- 61 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:24:50.77 ID:hlu1EHt60
( ∵)「次の方どうぞ」
（ ＾ω＾）「はいお」
( ∵)「それで今日はどうなさいましたか？」
（ ＾ω＾）「あの、喉が……」
( ∵)「あぁ、はいはい。聞けば分かります。また随分と酷く枯らしてますね」
（ ＾ω＾）「お……」
( ∵)「それじゃとりあえずカメラ入れて中の声帯がどうなってるか見てみましょうか」
- 62 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:27:55.93 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）「お？」
( ∵)「声帯が腫れてるでしょうから、状態を見るんです。鼻から入れるんで楽にしてください」
（；＾ω＾）「は、鼻？」
( ∵)「そんなに痛くないですよ。くしゃみはなんとかこらえてください」
（；＾ω＾）「ひっ」
（；＾ω＾）（ちょ、カーチャンに言われて耳鼻咽喉科に来てみたら鼻の穴に管入れるとか聞いてないお！！１１）
（；＾ω＾）（痛い、いたたたたたたったったたた）
( ∵)「……うーん」
（；＾ω＾）（そんな大したことないんだお。勘弁してくれお）
- 65 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:34:39.22 ID:hlu1EHt60
( ∵)「……正直、これは酷いですね。原因は分かりますか？」
（；＾ω＾）「分かってますお」
( ∵)「はい、これ見てくださいね。今入ってるカメラで撮ってるものなんですけど」
（；＾ω＾）（カメラって撮ってすぐ出すんじゃなくてリアルタイムで見るのかお。つーか赤いのブヨブヨしててきめえｗｗｗｗｗｗｗｗｗ）
( ∵)「この部分、かなり広がってますよね」
（；＾ω＾）（いやいや、元が分からないから広がってるか分からないお）
( ∵)「ここのライン見てくださいね、本当はここまでなんですけど……」
（；＾ω＾）（お……？）
( ∵)「まぁ、要するに私の顔のＡＡぐらいの大きさの部分が、あなたの顔のＡＡぐらいのサイズにまで腫れあがってますね」
（ ＾ω＾）（分かりやすいお）
- 71 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:43:41.29 ID:hlu1EHt60
( ∵)「そうですか……がなり立てるような歌い方は止めて下さい」
（ ＾ω＾）「（嘘ついて）すみませんお」
( ∵)「このままだと声、出なくなりますよ」
（ ＾ω＾）「……えっ」
( ∵)「と言うか、今全然出てないでしょう」
（ ＾ω＾）「これは寝てれば治るのでは」
( ∵)「治りませんよ。暫くは歌を一切禁止、喋るときもゆっくりと小さい声で」
（；＾ω＾）（なんと……）
- 73 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:48:01.52 ID:hlu1EHt60
( ∵)「今はまだそんなハッキリと形になってないですけど」
( ∵)「このままだと、ポリープになりますからね」
（ ＾ω＾）「……」
（ ＾ω＾）（あ、あぁ。ポリープ。ポリープかお。僕はポリープは好きだお。美味しいお）
( ∵)「お薬は３種類出しておきます」
( ∵)「うがい薬も出すので毎日３回使ってください。これも炎症を抑える効果があります」
( ∵)「それと帰る前に吸入していってくださいね。薬は二週間分出しますけど、吸入は出来れば二日に一度来てください」
（ ＾ω＾）（あ、あれ、何か大変なことになってるお）
- 76 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:51:52.93 ID:hlu1EHt60
( ∵)「それじゃ診察は終わりです。隣の部屋で吸入して、処方箋を持って向かいの店にお願いします」
（ ＾ω＾）「あ、はいお……」
( ∵)「今回は初診とカメラ使ったのでお金かかってますけど大丈夫ですか？」
（ ＾ω＾）「あ、それは大丈夫ですお……」
( ∵)「それじゃお大事に。くれぐれも大声でなんか歌わないように」
（ ＾ω＾）「はいお」
（ ＾ω＾）（これは何という……）
（ ＾ω＾）「あの、吸入ってどうするんですかお」
（ ＾ω＾）「……え、また鼻に入れるんですかお」
- 80 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:56:16.10 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）（何かたくさん薬もらったお。こんなの初めてだお）
（ ＾ω＾）（うがい薬とかｗｗｗｗｗ小学生かおｗｗｗｗｗｗﾜﾛﾀｗｗｗｗｗｗｗｗｗ）
（ ＾ω＾）「……あーあー」
（ ＾ω＾）（やっぱりまだ痛いお）
（ ＾ω＾）（けど医者は大げさ過ぎて笑うお。こんなの薬飲んで一週間もすれば治るんだお）
（ ＾ω＾）（僕の回復力を舐めるなお）
（ ＾ω＾）「あーあー」
（ ＾ω＾）（喋り声より高い音が出る気がしないお）
- 81 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 22:58:56.08 ID:hlu1EHt60
―― 一週間後
( ∵)「おや、どうしました。吸入なら診察を通さずにそのまま吸入室へ行ってもらって構わないですよ」
（ ＾ω＾）「いや、あの」
( ∵)「お、だいぶ声治ってきてますね」
（ ＾ω＾）「確かに喋り声は全然平気なんだお」
( ∵)「回復の兆しですね」
（ ＾ω＾）「いや、そうじゃなくて」
（ ＾ω＾）「高い声がまるで出なくなってるんだお」
- 83 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:03:23.59 ID:hlu1EHt60
( ∵)「歌ってらっしゃったんですか……？」
（；＾ω＾）「あ、ごめ、ごめんなさいお。けどちょっと試してみたくて」
( ∵)「それで、痛みはなかったですか？」
（；＾ω＾）「痛みというよりは掠れてて、思った高さがまるで出なくて……」
（；＾ω＾）（僕の限界がHiCだったのが、mid2Eまでしか出なくなってるんだお）
（；＾ω＾）（けど医者に音階なんか説明しても分からないお）
（；＾ω＾）「半オクターブくらい低くなってますお」
( ∵)「まぁ、あの状態ですぐに元通りになるとは思えませんし、元に戻らないかもしれませんね」
（ ＾ω＾）「えっ」
- 87 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:09:00.55 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）「元に戻らないんですかお……？」
( ∵)「可能性としては、ですけどね。治癒には個人差があるのでなんとも言えませんが」
（ ＾ω＾）「いや、いや……」
( ∵)「ただ、それが過言ではないような状態であったことは確かです」
（これはアレかお。地声の高さがいけないのかお。僕も高い曲歌いたいお）
（帰ったらインターネッツで調べてやるお）
（ ＾ω＾）（僕の二年間……）
- 89 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:14:17.24 ID:hlu1EHt60
( ∵)「でも今のうちに気付けて良かったと思いますよ。このままだと喋り声から変わっていたかもしれませんからね」
（ ＾ω＾）（よくねーお。何言ってんだこのドット顔）
( ∵)「ポリープになっていたら手術も頭にいれないといけませんし。高いですよ」
（ ＾ω＾）（知るかお……）
( ∵)「せっかくですし、声帯見てみましょうか。口開けて、舌を出すような感じでお願いします」
（ ＾ω＾）（……）
( ∵)「うーん……やっぱり左右のバランスが悪い。左が腫れてますね」
（ ＾ω＾）「左……」
( ∵)「あ、だからって気にして指で押し込んだり、突っついたりしないで下さいね」
- 93 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:19:01.85 ID:hlu1EHt60
( ∵)「それじゃ吸入してきてください」
( ∵)「鼻からゆっくりと吸って、喉を湿らすように、そしてゆっくり口から吐いてくださいね」
（ ＾ω＾）「はいお」
（ ＾ω＾）（吸入、吸入……これも今日で四回目だけど意味あんのかお）
（ ＾ω＾）（錠剤だって飲んでるお。たまに忘れるけど）
（ ＾ω＾）（うがい薬は……そういえばしてなかったお。家帰ったらやってみるかお）
（ ＾ω＾）（元に戻らないのかお……）
（ ；ω；）
- 96 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:25:35.14 ID:hlu1EHt60
――内藤家
（ ＾ω＾）「やっべ、うがい薬どっか行った。馬鹿にしてどこか投げ置いた気がするお」
（ ＾ω＾）「医者が元に戻らないって言っても、僕は治してやるお」
（ ＾ω＾）「それで僕は病院行ってこのヤブが！って言ってやるお。復讐してやるんだお」
（ ＾ω＾）「ブーンに限って復讐するようですだお」
（ ＾ω＾）「……」
（ ＾ω＾）「ちゃんと治るお」
- 99 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:29:37.12 ID:hlu1EHt60
―― 一週間後
（ ＾ω＾）「薬が切れたお」
( ∵)「調子はどうですか？」
（ ＾ω＾）「私生活においては何の問題もないお。けどやっぱり高い声を出そうとすると、掠れて出ないお」
( ∵)「それならお薬の種類は減らして、二種類出しておきます。うがい薬はまだ残ってますか？」
（ ＾ω＾）「ないですお」
( ∵)「また出しておきます。飲み薬よりもあちらの方が大事ですので、一日三度と言わず、乾燥してきたと思ったら何度でもうがいしてください」
（ ＾ω＾）（大事だったのかお）
- 102 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:34:01.18 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）「よっこらせっくす。吸入始めるお」
（ ＾ω＾）（こうして何度も通ってるけど、他の患者さんとは何の関わりもないお）
（ ＾ω＾）（病気の女の子と何か発展してもおかしくないお。考えるだけで興奮するお）
（ ＾ω＾）（……あぁ、ここ耳鼻科だったお。可愛い子がいても診察の時にはその子は鼻の穴アップされてるんだお）
（ ＾ω＾）（考えただけで興奮するお）
（ ＾ω＾）「あーあー。喋るだけなら全然違和感無いのにお」
- 103 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:37:19.54 ID:hlu1EHt60
――内藤家
（ ＾ω＾）「ちょっと試しに声出してみるお」
（ ＾ω＾）「あぁーあああーぁぁぁぁぁ……」
（ ＾ω＾）「……mid2Fで掠れるなんて」
（ ＾ω＾）「イライラするお……」
（ ＾ω＾）「こういうときはカラオケ板でも覗いてみるお」
（ ＾ω＾）「喉を壊した人？」
- 108 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:42:29.58 ID:hlu1EHt60
69 選曲してください sage 2008/08/27(土) 01:44:12
ID:TSURIDESU
いいか、カスども、よく聞け
超回復という言葉がある
スポーツ選手なども筋力うｐのために一度、意図的に身体を壊すことがある
それは人間の自然治癒による超回復を狙ってのことだ
人間の神秘だな。それによって回復すると、勢いあまって前以上のポテンシャルを得ることが出来るわけだ
それが、声に関しても言える
一度無理をして喉を壊すことによって、声域がぐんと広がる
（；＾ω＾）「な、なんだって……なんだってえええええええええ」
- 115 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:47:28.06 ID:hlu1EHt60
（；＾ω＾）「分からんぞ、僕、まだ分からんぞ。何が起こるか分からんぞ」
（；＾ω＾）「僕は今、きっと凄く微妙な位置にいるんだお。破壊から回復に向かう不安定な状態なんだお」
（；＾ω＾）「だから声が出ないんだお！ なるほどだお！」
（ ＾ω＾）「超回復……なんて素晴らしい響きだお」
（ ＾ω＾）「今はこんなにしわがれてるけど、これが完治すれば今まで以上の声を手に入れることが出来るんだお」
（ ＾ω＾）「お……」
（ ＾ω＾）「そのためにも、今はもっと喉を大事にするお」
- 116 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:51:44.39 ID:hlu1EHt60
―― 一週間後
（ ＾ω＾）「お！ 届いたお！」
（ ＾ω＾）「自家製かりん飴！ 水飴をお湯で溶かして飲むと良いって書かれてたから通販で買ってみたお！」
（ ＾ω＾）「……今までヒトカラに使っていたお金が浮いたんだお」
（ ＾ω＾）「複雑だけど、飲むお。飲みまくってやるお」
（ ＾ω＾）「うーん。微妙だお」
（ ＾ω＾）「直接舐めるとうめぇｗｗｗｗｗｗｗｗ水飴うめぇｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
- 117 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:54:09.40 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）「スーパーでハチミツ買ってきたお」
（ ＾ω＾）「レモン汁とお湯で割って飲むお。喉に優しいお」
（ ＾ω＾）「酸っぺぇｗｗｗｗｗｗｗｗ分量ﾜﾛｽｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」
（ ＾ω＾）「加湿器買ってきたお。室内の湿度をこれで守ってやんお」
（ ＾ω＾）「……」
（ ＾ω＾）「これは効果が分かりにくいお。このまま寝るお」
（ ＾ω＾）
- 121 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/07(日) 23:56:31.17 ID:hlu1EHt60
（ ＾ω＾）「ｯﾊ」
（ ＾ω＾）「朝だお。けど何だ今の……」
（ ＾ω＾）「お？」
（；＾ω＾）「天井から水が垂れてきたお……湿気やばすぎだお」
（ ＾ω＾）「けど朝起きて喉の調子がいいことが分かるお」
（ ＾ω＾）「試しに声出してみるお」
（ ＾ω＾）「あーぁぁああぁ――」
（ ＾ω＾）「やっぱダメだお」
- 125 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/08(月) 00:00:15.69 ID:ezRa/b+j0
――三ヵ月後
（ ＾ω＾）「今日もきたお」
(；∵)「……」
（ ＾ω＾）「どうしたんだお」
(；∵)「……まだ、喉は治らないですか？」
（ ＾ω＾）「ダメだお。調子を確かめるために一瞬だけ高い声だしてみるけど、まるでダメだお」
(；∵)「そうですか……これまで見てきて、私としても出来る限りの忠告はさせていただきましたが」
（ ＾ω＾）「お？」
(；∵)「未だに治らない、ということは」
(；∵)「もう元には戻らないのでは」
- 135 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/08(月) 00:05:13.58 ID:ezRa/b+j0
（ ＾ω＾）
( ∵)「お薬も今まで出してきました。これは何度も言ってきましたが、これ以上は身体に毒です」
( ∵)「それにもう、抗体が出来て効いてないかもしれませんね。体に残るのはダルさだけかもしれない」
（；＾ω＾）「え、いや、待ってくださいお。超回復っていうのがあって……」
( ∵)「超回復ですか？」
（；＾ω＾）「そうだお！ 細胞を壊すことによって今まで以上の……」
( ∵)「そうですね、筋肉を痛めつけて、というものでしょうか」
（；＾ω＾）「それ！ それだお！」
( ∵)「声帯に関してはないでしょう」
（ ＾ω＾）
- 139 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/08(月) 00:08:49.45 ID:ezRa/b+j0
( ∵)「絶対に無い、とは言い切れませんけど」
( ∵)「強いて言えば喉の筋力でしょうか。声帯はとても繊細なものなので傷つけてどうなるというのは考えにくい」
( ∵)「どちらかと言えば、それによるプラシーボ効果の方が大きいのかもしれません」
（ ＾ω＾）
( ∵)「吸入はまた来ていただいて構いません。ただ、錠剤はもう出せません」
( ∵)「これは医者としての判断です」
（ ＾ω＾）「……ありがとうございましたお」
( ∵)「はい」
( ∵)「……喋り声に問題はないというのに、何が不満なんでしょうか」
- 140 ：以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします：2010/03/08(月) 00:09:57.98 ID:ezRa/b+j0
- ９話 超回復 ここで切っておきます
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