4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:25:54.80 ID:tUfbd2IqO
登場人物紹介
【モナークラス】

( ´∀`) モナー 31歳 ブーンたちのクラス担任。
症状は『物理的妨害』で、発生条件は手。

( ^ω^) 内藤ホライゾン 18歳 
一応主人公。
症状は『水』で、発生条件はちんこ。

ξ ゚听)ξ ツン 18歳 
ブーンの親友。
症状は『雷』で、発生条件は目。

('A`) ドクオ 18歳 
ブーンの親友。
症状は『から揚げ』で、発生条件は口。

(´・ω・`) ショボン 18歳 
症状は『無重力』で、発生条件はなし。

(-@∀@) アサピー 18歳 
症状は『ダイヤモンド』で、発生条件は目。

(,,゚Д゚) ギコ 18歳 
症状は不明、発生条件も不明。

(*゚ー゚) しぃ 18歳 
症状は『爆弾』で、発生条件は胸。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:27:19.05 ID:tUfbd2IqO
ζ(゚ー゚*ζ デレ 18歳
症状、発生条件共に不明。

彡 l v lミ  鈴木 18歳
症状は不明で、発生条件も不明。
  _
( ゚∀゚) ジョルジュ 18歳
転入生。
症状は『一部増殖』で、発生条件は手。

ミ*゚□゚彡 ふー 18歳
転入生。
症状は『腐食』で、発生条件は息。

( ・−・ ) シーン 18歳
転入生。
症状は『言霊』で、発生条件は言葉。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:28:45.22 ID:tUfbd2IqO
【デルタクラス】
川 ゚ -゚) クール 18歳
症状は『幽鬼召喚』で、発生条件は口笛。

从 ゚∀从 ハイン 18歳
症状は『冷却』、発生条件は息。

( ´_ゝ`) 兄者 18歳
症状は『加速』?発生条件は不明。

(´<_` ) 弟者 18歳
症状は不明、発生条件も不明。

( <●><●>) ワカッテマス 18歳
誰か(主にギコ)の心を覗いてほくそ笑んでいる。
症状は『読心』で、発生条件は目。

( ><) ビロード 18歳
症状は不明、発生条件も不明。

(*‘ω‘ *) ちんぽっぽ 18歳
症状は不明、発生条件も不明。

(*゚∀゚)  つー 18歳
症状は『スプーン曲げ』で、発生条件は指。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:31:10.47 ID:tUfbd2IqO
【シラヒーゲクラス】
( ´W`) シラヒーゲ ?歳 ジャンヌたちのクラス担任。
症状は『不老不死』で、発生条件はなし。

ノリ, ^ー^)li ジャンヌ ?歳
ブーンたちの友人。
症状は『不老不死』で、発生条件はなし。

|゚ノ ^∀^) レモナ 17歳
症状は『レモン』で、発生条件は口。

lw´‐ _‐ノv シュール 17歳
症状は『スライム』で、発生条件は口。

川 ゚ 々゚) くるう 17歳
症状は『破壊音波』で、発生条件は声。

【その他】
N| ゚` {゚`lリ 阿部 36歳 保健の先生。
症状は不明、発生条件も不明。
  _、_
( ,_ノ` ) 渋澤 57歳 用務員
症状は不明で、発生条件も不明。

∬´_ゝ`) 姉者 23歳 教育実習生
症状は『毒』で、発生条件は血。

从リ ゚д゚ノリ  ギ子 16歳
症状は『瞬間移動』で、発生条件はなし。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:34:08.79 ID:tUfbd2IqO
|  ^o^ | ブーム 13歳
症状は『記憶力』で、発生条件は頭。

| ^o^ |  ゆうたろう 13歳
症状、発生条件共に不明。

( ・∀  ∀・) 奇形モララー 21歳
症状、発生条件共に不明。
脳に障害があるが、天才なのかもしれない。

(゚A゚* ) のー 16歳
症状、発生条件共に不明。

ミセ*゚ー゚)リ  ミセリ 19歳
症状は『聴覚増幅』で、発生条件は耳。

爪゚A゚)  ぬー 19歳
症状は『まばたき写真』で、発生条件はまばたき。

(;;・∀・;;) 黒マララー 21歳
症状は『酸』で、発生条件は体液。

リ´−´ル リル子 20歳
症状は『遠隔操作』で、発生条件は手。

/ ゜、。 / ダイオード 19歳
症状は『物質増殖』で、発生条件は手。

ノパ听) ヒート 19歳
症状は『炎』で、発生条件は髪。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:35:08.85 ID:tUfbd2IqO
从'ー'从 渡辺 19歳
症状は『出汁』で、発生条件は足。

o川*゚ー゚)o キュート 19歳
症状は『物質化』で、発生条件は手。

爪'ー`)y‐ フォックス 24歳
症状は『書写実現』で、発生条件は字を書くもの。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:36:12.32 ID:tUfbd2IqO
この話を書くに当たっての目標・総合のテンプレのAA全員出演
でもさすがに全員は話に出させてあげられない。
Q.「症状」とは何ですか?

A.「症状」とは、ワンピースの悪魔の実だと思ってください。

Q.「発生条件」って何?

A.「発生条件」とは、症状が発動する部位や物のことです。
  目や口、手などがそれにあたります。
  結構重要になるかもしれません。

Q.テンプレのAA全員出せるんですか?

A.せっかくいるんだし、出します。日の目を見ないAAにも光を!
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:39:06.26 ID:tUfbd2IqO
第六話『クール脱走計画とワクチン』


白衣を着た彼がラウンジ学校を訪れたのと、
学校案内を終えたブーンたちがクールの元へ集まる為に中庭に辿り着いたのは、ほぼ同時のことだった。

( ^ω^)「おいすー」

('A`)「よっ」

ξ ゚听)ξ「何か分かった?」

挨拶もそこそこに、ブーン、ドクオ、ツンはクールたちの座るベンチに腰かける。

( ´_ゝ`)「一日でここまで調べ上げたんだから、褒めてくれ」

(´<_` )「どうやら、ラウンジ全体を覆ってるバリアを制御しているのはラウンジ役館の地下だそうだ。
機械だから、それさえ壊せばバリアは解除される。まぁそれを壊すのに骨が折れそうだけどな」

(´<_` )「ハインの言ってた通り、そのバリアは『症状に効く』効果があるらしい。
だから、症状を持ってる人間以外は登録された固体識別番号―――つまり、ラウンジ役館で働いてる人のうちの数人しかここへ出入りできない」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:42:01.97 ID:tUfbd2IqO
( ´_ゝ`)「選ばれた人しか、ラウンジに出入りできないってことだな。
俺達は入ったっきり、もうここからは出られないってことになってる」

(´<_` )「だからクーが行動に移す段階になったら、誰かがラウンジ役館へ忍び込んでその機械を壊す役割を担うことになる。
早くても遅くてもダメだ。タイミングよくこなさないと、全ての計画が台無しになるかもしれない」

( ´_ゝ`)「バリアが破られた時点でクーは誰よりも先に、ラウンジの外へ出ていてくれ。
ギ子が協力してくれたらVIPまで一瞬で行けるが、もしかしたら協力してくれないかもしれない。
だから階段で下まで降りていくのがいいだろうな」

川 ゚ -゚)「分かった」

('A`)「連れ戻されそうになったら、逃げろよ」

川 ゚ -゚)「……分かった」

中庭の隅にある、テーブルベンチ。
そこにいるのはいつもの面々で、今日はジャンヌがいない代わりに、ギコやブームたちが話し合いに参加していた。

( ^ω^)「僕に出来ることなんてたかが知れてるから、もしもクーを連れ戻そうという人がいたら、全力で邪魔してやるお」

ξ ゚听)ξ「症状のことから考えたら、私はブーンと一緒にいた方がいいかもしれないわね。か、勘違いしないでよ?別にアンタと一緒にいたいって訳じゃないんだからね!仕方なく、一緒に行動するだけなんだからね!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:51:11.74 ID:tUfbd2IqO
从 ゚∀从「ツンデレ乙。じゃあオレもブーンのとこで、徹底的に邪魔するぜ」

( ´_ゝ`)「そういうことなら、俺らは機械をぶっ壊しに行こう」

(´<_` )「足止めなら、任せてくれ」

('A`)「俺は?」

(´<_` )( ´_ゝ`)从 ゚∀从( ^ω^)ξ ゚听)ξ「イラネ」

(ノA;)

|  ^o^ |「かいわの すべてを おぼえています」

| ^o^ | 「あとで ぼくがまとめて みなさんに メモを わたします」

(*゚∀゚)「オレ、なにも出来ねぇwww」

(゚A゚* )「じゃあウチは兄者班に回るわぁ。ブーン班、あまり怪我しないでおいてな」

(,,゚Д゚)「畜生、俺も何も出来ないな…。物影で、適当に叫んでるよ」

彡 l v lミ 「俺も足止めできそうだな。よし、じゃあ兄者たちのほうに行くぜ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:54:18.94 ID:tUfbd2IqO
(-@∀@)「じゃあ僕はブーン班に行くよ」

(´・ω・`)「僕は兄者たちの方に回るよ」

川 ゚ -゚)「…ありがとう。一目妹を見たら、すぐに戻る。私もできるだけ抗ってみせるさ。だから、」

川 ゚ -゚)「絶対に殺されたりしないでくれよ?」

心配そうに言った、クールの言葉。
そんな彼女の気持ちを察して、ドクオは明るく答える。

('∀`)「大丈夫だって、クー。俺達がそんな簡単に殺されると思うか?」

川 ゚ -゚)「………」

川 ゚ -゚)「………」

川 ゚ー゚)「…いいや、殺したって死ななさそうだ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:56:28.91 ID:tUfbd2IqO
('A`)「俺らの心配なんかどうでもいいから、
お前はとにかく逃げてくれ」

( ^ω^)「クーは戦わずに逃げるんだお」

从 ゚∀从「で、いつVIPに行くんだ?」

好戦的な笑みを浮かべ、ハインはテーブルに肘をついた。

自然とその場にいた全員の視線はクールに向けられる。

28個の目に答えるため、クールはゆっくりと口を開いた。

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25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:00:04.09 ID:tUfbd2IqO
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その瓶は、彼らの目の前に置かれていた。

困惑した様子の彼らに、白衣の男は少しだけ微笑んでから説明を始める。

,(・)(・), 「私はシャーミン松中と申します。ラウンジ役館で働いている科学者です。
警戒される前に一応。症状は『物体模写』です。
…今日はこの学校の生徒の方に協力を依頼するために参りました」

,(・)(・), 「こちらのこの薬は、ラウンジ病院の精神患者病棟に収容されている青年が作ったものです。
効果は、『症状を直す』。
つまり、我々の症状を完治させるためのワクチンと考えていただければいいです」

,(・)(・), 「しかし、これはまだ未完成の状態です。副作用も一体どんなものがあるか、私には全く分かりません。
しかしこれを完成させれば、いずれ近い将来にはこの薬がラウンジ全体に行き渡ることになります」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:04:23.73 ID:tUfbd2IqO
,(・)(・), 「その薬をみんなが服用すれば、VIPへ帰ることが出来ます」

,(・)(・), 「帰りたいという人のためにも、生徒さんの協力が必要なのです。
副作用を報告していただければ、この薬の完全版が早くに出来上がります」

,(・)(・), 「3名の生徒さんに、この薬を投与して頂きたい」

シャーミンは、ガラスで出来た机の上に置かれた瓶を押し出した。

紫がかった液体がゆっくりとうねる。

( ´∀`)「モナ…」

( "ゞ)「………」

从´ヮ`从ト「……」

( ´W`)「………」

|::━◎┥「これを3名に投与しろと仰いましたが、副作用が分からないのではこちらとしてもちょっと…」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:07:16.67 ID:tUfbd2IqO
その部屋は、どこにでもあるような『校長室』だった。

ラウンジ役館で働く科学者『シャーミン松中』が来校し、「薬の事で話がある」と、ラウンジ校の教師は全員が集められていたのだ。

校長である歯車王は、ゆっくりと首を横に振る。
彼の表情は、読めない。

,(・)(・), 「ですが、これがラウンジに隔離された人達の未来を切り開く薬になるのです。
お返事はまた後日ということで、ぜひよろしければ先生方、生徒さんにこの薬の事を話しておいてはいただけないでしょうか」

|::━◎┥「あまり気乗りはしません。
命に危険が及ぶ可能性もあるのでしょう?」

,(・)(・), 「最悪でも、昏睡状態になるくらいだと思います。
これを作った青年の元へ持っていった材料に危険なものはありませんでしたので」

|::━◎┥「……。…あまり期待はしないでください」

,(・)(・), 「分かりました。では、失礼します」

シャーミンはソファから腰を上げた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:10:23.36 ID:tUfbd2IqO
机の上の薬は置いていったまま、彼は立ち去る。

その後姿を教師達は見送り、

そんな彼らから離れた場所、第一棟の屋上で。

(・∀ ・) 「いいこと聞いちゃったなぁ」

寝転んだ体勢から起き上がった、ひとりの男子生徒がいた。

(・∀ ・)「誰が聞いてるんだか分かんないんだから、もっと警戒すりゃいいのに。
先生ってのはバカだねぇ」

彼の症状は『盗聴』。
ミセリの『聴覚増幅』とは違い、『またんきが好きそうな話』だけが聞こえてくるという、なんともおかしな症状の持ち主だった。

(・∀ ・)「『症状を治すワクチン』、か。それ、面白そうじゃないか。
ずっと退屈してたんだよな、ここ何の娯楽もないし。
何のイベントもないし」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:15:27.15 ID:tUfbd2IqO
独り言を呟きながら、またんきは屋上を後にする。
彼が校舎の中へ消えて34分後。


校舎中に轟く大音声で、宣伝が流れた。



『俺達の症状を完治させる為のワクチンが、ただ今屋上にありますよぅ。
ワクチンを使えるのは先着3名、ワクチンを投与した人は無条件でVIPに帰れるぞぅ!!』

『家に帰りたい奴や、ラウンジでの暮らしに飽き飽きしていた奴!!!今すぐ来いよぅ!!』

『ワクチン争奪戦ですよぅ!!!』



その声は、ちょうど新薬についての会議が為されていた職員室にも響き渡った。

『拡声』の症状を持つ者がどこかから新薬についての情報を聞きつけたのだろう。

が、

(;´∀`)「ま、まずいモナ!」

( "ゞ)「校長!!シャーミンさんが持って来たワクチンが、生徒に盗まれました!!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:17:36.57 ID:tUfbd2IqO
|::━◎┥「これは大変まずい事になった。先生方は、とにかく生徒達を宥めてください。
私は今すぐにワクチンを盗んでいった生徒を特定して、奪い返します」

从´ヮ`从ト「分かりました!」

从゚ヮ゚从ト「手加減はしませんよ」

( ´∀`)「大変なことになったモナ…」

(  ゚¥゚)「まぁとにかく、事態の沈静化を図りましょうナモ」
( "ゞ)「面倒なことになりましたね…」

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:20:11.32 ID:tUfbd2IqO
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川 ゚ -゚)「            」

クールが口を開き、何かを喋る。

その声は違う声にかき消されて全く聞こえず、ブーンたちは怪訝な顔で屋上を見上げた。

『俺達の症状を完治させる為のワクチンが、ただ今屋上にあります。
ワクチンを使えるのは先着3名、ワクチンを投与した人は無条件でVIPに帰れるぞぅ!!』

『家に帰りたい奴や、ラウンジでの暮らしに飽き飽きしていた奴!!!今すぐ来いよぅ!!』

『ワクチン争奪戦が開幕しますよぅ!!!』

拡声器を用いたような少しひび割れた声が中庭に降り注ぐ。

屋上には、見慣れた顔がいくつか確認できた。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:23:44.01 ID:tUfbd2IqO
('A`)「何やってんだよあいつら…」

ドクオは顔をしかめた。

彼らの視線の先にいる、男子生徒たち。

(=゚ω゚)ノ「本当に俺ワクチン打てるのかよぅ?」

『拡声』の症状の、ぃょぅ。

(・∀ ・) 「心配すんなって、俺に任せておけ」

『盗聴』の症状の、またんき。

(‘_L’)「これでぃょぅがワクチン打てなかったら、協力した意味ないですよね」

『ドッペルゲンガー』の症状の、フィレンクト。

|(●), 、(●)、|「まぁ、別に俺はVIPに帰りたいって訳じゃないからいいけどな」

『盗み』の症状の、ダディ。

彼らは、このラウンジに対してあまり良くない感情を持っているような集団だった。

閉鎖的なこの天空地盤も、全員いずれかおかしな能力を持っていることも、全てがおもしろくない。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:26:30.78 ID:tUfbd2IqO
ラウンジが混乱すれば、このつまらない毎日は少しだけ変化する。

でも、こんな所で混乱なんて滅多に起こらない。

なら、自分達で混乱を作ってしまえばいい。

ワクチンなんかにさほど興味はないが、これを奪い取ろうとする者たちの醜い顔が見てみたい。

この平和なラウンジという閉鎖空間の中で、ある意味で危険な考えを持っている者たち。

それが、このまたんき達のグループだった。

川 ゚ -゚)「ダディが何か持ってるな…。…金庫か?」

从 ゚∀从「オレたちの症状を完治させる薬だってよ…。クー、お前あれ譲ってもらえよ」

川 ゚ -゚)「冗談を言うな、あんな奴らが持ってるものにマトモなものがある訳がないだろう」

(-@∀@)「www確かにw」

中庭で彼らを茶化す、クールたち。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:29:11.37 ID:tUfbd2IqO
そんな声なんかどうでも良いと、またんき達は不穏な笑みを浮かべながら校庭や校舎の窓から覗く顔を見渡す。

その中には先生たちの姿も見えるが、彼らにはどうでもいいことだった。

⌒*リ´・-・リ「あの、しょうじょうをなおせるおくすりがあるってほんとうですか?」

舌足らずな声。

またんき達は、一番最初にワクチンを取りにやって来た少女を見下ろした。

大体5歳くらいだろうか、少し不安そうに眉を寄せ、少女はまたんきを見上げる。

ふたつの視線がぶつかった。

(・∀ ・) 「ほんとうだよ」

⌒*リ´・-・リ「あ、あのあたし…」

(・∀ ・) 「いくらで買う?」

⌒*リ´・-・リ「え?」

(・∀ ・) 「いくら、このワクチンにお金を払う?」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:31:44.39 ID:tUfbd2IqO
またんきは人の良さそうな笑顔で、少女と視線を合わせる為にしゃがみ込んだ。

彼女の頭を優しく撫でて、彼は続ける。

(・∀ ・) 「これさぁ、3つしかないんだよ。
さすがに、3つしかないものをタダであげるわけにはいかないよねぇ」

⌒*リ´・-・リ「あ…」

少女は、赤いスカートのポケットからいくらかの小銭を出した。

彼女はそれをまたんきに差し出す。

(・∀ ・) 「46円…」

⌒*リ´・-・リ「これしかおかね、ないです…」

(・∀ ・) 「へぇー、これでこの貴重なワクチンを貰えるとでも思ったのかな?甘いなぁ、少なくとも、これの10万倍は持ってこなくちゃね」

⌒*リ´・-・リ「えっと…?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:33:59.59 ID:tUfbd2IqO
(・∀ ・#) 「金が足んねーよ、クソガキ!!!!」

少女の身体が、遠慮容赦なく屋上の床に叩き付けられる。

その上から46円を投げつけられ、彼女は泣きながら、散らばった小銭をかき集めて何処かへと去っていった。

(‘_L’)「幼女に乱暴はいけませんよ」

何も言わないまま、黙って成り行きを見ていたフィレンクトがぽつりと呟く。

しかしその顔は、またんきのやったことを咎めるような色は見られなかった。

むしろ、その反対。

サディスティックな、その笑み。

フィレンクトは、腹の中でほくそ笑んでいるのだろう。

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41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:37:20.31 ID:tUfbd2IqO
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(´・ω・`)「どうやら、またんき達の話は本当みたいだよ」

中庭のテーブルベンチに戻って来たショボンが、開口一番に言った。

またんき達の話の真偽をはっきりさせる為に、ショボンは手当たり次第に色々聞きに回っていたのだ。

(´・ω・`)「ただ、めちゃくちゃ高額なお金を取られるみたいだけど」

(,,゚Д゚)「やっぱりな。本当かどうかも分からないものに、そんな大金積み上げる奴がいるのかね…」

(´・ω・`)「それが、いるんだよ」

(´・ω・`)「校舎の中、今凄い混乱してるよ。
先生たちが必死に何か叫んでたけど、あれは全く効果なしだと思う」

(*゚∀゚)「おいおいマジでかよ?もしかしたら、科学部が作った得体の知れない何か変な薬かもしれないじゃねーか。
それなのに、何でまたみんなあいつらの話を信じてるんだ?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:40:02.66 ID:tUfbd2IqO
(´・ω・`)「ミセリさんが、聞いてたらしいんだ」

つーの質問に即答するショボン。

聞かれるかもしれないことを調べていた辺り、かなりいろいろと聞き込んできているとみえる。

(´・ω・`)「ついさっき、ラウンジ役館で働いてる科学者がワクチンを置いていったって。
ぬーさんが撮った(見た)写真付きで掲示板に、号外新聞として貼ってあったから、みんな信じてるみたいだよ」

(*゚∀゚)「マジかよ…」

(゚A゚* )「だ、だったらクーちゃん、貰ってきた方がいいんやないの?」

川 ゚ -゚)「いや、あいつらに何かを頼むのは嫌いだ。
すぐに調子に乗るだろうからな」

(゚A゚* )「なんかもったいないなぁ」

中庭の隅にいる彼らの耳にも、校舎の中からの騒ぎが聞こえてきた。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:43:08.80 ID:tUfbd2IqO
「VIPに帰りたい」だとか、「ラウンジにいたくない人」がこんなにいるのかとブーンは内心驚いていたくらいだ。

その数は、全校生徒の約八割くらい。

もちろん、この騒ぎに参加していない者もいるのだろうが…。

彡 l v lミ 「なんか、そろそろ暴動が起きそうだよな」

( ^ω^)「どういう意味だお?」

彡 l v lミ 「相当高く値段設定してるみたいだからな。多分、そろそろ実力行使に出る奴がいると思う」

|  ^o^ |「それは たいへん ですよ!」

| ^o^ |「がっこうの せいとが ほぼぜんいん ワクチンのために たたかうってことですか?」

彡 l v lミ 「そういうこと」

( ´_ゝ`)「まぁそうなったとしても、俺らはあまり関係ないよな」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:46:07.91 ID:tUfbd2IqO
(´<_` )「どっちかっていうと、援護系の症状だからな」

ξ ゚听)ξ「……なんか、嫌な感じがするわ」

( ^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「とにかく、私は別にワクチンは必要だとは思っていない。
少なくとも、あいつらの手にある以上は不要だ。
VIPに帰るのは、今週中にしようと思っている。
そのときは、…よろしくお願いします」

ベンチから立ち上がったクールが、頭を下げる。

屋上からは、相変わらずの喧騒が聞こえていた。

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47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:51:32.24 ID:tUfbd2IqO
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,(・)(・), 「ふぅ、これでワクチンがラウンジ中に回るのも時間の問題になったな」

クールが頭を下げた時から、時間は少し戻る。

ラウンジ学校の校長室からラウンジ病院へ戻っている最中のシャーミンは、そんな独り言を漏らしながら足を早めた。

,(・)(・), 「副作用を排除するために、またいくつか材料を用意して奇形モララーさんに渡して…」

病院での彼の仕事場は、奇形モララーの隔離部屋の隣にある。

,(・)(・),「そうそう、報告書を書いたり、薬の作り方を奇形モララーさんから教えてもらわなくちゃいけないな」

真っ白な建物が、シャーミンの目に写った。

あの建物がラウンジ病院で、少し本棟から離れたところに精神科病棟は建っている。

シャーミンは迷わず精神科病棟へ足を向け、慣れたように入り口のゲートをくぐった。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:54:01.20 ID:tUfbd2IqO
,(・)(・), 「そうだ、奇形モララーさんに今日のことを教えておこう。きっと喜んでくれるだろうな」

白衣のポケットから束になった鍵を取り出して、シャーミンは手慣れたように廊下の扉を開けた。

虚ろな目をした男が、何をするでもなく廊下の真ん中に立ちすくんでいる。

,(・)(・), 「早く良くなってくれるといいんだけど」

しばらく廊下を歩いたシャーミンは、とある病室の前で足を止めた。

どこかから、絶叫が聞こえる。

しかしこれは日常茶飯事なので、特に気にも止めずにシャーミンは病室の扉を開けた。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:55:33.22 ID:tUfbd2IqO
,(・)(・), 「奇形モララーさん、喜んでくだ――――」

後ろ手に扉と鍵をしっかり閉め、シャーミンは笑顔で奇形モララーの収容されている檻に近付いた。

そして、見た。

( 。∀  ∀゜)

喉を掻ききって生き絶えている、奇形モララーの遺体を。

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50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:57:51.80 ID:tUfbd2IqO
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話はまた明日ということで、寮に戻ったブーンたち。

( ^ω^)「wwwwwギコは本当に馬鹿だおねwwww」

(,,゚Д゚)「うるせぇww」

彡 l v lミ「もしもその時にしぃがいたら、お前どうするつもりだったんだよwwww」

(,,゚Д゚)「そのときはそのときだ」

( ´_ゝ`)「ギコ、お前のバカさ加減には流石の俺もびっくりだ」

(´<_` )「基本的にバカなんだな、お前」

|  ^o^ |「ギコはバカですwwww」

| ^o^ | 「バカって なんですか?」

|  ^o^ |「ゆうたろう、きみのことですよ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:00:12.03 ID:tUfbd2IqO
| ^o^ | 「なんだ、ぼくのことだったんですか」

|  ^o^ |「wwwww」

| ^o^ |「wwwwww」

(´・ω・`)「バカだバカだとは思ってたけど、君がそこまでバカだとは思ってなかったよ」

(-@∀@)「君とワカッテマスの相性、最悪だねwww」

(,,゚Д゚)「う、うるせぇぞゴルァ…。あ、そういえばドクオはどこ行ったんだ?」

( ^ω^)「あれ、そういえばドクオがいないお」

(-@∀@)「ドクオのバイトって今日だっけ?」

( ´_ゝ`)「いや、確か違ったはずだ」

(´<_` )「トイレにでも行ってるんじゃないか?」

彡 l v lミ 「?随分遅いな」

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54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:03:10.39 ID:tUfbd2IqO
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話はまた明日ということで、寮に戻ったツンたち。

ξ ゚听)ξ「もう本当にバカよねwwwww」

(゚A゚* )「なwwwwwwんやwwwwwwwそwwwwwれwwwwwww」

(*゚∀゚)「テラワロスwwwwww」

从 ゚∀从「ギコwwwwwwww冗談はwwwwww顔だけにしろよwwwwwww」

ξ ゚听)ξ「wwwwwあ、そういえばクーはどこ行ったのかしら?」

(*゚∀゚)「トイレじゃね?」

从 ゚∀从「にしちゃ、随分遅いよな」

(゚A゚* )「どこ行ったんやろな?」

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55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:05:43.51 ID:tUfbd2IqO
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―――『もしもこの煩わしい症状が無くなって、ラウンジから退院できたら何がしたい?』

―――家族に会いたいな

―――皆と一緒にいたいけど、それと同じくらいに家族に会いたいな

―――たった一瞬でもいいからさ。

―――…地面があるとは言え、空にいるのは疲れた。

―――だっておかしいと思わないか?地面の上にいたときは、全くそんなこと思わなかったのに。

今は、360度どこを見渡しても空しかないんだ。

―――それがどんなに疲れることか、きっとVIPにいる人たちには分からない。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:07:41.20 ID:tUfbd2IqO
―――人間は、地面の上で過ごすべきなんだよ

―――太陽に近付きすぎた人間は、神様に墜とされるって聞いたことがある

―――『何だ?それ』

―――さぁ。昔むかしの、物語さ。


('A`)「あのさぁ、クー」

ここはラウンジ学校の前。

本来なら生徒はもう寮にいなければならない時間なのだが、今日に限っては話が別だった。

校舎の中からはまだ、かなりの人数の怒号が聞こえる。

教師の制止も、無駄に終わったようだ。

そんな騒がしい夜。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:10:09.12 ID:tUfbd2IqO
ドクオはクーの後ろで、歩みを止めた。

川 ゚ -゚)「何だ?」

('A`)「…………全部、全て、みんな終わったら……」

川 ゚ -゚)

('A`)「―――俺と、」




その日から、全てはバラバラに砕け散る。





第六話、終わり

 

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:14:23.23 ID:tUfbd2IqO
New!

,(・)(・),  シャーミン松中 56歳
ラウンジ役館で働く、科学者兼精神科医。奇形モララーの世話をしていた。
症状は『物体模写』で、発生条件は手。

从´ヮ`从ト 狸娘 31歳
症状、発生条件共に不明。

|::━◎┥ 歯車王 ?歳
ラウンジ学校の校長。
症状、発生条件共に不明。

(・∀ ・)  またんき 18歳
症状は『盗聴』で、発生条件は耳。

(  ゚¥゚) 偽モナー 39歳
症状、発生条件共に不明。

(=゚ω゚)ノ ぃょぅ 19歳
症状は『拡声』で、発生条件は声。

|(●),  、(●)、| ダディ 23歳
症状は『盗み』で、発生条件はなし。

⌒*リ´・-・リ リリ 5歳
症状、発生条件共に不明。

おまけ

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