420 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:09:50 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
 
 
 
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    イツワリ警部の事件簿
    File.3
 
           (´・ω・`)は偽りの絆をつなぐようです
 
 
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              第九幕 「 偽りをつなぐ 」
 
 
 
 
 
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421 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:10:23 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
 
(゚A゚*;)「…………な、……なんやて……?」
 
 
 ショボーンが言い放つと、のーは、あきらかに狼狽した顔になった。
 せっかく化粧でごまかした顔にも、しわが目立ってくる。
 
 このときばかりは、左腕に当てた右手の力は抜けていたようだ。
 押さえられていたのであろう血液が、一筋の血となって左の手先に向かい流れた。
 
 
 
(゚A゚*;)「じょ……ジョーダンも、たいがいにしーや! なんかショーコでもあんのか!」
 
(´・ω・`)「あなたは……目撃されていたのですよ、『殺人現場』を」
 
(゚A゚*;)「……ハァ?」
 
 
 のーは、犯人だと言われたわりには、どこか落ち着いていた。
 ショボーンの言葉が非現実的すぎて、あまり実感がわかなかったのだろうか。
 
 しかし、そうだとしても、暴れられるよりはこちらのほうがショボーンにとっては好都合だった。
 今のうちに、と、ショボーンは饒舌になった。
 
 
.

422 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:10:53 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「あなたが犯人なのだから、当然知ってるでしょ。
.      扉を開くと、モナーさんの腹部に突き立てられたナイフが抜ける、というからくりのことを」
 
(゚A゚*;)「あんな、ウチ、これでも誘導尋問とかひっかからんで」
 
(´・ω・`)「なら説明しよう。モナーさんは何者かに刺されて、そこのカウンター席に安置された。
.      そして、『そのナイフの柄と扉とを、あるものでつないだ』んだ」
 
(´・ω・`)「それが……そこにある、『紐』だ」
 
 
 指をさされた先には、その紐があった。
 依然ナイフがくくりつけられており、そのもう片方も依然ドアの取っ手に結びつけられている。
 のーもそれに一瞥を与えた。
 
 
(´・ω・`)「このからくりを用意する以上、犯人は当然、
.      最初からこの『紐』を用意していなければならなかった」
 
(゚A゚*;)「ちょい待てや! ウチが、んなチンケな紐、ずっと持ち歩いてた、っちゅーんか!」
 
 
 ショボーンがこの犯行の『計画性』に触れたとき、のーはその点を真っ先に衝いた。
 最初にその弱点を見抜くことができたという以上、のーはショボーンの思っている以上に賢い。
 賢いからこそ、そこを突っ込んだ。
 
 そして、そこに突っ込んだせいで、結果的に、ショボーンの攻撃の手をはやめることになってしまった。
 
 
.

423 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:11:24 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「それが、ずっと謎だったんですよ。本件が『計画的な犯行』だとすると、
.      どうしてもひとつ、釈然としないものがあったのですから」
 
(゚A゚*;)「……なん、なん」
 
(´・ω・`)「とある人の……あの格闘ゲーマーの、目撃証言ですよ」
 
(゚A゚*;)「あんデブ……?」
 
(´・ω・`)「ここ、バーでの犯行の直前に、なぜか、
.      犯人とモナーさんは二人そろって3Fのゲームコーナーにいた」
 
(´・ω・`)「『計画的な犯行』だったのなら、どうしてそんな
.      誰に見られるかわからない場所を、モナーさんと一緒に訪れたんだ。
.      このもやもやが、頭から取り払われなかったんです……つい、さっきまでは」
 
(゚A゚*;)「……?」
 
 
 のーが、首を傾げる。
 いまいち、ショボーンの言いたいことの本命が、見えてこなかったのだ。
 
 だが、のーがそう思った直後に、ショボーンはそれを言いはじめた。
 
 
.

424 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:12:01 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「しかし、これは、『そもそも計画的な犯行ではなかった』」
 
(´・ω・`)「犯人は、ナイフはどうであれ、『紐』は持ってなかったんですよ」
 
(゚A゚*;)「! じゃ、じゃあその『紐』はどないしたっちゅーんや!」
 
 
 
 のーが、わめきたてる。
 すると、ショボーンは、このモナーの事件の根底に眠る《偽り》を、言った。
 
 
(´・ω・`)「簡単ですよ」
 
 
 
(´・ω・`)「『紐』を持っていたのは、モナーさんだった」
 
 
 
(゚A゚* )「ッ!!」
 
 
 
 ショボーンは目をほそめ、腕を思いっきり前に突き出し、人差し指をのーに突きつけた。
 
 
 
 
 
.

425 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:12:34 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
   (∴)◎∀◎∴)『モナー氏の後ろ姿と……黒髪の女性が、見えたんだヲタ』
 
   (;´・ω・`)『………一応聞きますと、その二人は、いったい……?』
 
   (∴)*◎∀◎∴)『せッ………、……』
 
   (´・ω・`)『……せ?』
 
   (∴)*◎∀◎∴)『セップンを……交わしてたヲタ!!』
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「ヲタさんが見た、ゲームコーナーでの、この光景こそが!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「ほんとうの 『殺人』 現場だったんだ!!」
 
 
 
BGM推奨
http://www.youtube.com/watch?v=MDyUvZkJiSc
 
 
 
 
 
 
.

426 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:13:21 ID:LPOyqarA0
 
 
 
( A゚*;)「――――ッ!!」
 
(゚A゚*;)「どーゆー意味や! 現場は、どー見てもここやろ!
.     バーでしか、血ィは流れてへんはずや!!」
 
(´・ω・`)「そう」
 
(゚A゚* )「!」
 
 
(´・ω・`)「この、ヲタさんの見た、光景。これの問題は、『はたしてほんとうはなにをしていたのか』だ」
 
(´・ω・`)「当然、こんなところで、キスなどするはずがない。まして、する相手がいない」
 
(´・ω・`)「すると、この『セップン』というのは、事実ではなく――
.      ヲタさんの知りうる限り、もっとも近い言葉で表現した結果。
.      それが『セップン』だった……ということなんだ」
 
 
.

427 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:14:14 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「じゃ、じゃあ……なんやった、ゆーねん!」
 
(゚A゚*;)「あのデブが見た、『セップンしているように見えた光景』の、そのホンマの姿は!」
 
(´・ω・`)「そもそも、だ。どうして、ヲタさん、彼はこの光景をキスと見間違えたんだろう」
 
(゚A゚*;)「し、知るかいな…。」
 
(´・ω・`)「考えてみてほしい。キスとは、互いが顔を近づけてはじめてできる行為だ」
 
(゚A゚*;)「そ、そら……」
 
(´・ω・`)「つまり、二人の顔の位置は、それをキスと見間違えるほど、近づいていたということ」
 
(´・ω・`)「言い換えれば、二人の『身長』が同じくらいにまで迫っていた、ということだ」
 
(゚A゚* )「………」
 
 
(゚A゚*;)「あ……あああああッ…!!」
 
(´・ω・`)「ここまで来れば、わかったかな?」
 
 
 
.

428 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:14:47 ID:LPOyqarA0
 
 
 
   (∴)◎∀◎∴)『えっと……モナー氏が小生に背を向けてて、その向こうに、おお、おにゃのこが……』
 
   (´・ω・`)『モナーさんはどんな体勢でしたか?』
 
   (∴)◎∀◎∴)『そうヲタね……。相手の頭を両手で押さえて……みたいな感じだったような』
 
   (´・ω・`)『…!』
 
   (∴)◎∀◎∴)『おにゃのこのほうも首から上が見えていたヲタけど……
              位置的に、どーもセップンをしているようにしか見えなかったヲタねぇ』
 
 
 
 
(´・ω・`)「そもそも、『相手が女性だ』とわかること自体が、おかしいんだ」
 
(´・ω・`)「ヲタさんがその光景を見たのは、あくまでクレーンゲームのガラスケース越し。
.      つまり、足元は見えないだろう。それに、彼はそっちには言及していなかった」
 
(´・ω・`)「彼がモナーさんと一緒にいたのが女性だとわかった理由は、『首から上が見えていた』から」
 
 
(´・ω・`)「でも、モナーさんがこちらに背を向けていて女性がその向こうにいるのに」
 
(´・ω・`)「そして、二人の間には明らかな身長差があるのに、どうして、ヲタさんはその女性の『首から上』が見えたんだろう」
 
(゚A゚*;)「…ッ! ……ッ!!」
 
(´・ω・`)「答えは簡単だ」
 
 
 
 
(´・ω・`)「モナーさんが、相手の女性の首を、持ち上げていたんだ」
 
 
 
.

429 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:15:20 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「ど、どーゆーこっちゃねん……」
 
(´・ω・`)「ふつう、身長差のある二人がキスをするなら、背の低い女性が男性にあわせるんじゃなくて、
.      背の高い男性が女性にあわせて、かがんだりするよね。
.      なのに、今回は違う。モナーさんがかがんでいたなら、彼はそう言っていただろうからね」
 
(゚A゚*;)「い、言い忘れてただけとちゃうん? ホンマは、ホンマに、二人は口付けしとったんや!」
 
(´・ω・`)「それはありえない。彼が見たのは『背中』だ。
.      もし、背中に『かがんでいた』などの特徴があれば、それも一緒に見ることになる。
.      当時のモナーさんの様子を語るさいに最初に触れたのが『背中』である以上、
.      もしその背中に特徴があれば、一緒に言うことになるからね」
 
(゚A゚*;)「で……でもな、やったらなんで『実は首を持ち上げてた』っつー結論になんねん!」
 
(´・ω・`)「ヲタさんの証言によれば、モナーさんはその両手を相手の女性の頭部に近づけていた」
 
(゚A゚*;)「口付けンとき、相手の顔を押さえてただけやろ!」
 
(´・ω・`)「この事実が『キスをしていたわけではない』『身長が低いはずの女性の、首元までが視認できた』
.      という二つの条件にあわされば、この証言は、まったく別の意味を持つことになるのです」
 
(゚A゚*;)「なッ……」
 
 
 
.

430 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:15:58 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
(´-ω-`)「『紐』を持っていたのは、モナーさん」
 
 
(´-ω-`)「彼は、ゲームコーナーで、あなたの首を絞めようとしたんだ」
 
 
(´・ω・`)「……そう、『紐』はナイフのからくりをつくるためのものではない」
 
 
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「 『もうひとつの凶器』 だったのだよ!!」
 
 
 
 
 
 
.

431 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:16:30 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「………?」
 
(゚A゚* )「……! なんや、それ。笑えるなァ!」
 
(´・ω・`)「なにがおかしい」
 
 
 ショボーンが一連の謎に説明を加えていくと、のーは笑った。
 
 
 
(゚A゚* )「なんや、もしそーやとしたら、犯人はウチやない!」
 
(゚A゚* )「ウチはむしろ、被害者――」
 
(゚A゚* )「被害者と加害者の立場が、逆転するやんか!!」
 
 
 
 
 ――しかし、それ以上の笑みを、ショボーンは浮かべた。
 
 
 
(´・ω・`)「そう、それだ」
 
(゚A゚* )「…?」
 
(´・ω・`)「それこそが、『事件の計画性』と『事件の突発性』の両方を示すんだ!」
 
(゚A゚* )「突発……?」
 
 
(´・ω・`)「あなたは、はじめから、モナーさんを殺そうとしていた」
 
(´・ω・`)「しかしその一方で、『モナーさんも』、あなたを殺そうとしていたんだよ!」
 
 
.

432 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:17:03 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「………」
 
(゚A゚*;)「――――ッ!!!」
 
 
 
(´・ω・`)「なにをしていたかはわからないが、モナーさんとあなたは、ゲームコーナーにいた」
 
(´・ω・`)「そこで、あなたが何かをし、それがモナーさんに殺人のキッカケを与えた」
 
(´・ω・`)「そして、隠し持っていた凶器の『紐』で、あなたを――絞めた」
 
 
(゚A゚*;)「さっきからペラペラと憶測ぬかしよって……」
 
(´・ω・`)「ロジックと偽りが導き出す、当然の推理だ」
 
(゚A゚*;)「そないやったら、出せや証拠ォ!!」
 
(´・ω・`)「証拠?」
 
(゚A゚*;)「『口付けしとったんやなくて、実はウチを絞殺しようとした』っつーのを立証するショーコや!」
 
 
(´・ω・`)「……ヲタさんは」
 
(゚A゚* )「…?」
 
(´・ω・`)「あの人は、なにも偶然、あなたとモナーさんの『セップン』の様子を目撃したわけじゃない」
 
(´・ω・`)「彼は、然るべき動機をもって、その光景を見たんだ」
 
(´・ω・`)「それは―――」
 
 
 
.

433 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:17:42 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
   (∴)◎∀◎∴)『すると気のせいか、物音が聞こえたんだヲタ』
 
   (´・ω・`)『どんな音でした? また、それはどこから?』
 
   (∴)◎∀◎∴)『クレーンゲームが並んでるところだヲタ。音は……』
 
   (∴)*◎∀◎∴)『お……おにゃのこの……喘ぎ声みたいな、声だったヲタ』
 
 
 
 
(゚A゚*;)「――――?!!」
 
(´・ω・`)「あなたは、首を絞められたとたん、咄嗟に苦痛をかみ殺したような声を発した」
 
(´・ω・`)「それを、あろうことかヲタさんに聞きとられてしまったんだ!」
 
(゚A゚*;)「そ、それがただしいっちゅーショーコは……」
 
(´・ω・`)「証拠がどうこうじゃない。こう考えないと、現状に辻褄があわなくなるんだ」
 
 
(´・ω・`)「まず、頭を押さえていたように見えた、という両手。
.      これは、あなたの首を、『紐』で絞めていたため」
 
(´・ω・`)「女性側の頭部が見えた理由。
.      それは、首を『紐』で絞めたあと、より確実に絞殺するために、それを持ち上げたからだ」
 
(´・ω・`)「そして、女性の苦痛に喘ぐ声。首を絞められたとたんの悲鳴、と考えると、話が通る」
 
 
.

434 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:18:17 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「んな……ぜ、ゼンブ状況証拠やないか! どれも直接的なモンやない!」
 
(´・ω・`)「それなんですけどねえ。ヲタさんは、その相手の女性が誰かと訊かれたとき、
.      誰かわからず、あいまいとしていたのにも関わらず、ひとつだけ断言したことがあったんですよ」
 
 
 
 
 
   (∴)◎∀◎∴)『ヲタも、そのおにゃのこが誰か、を考えてたんだヲタけど……』
 
   (∴)◎∀◎∴)『のー氏だけは、違う。……そう思っていたヲタよ』
 
 
 
 
 
(゚A゚*;)「な、なにを言うか思えば……」
 
(゚A゚*;)「なんや、ウチがシロやって証明したいんか?」
 
(´・ω・`)「違う。『逆』なんだ」
 
(゚A゚*;)「逆……?」
 
 
(´・ω・`)「誰も気づけなかった、あなたに存在する『違和感』」
 
(´・ω・`)「それを、ヲタさんだけが、見抜いた」
 
(´・ω・`)「ほかの誰よりも、頭部――『首』に注目していたヲタさんだからこそ、気づけたんだ!」
 
 
 
.

435 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:18:48 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「あなたの首の、その『チョーカー』に!!」
 
 
(゚A゚* )「…………な」
 
 
 
 
 
(゚A゚*;)「なんやてええええええええええええ!?」
 
 
 
 事件前は、年齢を雄弁に物語っていた、首の小じわ。
 それが、事件後は、その小じわを見ることができなくなっていた。
 
 
 いつの間にかはめられていた水色のチョーカー≠フせいで。
 
 
 
.

436 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:19:25 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「そう! ヲタさんが『少なくとも、キスをしていた相手はのーではない』と言えた理由!」
 
(´・ω・`)「それは、『その光景で見えていた首と事件後の のー の首とが、違っていた』からだ!」
 
(゚A゚*;)「……ぐッ………!」
 
 
(´・ω・`)「首を強く絞められたら、赤い『痕』が残る」
 
 
 
 
   ( <●><●>)『首元に、赤い痕が見られました。おそらく、犯人は当初、絞殺を試みたようです』
 
   (´・ω・`)『首……』
 
 
 
 
(´・ω・`)「あなたはなんとしても、その首の赤い痕を隠さなければならなかった」
 
(´・ω・`)「だから、チョーカーをつけたんだ! 自然に、その痕を隠すために!」
 
 
.

437 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:19:56 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「ち、違………」
 
(´・ω・`)「じゃあ、とってくださいよ」
 
(゚A゚*;)「…ッ!」
 
 
 ショボーンが、一歩前に出た。
 
 
(´・ω・`)「もしあなたが潔白なら、そのチョーカーをとって、首を見せてくれればその証明できる」
 
(゚A゚*;)「あ、アカン!」
 
(´・ω・`)「どうして?」
 
(゚A゚*;)「な…なんでもや! とにかく、アカンもんはあかん!」
 
(´・ω・`)「……」
 
 
.

438 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:20:37 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「それに、や」
 
(゚A゚*;)「あんた、この事件が突発的なもんやったら、コッチはどう説明すんねん!」
 
(´・ω・`)「コッチ、とは」
 
(゚A゚* )「ナイフや、ナイフ!!
     バーん中に、ナイフなんかなかったんやろ! じゃあ、ウチはどないしてモナーさん刺せば――」
 
(´・ω・`)「そんなの、答えるまでもない。
.      あなたは、紐こそ用意してなかったが『最初からナイフだけは用意していた』んだ!」
 
(゚A゚* )「な――」
 
 
(´・ω・`)「モナーさんが最初からあなたを殺すつもりで『紐』を持っていたのと、まったく一緒だ」
 
(´・ω・`)「あなたもあなたで、『モナーさんを最初から殺すつもり』だったんだ!」
 
(゚A゚*;)「なんでそないなこと言い切れんねん!」
 
 
 のーが、強く前に出る。
 が、ショボーンもひるむわけにはいかなかった。
 
 
.
440 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:21:10 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「それに、や」
 
(゚A゚*;)「あんた、この事件が突発的なもんやったら、コッチはどう説明すんねん!」
 
(´・ω・`)「コッチ、とは」
 
(゚A゚* )「ナイフや、ナイフ!!
     バーん中に、ナイフなんかなかったんやろ! じゃあ、ウチはどないしてモナーさん刺せば――」
 
(´・ω・`)「そんなの、答えるまでもない。
.      あなたは、紐こそ用意してなかったが『最初からナイフだけは用意していた』んだ!」
 
(゚A゚* )「な――」
 
 
(´・ω・`)「モナーさんが最初からあなたを殺すつもりで『紐』を持っていたのと、まったく一緒だ」
 
(´・ω・`)「あなたもあなたで、『モナーさんを最初から殺すつもり』だったんだ!」
 
(゚A゚*;)「なんでそないなこと言い切れんねん!」
 
 
 のーが、強く前に出る。
 が、ショボーンもひるむわけにはいかなかった。
 
 
.

441 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:22:26 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「あなたには悪いですがねぇ、僕は知ってるんですよ?
.      あなたと、WKTKホテルとの間にある関係を」
 
(゚A゚*;)「………ただ、店とか置いたっただけ――」
 
(´・ω・`)「違う。あなたは、このWKTKホテルを、のっとろうとしていた」
 
(´・ω・`)「それも、『あなたのトコからスパイとして派遣された』プギャーさんと一緒にね!」
 
(゚A゚*;)「―――ッ!!」
 
 
 
(´・ω・`)「(そうだとすれば、あの発言にも、納得がいくんだ)」
 
(´-ω-`)「(……すみませんが、あの約束……いま、破らせていただきます)」
 
 
 
.

442 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:22:59 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「……『真実』を求めるとある人が、聞いたんだ。あんたらの関係を」
 
(゚A゚*;)「ッ!」
 
 
 
 
 
   (-@∀@)『プギャー副支配人は、アンモラルグループになにか手をまわされたのではないか、と』
 
 
   (-@∀@)『WKTKホテルとアンモラルグループ間で、裏取引があったのではないか――』
 
 
   (-@∀@)『「俺は、副支配人だ。支配人がいないときは、俺が全権を握るんだからな」……そう言ったんです』
 
 
 
 
(´・ω・`)「プギャーさんとあなたとは、いわば同盟関係にあった」
 
(´・ω・`)「アンモラルグループの遣いの者であるプギャーさんがこのホテルの支配人になることで、
.      このWKTKホテルをアンモラルグループの傘下に置く、そんな目的のもとで――ね」
 
(´・ω・`)「……そうなれば、あの疑問にも答えが出るんだ」
 
 
 
.

443 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:23:36 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
   ( ^Д^)『警察は……ここまでこれる、んでしょうか』
 
   (´・ω・`)『というと』
 
   ( ^Д^)『俺、これでもこのホテルをもつことになって、数ヶ月間キタコレに住んでるんですが
         それについて言えば、ここまでひどい雪、見たことないですから』
 
 
 
   ( ^Д^)『あちこちの電車は止められるだろうし、道路もきっとスリップが原因で事故が多発するだろうし。
         ……ひょっとすると、パトカーもおんなじ目に遭ってる気がしたんですよ』
 
   (´・ω・`)『その予感は、当たってますね』
 
   ( ^Д^)『……やっぱり?』
 
   (´・ω・`)『パトカーも、救急車も、アウトです』
 
 
 
 
.

444 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:24:08 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「あのとき、まだモナーさんは生きてたのに、プギャーさんは『警察はこれるのか』としか聞かなかった」
 
(´・ω・`)「あの人は……最初から、救急車なんか呼ぶつもりはなかったのです」
 
(´・ω・`)「もしここで生き返られてしまうと、自分がこのホテルの支配人になることが叶わなくなりますからね」
 
(゚A゚*;)「よ、様態はひどかった。やから、死んだって思い込んでもおかしないんとちゃうん?」
 
(´・ω・`)「確かに、プギャーさん以外にも『モナーさんは死んだ』と思いこんでいた人はいた」
 
(´・ω・`)「しかし、だ。彼はほかにも、妙なことを言ったんだ」
 
 
 
   ( ^Д^)『ご存じでしたか。ほら、オープン一週間前でしょ?
         どの美術品を譲っていただけるかで、宣伝記事にも影響がでてくる。
         だから、せめてパーティが始まる前に、話をつけておきたかったんですよ』
 
   (´・ω・`)『一応聞くと、それでどうなりました』
 
   ( ^Д^)『もう、譲ってもらえると思います』
 
   (´・ω・`)『…? そうですか』
 
 
 
.

445 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:24:43 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「………『もう』……?」
 
(´・ω・`)「そうだ。プギャーさんは、つい口を滑らせてしまってたんですよ」
 
 
(´・ω・`)「この言い方だと『さっきまではだめだったけど、モナーさんの刺された今なら、大丈夫になったんだ』……
.      そう捉えることができる」
 
(゚A゚*;)「『最初は断られとったけど、説得しおえた今なら大丈夫』っちゅー捉え方もできんで!」
 
(´・ω・`)「確かにそうです。でも、まだあるんですよ。
.      『プギャーさんが、ホテルの支配権を狙っていた』という根拠が」
 
(゚A゚*;)「なんやて…?」
 
 
 のーの顔に、だんだんと脂汗がにじんでくる。
 ショボーンは、傍らのモナーに指をさした。
 腹には、包帯を雑に巻かれている。
 
 
(´・ω・`)「気になったのは、応急処置をするさいの、彼の言葉だ」
 
 
 
 
   (´・ω・`)『とにかく、早く応急処置をしましょう』
 
   ( ^Д^)『はい。あ、自分に任せてください。多少の心得はあります』
 
 
 
.

446 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:25:21 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「……しかし、その結果が、これだ。
.      これなら、小学生のほうが上手にできるよ」
 
(´・ω・`)「それに、僕はあくまで刑事だ。ふつうの人よりも、手当てには慣れている」
 
(´・ω・`)「でも、それを知っていてどうして、自分がしゃしゃりでてまで、しかもこんな雑な手当てをしたのか?
.      言うまでもなく、答えは明白だ」
 
 
 
(´・ω・`)「あえてへたに処置することで、モナーさんが死ぬ確率を少しでもあげようとしたんだ」
 
 
 
(゚A゚*;)「………ッ」
 
(´・ω・`)「ここまで話が通ると、もはや、言い逃れはできまい。
.      プギャーさんとのーさん、あなたは、協力関係にあった!」
 
(゚A゚*;)「あ、あんのドアホ……!」
 
(´・ω・`)「……いまのは自白、ということでいいんですね?」
 
 
 それを気づかされて、のーは慌てて口を閉じた。
 だが、もう遅い。
 遅い上に、たとえ失言しなくても、どのみち変わりはないだろう。
 
 のーは開き直った。
 
 
.

447 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:25:56 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「確かに、プギャーはウチんとこのモンや。でも、それと事件とはカンケーない!」
 
(´・ω・`)「そうかな?」
 
(゚A゚*;)「なにィ?」
 
(´・ω・`)「プギャーさんがスパイだった事実から、わかることがあるんだ」
 
 
 
(´・ω・`)「アンモラルグループがWKTKホテルを狙っていたのが『真実』である、ということさ」
 
 
 
(゚A゚*;)「そ、それが事件となんの――」
 
(´・ω・`)「つまり、モナーさんがあなたを、あなたがモナーさんを……
.      そう、『互いに』 殺す動機が生まれる」
 
(゚A゚*;)「……あっ!!」
 
 
 のーはそこで、いっそう動揺を強めた。
 顔はゆがみ、喜怒哀楽のどれにも属さない表情が浮かべられている。
 
 
 
.

448 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:26:26 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「まず、モナーさんとあなたが、ゲームコーナーの例の場所で、揉める。
.      そしてカッとしたモナーさんはつい、持っていた紐であなたの首を絞めた」
 
(´・ω・`)「殺してしまったと勘違いしたモナーさんは、急いでここ、バーにまで避難してきた。
.      ここを選んだ理由は、自分が鍵を持ってて、加えて誰もこないであろう場所だったからだ。
.      もともと、モナーさんはここであなたを殺すつもりだったんだろう」
 
(´・ω・`)「だが、幸か不幸か、あなたは生きていた」
 
(´・ω・`)「バーに避難してのーさんをどこかに寝かせた。
.      そしてどうしようか、とモナーさんが悩んでいたとき、だ」
 
(´・ω・`)「あなたは目を覚まし、咄嗟に、隠し持っていたナイフをモナーさんに突き立てた」
 
(´・ω・`)「しかし、そのまま引き抜くわけにもいかないし、なにより、その場には自分を絞めた紐が転がっていた。
.      不自然に紐が転がっていれば、そのうち、自分のチョーカーに白羽の矢がたつかもしれない。
.      だから、あなたは現場を工作したんだ」
 
(´・ω・`)「『ナイフを引き抜かず』『紐が絞殺用でなかったと思わせる』……
.      この両方の条件を満たすトリックが……あの、からくりだったんだ」
 
(゚A゚*;)「……っ」
 
 
.

449 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:26:58 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「そして、あなたはスタジオの扉から脱出した。
.      あとは何食わぬ顔で10Fのメインホールに戻ればいいんだけど……」
 
.(´・ω・`)「ここで一つ、問題が起こった」
 
 
 
(´・ω・`)「エレベーターは、使うわけにはいかなかったんだ」
 
 
 
 
   ( <●><●>)『なぜなら、ここはホテル。フロアを上り下りするには、階段かエレベーターが必要。
            また一方で、当時は17時半以降。10Fのホールに、着々と人が集いだす時間だ』
 
 
 
 
(゚A゚* )「……!」
 
(´・ω・`)「だから『階段』を使ったんだが……そう考えると、あの人のあの証言とも辻褄が合う」
 
 
 
.

450 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:27:48 ID:LPOyqarA0
 
 
 
   (´・ω・`)『のーさんから、ホールに着いたときにあなたと出くわしたとおうかがいしましたが』
 
   ( ´W`)『ああ。50分過ぎにエレベーターに乗ったんですが、降りて少し歩いたら、
.         階段のほうからやってくる彼女を見かけましたね、そういえば』
 
   (´・ω・`)『階段……』
 
 
 
 
(゚A゚*;)「………ああああああッ!」
 
(´・ω・`)「僕は、この証言にすっかりだまされていた。
.      『のーは9Fから10Fに階段を使ってやってきた』とばかり思ってたんだけど……
.      実は、この『逆』だった」
 
 
 
(´・ω・`)「シラヒーゲさんが見たのーさんは、上りの階段からやってきた姿ではない!」
 
(´・ω・`)「 『下りの階段からやってきた』姿だったんだ!!」
 
 
 
.

451 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:28:27 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚*;)「……ッ…」
 
(´・ω・`)「……おわかりいただけたかな?」
 
(゚A゚* )「っ!」
 
 
 舌打ちするのーを、ショボーンが視線で貫いた。
 ショボーンは、もうこれでおしまいだ、と確信した。
 
 
(´・ω・`)「……これが、事件の真相だったんだ」
 
 
 
 
 ――だが、のーはそれでも降参はしない。
 続けて、のーの持つ、最後のカードをきった。
 
 
(´・ω・`)「……これで、証明でき」
 
(゚A゚* )「まだや! まだ終わってへん!」
 
(´・ω・`)「……!」
 
 
 
 
BGMここまで
 
 
 
.

452 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:29:12 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 そこで、ショボーンも、気づかされた。
 この推理では、ひとつ、あからさまな穴があることに。
 
 
 
(゚A゚* )「確かに、辻褄が合うてるように見えるわ」
 
(゚A゚* )「でもな、あくまでウチが首絞められたァ言うんは、3Fの話やろ!」
 
(゚A゚* )「そっから、どーやってバーにいくんや!」
 
(´・ω・`)「…え?」
 
 
(゚A゚* )「モナーさんが殺られたん、18時前やろ。その時間は、パーティがはじまる直前!
     エレベーターなんか使うて11F、ここまできたら、その途中でバレてまうわ!
     いま、ジブンでそう言うたやんけ! 忘れたんか!」
 
(´・ω・`)「!」
 
(゚A゚* )「しかもまさか、ウチを担いで3Fから11Fまで歩いたァ言うんか! 時間がかみ合わんぞ!」
 
 
(;´・ω・`)「……ッ!」
 
 
.

453 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:29:45 ID:LPOyqarA0
 
 
 ショボーンははじめて、動揺を感じた。
 気がつけば、立場が逆転していたというのだ。
 
 ナイフと紐の、事件の計画性は立証した。
 ヲタの見た謎の光景の真意も、立証した。
 モナーとのーの両者に眠る動機も立証した。
 
 しかし。
 そういった「目に見える謎」しか考えていなかったショボーンは、今になって、そのことに気づかされた。
 「まだ、目に見えていなかった謎が残っているのだ」ということに。
 
 
 
(゚A゚* )「……まさか、あんたァ…」
 
 先ほどまで、追い詰めていたはずが。
 気がつけば、のーのほうが優勢に立っていた。
 それを彼女自身もわかったようで、彼女は、先ほどよりも強気に出てきた。
 
 一歩、更に彼女はショボーンに詰め寄る。
 
 
(゚A゚* )「憶測と妄想だけで、ウチが犯人やァ決めたんか?」
 
(´・ω・`)「憶測と妄想だけだろうが、証拠はある」
 
(゚A゚* )「なんやて?」
 
 
.

454 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:30:20 ID:LPOyqarA0
 
 
 だが、ここでショボーンが自分の推理の穴を認めてしまえば、
 せっかくここまで追い詰めたのが全て無駄になってしまう。
 捜査で犯人を追い詰める際、もっともしてはいけないのは相手を安心させることだ。
 
 相手を追い詰めるところまで追い詰めて、最終的には自白――
 それがショボーンの手口であり、リスクも少ないのだから。
 
 そのため、ショボーンはショボーンで虚勢を張るしかなかった。
 のーがモナーを刺したのが真実だ。ショボーンは、そう睨んでいる。
 だからこそ、それを武器にのーを揺さぶっては時間を稼ぎ、残された「最後の偽り」を解こうとした。
 
 
(´・ω・`)「そのチョーカーだよ」
 
(゚A゚*;)「……」
 
(´・ω・`)「もし、あなたが犯人でないなら、そこに赤い痕が残ってるはず……」
 
(´・ω・`)「だから、それをとったら――」
 
(゚A゚*;)「……」
 
 
 
(゚A゚* )「……!」
 
(´・ω・`)「――……?」
 
 
.

455 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:30:52 ID:LPOyqarA0
 
 
 ――しかし、予想外のことが起こった。
 のーは、ショボーンにそう言われて最初は戸惑ったが、
 少しするとその戸惑いを顔色から消し、チョーカーに手をやったのだ。
 
 ショボーンは「もしかして」と思った。
 
 
(゚A゚* )「そないにチョーカーが気になンなら、とったるわ」
 
(´・ω・`)「(……なに?)」
 
 
 のーが、チョーカーを取る。
 その手つきに、躊躇している様子は見られなかった。
 
 
(゚A゚* )「ほら」
 
(´・ω・`)「……!」
 
 
 
 チョーカーのとられた首には、やはり、年齢を物語る小じわが。
 
 そして。
 
 赤い痕は、確かにあった。
 
 あったのだが――
 
 
 
.

456 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:31:22 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「……これで、証明され――」
 
(゚A゚* )「ちゃうねん」
 
(´・ω・`)「―――え?」
 
 
 
 のーは、その赤い痕を見せたが、しかし首を振った。
 ショボーンはいやな予感がした。
 
 
 
(゚A゚* )「ホンマのこと言うたらな、ウチ、アンモラルの新製品試しててん」
 
(´・ω・`)「……なに?」
 
(゚A゚* )「ほら、もう春も近いってのに、めっさ寒いやん?
     やから、アンモラルグループの商ぎょ…そやな、特許とか開発したりする研究班が
     そこに目ェつけて新製品開発しよってん」
 
(´・ω・`)「(なにを言い出すんだ……?)」
 
(゚A゚* )「それが、磁石の出す電磁波でカラダをポカポカにしますよー云うやつ。
     その磁石はネックレスみたいに首につけて、ぶらさげんねやけどな?」
 
(;´・ω・`)「…ま、待て……」
 
 
.

457 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:31:54 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚* )「ホテル内ィ言うても、ほら、ケッコー冷え込んできよったから。
     その新製品のお試し版をな、ものはためしっちゅーことで使うてみてん」
 
(゚A゚* )「ほんだら、や!
     紐デカいなー思うて調整してみたら、なんのミスか知らんけどな、首が絞まってもうてんよ!
     すぐに緩めよ思うてんけど、なんか、その長さ調整するツマミがなかなか見当たらんかってなァ」
 
(;´・ω・`)「つまり、その新製品の欠陥のせいで、その赤い痕が残った、と」
 
(゚A゚* )「そんなけやで。ホンマ」
 
(;´・ω・`)「…!」
 
 
 ショボーンのいやな予感が、的中した。
 
 ――適当なことをこじつけて、追究の手から逃れる。
 
 
 
.

458 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:32:26 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「ほんま、磁石のなんたらようわからん性能重視すんのはエエねんけどな、
     実際に使うてみて実用面で支障ないかどーか確かめなアカンで、アイツら。ホンマ。
     こないなん世間に出してみ、ソッコーでウチの信頼はアウトや」
 
(;´・ω・`)「そ、その新製品はどこにあるんだ!
       なかったら、証明はできないぞ!」
 
(゚A゚* )「あーソレやけどな」
 
 のーはあっけらかんとした様子で言った。
 もう、先ほどまでで与えたダメージからは、すっかり回復していたようだ。
 顔に、まったく、緊張や焦燥といったものが見られない。
 
 
(゚A゚* )「めっさハラたってな、どっかに捨てたわ」
 
(;´・ω・`)「なに……?」
 
(゚A゚* )「ほら、ヒトってイライラしたらなんかにアタりたなるやん?
     ウチな、その新製品にものごっそハラたって、なんも考えんと、捨ててん。
     惜しいことしたわ、アレ研究班に出したら慰謝料とかもらえたかもしれんのになー」
 
(;´・ω・`)「証拠がなけりゃ、それはただのでたらめだ!」
 
(゚A゚* )「ソレや」
 
(;´・ω・`)「…?」
 
 
 のーは、まったく悪びれる様子を見せない。
 
 
.

459 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:33:00 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「せやねん、ショーコがないんよ。ウチの、この話」
 
(゚A゚* )「やから、さっきあんたにチョーカーとれェ言われたとき、戸惑ってん」
 
(゚A゚* )「こっちはな、グーゼンやけど、赤い痕が残ってて」
 
(゚A゚* )「疑われるなァ思うたから、言うたら、『取られへん』かってん」
 
(;´・ω・`)「……!」
 
(゚A゚* )「なんやったら、ウチんとこのその研究班に証言してもらおか?
     『磁石使うた新製品やけどな、アレほんまに作ってるやんな?』……って」
 
(;´・ω・`)「………ぐ…、……」
 
 ショボーンは、黙らざるをえなかった。
 実際にその新製品で首に痕を残したかは別として、
 その新製品が実在することはほんとうのように思えたからだ。
 
 そうでなければ、警察、それも自分を疑ってかかる相手に
 そのようなハッタリをかますなど、リスクが高すぎる。
 
 
.

460 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:33:38 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「どないしよ? ま、ここまで言うて疑われたらさすがにウチも証言してもらうけど……」
 
(゚A゚* )「ソッチの憶測とかしょーもない妄想だけでウチを犯人扱いされてやな……
     ホンマやったらコレ、即裁判モンやで、刑事サン」
 
(;´・ω・`)「し、しかし……」
 
(゚A゚* )「しかしもクソもあるかァ。どないしよ、言うてんねん。ハッキリせーや」
 
(;´・ω・`)「…!」
 
 
 のーの語調が、ひときわ厳しいものになった。
 ドスの利いた声に、この独特な方言があいまって、女性なのに威圧感を覚えてしまう。
 
 そこで、ショボーンは思い出した。
 彼女は、アンモラルグループの、それも上の地位に座る者なのだ。
 生半可な実力や頭脳では、とうていその地位にまでのし上がることはできまい。
 そして、ショボーンが慢心ゆえ隙を見せたとたん、彼女はその隙を見つけては、ここまで状況をひっくり返らせた。
 
 
(;´・ω・`)「だとしたら、ヲタさんの見た光景はなんだったんだ!
       あの時間にあそこにいることのできた女性は、あんたしかいないんだ!」
 
(゚A゚* )「知るかいな。どーせあんデブの見間違いやろ」
 
(;´・ω・`)「見間違いだと……?」
 
 
 ショボーンが低い声で言った。
 だが、それは自分が怒っているから低くなったのではなく、
 窮境を実感しているからこそ、自然に高い声は出せなくなっていたのだ。
 
 
.

461 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:34:08 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「確かに、ウチにアリバイはないよ。でもな」
 
(゚A゚* )「モナーさんとは会ってへんし、しかもそん頃はアレや、風邪薬探しててん」
 
(´・ω・`)「風邪……」
 
 「そうそう」と言って、のーは続ける。
 
 
(゚A゚* )「で、スタッフルーム行ってんよ。
     スタッフルームに風邪薬はなかった、それ知ってるんがショーコや」
 
(;´・ω・`)「………」
 
 
 ショボーンは、言いくるめられた。
 反論しようにも、反論の術が浮かばない。
 ここで、ほんとうにスタッフルームに風邪薬があるかどうかを調べるのは無意味だ。
 
 そもそも、たとえ営業中であれ、スタッフルームに風邪薬が置かれているとは思えないのだ。
 のーはおそらく、それを知っていた上でそう証言しているのだろう。
 あたかも、自分はほんとうにスタッフルームに行ったのだ、という主張がただしいことを強調するために。
 
 しかし――いや、だからこそ、ショボーンは反論の術を持てなかった。
 肝心なところで、詰めが甘かった。
 万事休すか――と、ショボーンは肩をすくめることしかできなかった。
 
 
.

462 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:34:39 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚A゚* )「……わかった?」
 
(;´・ω・`)「………」
 
(゚A゚* )「わかったなら、ええねんよ。ほら、ウチやないけど、
     犯人はほんまにおんねんから。しゃーないしゃーない」
 
(゚A゚* )「そやな、そこのレモナさんがアヤシイんとちゃう?
     チャカ持ってんねんやし、実際にウチら撃たれてんねんやし」
 
(;´・ω・`)「(……レモナ、さん……?)」
 
 
 ショボーンは、のーが指をさしたとおりに、そちらに振り向いた。
 顔一面が、涙で濡らされている。
 いったい、彼女になにがあったのか――それも、あとで考えなければいけない。
 
 しかし、いまはもっと優先すべきことがある。
 目の前の――
 
 
(゚A゚* )「秘書やったらな、なんかドーキとかありそうやん?」
 
(´・ω・`)「……」
 
 
 モナーを刺した犯人、のーに罪を認めさせることだ。
 ショボーンは、そのことしか考えていなかった。
 
 
.

463 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:35:13 ID:LPOyqarA0
 
 
 しかし、推理にはひとつ、穴があった。
 どうやって犯行現場、バーまで移動したかがわからない、という点だ。
 
 さまざまな場面に隠された、さまざまな《偽り》。
 その、一見脆弱にも思えるか細い偽りの数々を、ひとつにつないだ。
 そして一本になったその『絆』が、のーを犯人だ、と示しつけている。
 
 しかし。
 その『絆』を力強いものにするためには、あとひとつ、偽りが要る。
 それが、いまのショボーンには、およそ見当すらつかなかった。
 
 
|゚ノ ∀ )
 
(´・ω・`)「(……レモナさん……)」
 
(´・ω・`)「……ん?」
 
 
 レモナのほうに顔を向けると、ふと、自分の後ろに人がいたことに気がついた。
 先ほどまで、のーとの対決に夢中で、まったく気配を感じ取れていなかったのだ。
 
 なんだ、と思って振り返ると、トソンが、ふるふると震えながらそこに立っていた。
 そうか、この場には彼女がいたな――なんてことを思うと、トソンはゆっくり、口を開いた。
 
 しかし、そこから続けて、声は放たれない。
 緊張かなにかで、声帯が震えないのだろう。
 
 
.

464 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:35:44 ID:LPOyqarA0
 
 
(゚、゚トソン「……」
 
(´・ω・`)「あ、トソンちゃん」
 
(゚、゚トソン「……」
 
(´・ω・`)「ここは危ない。ちょっと下がっ――」
 
(゚、゚トソン「け、警部」
 
(´・ω・`)「…? なんだい」
 
(゚、゚トソン「いまの、あの人の……」
 
(゚A゚* )「?」
 
(´・ω・`)「のーさん、だね。なにか?」
 
 トソンが指でちょこんとのーを指す。
 のーもショボーンも、きょとんとした。
 
 
(゚、゚トソン「あの人の言葉で、なにかが引っかかったような……
.      そんな気がしたんですが……」
 
(´・ω・`)「引っかかった?」
 
 
.

465 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:36:14 ID:LPOyqarA0
 
 
 ショボーンが復唱する。
 トソンは「うん」と言いたげに大きくうなずいた。
 
 
(゚、゚;トソン「あ、気のせいかもしれませんが――」
 
(´・ω・`)「いや、君の直感はどーしてかよく当たるんだ。自信を持っていいよ。
.      なにに引っかかったか、わかる?」
 
(゚、゚トソン「いや……でも、ただなんとなく、『あれ…?』って思うことが……」
 
(´・ω・`)「わかった、わかった。ありがと」
 
 
 そこで、ショボーンは彼女を宥めた。
 一般人のトソンに、その「なにか」を突き止めることは難しいだろう。
 また一方で、一般人のトソンでも気づけた、その引っかかった「なにか」。
 
 ショボーンは、それを考えることにした。
 
 
 都村トソンは、人一倍、直観力があるのだ。
 
 
 
.

466 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:36:50 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「な、なあ、あんた」
 
(´・ω・`)「(トソンちゃんが……『なにかに引っかかった』?)」
 
(´・ω・`)「(ばかな。僕が気づかないことを、彼女が気づくはずが……)」
 
(゚A゚*;)「そないなあいまいなコト考える暇あんねやったらな、ウチら連れてはよ避難してや。
.     『違和感』とか、どーせ、そのお嬢サンの思い過ごしやって。な? な?」
 
 
 のーが何かに慌てて、ショボーンを急かす。
 しかし、ショボーンはそれに応じなかった。
 それどころか、彼女の声すら、耳に入ってくることはなかった。
 
 
(´・ω・`)「(……待てよ?)」
 
 
 ――そこで、つい先ほど言った、自分の言葉が脳裏に蘇る。
 
 
 
   (´・ω・`)『誰も気づけなかった、あなたに存在する「違和感」』
 
   (´・ω・`)『それを、ヲタさんだけが、見抜いた』
 
   (´・ω・`)『ほかの誰よりも、頭部――「首」に注目していたヲタさんだからこそ、気づけたんだ!』
 
 
 
.

467 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:37:21 ID:LPOyqarA0
 
 
(´・ω・`)「(……そうだ。僕が気づけないでいて、トソンちゃんが気づいたってことは)」
 
(´・ω・`)「(ヲタさんのときと一緒で、トソンちゃんはその『違和感』に、より近い存在となってる)」
 
(´・ω・`)「(つまり、『僕にはなく、トソンちゃんにはある、なにかの経験』が、
.      トソンちゃんに、のーさんの言葉との食い違い――『違和感』を与えてるってことなんだ)」
 
 
(´・ω・`)「(僕のしたことと言えば、ゲームコーナーで遊んだり、喫茶店で休んだり……)」
 
(´・ω・`)「(一方で、トソンちゃんはゲームコーナーや喫茶店には向かってないけど、
.      その代わりに、トソンちゃんは『僕のしてない何か』をした)」
 
(´・ω・`)「(それを思い出せば……僕も、気づけるんじゃないか?)」
 
 
 
 
(´・ω・`)「その……『違和感』に」
 
 
 
 
.

468 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 20:37:52 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
   (´・ω・`)『さっき、ワカッテマスが部屋に向かったろ。なにしてたんだ』
 
   (゚、゚トソン『…? あ、ああ……』
 
   (゚、゚;トソン『部屋に、オートロックがかかる、だなんて知らなくて……』
 
 
 
 
   (´・ω・`)『なんで、部屋を出ようと思ったんだい?
.         部屋にいな、って言ったつもりだったけど……』
 
   (゚、゚トソン『その……あの、からだのおっきな男の人、いるじゃないですか。あの人に、パーティのとき呼ばれて。
.         最初は会いに行くのをためらってたんだけど、心細くなったから会ってみようかな、って』
 
   (´・ω・`)『でも、いなかった』
 
   (゚、゚トソン『はい。だから帰ってきたんですが……その、ドアが閉まってて』
 
 
 
 
   (゚、゚トソン『それで、9Fにスタッフルームがあるってパンフレットにあったんで
.         そちらに向かったんですが、鍵が閉まってて、しかたなく帰ってきたんです』
 
   (´・ω・`)『そもそも、スタッフはいないじゃないか』
 
   (゚、゚;トソン『……はっ!』
 
 
 
 
.
472 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:10:47 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「…………」
 
 
(´・ω・`)「……ッ!」
 
 
(;´・ω・`)「……! そうか、わかった!」
 
 
 
 ショボーンも、ようやく、それにたどり着いた。
 
 のーの言葉と食い違う、「ショボーンはしておらず、トソンはした、ある経験」。
 トソンの今日一日の行動を振り返ることで、その『違和感』に、彼女と同じくたどり着くことができたのだ。
 
 
(゚A゚*;)「な、なんやねんさっきから!」
 
(゚、゚;トソン「警部?」
 
 
 
.

473 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:11:32 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
(´・ω・`)「下呂、のー!」
 
 
(´・ω・`)「あんたの、アリバイ……」
 
 
(´・ω・`)「それは、たった今――崩れた!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「あんた、スタッフルームに行ってないな!?」
 
 
 
BGM推奨
http://www.youtube.com/watch?v=MDyUvZkJiSc
 
 
 
 
 
.

474 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:12:30 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
 
(゚A゚*;)「なッ―――なにをぬかすねんアホンダラ! まだウチがハンニンやァ言うんか!」
 
(´・ω・`)「あんたの、事件当時の動き……まとめると、こうだ」
 
 
 
 
   (゚A゚* )『どーやろ……。もう集合三十分前やった気がする』
 
   (´・ω・`)『三十分……風呂に入るにはビミョーな時間ですな』
 
   (゚A゚* )『やろ? やから、もうせっかくやし早いうちにホールに行こう思いましてやなあ。
        エレベーターに乗って10Fに直行しようか思うたんですよ』
 
   (´・ω・`)『思った、ということは、やめた?』
 
   (゚A゚* )『いや、乗ったっちゃ乗ったけど、9Fで降りて。スタッフルームに用があったんですよ』
 
   (´・ω・`)『スタッフルーム……?』
 
 
 
   (゚A゚* )『確かに、ウチにアリバイはないよ。でもな』
 
   (゚A゚* )『モナーさんとは会ってへんし、しかもそん頃はアレや、風邪薬探しててん』
 
   (´・ω・`)『風邪……』
 
   (゚A゚* )『で、スタッフルーム行ってんよ。
        スタッフルームに風邪薬はなかった、それ知ってるんがショーコや』
 
 
 
 
.

475 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:13:03 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「あんたは、不調を感じた。だから、風邪薬を探しに、スタッフルームに向かった。そうだな?」
 
(゚A゚*;)「な……なにがオカシイねん!」
 
(´・ω・`)「しかし、その数時間後。あなたと同じく、スタッフルームに足を運んだ人がいた」
 
 
(´・ω・`)「都村トソン、この子だ」
 
(゚、゚;トソン「……」
 
 
(゚A゚* )「それがどないしてん!」
 
(´・ω・`)「トソンちゃん、さっきスタッフルームに向かったよね。スタッフルーム、どんな感じだった?」
 
(゚、゚トソン「どんなって言われても……」
 
(゚A゚* )「…?」
 
 
 
.

476 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:13:34 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
(゚、゚トソン「『鍵が閉まってた』から……入れなかったです」
 
(゚A゚* )「……」
 
(゚A゚* )
 
 
 
 
 
 
 
(゚A゚*;)「な――なんやてええええええええええええッッ!!?」
 
 
 
 
.

477 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:14:06 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「事件当時、あんたはスタッフルームに入ることができなかった!」
 
(´・ω・`)「なぜなら――」
 
 
 
 
 
   |゚ノ ^∀^)『――と、招待客は以上ですね。
.         社長の個人的な事情で開かれるパーティなので、その他スタッフはいません』
 
 
 
   ( ´∀`)『いいモナ。客室や入られちゃ困るところは全部閉めてるし。
         それに、モナが招待した人たちのなかに、悪さをするなんて人がいるはずないモナ』
 
 
 
   |;;;;| ,'っノVi ,ココつ『ほら、ワタシゃ建築担当でしょう。
               で、今日閉めるエリアの鍵を持たされてるんですが。
               あ、閉めるエリアってのは、客室の5Fから9F全域と11Fなんですがねェ』
 
 
 
 
.

478 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:14:37 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「今日はオープンではなく、あくまでパーティ。
.      『スタッフは一人もいなくて』、『入られたら困るから』
.      『5Fから9Fの全域』の部屋の鍵を、閉めていたんだ!」
 
(゚A゚*;)「―――ッ!? んなアホな!」
 
(´・ω・`)「アホもクソもない。さあ! 下呂、のー!」
 
(´・ω・`)「事件当時、スタッフルームに入ることはできなかった、のにどうして!」
 
(´・ω・`)「『スタッフルームに風邪薬はない』とか言えたんだ?」
 
 
( A゚*;)「――ぐううぅぅッッ……!!」
 
 
(´・ω・`)「答えは、簡単だ!
.      『そもそもスタッフルームを訪れてなかった』んだ!」
 
(´・ω・`)「ならば、そのときはどこに――」
 
(゚A゚*;)「ちゃう! ウチは、スタッフルームにおった!」
 
(´・ω・`)「――なに?」
 
(゚A゚*;)「ほら、ウチ、しんどうなったからな、マリントンさんに、そんとき鍵借りてん!」
 
(´・ω・`)「それは、ありえない」
 
(゚A゚*;)「なんでや!」
 
 
.

479 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:15:11 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「あなたが、マリントンさんに鍵を借りることができたのは、いつか」
 
(´・ω・`)「――16時半」
 
 
 
 
   (´・ω・`)『僕たちが来たときは、ホールにはフォックスさんやのーさんもいた気がするけど……
.         あの人たちは、どうしたの?』
 
   (゚、゚トソン『あ、ああ……。警部たちが出て行ったところで、レモナさんとガナーさんが
.         「私たちも準備をはじめましょうか」ってなったので、ホールに残っていたほかの皆さんも出て行きましたね。
.         だから、以降から17時半にあのおじいさんが来るまでは、ほかには誰も来ませんでした』
 
 
 
 
(´・ω・`)「パーティの準備をはじめるとき、16時半過ぎだ」
 
(´・ω・`)「そして、それ以降のマリントンさんにはアリバイがある」
 
 
 
   ( <●><●>)『彼は17時までは入浴していて、それから4Fで黒井さんと対話、17時半にここにきたとのことです』
 
 
 
.

480 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:15:55 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「シラヒーゲさんも、ホールにいた女性たちも、誰もあんたのことを証言していない」
 
(´・ω・`)「そうなると、あんたが鍵を借りる機会は、なかったことに……」
 
(゚A゚*;)「16時過ぎくらいにいっぺんみんなでホールに集まってたやろ! そんときにやな――」
 
(´・ω・`)「それは、もっとありえない」
 
(゚A゚*;)「なんでや!」
 
 
(´・ω・`)「そのときは、16時半より前。一方で、あんたが不調を感じたのは、17時半前後」
 
(´・ω・`)「まさか、一時間未来の体調を予測して、あらかじめ鍵を借りてたというのか!?」
 
(゚A゚*;)「……!!」
 
(゚A゚*;)「……」
 
 
(´・ω・`)「(観念したか…?)」
 
(゚A゚* )「まだや! まだ終わっとらへんでェ!」
 
(´・ω・`)「…ッ」
 
 
.

481 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:16:28 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「確かに、マリントンさん本人からは借りとらへん」
 
(゚A゚* )「言いにくかったからずっと黙っとってんけどな、『勝手にハイシャクした』んや」
 
(´・ω・`)「鍵を、ですか?」
 
(゚A゚* )「それで、スタッフルームに……」
 
(´・ω・`)「……確かに、マリントンさんは言ってた。『鍵を紛失した』と」
 
(゚A゚* )「! ……ほら、な?」
 
(´・ω・`)「だけど、違うんだ。彼が紛失した鍵は――」
 
 
 
 
   (´・ω・`)『鍵が、なくなったのですか?』
 
   |;;;;| ,'っノVi ,ココつ『5F、制御室の鍵だけが、どーも見当たらんのですわ』
 
   ( <●><●>)『制御室?』
 
 
 
 
(´・ω・`)「たった、ひとつだけ。制御室の、鍵だ」
 
(゚A゚*;)「…!」
 
 
.

482 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:17:02 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「『制御室の鍵だけが』と強調して言ってるのをみると、
.      スタッフルームの鍵は紛失してないってことがわかる」
 
(´・ω・`)「つまり、スタッフルームの鍵を開けることは、できなかった!」
 
(゚A゚*;)「か、勝手にハイシャクしたあとな、本人に『落としてましたよ』言うて返してん!」
 
(´・ω・`)「じゃあ、訊こう」
 
(゚A゚*;)「…?」
 
(´・ω・`)「鍵は、どこにあった?」
 
(゚A゚*;)「……な、なんや…そーゆーことか」
 
 
 
(゚A゚* )「マリントンさんが、常に持ち歩いてんねんやろ?」
 
 
 
(´・ω・`)「……」
 
(゚A゚* )「で、あの人、いっぺん鍵のリング落としよってなー。そんときに……」
 
(´・ω・`)「……残念、実に残念だ」
 
(゚A゚* )「ジブンの推理が外れて残念なんか?」
 
(´・ω・`)「違います。……マリントンさんは、こうも言っていた」
 
 
.

483 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:17:36 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
   |;;;;| ,'っノVi ,ココつ『さっきまでは、これは倉庫にかけといたんですわ。ワタシが常に持っててもしゃーないし』
 
 
 
 
(゚A゚*;)「……倉庫……?」
 
(´・ω・`)「これでまたひとつ、あんたがでまかせを言ってると証明できた」
 
(゚A゚*;)「……ちゃ…ちゃう! 気が動転してただけや! そうや、思い出した!
.     ウチはそういや、倉庫から鍵をハイシャクしたんや!」
 
(´・ω・`)「ほう、倉庫に忍び込んで、勝手に取った、と」
 
(゚A゚*;)「笑うなら笑え! そや、ウチって人見知りやからな、
.     『借りてええですか』って聞くんがはずかしかってん!」
 
(´・ω・`)「それは何時頃?」
 
(゚A゚*;)「17時半……前後」
 
(´・ω・`)「なら、あなたは倉庫である人と会っていたはずだ」
 
(゚A゚*;)「ある人……?」
 
 
.

484 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:18:34 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「……わかりますよね。 ね、トソンちゃん」
 
(゚、゚;トソン「…?」
 
(´・ω・`)「君もパーティの準備を手伝ってたんだったら、わかるよね。
.      『その時間帯、倉庫には誰がいたのか』」
 
(゚、゚トソン「……? え、ええ。確か――」
 
(´・ω・`)「待って。答えるのは、のーさんだ」
 
 
 
 
(゚A゚*;)「…………、……ッ!」
 
 
 
 のーは、また焦燥しきった顔に戻っていた。
 そわそわとしている。
 
 
(゚A゚*;)「……あ、ああ……そーいや、おったなァ」
 
 
 
 
(゚A゚*;)「………マリントンさんが」
 
 
 
 
.

485 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:19:05 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「なにをしていました?」
 
(゚A゚*;)「鍵を、見とったよ。うん、倉庫に鍵かけててんやろ? マリントンさん以外、ありえへんやん」
 
(´・ω・`)「……そうか」
 
 
(゚、゚トソン「け、警部…?」
 
(´・ω・`)「よし、トソンちゃん。答えあわせだ」
 
(゚A゚*;)「?」
 
(´・ω・`)「ほんとうは、その時間帯、倉庫には誰がいた?」
 
(゚、゚トソン「……」
 
 
 
 
 
(゚、゚トソン「………レモナ、さん」
 
 
 
 
.

486 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:19:55 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「……ハ…? な、なんでレモナさんが……?」
 
(´・ω・`)「彼女は、あらかじめ倉庫に待機させておいた料理を、ホールに運び入れていた。
.      だから、もしその時間帯に行ったら、レモナさんと鉢合わせするはずなんだ」
 
(゚A゚*;)「い、いや! そんときは、たまたまレモナさんはホールに出てた!
.     ウチが行ったときは、ちゃんとマリントンさんがな、鍵を見ててん!」
 
(´・ω・`)「……もうひとつ。今の証言にはあきらかな偽りがある」
 
(゚A゚*;)「な、なに……?」
 
 
 
(´・ω・`)「マリントンさんが、その時間帯に鍵を見ていたはずはない」
 
(´・ω・`)「彼が、事件発生前で、最後に鍵を見たのは、もっと前!」
 
 
 
 
   (´・ω・`)『最後に鍵を確認したのは、いつですか』
 
   |;;;;| ,'っノVi ,ココつ『16時ちょい過ぎ……だったと、記憶しとります』
 
 
 
 
(´・ω・`)「16時過ぎ……つまり、僕がここにくるよりも前だ!」
 
(゚A゚*;)「――――ッ!!?」
 
(´・ω・`)「さあ、観念しろ! あんたはスタッフルームには行ってなかった!
.      じゃあ、その時間帯、あんたはどこにいたんだ! 答えろ!!」
 
 
.

487 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:20:27 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「………………………。」
 
 
(´・ω・`)「……おそらく」
 
(゚A゚*;)「!」
 
 
(´・ω・`)「それは、『わからない』のでしょう。あんた自身でも」
 
(´・ω・`)「その頃……あんたは、モナーさんに首を絞められ、『気を失っていた』のだから」
 
 
(゚、゚トソン「…あ!」
 
(゚A゚*;)「………」
 
(´・ω・`)「だから、無難な偽りを述べて、なんとかごまかそうとしたんだ」
 
(´・ω・`)「『その時間帯、モナーさんに気絶させられたところを、バーまで運ばれていた』
.      というのを、偽るために……」
 
(゚A゚*;)「……」
 
 
.

488 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:21:04 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「………確かに、その点も加えたら、ウチがハンニンにしか見えんようになるわ」
 
(´・ω・`)「…?」
 
(゚A゚*;)「でも、でもな。じゃあ、ウチはどないしてバーまで運ばれた、っちゅーねん」
 
(゚A゚*;)「あんたの話によったら、17時20分頃、ウチはゲームコーナーで気ィ失った」
 
(゚A゚*;)「で、そっからちょっと経って、モナーさんが刺されるまで」
 
(゚A゚*;)「その間、モナーさんは、どーやってウチを運んだんや?」
 
(;´・ω・`)「…ぐッ……」
 
 
(゚A゚*;)「言っとくけど、さっき言ったみたいに、
.     そんときは、わんさか招待客がエレベーター使う時間帯やぞ」
 
(゚A゚*;)「もう一個エレベーターがなかったら、トーテー無理なハナシとちゃうんか!」
 
(´・ω・`)「! もう一個の……エレベーター……?」
 
(゚A゚*;)「…? なに言って…」
 
 
 
.

489 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:21:45 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
 
   (´・ω・`)『…? 1Fと10Fをつなぐのはわかるんだけど、なんで3Fにもとまるんだ?』
 
   ( <●><●>)『……あ、コラムに載ってますよ』
 
   ( <●><●>)『どうやら、時々10Fで格闘ゲームの大会を開くときに
            これを使って、ここにある筐体を次々に運び入れる考えのようですね』
 
 
 
(´・ω・`)「……あ」
 
 
 
(;´・ω・`)「ああああああああああ!!」
 
(;´・ω・`)「(――つながった! 3Fと10Fとをつなぐ、唯一の道が!!)」
 
 
 
 
.

490 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:22:18 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「……ま、まさか。まさかホンマに、『もう一個のエレベーター』があるわけ――」
 
(´・ω・`)「あんたを運んだ、『もう一個のエレベーター』は―――ある!」
 
 
 
 
(´・ω・`)「搬送用のエレベーターだ!!」
 
 
 
(゚A゚*;)「……な…なんやて……?」
 
 
 のーが、驚きを隠せないでいる。
 ひょっとすると、のー自身もそれまでわからなかったのかもしれない。
 
 
 『もう一個のエレベーター』たる存在が、あったことを。
 
 
 
(´・ω・`)「一般客用のエレベーターとは別にもうひとつ……大型のエレベーターがあった」
 
(´・ω・`)「しかも、それが止まるエリアは――3Fと、10Fだ!」
 
(゚A゚*;)「―――ハアアアアアアアアアアッ!? ま、待て! じゃあウチは、そのエレベーターで……」
 
 
 
.

491 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:22:49 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「――モナーさんは、のーさんを『殺して』しまったとき、動転した」
 
(´・ω・`)「そのときに最初に抱いたケネンは、いまのーさんが言ったのと、まったく同じ――」
 
(´・ω・`)「『どうやって、人目に見つからずに11Fまで逃げるか』――だ!」
 
(゚A゚*;)「ッ!」
 
 
(´・ω・`)「むろん、普通のエレベーターを使うわけにはいかない。すぐに、ばれるからな」
 
(´・ω・`)「だが、搬送用は違う。基本的に、一般人は立ち入りできないんだ」
 
(´・ω・`)「……でも、今回、乗ろうとしたのは、モナーさん。……この、ホテルの、支配人だ」
 
(゚A゚*;)「あッ…」
 
 
 
(´・ω・`)「支配人だからこそ、彼は、唯一! 搬送用エレベーターを使って、バーまで逃げることができた!」
 
 
.

492 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:23:26 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(゚A゚*;)「でも、つながっとるんは10Fまでやろ! エレベーターから出た瞬間――」
 
(´・ω・`)「違う。通常のエレベーターと搬送用のエレベーターは、東西において、真逆に位置する」
 
(´・ω・`)「そして、階段が位置するのも、搬送用のエレベーターがある方角――『西』だ!」
 
(゚A゚*;)「ッ!!」
 
(´・ω・`)「だから、モナーさんは誰にも見つからずに、階段を使って、なんなくバーに向かうことができたんだ」
 
 
(゚A゚*;)「それでも階段は階段や! 誰か、ほかの人が使わんとも限らん!」
 
(´・ω・`)「10Fの下、9Fは……客室なんだよ」
 
(゚A゚*;)「……あ!」
 
(´・ω・`)「9Fだけじゃない。5Fから9Fまで、全域が客室だ」
 
(´・ω・`)「たとえエレベーターに先着がいても、まさかその五階分の階段を上るってか?
.      ハン、ばかばかしい。そんな労力を使うくらいなら、エレベーターがやってくるのを待つさ」
 
(゚A゚*;)「……! …………ッ!」
 
 
.

493 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:23:58 ID:LPOyqarA0
 
 
 
(´・ω・`)「……さて、こうして3Fと10Fはつながった」
 
(´・ω・`)「一本の、まるで絆のように頑丈なエレベーターで、ね」
 
(゚A゚*;)「ちょ……待って………」
 
 
(´・ω・`)「これで、すべての謎が絆となってつながった結果」
 
(´・ω・`)「ひとつ、わかることがあるんだ」
 
(゚A゚*;)「!!」
 
 
 
.

494 名前: ◆wPvTfIHSQ6:2013/03/16(土) 21:24:30 ID:LPOyqarA0
 
 
 
 
(´・ω・`)「下呂、のー!」
 
 
(´・ω・`)「あなたが犯人だ、ってことが、ねえ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     イツワリ警部の事件簿
     File.3
 
         (´・ω・`)は偽りの絆をつなぐようです
 
 
      第九幕
        「 偽りをつなぐ 」
 
 
                 おしまい
 
 
 
 
 
 
.

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