- 2
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:09:16.55 ID:RDZiqDyI0
- 第8話 「7年前とフサギコ」
「アッーーーーーーーーーーーーーーー」
今、山のふもと目指して滑り落ちている僕は
何だか迷子になったごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすれば
ティウンティウン寸前ってとこカナ―――
名前はフッサール
そんなわけで地面が平らになった部分に転がり落ちたのだ
ミメ-Д-彡「…いててて…」
ふと見ると目の前に一人の若い男が立っていた
(,゚Д゚)「………」
ウホッ!いい男
ミ,゚Д゚彡「ハッ」
そう思っていると突然その男は僕の見ている目の前で
ツナギのホックをはずしはじめたのだ…!
「やらないk」
- 4
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:11:07.96 ID:RDZiqDyI0
- ミ,゚Д゚彡(いやそれはねーよwwwwwwww)
(,゚Д゚)「…な、何だ?てめえは?」
ミ,゚Д゚彡「俺ですか?俺はフッサ…」
その時、その男に寄り添うようにする女の人が見えた
(*゚ー゚)「ギコ?どうしたの?」
Σミ゚Д゚彡(ハウア!!)
何て…綺麗な女性だ…
…………でもこの二人…どうみてもカップルって奴ですよね…
いかん…涙出てきた、ぐす
ミ,゚Д゚彡「初めまして…俺フッサールって言いますAA市から来ました」
「あなたの…お名前はっ?」
なるべく極上のスマイルで告げた
- 5
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:12:09.67 ID:RDZiqDyI0
(;゚ー゚)「え…?私!?」
(*゚ー゚)「って…あれ?ギコ?」
ミ,゚Д゚彡「へ?」
(,゚Д゚)「ん?」
(*゚ー゚)「……うわ…そっくり………双子?」
(,゚Д゚)「んな訳あるか、ゴルァ!!」
ミ;゚Д゚彡「それは流石に…」
(*゚ー゚)「あはは、フッサールさん?私はしぃ、んでそっちのツンツンしてるのがギコ」
ξ;゚Д゚)ξ「ツンツン!?」
ミ,゚Д゚彡「…逆が良かった」
俺はぼそっと口にする
(*゚ー゚)「何が?」
- 7
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:14:04.63 ID:RDZiqDyI0
- しっかり聞かれてた
ミ,゚Д゚彡「なんでも…ないですよっ」
ふぁさっと毛をなびかせ、誤魔化す
(*゚ー゚)「あははっ、変な人!」
(,゚Д゚)「…んで?てめえは結局何なんだ?」
ミ,゚Д゚彡「む、それがですね?……実は」
「実は?」
二人はじっと俺の言葉を待ってる
ミ;゚Д゚彡(…うっ!)
……こういう時って面白い事言わなきゃいけない気がするのは何故だろう
あー…思いつかん
視線が痛い…情けない、泣けてきた
- 8
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:15:09.69 ID:RDZiqDyI0
- ミ;Д;彡「実は迷子なんですっ」
(;゚ー゚)「あららー…泣かせちゃった」
(;゚Д゚)「な、何で俺を見る!」
(*゚ー゚)「ギコが怖い目で見るからでしょ?」
ミ;Д;彡「何か気付いたら山の上に居て…暗いし…そもそもここどこおおおお!?」
こんな事しか言えない自分のへたれっぷりに…
…じゃない、色々な不安と、人に会えた安堵感
堪えていた感情が溢れてきて…涙が止まらない
やだなぁ…もっと男らしくなりたいよ…
(*゚ー゚)「ねえ…ギコ…この人…何だかわからないけど行くあて無いみたいよ?」
(♯゚Д゚)「……あぁ〜っっもう!!分かった、じゃあとりあえず家に来い!」
- 9
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:17:01.51 ID:RDZiqDyI0
- ミ;゚Д゚彡「ぐしぐし……へ?」
何だ?どういう話の流れ?
ミ,゚Д゚彡「あなたの家に…??」
(,゚Д゚)「ああ、こんな所でグダグダ話してるのも何だからな…」
こんな所…?
辺りは林が広がっていて…奥に山小屋のような物が見える
不審者の様に辺りを見渡していると、ギコはイライラした様子で口を開いた
(,゚Д゚)「…なんだ、不満なんか?だったらいいんだぞゴルァ」
ミ;゚Д゚彡「め、滅相も御座いません!喜んでお供させて頂きます!」
(;゚Д゚)「め…めっそ…?」
「なんだ?めっそうって?」
「へ?いや、俺も意味までは…」
- 10
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:19:03.40 ID:RDZiqDyI0
- (*゚ー゚)「ぷっ…」
そんなやり取りをしていると…突然しぃさんが笑い出した
ミ,゚Д゚彡(,゚Д゚)「「?」」
(*゚ー゚)「もう…やめてぇ…?ギコと同じ様な顔で変な事言うのっ…ふふっ…お腹痛いww」
(;゚Д゚)「んな……!?」
ミ;゚Д゚彡「お……」
ミ*゚Д゚彡「面白い!?マジすか!!やったぁ!!」
(♯゚Д゚)「喜ぶなぁ!!」
(*゚ー゚)「何?もう息ぴったしじゃないw」
- 11
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:21:21.48 ID:RDZiqDyI0
- ギコは「ぐぬぬ」と少し唸る様な声を上げ、もういい…!と切り上げた
(,゚Д゚)「……とっとと行くぞ!!」
ミ,゚Д゚彡「ま、待った!」
(♯゚Д゚)「何だよ…」
ミ,゚Д゚彡「俺はフッサール、よろしく」
まだちゃんと挨拶してないから、と
快心の笑顔で手を差し出す
(♯゚Д゚)「もうそれは聞いたっつーの!」
だが…払われてしまった
ミ,゚Д゚彡「い、たあ…」
怒られた…あれ、目から汗が
そんな俺の様子を見た彼…どうやら罪悪感に襲われたらしぃ
ξ;゚Д゚)ξ「………あああ、もう…分かったよ」
- 12
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:22:35.36 ID:RDZiqDyI0
- (,゚Д゚)「俺はギコだ…」
そう言って俺の手を握った
ミ,゚Д゚彡「うん、よろしく!」
その手を強く握り返す
(*゚ー゚)(へえ…)
あの捻くれギコが握手なんかしてる…
(*゚ー゚)(フッサールさん…か、不思議な人…)
(,゚Д゚)「…ふん」
ミ,゚Д゚彡「さ、じゃあ行こうギコ」
(;゚Д゚)「いきなり呼び捨てかよ…」
- 13
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:24:17.91 ID:RDZiqDyI0
「え?駄目?」
「いや…別にそういう訳じゃねえけど」
「ならおk」
(*゚ー゚)(何だか…初めて会った気がしないな…)
それは、ギコに似ているからだろうか?
それとも単に馴れ馴れしぃから?
前を歩く二人を見て、しぃはそう思った
- 15
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:26:07.10 ID:RDZiqDyI0
- ―――――ギコの家
(,゚Д゚)「…じゃあ、何か?気がついたらあそこに居たってか?」
ミ,゚Д゚彡「うn、そう」
茶を啜りながら答える
ミ,゚Д゚彡「あ、うまいですねこれ!」
(*゚ー゚)「そう?ありがとう」
(;゚Д゚)(怪しい奴だな…もしかして、こいつ…敵の…)
ミ;゚д゚彡「?」
ギコが少し睨むように見ると、引きつった愛想笑いを浮かべた
(,゚Д゚)(いや、それはねーな…こんなアホ顔した奴が)
ミ;-Д-彡(…何かひどい事言われてる気がする)
- 16
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:27:24.65 ID:RDZiqDyI0
(,゚Д゚)「んで、どこから来たって?」
ミ,゚Д゚彡「AA市ですけど…」
聞いた事ねーな?しぃと二人で首を傾げる
それを聞いたフッサールはがっくりと肩を落とした
(*゚ー゚)「ふーん…ならここに居させてあげれば?」
ねえ、ギコ?としぃが提案した
(;゚Д゚)「なっ…!冗談じゃねえぞゴルァ!」
その答えは想定の範囲内です、と言った様子でしぃが続ける
(*゚ー゚)「…あれ?もしかしてギコ…私と二人っきりじゃなくなるのが嫌なの〜?」
「ナニイッテンダ!フザケルナ!」
(*゚ー゚)「あ、顔真っ赤!図星なんだw」
それにしてもこの二人、ラブラブである
- 18
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:28:57.86 ID:RDZiqDyI0
- (*゚ー゚)「で、どう?フッサールさん」
問われ、思考する
その心は――――嫉妬の炎
(ちくしょう目の前でイチャイチャしやがって、そんな事言って夜な夜な隣の部屋からは…
ギ、ギ、ギギギギシギシギシ♪
\ アンアアアアンアンアン /
♪ ('A`) ♪
_ ノ )>_ キュッキュ♪
/.◎。/◎。/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
…なんだろ?それを俺に聞かせたいのか?マジで?いいの?)
………ニタァ
- 19
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:30:05.62 ID:RDZiqDyI0
- いかんいかん、変な痴女みたいな事考えてる場合じゃない
ミ,゚Д゚彡「…そんな俺…二人の愛の巣を突っつく様な事は…」
逸れていく思考をまとめて…ちょっぴり皮肉を込めて言った
すると何かが切れる音
ギクリと、ギコの方を見る
「…置いてやる」
ミ,゚Д゚彡「へ?」
(♯゚Д゚)「ここに居させてやるって言ってんだ!むしろ居ろ!!」
ミ;゚Д゚彡「な、なんだってえーー!!!」
話が進んでいく…これはよくない
- 21
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:31:58.43 ID:RDZiqDyI0
「いや、でも俺はっきり言って家に帰りたいんですっ!」
「大体俺ギシアン聞くのは嬉しぃような哀しぃような!」
(;゚Д゚)「ちょっと待て、ギシアンって何だ!」
色々取り繕っていると、しぃが急に真面目な顔をして言った
(*゚ー゚)「あのね?そう言うのも理由があるの…」
(,゚Д゚)「理由?何だ?」
(*゚ー゚)「うん…実は前に本で読んだんだけど…」
それは次元空間への接続…
曰く、その接続者は別の世界からあらゆる物を召喚できるという……
- 22
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:33:13.46 ID:RDZiqDyI0
ミ;-Д-彡(ちんぷんかんぷんですっ)
(,゚Д゚)「ああ?それなら俺だって知ってるさ…
遥か昔、その接続によって、この世に神具が現れたって話だろ?」
(,゚Д゚)「ただの伝説じゃねえか…」
こいつがそうだとでも?馬鹿にしたようにギコは言う
だがしぃは目を輝かせて言った
(*゚ー゚)「うん!きっとそうよ!この人は異世界から来たのよ!」
ミ,゚Д゚彡「異世界…?」
(;゚Д゚)「しぃ…前から言ってるがあまり空想と現実をごっちゃにするのは…」
ギコは呆れるようにしぃを諭す
- 23
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:35:21.58 ID:RDZiqDyI0
だがそれに反応する馬鹿が一人
ミ,゚Д゚彡「…そうかもしれない」
(゚Д゚)「………予想guy」
そういう俺に、しぃがもう飛び跳ねる勢いで喜ぶ
(*゚ー゚)「でしょ!?でしょ!?」
ミ,゚Д゚彡「そうだ、ここは俺の世界じゃないんだ!」
(*゚ー゚)「キャー!!伝説は本当だったんだわ!!」
ミ,゚Д゚彡「そう、その者…蒼き衣纏いて金色の野に降り立つ…そう言えば確かにそれだった!」
(*゚ー゚)「何それ?」
ミ,゚Д゚彡「俺の世界のっ…伝説さ!」
(*゚ー゚)「凄い!これは歴史的発見よ!」
「キャーキャー」
そんな様子を見ていたギコが悪態をつく
(;゚Д゚)「……ついていけねえ」
そんなギコに…興奮した様子でしぃが諭す
(*゚ー゚)「ね?ギコ、そんな理由よ…わかるでしょ?」
(♯゚Д゚)「さっぱりわからんわ!!」
- 24
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:36:58.50 ID:RDZiqDyI0
そうか、ここは異世界だったんだ…納得
良かった良かった、これで謎は解けたね
ミ,゚Д゚彡「で、俺が元の世界に帰るにはどうしたら?」
(*゚ー゚)「知〜らない(はーと」
…………
…良かった良かった、これで謎は解けたね
ミ,゚Д゚彡「…で?俺が元の世界に帰るにはどうしたら?」
(*゚ー゚)「知・ら・な・い♪(はーと」
………………
……良かった良かった、これで謎は解けたね
ミ;゚Д゚彡「……で?俺が元の世界に帰るにはどうしたら?」
(*゚ー゚)「知 ら な い わ(はーと」
- 25
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:38:20.62 ID:RDZiqDyI0
- ……………
部屋の片隅にある塊
そこからは、何かがすすり泣く声が
「しくしくしくしく………」
(;゚Д゚)(おい、何とかしてやれよ…)
(;゚ー゚)(無茶言わないでよ…帰る方法なんて知る訳ないでしょ?)
(;゚Д゚)(じゃあ…あんな変な事言うなよな…)
やれやれ、と…ギコは泣き声の方に向かう
(;゚Д゚)「…まあ、ほら、別に本当に異世界から来たって決まった訳じゃねえだろ?」
……
- 26
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:39:59.84 ID:RDZiqDyI0
- (;;゚Д゚)「それに…あれだ、帰る場所が分かるまでここに居ていいから…」
………
(;;;゚Д゚)「明日から色々調べたらいいだろ?…ほら、色々聞いてみたらすぐ分かるって」
「俺達も手伝ってやるから」
そう言った瞬間、隅の塊が振り向いた
ミ*゚Д゚彡「ですよね!」
(♯゚Д゚)(こいつ…今の言葉待ってやがったな…)
- 28
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:41:09.56 ID:RDZiqDyI0
- 一つの空き部屋に入る
(,゚Д゚)「ここは客様の部屋だから…まあ好きに使え」
ミ,゚Д゚彡「いや、本当何から何までありがとうございます、ギコさん」
へこへこと下手に出る
(,゚Д゚)「…きめえ」
…ひどい言われようだ
ミ,゚Д゚彡「あっ、ところでトイレはどこ?」
(,゚Д゚)「…玄関からすぐの横だ」
ミ,゚Д゚彡「了解〜覚えておくよ!」
そしてギコは、じゃあな…と立ち去ろうとする
何か話したいなー、そう思って
ミ,゚Д゚彡「なぁ、ちょい聞いていい?」
(,゚Д゚)「何だ?」
呼び止めた
- 29
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:42:40.34 ID:RDZiqDyI0
- …は、いいんだけど会話が浮かばない
ミ;゚Д゚彡(うーん…あ…そうだ)
ミ,゚Д゚彡「ギコ達は、何であの場所に居たんだ?デート?」
…口に出してから思ったが
やばい、こんな事言ったら怒られる!?
あ、何か嫌な汗が出た
(,゚Д゚)「まあな…何でもあの付近に綺麗な湖があるって聞いて見に行ったんだ」
…あれ?普通だ
ミ,゚Д゚彡「へえ?…で、あったの?」
- 30
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:43:58.90 ID:RDZiqDyI0
- (,-Д-)「ああ、それほど大きくはないが…そこだけ森に穴が開いたような場所だった」
ミ,゚Д゚彡「じゃあ、彼女も喜んだだろ〜?」
(;゚Д゚)「うっせえ!」
「はははははっ」
狭い廊下に笑い声が反響する
ミ,゚Д゚彡(そうか…こいつは本人には自分の想いを知られたくないって奴か…)
- 31
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:45:19.25 ID:RDZiqDyI0
- だから俺がここに来る事、何だかんだ言いながら許したんだな
第三者の壁があって普通で居られるっていうの?
(,゚Д゚)「さて、もう寝るぞ…じゃあな」
ミ,゚Д゚彡「ああ、おやすみ〜」
ドアが閉まり、一人になる
さて…泣いたら気分も晴れたし、とりあえず寝よう
………………
- 32
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:46:14.17 ID:RDZiqDyI0
明るい部屋
上にあるのは少し大きめな電球
部屋にスイッチらしきものは見当たらない
ミ;-Д-彡「これ…電気、どうやって消すの?」
- 33
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:47:29.84 ID:RDZiqDyI0
- 朝が来た
大空は青く澄みきっている
ミ-Д-彡「……ZZZ」
フォン…ヴォンッ
ミ;-Д-彡「……ZZ」
ヒュッ…ゴッ!!!
ミ,-Д゚彡「……んん?」
重たい瞼を上げれば
部屋は明るさに満ちていた
- 34
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:48:57.35 ID:RDZiqDyI0
ミ,゚Д゚彡「!?」
何処だここ!
飛び起きて窓の外を見る
その時点で昨夜の事を思い出した
ミ,゚Д゚彡「そっか…俺……ん?」
外に誰か居る…ギコだ
ミ,゚Д゚彡(何やってんだろ)
何やら棒状の物を持って座っている
…見に行ってみようっと
- 35
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:51:11.10 ID:RDZiqDyI0
外は少し冷えたけど
昇り始めた太陽が少しずつ暖かさを運んでくる
うん、今日は快晴だ
ミ,゚Д゚彡「ギコ!おはようっ」
(;゚Д゚)「ん?何だ、もう起きたんか…」
ミ,゚Д゚彡「慣れない場所は寝覚めがいいもんだからねっ」
(;゚Д゚)「回りくどい言い方する奴だなぁ…」
ミ,゚Д゚彡「ギコは何してるんだ?」
- 36
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:53:24.47 ID:RDZiqDyI0
(,゚Д゚)「ただの日課だよ」
ミ,゚Д゚彡「日課って?」
ξ゚Д゚)ξ「…何でもいいだろ」
ぷいと顔を背ける
むうっ…隠されると気になるじゃないか
……いやまあ
そこらにある物見ればわかるんだけどね
ミ,゚Д゚彡「剣道…やってるんだ?」
(,゚Д゚)「剣道…?まあ、確かに剣だが…」
- 37
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:54:59.76 ID:RDZiqDyI0
- ギコがさっきから持ってるのは木刀
そして太い木に何重にも巻かれた布
ミ,゚Д゚彡「あ、ところでさ…」
(,゚Д゚)「…何だよ」
ミ,゚Д゚彡「部屋の電気ってどうやって消すの?」
(,゚Д゚)「………」
- 38
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:56:14.04 ID:RDZiqDyI0
ミ,゚Д゚彡「うん、これもいける」
(*゚ー゚)「そう?」
(,゚Д゚)「………モグモグ」
しぃさんが用意した朝ごはん
俺が起きた頃にはとっくに起きて用意していたらしぃ
うむむ…寝覚めうんぬん言っておいて結局一番寝てたって訳だ…
俺がおいしぃと言ったらしぃさんは
(*゚ー゚)「ギコの方が料理は上手よ……滅多に作ってくれないけど」
だそうだ
ギコに催促してみたらムスッとして黙ってしまった
ξ,゚Д゚)ξ「…何見てるんだよ…」
ミ,゚Д゚彡「いえ別に」
(*゚ー゚)「クスッ」
- 39
名前:鮨 :2006/12/06(水) 18:58:01.74 ID:RDZiqDyI0
(,゚Д゚)「そういえば…どうするんだ?」
朝食の片付けも終わると、ギコが切り出す
ミ;゚Д゚彡「え…?そりゃ、帰る方法を…」
(*゚ー゚)「うん、私が図書室に連れて行こうかと思うんだけど」
ミ;-Д-彡(ありゃ?俺に言ってるんじゃないのね…)
(,゚Д゚)「まあ、妥当なとこだな」
- 40
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:00:02.92 ID:RDZiqDyI0
- (,゚Д゚)「まあ、妥当なとこだな」
ミ,゚Д゚彡「…図書室…?」
(*゚ー゚)「うん、私達は城で務めがあるから家に居られないの…だから」
(,゚Д゚)「それとも一人で探すか?」
何だかよくわからないけど俺は……
- 41
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:01:04.06 ID:RDZiqDyI0
- 時刻はお昼時
ギコが図書室へ入ってくる
(,゚Д゚)「しぃ、と…つーもか、どうだ?何かわかっt…………」
(;゚ー゚)「うん、あははは………」
(;゚‐゚)「…………」
数冊の本に囲まれた中で、突っ伏している男が一名
そこからはすすり泣く様な声が聞こえてくる
ミ, Д 彡「しくしくしくしくしくしく」
(;゚Д゚)「…何があったんだ?」
(;゚ー゚)「うん、それが…」
- 43
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:03:03.93 ID:RDZiqDyI0
- 城に来る前、まずギコが先に出かけた
その後、しぃはフッサールを連れて外に出た
ギコ宅玄関前
ミ;゚Д゚彡「城!?城があるよ!?」
(;゚ー゚)「え…?何?どうしたの?」
城門前
兵士「………」
ミ;゚Д゚彡「うっわ!すげえ!お城ktkr!」
(*゚ー゚)(…恥ずかしぃ)
- 44
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:05:07.81 ID:RDZiqDyI0
- 城内通路
ミ゚Д゚;三;゚Д゚彡「うーわー…すごいなこれ…」
川゚-゚)「…何か変な奴がいる」
(;゚ー゚)「す…すいません」
図書室
ミ;゚Д゚彡「すげー!でっけえ!俺の地元の図書館よりでかいぞ!!」
(*゚−゚)「あの…すみません、書室ではあまり騒がれないよう…」
(;゚ー゚)「あ、あはは…ごめんね?つー…」
ミ;゚Д゚彡「あ、ごめんしぃさん」
(*゚−゚)「いえ…」
(;゚ー゚)「しぃは私なんだけど…」
- 45
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:06:57.90 ID:RDZiqDyI0
- ミ,゚Д゚彡「あれ?ああ、ごめん、しぃさん」
(*゚ー゚)「うん」
ミ,゚Д゚彡「で、世界についての本とかを見ればいいのかな」
(*゚ー゚)「そうね、そこに司書さんが居るから聞いてみれば?」
ミ,゚Д゚彡「うん、そんな訳で…しぃさん、そんな本どこにあるか分かる?」
(*゚−゚)「それでしたら……こちらです」
しぃさんに連れられ、二階に向かう
……………
むぅ……いつの間に二人に…
- 46
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:08:19.11 ID:RDZiqDyI0
- (♯゚ー゚)「んな訳ないでしょ!!」
ミ;゚Д゚彡「へ?」
…………
ミ,゚Д゚彡「…何と……双子さんでしたか…」
しかし似ている…似ているなんてもんじゃない
ほとんど同じ顔だ…
でもつーさんって方は随分と静かそうな子だな
笑えばもっと可愛いだろうに…勿体無い
(*゚ー゚)「うん、私達はここの双子司書って有名なのよ?」
(*゚−゚)「……」
- 48
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:10:23.61 ID:RDZiqDyI0
(;゚ー゚)「それにしても…間違われるのは良くある事だけど…
何の疑問も持たずに話進められたのは流石に初めてよ…?」
ミ;゚Д゚彡「いや、その…あんまりそっくりだったから…どっちもしぃさんかと」
(;゚ー゚)「本当に…不思議な人よね」
いかん、このままでは変人扱いだ
慌てて別の会話を探す
ミ;゚Д゚彡「え、えと!で?こちらの人は?」
(*゚−゚)「…つー、です」
む……これはこれでありかも知れない
…何だか捨てられた子猫の様な可愛さが
- 50
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:11:47.95 ID:RDZiqDyI0
ミ,゚Д゚彡「初めましてっ…つーちゃん、僕はフッサール」
よろしくっ、とNHKのお兄さんの如き笑顔で手を差し出す
(;゚ー゚)(その口調は何なんだろう…)
(*゚−゚)「……その、よろしく…」
(*゚−゚)「………ぁ」
つーちゃんは俺の顔をじっと見つめて何かを呟いた
ミ,゚Д゚彡「?」
(*゚−゚)「ギコ…そっくり」
ああ、そういえば似てるんだっけ
ミ,゚Д゚彡「でしょう〜?実は双子なんだよっ!」
- 51
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:13:03.51 ID:RDZiqDyI0
Σ(*゚−゚)「ほんと?」
あ、いい感じ…
ミ,゚Д゚彡「うんっ…実はね?俺の本名はフッサーギコと言ってね…生き別れた
(♯゚ー゚)「はいそこまで!この子信じちゃうでしょ!」
止められてしまった
(*゚−゚)「……フサ…ギコ?」
ミ,゚Д゚彡「へ?」
(*゚ー゚)「あ、いいわねそれ!フッサール君ってちょっと呼び辛かったのよね」
ミ;-Д-彡「ひどい……」
呼び辛いって……泣いちゃおうかな
- 52
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:15:01.97 ID:RDZiqDyI0
そんな事を考えていると
つーちゃんがくすっと笑って…
くすっと笑って?
(*゚∀゚)「…ごめんね、フサギコ君」
(;゚ー゚)ミ,゚Д゚彡「…!」
…これは予想外
こんな風に笑うんだ…この子
随分と…明るい笑顔
ミ,゚Д゚彡「うん…いや、イーンダヨつーちゃん!」
(*゚∀゚)「えへへ……」
- 54
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:17:01.89 ID:RDZiqDyI0
- (*゚ー゚)「………………」
ミ,゚Д゚彡「じゃあ本、お願いしていいかなっ?」
(*゚∀゚)「…うん」
そう言うと
つーちゃんは小走りで行ってしまった
(*゚ー゚)「……あの子ね」
ミ,゚Д゚彡「へ?」
気がつくとしぃさんが立っていた
(*゚ー゚)「昔から凄い人見知りで…あんまり人と接することが無くてね…
人付き合いがどうにも苦手な子なの」
- 55
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:18:37.74 ID:RDZiqDyI0
- ミ,゚Д゚彡「へえ…それで司書なんて大丈夫なの?」
(*゚ー゚)「ふふっ…だからこその修行みたいな物なんだけどね」
ふむ…確かに苦手だからって逃げてちゃいつまでたっても成長できないもんな
(*゚ー゚)「それに…今の様子なら平気そうだしね」
ミ,゚Д゚彡「うん、あんな風に笑えれば充分だよ!俺が保障するねっ」
(*゚ー゚)(あんな風に笑うのを見たのは…初めてだけどね…)
しぃが、そっと囁いた
ミ;゚Д゚彡「へっ?何て言ったの?」
- 56
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:20:24.10 ID:RDZiqDyI0
聞き返した所で、ちょうどつーちゃんが本を持ってきてくれた
(*゚∀゚)「…はい」
ミ,゚Д゚彡「ありがと〜」
何々…?「世界の発展(VIP国)」「世界のなりたち」「神具と管理者」他
ふむ……分厚い…こういう本って苦手なんだよなぁ…
しょうがない…片っ端から見てみるか………適当に語呂探せばわかるだろぅ
ミ,゚Д゚彡「ふむ…世界の発展(VIP国)?」
(*゚ー゚)「ちなみに…VIP国ってのはここの事よ?」
ミ;゚Д゚彡「…はい?国?しかもVIP!?」
- 57
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:21:58.56 ID:RDZiqDyI0
- 何だ?どう言うこった…?
VIPって…今度AA市が改名する地名じゃないか!
まさかここは未来?いやいや、それはねーよ
大体国って何だ国って…嫌な考えが頭をよぎったけど無視した
ミ,゚Д゚彡(とにかく読んでみよう)
そして、俺はその本の最初の1ページを開いた
そして、それが最後のページになった
ミ;゚Д゚彡「!!??」
- 58
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:23:12.12 ID:RDZiqDyI0
そこに描かれていたのは世界地図
俺の知ってる地図とはかけ離れた地図
見た事のない形をした地形の上には10ヵ国分の名前がある
それだけ
それだけで俺は全て悟った
俺はもう…家には帰れない…のか……
う…泣きそう…いや我慢我慢……
ミ,;Д;彡「ううう……っ」
出来ませんでしたー
(;゚ー゚)(;゚−゚)「!?」
- 59
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:24:59.56 ID:RDZiqDyI0
- …………………
(;゚ー゚)「とまあ…そんな訳で」
(;゚Д゚)「本見て早々泣き出したのか…」
「しくしくしくしくしくしく」
(;゚Д゚)「おい…!いつまでも泣いてんなよ!女々しいな…」
ミ,゚Д゚彡「そっすね」
(*゚∀゚)「……!」
- 60
名前:鮨 :2006/12/06(水) 19:26:33.65 ID:RDZiqDyI0
さて、泣いたらすっきりした…
まあ帰れないって決まった訳じゃないし…
一人じゃないみたいだから…少し頑張ってみようか
どうにか帰る方法が見つかるまで!
ミ,゚Д゚彡「という事でこれからよろしくお願いしますね」
(;゚Д゚)「………は?」
つづく
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