
('A`)「特にラウンジにいる時は絶対に、それから目を離さないでくれよ」
- 14
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:39:32.32 ID:NKlv8dm20
- 川 ゚ -゚)「おいドクオ、この人形に一体何が('A`)「それが俺達からの餞別だと思ってくれ」
川 ゚ -゚)「?」
('A`)「その人形がお前以外の手に渡ったら、もう何の価値もないんだ」
川 ゚ -゚)「?…分かった」
('A`)「約束だぞ。その人形を誰にも触らせるな」
やけに念を押すドクオ。
納得出来ていないながらも、頷くクール。
('A`)「話はこれで終わりなんだ。夜遅くに来てもらって、悪かったな」
川 ゚ -゚)「いや、構わないさ。可愛い人形をありがとう」
('A`)「じゃあ、おやすみ」
川 ゚ -゚)「あぁ。また明日」
- 15
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 17:41:11.64 ID:mn5WgET6O
- 人形を大切そうに抱えたクールは、ドクオから離れていく。
ひとり取り残されたドクオは、深いため息をついた。
('A`)「………」
微かに動いたその唇からは音は出ず、やがてドクオ自身も寮へと足を向ける。
@@@
@ _、_@
( ノ` )「こんな時間まで一体どこに行ってたんだい!?」
('A`;)「すいません!!」
帰った途端、寮監に見つかって粛清されたのは言うまでも無い。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
- 16
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:42:25.20 ID:NKlv8dm20
- ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
( <●><●>)「あなたたちが何をたくらんでいるのかは分かってます」
翌日の早朝。
ブーンの睡眠を揺さぶったモーニングコールは、かなりショッキングなものだった。
( ^ω^)「近い近い近い近い!!!近いおワカッテマス!!」
ブーンの寝込みを襲ったのはワカッテマス。
双方少し唇を突き出せば、そのままキスが出来るほどまでにワカッテマスはブーンの顔に接近していた。
( <●><●>)「クールをVIPまで逃がすつもりなのでしょう」
ブーンが起きた事を確認したワカッテマスは、未だに爆睡しているドクオのベッドの淵に腰かけた。
ここはワカッテマスの部屋ではないのだが。
( ^ω^)「何で知ってるんだお?」
( <●><●>)「昨日、私が夜遊びから帰って来たら談話室にギコがいました」
- 17
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:44:06.09 ID:NKlv8dm20
- ( ^ω^)「あーもう続きは言わなくていいお。読んだんだおね、ギコの心を」
( <●><●>)「ご名答。ちょっと悪戯心で読んだ内容が、とんでもない事を企てているなんて思いもしませんでしたが」
( <●><●>)「ギコがクールをひとりで助けるとも思えませんでしたので、ほんの少しだけ色んな人の心を読んでみました」
( <●><●>)「確認できただけでも、この部屋の人たち全員は同じ志を抱えているということは分かってます」
( ^ω^)「で、どうするんだお?とんでもない事を知ったから、先生とかラウンジ役館の人に言うかお?」
( <●><●>)「言いませんよ。若人は時に、そういう突拍子のないことを思いついて実行するものだというのは分かってますから」
( ^ω^)「お前は一体いくつなんだお」
( <●><●>)「私もクール脱走計画に協力しましょう」
- 18
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:45:13.49 ID:NKlv8dm20
- ( ^ω^)「ほんとかお?」
( <●><●>)「えぇ。ですが、ビロードとちんぽっぽには内密に」
( <●><●>)「あの二人のことですから、多分この事を知ったらあっという間にラウンジ中に広まります」
( ^ω^)b「把握した」
( <●><●>)「では、私はこれで。朝、隣に私がいないとビロードが騒ぎ出しますので」
(;^ω^)そ「えっ」
( <●><●>)ノシ「では」
ワカッテマスが軽く手を振り、寮の大人数部屋から出て行く。
その後姿を見送り、ブーンは密かに思った。
( ^ω^)「ワカ×ビロ……。腐女子歓喜!!!!」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
- 19
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:46:16.34 ID:NKlv8dm20
- ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
一方その頃、屋上では相変わらずまたんき達がワクチンを独占していた。
(・∀ ・) 「ほらほら、ワクチンが欲しければ並べ!!!金は持ってるんだろうな!?」
(=゚ω゚)ノ「またんき、あと一本しか売れないじゃないかよぅ」
(・∀ ・) 「いいんだって、あとこの一本でどれだけの人間が釣れるかな?楽しみじゃないか」
|(●), 、(●)、|「残ったワクチンは後2本……。ぃょぅが一本使うから、実質誰かに行き渡るワクチンはあと一本か」
(‘_L’)「醜いなぁ。人間ってなんて醜いんだろう。ね、そう思わないか?」
屋上の脇にある階段を占拠しまたんき達は一晩中ワクチンを大切そうに抱え、押し寄せる生徒たちを捌いていた。
お金を吊り上げ、とにかく高く高くワクチンを売ろうとする彼らに、ついに天罰が下ることになる。
- 20
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:47:38.83 ID:NKlv8dm20
- (#・3・)「お前ら、ワクチンを売る気はないんだろ!!」
||‘‐‘||レ「一晩中ずっと屋上で立って待ってたのよ!?」
いつまで経っても埒があかないこの状況と、VIPに帰れるかもしれないという希望。
VIPに帰るには、色んな人を蹴落とさなければならないという焦りや罪悪感からブチキレた者が現れたのだ。
(#・3・)「畜生!!!足元見やがって!!」
屋上に詰め寄ったうちの誰かが、遂に症状を行使した。
人の声で騒然とする屋上に、やけに大きく手を叩いた音が響く。
それを聞いていたダディはぼんやりと『場違いな音だ』と思った。
しかし、そう思ったのもつかの間。
|(●), 、(●)、|「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ワクチンの入った金庫を持っていたダディの両腕が、突然なんの前触れもなく綺麗にすっぱりと落ちる。
腕と一緒に落ちた金庫は大げさな音を立てて転がり、またんきが止める間もなく誰かに拾われていった。
- 21
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:48:40.81 ID:NKlv8dm20
- 脈に合わせて勢いよく噴出する血をどうすることもできず、ダディは人混みに押されて地面へと崩れ落ちていく。
|(●), 、(●)、|「ああ、ああ、ああ、ああ、あああ、ああ、ああ、ああああ、あ」
|(●), 、(●)、|「い、痛い痛い、いた、いたい!」
やがて痛みを訴えるその声も、症状を行使する人たちの声や音で聞こえなくなった。
(・∀ ・;) 「嘘だろダディ!!!!大丈b―――――」
声と姿が消えたダディを捜すまたんきの視線に、こちらに向かって来る研ぎ澄まされた刃物が見えた。
刃はまっすぐ空気を裂いて、そのまままたんきの顔を半分にカチ割る。
脳とか骨とか血とか細胞とか、それら全てを綺麗に裂いた刃物は赤く煌いて、空気へと溶けた。
(‘_L’;)「またんき!!!ダディ!!!」
- 22
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:50:13.66 ID:NKlv8dm20
- 仲間の死体へ駆け寄るフィレンクト。
(;=゚ω゚)ノ「や、やってらんないよぅ!!!俺はワクチンを打って!!!『病気を治して』!!!」
(;=゚ω゚)ノ「VIPに帰るんだよぅ!!!!」
地面に這いつくばって、人々の足の間をくぐって。
今まさにワクチンを奪い合って、症状を使って喧嘩をしている集団の中心へ辿り着いて。
『症状』を使って一時的に人を怯ませ、金庫を奪って走るぃょぅ。
屋上の出入り口の前に立つ女子生徒を前に、再びぃょぅは症状を使う為に口を開いた。
(#=゚ω゚)ノ「どけぇええぇえぇえええぇえぇえ!!!!!」
ハソ ゚−゚リ「…………」
女子生徒は黙ってぃょぅを見据えた。
そして、唯一の出入り口の前から僅かに移動する。
ほんの些細な隙間だったが、ぃょぅにはそれで十分だ。
金庫を持って、勝ち誇った顔で、雄たけびを上げながら、
(=゚ω゚)ノ「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
- 23
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:51:30.79 ID:NKlv8dm20
- ハソ ゚−゚リ「…………」
(=゚ω゚)ノ「おあああおあおおおあああああああ!!!!」
女子生徒の脇を通って行った。
彼女の脇をすり抜けた時に見えないゴールテープを切ったような感覚を覚えたが、気にせずぃょぅは走り去る。
(=゚ω゚)ノ「俺が!!!!俺が!!!VIPに帰るんだ!!帰るんだ!!家に!!家に!!」
廊下を走る足取りもどこか覚束ない。
金庫を抱える腕に、何故か力が入らない。
屋上へ押し寄せる生徒を牽制している教師が、恐ろしいものを見る目で俺を見てる。
顔がかゆい。
あれ、腕がかゆい。
足がかゆい。
背中もかゆい。
首もかゆい。
- 24
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:52:16.81 ID:NKlv8dm20
腹もかゆい。
かゆい。かゆい。かゆい。かゆい。
(=゚ω゚)ノ「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
力が入らなくなって手から滑り落ちた金庫が足の上に落ちる。
ずるり、という感触と共に、何か水をたっぷり含んだ布のようなものが落ちる音も聞こえた。
(;=゚ω゚)ノ「あああああああああ!!!!」
金庫に躓き、いようは転ぶ。
何事かと集まる人たちからは、一様に悲鳴が上がった。
(=゚ω゚)ノ「あああああああ」
ワクチンが入った金庫を取るために伸ばしたぃょぅの手は、何故か真っ赤に染まっていた。
- 25
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:53:07.94 ID:NKlv8dm20
- 手だけじゃない。
顔も腕も足も背中も首も腹も、全てが血で真っ赤に染まっている。
ぃょぅは、自分が走ってきた廊下を振り返った。
滴り落ちた血と、剥がれ落ちた皮膚。
剥がれ落ちた肉片。
(;= ω )ノ「(何で突然こんなことに)」
心当たりは、屋上を出る前に出入り口を塞いでいたあの女子生徒。
彼女の横を通り過ぎたとき、感じた何か見えない糸を切るような感覚。
(;= ω )ノ「あああーあああああ」
ハソ ゚−゚リ「『肉』から『皮膚』を剥離。『骨』から『肉』を剥離」
(#= ω )ノ「てめぇ……」
女子生徒の症状が分かった。しかし、だからと言って今更どうしようもない。
- 26
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:55:26.88 ID:NKlv8dm20
- 崩れ去っていく身体や顔を、いようはどんな思いで見つめていたのか。
(= ω )ノ
第一棟、5階の東廊下中腹。
いようは、辺り一面に肉片をばら撒いて動かなくなった。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
(#‘_L’)「くそっ!!!全く役に立たないゴミ共が!!!最期くらいは俺を守ってから死ねよ!!!」
そう叫ぶのは、屋上に取り残されたフィレンクト。
彼は人ゴミに押され、屋上のフェンスギリギリまで追い詰められていた。
(#‘_L’)「このカス共!!道を開けろ!!俺が危ないだろ!!!」
怒りに任せて叫ぶフィレンクトの言葉に耳を貸そうとする人間は誰もいない。
- 27
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:56:16.85 ID:NKlv8dm20
- 余計に怒りを膨らませ、彼はそこらにあった小石を手当たり次第に投げつけた。
(#‘_L’)「邪魔だ!!邪魔だ!!!」
まるで駄々子のように『邪魔だ』を繰り返すフィレンクト。
彼の終わりもまた、案外あっけないものだった。
(´・_ゝ・`)「うるさいなぁ、そんなに言うなら、俺で良ければ安全なところに連れてってやるけど」
空中から声が聞こえ、フィレンクトは小石を投げる手を止める。
空を見上げれば、見慣れない顔の男が空に浮いていた。
(#‘_L’)「誰でもいいんだよ!俺を安全なところまで連れていけ!!」
(´・_ゝ・`)「分かったよ、うるさいなぁ」
空を飛ぶ彼は、フィレンクトの両腕を掴んで上昇した。
フィレンクトをぶら下げたまま、男は屋上のフェンスの外へと向かう。
- 28
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 17:57:07.33 ID:NKlv8dm20
- 足元は雲の海。
足場なんて何もない。
(#‘_L’)「おい危ないぞ!」
(´・_ゝ・`)「危なくなんてないだろ。死んじまえば、危険なところなんてなくなるんだからさ」
(;‘_L’)「それどういう意味―――(´・_ゝ・`)「さよならだ、口うるさい人」
屋上のフェンスの外から少し離れたところで、男はフィレンクトを支えている手を離した。
するりと離れる、男とフィレンクトの手。
(‘_L’;)「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
(´・_ゝ・`)
- 30
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 18:10:13.36 ID:NKlv8dm20
- 途中で強風に煽られ、ラウンジを支えている真っ白な柱に思い切り体をぶつけて、腕や足を変な方向へ曲げながらフィレンクトは落ちていく。
天空地盤から100メートルほど離れた所で、突然フィレンクトは蒸発した。
比喩などではなく、本当に。
(´・_ゝ・`)「んー、あれが噂に聞いてた『隔離結界』とかいうやつかぁ」
(´・_ゝ・`)「そこまでして脱走者を出したくないのは何でなんだろう」
男は蒸発したフィレンクトの最期を見届け、暢気に呟きながら屋上へと戻っていく。
屋上はぃょぅが校内に持って行ったワクチンを追う者達がこぞって出入り口前で押し合い圧し合いしているので、
もう暫くは校内に戻ることは出来ないだろう。
(´・_ゝ・`)「こいつら邪魔だなあ……」
またんき、ぃょぅ、ダディ、フィレンクトの4人は、症状によって殺された。
- 31
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:11:18.93 ID:NKlv8dm20
現在のワクチンの本数は、2本。
ぃょぅの死体の、脇に落ちている金庫の中に眠っている。
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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,;(・)(・), 「奇形モララーさん……」
同時刻。
ラウンジ病院の精神病棟で、シャーミンは絶望していた。
少し目を離した隙に、患者が亡くなってしまっていたのだから無理もない。
奇形モララーに今まで自殺や自傷の様子が一度も見られなかったので、シャーミンはすっかり油断していたのだ。
精神を病んでいる者にしては、安定した言動。
今まで問題という問題を起こさなかったからこそ、他の医師や看護婦が奇形モララーを気にかける事は滅多になかった。
- 32
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 18:12:26.11 ID:NKlv8dm20
何よりも、檻の中に収容されていたという事実が彼らの油断を誘ったのだろう。
だからこそ、シャーミンは納得できなかった。
何故彼は、今死ななければならなかったのか。
,(・)(・), 「……まずい!!!」
シャーミンは、奇形モララーの亡骸の前から踵を返して走り出す。
行き先は、ついさっきワクチンを置いて来たばかりのラウンジ学校。
あのワクチンを使われてしまったら、全てが振り出しに戻ってしまう!
作り方は奇形モララーしか知らないのだから。
その奇形モララーですら、もうこの世にはいないのだから。
教員たちの前にワクチンを出した時、シャーミンは渋る校長を前に『返事を焦る必要はない』と、そう言った。
しかしもしかしたら、ワクチンは既に生徒の手に渡っている可能性もある。
- 33
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 18:13:19.59 ID:NKlv8dm20
,(・)(・), 「くそ、間に合ってくれ!!」
今までにないほど、シャーミンは必死に走った。
白衣を翻す音が、病院の廊下を渡る。
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更に同時刻。
第二棟のパソコン教室にて。
(´<_` )「兄者、いつクーは行くことになったんだ?」
パソコンを覗き、キーボードを叩く兄者の後姿に弟者が話し掛けた。
教員たちは全員が、屋上の騒乱を収めに赴いているので授業がないのだ。
だから、兄者と弟者は一番情報が集めやすいパソコン教室に篭って情報収集に精を出していた。
先生たちの隙を掻い潜って、ラウンジ役館にある『隔離結界』を司る機械を解除し、邪魔する者は遠慮なく倒して。
それをする最善のタイミングを、弟者は捜していた。
- 35
名前: ◆oC5Ka9HRMI
:2009/10/14(水) 18:14:16.48 ID:NKlv8dm20
( ´_ゝ`)「………………」
今日に始まったことではないが、兄者は基本的にパソコンをいじっている時は喋らない。
弟者も、返事は期待していないのだろう。
特に返事を追及することもせず、パソコンのディスプレイを覗き込んで眉間に皺を寄せる。
クール脱走計画についての作戦立てを、ブーンやクールたちを交えて話し合わなければならない。
平日なのに授業がないということは自宅待機と同じようなもので、今日は一日中寮で待機。
今寮の部屋には外から厳重な鍵が掛けられているはずだ。
まぁそれも、一部の生徒にはまったく意味を為さないのだが。
( ´_ゝ`)「…明日だ」
普段は全く喋らない兄者が、やや間を置いて弟者の質問に答えた。
弟者は驚いたように、キーボードを叩く手を止める。
- 39
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:16:45.61 ID:mn5WgET6O
- (´<_` )「明日!?ず、随分急だな」
( ´_ゝ`)「…………。……屋上の暴動は、明日あさってで終わるようなものじゃない」
( ´_ゝ`)「現に先生たちも、生徒を止められていないしな。だから、その隙をついて……」
( ´_ゝ`)「ラウンジ役館へ忍び込んで、機械を壊す」
兄者はディスプレイから目を離さずに、答えた。
( ´_ゝ`)「それに」
(´<_` )「それに?」
( ´_ゝ`)「…明日は祝日だから、ラウンジ役館にはいつもよりは人はいないはずだ」
- 40
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:17:42.02 ID:mn5WgET6O
- ( ´_ゝ`)「でも、」
話している間、一度も弟者に目を向けなかった兄者。
その態度はいつもと変わらず、だからこそ弟者は気付かなかった。
一度言葉を切った兄者の声が、僅かに震えていることに。
弟者は気付かないまま。
( ´_ゝ`)「お前は来るな」
(´<_` )「……は?」
( ´_ゝ`)「お前は来るな」
( ´_ゝ`)「ぶっちゃけると、俺の計算ではお前は必要ないんだ」
( ´_ゝ`)「むしろお前がいたら邪魔になる」
( ´_ゝ`)「だから、来るな」
- 42
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:19:08.71 ID:mn5WgET6O
- (´<_` )「け、計算って( ´_ゝ`)「来たら、ぶっ殺すからな」
(´<_`;)「……な、」
(´<_` )「何だよそれ!!」
弾かれたように立ち上がった弟者が、傍らの兄者の頬を殴った。
(#) _ゝ )
(´<_`#)「何で突然そんなこと言うんだよ!!」
(´<_`#)「必要ないって何だ!?お前の症状だって、俺と似たようなものだろ!!」
( ´_ゝ`)「少し誤解させるような言い方をしたようだな。正確には、『要らない』んだ」
(´<_`#)「同じことじゃねぇか!俺はいらなくて、何で兄者の症状は必要なんだよ!!同じようなものだろ!?」
( ´_ゝ`)「俺とお前の症状が同じ?笑わせるなよ」
何度か殴られながらも、兄者は嘲笑した。
兄のそんな冷たい声を聞いたことが一度もなかった弟者は、思わず兄者の胸倉から手を離す。
- 43
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:20:10.73 ID:mn5WgET6O
- ( ´_ゝ`)「全然違うだろうが。いいか?今回のこの計画は、早さが重要なんだよ」
( ´_ゝ`)「俺とお前じゃ、全然―――(´<_`#)「もういい!!」
椅子を薙ぎ倒し、弟者はパソコン教室から出て行った。
その後ろ姿を眺めながら兄者は殴られた頬に手を添える。
( ´_ゝ`)「痛ぇなぁ」
もう一度パソコンのディスプレイに目をやり、兄者は何事もなかったかのようにキーボードを叩いた。
ウィンドウに長々と写る文字。
その中の広告バナーに、その言葉はあった。
- 46
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:22:21.38 ID:mn5WgET6O
( ´_ゝ`)「――――弟よ、君死にたまふことなかれ…」
それは文は的確に兄者の胸中を表していて、
( ´_ゝ`)「馬鹿らしいな」
兄者は頬を押さえながら、自嘲気味に笑った。
- 55
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/14(水) 18:43:07.82 ID:mn5WgET6O
- 投下し忘れ。
←NEW!!
@@@
@ _、_@
( ノ` ) 母者 43歳
流石兄弟とは関係ない赤の他人。
症状は『怪力』、発生条件は腕。
( ・3・) ぼるじょあ 16歳
症状は『切断』、発生条件は手拍子。
||‘‐‘||レ カウガール 19歳
症状、発生条件ともに不明。
(´・_ゝ・`) デミタス 23歳
症状は『浮遊』、発生条件はなし。
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