3 名前: :2007/01/11(木) 17:36:14.73 ID:xxf1U0WO0

第14話 「ドクオとモナー」


………………………………。

………………………

……はっ……………

……………

…………

………………はあっ……………

…………ぜえ……ぜえ……………………………

ここは…どこだろうか


   ・
俺…俺達は…既にどこだか分からない場所にいる

とにかく川沿いに川沿いに

4 名前: :2007/01/11(木) 17:37:05.43 ID:xxf1U0WO0

「大丈夫モナ?」

「…は、はい…何とか…でも」

「……………」

俺は眠る彼女を見つめる

「………っ」

「大丈夫…すぐ目を覚ますモナ」

「…とりあえず休むモナ…」

「はい…はぁ…はぁ…」


混乱する思考を落ち着ける

(俺…は、なんで…今こんなことになってるんだっけ…)


俺は…


俺は彼女にあの場所でフサさんの話を聞いて…それで…それで…?

あのあと城で朝を迎えた俺がギコさんの様子を見に行って…


5 名前: :2007/01/11(木) 17:37:53.46 ID:xxf1U0WO0

…………………

……………

………

……



('A`)「失礼します…」

(メメ゚Д゚)「ドクオ…?」

部屋に入るとギコさんがベッドの上で上半身を起こし俺を迎え入れた

('A`)「あの…大丈夫ですか?」

(メメ゚Д゚)「ああ、大丈夫だ…と言いたいが、こんな格好じゃ説得力ないか…」

('A`)「横になったほうがいいんじゃ…?」

(メメ゚Д゚)「はは、流石にこれくらいは平気さ…それより
     そんな入り口で立ってないで中に入ったらどうだ?」

(;'A`)「あ…はい」

6 名前: :2007/01/11(木) 17:38:25.55 ID:xxf1U0WO0

中はまるで病室の様にベッドが並んでいる
その内の一つにはしぃさんらしき人が寝ているのが視界に入った

(メメ゚Д゚)「どこも…怪我はないか?」

('A`)「え、いえ俺は何とも」

(メメ゚Д゚)「そうか…なら良かった」

('A`)(…)
俺の心配してる場合じゃないだろうに
つい言葉が詰まって黙り込んでしまう

(メメ゚Д゚)「…すまないな…俺は…本当はな」

('A`)「あの…ギコさん、俺実は…」

……………

7 名前: :2007/01/11(木) 17:39:09.26 ID:xxf1U0WO0

(メメ-Д-)「そうか…全部…聞いたんだな…」

('A`)「…はい」


(メメ゚Д゚)「…なら俺からもちゃんと話しておく」

('A`)「…お願いします」

(メメ゚Д゚)「ああ…そうだな…」


(メメ゚Д゚)「…フサが最後に放った光…それがな
     お前が居たっていう場所で起きた光と良く似ていたんだ」

('A`)「そうですか、それで…そこの調査をさせたんですね」

(メメ゚Д゚)「ああ…情けない話だが、もしかしたらあいつが…
     …そこに居るんじゃないか…そんな思いもあってな」

('A`)「……」

8 名前: :2007/01/11(木) 17:40:04.29 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「俺は…俺達はフサの奴に多大な責任を押し付けちまった…」

('A`)「誰も…フサさんに言わなかったんですか?」

(メメ゚Д゚)「言い訳以外の何者でもないが…言えなかった
     …臆病で、情けなくて、弱くて、泣き虫だったから…
     あいつがやると言っている以上…励ますくらいしか出来なかった」

(;'A`)(凄い言われようだな…) 

(メメ゚Д゚)「だが、何より皆…逃げると思ってたんだ…危なくなれば、嫌になれば
     逃げ出すだろうって…」

('A`)「…………」

(メメ゚Д゚)「期待してない…とかじゃない、期待していたからこそ…
     戦うのも逃げるのも任せていた…だけのつもりだった
     だがあいつは…責任を背負い続けた」

(メメ-Д-)「弱くなんか無かったんだ…誰かの為に涙を流して
     そして自分を捨てても誰かの為に生きられる
     ……強い奴だった」



9 名前: :2007/01/11(木) 17:41:13.27 ID:xxf1U0WO0

「涙を流せる」
その言葉に少し胸が痛んだ


 
('A`)(俺は……)


(メメ゚Д゚)「お前は…何故だろうな、あいつに似ているよ」

('A`)「俺が?…フサさんに…?」

(メメ゚Д゚)「最初は…境遇以外には何一つ共通点は感じなかった
     はっきり言って人間味の薄い変な奴だとさえ思った」


('A`)「……」


(メメ゚Д゚)「普通…気になったら問い詰めようとする事を
     お前は何やら気を使っているのか聞こうとしない
     変に人間が出来ていて…未だにどこか壁を感じる」


10 名前: :2007/01/11(木) 17:43:07.79 ID:xxf1U0WO0

( A )「……俺は…」

違う、俺は…俺は怖がってるだけだ
いつか誰かに言われた言葉を言われて胸が震えた


(メメ゚Д゚)「だけど気付くと良く分かる…その奥深くは、あいつとよく似てると」

(;'A`)「…!!」

(メメ゚Д゚)「クーも言っていたよ、あいつとは全然違うのにどこか似ていると…」

('A`)「俺はそんな……」

(メメ゚Д゚)「…クーが連れ去られた時、お前は俺に言ったな」

('A`)「え?」

(メメ゚Д゚)「…助けてと言ってくれたのに、守れないのは嫌だ…と」


(;'A`)(言ったかな…?)

正直あの時は必死だったからよく覚えてないんだよね…
ギコさんは俺を見る事無く静かに続けた


11 名前: :2007/01/11(木) 17:45:48.34 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「あいつも…俺に全く同じ事を言った
     …自分じゃ何もできない弱っちい癖に言う事だけは一人前で
     だが本気で思ってる、無力な自分を嘆いて…
     それでもどうにかしたいってな」

(;'A`)「そ…そんな格好いいもんじゃないですよ…」

(メメ゚Д゚)「だが俺はあの時、お前に同じ物を感じた…クーもそうだろう」

('A`)「……」

(メメ゚Д゚)「だからドクオ…お前に頼みたい事があるんだ…」

('A`)「なん…ですか?」

(メメ゚Д゚)「クーは…間違いなくお前とフサを重ねて見ている
     自分で気付いているのかどうかは分からないが…な」
     
('A`)(……そういえば…)


12 名前: :2007/01/11(木) 17:47:03.51 ID:xxf1U0WO0

言われてみれば思い当たる事がある
自分でも不思議なくらい彼女は俺に甘えてくるし
俺をフサさんとの約束の場所に何度も連れて行った事もそうだ

('A`)(…俺を見ているんじゃなかったんだ…)

…結構へこんだ

(メメ゚Д゚)「だからドクオ…!」

('A`)「…」

(メメ゚Д゚)「もしも…この先…この城が落ちるようなことになれば…
     お前はクーをつれて逃げてくれ」

(;'A`)「!?な、何を言って」

(メメ゚Д゚)「クーは…他人に助けを求めない…いや求められない
     かつてそれにより大事な人を失った事をずっと引きずっているせいだ」

(メメ゚Д゚)「お前も話を聞いたなら…気付いたんじゃないか?」

('A`)「…はい…自分のせいだって、だから誓ったんだ…って言ってました」


13 名前: :2007/01/11(木) 17:49:32.89 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「ああ、だからクーは確実にこの国と運命を共にしようとするだろう…
     それを止めてくれ、きっと…お前なら…いやお前にしかできない事だ」


(;'A`)「………で、でも…それなら」

(;'A`)「それならギコさんも一緒に逃げればいいじゃないですか…」

(メメ゚Д゚)「…それは出来ない、俺には戦う理由がある」

(;'A`)「でも…」

(メメ゚Д゚)「…これは俺の勝手な言い分なのは分かってる…
     だがそれでも、頼む」

(;'A`)「う…そんな」
ギコさんは俺に向けて頭を下げる
ここまでされて…それでも反対できる根性は俺には無かった

(メメ゚Д゚)「親心…とでも言うのか、少しクーと長い時間を共にし過ぎた様だ…
     俺はクーの奴を死なせたくない…あれには幸せになってほしいと思ってる」


('A`)「……」
15 名前: :2007/01/11(木) 17:51:20.17 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「そして…お前もな、ドクオ」

(;'A`)「俺も…?」

(メメ゚Д゚)「…何だかな、不安なんだ…お前はフサに似ていて…
     このままだと…あの馬鹿と同じ道を進んでしまいそうで…」


('A`)「………」

(メメ゚Д゚)「ドクオ…頼む」

これ以上…俺は何も言えなかった

そうしてその日の内に、神教国の進軍が迫っている事が分かり
VIPの兵達はそれを迎え撃つため準備を始めていた
管理者という支柱を崩されたVIPではあったが
単純な戦力差はそう変わらない


誰もが不安を抱えつつ


誰もが自分の居場所を守る為立ち上がろうとしていた


16 名前: :2007/01/11(木) 17:52:58.70 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「…俺も…ぐっ…」


(;゚ー゚)「駄目よギコ…そんな体じゃ…ろくに動けもしないでしょ!」

(*゚∀゚)「大丈夫だよ!皆強いから!負けないよ!」


(メメ゚Д゚)「そうもいかない…向こうには管理者が居る…」

川;゚ -゚)「落ち着けギコ!」

(メメ゚Д゚)「止めるな!!」

川;゚ -゚)「く…ドクオ!お前も止めてくれ!」



17 名前: :2007/01/11(木) 17:54:00.70 ID:xxf1U0WO0

('A`)「………」

(メメ゚Д゚)「ドクオ………」

ギコさんと目が合う
言いたい事は分かってる
俺は……


川;゚ -゚)「ドクオ…何故…黙ってるんだ!」


俺には…分からない…

止めるべきなのか

止めていいのか

…止めたい

そうだ止めたいに決まってる

だけど…



18 名前: :2007/01/11(木) 17:54:58.24 ID:xxf1U0WO0

(頼む…)


あの言葉が胸につかえて何も口に出せない

「………」

俺は何も言えず、ただ目をそらした

(メメ゚Д゚)「…すまんな、ドクオ…」

川♯゚ -゚)「な…!!なんでだ!!」

クーはそんな俺に組み付き怒りを隠すことなく向かってくる

川#゚ -゚) 「ドクオ!!どういうことだ!ギコが死んでも構わないと言うのか!?」

('A`)「……そんなこと…」

(;゚ー゚)「ギコ!動いちゃ駄目だってば!」

川;゚ -゚) 「!!」

(;゚∀゚)「寝てなきゃ駄目だよ!」


19 名前: :2007/01/11(木) 17:55:57.29 ID:xxf1U0WO0

(メメ゚Д゚)「分かってくれ…例え何も出来なくても…俺がそこに居るという事が
     必要なんだ…こちらにも、敵に対しても…」

(;゚ー゚)「だから…死にに行くのを許せっていうの!?嫌よそんなの!!」

(メメ゚Д゚)「…死ぬつもりは無い」

川♯゚ -゚)「じゃあ何しに行く気だ」

(メメ゚Д゚)「戦況を見て統率に専念する…それなら平気だろ?」

(;゚ー゚)「そ…それは…」

(メメ゚Д゚)「大丈夫だ…俺は必ず帰ってくる…」

(*゚∀゚)(ビクッ)

('A`)「…つーさん?」

震えてる…どうしたんだろう…

((;゚∀゚))「う、う、嘘だ…」

(メメ゚Д゚)「…?」

20 名前: :2007/01/11(木) 17:57:33.82 ID:xxf1U0WO0

((*;∀:))「嘘だよ!嘘だったじゃない!」

(;゚ー゚)「つー!?」


((*;∀;))「帰ってくるって言ったのに!」


「帰ってきてくれなかったじゃないか!!!!!」


悲痛な叫び…その場に居た誰もが動きを止めていた

('A`)「……」

川;゚ -゚)「……」

(*;ー;)「う……」

過去形の言葉は…つーさんが言ったのはきっとフサさんの事だろう
それでもギコさんはすぐにその沈黙を破った

(メメ゚Д゚)「…そうだな…嘘だ」


21 名前: :2007/01/11(木) 17:58:59.34 ID:xxf1U0WO0

川;゚ -゚)「…ギコ?」

(メメ゚Д゚)「生きて帰れるなんて思ってない…死にに行くつもりだ」

(*;ー;)「…ひっく……」

(メメ゚Д゚)「すまんな…俺が出なければ、向こうを調子付かせる
     そして何より……これは俺が背負わなければいけない事なんだ
     あいつを死なせた事…そして…
     …あいつに代わって英雄と呼ばれたその業を…」

川   - )「…………」

(メメ゚Д゚)「クー」

川;゚ -゚)「…な、何だ…」

(メメ゚Д゚)「…分かってくれるな?」

川 ゚ -゚)「嫌だ」

(メメ゚Д゚)「……お前なら…分かるだろ?」

川 - )「……」

23 名前: :2007/01/11(木) 18:00:44.32 ID:xxf1U0WO0
黙り俯くクーにギコさんは一歩近づくと
真剣な目をして言った

(メメ゚Д゚)「国王陛下…お許しを」

川;゚ -゚)「…っ…ぁ…う」

(メメ゚ー゚)「……ふっ…」
ギコさんはそんなクーを見ると笑顔でクーの頭に手を置く

川;゚ -゚)「…え…」

(メメ゚ー゚)「結局…お前とは毎日の様に一緒に居たな…
     何度来るなと言っても家に上がりこんできやがって」

川;゚ -゚)「…ぎ………こ…」

(メメ゚ー゚)「お前はやっぱり…国の王には向かない質だ
     優し過ぎる、王として生きるなら時には誰よりも冷酷でなくてはな…」
     
川;゚ -゚)「う……私…は」

(メメ゚ー゚)「…これも確か何度も言ったが、お前は誰も縛ってなんかいないよ
     ……もっと、自分に素直に生きろクー」

(メメ゚ー゚)「お前は幸せに生きていいんだ」
     
川 ;-;)「おにい…ちゃん」 

24 名前: :2007/01/11(木) 18:02:59.09 ID:xxf1U0WO0

(メメ-Д-)(……やはり…俺をまだそう呼ぶか…)

ふとクーから視線を外し、今度は俺を見据えてギコさんは言った

(メメ゚Д゚)「ドクオ…後は…頼む」

('A`)「……俺、やっぱり…」

(メメ゚Д゚)「……」

言葉も発する事なく俺を真っ直ぐに見つめてくる
その真意は……………分かってる

('A`)「……はい」

(メメ゚Д゚)「すまんな…」

(メメ゚Д゚)「じゃあ…行って来る……っと剣は…?」


25 名前: :2007/01/11(木) 18:04:09.21 ID:xxf1U0WO0

(*;ー;)「…」

しぃさんは黙ってその剣を差し出している

(メメ゚Д゚)「…しぃ…」

(*;ー;)「本当は今まで…あなたが戦いに出て行くたびに心配だった…」

(*;ー;)「…でも私は誰よりギコの事分かってるつもりだよ
     だからいつだって見送った……」

(メメ゚Д゚)「ああ…俺も…お前は分かってくれてると思ってる
     今更…言う事もない、俺の思いはずっと変わらない」

(*;ー;)「うん…分かってる…行ってらっしゃい…」

(メメ゚Д゚)「…じゃあ、な…」

ギコさんは剣を受け取ると力強く握り締め出て行った
後に残るのは、静寂と微かに聞こえる哀しそうな溜息だけだった…


26 名前: :2007/01/11(木) 18:05:26.01 ID:xxf1U0WO0

それから聞こえてくる情報は俺達を絶望させる物ばかり

まるで滅亡へのカウントダウン

『先行した部隊は全滅』

『VIP側は押されつつ自国へと退行』

そして

『既に神教国の侵攻はVIP国の目と鼻の先まで来ている』と

今…どういう状況なんだろう俺には…ギコさんがこの先の事を分かってたとしか思えない

だから俺は…

28 名前: :2007/01/11(木) 18:06:54.44 ID:xxf1U0WO0

川;゚ -゚)「…今なんて言った?」

('A`)「…この国を出て…どこかへ逃げるんだ」

川;゚ -゚)「は、ははは…何を言ってるんだ?」

('A`)「…悪いけど…無理にでも連れて行く」

川♯゚ -゚)「ふざけるな!私がそんな事すると…できると思ってるのか!?」

('A`)「だから…無理にでもって言ってるんだ…」

川♯゚ -゚)「…く…離せ!何でそんな事を言うんだドクオ!」

('A`)「…ギコさんからの頼まれ事だからだよ」

川♯゚ -゚)「ギコから?逃げろとか?それがどうした、そんなもの聞くつもりは無い」

(♯'A`)「クー!ギコさんが言ったの忘れたの?生きろって言ったんだよ!?」

川♯゚ -゚)「だからこそだ!私は生きてこの国の王でなくてはならない
      そして私が生きるのはここだ、ここに居る限り私は生きていられるんだ!」

(;'A`)「んな…」

29 名前: :2007/01/11(木) 18:08:18.78 ID:xxf1U0WO0

言ってることが支離滅裂だ

(♯'A`)「じゃあクー…死んでもいいってこと?」

川♯゚ -゚)「そうだ!私の生きる意味はVIP国の王である事だ…
      この国が滅びるなら、それは私の死でもある…王とはそういうものだ!」

(;'A`)(駄目だこのクー…早くなんとかしないと…)

川♯゚ -゚)「…」

どうにも口で何を言っても聞きそうにない
俺は段々と苛立ち始めていた

その時


( ´∀`)「お困りモナ?」
(;'A`)「うひゃあ!」

川;゚ -゚)「!?」
31 名前: :2007/01/11(木) 18:10:53.34 ID:xxf1U0WO0

突然背中から聞こえる声
変な声上げちゃった…

(;´∀`)「…あ、ごめんモナ…」

(;'A`)(びっくりした…全然人の気配なんてしなかったのに…)

振り向くとそこには見知らぬ男性の姿
腰に2本の剣を下げ両手には鉄の篭手をつけている
…見た感じ、兵士の人…だよね?

川 ゚ -゚)「…誰だ…」

( ´∀`)「あ、と僕はモナー…ギコさんの部下の一人だモナよ」

川;゚ -゚) 「何…?何故兵士が今こんなところに居るんだ…皆出払ったはずでは…」

(;´∀`)「それが…え、と…ギコさんに頼まれて…君等を護衛するようにって…」

('A`)「ギコさんが…?」


( ´∀`)「それじゃあ…逃げるモナか?」


32 名前: :2007/01/11(木) 18:12:55.98 ID:xxf1U0WO0

('A`)「…え?」

川;゚ -゚) 「何?」

そう言うや否や、その人はクーの口に何かを押し当てた

川;゚ -゚)「…!?…むぐぐ……む…ぅ…」

しばしの抵抗…そしてピクリとも動かなくなるクー
モナーと言った人は倒れこむクーを支えるとそのまま背中に担いだ

(;'A`)「ちょ!?な!!何を!?」

(;´∀`)「ね、眠らせただけモナ…心配いらないモナよ…」

(;'A`)「そ…そうですか…」

( ´∀`)「それじゃあ急ぐモナ!もう神教の連中はすぐそこまで来てるモナ!」

(;'A`)「…!!」


33 名前: :2007/01/11(木) 18:14:34.12 ID:xxf1U0WO0

そうして俺達は城を出て
人気の少ない家々の隙間を抜け山道に入った

山道はただ歩くだけでも体力を消耗する…
そんな様子を見てモナーさんが足を止めた

(;´∀`)「休憩するモナ…」

(;'A`)「はい…はぁ…はぁ…」

(;'A`)(………そうだ…それで今…こんな山道を…)

ふと隣を見ると、モナーさんがクーを木の根元に降ろしていた
それにしても…

(;'A`)(凄いな…この人…やっぱり兵士は違うんだなぁ…)

モナーさんは背中にクーを担いだままここまで小走りで山道を来た
にも関わらずほとんど息を切らしていない
…俺はもう限界だ…

それにしても………俺達だけ逃げてきちゃったけど…どうなってるんだろう…


34 名前: :2007/01/11(木) 18:16:59.79 ID:xxf1U0WO0

俺は少し歩き、見渡した
茂る木々…その森の奥にVIP国が見える…ここなら全体が見渡せる
初めて見るけど…こうして見ると本当に小さな国だ

山に囲まれていて、ここから向かって正面…そこだけ山が無い
それは巨大な防壁に囲まれ…そして奥にたった一つの門…そんな風に見えた

山のそこら中からは川が流れ、まるでその国を覆う様に囲み流れている

…それは走りながら見えた時から何も変わらない
もしかしたら何とかなったのだろうか?

ギコさんは…それに他の人達も…

「………」

俺は…これで…いいのだろうか…

「……ナ」

いや…こんなんじゃ駄目だ…

「…モナ?」

これは俺が託された事なんだから…しっかりしなきゃ…


35 名前: :2007/01/11(木) 18:18:39.92 ID:xxf1U0WO0

( ´∀`)「…大丈夫モナ?」

(;'A`)「あっ?…え…?」

(;´∀`)「何だかボーっとして…」

(;'A`)「い、いえ…すいません…癖みたいな物で…」

(;´∀`)「そうモナ…?なんだか無視されてるのかと」

(;'A`)「う…すいません…なんか俺ってボーっとしだすと
     その…自分の世界に入っちゃうと言うか」

(;´∀`)「あ…いやそんな謝られても困るモナ…」

(;'A`)「あ…すいません」

(;´∀`)「いやいや…いいんだモナよ…」

続く低姿勢の攻防

(;'A`)「……」
(;´∀`)「……」


( ´∀`)「……ぷっ…」

('∀`)「はははっ」


36 名前: :2007/01/11(木) 18:20:14.52 ID:xxf1U0WO0
よく分からない空気が流れてつい二人して笑いあう

…いい人だと思った
最初は怪しいと思ったけど、ギコさんが直接頼むくらいの人なんだし
悪い人じゃないに決まってる…かな?

それからしばらくして…変化

('A`)「…ぁ」

(;'A`)「あれは……!?」

見えたのは…火

一つの小さな家に炎が上がっている

(;'A`)「…あ…ああ…あ……!」

(;´∀`)「…………」

VIP国内の家が…燃えている

よくみると沢山の人が

豆粒みたいな人が

まるで小さな虫が蠢くように
38 名前: :2007/01/11(木) 18:23:44.82 ID:xxf1U0WO0

(;'A`)「……はぁ…はぁ…」

呼吸が…上手くできない…何だろう…俺…どうしt

(;'A`)「!!??」

また、一つの家に火が上がる

いや…ちょっと待て

あれは…あの位置は…!

(;'A`)「ギコさんの…家…」

(;´∀`)「大丈夫モナか…?」

(;'A`)「…く……ぁ…」

膝が笑ってる

胸が…胸が痛い…


39 名前: :2007/01/11(木) 18:25:39.04 ID:xxf1U0WO0

(;'A`)「……っ…」

何かが込み上がる様な感覚…吐き気にも似た感覚が怖くて
俺は必死に押さえ込んだ

(;'A`)「…う…ぅ…」

苦しい…息が詰まる…

(;´∀`)「あ!?」

(;'A`)「…え…」

モナーさんが咄嗟にあげた声に反応して思わず振り返った
…そこには、クーが静かに立ちすくんでいた

(;'A`)「……あ…」

彼女は目を見開き、呆然とそれを見つめている

川 ゚ -゚)「………」

その瞳の奥にははっきりと小さな火が見えた

(;'A`)「クー!!」

クーはそれをしばし見つめると、軽く俯き加減に走り出した


40 名前: :2007/01/11(木) 18:30:16.69 ID:xxf1U0WO0

(;'A`)「…くっ…」

(;´∀`)「ま…待つモナ!」

俺は彼女を追いかけた
坂道のせいでスピードがぐんぐん上がっていく

足にかかる衝撃が重い、気を抜けば転びそうだ

(;'A`)(あっ…!)

前を走っていたクーを一瞬見失う
先に転んだのは彼女のほうだった
綺麗に仰向けのまま数メートル滑り落ちる

「……つ…ぅ……ぅ」

(;'A`)「クー!大丈夫!?」

川メ゚ -゚)「…さ……な」

(;'A`)「え…」

川メ゚ -゚)「…触るな…」


41 名前: :2007/01/11(木) 18:31:34.17 ID:xxf1U0WO0

はっきりとした拒絶の言葉

『オマエハキラワレテルンダ』
忘れる事のできない言葉が頭の中を巡る

(;'A`)「…あ……」

伸ばしかけた手が止まる

川メ゚ -゚)「……」

反応できない俺を無視するようにクーが立ち上がりもう一度駆け出そうとするが
それはその場に居るもう一人に阻まれた


42 名前: :2007/01/11(木) 18:32:17.12 ID:xxf1U0WO0

川メ゚ -゚)「…離せ!離せえええええ!!!!」

(;´∀`)「だ…駄目モナ!…ちょ、痛い、暴れないで!」

(;・∀`)「え?何言ってるんだモナ!駄目モナよ!いたたたたっ!!」

(メ´∀`)「ほ、ほら!君も止めないと!行っちゃうモナよ!?」

モナーさんが必死にクーを止めてくれてる…
狂ったように腕を掴むモナーさんを殴り蹴り

('A`)「…」

そうだ…今は…こんな事気にしてる場合じゃない…

(;'A`)「クー…駄目だ、逃げるんだよ!」

「嫌だ嫌だ嫌だ!!!私は…私はあそこで…おにいちゃんが…ぁ!!!」

(;'A`)「ギコさんが…クーを死なせたくないって!そう言ったんだよ!?」

「離せ!離せ!!!!」

(;'A`)「フサギコさんだってそのはずだ!!クー!!」


43 名前: :2007/01/11(木) 18:32:58.23 ID:xxf1U0WO0

フサギコ…その言葉に反応したのかクーは抵抗を辞めこちらを向いた
…いや、睨みつけた

川♯゚ -゚)「…ドクオ…何故お前はここに居るんだ…?」

(;'A`)「……は?」
質問の意図が分からない、思わず変な声が出た

川♯゚ -゚)「何で…ギコと一緒に戦わないんだ?」

(;'A`)「何で…って…」

ああ、そう言う事か…彼女は………

('A`)「…クー…俺は…」

川#゚ -゚) 「私は…信じてたのに………!!」

(;'A`)「クー!落ち着いて!それは俺じゃない!!」


川♯゚ -゚)「なんで……!!あの人なら…おにいちゃんなら絶対助けてくれるのに!!!」


44 名前: :2007/01/11(木) 18:36:11.42 ID:xxf1U0WO0

('A`)「!!」


川  - )「…離せ!……私は…戻る…!!」

('A`)「……」

俺は…その手を離した

('A`)(人の本音は…どうしていつもこんなに痛いんだろう…な)

そんな事を考えながら、俺は駆けて行く彼女を黙って見送った
何やら全身に酷い脱力感を感じて、ふらふらと側にあった木に寄りかかる

('A`)(情けない…)

('A`)(どこが…似ているっていうんだよ…俺は何も出来ないのに…)

苦しい…色んな感情が押し寄せてくる
もう………駄目かな

( ´∀`)「…それで…いいモナ?」


45 名前: :2007/01/11(木) 18:37:42.47 ID:xxf1U0WO0

('A`)「…え?」

( ´∀`)「…君は…何というか…そもそも違うんじゃないモナ?」

('A`)「……どういう事です?」

(;´∀`)「うーん…言葉が上手く見つからないんだけど…」

モナーさんは必死に頭を捻っている
違う…何が違うんだろう…

( ´∀`)「君はそもそも自分で納得のいく行動が出来てたのかモナ?」

('A`)「納得のいく行動…?」

( ´∀`)「いやその、城で見た時から思ってたモナ……君は…ずっと迷ってるモナね?」

('A`)「………」

46 名前: :2007/01/11(木) 18:39:04.76 ID:xxf1U0WO0
…俺はギコさんに頼まれたから
国が滅びる時…クーを無理にでもつれて逃げること
そして…自分が死地に赴くことを許すと

……ギコさんは拒否する俺に頭を下げて、何度も何度も懇願した
それを拒否することなんて出来なかったし
受けたんだからそれをしなきゃいけない

……当然じゃないか

そう納得した…だから俺は今ここに居るんだ

('A`)(そうさ……そうだよ……)

寄りかかる木を掴む

(;´∀`)「な、何するモナ?」

そのまま軽く頭を置く

47 名前: :2007/01/11(木) 18:41:05.61 ID:xxf1U0WO0

('A`)(納得…してるさ)

('A`)「そう…さ…頭じゃ分かってるのに…この胸が…」

もう一度叩く、痛みが…何故か心地良い

('A`)「……胸の奥に何か…何かがずっと流れてくる」

頭を後ろに軽く仰け反る

(;´∀`)「ちょ…まさか…やめるモナ!!」

('A`)「俺は…これがどういう事か…知ってる…」


「うぁああああああ!!!!」


ひどく鈍い音が頭に響いた



48 名前: :2007/01/11(木) 18:43:00.98 ID:xxf1U0WO0
………

(;´∀`)「ヒエエ……」

(メ'A`)「…俺は……後悔してるんだ……」

その選択を…ずっと悔やんでる

ギコさんに何も言い返せなかった事

俺も戦うと言えなかった事

…逃げ出した事を…


(;´∀`)「大丈夫モナ?」

額が割れたらしく血が垂れる
不思議と痛みはあまり感じない…ただ、何だか…熱い

(メ'A`)「はい…それより…すいません、俺…」

( ´∀`)「…しょうがないモナね…」

(メ'A`)「…え?」
50 名前: :2007/01/11(木) 18:44:38.90 ID:xxf1U0WO0

( ´∀`)「僕も手伝うモナ…VIPに…戻りたいんだモナね?」

(メ'A`)「…はい、このまま逃げたら…俺きっと一生後悔する…」

( ´∀`)「それじゃあちょっと急ごう…走れるモナ?」

(メ'A`)「はい!」

( ´∀`)「うん、じゃあ行くモナ!!」


もう…手遅れかもしれない…

それでも…行かなきゃ

このままじゃ…このまま終わる訳にはいかない

遠くに見える炎を見据えて

俺は前を走るモナーさんの背中を見失わないよう必死に走り続けた……


つづく....I

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