2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:46:45.45 ID:nId1PqMCO
―――――
――――
――

ξ;゚听)ξ「ふぅ、あっついー」

( ^ω^)「仕方ないお。空調なんてとっくに切れてるし」

ξ゚听)ξ「あんたはピザのくせに暑さには強いのよね」

( ^ω^)「おっおっ」

風のない夏の午後。
だらりと垂れ下がった厚手のカーテン
配線が露わになった照明のあった場所



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:47:58.76 ID:nId1PqMCO
( ゚∀゚)「いよいよ今日だもんなぁ」

( ^ω^)「卒業式から半年しか経ってないのに、何だか懐かしいお」

画鋲の穴だらけの掲示板
机や椅子は一つもない

ξ゚听)ξ「卒業式の日に書いた黒板の寄せ書き、まだ残ってるのね」

カラフルなチョークで描かれた『3年A組!』の周りを、いくつかの名前が彩る



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:49:03.77 ID:nId1PqMCO
ξ゚听)ξ「A組もくそも無いんだけどね」

( ^ω^)「……懐かしいお」

( ゚∀゚)ノ≡*「オラっ!」
サクッ
( ゚ω゚)「ロマネコンティ!」

( ゚∀゚)「時間ねんだぞ!感傷には半年間充分ひたっただろうが!」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:50:26.42 ID:nId1PqMCO
ξ゚听)ξ「そね、早く準備しちゃいましょ」

(#)゚ω゚)「だからってウニ投げる事ないと思うんだお!」

( ゚∀゚)ノ*「村ん中で繁殖させてやろうと思ってよ。何年後か放水ん時、大量のウニ出て来たらビビるぜwww」


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:51:16.80 ID:nId1PqMCO

ξ゚听)ξ「はいはい、分かったから始めるわよ」
ξ゚听)ξ「ジョルジュは線まとめて!ブーンは球つける!」

( ゚∀゚)「うーい」( ^ω^)





防災フィルムが剥がれた窓

そこから見える今日空は、

いつもより少しだけ高くて

悲しい程に晴れている

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:54:49.85 ID:nId1PqMCO
―――――
――――
――

すえた い草の匂いが好きだった。
防具の重みが好きだった。

川 ゚ -゚)「・・・・」

サウナのようなこの道場が、
頬を伝う汗が心地よかった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:56:35.64 ID:nId1PqMCO

川 ゚ -゚)「早いもんだな」

雨の日も晴れの日も
夏も春も
どんなに具合が悪くとも
ここで剣を交えた。

ここが、私の場所だった。

川 ゚ -゚)「結局…一度も勝てなかったか」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 09:59:32.66 ID:nId1PqMCO
広い道場に
いつも2人
終わりが来るなんて思いもしなかった。

川 ゚ -゚)「・・・・」

いつも私が一番乗り、
そして…



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:00:31.63 ID:nId1PqMCO
川 ゚ -゚)「…来たか」

('A`)「おう」

川 ゚ -゚)「・・・・」

('A`)「・・・・」




14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:01:08.68 ID:nId1PqMCO

―いつも、いつも
 何度も、何度も


川 ゚ -゚)「…終わってしまうんだな」


―雨でも晴れでも
 夏も、春も


('A`)「仕方ないんだよ」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:01:35.31 ID:nId1PqMCO

今日もいつかの夏と同じ
喉がカラカラに乾き
汗が滴り落ちる。

彼の立つ後ろの扉から風が凪いで、
2人の熱をぬぐっていった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:03:00.58 ID:nId1PqMCO
川 ゚ -゚)「…悔いも未練もないつもりだった。…でも何故だろうな、私は…」


川 ; -;)「私は…っ」

川 ; -;)「私はまだ君とっ…ずっとっ……くそっ何故っ…なみだっ…」




20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:03:59.98 ID:nId1PqMCO



川 ; -;)「…ドクオっ!!」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:04:54.23 ID:nId1PqMCO
―すえたい草の匂いが好きだった
 防具の重みが好きだった
 サウナのようなこの道場が、
 頬を伝う汗が好きだった



竹刀越しに見る

面越しに見る

―君の事が、
 好きだった。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:06:34.60 ID:nId1PqMCO
――――――
――――
――

(*゚∀゚)「おっうちー おっうちー あっ・たっ・いっ・のっ・おっ・うっ・ちー」

(*゚∀゚)「おーおー、こんなに荒れ果てて……って程でもないかw」

(´・ω・)「おねーちゃーん、待ってよー」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:07:13.07 ID:nId1PqMCO
(*゚∀゚)「半年もほっぽりっぱなしでゴメンよおうち」
(*゚∀゚)「あたしバイト頑張ってさ、コレ買ったんだよさ」

(´・ω・)「おねー」

(*゚∀゚)「同じ死ぬでも生き埋めは忍びないもんね。さぁ、いくよー」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:07:45.84 ID:nId1PqMCO


ブルン
ブルルン
ブルルララララルラ


(*゚∀゚)「It's a chain saw!!イヤッハーッ!」




28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:09:07.85 ID:nId1PqMCO
(´・ω・)「おねーちゃん、ブーンくんとのさくせんは?」

(*゚∀゚)「黙ってなくそガキ!こいつはね、あたいの手でぶっ壊してやるんだよ!!」

ブルルララララルラ
メキッバキバキバキッ

ブルルンルルンルルルルン
ハムハムハフハフウワッキメエ


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:10:03.18 ID:nId1PqMCO
(´・ω・)「あーあ」

(*゚∀゚)「どうだい!あたいのナイジェリア1号の威力は!ババンギタのように切れのある動き!!」




(´・ω・)「・・・・」

(´・ω・)「………あ。」

(*゚∀゚)「…まぁな」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:10:48.81 ID:nId1PqMCO

(´・ω・)「おうちが木ぃ1ぽんになっちゃったね」

(*゚∀゚)「ショボがうるせぇから、柱1本残してやったんだよ。ブーン達とのアレもあるしな」

(*゚∀゚)「おら、ちょっと背中くっついてみ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:12:37.90 ID:nId1PqMCO
(´・ω・)「さいごにはかったのはいつだっけね?」

(*゚∀゚)「あー覚えてないなぁ」

(´;ω;)「せ、のびてるかなぁ」

(*゚∀゚)「いんや、全然だな」

(´;ω;)「そんなことないよっ、ほらっ」

(*゚∀゚)「…ま、今回だけは背伸びもアリって事で」

ガリガリ

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:13:07.45 ID:nId1PqMCO

(´;ω;)「うっ…うっ…引っ越したくないよぅ」

(*゚∀゚)「しゃーないだろ、もう家無いんだから」

(´;ω;)「それは…おねーちゃんが…ババンギタのように…」

(*;゚∀゚)「分かった分かった。でもまだ最後の仕上げが残ってんだからさ」

(´うω;)「…うん」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:13:33.69 ID:nId1PqMCO

(*゚∀゚)「よっし!じゃあコレを柱のてっぺんに…っと、ショボ配線引っ張ってくれー」

(´うω・)「…うん」






40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:14:32.98 ID:nId1PqMCO

(*゚∀゚)「ふぅ。これでよし、と。」

(´・ω・)「よしと」

(*゚∀゚)「最後のあんたの姿、楽しみだよ…」

(´・ω・)「うん、そうだね」






(*゚∀゚)「…じゃあな、あたしのおうち」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:16:32.89 ID:nId1PqMCO
―――――
――――
――

ミーン ミーン ミーン
(*゚ー゚)「あーおなかいっぱいっ」
ミーン ミン ミン
(,,゚Д゚)「…全部食いやがった」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:17:12.04 ID:nId1PqMCO
ミーン ミーン
(*゚ー゚)「だって今日で最後なんだよ?この景色がオカズだったら何でもご馳走だよ!」
ミーン ミン ミン ミン ミーン
(,,゚Д゚)「だからって塩にぎり7個も食うか?」
ミン ミン ミーン
(,,゚Д゚)「セミもうるせぇっ!」
(*゚ー゚)「〜♪」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:18:41.67 ID:nId1PqMCO
コイツがこの村に来たのは1年前。
前の学校で酷い苛めに合っいて、自殺未遂までやらかしたらしい。

うつ病かなんかの療養でこの辺境に来たそうだが、今じゃ俺にアンクルロックをがっちり極める程の回復を見せている。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:21:05.29 ID:nId1PqMCO
(*゚ー゚)「う〜…んっ。気持ちいねぇ。こんな良い所を、何でかねぇ?」

(,,゚Д゚)「過疎ってやつだろ」

――『穂垂村』
その昔は隣りの炭鉱都市へ米を供給し、稲作と観光で活気ある村だった。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:21:47.26 ID:nId1PqMCO

炭鉱の閉鎖と共に、元々交通の便の悪いこの村の人口は減少。村の名物『穂垂池』も荒れ放題になっている。

そして昨年
ついに廃村となる事が決まった。

…らしい。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:22:50.06 ID:nId1PqMCO

ミーン ミーン
(*゚ー゚)「ふーん」
ミーン ミン ミン
(,,゚Д゚)「ま、俺らの卒業を待ってくれたのが、せめてものアレだよな」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:23:36.84 ID:nId1PqMCO
ミーン ミーン
(*゚ー゚)「あっ、セミの抜け殻!」
ミン ミン ミン ミン
(,,゚Д゚)「そんなもん拾うなって」
ミン ミン ミーン
(*゚ー゚)「だってぇ」
ミーン ミーン
(,,゚Д゚)「捨てろよ。ばっちいんだぞ」
ミーン ミン ミン ミーン
(*゚д゚)「嫌だっ」
ミンミン ミーン ミンミン
(,,゚Д゚)「…何でだよ。お前はホントに別人に…………」ミーン ミンミン ミーン ミンミン
(#,゚Д゚)「あーっ、セミっ、うるせぇっ!!」
ミーン ミーン
(*゚ー゚)「ギコくん」
ミン ミン ミン ミン
(,,゚Д゚)「あっ!?」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/14(日) 10:24:33.90 ID:nId1PqMCO






(*'ー')…ちゅっ





(,,゚Д゚)








ミーン ミン ミン ミン ミーン

ミーン ミーン ミン

…ミーン…

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