1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:02:04.24 ID:+KaoDkIC0
 どこかの世界のどこかの国で。
 どこかの街にある魔法学校。
 学生たちは日々勉強し、修練し。
 己の力を高める為に学業に勤しんでいる。
 そして、彼もまたそんな学生の一人である。

( ^ω^)「ケンタウロスヘル召喚だお!」

 彼の掛け声に合わせ、手に持った符からモンスターが現れる。
 鎧の上半身に馬の下半身、手にはランスを持ったモンスター。
 召喚士として初期に使役するモンスターであるケンタウロスヘルだ。
 そして、退治するもう一人の学生がまた符を突き出し叫ぶ。

( ゚∀゚)「バルキリー召喚!」

 彼の持つ符から鎧を来た女性が現れる。
 乙女の騎士バルキリー、これもまた召喚士として初期に使役するモンスター。
 彼らの持つ符には様々なモンスターが封じられている。
 召喚士は己の力量に見合ったモンスターを使役し、己の身の安全を確保する。
 この世界には野良召喚士というものが存在する。
 何処からとも無く現れ、その姿は黒いローブを着込んだ青年男性ほどの大きさ。
 だが、意思を持たず、ただ闇雲に目の前に現れた人々に襲い掛かる。
 当然、符を使って。
 それらから人々を守る為に召喚士は存在する。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:09:44.61 ID:+KaoDkIC0
( ゚∀゚)「おつかれさん」
( ^ω^)「おつかれだお」

 対峙していた学生と挨拶をし別れる。
 学生同士でモンスターを使役し模擬戦をするのはこの学校では当たり前のこと。
 そうしなければ、いざ実際に野良召喚士と対峙したときに一方的にやられるだけである。
 実践訓練も兼ねて授業だけでなく、普段から模擬戦場は開放されている。

ξ゚听)ξ「おつかれ」
( ^ω^)「ツン、居たのかお?」
ξ゚听)ξ「アンタが相手にこっぴどくやられてるのを笑おうかと思って」

 ツンと呼ばれた少女はふんっと鼻を鳴らしブーンに背を向ける。
 彼、ブーン・アルイはこの学校に来て4年になる。
 そして、ツン・グレッドという少女は学校に来て3年、だが実力はブーンより上だ。
 召喚士としての腕前は召喚できるモンスターによって決まる。
 初期のカメポポンやケンタウロスヘル、ウォーリアなどが使えればようやく召喚士として道が開けた所だ。
 そして、中級者は暗黒魔王や時空の歩兵など、様々な能力を持ったモンスターを使役できる。
 その上には上級者などが居るが一部の人間のみで、その人たちは世界に1体しか居ないモンスターを使役する。
 それは、彼らにとってパートナとなり、死ぬまで一生の契約を果たすものである。
 だが、そんな人はまれであり、今この世界にそんな人間は2人しか居ない。

( ^ω^)「ブーンも早く中級者になりたいお」
ξ゚听)ξ「なら暗黒魔王ぐらい使役しなさいよ」
( ^ω^)「出来たら苦労しないお・・・」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:15:45.54 ID:+KaoDkIC0
( ^ω^)「ツンだってまだ中級者になったばかりだお」
ξ゚听)ξ「それでもアンタより上よ」
( ^ω^)「おっおっおっ」

 中庭を横断する廊下を歩きながら雑談する。
 そんなとき、背後から声をかけられる。

('A`)「うっす」
( ^ω^)「誰だお」
('A`)「酷くないそれ?」
( ^ω^)「嘘だお」

 彼はドクオ・リィーオ、特に説明しようが無い。
 ブーンの友人であり、初級の召喚士。

( ^ω^)「で、どうしたんだお?」
('A`)「そうだそうだ、明日昇級試験だってよ」
( ^ω^)「それ本当かお?」
('A`)「おう、明日の試験で指定された符を召喚出来れば昇級だってよ」

 年に数回ある昇級試験、認められれば一部の符の使用が許可される。
 そうでなくとも、使える人間であれば監督監修の下使用することが出来るのだが。
 これを認められれば、使用可能な符は自由に使うことが出来る。

('A`)「そういうわけで、俺は今日はもう帰って明日に備えるぜ」

 そういってドクオは元来た道を帰っていった。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:21:45.27 ID:+KaoDkIC0
ξ゚听)ξ「アンタはどうするのよ」
( ^ω^)「帰りがけにもう一度模擬戦していくお」
ξ゚听)ξ「頑張るわね、でももう4年も初級召喚士だからね・・・」
( ^ω^)「そうだお・・・」

 4年間、ブーンは初級召喚士としてこの学校に居る。
 だが、模擬戦の実力だけは中級召喚士以上である。
 つい先日、中級召喚士に模擬戦を挑まれたところ、ハコリスでスフィンクスを破ったのだ。
 その話が噂となり、学校内でも一目置かれる存在になったのだ。
 だが、本人は初級召喚士であることも仕方ないと思っている。
 過去受けた昇級試験では全て符に拒絶され落ちている。
 また今回も拒絶されるのではないかという恐怖もあるようだ。

( ^ω^)「とりあえず、ブーンは模擬戦場に行って来るお」
ξ゚听)ξ「はいはい、明日のために怪我しないようにね」
( ^ω^)「分かったお!」

 そういうとブーンは模擬戦場へと走っていった。
 ツンはその後姿を見送り、溜息をつく。

ξ゚听)ξ「私も、明日受かるかしら・・・」

 ツンは明日の試験に受かれば上級召喚士。
 彼女は父親が特級召喚士であった、それが重しになってか過剰に上に行くことを望んでいる。
 プレッシャーが彼女自身の重荷になっていることも気づかずに。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:26:08.28 ID:+KaoDkIC0
( ^ω^)「ふぁー、良く寝たお」

 学生服に着替え家を出る。

( ^ω^)「気分が良いお、何だか今日は受かりそうな気がするお!」

 意気揚々と学校への道を歩いていく。
 その道すがらツンに出会う。

( ^ω^)「おはようだお」
ξ゚听)ξ「おはよう、今日はえらく早起きね」
( ^ω^)「流石に試験の日まで寝坊はしないお」
ξ゚听)ξ「そう、それじゃ早く行きましょ、試験の日は人が並ぶから」

 とは言いつつものんびりと歩いていく。
 その結果が、目の前を並ぶ学生の列。

(゚Д゚)「はーい、まだ受付してない学生さんはこっちねー」

 試験を受ける学生のチェックをしている係員のところへいく。

(゚Д゚)「はいはい、クラスと名前教えてね」
ξ゚听)ξ「イエロー組のツンです」
( ^ω^)「レッド組のブーンだお」
(゚Д゚)「ツンさんとブーン君ね、はい、受付完了したからあの最後尾並んでね」

 そういわれ、長蛇の列の最後尾に並んだ二人だった。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:33:17.82 ID:+KaoDkIC0
 並び始めてから3時間ほど、まだ一向に試験会場が見えない。

( ^ω^)「長いお・・・」
ξ゚听)ξ「まさかこんなに長いとはね・・・」

 と、試験を終えた学生が道を戻りながら悔しがっていた。

( ´_ゝ`)「くそっ、あのショボンさんが居る前で試験に落ちるとは!」
(´<_` )「仕方ないさ兄者、また次の機会に頑張ろう」
( ´_ゝ`)「だが、ショボンさんがまた次も来るとは思えんが・・・」
(´<_` )「それは運次第だ」

 そういいながらぶつくさ歩いていった。

ξ゚听)ξ「なるほど、あの特級召喚士のショボンさんが居るからこれなのね」
( ^ω^)「ショボンさんって、あの龍を使役するっていう」
ξ゚听)ξ「龍じゃなくて恐竜、ディナセーバーって言う固有符よ」

 ディナセーバー、凄まじい増殖能力を持ち、増殖する度に能力が上がるモンスター。
 固有符であり、世界に一枚しかなく、それを使役するのがショボン・ルーガー。
 国に認められた召喚士であり、誰もがあこがれる召喚士。
 それがこの学校に来ているというのだ、この長蛇の列の意味も分かる。

ξ゚听)ξ「これで認められれば、特級への道も開けるかも・・・」
( ^ω^)「そう簡単にいくとは思わないお・・・」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:39:29.73 ID:+KaoDkIC0
 そして、さらに2時間後、ようやくツンの順番が来た。

ξ゚听)ξ「先に行くわね」
( ^ω^)「分かったお」

 ブーンの後ろに人はほとんど居ない。
 どうやら、ブーン達が早く来たと思ってもそれ以上に皆が早く来たようだ。
 後ろを見るとどうやらドクオも遅く来たようだ。

( ^ω^)「ドクオ最後尾だお・・・」

 足がガクガクになって倒れそうなドクオが最後尾に居る。
 どうやら、ずっと立ちっぱなしで居たようだ。
 ブーンは目の前の大きな扉を見る。
 目の前の場所は大図書館、昇級試験のときは毎回ここで試験が行われる。
 理由は、この場所に魔力が集まっている為。
 召喚をするのに最も適しており、尚且つ失敗したときも被害を最小限に抑えられる。
 それだけの魔力が集中しているのがこの大図書館なのだ。

( ^ω^)「ツン、長いお・・・」

 中級から上級に上がるというのはそんなにも難しいことなのだろうか。
 中級者にあがるとき、学生は1人に1つパートナーとなるモンスターが与えられる。
 中級者の間はそのパートナーとなるモンスターがその召喚士にとって最も力となる。
 ツンの場合はバルキリー雀、上手くいけば上位種にも進化するモンスター。
 だが、固体の能力はそう高くなかったはずである。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:46:20.71 ID:+KaoDkIC0
 と、ドアが開きようやくツンが現れた。

( ^ω^)「どうだったお?」
ξ゚听)ξ「ダメだったわ、でも素質はあるって」
( ^ω^)「そうかお」
ξ゚听)ξ「ほら、次はアンタの番よ、頑張ってらっしゃい!」

 ツンに尻を思いっきり引っ叩かれ痛みをこらえながら大図書館に入る。
 中は薄暗く、図書館の開けたところに魔方陣が描かれている。

/ ,' 3「レッド組のブーン君か、君は確かこの昇級試験を受けるのは・・・」
( ^ω^)「14回目ですお」
/ ,' 3「そうか、君は模擬戦の実力はあるがどうやら符に恵まれないらしいな」
( ^ω^)「すいませんだお」
/ ,' 3「いやいや、別に責めてるわけではないよ、さぁ、これが今回の符だ」

 そういわれ符を渡される。
 符に書かれている名前は【ライフルーツ】。
 生命の樹といわれ、使役するものは自由に空間を移動できると言う。

/ ,' 3「さぁ、自分のタイミングではじめなさい」
(´・ω・`)「・・・」

 教師の横に、白い服を着た青年が見える。
 ショボン・ショルト、世界に2人居る特級召喚士の1人だ。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:51:34.77 ID:+KaoDkIC0
 息を整える。
 これで失敗すればまた次の機会まで初級召喚士のままだ。
 心拍数が上がっていき、整えようとする呼吸も荒くなる。

( ^ω^)(落ち着くんだお、落ち着いて・・・)

 そして、符に魔力を流し込んでいく。
 しかし、符を持つ手がじわじわと熱を帯びていく。

( ^ω^)(だ・・・、ダメだお、また失敗・・・)

 そう思ったときに符が光を話燃え尽きてしまった。

( ^ω^)「あ・・・」
/ ,' 3「・・・残念だが、失格だ」
( ^ω^)「ありがとうございましたお・・・」

 ブーンは落ち込みながら大図書館を出て行く。

/ ,' 3「それにしても、符が燃え尽きるとは予想外でしたな」
(´・ω・`)「アラマキ殿」
/ ,' 3「どうされましたかなショボン殿」
(´・ω・`)「彼、ブーン・アルイをあとでもう一度試験させてもらえませんか」
/ ,' 3「・・・彼をですか?」
(´・ω・`)「えぇ」
/ ,' 3「分かりました、伝言しておきましょう」

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