- 72
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:04:01.36 ID:8aCSzAlTO
- そう言うと、つーは廊下の突き当たりのドアから、外に出ていった。
ぃょぅはゆっくりと、一歩、一歩と、そのドアに向かっていった。
(=゚ω゚)ノ「……」
ドアを開いて、外に出た。
薄暗い。街頭だけが照らす道路。
(=゚ω゚)ノ「つーちゃん?どこだぃょぅ」
辺りを見回す。
だがつーは、どこにもいない。
その時、どこから物音がした。
(;=゚ω゚)ノ「!?」
「にゃー」
(;=゚ω゚)ノ「なんだ……ぬこかぃょぅ……」
振り向いたそこには、猫がいた。
ほっとした。
そんな束の間
ブチ……ブチブチ……と、何か太い線がちぎれるような、そんな不気味な音が辺りに響く。
- 73
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:04:52.56 ID:8aCSzAlTO
- 恐る恐る、ぃょぅが振り返る。
(;=゚ω゚)ノ「!!」
豪雨による風で切れたのだろうか。
電線が、まるで意思を持っているかのように、ぃょぅを襲った。
★
ロビーの長椅子に、もう息をしていないツーを寝かせてやる。
ツンとブーンは、あの時のように次々と人が消えていく事態に、自分達の無力さをひしひしと感じていた。
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
そんな二人に、かける言葉もないクー。
川 ゚ -゚)「……」
しんと静まり返る室内。
ヒッキーが、何かに気付いた。
(-_-)「聞こえる」
サイレンの音が聞こえる。
避難警報だ。
- 75
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:10:56.70 ID:8aCSzAlTO
- ( ^ω^)「学校に行くお。前は孤立したからあんな目にあったんだお」
ξ゚听)ξ「……そうね。まだこの子が残ってるもの。フラグなんかに負けないわ」
ツンはヒッキーを見た。
そしてカーチャンに言われたことを思い出して、強く笑ってみせる。
クーも、それに賭けようと思った。
四人は玄関に向かう。
子供用の、ヒッキーのレインコートだろう。それをヒッキーに着せ、自分達も靴を履く。
( ^ω^)「行くお」
ブーンが玄関のドアを開いた。
叩きつけるような風の洗礼を受けるが、雨は止んでいるようだった。
- 77
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:12:00.18 ID:8aCSzAlTO
- 川;゚ -゚)「!!……ぃょぅ」
思わずその名を呼んでしまう。
いなくなったぃょぅはそこにいた。
電線に巻き付かれ、人肉の焼ける嫌な臭い立ち込めている。
( ^ω^)「見ちゃ駄目だお」
ブーンはヒッキーの目を塞いだ。
それから目を背けるように、四人は先を急いだ。
雨の代わりに、風が四人を襲う。
ξ;゚听)ξ「あとちょっと……川を越えれば、学校まで一本道なんだけど」
なんとか進みながら、ツンが言った。
段々と、川が見えてくる。
しかしその川は、ツン達の希望を打ち砕くように、氾濫していた。
ξ;゚听)ξ「そんな……」
- 79
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:18:44.95 ID:8aCSzAlTO
- 橋も浸水しており、これでは強い風と川の流れに足をとられて先に進めない。
ξ;゚听)ξ「なんでよ!なんでなのよ!!」
(;^ω^)「落ち着くおツン。海岸に近い民宿に戻っても危険だお。僕達の家に行くしかないお」
ブーンの言葉に、ツンは黙って頷いた。
またぽつぽつと、雨が降り出した。
★
雨と風が、更に酷くなる。
カーチャンは村の男衆と共に、土砂のせき止め作業に取りかかっていた。
J( 'ー`)し「ロープこっちに寄越して!シート張っちゃうから!」
カーチャンがそう言うと、ロープを受け取って、一人シートを張りに向かう。
- 80
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:19:40.13 ID:8aCSzAlTO
- 雨のせいで足元が緩んでいる。
だがやらなければいけないことだ。
J( 'ー`)し「……?」
カーチャンは何かに気付いた。
男衆が、必死に何かを伝えようとしている。
しかし、雨と風の音で聞き取れない。
J( 'ー`)し「みんなどうしっ」
カーチャンは土砂崩れに飲まれて、消えた。
★
ξ;゚听)ξ「駄目だわ。電気がつかない……」
やっと辿り着いた家だが、あまり良い状況とは言えなかった。
(-_-)「僕が囮になる。あいつは子供が好きなんだ。お母さんが言ってた」
ξ;゚听)ξ「駄目よ!そのお母さんとの約束があるのよ!」
- 84
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:31:07.08 ID:8aCSzAlTO
- (-_-)「お姉さん達のせいじゃないよ。あいつを倒さなきゃ終わらないんだ」
これはこの島の問題だから。
ヒッキーの言葉は頼もしかった。
それ以上、ツンは何も言えなかった。
川;゚ -゚)「来る……」
クーが呟く。
ガタガタと、家全体が揺れ始めた。
(-_-)「みんなは逃げて」
ヒッキーが言う。
三人が顔を見合わせる。
見殺しにするしかないのか。
諦めるしかないのか。
ヒッキーを残して、ドアを開く。
( ^ω^)「ツン」
ξ゚听)ξ「ん?ブーン?」
クーが外に出る。
そしてツンも。
( ^ω^)「僕は覚えているお」
ξ゚听)ξ「えっ……?」
- 85
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:32:08.71 ID:8aCSzAlTO
- ( ^ω^)「君を絶対に、死なせたりしないお」
ツンの背中を、ブーンは思い切り突き飛ばした。
ツンはクーにぶつかり、そのまま地面を転がっていく。
( ^ω^)「この子を一人だけにするのは可哀想だお。
あの時言った言葉の後半、守れなくてごめんお」
ξ;゚听)ξ「ブ、ブーン!!」
ツンとクーを遮るように、地面に亀裂が走った。
丘が崩れる。
ξ;;)ξ「ブーン!ブぅぅぅぅぅンッ!!」
ブーンは微笑んで、ツン達を見ていた。
もしかしたら全力で走れば、逃げられる距離かもしれない。
- 87
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:38:59.19 ID:8aCSzAlTO
- 開いたドアから覗くブーンの後ろに、暗闇の中からヒッキーの顔が映った。
(-_-)
(-_-)д 川
「!!」
地面は崩れ落ち、目の前から家は消えた。
崩れた崖の下から、板がひしゃげるような大きな音が聞こえる。
「ブーン……」
ツンは落胆した。
- 88
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:44:14.86 ID:8aCSzAlTO
- ξ;;)ξ「ブーン、なんで?……!?……げほっ!げほげほっ!」
ツンが突然、咳込みだす。
口を塞いでいたツンの手には、血がついていた。
ξ゚听)ξ「こんな時に……」
吐血したことに驚きもせず、ツンはそう言う。
川;゚ -゚)「大丈夫なのか……?」
ξヽ゚听)ξ「だいじょ……うぶ……」
大丈夫そうには見えない。
ツンが倒れそうになるのを、寸前でクーが支える。
ξヽ゚听)ξ「はぁ……はぁ……」
川;゚ -゚)「貴女は、体がこんなになってまで、フラグをどうにかしようと!?」
もう返事もできないくらい、ツンは衰弱していた。
助けなければならない。
そう決意するクー。
- 89
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:46:10.95 ID:8aCSzAlTO
- 川 ゚ -゚)「私が主人公じゃない。貴女が主人公だ」
ツンを支えて、クーは歩きだした。
どうすればいい?
どうすれば助かる?
J( 'ー`)し『そんな重度の火傷、小さな島の診療所で治せると思って?』
カーチャンの言葉を思い出す。
だが、この状況だ。島ではツンは助からない。
ξ゚听)ξ『じゃあ本島まで運びます。ブーン、船あったわよね』
川 ゚ -゚)「それだ」
クーはツンは見る。
ツンは苦しそうに唸っている。
まだ意識はあるようだ。
川 ゚ -゚)「あなた達が持っている船はどこにあるんだ!?」
ξヽ´兪)ξ「ん……」
川 ゚ -゚)「またんきの時に言っていただろう!?船だ!」
- 91
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:52:36.76 ID:8aCSzAlTO
- ξヽ´兪)ξ「……この先の……脇道……下って……入り江に……」
ツンの声をなんとか聞き取って、クーはまた歩き始めた。
足が滑りそうになるのに気をつけ、支えるツンに負担がかからないように。
脇道に入り、なだらかな斜面をゆっくりと下っていく。
川 ゚ -゚)「あった……」
視界に入る小型船。
急いでツンを船の中に運ぶ。
自分も乗り込み、クーは運転席に目を配った。
川 ゚ -゚)「キーはついてるな……これなら」
クーはエンジンをかけようとするが、くすぶっているのか、なかなかエンジンはかからない。
川;゚ -゚)「動け、動け、動けッ!」
- 92
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:53:49.33 ID:8aCSzAlTO
- 念じるように、クーは言った。
その時!
川 ゚ -゚)「……かかった!」
★
海に出た私達は、密漁船を監視していた本島側の漁船に助けられた。
不思議なことに、あの豪雨は鮫島付近にだけ起こっていた異常気象だった。
それは、あの貞子が起こした現象なのか。
それとも、私達フラグを発生させる力を持つ人間が起こした現象なのか。
- 93
名前:あさつき :2007/01/03(水) 16:58:09.59 ID:8aCSzAlTO
- それは定かではない。
私は今、彼女の手術を担当する医師に話を聞いている。
「非常に申し上げにくいのですが、状態は良くありません……」
「あの人は……あの人は助かるのですか!?」
「手術の成功率は、1%です」
- E N D -