509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:28:06.31 ID:A0URkcYB0

一方、その頃の僕はというと。


('∀`)「ふひひwwwwwうはうはパラダイスwwwwww」

(;^ω^)「ちょwwwwwドクオさん待ってwwwwwww」


遠征先で解散したのち、ドクオさんに連れられてなにかのお祭りに連れてこられていた。
冬だというのに会場内は蒸し暑く、異様な臭気に満たされていた。
やがてドクオさんとはぐれた僕は、会場の外で座り込む。


(;^ω^)「はやく帰らなきゃ、ツンさん寂しがってるお」


早い夕焼けに空は染まっていた。
冷たい町で、ひとりきりの部屋で、ツンさんはどんな気持ちでいるのだろうか。
そのことを考えると胸が痛んだ。
一刻も早く帰らねばと、こんなところにいていいわけがないと、立ち上がった。


川 ゚ -゚)「君は召使……召使くんじゃないか!」


忍者の格好をしたクーさんがそこにはいた。
513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:31:53.40 ID:A0URkcYB0

( ^ω^)「あ、クーさん。こんな肥溜のようなところで奇遇ですね。
     そんな恰好して誰の命をとりに行くんです?」

川 ゚ -゚)「なにを言っているんだ召使くん。これはコスプレというものだ。」

(;^ω^)「こすぷれ? なんですかお、それ?」

川 ゚ -゚)「非日常の格好に身を包み、自らを解き放つ高尚な趣味のことだ」

( ^ω^)「あなた、普段から似たような恰好してるじゃないですか」


クーさんは小刀を抜くと、僕ののど元に切っ先を当てた。


川 ゚ -゚)「余を愚弄するとその首が飛ぶぞ?」

(;^ω^)「……それ、本物ですよね?」

川 ゚ -゚)「偽物だよ、建前上はな」


その時だった。僕とクーさんのまわりから無数のフラッシュが放たれた。

514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:35:49.67 ID:A0URkcYB0

(;´_/【◎】パシャパシャ「目線ください!」

(;Ф/【◎】パシャパシャ「ZIPでくれでおじゃる!」

(;'A/【◎】パシャパシャ「生足拝ませてください!」

(;´゚/【◎】パシャパシャ「パンツ拝ませてください!」


飛び交う叫び。ひしめくカメラ。どこかでみたことのある人。


川 ゚ -゚)「あらやだ、人気者は辛いな」


そしてクーさんはカメラに向けてさまざまなポーズをとり始めた。
僕はその隙に会場を脱出し、駅へと急いだ。

517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:40:16.98 ID:A0URkcYB0

列車が揺れる。僕の町の名前がアナウンスされたのは、九時を過ぎた頃だった。
早く家に帰らねばと、僕は駅に着く前から下り口の前で立っていた。

ドアが開く。身を切るような風が入り込んでくる。
その風のなかに、かぎ慣れた香りが交っていた。


(;^ω^)「これは……ツンさんの部屋のにおい?」


まさかとは思いつつも、慌ててあたりを見渡した。


ξ゚−゚)ξ「……」


ホームの隅に、ツンさんがいた。

コートを羽織って。
布でくるんだ細長いなにかを肩にかけて。

僕を、じっと睨みつけていた。

518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:43:58.00 ID:A0URkcYB0

ξ゚−゚)ξ「……」

(;^ω^)「……」


僕とツンさんの間をたくさんの人たちが通り過ぎ、やがて列車は出発した。
ひともまばらになり始めた下りのホームで、僕たちは距離を置いてお互いを見る。


ξ#゚−゚)ξ「……」


やがてツンさんがツカツカと早足で歩み寄ってくる。
肩にかけたアレをきちんと持ち直し、一直線に僕の方へ。


( ^ω^)「……」


けれど、不思議と怖くはなかった。
ツンさんの気のすむならそれでいいと、なぜか、そう思えた。

そしてツンさんは僕の眼前で立ち止まり、手にしたアレを、
地面に落とした。

519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:45:08.19 ID:A0URkcYB0

(;^ω^)「お? ツンさん? どうしたんだお?」

ξ゚−゚)ξ「……」


ツンさんは落としたアレを拾うそぶりすら見せず、僕を睨みつけていた。
背が低いから彼女は僕を見上げる形になり、そしてその眼は、潤んでいるように見えた。


(;^ω^)「ツ、ツンさ」

ξ゚−゚)ξ「寂しかった」


それからツンさんは、僕の胸にひたいをつけた。
525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:47:25.17 ID:A0URkcYB0

ξ゚−゚)ξ「寂しかった。もうどこにもいくな」

(;^ω^)「……」

ξ゚−゚)ξ「大みそかは一緒にお蕎麦食べる。お正月は一緒におモチ食べる」


まさに目の前に迫ったツンさんから、例えようのない香りが漂ってきた。
本当は他に言う事があったのだろうけど、どぎまぎしていた僕は、こんなことしか言えなかった。


(;^ω^)「……そ、それは誰が作るんだお?」

ξ゚听)ξ「……あんた」

( ^ω^)「……おっおっお。わかったお」

ξ゚ー゚)ξ「……へへw」


ツンさんはようやく笑ってくれた。今までで見た、一番いい顔だった。

527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:52:33.26 ID:A0URkcYB0

川 ゚ -゚)「召使くん! みかんパワーが足りない!」

(;^ω^)「あなた今日、みかん何個目ですかお?」

川 ゚ -゚)「二十過ぎたあたりから数えてない。それとお茶もプリーズ」

(;^ω^)「……はいはい」


コタツで横になりながらノートパソコンを行儀悪く器用にいじくる忍者さん。
正月からなんとも平和な光景だ。


ξ゚听)ξ「おねーちゃん。みかんばっかり食べてると手が黄色くなるよ?」

川 ゚ -゚)「好きなもんは好きなんだからしょうがないだろ。
     それに、もとはと言えばツン、私のみかん好きはお前の責任なんだぞ」

ξ゚听)ξ「どゆこと?」

川 ゚ -゚)「いいか? よく聞けよ?
     お前が一人でトイレに行けるようになったから、私は似たような色のみかんで」

( ^ω^)「クーさん、お茶ですお」

ヽ川 ゚ -゚)ノ「うっほほーい」

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:56:57.33 ID:A0URkcYB0

川 ゚ -゚)ノ旦「あー、お茶はうまいなぁ。お茶は偉い」

ξ゚听)ξ「ねぇ、似たような色のみかんでどうなったの?」

川 ゚ -゚)「いやな、お茶を飲んだらおしっこしたくならない?」

ξ゚听)ξ「なる」

川 ゚ -゚)「つまりはそういう話だよ」

ξ゚听)ξ「はあ?」

( ^ω^)「ツンさん。ツンさんは、クーさんのこと、好きかお?」

ξ゚听)ξ「好きだけど?」

( ^ω^)「なら、この話題にはもう触れない方がいいお」

ξ゚听)ξ「はあ?」


532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 21:59:58.83 ID:A0URkcYB0

川 ゚ -゚)「ツン、おしっこしたくないか?」

ξ゚听)ξ「いや、大丈夫だけど、なんで?」

川;゚ -゚)「召使くん! カテキンパワーが足りない! 早くツンにお茶を!」

( ^ω^)「お茶っ葉切れましたお」

川 ゚ -゚)「は? なら買ってこいや」

(;^ω^)「……はいはい」


クーさんの目がマジだったので立ち上がったその時だった。


川 ゚ -゚)「あ、ああん、あひん、電話だ」


ケータイを取り出したクーさんの顔色が変わった。

537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:05:58.50 ID:A0URkcYB0

川;゚ -゚)「は、はい! ご無沙汰しております! クーでございます!
    は? え、今なんと……? ぎょ、御意にございます! 
    直ちに向かいまするであります!」


クーさんは慌てて立ち上がると、上着を羽織り、玄関へ向かった。


ξ;゚听)ξ「お、おねーちゃん! どうしたの!?」

川;゚ -゚)「すぐにわかる。私は一足早く現地に赴き、対策を練る。では、戦地であおう」


そう言って、クーさんの姿は扉の向こうに消えた。
539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:09:15.66 ID:A0URkcYB0

(;^ω^)「つ、ツンさん、クーさんはどうしたんだお?」

ξ;゚听)ξ「わかんない。……いや、もしかして」


その時、ツンさんのケータイもなった。
彼女は着信画面を見て真っ青になった。


ξ;゚听)ξ「は、はい! ツンデレでございます! ご無沙汰しております!
      は? えっと……いま、からですか? い、いえ! それは十重承知しております!
      は! ただちにそちらに参りますので! ええ、では!」

(;^ω^)「つ、ツンさんまで、ど、どうしたんだお?」

ξ゚−゚)ξ「内藤。あんた、スーツ持ってる?」

(;^ω^)「お? スイーツなら冷蔵庫に……」

ξ゚−゚)ξ「ないなら学生服でいいわ。直ちに着替えてきなさい」

(;^ω^)「え? なんでだお?」

ξ#゚听)ξ「いいから早く!」

(;^ω^)「ぶひー!」

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:11:45.24 ID:A0URkcYB0

慌てて部屋に戻って学生服に着替えると、
艶やかな晴れ着に身を包んだツンさんが迎えにきた。

しかし、彼女の表情はとても険しかった。


ξ゚−゚)ξ「さあ、行くわよ。まずは足を確保しなくっちゃ」

(;^ω^)「お? 行くってどこにだお?」

ξ゚听)ξ「最初の目的地は学校よ。それ以外はなにも聞くな」

(;^ω^)「お、おお……」


僕たちは学校へと急いだ。
正月の誰もいない学校になんの用があるのだろうか。


(´・ω・`)「は? 車を出せ? 馬鹿じゃねーの? セルフクンニにチャレンジして死ねよ」


ああ、こいつがいたっけ。

544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:18:51.53 ID:A0URkcYB0

ξ゚听)ξ「いいから車を出しなさい」

(´・ω・`)「あのねぇ、君、ぼくちんが今なにしているのかわかる?」

(´゚ω゚`)「ぼくちんはねぇ! いま珍しく実力テストを自力で作ってるの!
     進研ゼミのを流用したらダメって校長先生に叱られたから!」

( ^ω^)「おまえ絶対教員試験不正合格だろ」

(´・ω・`)「当たり前だろ。世の中コネだよ、コネ」

(´゚ω゚`)「てめぇらなんかさっさと家に帰って妊娠しろ!
     そしたら退学処分にしてやっからよ!」

546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/01(水) 22:23:26.54 ID:A0URkcYB0

ξ゚听)ξ「これを見てもまだそんなこと言ってられるのかしら?」


ツンさんは一枚の写真を取り出した。
担任はふんぞり返って答える。


(´・ω・`)「は? なにそれ? おいしいの?」

ξ゚听)ξ「私の姉が撮った誰かさんの写真よ。
     これをしかるべきところに送れば、しかるべきことになるでしょうね」


担任は立ち上がると、ツンさんの肩をポンと叩いた。


(´^ω^`)b「行こうぜ! ピリオドの向こうに! 俺のラパンで!」

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