37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 00:59:37.33 ID:xOP1Hqwx0
 そんなわけで模擬戦場でブーンとクーは対峙している。

( ^ω^)「いくお!」
川 ゚ -゚)「あぁ」

 二人とも札を前に突き出す。
 そして、ブーンの札から焔が舞い上がる。

川 ゚ -゚)「レッド・アイズ・・・、文献では見たことはあるが、やはり目の前にすると凄まじい威圧感だな・・・」

 まるで灼熱の鎧を纏っているかのような真っ赤な体。
 そして、まっすぐ敵を見据える赤眼、相手への威圧は十分にある。

( ^ω^)「ショボンさんから貰った符だお・・・、絶対に使いこなして見せるお」
川 ゚ -゚)「すまないな遅れてしまって、私の符はスロースターターなんだ」

 そして、クーの符から葉が舞い上がる。
 葉が舞い上がった後、そこに立っていたのはクーと同じぐらいの身長の女性。

川 ゚ -゚)「チャイレン、私のパートナーだ」

 チャイレン、仲間を守る時守るべき仲間が多ければ多いほど力を増すモンスター。
 このモンスターもあの受付においてある符には無かった、だとすれば。

川 ゚ -゚)「私も、自分自身のパートナーは決めていたんだ」

 やはりクーも自ら符を持ち込んでいたようだ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 01:07:08.80 ID:xOP1Hqwx0
 模擬戦が始まるとブーンは防戦一方だった。
 チャイレンの素早い動きにレッド・アイズはただ身を守るだけだった。
 ブーンも同じく、防御の為の符を使いレッド・アイズを守るしか出来なかった。

川 ゚ -゚)「どうした、それでは勝てないぞ!」
( ^ω^)「・・・」

 そんなことはブーンも重々承知している。
 だが、あの素早い動きに対応できる手段が考え付かないのだ。

ξ゚听)ξ「あのバカ、レッド・アイズに符を使うなんて」
('A`)「どういうこっちゃね」
ξ゚听)ξ「レッド・アイズは自らの力を高めることが出来るの、でも外的要素で力を上げるとそれもできなくなる」
('A`)「じゃあ、ブーンが符を使わなくなれば勝てるってことか?」
ξ゚听)ξ「勝てるかどうかは別にしろ、戦況は変わるでしょうね」

 だが、そんなことも露知らずブーンは符を使い続けていた。

( ^ω^)「レッド・アイズ、苦しそうだお・・・」

 全身を切り刻まれ、致命傷ではないにしろダメージは蓄積している。
 モンスター自体は死ぬことは無いが、大きな傷を負えば符の中で長い間治癒を待たねばならない。
 模擬戦場はその致命傷にならないようダメージが加減されるようになっているが・・・。

川 ゚ -゚)「どうやら、この様子だと私の勝ちのようだな、一気にいくぞ!」

 そう叫ぶと、クーは符を目の前に突き出した。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 01:17:08.34 ID:xOP1Hqwx0
 符から光が出ると、それがチャイレンを包む。
 クーが使用した符は【攻撃強化】。
 単純にモンスターの攻撃力を上げる符だがそれだけに汎用性が高い。

( ^ω^)「やばいお!」

 ブーンが防御符を変更しようとポケットをあさる。
 しかし、その隙をクーは逃さなかった。

川 ゚ -゚)「今だチャイレン!」

 クーの声に合わせチャイレンがレッド・アイズに迫る。

( ^ω^)「避けるお!」

 だが、レッド・アイズは動かなかった。
 むしろ、チャイレンの攻撃を受け止める姿勢をした。
 キィンと硬いものがぶつかり合う音がする。
 レッド・アイズが両手を前に組み、チャイレンの持つ剣を受け止めていた。
 そして、チャイレンに向けて炎を噴く。

川 ゚ -゚)「チャイレン!?」

 致命傷にはなってないにしろ、チャイレンは動ける状態じゃなかった。
 クーはチャイレンに近づき、チャイレンを符に戻した。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 01:22:58.32 ID:xOP1Hqwx0
( ^ω^)「レッド・アイズ、もしかして支援しないほうが良かったのかお?」

 レッド・アイズはブーンのほうを向くとゆっくりと頷いた。

( ^ω^)「分かったお、だけど指示はちゃんと従ってほしいお」

 その言葉に、レッド・アイズはちょっと困惑し、その後頷いた。
 そして、ブーンが符を前に突き出すと、レッド・アイズが焔になって符に戻っていった。

川 ゚ -゚)「まったく、君は予想外のことをしてくれるな」
( ^ω^)「ブーンも予想外だったお」
川 ゚ -゚)「まぁ、私の負けだ」

 ブーンとクーが握手をすると、ツンとドクオが近くに寄ってきた。

ξ゚听)ξ「まったく、もう少しモンスターのこと勉強しなさいよ」
( ^ω^)「ごめんだお・・・」
('A`)「あーあ、俺だけかよパートナーが学校指定の奴かよ・・・」
川 ゚ -゚)「君の家は召喚士の家庭ではなかったのか?」
('A`)「トーチャンもカーチャンもパン職人一筋さ、召喚士のしの字も無かったぜ」
川 ゚ -゚)「それなら、自分で見つけるしかないな」
('A`)「そう簡単に見つからないから困るんだよ・・・」

 そんな他愛も無い雑談をしながらホールへ戻った。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 01:34:07.37 ID:xOP1Hqwx0
 それから数日後、恒例とも言うべきか、試験後にはクラス対抗の模擬戦大会がある。
 中級召喚士に上がった者、初級で頑張る者、様々な人々が戦う。
 各学年ごとに優勝クラスを決め、そして優勝クラス同士で戦う学年対抗となる。
 学年対抗戦で勝ったクラスは模擬戦の単位が貰える為どのクラスも鬼気迫る空気になっている。
 尚、学校内に上級者は居ないので、試合は5対5の団体戦になる。
 先鋒、次鋒、中堅、副将、大将となっている。
 先鋒、次鋒、中堅には初級召喚士。
 そして、副将と大将は中級召喚士がやることになっている。
 3年生であるブーン達はクラスにいる中級召喚士が少ないため自動的にあたる確立が高くなる。
 1,2年は中級召喚士が極端に少ないため、最初から学年で団体を組んでいる。
 その為決まった団体がそのまま学年対抗に出ることになる。

( ^ω^)「で」
('A`)「俺たち」
川 ゚ -゚)「全員」
ξ゚听)ξ「大将って」

一同「「「「どういうことだー!」」」」

 ブーンとドクオはじゃんけんに負けて大将に。
 ツンとクーは実力から大将に選ばれた。

( ^ω^)「まさか身内で戦いあうことになるなんて・・・」
('A`)「阿部さんもびっくりだな」
ξ゚听)ξ「誰よ阿部さんって・・・」
川 ゚ -゚)「だが、やるからには本気だぞ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 01:50:33.75 ID:xOP1Hqwx0
 そして、大会当日。
 各学年ごと別々の模擬戦場で大会はあるので3年生は3年生の模擬戦場が割り当てられた。

( ^ω^)「無駄にでかい学校だから困るお・・・」

 模擬戦場には3年生以外の学年も集まっている。
 多いのは1,2年、年内の予選が無い為この間は暇なのだ。
 そして、レッド対ブルー、グリーン対イエローの戦いが始まった。

( ^ω^)「自分の前まで暇だお・・・」

 初級召喚士の戦いで使われるのは主に攻撃が強く素早いモンスター。
 代表的なのはケンタウロスヘルなど汎用性の高いモンスター。
 たまに、珍獣などを使う人も居るがごく一部である。
 先鋒次鋒とレッドが勝ち、中堅はブルーが勝つ。
 そして、中級召喚士が出る副将ともなると場内の興奮は高まる。

( ^ω^)「うちの副将は・・・モナーさんだお」

 モナー・アイゼン、22歳という年齢で中級召喚士になった古株の学生である。
 中級になるだけの実力はあったようだが、それまでの試験を受けなかった保守的な人である。

(  ´∀`) 「お手柔らかに」
(,,゚Д゚)「おう、行くぞゴルァ!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 02:00:51.55 ID:xOP1Hqwx0
(  ´∀`) 「グラディエーター召喚!」

 モナーが召喚したのは戦人族最強のグラディエーター。
 勝てば勝つほど強くなると言われるモンスターだ。
 周りの学生からも声が上がる。

「すげー、中級召喚士でも召喚が難しいって言われるグラディエーターだぜ!」
「かっこいいなー!」
(,,゚Д゚)「こっちを見ればもっと驚くぜ、イビルポセイドン召喚!」

 ギコ・ウェアが声高々に叫ぶ。
 大渦と共に現れたのはイビルポセイドン。
 こちらも中級召喚士が使うレベルの符では上位に位置する符だ。

「おい、マジかよ」
「あれって上級召喚士でも使役するのが難しいんじゃ」
「それだけギコさんのレベルが高いってことだろ」
(  ´∀`)「じゃ、いくよ」
(,,゚Д゚)「おうっ!」

 試合開始の合図が鳴り、グラディエーターが走っていく。

( ^ω^)「2人とも凄い符を使うお・・・」
('A`)「俺らが副将のほうが良かったんじゃないか・・・?」
( ^ω^)「同感だお・・・」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 02:11:10.97 ID:xOP1Hqwx0
 イビルポセイドンの腹部の口が開き大渦がグラディエーターを襲う。
 しかしグラディエーターは避けようともせず大渦に突っ込んでいく。

(,,゚Д゚)「血迷ったか!?」
(  ´∀`) 「その逆だよ」

 イビルポセイドンに近い渦からグラディエーターが飛び出してくる。
 そして、振りかぶった剣が赤く光る。

(,,゚Д゚)「なっ!?」
(  ´∀`) 「悪夢の戦い、攻撃を強化するよ」

 イビルポセイドンに剣が振り下ろされ、それを矛で受け止める。
 だが、イビルポセイドンの矛は容易に折られそのままイビルポセイドンの体を切りつける。

(  ´∀`) 「早めにギブアップしたほうが」
(,,゚Д゚)「なーんてな」
(  ´∀`) 「なに!?」
(,,゚Д゚)「進化の時、そっちの攻撃を耐え切ったから俺のイビルポセイドンはパワーアップする!」

 イビルポセイドンの傷が消えていき、そしてグラディエーターの体を掴む。

(,,゚Д゚)「終わりだ!」

 真正面からイビルポセイドンの大渦の直撃を食らうグラディエーター。
 そして、攻撃が終わったあと、そこにはぐったりと倒れこんだグラディエーターが居た。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/26(木) 02:20:33.06 ID:xOP1Hqwx0
(  ´∀`) 「グラディエーター大丈夫かい?」

 グラディエーターに近づくとグラディエーターはこくりと頷いた。
 そして、モナーが近づけた符にグラディエーターは戻っていった。

(,,゚Д゚)「よっしゃ、これでお前が勝てば決勝だゴルァ!」
('A`)「プレッシャーかけないでくださいよ、それにあっちは特別な符持ってるんですから・・・」
(,,゚Д゚)「バッキャロー! サーペントの汎用性を侮るな、使いこなせばイビルよりも強いんだぞ!」
('A`)「いや、無いでしょそれは・・・」

 ドクオがそんな弱気なことをいってる一方で。
 ブーンはモナーと話していた。

(  ´∀`) 「負けてしまったよ」
( ^ω^)「でも凄かったですお」
(  ´∀`) 「ありがとう、ブーン君も頑張ってね」

 そういうと、控え席に戻っていった。
 次はブーンとドクオの大将戦である。

( ^ω^)「ドクオ・・・負けないお」

 そしてまたドクオのほう。

('A`)「いやだー、勝てないー!」
(,,゚Д゚)「さっさと行けゴルァ!!」

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