35 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:35:42.96 ID:CW2xQYnn0
第二話「ドクオとクー」


さて、ギコさんが出かけてしまって暇を持て余すので…家の中を見て回る事にした
我ながらいい適応力をしているね

とりあえず見渡すと
それほど家の内装などの違いは無い、構造は玄関から入ってすぐに廊下が伸びていて、そこにドアが6つ程並んでいる
ちなみに玄関から入ってすぐ右がトイレだった……よく憶えておこう、きっと大事な事だから

トイレの前でそんな事を考えていると、コンコンと玄関を誰かが叩いた

(;'A`)「ギコさん?…いや違うよね、どうしよう行った方がいいのかないやでも」

36 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:37:37.64 ID:CW2xQYnn0
トイレの前でブツブツ悩んでいるとドアが開いた

ガラッ(AA略
ガチャッ!バタン!!

川 ゚ -゚)「邪魔するぞ…ん、ギコ?」

思わずトイレに隠れてしまった

(;'A`)「いや隠れてどうするの俺」

川;゚ -゚)「どうしたんだ、慌ててトイレに駆け込んで…腹でも壊したのか?」

これは困った…何で隠れちゃったんだろう、出辛い、激しく出辛い

川 ゚ -゚)「ギコ…?」
不審に思ったのか彼女はドアの前に立って、返事をしろ、大丈夫か?とドアを叩いてきた

とりあえずドアを開けられると困るので鼻をつまんで声色を変えて返事をした
('つA`)「大丈夫」

37 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:42:56.46 ID:CW2xQYnn0
川 ゚ -゚)「そうか…じゃあ上がっているぞ?」

なんと通じた!
('つA`)「ああ」

川 ゚ -゚)「……ずいぶん今日は無口なんだな、何かあったのか?」


ふと考えた
このまま俺の事を紹介しつつ,この場をやり過ごせば何とかなるんじゃね?

     |
   \  __  /
   _  (m) _ピコーン
      |ミ|
    /  `´  \
      ('A`)
     ノヽノヽ
       くく

    「天才!」
39 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:45:10.17 ID:CW2xQYnn0
('つA`)「実は今日からこの家にドクオって奴が住む事になったんだ」

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・聞いたこと無いな、VIPの人間なのか?」

('つA`)「そう、VIP市って所から……ん?VIP?」

そういえばギコさんもそう言っていたじゃないか、何故その時気づかなかったんだ

('つA`)「ここも、VIPっていうのか…?それとも、もしかしてここってVIP市なのか?」

川;゚ -゚)「ギコ…一体どうしたんだ?まるでお前じゃないみたいだぞ?」

('A`)「これは…確かめてみる価値あり!!」


川 ゚ -゚)「・・・誰だ、お前は?」

40 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:47:39.92 ID:CW2xQYnn0
しまった!指を離してしまった!くそ、ばれちまっただ!

……っていうかマジだったの!?ギコさんの知り合いとかじゃ

川 ゚ -゚)「・・・・・・悪いが、出てきてもらう」

('A`)「え゛・・・?」
外からの声が聞こえたかと思った瞬間、突然トイレの水がゴボゴボと増えていく

川 ゚ -゚)「さあ、早く出て来い、さもなくばトイレの水が溢れ返すぞ…!!」

何がどうなってるのかは分からないがこの水が今俺の足を襲おうとしているのは分かる
それにここは人の家だ、こんな事で人の家を汚す訳にはいかない
('A`)「………く」

諦めて鍵を開け、ドアをゆっくりと開いていく

川 ゚ ー゚)「ふふふ…そうだ、観念したか」

41 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:49:57.12 ID:CW2xQYnn0
ガラッ
「ただいま帰ったぞー」
その時、ちょうどギコが帰ってきた

「おぉ、来てたのかク」まで言いかけたギコがその場で固まった

(;゚Д゚)「お前ら……何やってるんだ?」

ギコの居る位置からちょうど見えるのは、トイレのドアを挟んで睨み合う若い男女の姿だった

川 ゚ ー゚)「待っていろギコ、今不審者を燻り出してやる!」

ごぼごぼごぼごぼg
「アッーーーー!!」

(♯゚Д゚)「やめんかいゴルァーーーー!!!
43 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:53:33.34 ID:CW2xQYnn0
…と、まあそんなこんなで俺は彼女と運命的な出会いを果たした

(,,゚Д゚)「ドクオ、こいつはクー、よく飯を食いに来るからこれからもよく会うと思うからな、よろしくしてやってくれ」

長い黒髪に細身の綺麗な女性、こんな出会いじゃなければ正直惚れてたと思う

川 ゚ ー゚)「ドクオ、か…すまなかった、実は空腹で苛立ってたんだ」
('A`)「そ、そうですか…」
あー…どうだろう

その後、ギコさんは紹介を終えるとさっさと飯を作りに行き、クーも逃げるようにそれについていった
……そして残ったのは水びたしのトイレ

それが…見知らぬ場所に突然住み込む事になったドクオの最初の仕事だった

44 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:55:27.49 ID:CW2xQYnn0
(*'∀`)「ふぅ…っ」
水浸しになった床を磨いている内についつい掃除に夢中になってしまった
ピカピカになった便器についうっとりしちゃう

川 ゚ -゚)「ドクオ、用意できたぞ」

('A`)「あ、今行くよ」

川 ゚ ー゚)「ギコの料理は絶品だぞ、ここに住める事を感謝するといい」


クーに促され、一番奥の部屋で3人、料理で埋め尽くされたテーブルを囲んで昼食にありついた

('A`)「これって全部ギコさんが?」

川 ゚ -゚)「がつがつがつがつがつ 

(,,゚Д゚)「ん?ああ、美味いだろ?今日は得意な物ばかり用意したからな!」
ふふん、と少し自慢げに言う

川 ゚ -゚)「ずずずずずずずず

45 名前:はぐれVIPPER :2006/11/24(金) 12:58:09.94 ID:CW2xQYnn0
そう、本当に美味しかった、ご飯の炊き加減からどの料理も
ただほとんどクーに食べられてしまったのはきっと気のせいじゃない
………オノレ

そうそう、クーといえばさっきのトイレの事を思い出した

('A`)「あの、ところでさっきの水が溢れたのは…」

(,,゚Д゚)「ああ、こいつも接続者だからな」

またそれだ

('A`)「……接続者…って何ですか?ここに連れて来られる時にも言われたんですけど…」

(,,゚Д゚)「うーん、こういう事が出来る奴だな」

そう言うとギコはマッチに火を点け、それに手をかざした
そして次の瞬間にはその手の上で炎が燃え上がった

(;゚A゚)「……………………………………え?え!?」
目の前でファンタジーが起きている、思わず視線が泳ぐ

そんな様子をクーは楽しそうに見ている
川 ゚ ー゚)「ふふっ」
47 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:03:32.27 ID:CW2xQYnn0
(,,゚Д゚)「ふむ、やはりわからないか……接続者ってのは世界が持つ能力にアクセスできる者の事でな

つまり世界が起こす力、代表的には火や水、風や雷
それらに自分を接続して操る事が出来る人間を接続者と呼ぶ


(,,゚Д゚)「んで、俺はこの通り火の接続者ってわけだが…


好き放題にできる訳ではなく
先ほどギコがやったようにまずその接続先が自分の範囲内になければならない
そして距離が離れれば離れるほどアクセスできるまで時間がかかる

(,,゚Д゚)「って所だ」

('∀`)「へえぇぇ……すげえ、すげえよ!」
まるで魔法を見せられているようだった

('∀`)「ね、ねえギコさん、俺も出来るのかな!?」

(,,゚Д゚)「まあ、無理だな」

言い切られてしまった
('A`)「…ソウナノ?」

48 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:05:49.41 ID:CW2xQYnn0
(,,゚Д゚)「ああ、これはいわゆる一子相伝というか…自分の持つアクセス権を人に完全に譲ることで使用できる物でな
     だから別に誰でもできる事じゃないし、それを譲ろうなんて奴はそう居るもんじゃない」

('A`)「なるほど……」
そりゃ皆が皆そんな事できたらカオスだよね


('∀`)「でもやっぱいいなぁー…クーも水を操れるんだろ?」

川 - )「え…?あ…あぁ、まあ、な」

俺が興奮してクーに話しかけると、何故か急に表情を曇らせた

川 - )「水の…私の力なんてあったところで…」

('A`)「…クー?」

何となく変な空気になってしまった…

川;゚-゚)「いや、なんでもない」

(,,゚Д゚)「………さて、そろそろ片付けるか…クー手伝ってくれ」
川 ゚-゚)「わかった」

49 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:09:55.71 ID:CW2xQYnn0
二人が席を立ってしまい俺はまた残されてしまった、しかもちょっと何だか気まずい

少しはしゃぎすぎたのだろうか?
はぁ、と溜息一つ、とりあえず部屋から出る事にした

('A`)「さて、どうしようかな…」
そういえば一つ気になる事があったのでした
ここはVIPだと二人が言った、そして俺が住んでいた場所もVIPだ…外に出れば何か分かるかもしれない、と
未知への喜びと、少しの恐怖を胸に、玄関のドアを開けた

目の前には一戸建ての家が並び、普通の住宅街を思わせた
だけど最初に目についたのは

円錐型に細長い屋根が何本か生えた家…家?

いやあれは



(;'A`)「お…お城?」
51 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:16:14.22 ID:CW2xQYnn0
立ち並ぶ民家はどれも見た事のあるような形ばかりだった

でもあの正面に見えるあれは何だ?まるで某ネズミ王国じゃないか

高さは精々3階建て程度なんだろうが何せ回りは一階建ての家しかない、余計に目立つ

いかん、wktkしてきた
(*'A`)「見に行こう!すぐ行こう!!」
とりあえず城に向けて走り出した

通り過ぎる人はその城の事を、そして俺の事も気にした様子は無い
でも俺は気になる、それが何だかおかしくて、嬉しい
何だか不思議な感覚だった


ハッとした、そういえば出かける事言わずに出ちゃった…
…うん平気だよね、すぐ戻れば!

とりあえず深い事は考えない事にした

52 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:23:13.57 ID:CW2xQYnn0
(*'A`)「うわあ!うわあすげえやこれ」
もっとこう、近づけなかったりするかも…と思っていたが

割とあっさり目の前まで来れた
そびえる壁を見上げる
何だろうこの壁…コンクリートでできているのだろうか?

(*'A`)「お、見張りの人まで居る!本物だよこれ」

最早馬鹿丸出しのドクオ
そんな様子を門らしき所で立っている一人が見つめていた

('A`)「あ…目があっちゃった…」

その見張りの一人がドクオの事をじっと見つめている
そして「あーっ」とこちらに駆けよってきた

??「何だ?逃げ出したのかぁ?よくギコさんを出し抜いたもんだ!」

(;'A`)「あ、あの…?」

??「いや、冗談だよwwwそんな困った顔するなって!」

??「……あれ?もしかしてわからない?昨日の夜に…いや今日の朝方か?お前をギコさんの家に連れて行った奴だって!」

(;'A`)「あ、あーあー……」
3人居たから誰だかは分からないけど、とりあえず身構える、いつでも逃げられるように

53 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:24:58.90 ID:CW2xQYnn0
??「聞いたよ、本当に何てこと無い普通の人間だっ…てなw」

('A`)「はぁ……そうですか」

何だろう、何かされる様子は無いようだ

……少し話を聞いてみようか

('A`)「あの、聞いてもいいですか?」

??「ああ、なんだい?」

('A`)「え、と……

とりあえず気になることを片っ端から尋ねる事にした
自分の居た場所を知っているか、自分が来た場所に誰か居たかどうか
大体の質問はわからないと言われ、俺がこの世界のVIPじゃないVIPから来たと言った時は大いに笑われた

けれど、最後に聞いた事には答えが出た
56 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:30:37.00 ID:CW2xQYnn0
('A`)「何故俺を捕まえるような事を?」

??「ああ、それはなギコさんの命令だったからさ」

「え?」と声が漏れる
ギコさん?命令?

??「見張りの奴が裏山にあの変な光があるのを見つけて、それをギコさんに知らせたんだ
   そしたらすぐに調査に行け、何か居たり、発見したりしたら可能ならば俺の所に持ってくるようにってな」

(;'A`)「いや・・・!ちょ、あの!ギコさんが命令…って…?」

??「はは、そりゃあ上の人間が部下に命令するのは当たり前だろう?」

(;'A`)「上の…まさかこの城の王様…とか?」

男はわざとらしく吹き出すような仕草をする

(;'A`)「はは、流石にそれはないですよねww」

すると今度は誇らしげに語りだした
??「本当に知らないのか?あの人は――――」

57 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:35:24.05 ID:CW2xQYnn0
――――ギコの家 正面

('A`)「…ふぅ…」
俺は今、本当に異世界に居るんだ、現実がようやく見えた気がする

そう、合点がいった
最初に説明したとき、違う世界から来たと聞いても何の反応も無かった事
そしてすぐにここに居ていいと言い出した事

間違いなく何か知っているんだ、ちゃんと話をしよう、きっと答えてくれる…そんな気がする
59 名前:愛のセーラー戦士 :2006/11/24(金) 13:39:27.53 ID:CW2xQYnn0
 ??(あの人は―――――) 


 ('A`)(…VIP国が誇る誓約の騎士団?…の……リーダー?)


 ??(あの人の名を知らない奴なんてそうは居ないだろうな)
  

 ??(接続者にして管理者、そして二度に渡りこの国を護った英雄として)
 

 ??(ん?ああ、管理者ってのは神具クラスの武器や道具を扱える者の事さ)
  

 ??(んで大抵管理者はその武器の二つ名で呼ばれるようになる)

 ??(あの人は―――



('A`)「破壊の…管理者…」



二話 終

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