3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:15:47.13 ID:x7MxAQSM0
 ブーンの操縦するホバーボートはほどなく、風雨にさらされた。
 暴風シールドの展開法など知らぬ彼は、身を切る風に震えることとなった。

 水平線に現れる起伏全てが波である。
 我が家のある島どころか、避難できそうな場所さえない。

 それでもブーンはひたすらに目を凝らし、暗い海を突き進んだ。
 ホバーボートは直進する。

『ブーン!? 戻ってきなさい!』

 通信装置から女性の声がした。
 深刻そうな声色。

 しかし、ブーンはスロットルを離さない。
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:21:46.04 ID:x7MxAQSM0
 ほんの数時間過ごしただけの人間の言う事を聞く必要があるものか。
 彼はそう思った。

 何よりも、皆の待つ島へ帰りたかった。
 ジョルジュ、ドクオ、トソンが待つ島へ・・・。

――たった一人で生き抜いていたなんて

(  ω )「・・・違うお!」

 ジョルジュが! ドクオが! トソンが!
 皆がいたんだ!

 自らを鼓舞するように、彼はわめいた。
 言葉にならない声が暴風に揉まれて消える。

 その様子はまるで、赤ん坊が言葉の練習をするように、意味のない行為かもしれなかった。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:23:55.42 ID:x7MxAQSM0
 大きな波がボートを襲った。

 辛うじて耐えた。

 風に煽られ進路がずれた。

 気にせず直進した。

 雨で視界が効かない。

 もとより、

( ;ω;)「みんなぁ・・・どこにいるんだお・・・みんなぁ」

 前など、ほとんど見えていなかった。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:32:22.25 ID:x7MxAQSM0
 ボートは持てる推進力の限りを尽くした。
 搭乗者が弱まっていくのをよそにである。

 ブーンは薄れた意識の中、闇に巨大な怪物を見た。

 金色に輝く一つ目と、灰色の体を持つ獣のようだった。
 空に覆いかぶさり、大きく口を開いた怪物。

 耳をつんざくような声がする。

 びょう、ごおう、びゅうう、と。
 ばたばた、びたびた、と。

(( ;ω;))

 ブーンを震撼させたのは、一体何か。
 怪物への恐怖か。

 否、違う。

 圧倒的な孤独だった。
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:37:13.10 ID:x7MxAQSM0
 「誰かがいれば耐えられた」
 生存した箱舟の搭乗員達が口を揃えて言ったのはこれだ。

 人は一人では生きられない。

 私たちが必要とするのは、物的な意味での他人ではない。
 精神的依り処たる、友人であり、恋人である。

 もしもホバーボートに誰かがいれば。
 もしも彼を助ける者があれば。

 ブーンは自分を見失うことはなかった。



 そして、目前に迫る大波を見逃すことはなかっただろう・・・。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:38:36.77 ID:x7MxAQSM0


 ――暗い海に、彼は投げだされた。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:42:38.19 ID:x7MxAQSM0
***

  _
(;゚∀゚)「〜〜〜!?」

(,,゚Д゚)「・・・」

(;'A`)「〜〜〜!!!」

(゚、゚トソン「・・・〜〜〜」

(  ω )
  _
(;゚∀゚)「〜〜〜!!」

(;'A`)「・・・〜〜」


***
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:45:52.96 ID:x7MxAQSM0
 海水は急激に体温を奪っていく。

 潮の流れが体を揺さぶり方向感覚を奪っていく。

 海が彼から何もかも奪い去ろうとしている。

 異邦人の子から、命までも。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:46:55.53 ID:x7MxAQSM0
***


(゚、゚トソン「・・・」

(,, Д )「―――」

(  ω )

(゚、゚トソン「・・・」

(,, Д )

(゚、゚トソン


(゚ー゚トソン


***
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 23:59:08.29 ID:x7MxAQSM0
 荒れ狂う海上で大人達が騒いでいた。
 転覆したホバーボートを囲んで、同型の乗り物が浮いていた。

 潜水夫のような格好をした者も散見され、さながら救助隊の様相を呈していた。
 女性が叫ぶ。

ξ;゚听)ξ「ブーン・・・内藤、内藤君! どこにいるの! 返事しなさい!」

 ツンがそこにはいた。
 同じく搭乗していたモナーが彼女を制する。

( ´∀`)「君はここにいるモナ。男達に任せるモナよ」

 彼が合図をすると、潜水服の男達が一人ずつ海に飛び込んだ。
 ツンは身近な一人を捕まえ、懇願する。

ξ; )ξ「絶対見つけてあげて! お願いだから・・・!」

「・・・分かった」

( ´∀`)「ボートの発信機がここらで止まってから、そう時間は経ってないモナ。すぐに見つかる」

 ツンは顔を伏せたまま小さく頷くしかなかった。

 ただの慰めだと、分かっていても。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:03:04.09 ID:AxmH1yHz0
***

 鉄塔の生えた島に、朝が来た。
 夜中の間に嵐は通り過ぎたようだ。

 ほろほろほろ、と奇妙な鳥が鳴いて空を横切っていく。
 その下に生えた宇宙船の一室で、ブーンは目覚めた。

(゚、゚トソン「内藤様、内藤様。起きてください」

( ´ω`)「お」

 そこは、いつものように柔らかなベッドの中だった。

(゚、゚トソン「随分お寝坊さんでしたこと」

( ´ω`)「トソン・・・トソン?」

(゚、゚トソン「はい。トソンはここにいます」

 トソンは素っ気なく返答すると、手にしたトレイからサンドウィッチを持ちあげた。
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:10:34.52 ID:AxmH1yHz0
(゚、゚トソン「はい、あーん」

 朝食を食べさせようとするトソンに、ブーンが難色を示した。
 しかし、再度口を開けるよう催促されると、彼は抵抗をしないのだった。

(*´ω`))モクモク

 あれは大変な夢だった。
 ブーンはハムとチーズの味をしっかり確かめながら、そう思った。

 どうして冷たい海にいなければいけないのだろう。
 ここにさえいられれば、自分は幸せなのに、と。

(*´ω`)=3ケプ

 彼は目覚めたばかりで、力の入らない腕で口元拭った。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:18:53.95 ID:AxmH1yHz0
 こぼしたパンくずを払いながら、ブーンがベッドから降りる。
 幸福感で胸を満たしながら。

 今日は何をして遊ぼう。
 ジョルジュ達はどこにいるだろう。

 今日という日がどんなに素晴らしくなるかを、彼は考えていた。
 ベッドから降りると、ブーンは大きく伸びをした。

( ^ω^)「そろそろ遊びに行くお! ・・・っと、っと」

(゚、゚トソン「危ないですよ、内藤様・・・」


――ぼとり。
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:21:35.59 ID:AxmH1yHz0

 バランスを崩してよろめいたブーンの腕が、根元からちぎれて落ちた。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:26:39.48 ID:AxmH1yHz0
 地面にぶつかった衝撃で指の何本かが折れ曲がっていた。
 まっすぐに伸びた状態で、それは二回、三回と転がっていく。

(^ω^ )「お?」

 始めブーンは何が起きたのか分からなかった。
 自分の足にぶつかったそれが、何なのか、全く理解できなかったのだ。

 完全に彼の思考が停止した。

 痛みはなかった。
 ただ、肩から先が軽くなる実感だけがあった。

( ^ω^)「え?」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:32:44.23 ID:AxmH1yHz0
 両腕が足の上に乗りかかって止まった。
 断面は、ぐずぐずの炭のようだった。

(゚、゚トソン「・・・内藤様、これを」

 トソンは変わらずの様子でカプセルを取りだす。
 いつぞや、栄養剤としてブーンに渡されたものだった。

(;; ω )「えっ、これっ」

 ブーンの全身から脂汗が噴き出した。
 彼の背筋を悪寒が走り、わき腹を伝い、心臓を締め付けた。

 そして、自分の体を抱こうとして、ようやく自らの状況に気が付いた。

 彼はベッドの上へ尻もちをつく。

 すると、今度は、左脚が――

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:33:49.83 ID:AxmH1yHz0

 みち。

 ぼとり。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:38:57.89 ID:AxmH1yHz0
(;;゚ω゚)「あ、あ、あああ・・・あああああ、あ、あ」

 現実味がなさすぎた。

 痛みを伴う実感が、そこにはなかったのだ。
 欠損、という重大な事態を頭だけが理解した。

(゚、゚トソン「内藤様、内藤様、お口を開けてください」

 トソンはそこでも表情を変えなかった。
 さも、「そんなことはどうでもよいから」と言わんばかりに。

 ブーンが冷静であったなら、彼女の気味悪さに気付けたかもしれない。
 しかし、彼はとにかく縋る相手を求めた。
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:44:07.59 ID:AxmH1yHz0
 無い腕を伸ばそうとして、彼の視線が虚空を泳ぐ。
 肩から先、袖には、あるべき膨らみがない。

 ベッドから両足を下したつもりが、右足だけが床を捉えた。
 当然、支えに乏しいままでは立ちあがることすら叶わない。

 左顔面をしたたかに打ち付け、耳から熱い液が垂れた。
 彼の左耳が聞こえなくなっていた。

 トソン、トソン、トソン。
 助けて。

 芋虫のように彼は床を這う。
 体をくねらせ、首を使って、数センチずつ。

(゚、゚トソン「大丈夫です。内藤様」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:49:54.93 ID:AxmH1yHz0
 一人の少年が部屋に飛び込んできた。
  _
( ゚∀゚)「おうい、ブーン! まだ寝てんのかよー!」

(;; ω )「たすけ、助けて・・・」
  _
(;゚∀゚)「げっ」

 少年は驚いて、出入り口から身を引いた。

('A`)「まだ寝てるのか? ブーンはどうしてんだ、よ・・・」

 もう一人少年が現れて、口をぽかんと開けた。

(;; ω )「ドクオ、ジョルジュ・・・」

('A`)「お、おい」



  _
(;゚∀゚)「すげえ鼻ちょうちんだろ」

('A`)「ああ・・・ひくわ・・・」


 そう言って、ブーンの体を「すり抜けながら」二人はベッドに歩み寄った。
 彼らは、誰もいないベッドの上にいる、見えない誰かに話しかけ始めたのだった。

(;; ω )
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:54:41.22 ID:AxmH1yHz0
  _
(;゚∀゚)「ギャグだろこれ」

 ジョルジュは空中をつつく。
 その指先は、弾力ある肉に当たったようにぐいぐいと動いた。

(;; ω )「なに、いって」

('A`)「こいつホントは起きてんじゃね?」
  _
(;゚∀゚)「いやー、それはないだろ」

 腕を組みながら相談を始める二人は、一切ブーンを見ない。
 しかし、彼らの話題は「なかなか起きないブーンについて」だ。

(;; ω )「二人とも・・・僕はここだお」

 弱弱しくブーンが呟いた。

(゚、゚トソン「大丈夫です、内藤様」

(;; ω )「僕はここだお・・・」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 00:58:01.23 ID:AxmH1yHz0
(゚、゚トソン「私はここにいます」

(;; ω )「僕はここにいるんだお・・・」

(゚、゚トソン「ええ、存じております」

 ベッドの横についていたジョルジュとドクオが、消えた。

 すぐさま、出入り口から二人が現れる。

('A`)「釣りに行くぞー」
  _
( ゚∀゚)「寝てんなよアホが。行くぞブーン」

 彼らの像がブレ、消失する。


(゚、゚トソン「ああ、また・・・。大丈夫です、内藤様」

(;; ω )「ト、ソン?」


(゚、゚トソン「すぐに『直しますから』」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:01:21.74 ID:AxmH1yHz0
***

 その日の明け方。

ξ )ξ「・・・」

 海上にブーンが引き上げられた。

( ´∀`)「・・・」

 静かな凪。

(  ω )

 物言わぬ体。

ξ )ξ「・・・」

 ホバーボートは走り出した。

***
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:07:26.97 ID:AxmH1yHz0
(゚、゚トソン「すぐに新しい体にしてさしあげます」

 ブーンを両腕に抱きかかえながら、トソンは言った。

(;; ω )「・・・」

 船員達の体を何度もすり抜けながら、トソンは歩いていく。
 不思議なことに、船員達は見えない誰かと談笑したり、トランプに興じていたりした。

 あるところでは誰かが突然現れ、別のあるところでは誰かが不意に消失した。
 亡霊が、船内には満ち溢れていた。

(゚、゚トソン「安定期に入る前に目覚めてしまわれたのですね・・・」

 合点がいったという風に、トソンが小さく頷いた。

(゚、゚トソン「私の不手際でございます。申し訳ありません」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:12:31.87 ID:AxmH1yHz0
 たどり着いた先は薄暗い部屋だった。
 鈍く光を放つ鉄の筒が何本か、壁際に立っていた。

 筒は大人が入れるほどの大きさで、ガラス窓がついていた。
 その中に、彼はいた。

【(  ω )】

(;; ω )「お・・・?」

(゚、゚トソン「さあ、早く修復を」

 トソンが空きの筒を見つけると同時に、どさり、とブーンの右脚が落ちた。

(゚、゚トソン「完全に死んでしまいます」

(;; ω )「トソン? これは一体なんだお? ねえ・・・答えてくれお・・・」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:16:02.25 ID:AxmH1yHz0
(;; ω )「どうして僕は痛くないんだお?」

(゚、゚トソン「さあ、こちらに」

 抵抗もできないまま、彼は筒の中に体を収められてしまう。

(;; ω )「僕は一体なんなんだお?」

(゚、゚トソン「しばしお休みください、内藤様」

(;; ω )「トソンッ、なんで僕がそこにいて、ここにっ!?」

 ダメになったブーンの耳がキンと痛んだ。
 血が流れて、彼の頬を伝った。

(;; ω゚)「トソン、ねえ・・・こたえて・・・ねえ・・・」

(゚、゚トソン「おやすみさないませ」

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:19:06.87 ID:AxmH1yHz0
(;; ω゚)「ねえ、ってば・・・お願いだお・・・トソン・・・」

 筒の蓋が閉められる時、ブーンが見たのは


  【( 、 トソン】  【( 、 トソン】 【( 、 トソン】


 いくつかの複製と

 
(゚、゚トソン


 トソンの


(゚ー゚トソン


 邪悪な笑みだった。
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:25:59.47 ID:AxmH1yHz0
(゚、゚トソン「〜♪」

 モニターを眺めながらトソンは歌う。

(゚、゚トソン「〜♪」

 聴く者の心を不安にさせるような破滅的な音運びだ。

(゚、゚トソン「〜♪」

 モニターには表示されていたのは以下の文字列だ。

 『No.1 冷凍』
 『No.2 死亡』
 『No.3 修復』
 『No.4 構築』

 トソンがパネルを操作して、新たな画面を呼び出した。
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:31:10.35 ID:AxmH1yHz0
 『起動
   No.1  Sure?』

(゚、゚トソン「可愛い人、大事な人。私の人、私だけの人」

 『 [yes] 』

(゚、゚トソン「私にはそれだけでいい」

 トソンの髪の毛がずるりと落ちた。

(゚、゚トソン「・・・」

 腐り落ちた皮膚を抑えると、彼女はプログラムを更に起動した。

( 、 トソン「おやすみなさい」

 そして、彼女自身も筒に身を封じ込める。
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:37:14.57 ID:AxmH1yHz0
( 、 トソン「あなたにもそうであってほしい・・・♪」

 やがて、このトソンは眠りに就いた。
 しばらくして、別のトソンが目覚めるのだろう。

 愛する人間のために、彼女は同じことを繰り返すのだろう。
 ただただ、彼の傍にいるためだけに。

 船員全てを排除してまで。
 種の保存という使命を捨ててまで。

 ただ愛する男のために。


   【(  ω )】【( 、 トソン】


 過去を過去と認められない女は、遺物を作り続ける。
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:40:31.64 ID:AxmH1yHz0
***

 生きる目的はひとつで良かった。

 それ以外は全てのものが不要だった。

 だから、単純にひとつを求めた。

 全てを消して、男を求めた。

 ただ、それだけのこと。


 私は、それだけで良かった。

***
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/10(水) 01:46:08.22 ID:AxmH1yHz0
『内藤様、明日は何がしたいですか?』

『お? 分かんないけど、楽しいことがしたいお!』

 彼女は彼が楽しく過ごした過去を演出した。

 そして、過去を楽しく過ごす彼を眺めて満たされた。


 これは、それだけの話。

 新しく訪れた人類が繁栄するまでの、本当にささやかな、幸せな日々の物語である。



       ( ^ω^)は過去の遺物のようです

             お  し  ま  い

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