- 549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:32:08.72 ID:A0URkcYB0
正月。高速道路を疾走する一台のラパンがあった。
(´゚ω゚`)「おらおら! 引き殺されてーのか馬鹿やろこんにゃろおめー!」
('A`)「先生。ガンガン抜かれてます。エンジン音がやばいっす」
(´・ω・`)「うーん、真冬の高速を軽自動車ではきつかったかなー」
( ^ω^)「ところで先生?」
(´゚ω゚`)「運転中に話しかけんなって! 事故りてーのか!」
( ^ω^)「なんでドクオさんがいるんだお?」
('A`)v「いえーい」
(´・ω・`)「なにが悲しくてカップルのお抱え運転手やらなきゃならないんだよ。
だからドクオ君を連れてきた。彼なら存在するだけで雰囲気ぶち壊してくれる」
('A`)「お褒めにあずかり光栄です」
ξ゚−゚)ξ「いいからさっさと飛ばせ」
(´^ω^`)「へい! ツンデレさんの申すがままに!」
- 554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:42:24.51 ID:A0URkcYB0
ここは奥州平泉。
かつては奥州藤原氏が栄え、そして源義経が最期を迎えた趣のある土地である。
(´゚ω゚`)「けっ! 退屈な土地だな! なにが平等院鳳凰堂だ! ただの十円じゃねーか!」
(;^ω^)「あんたホントいい加減にしろお……」
(´゚ω゚`)「うるせぇ! で、なに? どこで降ろしゃあいいんですかー? ツンデレさまさまー!」
ξ゚−゚)ξ「もう少し先よ」
(´゚ω゚`)「はあ? もう少し先? さっきからおめー、バカでかい壁しかないじゃ……」
その時だった。みすぼらしいラパンの前に、金色の巨大な門が現れた。
(´・ω・`)「……なに、これ?」
ξ゚听)ξ「私の実家」
担任は車を止めると、ツンさんの座る座席の扉を開け、地面にひざまずいて言った。
(´^ω^`)「お嬢様! この私め、たしかにあなたさまを無事送り届けました!」
- 558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:47:35.40 ID:A0URkcYB0
ξ゚听)ξ「うむ、御苦労。さあ、内藤、行くわよ」
(;^ω^)「お? え? は、はいですお!」
ツンさんが立ち上がり、歩きはじめた。
僕も後を慌ててついていく。
門番が一斉にツンさんに礼をした。
(´^ω^`)「うへへ! お嬢様! 足元にゴミが!」
担任がツンさんが歩く地面の先をペロペロと舐めて掃除した。
('A`)「すげー、金だー」
ドクオさんはそう言って股間を金の門に摺りつけていた。
二人は直ちに門番に連れていかれた。
- 567 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:58:03.09 ID:A0URkcYB0
僕とツンさんは何枚もの襖を通り抜け、それはもうバカでかい和室に招かれた。
ししおどしの音が遠くきこえる。やがてしばらくの沈黙の後、ツンさんがぽつりと語り始めた。
ξ゚听)ξ「とりあえず、これが私の実家よ」
(;^ω^)「えっと、武家ですかお?」
ξ゚听)ξ「違うわよ。豪族よ」
さらりと言ってのけるツンさんが怖かった。
ξ゚听)ξ「うちはね、17になると見知らぬ土地で一年暮らさなきゃならないの。
そういうしきたりなのよ。庶民の生活を身をもって体験するためにね」
(;^ω^)「なるほど……だからあのアパートで一人暮らしを……」
ξ゚听)ξ「そう、それでね」
するとツンさんは顔を赤らめ、もじもじとしながら、呟いた。
ξ////)ξ「それ、それ、それそれ、それと……」
(;^ω^)「……そ、それと?」
- 569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:59:01.85 ID:A0URkcYB0
(´゚ω゚`)「そーれっそーれっそーれっそーれっ!」
('∀`)「よいやっさー! よいやっさー!」
ξ゚−゚)ξ「……」
( ^ω^)「……」
遠くで雑音が聞こえた。
ツンさんの話では、二人は地下牢に連れていかれる最中だろうとのことだった。
- 572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:04:35.59 ID:A0URkcYB0
ξ゚听)ξ「それ、それ、それそれ、それと……」
( ^ω^)「……そ、それそれ、それと?」
とりあえず、僕らは仕切り直した。
そしてツンさんは、やっぱり顔を赤らめて言った。
ξ////)ξ「そ、その間に、は、伴侶を見つけないといけないの……」
(;^ω^)「……それって、もしかして」
ξ////)ξ「か、勘違いするんじゃないわよ! あ、あんたなんか伴侶にするわけないでしょ!
た、ただ、どうしても見つからなかったから、とりあえず、そう、とりあえ……」
その時だった。遠くの襖が開く音がした。
僕たちは黙った。襖を開く音はどんどんと近づいてきて、そして、ついに。
(,,゚Д゚) (*゚ー゚) 川 ゚ -゚)「……」
(;^ω^)ξ;゚听)ξ「……」
役者は、そろったようだ。
- 578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:13:09.29 ID:A0URkcYB0
(*゚ー゚)「はじめまして。ツンデレの母、椎の木と書いてしぃでございます」
川 ゚ -゚)「はじめまして。ツンデレの姉、空と書いてクーでございます」
(,,゚Д゚)「……ツンデレの父、古きに擬えると書いてギコだ」
ξ;゚听)ξ「ご無沙汰しております、お父様、お母様、お姉さま」
(*゚ー゚)「しばらく見ない間に立派になったわね、ツンデレ」
川 ゚ -゚)(お姉さま……ハアハア……)
(,,゚Д゚)「……して、貴様は?」
そして、ツンさんのお父さんが僕を向いた。
僕が慌てて答えようとした、その時だった。
(´゚ω゚`)「はじめましておとーたま! 諸々の煩悩と書いてショボンと申します!」
('A`)「独身男性と書いてドクオです。趣味は女子高生です」
(#,,゚Д゚)「ひったてぃ!」
(´・ω・`) ('A`)「あーれー」
- 586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:20:40.70 ID:A0URkcYB0
(#,,゚Д゚)「ったく! あいつらどうやって牢を抜けだしたんだゴルァ!」
(*゚ー゚)「まあまあ、落ち着いて、あなた」
川 ゚ -゚)(テラワロスwwwwwwwww)
(,,゚Д゚)「まあいいだろう。して、貴様」
(;^ω^)「は、はいですお!」
(,,゚Д゚)「名はなんと申す?」
(;^ω^)「な、内藤ホライゾンと申しますお!」
そしてお父さんはツンさんをじろりと睨みつけ、尋ねた。
(,,゚Д゚)「このふぐりがお前の婿か、ツンデレ」
ξ゚听)ξ「ええ。そうでございます」
ツンさんは凛として言い切った。
- 590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:25:56.38 ID:A0URkcYB0
そう言うと、お父さんは静かに胡坐を組んだ。
彼に従い、お母さんとクーさんが正坐をする。
そして僕は、小刻みに震えていた。
ここでツンさんが「操を奪われたから」と言えば。
(#,,゚Д゚)「……切腹の準備はよいか?」
(*゚ー゚)「辞世の句はここにしたためてね☆」
川 ゚ -゚)「バロスwwwwwVIPで実況しよwwwwwww」
間違いなくそうなる。
- 595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:33:44.24 ID:A0URkcYB0
しかし、現実は違った。
ξ゚听)ξ「内藤は……彼は……優しくて……とても強い方です」
ツンさんはまっすぐにお父さんを見ながら、
初めは途切れ途切れだったけど、やがて謡うように語り始めた。
ξ゚听)ξ「彼は陸上競技を極めるため、一人見知らぬ町にやってまいりました。
そこで朝から晩まで鍛錬にいそしみ、そして、二度と競技の出来ぬ体になりました。
しかし彼はそれにくじけることなく、自分のような人間を二度と作らないため、
トレーナーになるという夢を絶望の中から見つけ出しました。
彼は優しく、朗らかで、そして、とても強いお方です。
彼はひとりあの町にやってきた私を手厚く保護し、日々を助けてくださいました。
そんな彼だったからこそ、私は操をささげ、彼と添い遂げる決心をいたしました」
(;^ω^)「ツ、ツンさん……」
これは彼女の本心なのか。僕は、なにがなんだか分からなくなっていた。
- 599 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:38:26.86 ID:A0URkcYB0
一方、その頃地下牢では。
(ヽ´゚ω゚`)「……なあ、ドクオ君」
('A`)「なんすか?」
(ヽ´゚ω゚`)「俺ら……どこで人生間違ったのかねぇ」
担任は虚空を見つめ、真っ白に燃え尽きていた。
ドクオはしかし、眼差しに光をたたえ、未来を向いていた。
('A`)「俺、間違えてませんよ。俺は今も、夢の途中にいます。
俺にはこの暗闇の中でも、まっすぐに指す、目指すべき光が見えてます」
(ヽ´゚ω゚`)「はは……そりゃ羨ましいわ……よかったら聞かせてくれないかい?」
('A`)「なにをです?」
(ヽ´゚ω゚`)「きみの……ゆめってやつを、さ……」
- 603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:46:13.82 ID:A0URkcYB0
('A`)「俺、ひざをやっちまったんです。
それが原因で、俺、これまで積み重ねてきたものを全部失いました」
(ヽ´゚ω゚`)「ああ……そんなこともあったねぇ……あれは俺も辛かったよ……」
ちなみに、ドクオがひざを故障したとき、担任はキャバレーで女を口説いていた。
('A`)「あれから俺は、ここより暗い絶望に囚われました。
どこにも光は見えない。行っても行っても闇ばかり。正直、辛かったです」
(ヽ´゚ω゚`)「思いだすよ……あの時の君は見るに堪えなかった……見てるこっちがつらかった……」
ちなみに、ドクオが絶望の中にいる時、担任は修学旅行の積立金を流用しヨーロッパで豪遊していた。
('A`)「でも、俺はついに光を見たんです」
(ヽ´゚ω゚`)「それは……なんだったんだい?」
ちなみに、ドクオが光を見たとき、担任はヨーロッパで置き引きにあっていた。
- 610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:50:55.54 ID:A0URkcYB0
('A`)「あのとき俺は、未練がましくトラックを走る部員たちを見ていました」
('A`)「そのとき、気づいたんです」
(゚A゚)「女子部員の生足! 生足! すごくいい! いい! いいいいいいいいEE‐JUNP!!」
('A`)「って」
(ヽ´゚ω゚`)「それが……君の夢……かい?」
('A`)「ええ。俺は永遠に女子高校生の、いや、女子陸上生の生足を見ていたい」
('A`)「だから俺は、スポーツトレーナーになるって決心したんです!」
- 621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 23:58:07.25 ID:A0URkcYB0
そして、担任は笑った。
暗闇の中で、希望に満ちた笑いを浮かべた。
(´・ω・`)「その夢……まぢパネェよ……」
('A`)「ええ、パネェっす」
(´・ω・`)「そりゃあ……叶えなきゃダメだろ……常考」
担任は立ち上がった。そして暗闇の中で親指を立てた。
ドクオにはそれがハッキリと見えた。なぜなら、その親指は、二人の希望の光なのだ。
(´・ω・`)b「俺たちは終わらねぇ……あきらめなきゃ、夢は永遠に終わらねぇんだ!」
('A`)b「俺たちの冒険は始まったばかりだ!」
そして、地下牢は爆発した。
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