2 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:10:33.48 ID:8aCSzAlTO
( ^ω^)「ツン、死ぬお」

手には、研ぎ澄まされた包丁が握られていた。

ξ゚听)ξ「あ……」

有無を言わさず、腹にその刃は突き刺された。
そしてそれは、内部を抉るように、掻き混ぜるように、音を立てた。

川;゚ -゚)「なんだ……これは……」

深い深い夢の中……
深い深い心理の渦……


……
………

川;゚ -゚)「夢?」

嫌な汗をかいた。
だがそこは、いつもと変わりない自分の部屋だった。

川;゚ -゚)「あれは……なんだ?」

女性が刺殺される場面。
それも、刺した側も刺された側も、全く知らない者だった。

3 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:11:19.72 ID:8aCSzAlTO
クーは汗を拭ってベッドから出る。
目覚まし時計を見ると、もう家を出なければいけない時間だった。
パジャマを脱いで、制服に着替える。

川 ゚ -゚)「目覚まし……かけなかったのか」



教室に入ると、いつものメンバーがそこにいる。

( ´∀`)「クーちゃんが来たモナー」

(・∀ ・)「お〜そ〜い〜ぞ〜」

(=゚ω゚)ノ「今旅行の話をしていたんだぃょぅ」

川 ゚ -゚)「旅行?」

鞄を置いて、クーは会話の輪の中に入った。

( ´∀`)「パパが観光開発する小さな島のことモナー」

(・∀ ・)「鮫島っていうらしいよー」

4 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:13:04.80 ID:8aCSzAlTO
川 ゚ -゚)「鮫島?聞いたことないな」

モナーの父親は大手観光会社の重役なのである。

(・∀ ・)「で、観光地化する前に僕達で試しに遊んでほしいんだってさ」

( ´∀`)「海も山も綺麗らしいモナー」

(=゚ω゚)ノ「みんなで行こうって話してたんだぃょぅ」

川 ゚ -゚)「そうなのか。私は別に構わないが」

(・∀ ・)「ぃょぅはクーよりつーちゃんと一緒に行きたいんだよねー」

(;=゚ω゚)ノ「な、何を言ってるんだぃょぅ!」

顔を赤くしてぃょぅが怒った。
そんな反応を、またんきは楽しんでいるようだ。

(*゚∀゚)「何の話だ?」

(・∀ ・)「わ!噂をすれば影!」

5 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:14:05.96 ID:8aCSzAlTO
( ´∀`)「つーちゃんも鮫島って島に遊びにいかないモナー?」

(*゚∀゚)「行く行くー!」

いつもは自分達とは別のグループと話しているつーが、珍しく会話の輪の中に入ってくる。

川;゚ -゚)(なんだ……?)

言い知れぬ違和感がクーを襲う。
まるで異物が入ってきたかのような。
つーが異物とはいわないが、明らかにいつもとは違う。
日常が変わることを恐れているわけではない。
クーは、何かおかしなことが起こっているような、漠然とした違和感を持った。



観光会社のフェリーが島に到着する。
閑散とした漁港。

6 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:16:54.25 ID:8aCSzAlTO
無人島ではないのかと疑いそうになるほど、人気がない島。

鮫島。

( ´∀`)「じゃあ3日後、迎えよろしくモナー」

荷物を降ろし終わり、フェリーは島をあとにする。

(・∀ ・)「誰もいないよ〜」

川 ゚ -゚)「観光地化されてない以前の問題だな、この静けさは」

無人の漁港を見渡しながらまたんきとクーが言う。
じめっとした夏の暑さの中に、どこかひやりとしたものがある。

(*゚∀゚)「……」

(=゚ω゚)ノ「きょろきょろしてどうかしたぃょぅ?」

(*゚∀゚)「いや、なんでもないぜ」

(・∀ ・)「はは〜ん……ぃょぅ、さては」

(;=゚ω゚)ノ「な、なんだぃょぅ!」

7 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:17:59.90 ID:8aCSzAlTO
またんきがからかうと、ぃょぅは顔を赤くした。
だが、つーがきょろきょろしていたことは、ぃょぅの思い過ごしなどではなかった。

( ´∀`)「じゃあ別荘に荷物を置いて泳ぎにいくモナー」

モナーがそう言うと、皆が歩き始めた。
会話もそこそこに五人は足を進める。

J( 'ー`)し「……」
(-_-)「……」

川 ゚ -゚)(あっ……人、いるじゃないか)

漁港を出た海岸線沿いの道路を歩いていると、クーは二人の人物を発見した。
母親だろうか、幼い少年の手を引いている。
クーはほっとした。島に誰もいないのではないかと本気で心配になったのである。
10 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:23:33.44 ID:8aCSzAlTO
J( 'ー`)し「貞子には気をつけなさい」

川;゚ -゚)「……!?」

擦れ違い様、母親と思われる女性が囁いた。
クーは振り返る。
だが、母親と息子と思われる二人は、既にもう遠くへ歩いていってしまっている。
それに、囁き声はモナー達には聞こえていないようだった。

川 ゚ -゚)(幻聴?)

クーは異変に、気付き始めていた。



丘の上にたつ小さな家。
締め切ったカーテンの隙間から、彼女は遠ざかっていくフェリーを見ていた。

「天気予報、今夜は豪雨らしいお」

「そう。見て、フェリーだわ」

「フェリー?観光客なんて珍しいお」

珍しい?

11 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:24:53.58 ID:8aCSzAlTO
声をかけた彼は、自分の口から出たその言葉に疑問をもった。

「まさか、またあれが始まるのかお」

「たぶんね。今度は止められるかしら」

彼女は振り返って、彼を見た。

( ^ω^)「そのために、この島に来たんだお。僕達は……」

ξ゚听)ξ「そうね」

ツン。
ブーン。
彼女達はフラグに愛され、そして弄ばれた者達。



蝉の声。
波の音。
太陽の日差し。

(・∀ ・)「ひゃっほー!」

( ´∀`)「泳ぐモナー!」

嬉しそうにはしゃぐまたんきとモナー。

(=゚ω゚)ノ「……」

12 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:30:17.86 ID:8aCSzAlTO
(*゚∀゚)「隣、座っていいか?」

(;=゚ω゚)ノ「えっ!?いぃょぅ……」

流木に仲良く座るぃょぅとつー。

川 ゚ ー゚)「平和だ……」

おかしなことなどなかった。
そう思えるような安堵感を、クーは覚える。

川 ゚ -゚)「私は少しその辺を散歩してくるよ」

( ´∀`)「わかったモナー」

モナーにそう告げると、クーは海岸線を歩きだした。

踏みしめる砂浜。
時より足元を撫でる波。
心が安らいでいるのがわかる。

だがしかし、そんな安堵もすぐに終わりを告げた。

ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」

視線を感じて振り返る。
浜辺に通じる道路から、こちらを見ている者達がいた。

13 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:31:31.68 ID:8aCSzAlTO
川;゚ -゚)「なんだ……なんなんだ」

せっかく普通に戻ると思ったのに。
クーは駆けだした。

川;゚ -゚)「いったいなんだ!この島は!あなた達は!!」

辿り着くなりクーが叫び散らす。
クーの瞳に映っているのは、夢に出てきた二人だった。

( ^ω^)「フラグを感じてるのかお」

ξ゚听)ξ「同じね……私と」

川;゚ -゚)「フラグ……?同じ……?」

意味がわからない。
初対面の相手だというのに、突然叫ばれても平穏を保っている。

川;゚ -゚)「なんなんだ……あなた達がこの違和感の元凶か」
17 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:35:40.38 ID:8aCSzAlTO
ξ゚听)ξ「彼は違うわ。私は、ただフラグの発生を感じ取れる人間で、
そのフラグのスイッチを無意識に押しているだけ」

川;゚ -゚)「さっきからなんなんだ……フラグとは?」

クーは、彼女を睨みつける。
睨まれても彼女は、あくまで冷静に口を開いた。

ξ゚听)ξ「二年前に山荘で起こった連続殺人事件て、知ってる?」

川 ゚ -゚)「二年前の?…………あぁ、確か犯人も死んだっていう」

ξ゚听)ξ「私達は、あの事件で唯一生き残った人間なのよ」

川;゚ -゚)「!?」

動揺しながらも、嘘ではないかという疑いもまだ捨てきれない。

18 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:36:15.13 ID:8aCSzAlTO
生存者の名前は報道されなかったが、男女一人ずつだったことを、クーは思い出す。
ということは本当に……

ξ゚听)ξ「殺人だけじゃなかった。猟銃の暴発、落石、事故で亡くなった人もいる」

( ^ω^)「不幸が重なったんだと言われたお。
でもショボン……犯人まで都合よく間欠泉が当たって死ぬものかお?」

ξ゚听)ξ「その一連の出来事の中に予兆みたいなものがあったのよ。
私達の出会いもそう、全てがフラグの掌の上で踊らせているだけ」

二人は語る。
クーは、あの夢から覚めた時のような、嫌な汗をかいていた。

19 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:40:02.69 ID:8aCSzAlTO
川 ゚ -゚)「それが事実だとしたら、何か起こるというのか?」

ξ゚听)ξ「予兆を感じているというなら、ね」

平然と不吉なことを言う。
クーは、彼女の言い方が癇に触った。
だからなのだろうか、受け入れたくない。そんな気持ちになる。

川;゚ -゚)「私は信じない。そんなでたらめ!」

クーは思わず駆けだしていた。
もうこの場にいたくなった。

(;^ω^)「危ないお!」

何かに気付いて彼が叫ぶ。

ξ゚听)ξ「助けちゃ駄目」

(;^ω^)「なんでだお!?」

ξ゚听)ξ「助けなくても、助かるから」

20 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:41:10.04 ID:8aCSzAlTO
わかりきったように言う彼女の顔を見て、彼は恐る恐るクーが走っていった方向を見た。
それと同時、けたたましいブレーキ音が辺りに響く。

川;゚ -゚)「……」

自分の身に起こったことに、声も出ない。
目の前に、鼻の先スレスレに、軽トラックの車体がある。

「馬鹿野郎!気をつけろ!!」

そう罵声を浴びせ、軽トラックは行ってしまった。

ξ゚ー゚)ξ「助かったわね」

川;゚ -゚)「……はぁはぁ……死ぬかもしれなかったのに、なんで笑ってるんだ……」

ξ゚听)ξ「貴女は死なない。基本的に主人公は死なないものでしょ?」

川;゚ -゚)「主人公……?」

21 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:47:29.24 ID:8aCSzAlTO
またわけがわからないことをと、クーは呆れそうになる。

ξ゚听)ξ「映画の主人公はたいてい生き残る。特にアクション映画なんかそうよね」

川;゚ -゚)「私が、主人公だと?」

ξ゚听)ξ「主人公フラグという名の生存フラグね。貴女にはそれが立ってるの」

もう彼女には、フラグという存在が日常に組み込まれているのだろう。
だから彼女には、クーのような違和感はない。
そこに発生したフラグを、ただ対処しているように思えた。

そんな時だった。

パンッと、何かが爆発したような音が、モナー達がいる砂浜から聞こえてくる。

川;゚ -゚)「!?……嘘だッ」
23 名前:ねぎ :2007/01/03(水) 13:49:15.37 ID:8aCSzAlTO
>>22訂正

絶望にも似たそんな形相をして、クーは砂浜へ続く階段を駆け降りていった。

ξ゚听)ξ「あの子が今回のフラグによる出来事の中心人物なら、私達は死ぬわね」

( ^ω^)「そうならないために、生存フラグを立てればいいお」

力強く、肩を抱く。

ξ゚ー゚)ξ「もし私が死ぬ時は、側にいてね」

そう言うと、抱かれた腕から彼女は離れていった。
そして、振り返り様、彼女は言った。






あ の 時 言 っ て く れ た 言 葉 、 覚 え て る ?






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