44 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:43:59.20 ID:8aCSzAlTO


カーチャンの営む民宿に到着した一行。
着いた頃にはもう日が暮れ、辺りは真っ暗だった。

( ^ω^)「この子、どうするかお……」

J( 'ー`)し「駐在さんに連絡する?それとも、まだ死体が増えるからいい?」

ブーンをからかうように、カーチャンが笑った。

ξ#゚听)ξ「揶揄するくらなら黙りなさいよ」

威嚇するように、ツンが言った。

J( 'ー`)し「……奥の部屋を貸すわ。ついてきて」

カーチャンはそう言うと、廊下の奥へ消えていった。
ブーンはそれを追う。

ξ゚听)ξ「連続殺人犯の次は霊……か」

ぼそっと、ツンが呟いた。

(*゚∀゚)「……」

45 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:44:47.07 ID:8aCSzAlTO
(=゚ω゚)ノ「つーちゃん?どうしたんだぃょぅ?」

(*゚∀゚)「別に。なんでもないぜ」

先程からつーに誤魔化されてばかりだと、ぃょぅは思った。
つーは何かを知っている。
そんな考えさえ浮かぶ。
そんなぃょぅは、ふと窓の外を見た。

(=゚ω゚)ノ「雨だぃょぅ」

(*゚∀゚)「ホントだ」

ξ゚听)ξ「今日は降るって言ってたわ」

(=゚ω゚)ノ「またんきも言ってたぃょぅ……」

ゴロゴロと遠くから雷の音も聞こえた。

J( 'ー`)し「お待たせ」

戻ってきたカーチャンとブーン。

J( 'ー`)し「貞子の話が聞きたいのでしょう。案内するわ」

カーチャンは言うと、今度は全員をロビーに通した。

46 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:48:36.85 ID:8aCSzAlTO
J( 'ー`)し「でもまず先に、フラグって何?」

ξ゚听)ξ「そうね。そっちから説明した方がいいかもしれない」

カーチャンと交代するように、ツンとブーンが説明に入った。

ξ゚听)ξ「私達な二年前、ある事件に巻き込まれたの」

( ^ω^)「図書館で同じ本を手に取った僕達は、別の日に偶然のように大学で再会したお」

ξ゚听)ξ「この日ブーンの友達は、山荘の無料宿泊券が当たってみんなに自慢してた」

( ^ω^)「僕達はその山荘に行くことになったお」

ξ゚听)ξ「山荘に着いた日の夜は大雪だった。
まるで今日みたいに、段々と天気は悪くなっていった」

47 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:50:34.33 ID:8aCSzAlTO
( ^ω^)「一人目が殺され、そして二人目三人目と殺されいったお」

ξ゚听)ξ「自分の部屋に逃げ帰った人もいた。けどその人も、殺されたわ」

( ^ω^)「経営者の一人が錯乱して、猟銃を持って僕達に迫ったお」

ξ゚听)ξ「でもその人は銃の暴発で死んだ。
その前に、見回りに出た別の経営者が猟銃を使わないようにしていたの」

( ^ω^)「そこでフラグが立ってたんだお。猟銃は使っちゃいけないって」

ξ゚听)ξ「その事件の中で、大きいものから小さなものまで、たくさんのフラグが立っていたの」

( ^ω^)「僕とツンの出会いも」

ξ゚听)ξ「山荘の無料宿泊券の当選も」

48 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:56:54.78 ID:8aCSzAlTO
( ^ω^)「そして今日も」

ξ゚听)ξ「普段の日常と違うと思ったら、疑っていい」





そ れ が フ ラ グ だ か ら





まるで打ち合わせをしかたのように、二人は同時にそう言った。
ぃょぅの顔が青褪めている。

聞いたこともない島。
それをモナーの父親が観光開発するという。
その島に旅行することになった。
そして、同じクラスでも違うグループにいるはずのつーが話に入ってきた。

そのつーも旅行に参加することになった。
それが全て、前兆だったとでもいうのだろうか。

(;=゚ω゚)ノ「嫌だぃょぅ!!死にたくなぃょぅ!!!!」
51 名前:こねぎ :2007/01/03(水) 14:58:13.58 ID:8aCSzAlTO
ぃょぅはロビーを出ていこうと走り出す。

ξ゚听)ξ「駄目……追わなきゃ」

言葉を発すると同時、ツンも走り出した。
フラグの発生を感じ取ったのだ。

ぃょぅがドアを開こうと、ガチャガチャと動かしている。

ξ;゚听)ξ「駄目!外に出ちゃ駄目!!」

ツンは叫んだ。
手を伸ばす。

ぃょぅがドアを開いた。
玄関の縁を足が越える。

ツンの手がぃょぅに伸びる。

(;=゚ω゚)ノ「うっ!」
ξ;゚听)ξ「きゃっ!」

ぃょぅの腕を掴んだツンだったが、態勢を崩しそのまま室内側に倒れ込む。

その時

民宿の前に、雷が落ちた。
53 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:08:11.51 ID:8aCSzAlTO
開きっぱなしになっていたドアから、鮮明な落雷現象を目の当たりにするぃょぅとツン。
後少し遅かったら、雷に打たれぃょぅは命を落としていただろう。

(;^ω^)「ツン!大丈夫かお!?」

ξ゚听)ξ「私は平気。彼もね」

ぃょぅはガクガクと震えていた。

ξ゚听)ξ「逃げるなんて絶対やっちゃいけないことだわ。フラグの餌食になるのがオチよ」

ツンはそう言うと立ち上がった。
腕を引かれ、ぃょぅも力なく身を起こす。

ξ゚听)ξ「フラグの話はしたわ。次はこの島のフラグ、貞子よ」

ツンはカーチャンを見る。

J( 'ー`)し「どうやら、話した方が良さそうね」

54 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:09:18.68 ID:8aCSzAlTO
納得したように、カーチャンは言った。
そしてまた、ロビーに向かおうとする。
だが、間が悪いことに、電話が鳴った。

J( 'ー`)し「もしもし?どうしたの?土砂崩れ……?わかったわ、すぐ行きます」

電話を切ったカーチャンの顔は、先程とは変わっていた。

(-_-)「役場の人?」

J( 'ー`)し「ヒッキー……そうよ」

二階に向かう階段に、いつ間のか少年が座っている。

J( 'ー`)し「申し訳ないけど、私は行かなきゃならなくなったわ」

ξ゚听)ξ「そんな……」

J( 'ー`)し「悪いけれど話は明日にでもしましょう」

55 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:16:54.27 ID:8aCSzAlTO
玄関の靴箱の上に置かれていたレインコートを取って、カーチャンは言った。

J( 'ー`)し「ヒッキー、水着のままの子達に着るものを渡してあげて。泊めるなら二階の部屋で。
あぁ、階段を上がったところの手すりは腐りかけてるから気をつけて」

レインコートを着込み、長靴を履く。

J( 'ー`)し「もし雨が酷くなるようなら学校に行きなさい。
あそこは島で一番地盤が固いの。避難場所になってるはずだから」

ξ;゚听)ξ「待って!」

ツンは声を上げた。
この先、カーチャンに何が起こるのか。
ツンにはわかった。

J( 'ー`)し「息子を守ってやってちょうだい」

56 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:17:45.95 ID:8aCSzAlTO
ツンが言い出すより先、カーチャンはそう言って出ていった。

ξ;゚听)ξ「あ……」

止められなかった。
ツンは絶望する。
そんなツンを見て、ブーンは優しく声をかけた。

( ^ω^)「帰ってくるって、信じるお」

ブーンの言葉に、ツンはただ頷くだけだった。
ツンは唇を噛み、止められなかった悔しさを堪えていた。



あれからどれくらい経ったのだろう。
ロビーのイスに腰掛けたまま、ブーン達は無言の時を過ごしていた。
着替えたというのに、まるで寒さを感じているかのように震えるぃょぅ。
59 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:23:25.68 ID:8aCSzAlTO
ツンもブーンも、つーもヒッキーも、内心は恐怖に震えている。

その時だった。

「誰か……」

玄関のドアが開く音と、誰かの声が聞こえた。
皆が急いで玄関に向かうと、そこにはびしょ濡れのクーがいた。

(;=゚ω゚)ノ「クー!お前、モナーと一緒に別荘にいたんじゃないのかぃょぅ……」

川;゚ -゚)「…………逃げてきた…………」

それだけ呟く。

川;゚ -゚)「…………髪の長い女が…………」

またぽつりと。

(-_-)「貞子だ」

ヒッキーが呟いた。
皆、モナーのことは言わないでも、どうなったかはわかっているようである。
61 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:28:58.04 ID:8aCSzAlTO
ξ゚听)ξ「とにかく、体を拭いて着替えた方がいいわ。貴女、手伝って」

(*゚∀゚)「……わかった」

へたり込んでいるクーを支えて、ツンとつーは二階に上がっていく。
ブーン達はロビーに戻った。

( ^ω^)「ヒッキーくんだったおね。お父さんはどうしたんだお?」

(-_-)「死んだよ。大きな魚をたくさん穫って帰ってくるって言って」

( ^ω^)「そうかお……」

重い空気。
人の死は何度も見てきた。
だが、こういった話は悲しくなるだけだった。
仲の良かった友人も死んだ。殺人鬼に殺された。
仲の良かった友人が殺人鬼だった。そして死んだ。

62 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:30:03.08 ID:8aCSzAlTO
それも全てフラグによって引き起こされたこと。
そう思わないと、気持ちに整理がつけられなかった。

(*゚∀゚)「よっ」

(=゚ω゚)ノ「つーちゃん。クーは大丈夫かぃょぅ」

(*゚∀゚)「今はもう落ち着いてるぜ。あのさ、ちょっといいか?」

つーの言葉に何を期待しているのだろう。
ぃょぅの顔が赤くなる。

(=゚ω゚)ノ「なんだぃょぅ?」

(*゚∀゚)「ここじゃあれだからさ……」

そう言うと、つーはぃょぅの手を引っ張ってロビーを出ていった。

( ^ω^)「青春だおねぇ……」

なんてことを、言ってみたり。

しかし、青春に浸っている時間は長く続かなかった。

63 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:37:23.12 ID:8aCSzAlTO
「死ねええええ!!」

二階から、誰かの叫びが聞こえた。



ξ;゚听)ξ「うっく……なんで……」

クーの着替えが終わったその直後だった。
つーが、背後からツンを襲ったのだ。
濡れたクーの服の袖が、首に食い込む。

(#*゚∀゚)「お前さえあの山荘に行かなきゃ、お姉ちゃんは死ななかった!」

ξ;゚听)ξ「お姉……ちゃん?」

(#*゚∀゚)「オレはあの山荘で殺されたカップルの彼女の……しぃの妹だ!!」

憎しみと悲しみが入り混じった表情をして、つーは手に力を入れる。

(#*゚∀゚)「ずっと怪しいと思ってた。この二年、お前達を探し回った」

ξ;゚听)ξ「……あ……あぁ……」

64 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:38:54.81 ID:8aCSzAlTO
(#*゚∀゚)「フラグの存在なんか信じちゃいなかったけど。
でもお前達がこの島にいるってわかった直後にモナー君が旅行に行くと言い出した」

更に力が入る。

(#*゚∀゚)「これがフラグっていうなら大歓迎だ!お前を殺せるフラグっていうなら!」

殺意に満ちた。
憎悪と憤怒に満ちた。
そんな言葉。

(#*゚∀゚)「お姉ちゃんを殺したフラグを、終わらせてやる……!!」

ξ;゚听)ξ「っ……殺したいなら……殺しなさい」

(;*゚∀゚)「!?」

ξ;゚ー゚)ξ「……私が死んで……この悲劇が終わるって……そうなら……万々歳だわ……」

ツンは笑っている。
66 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:46:38.09 ID:8aCSzAlTO
自分も嫌だった。だからもう終わらせたい。
ありがちな出会い。偶然のような出会い。
運命を感じたそれが全て、フラグという存在の思惑だったのだから。

(;*゚∀゚)「くっ……死ねええええ!!」

つーは叫ぶ。
だがそんなつーを、クーは突き飛ばした。

床に倒れるつー。

咳込むツン。

(*゚∀゚)「なんで止めた!?」

川 ゚ -゚)「この人を殺しても終わらない。私も、この人と同じ力を持っているから」

(;*゚∀゚)「!!」

思いもしないクーの告白に、つーは愕然となる。

(;^ω^)「どうしたんだお!?」

67 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:48:05.74 ID:8aCSzAlTO
つーの叫び声を聞きつけたブーンが、部屋のドアを勢いよく開いた。

(;*゚∀゚)「くっ!」

川;゚ -゚)「つー!」

つーは部屋を飛び出した。

( ^ω^)「あの子、どうしてここにいるんだお……?」

不思議そうに、ブーンは呟いた。

川;゚ -゚)ξ;゚听)ξ「!!」

何かを察知して、ツンとクーがつーを追う。
しかし、もう遅かった。

川;゚ -゚)「つー、行くな!」

クーは声を荒げる。

(*゚∀゚)「えっ?」

つーがこちらに振り返った。
だがすぐに、階段を下りようと手すりに掴まる。
だが、その手すりは……

(;*゚∀゚)「……うそ……」

手すりが、もげた。
69 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:56:17.28 ID:8aCSzAlTO
支えがない体は、前のめりに倒れ、

(*゚∀゚)「お姉ちゃん」

つーは階段を転がり落ちていった。

クー達が追いついた時には、つーはもう下で動かなくなっていた。

川;゚ -゚)「つー……うぅっ」

ξ;゚听)ξ「私が殺されてたら、この子助かったのかしら……」

つーの瞳には涙が浮かんでいた。
最期の最期まで、姉を想っていたのだろうか。

( ^ω^)「さっき大きな声が二階からしたんだお」

川 ゚ -゚)「え……?」

( ^ω^)「僕が部屋に着いた時、その子は二階の部屋にいたんだお」

ξ゚听)ξ「ブーン……?」

70 名前:わけぎ :2007/01/03(水) 15:57:13.82 ID:8aCSzAlTO
( ^ω^)「じゃあ、叫び声の直前に男の子と一緒にロビーを離れた子は、誰だお?」

時間的にあわない。
同じ時間につーが二人いたことになる。

川;゚ -゚)「ぃょぅが危ない!」

クーが声を上げた。



ぃょぅとつーは廊下を奥へ奥へと進む。
まるでその廊下は、永遠に伸びているように感じた。

(*゚∀゚)「外に出ないか?」

(=゚ω゚)ノ「え?だって雨が降ってるぃょぅ……」

(*゚∀゚)「雨ならもう止んでるぜ」

つーが言う通り、窓を見ると雨は止んでいた。

(;=゚ω゚)ノ「でも……」

先の落雷のこともある。

(*゚∀゚)「じゃあ、先に外で待ってるからな」
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