( ^ω^)ブーンは偉い魔道士です

234 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 20:07:03.39 ID:1+3uhbrI0
「ぐうぉおおぉお!!」

俺は剣の柄を握り、重力とは逆の方向に引き抜こうとする。
だが、その剣はびくともしない! まるで、逆側から引っ張られているかのように動かない。

「ちっくしょぉ!」

もう顔は汗だくだ。
先程から、何時間この剣を抜こうと奮闘したのだろうか。
俺はいい加減に疲労を感じ、その場に座り込んだ。


……そうしてはじめて気付いたのだが、空の色が変わっている。
空が、暗くなり始めているのだ。これは、夜?

そういえば、どれくらい時間が経ったんだろうか。
大体三日経てば、俺はあちらの世界で火葬されるのだ。

空の色が変わるということは、時間がそれなりに経ったということだろう。
これは、早く抜かないとまずいのかもしれない……。

235 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 20:17:05.96 ID:1+3uhbrI0
「仕方ねえな…」

俺は立ち上がり、再度柄頭に手をかける。
そして、一気に引き抜く!

「ぐおおおおぉぉ!」

………ダメだ。
びくともしない。

「ちっくしょー! 何で抜けないんだよ!」


俺はむしゃくしゃして、剣を蹴り飛ばす。

………ん? 蹴り飛ばした剣が……揺れた。
手で抜こうとした時は、びくともしなかったのに。

俺は、剣が刺さっている地面を見た。

237 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 20:24:53.91 ID:1+3uhbrI0
「なんだこれ?」

剣が刺さっている地面に、何かがいた。
とても小さい、虫のような生き物だ。それが、何匹も刃の周りにいるのだ。

俺は試しに、剣を手で抜こうとする。
すると、その生き物達が俺の力と逆方向に、剣を引っ張っているではないか!

「こいつらの仕業か…」


今度は、剣を蹴ってみる。
その虫のような生き物は、剣の周りを囲むように散っているので、横方向の力となると抵抗が弱くなるらしい。
実際、剣の揺れは先程より大きくなった。どうやら、この虫のような生き物が原因だったようだ。


「燃やしちまうか」

俺はドクオからもらったライターを取り出し、その虫たちに向けて発火する。
すると、虫たちはその場から動かず、たちまち発火した。

248 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 21:13:42.23 ID:1+3uhbrI0
「よしっと」

虫が全て燃え尽きたのを見て、俺はライターをポケットにしまう。
そして、再び柄頭に手をかける。

「よっと」

……手応えが、あった。
剣は、音も立てずに地面からするりと抜けたのだ。

「よっしゃ!」
俺は、しばらく歓喜に浸ろうとした……のだが。

その瞬間、内藤が俺の目の前に現れた。


「剣を抜いたか。よくぞ見破ったな」
「ふっ、まあな。俺は目が良いんでなぁ?」
「……? あの虫の殺虫方は、炎で焼き尽くすしかないのだ。私はそれをよく見破ったと言っているのだ」
「え? あ、ま、まあな。俺は勘もいいからな」


―――今日は、運がいいのかもしれない。
この調子で、試験も合格したいものだ。

251 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 21:19:50.37 ID:1+3uhbrI0
「次で最後の試験だ」

内藤は、そう言った。

「その前に聞きたいことがある。今、どれくらい時間が経ったんだ? 俺が火葬されるまで、後どれくらいなんだ?」
「……ふむ。あれからもう、現世では二日ほどの時間が過ぎているな」
「な、なんだと!?」

ウソだ! いくら時計がないからといって、時間間隔までそうそう狂ってなどいない!
もう二日が経っただと!? バ、馬鹿げてる!

「驚くな。ここと現世では時間軸が少々違うのだ。こちらでの一日は、あちらでの二日と思え」
「な、な、なんだと!? じゃあ、俺が火葬されるまでって後………数時間しかないのか!?」
「そうだな」

内藤は、眉一つ動かさずに言った。

俺はそんな内藤とは対照的に、焦燥感でいっぱいであった。

254 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 21:25:34.33 ID:1+3uhbrI0
「案ずるな。この試験さえ終えれば、すぐに元の体に戻してやるぞ」
「は、早く試験の内容を言えよ! 俺には時間がないんだぞ!?」

俺は、内藤の胸倉をつかんだ。
だが、内藤はすさまじい力でそれを振り払い、真上から俺を見下ろした。

「その剣の名は、レーヴァテインと言う。炎の神剣だ」
「ほ、炎の神剣?」

何を言ってるんだ、こいつは……。
レーヴァテインって、神話やゲームで聞く名前だぞ?
そんなものが実在するわけが……ないだろう?

「最後の試験は、この剣の力を借りる事だ。この剣の力で、炎を出せ」

内藤はそういい残すと、消えてしまった。
俺は何かを言いかけたのだが、それも意味がないとわかると、喉の奥に飲み込まれてしまった。


「くそっ!」

剣の力を借りる!? 生きてもいない物質にどうやって力なんか借りるんだよ!!

 

251 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 21:19:50.37 ID:1+3uhbrI0
「次で最後の試験だ」

内藤は、そう言った。

「その前に聞きたいことがある。今、どれくらい時間が経ったんだ? 俺が火葬されるまで、後どれくらいなんだ?」
「……ふむ。あれからもう、現世では二日ほどの時間が過ぎているな」
「な、なんだと!?」

ウソだ! いくら時計がないからといって、時間間隔までそうそう狂ってなどいない!
もう二日が経っただと!? バ、馬鹿げてる!

「驚くな。ここと現世では時間軸が少々違うのだ。こちらでの一日は、あちらでの二日と思え」
「な、な、なんだと!? じゃあ、俺が火葬されるまでって後………数時間しかないのか!?」
「そうだな」

内藤は、眉一つ動かさずに言った。

俺はそんな内藤とは対照的に、焦燥感でいっぱいであった。

 

254 : ◆X5HsMAMEOw :2006/01/29(日) 21:25:34.33 ID:1+3uhbrI0
「案ずるな。この試験さえ終えれば、すぐに元の体に戻してやるぞ」
「は、早く試験の内容を言えよ! 俺には時間がないんだぞ!?」

俺は、内藤の胸倉をつかんだ。
だが、内藤はすさまじい力でそれを振り払い、真上から俺を見下ろした。

「その剣の名は、レーヴァテインと言う。炎の神剣だ」
「ほ、炎の神剣?」

何を言ってるんだ、こいつは……。
レーヴァテインって、神話やゲームで聞く名前だぞ?
そんなものが実在するわけが……ないだろう?

「最後の試験は、この剣の力を借りる事だ。この剣の力で、炎を出せ」

内藤はそういい残すと、消えてしまった。
俺は何かを言いかけたのだが、それも意味がないとわかると、喉の奥に飲み込まれてしまった。


「くそっ!」

剣の力を借りる!? 生きてもいない物質にどうやって力なんか借りるんだよ!!

    第4話:完

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