- 122 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:33:49.09 ID:8aCSzAlTO
- カーチャンは、受験勉強と沢近の看病のために島に残った。
*(‘‘)*「こほんこほん」
J( 'ー`)し「大丈夫?少しお熱があるみたいだから、家に入って休もうね」
カーチャンの家族や沢近の母親はもう行ってしまった。
( ゚∀゚)「よっ」
J( 'ー`)し「あれ?長岡くんも残ったの」
( ゚∀゚)「お前のこと聞いてな」
J( 'ー`)し「別に心配しなくてもいいのに」
やってきた長岡を家に招き入れると、カーチャンも家に入った。
( ゚∀゚)「高岡と伊藤も残ったみたいだぜ」
J( 'ー`)し「へえ。どうして?」
( ゚∀゚)「面倒くさいんだろ、特に高岡は」
長岡の言葉に、カーチャンは察する。
- 123 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:34:47.29 ID:8aCSzAlTO
- J( 'ー`)し「でもみんなよく旅行なんかできるよね。
この前、貞子ちゃんが死んだばっかりなのに」
カーチャンはまだ覚えていた。
長岡はそんなこともあったという風な顔をしている。
今現在、島にいるのはカーチャンと長岡、沢近、そして高岡と伊藤のみ。
それが何を意味しているのか。
その時はまだ、誰も知りはしなかった。
★
静かすぎて、カーチャンは目を覚ました。
時計を見ると、まだ起きるのには早い時間だった。
だがカーチャンの頭は、既に冴えてしまっていた。
J( 'ー`)し「あれ?沢近ちゃん?」
隣の布団を見ると、沢近がいない。
- 124 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:43:42.77 ID:8aCSzAlTO
- J(;'ー`)し「沢近ちゃん?沢近ちゃん!」
声を上げて呼んでも、返事はない。
焦ったカーチャンは急いで外に出る。
J(;'ー`)し「沢近ちゃん……沢近ちゃ……」
*(‘‘)*「こほんこほん」
沢近は、紙袋を持って道路を歩いてくる。
J( 'ー`)し「もう……どこ行ってたの?」
*(‘‘)*「ジエンセンセのところでお薬もらってきたんです」
そう言って、沢近は家の中に入っていった。
J( 'ー`)し「ジエン先生も島に残ったのかしら……?」
★
朝食を終えて洗い物を片づけていると、電話がかかってきた。
J( 'ー`)し「もしもし?」
「伊藤です」
J( 'ー`)し「珍しいわね。どうしたの?」
- 125 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:44:20.63 ID:8aCSzAlTO
- 「あの、カーチャンて成績良いでしょ?だから受験の対策教えてもらおうと思って」
高岡と付き合っているのか勉強もままならないのだろう。
カーチャンは呆れた。
J( 'ー`)し「いいけど、電話でいいの?」
「うん。ちょっとごめん、起き抜けで寝ぼけてるのかな。
頭がクラクラする。ちょっとコーヒー飲みたいからお湯沸かしてくるね」
そう言って、伊藤は受話器から離れた。
カーチャンは辛抱強く、伊藤が帰ってくるのを待つ。
だが、伊藤が帰ってくることはなかった。
爆発音が、家の外から聞こえてくる。
J(;'ー`)し「なに……?」
- 128 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:53:11.68 ID:8aCSzAlTO
- 不可解な爆発音。
カーチャンはゆっくりと受話器を耳に当てた。
ツーツーツーツー……
J(;'ー`)し「…………」
背筋に嫌な感覚が走ったカーチャンは家を飛び出した。
(;゚∀゚)「カーチャン!」
J(;'ー`)し「長岡くん!ねぇ、さっきの音なんなの!?」
(;゚∀゚)「わかんねぇ。でも伊藤ん家の方からだ!」
見ると、空に向かって煙が上がっていた。
(;゚∀゚)「高岡!」
長岡が叫ぶ。
カーチャンが向くと、そこにはいつもと違った高岡がいた。
从;゚∀从「あ、あれって……」
( ゚∀゚)「お前も伊藤ん家行こうとしてたんだろ?」
从;゚∀从「あ、うん……」
( ゚∀゚)「なら止まってんな!」
- 129 名前:みつば :2007/01/03(水) 19:54:23.15 ID:8aCSzAlTO
- そう言って、長岡はまた駆けだした。
カーチャンと高岡もそれを追う。
煙の大きさが、段々とはっきりしてきた。
鼻につく嫌な臭いが立ち込める。
やはり、爆発元は伊藤の家であった。
炎を上げ、家は燃え盛っている。
幸いなのが、隣家に燃え移らない距離に伊藤の家が建っていることか。
J(;'ー`)し「伊藤さんは?伊藤さん!」
カーチャンが名を呼んだ。
(;゚∀゚)「中……なのか?」
炎に包まれた家を覗く長岡。
从;゚∀从「……」
何も言わず震えている高岡。
その時だった。
J(;'ー`)し(;゚∀゚)从;゚∀从「!!」
- 130 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:01:44.41 ID:8aCSzAlTO
- 既に燃えて半壊している玄関のドアを突き破り、
黒焦げになった人の形をした何が、カーチャン達の目の前に転がってくる。
「……さ……だ……こ……」
微かに聞き取れた、その名前。
从;゚∀从「うわああああ!!」
高岡が叫んだ。
从;゚∀从「あいつの……あいつの呪いだ……」
がたがたと震えながら高岡が言う。
そして高岡は、逃げ出した。
(;゚∀゚)「高岡!!」
J(;'ー`)し「伊藤さん!伊藤さん!」
(;゚∀゚)「カーチャン!諦めろ!もう手遅れだ……」
J(;'ー`)し「でも……」
(;゚∀゚)「今は高岡を追った方がいい。あいつ、錯乱してる」
長岡の言葉に、カーチャンは頷いた。
- 131 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:03:14.24 ID:8aCSzAlTO
- 通り過ぎ様、カーチャンの視界に黒く焦げたそれが見える。
★
高岡は階段を駆け上がっていた。
場所は学校。高岡は、屋上を目指している。
バンと扉を開いて、息を切らしながら、高岡はポケットからタバコを取り出した。
箱からタバコを一本出そうとするが、手が震えてなかなか取り出せない。
从;゚∀从「あっ」
やっと取り出せたと喜んだのも束の間、震える手からタバコは転がり落ちていく。
箱には、もう残りのタバコは入ってはいなかった。
仕方なく高岡は取りに行こうと歩き始める。
だが、タバコは風で転がり、フェンスの向こう側に行ってしまった。
下から手を伸ばしても、タバコは取れない。
- 132 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:08:44.74 ID:8aCSzAlTO
- 吸いたい。
吸いたい。
吸いたい。
吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい
吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい
吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい
禁断症状のようなものに取り付かれ、高岡はフェンスをよじ登り始めた。
フェンスを跨いだその時、風に煽られてフェンスは大きく揺らいだ。
从;゚∀从「うわっ!」
高岡は必死になってフェンスにしがみつく。
しかし次の瞬間、フェンスの留め具が外れ、高岡の乗っている辺りのフェンスが倒れた。
地面のない方向に。
从;゚∀从「あ……あぁ……」
- 133 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:11:37.63 ID:8aCSzAlTO
- しがみついてはいるが、いつ落ちてもおかしくない状況。
学校の屋上。下手をすれば怪我どころではすまない。
从 ;A从「悪かったよぉ……貞子ごめんよぉ……」
高岡は泣きながら、謝り始めた。
从 ;A从「あたしが悪かったよぅ……謝るから許してくれよぅ……」
助かりたい一心の懇願。
手が震え始めた。
もう耐えられない。
从 ;A从「お願い……死にたくない……」
フェンスの網に絡まる指が離れていく。
第一関節のみが体を支える。
从 ゚∀从「あっ……」
手を伸ばしてももう届かない。
どんどんフェンスが小さくなっていく。
- 134 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:12:14.11 ID:8aCSzAlTO
グシャッ
- 135 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:22:36.97 ID:8aCSzAlTO
- ★
校門に辿り着いた時には、全てが終わっていた。
J(;'ー`)し「ひっ……」
(;゚∀゚)「高岡……」
血塗れになった花壇。
その花壇のレンガのブロックに頭を打ち付け、絶命した高岡。
(;゚∀゚)「伊藤に、高岡まで……」
J(;'ー`)し「本当に貞子さんが……?」
言い知れぬ恐怖に包まれる二人。
( ゚∀゚)「あれ?あの子……」
J( 'ー`)し「沢近ちゃん?」
二人は、沢近を見つける。
(;゚∀゚)「あっちって山の方じゃないか」
J(;'ー`)し「なんで……?」
嫌な予感がする。
どちらともなく走り始める。
二人は、沢近を追った。
- 136 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:23:45.79 ID:8aCSzAlTO
- J(;'ー`)し「待って沢近ちゃん!危ないから!」
呼んでも向こうは気付かないのか、奥に進んでいく。
(;゚∀゚)「待てって!」
落石注意と書かれた看板を横切って、二人は走り続ける。
いくら走っても追いつかない。
その時だった。
J(;'ー`)し「長岡くん!危ない!!」
カーチャンが叫んだ。
( ゚∀゚)「え?」
長岡が振り返る。
直後、脳天に衝撃が走った。
長岡は倒れた。頭部からおびただしい血が流れてくる。
J(;'ー`)し「い、いやぁ……」
長岡が起きあがる気配はない。
山の斜面を転がってきた石が跳ね、長岡の頭部に直撃したのだ。
*(‘‘)*「……」
J(;'ー`)し「沢近ちゃん……」
- 139 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:30:16.05 ID:8aCSzAlTO
- いつの間にか、沢近がカーチャンの目の前に立っていた。
カーチャンは、そこにいる小さな少女から、とてつもない威圧を感じた。
*(‘‘)*「この子ね……」
静かに口を開いた沢近から出た小さな言葉。
「風邪こじらせてとっくに死んでるよあははははははははははははははは!!!!!!!!!」
- 140 名前:しゅんぎく :2007/01/03(水) 20:32:08.39 ID:8aCSzAlTO
- …
……
………
次に目覚めた時には、私は家の布団で寝ていました。
気絶していたところを、沢近ちゃんが気になって帰ってきたおばさんや私の家族に発見されたのです。
沢近ちゃんも発見されたのですが、肺炎を悪化させて見つかった時には既に亡くなっていたようです。
ジョルジュ長岡
ハインリッヒ高岡
ペニサス伊藤
ヘリカル沢近
あの日、死んだ人達の名前。
この共通点に気付いていれば、私はなにかしらの行動ができたのではないのでしょうか。
いえ、それは愚問ですね。
彼女達のような言い方をすれば、これはその者達が死ぬフラグ。
私には関係のないことなのかもしれません。
それとも私に、彼女達のような図らずして生き残る能力があったのでしょうか。
でも、もうそんなことも関係ないのです。
私は土砂に埋まって、死んだのですから。
- E N D -