- 2
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:21:34.62 ID:SXu5hwZt0
- 第12話 「誓約の騎士達とフサギコそして敵国の将」
ミメ゚Д゚彡「すげえ…きれいだ」
その場に居る誰もが心を振るわせる空を舞う炎
それに向けて誰もが剣を掲げ、それを口にする
「俺も誓うぞ!!」
「俺もだ!管理者ギコの名の下に!」
「そうだ、俺達は誓いの守護者…誓約の騎士だ!!」
「お、それいいな!」
「誓約の騎士団ばんざーい!!」
(;゚Д゚)「な…なんだそれは…」
盛り上がりまくる兵達をよそに、壇上のギコは戸惑っている
「管理者ギコばんざーい!」
(♯゚Д゚)「ちょっと待て!なんだその騎士団って!!」
- 3
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:23:07.48 ID:SXu5hwZt0
「「ばんざーい!!」」
(;゚Д゚)「いやだから俺は…」
先程まで凛と剣を構え宣言した彼は今あたふたと何やら言い訳を始め
そんなギコを見てどっと笑いが起きた
「どうした隊長!」
「どこまでもついていくぜ!」
「「wwwwwww」」
暗いムードはどこへやら、今その場に溢れるのは笑顔、そして…希望だ
(;-Д-)「モウイヤ」
壇上を降りるギコをフサが迎えた
ミメ゚Д゚彡「おつかれ!かっこよかったぜ?」
(メ゚Д゚)「…ふん、まあいいこうなったらやってやるさ」
そう言うギコの口調はいつに無く明るくて
何だか俺も嬉しくなる
ミメ゚Д゚彡「誓約の騎士団だってよ!かっこいいなぁ!うはwwwwww俺も入るぜww!!」
ニヤニヤしながら興奮気味に語るフサを見てギコは鼻で笑うように言う
(メ゚Д゚)「勘違いすんな、お前はそれには入れないぞ」
- 4
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:25:12.37 ID:SXu5hwZt0
- ミ;-Д-彡「え…?えええ…?何で?」
(メ゚Д゚)「当たり前だ、大体お前に何が出来るってんだ?」
ミメ゚Д゚彡「そ…それは…」
(メ゚Д゚)「それに守ると誓ったのはお前で、俺や他の連中は誓いを守ると言ってるんだ」
ミ;゚Д゚彡「ど…どういう意味?」
(メ゚Д゚)「その誓約の騎士ってのが誓いを守る者の事を言うなら…その対象はお前だ」
ミ;゚Д゚彡「お…俺?」
(メ゚Д゚)「つまり俺達はお前の護衛団ってわけだ、光栄だろ?」
そう告げ渡された物を突き出す
- 5
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:27:23.72 ID:SXu5hwZt0
今は自分の手にあるその剣を見つめ…思う
(,-Д-)(…なにを言ってるんだろうなぁ、俺は)
(でも悪くない、こんな状況を俺は良いと思っている
俺が…俺がだよ、あんな見世物みたいな真似をして
こんな周りを率いる事になって…
考えてみればおかしな話だ、俺はそういうのが大嫌いだってのに
何でだ?
何で?…はっ、そんな事……
考えるまでもない…この世話の掛かる泣き虫を、俺は…どうにも放っておけないらしい――)
- 6
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:29:08.44 ID:SXu5hwZt0
ミメ゚ー゚彡「光栄…極まりないね」
差し出された剣を受け取り…思う
ミ,-Д-彡(流石に…こんなに上手く話が進むとは思わなかった
不思議だな…これは偶然?奇跡?運命ってやつ?
人と人との出会いが人を動かし変えていく、俺を、ギコを、周りの誰かを
その始まりはどこだったんだろう……
(信じてるよ、絶対守ってくれるって)
ふと浮かんだのは少女の言葉
うん…
信じよう…二人で作る希望の光を、この剣が太陽の様に明日を照らす事を――)
そうした間にも辺りにはが声が響く
炎が作る上昇気流、それはいつまでも止まる事は無かった
- 7
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:31:25.38 ID:SXu5hwZt0
――翌日
先日、逃げ出したその場所にもう一度並び立つ
アース兵達は何故かその場所を離れておらず、待ち構えていた様に君臨した
(,゚Д゚)「前衛はついてこい!後衛は距離を保て!!」
(,゚Д゚)「行くぞ!」
ギコが叫ぶは開始の合図
ミ,゚Д゚彡「おう!誓約の騎士団参上だああああ!!」
それに応えフサも自分を奮い立たせる為に叫ぶ
「「オオオオオオオオォ!!!!」」
遅れて怒号、大地を揺らしながら人の塊が進む
( ゚д゚ )「突撃!!」
「「オオオオオオオオ!!!」」
同じ様に轟音が響き目の前に居る人の壁に駆けていく
- 8
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:33:10.41 ID:SXu5hwZt0
( ゚д゚ )(なんだ…何かがおかしい…)
迫り来る壁を見てミルナは不審に思った
こちらは全兵士が突撃をかける中、見えるVIP兵達は戦力を分けている
最初に見える中には何故か武器を持たない者が多く見え
それに続き少し距離を置き剣を持った集団が迫る
数を減らせばその分簡単に押し切られる…わからないのだろうか?
将を欠いた事による混乱か?とも考えたがそうは思えない…むしろ妙に嫌な予感がしている
両軍の距離が近づいた時、それが起こった
アース兵「う…うわあああああああ!!!」
突如として目の前に現れた炎が狂ったように踊りアース兵達の足を止める
( ゚д゚ )(あれは…例の管理者か!?)
前回の戦いで好き勝手暴れてくれた炎
半分近い戦力が短時間でやられた…ゆえに今回はそれなりの準備をしてきた
( ゚д゚ )「接続者は前に出ろ!あの邪魔な炎を消し去さるのだ!!」
- 10
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:35:02.38 ID:SXu5hwZt0
号令と共に人が群れの中で移動し始め、前方に現れた集団が次々と風に炎に接続を開始する
が
向こうから操る風と炎に押され意味を成さない
そして風を受けた炎はどんどん広がり、まるで防壁の様にアース側とVIP側を分断した
(;゚д゚ )「これが…これが管理者の力か…」
こんな数百メートル先まで続く炎を生み出す事なんてそうできる事じゃない、いや不可能だ
炎の剣の管理者…か
両軍の接続者が炎と風を繰り合い、均衡状態に陥る
開始早々に停止を余儀なくされてしまった
( ゚д゚ )(さて、どうするか…思うにこれは牽制のつもりだろうが…何か狙いでもあるのか?)
そんな防壁の向こうでは、今まさにその『狙い』が始まろうとしている
- 11
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:36:32.89 ID:SXu5hwZt0
- 「隊長、どうやら予想通りみたいだぜ」
(,゚Д゚)「よし…なら行くぞ!」
「「おお!!」」
(,゚Д゚)「フサ、頼むぞ」
ミ;゚Д゚彡「お、おうっ」
ミ,゚Д゚彡「……むんっ!」
剣に纏わせた風を強く吹かせる、もっと強く…
(,゚Д゚)「炎が消えたと同時に前衛突撃、後衛援護!」
(,゚Д゚)「お前は後衛で待機だ…出てくるんじゃねーぞ」
ギコに告げられた言葉を無視して剣に意識を集中させる
ミ;゚Д゚彡「………っ」
剣から溢れ続ける炎が風で揺らぎ始め
ギコを含めた剣を持った集団が炎に向けて走る
そして…口笛のような音風と共に目の前の防壁が瞬く間に消え去った
- 13
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:38:05.64 ID:SXu5hwZt0
「「うおおおおおおおおおお」」
( ゚д゚ )「…!!しまっ!?」
突然の奇策から奇襲、管理者を意識するあまり接続者は全て前衛に集めていたアース側
ぶつかり合う前衛、近距離での攻防…これでもう接続の力は使えない
接続者を前に引き釣り出しそれを封じる
これがギコの狙いであり、それは見事成功した
とは言え本来ならばアース側とて容易に切り札を使うような事はしないだろうが
前回の戦果、数の有利、勝利を目前と見た事による焦り、管理者への畏怖
つけ入る隙は充分にあった
ミ,゚Д゚彡(か…勝てる!!)
フサは後衛と合流しその様子を見ていた
前衛が切り結び、後衛が風や火で援護している
その接続の力を防ぐ術を封じられたアース側は
最早なす術なく押されていく
- 14
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:40:13.44 ID:SXu5hwZt0
- ミ,゚Д゚彡「…ん、あれは……ギコ?」
そして、少し戦場を離れた場所でいつしか二人が対峙した
( ゚д゚ )「貴様が…VIPの将か」
(,゚Д゚)「ああ、そうだ」
( ゚д゚ )「やってくれたな…これでは時間の問題…だろう」
(,゚Д゚)「なら逃げ帰れ、そして二度と来るな」
( ゚д゚ )「…そうはいかん、生き恥を晒す気など毛頭ない」
( ゚д゚ )「それに…貴様を殺せばその価値はさぞかしあるだろうからな」
(,゚Д゚)「できると思ってんのか?」
( ゚д゚ )「さて…だが目の前に自らが欲するものがあるのなら、手を伸ばすのが人の常!」
(,゚Д゚)「そうかい…なら一つ言っておく」
- 15
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:42:25.66 ID:SXu5hwZt0
- 双方その手に持つ獲物を構える
自分の腕の長さ程度の飾り気もない剣、刀身は薄汚れ鈍く輝く
(,゚Д゚)「こっち、見んな」
( ゚д゚ )「断る!!」
ミルナは飛ぶ様に切りかかり、横薙ぎる剣が空気を裂く
がギコはそれを大きく後ろに跳んで避ける
(,゚Д゚)「なら…」
(♯゚Д゚)「見る必要が無いようにしてやるゴルァ!」
言葉と共に疾駆
( ゚д゚ )(…速い!)
目だけで追おうとしたならば瞬きをしている間に視界の隅に消えているだろう
(,゚Д゚)「おらぁ!!」
切り上げる剣、それに合わせる様にそれを振り下ろすミルナ
「ギィン」
ぶつかり合う剣は耳の奥が痺れるほどの甲高い音を響かせる
- 17
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:43:30.26 ID:SXu5hwZt0
( ゚д゚ )「一つ聞きたい」
押し潰そうとする力はそのままにミルナが口を開く
(,゚Д゚)「なんだよ」
押し上げる力は込めたまま答える
( ゚д゚ )「貴様は接続者か?管理者か?」
(,゚Д゚)「…接続者だよ、火のな」
( ゚д゚ )「火……貴様は…む!!」
ミルナは体制を崩しつつその場から無理やり横に跳躍
と同時に何も無い空間をギコは蹴りつけた
(,゚Д゚)「…ちっ」
( ゚д゚ )「…足癖の悪い奴だ」
( ゚д゚ )(将であり、火の接続者…だが管理者では…ない?)
(,゚Д゚)「じゃあ、てめえはどうなんだ…よ!!」
ギコは更に詰め寄り軽く跳躍、腕を鞭の様にしならせ打ち下ろす
だがそれも金属音に防がれた
- 18
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:45:21.74 ID:SXu5hwZt0
( ゚д゚ )「私は…!お前と同じさ、つまりお互い火にあまり効果は無い」
(,゚Д゚)「剣以外…勝負はつかないってか」
( ゚д゚ )「そういうことだ、そしてそれならば…私は負けぬ!!」
互いに剣を弾き、間合いを開ける
様子見の暇は無い
こうしている間にも互いの兵は消耗し続けていく
( ゚д゚ )(例えこの場が負け戦だとしても、こやつを倒せば後の勝利となる!)
そう確信しミルナは剣に力を込め一歩踏み出す
( ゚д゚ )「はああああぁ!」
(,゚Д゚)「…っ!」
ギコはそれを真っ向から受け止める
(,゚Д゚)「ぐっ!!??」
だが受け止めきれず体制を崩し、後退する
- 19
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:46:46.63 ID:SXu5hwZt0
(;゚Д゚)(抑え切れなかった…馬鹿力め…
…体格だって俺とそう変わらない癖に)
( ゚д゚ )「自分が受けきれないのがそんなに不思議か?」
まるで人を見透かすような台詞
(♯゚Д゚)「う…うるせぇ!!」
開いた間合いを詰め、下から切り上げる
ミルナはそれを受け止めようと上段から振り下ろす
ぶつかり合う筈の剣は先ほどのように金属音が響かず空を切った
(;゚д゚ )「…っ!」
ギコは切り上げる剣を引き
一歩下がりコマのように半回転し勢いをつけて今度は上から斬りつける
(,゚Д゚)「おらああああ!」
高速の上下の連斬
慌てて剣を振り上げるミルナ
(,゚Д゚)(殺った!)
- 20
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:48:16.01 ID:SXu5hwZt0
- ギコはそう確信する
しかし、その一閃はミルナの頭上で容易く防がれる
(;゚Д゚)「なんだと!?」
ギコは動揺を声に出しつつ再び距離を取る
(;゚Д゚)(そんな馬鹿な…あんなただ掲げただけの状態で受けきれるはずは…)
( ゚д゚ )「貴様はどうやらその速さが自慢の様だな、今の身のこなし…流石に肝が冷えた」
( ゚д゚ )「だが私にも自慢があってね…」
(,゚Д゚)「…何だってんだ」
( ゚д゚ )「この目だ、動体視力には自信があってな…
打ち合う際に打点をずらす事くらい容易なのだよ」
(,゚Д゚)「そうかよ、だから…こっち見んなってんだ!!」
ギコは一息で間合いを詰めると斬激を叩き込む
速力の加わったその一撃はまともに受ければひとたまりも無いだろう
- 21
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:50:02.27 ID:SXu5hwZt0
- ( ゚д゚ )(強いな…疾く…重い)
烈火の如く攻めるギコ
それを受け、返すミルナ
ギコの一撃は速度を増し重くなっていく
金属音が頭を揺さぶり視界が歪む
(,゚Д゚)「はああああ!!!」
( ゚д゚ )「おおおおお!!!」
続く剣戟
数合の打ち合いの末、双方距離を取った
(;゚Д゚)「ぜえ…ぜえ…い、今のは…」
( ゚д゚;)「はあ…はあ…ふっ…分かるか」
息が上がる中でギコは違和感に気付いた
ミルナが受ける剣の位置は常に持つ方に近く
ギコが打つ剣の位置は常に持つ方から遠い
(,゚Д゚)「…なるほどね…打点か…」
- 22
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:52:27.66 ID:SXu5hwZt0
てこの原理というやつだ、力の発生した位置から遠いほど力は逃げ、近いほど強まる
それだけの事…たったそれだけの事だが
( ゚д゚ )「そうだ、貴様の力は最小になり私の力は最大になる……言っただろう
剣での戦いならば私は負けぬと、伊達でアース国兵将を名乗っているのではないぞ!」
(,゚Д゚)「うるせえ!!!」
同時に駆け出し打ち合う二人、だがその瞬間今までと違う鈍い金属音が鳴り響き
地面に銀色の刀身が突き刺さった
(;゚Д゚)「げっ!?」
ギコが渾身の力を込めて放った一撃に耐え切れず剣は根元からぶち折れた
( ゚д゚ )「もらったぞ!!」
ミルナはその隙を逃さず大きく振りかぶった剣を打ち下ろす
(;゚Д゚)「んなろっ!!」
慌てて残った柄の部分を顔面めがけて投げつけ全力で後ろに跳んで回避
前髪の先を剣影が通り過ぎる、正に紙一重
- 24
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:53:42.46 ID:SXu5hwZt0
(;゚Д゚)(テラヤバス!)
そのまま全力でその場から走り離脱する
( ゚д゚ )「逃がさん!!」
そしてそれを追うミルナ
未だ兵達が蠢く戦場を駆け回る二人
足の速さではギコが圧倒し、すぐに二人の距離が開いた
(;゚Д゚)(ぶ、武器!武器は!?どっかに無いか!)
必死に走りながら見回す、と目の前に知った顔が現れた
ミ,゚Д゚彡「ギコ!!」
(;゚Д゚)「ばっ…!バカ野郎下がってろって言ったろ!!」
ミ;゚Д゚彡「え…だって何かピンチっぽかったから!」
(,゚Д゚)「…ぐ、もういいそれよりどっかに剣は無いか?」
- 25
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:55:11.31 ID:SXu5hwZt0
ミ,゚Д゚彡「これとか?」
フサは自分の持つ剣を見せる
(,゚Д゚)「いや、それが無いとお前が危険だろうが」
ミ,゚Д゚彡「う…じゃ、じゃあ探そう!」
( ゚д゚ )「その必要な無い」
(;゚Д゚)「きやがった…」
ミ;゚Д゚彡「げ!あわわわ」
( ゚д゚ )「追いかけっこは終わりだ、いい加減諦めろ…ん?」
ミ;゚Д゚彡「な、何だよ!こっち見んなよ…」
( ゚д゚ )「貴様…その剣は何だ?なぜ燃えて…」
(;゚Д゚)「まずい…フサ!早く逃げろ!!」
ミ;゚Д゚彡「え、え、でも!」
- 26
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:57:04.13 ID:SXu5hwZt0
( ゚д゚ )「そうか…貴様が管理者か…ならば」
(♯゚Д゚)「でもじゃねええええ!!!急げ!とっとと逃げろ!!」
ミ;゚Д゚彡「だ、駄目だ…」
(♯゚Д゚)「何がだ!」
ミ;゚Д゚彡「ギコは武器を探してきてくれ…その間は俺が…」
(;゚Д゚)「な…何トチ狂った事言ってんだ!お前が敵う相手じゃないぞ!」
ミ;゚Д゚彡「いいいいから!早く!」
( ゚д゚ )「安心しろ、貴様等二人とも逃がしはせん
…否、管理者だけはこの身に変えても今この場で始末させてもらう!」
ミ;゚Д゚彡「く…っ!!」
(;゚Д゚)「ばっ…!!!!」
ミルナが駆け出し、遅れてフサも一歩踏み出す
- 27
名前:鮨 :2006/12/28(木) 18:58:40.56 ID:SXu5hwZt0
ミ,゚Д゚彡「はああ!!!」
踏み込んだ足に力を込めて思い切り降り抜く
すると燃え盛る炎が溢れ、ミルナに向かって鞭のようにしなりながら伸びていく
( ゚д゚ )「…アクセス!」
ミルナは足を止め迫り来る炎に手をかざす
炎が彼に襲い掛かるように見えたその瞬間、その炎の鞭が曲がり反れていく
ミ;゚Д゚彡「な、何だぁ!?」
( ゚д゚ )「返してやろう」
言葉と共に炎が反転しフサに向けて襲い繰る
ミ;゚Д゚彡「ちょwww」
炎が目前に迫り思わず目を閉じる
ミ;-Д゚彡「っっ!!!………あれ?」
戸惑うフサに向かう炎は更に反れ、横で渦巻き始める
(,゚Д゚)「お前ってさ…どこまでも……世話の掛かる奴だなぁ……」
ミ;-д-彡「そんなしみじみと言うなよ…」
- 28
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:00:04.53 ID:SXu5hwZt0
( ゚д゚ )「行け!」
(,゚Д゚)「やらせるか!」
お互いに自分の周りで燃える炎を放つ
ミ;゚Д゚彡「うわわ!」
猛る炎がぶつかり合い、二人の中心で巨大な火の玉が弾ける
(,゚Д゚)「分かったろ、あいつも火の接続者…お前じゃ無理だ、とっとと…」
ミ,゚Д゚彡「嫌だ…!」
(♯゚Д゚)「てめえ…」
ミ,゚Д゚彡「嫌なんだよ…俺だけ安全な所に居るなんて、俺だって戦う!!」
(;゚Д゚)「ま―― 」
顔も向けずに告げ、制止の声も聞かずに駆け出した
ミ,゚Д゚彡(あれを…やってみよう…)
何故かスローに感じる時間の中でフサは考える
- 29
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:02:09.69 ID:SXu5hwZt0
ギコに一度だけ見せた時は散々な言われようだった、あれを
ミ,゚Д゚彡(再接続…)
風が吹く、それは向かい風ではなく追い風
強烈な突風が背中を叩き、走る体を浮き上がらせ
風に乗ったその速度は一気に加速していく
駆け抜けた後には剣から溢れる炎が残り、まるで空を行く飛行機雲
ミ,゚Д゚彡「うおおおおおおお!!!!!」
それを見たミルナは一言呟き、真っ直ぐに剣を向ける
( ゚д゚ )「…未熟」
突きの姿勢、それを構えフサに向けて大きく踏み出した
ミ;゚Д゚彡「あっ…!」
時にして一瞬、その一瞬で全てを悟る
「死んだ」と
- 32
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:04:47.38 ID:SXu5hwZt0
直線で突っ込んでくる者に真っ直ぐに向けられた剣
少し避ければいいだけの話
だが既に自分は身動きが取れなくなっている
「それじゃいい的だ」走馬灯の様に思い出す言葉
時既に遅し、俺はこのまま自ら串刺しとなり死ぬ
そう…諦めかけた
だけど
川*゚-゚)
何かが引っかかって
ミ;゚Д゚彡「ぅ…わあああああああ!!!!!」
がむしゃらに剣を振り回す
『キィン』と
それが軽く、ミルナの剣に当たり
『轟』と
一瞬の内に大量に溢れ出した炎が爆ぜ、轟音が響き渡る
フサの目の前で起きた爆発は追い風に煽られ地面ごと前方を吹き飛ばす
- 33
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:06:48.68 ID:SXu5hwZt0
ミ;-Д-彡「ぐっ…ううう…っ」
どうにか踏みとどまり前を見据える
見えたのは石やら何やらと共に人が空へ舞い地面に打ち付けられ転がる姿
ミ;゚Д゚彡「…あ…れ」
(;゚Д゚)「んな…」
二人、少し離れた場所で同じ様にポカーンとしている
(,゚Д゚)「はっ…お、おい!フサ!!」
ミ;゚Д゚彡「…お…俺…が…俺があの人を…」
殺した、殺した殺した殺した
初めて人を…自分の手で…
あまりの呆気なさと突然の事に思考が追いつかない
駆け寄ってきたギコを見つけヘナヘナと腰を下ろす
ミ,゚Д゚彡「ギコ…」
(,゚Д゚)「大丈夫か…?お前、今の…」
ギコも、その一部始終を見ていた
真っ直ぐに突っ込むフサに向けて剣が向けられ、殺される…そう思った時
赤い爆発が全てを吹き飛ばしたその瞬間を
- 34
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:08:25.92 ID:SXu5hwZt0
ミ;゚Д゚彡「し…死ぬかと思った…」
(,゚Д゚)「…そうだな……む!」
その時飛ばされた人影が動くのが見え
途中で奴が落とした剣を拾い二人はその場へ向かった
「…ガフッ…ゴホッ……」
倒れこむミルナは口から多量の血を吐き、掠れた声を出した
その顔は焼け爛れ、表情は読み取れない
(,゚Д゚)「…お前の負けだ、ミルナ」
「…その…ようだ……管理者の力、侮っていた…ふ…ははっ…途中、貴様等の会話を聞いて…な
余りにも、弱そうで……まさか…あれに負けるとは……不思議で…口惜しさもないぞ」
ミ;-Д-彡「うう…」
「は…はは…もっと…胸をはれ…貴様が……この私を倒したのだ…それでは困る」
ミ,゚Д゚彡「………うん」
- 35
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:10:05.93 ID:SXu5hwZt0
- 「そう…だ、名を…聞…いてなかった…な」
(,゚Д゚)「ギコだ」
ミ,゚Д゚彡「フサギ…フッサール」
「ギコに…フッサール…か、…覚えておく…」
そう言うと、ミルナはゆっくりと目を閉じる
(,゚Д゚)「アース国将ミルナ…俺も覚えておく」
「……………」
それを聞いたミルナは何となく、満足げに微笑んだ様に見えた
そしてギコは持っていた剣をゆっくりと振り上げ、その首目掛けて振り下ろす
刀身が地面に突き立つと、頭が転がり…遅れて鮮血が勢いよく何度も飛び散る
ミ,゚Д゚彡「……………」
俺はそれから目を逸らさず、しっかりと見届ける
何故か自然とそうすべきだと感じたから
自分が手をかけた人間に対する礼儀…そう思って
ミ,゚Д゚彡(俺も…覚えておくよ)
口には出さず心の中で呟いた
- 37
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:12:47.08 ID:SXu5hwZt0
その後、劣勢の最中に将の敗北が知れ渡ったアース軍は速やかに撤退を始め
VIP国は見事敵を退けた、それは誓約の騎士団を名乗っての初勝利
兵達は天にも轟くほどの歓喜の声を叫ぶ
ミ,゚Д゚彡「イヤッホオオオオゥwwwwwこれがVIPクオリティwwwww」
(;゚Д゚)「おいおい…」
そして負傷者や死者達を連れ自国へと戻って行った
たどり着いた頃には日も暮れ始め、へとへとだった
俺は城まで戻る気力を無くしてその日は久しぶりにギコの家に転がりこむことにした
玄関前ではしぃさんが待っていて俺達の姿を見ると満面の笑みで迎えてくれた
(*゚ー゚)「おかえり…ギコ」
(,゚Д゚)「…ただいま」
(*゚ー゚)「おかえり…フサ君」
ミ,゚ー゚彡「ただいま帰りました!」
久しぶりに3人でテーブルを囲みご飯を食べて語り合う
先の戦いの話は誰もしようとはしない
ゆったりとした時間が流れ、荒んだ心が温まる
そして食事の片付けも済むと
精も根も尽き果てた俺は部屋に行ってすぐ倒れるように深い眠りについた
- 38
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:14:14.01 ID:SXu5hwZt0
フサが部屋を出て行った後、残った二人は静かに時間を過ごしていた
(*゚ー゚)「お疲れ様」
しぃが汲んで来たお茶をテーブルに置きギコの隣に座り込む
(,゚Д゚)「おう」
(*゚ー゚)「………」
(,゚Д゚)「………」
しばしの沈黙、そしてしぃが目を潤ませ口を開く
(*;ー;)「よか…った…ほんと…に、ふたりとも…」
(,゚Д゚)「しぃ…」
そんな彼女をギコが強く抱き寄せる
- 39
名前:鮨 :2006/12/28(木) 19:15:27.23 ID:SXu5hwZt0
(,-Д-)「大丈夫だ、俺もあいつもちゃんと生きてる…」
(*;ー;)「うん…うんっ…」
(,゚Д゚)「しぃ…」
(*;ー;)「ぎこ……んっ………」
外は夜の帳、口付けを交わした二人はそのままゆっくりと重なっていく
今日は
今だけは
全てが許される、そんな気がする一夜だった
つづく
戻る