- 1
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 14:50:40.50 ID:Rem/HpVk0
夕方アパートに帰ると、通路が通行止めになっていた。
段ボールが積まれていて、通路をふさいでいた。
(;^ω^)「なんだお、これ?」
僕の部屋はその向こう側、段ボールの積まれた玄関の隣にあった。
どうしよう。これは跨いでもいいものか。
ξ゚听)ξ「あ、ごめん。すぐに片付けるから」
悩んでいると、段ボールの向こうから女の子が現れた。
身長150センチあるかどうかの、小さな女の子だった。
- 2
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 14:52:06.06 ID:Rem/HpVk0
( ^ω^)「お、いえいえ。引っ越してきたのかお?」
ξ゚听)ξ「ええ。そうよ」
短く残して、女の子は段ボールを持って部屋の中に入っていった。
こんな時期に妙だな、とか、手伝った方がいいかな、とか思ったが、
女の子の、しかも見ず知らずの子の部屋に入るのは気が引け、
なにより部活で疲れていたので、僕は段ボールをまたいで自分の部屋へ帰った。
その夜は、隣の騒がしさにあまり眠れなかった。
- 4
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 14:53:02.40 ID:Rem/HpVk0
翌朝、寝不足で目をしぱしぱさせながら部屋を出た。
段ボールはもう無かった。
朝練が終わり、片づけをすませばホームルームギリギリの時間だった。
慌てて教室に戻り、席に着く。チャイムが鳴る。
それからしばらくして、担任が入ってくる。
(´・ω・`)「よーし、爽やかな朝だな。お前ら全員死ね。今日は転校生を紹介する」
(´゚ω゚`)「入って来いや!」
そう言って担任はのけぞった。
教室の扉が開いた。
ξ゚听)ξ「ツンデレです。よろしく」
僕は驚いた。あの子、高校生だったんだ。
ξ゚听)ξが引っ越してきたようです
- 6
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 14:58:03.75 ID:Rem/HpVk0
ホームルーム後、ツンデレさんはみんなに囲まれていた。
僕もその輪に加わろうと思ったのだが、あまりの眠さに後回しにした。
それから午前中を夢うつつに過ごし、昼時になってようやく目が覚めた。
ツンデレさんの周りには誰もいなかった。
妙だなと思ったが、とりあえず話しかけることにした。
( ^ω^)「おいすー。君、ええと、ツンデレさん、だったおね?」
ξ゚听)ξ「そうよ。人の名前くらい覚えなさいよ、バーカ」
(;^ω^)「お、おお……」
合点がいった。こりゃ誰も集まらんわ。
- 9
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:02:14.17 ID:Rem/HpVk0
(;^ω^)「あーと、ツンデレさん、僕のこと覚えてるかお?」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。あんたとは違うのよ。隣の部屋の内藤でしょ」
(;^ω^)「お? どうして名前まで知ってんだお?」
ξ゚听)ξ「表札見れば一発じゃない。バカじゃないの?」
(;^ω^)「お、おお……」
歯に衣着せぬとはまさにこのことか。
それから友達に呼ばれたことをいいことに、僕は彼女の傍を離れた。
- 13
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:05:44.07 ID:Rem/HpVk0
五時限目。
午前中たっぷり寝ていたおかげか、すっかり眼は覚めていた。
(´゚ω゚`)「さわやかな昼だな! お前ら全員死ね! つーか死なす!
今日はフェルマーの最終定理について話してやるからな!」
十分後。僕以外の全員が寝ていた。
(;^ω^)(そりゃ当り前だお……)
ξ‐凵])ξzzZ
昨夜の疲れもあったのだろう、当然ツンデレさんも寝ていた。
- 14
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:09:19.06 ID:Rem/HpVk0
(´・ω・`)「よーし、今日はこの辺で勘弁してやる。全員落第しろ。
じゃあ、今日進める予定だった部分は宿題な」
鬼畜が鬼畜に笑い、授業は終わった。
六時限目は移動教室。クラスメイトが連れだって出ていく。
ξ‐凵])ξzzZ
しかしツンデレさんはまだ寝ていた。
起こそうとしたが、彼女はかたくなに起きようとはしない。
しょうがないから、移動先の地図を書いて、教室をあとにした。
- 17
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:15:25.15 ID:Rem/HpVk0
六時限目。彼女はギリギリで移動先に滑り込んだ。
席に着く前、彼女は僕を睨みつけ、けれどそれだけだった。
やがて授業も終わり、掃除、ホームルームを終え、部活も終えた。
日が沈む頃にアパートに戻ると、廊下にはごみ袋を大量に抱えたツンデレさんがいた。
ξ゚听)ξ「燃えるゴミ、いま出していいの?」
(;^ω^)「お、明日の朝出した方がいいお。大家さんに怒られるお」
ξ゚听)ξ「ちぇ。めんどくさいわね」
そういってごみ袋と一緒に部屋に戻り、しかしすぐに彼女は出てきた。
ξ゚听)ξ「コンビニ、どこにあんの?」
(;^ω^)「あの角を左に曲がってまっすぐ歩けばセビョンイレビョンがあるお」
ξ゚听)ξ「そう」
それだけだった。愛想のかけらもない子だなと思った。
- 19
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:20:57.60 ID:Rem/HpVk0
部屋に戻り、シャワーを浴びていたら、突然チャイムが鳴った。
宗教か新聞屋だろうと思い放っておいたが、さすがに十五回連続でならされると頭にきた。
僕は腰にタオルを巻いて、玄関を開けた。
(#^ω^)「神は死んだお! 新聞は毎日をネットで見てますお!」
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)「お……」
ツンデレさんだった。驚いて腰が引けた。
そして、腰のタオルは、はらりと落ちた。
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……えっと」
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)「ま、まつたけ、食べる?」
- 22
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:28:09.25 ID:Rem/HpVk0
ξ;゚听)ξ「ぎょんみょえええええええええええええええええん!!!」
(;゚ω゚)「うあああああああああああああああああああ」
ξ;゚听)ξ「し、死ね! 切腹しろこの変態いいいいいいいいいいいいい!」
(;^ω^)「ちょwwwwこれは誤解だお! ってあべ!」
慌てて手を掴もうとした僕に、ツンデレさんは何かを投げつけた。
そしてそのまま逃げていった。
(;^ω^)「どうしよう……これじゃ僕は変態だお……」
床にへたり込んで頭を抱えた。
その時、床に転がった何かが目に入った。
それは、僕に投げつけられぐちゃぐちゃになったコンビニ弁当の残骸だった。
- 24
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:33:30.44 ID:Rem/HpVk0
翌朝、ツンデレさんに謝ろうと思ったが、まだ日が昇っていなかったのであきらめた。
そのまま朝練に参加して、ホームルーム後に謝ることにした。
(´・ω・`)「よう! 今日も爽やかな朝だな! 日本の未来は明るいってか? 全員死ね!」
(´゚ω゚`)「というわけで、今日は新作ゲームの発売日だから俺の授業は自習! 以上!」
それだけを残し担任は帰っていった。
僕はおずおずとツンデレさんに近づく。
ξ;゚听)ξ「!?」
僕を認めたツンデレさんは立ち上がり、全速力で駆けだした。
- 25
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:38:35.19 ID:Rem/HpVk0
(;^ω^)「ちょwwwwww ツンデレさんwwwwwwwww」
ξ;゚听)ξ「おんぎゃああああああああああ! 違う! 違うのおおおおおおおおお!」
走るツンデレさん。なかなかに足が速い。
しかし僕だって、足には自信がある。まつたけには自信がない。
廊下を全速力で走る僕たち。ツンデレさんの悲鳴がドップラー効果とともに流れ去る。
そして彼女が女子トイレに駆け込む直前で、僕はその手を掴んだ。
(;^ω^)「ツ、ツンデレさん、話を聞いてくれお!」
ξ;゚听)ξ「ち、違うの!」
(;^ω^)「そう! 違うんだお! あれはすべて誤解なんだお! あれは事故で……」
ξ;゚听)ξ「そうなの! あの弁当はあんたのために買って来たんじゃないんだからね!」
(;^ω^)「は?」
ξ;゚听)ξ「へ?」
どうやら、どこかでなにかが食い違っていたらしい。
- 28
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:44:31.53 ID:Rem/HpVk0
('A`)「へー、なるほどねぇ」
(;^ω^)「そうなんですお。まあ、誤解が解けてよかったですお。
なんか彼女、移動教室の地図を書いておいたことを偉く気にしていて……」
放課後の部活時間。僕は飲み物の準備をしながら、
コーチをしてくれているOBのドクオさんに話をしていた。
ドクオさんはタバコをとり出すと、大きく吸い込んだ。
('A`)「面白そうなエロゲだな」
(;^ω^)「は?」
('A`)「今度俺にも貸してくれ」
(;^ω^)「は?」
ドクオさんは、バイトがあるからと帰っていった。
- 31
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:51:29.63 ID:Rem/HpVk0
夕方、アパートに戻ると玄関の前に彼女が座っていた。
ξ‐凵])ξzzZ
いや、寝てた。
(;^ω^)「ツンデレさん」
ξ゚听)ξ「はぇ?」
(;^ω^)「ツンデレさん。こんなところで寝ると風邪引くお」
ξ‐凵])ξzzZ
(;^ω^)「おいおい、マジかお……」
ツンデレさんは再び寝た。
さて、どうしたものか。
この時期の夜は冷える。このままじゃ彼女は風邪を引く。
しかし、彼女の部屋のキーを彼女の制服のポケットをまさぐり探すのはなんとも気が引ける。
しょうがないから、僕は僕の部屋の玄関を開け、
眠りこける彼女の体を部屋の中まで引きずり、床の上に寝かせ、タオルケットをかけることにした。
- 33
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 15:55:44.34 ID:Rem/HpVk0
シャワーを浴びたかったが、昨日のような事態はもうこりごりだったので、
我慢し、持って帰ってきていた部員のスパイクを磨くことにした。
スースーと彼女の寝息が聞こえる。
なんとも集中できない二時間だった。
やがて、ようやくスパイクすべてを磨き終えた頃、彼女が起き上がった。
ξ゚听)ξ「……おはようございます」
(;^ω^)「あ、どうも。ちなみに夜ね」
ξ゚听)ξ「……内藤? ここ、どこ?」
(;^ω^)「ええと、非常に申し上げにくいのですが……」
(^ω^)「僕の部屋です」
- 37
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:02:33.45 ID:Rem/HpVk0
ξ゚听)ξ「……」
それからツンさんは、タオルケットを剥ぎ取り、自分の体を見た。
引きずられたせいか、彼女の着衣は非常に乱れていた。
ああ、なんかこの先の展開が読める。
ξ;゚听)ξ「これって……これって……」
(;^ω^)「ツンさん! 落ち着いて話を聞いてくれお!
君が僕の部屋の前で寝てたから、僕は君を引きずって……」
ξ;゚听)ξ「引きずって……」
(;^ω^)「そして……」
そして彼女は立ち上がり、叫んだ。
ξ;゚听)ξ「お、犯したのね!」
- 43
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:11:21.65 ID:Rem/HpVk0
彼女はへなへなと崩れ落ちた。
それからハンカチを取り出し、噛みしめてほろほろと泣きはじめる。
ξ;凵G)ξ「およよよよ……この世に生を受けて16年……
これと決めた男が現れるまで操を守り続けてきたというのに……」
( ^ω^)「ツンさん、なにもかもが誤解です」
ξ#゚听)ξ「それを……それを……こんな男に!」
( ^ω^)「だからあんた、ちょっと落ち着きなさいって」
しかしツンさんは再び立ち上がると、僕を睨みつけた。
それからふいに優しい、これまでに見たこともない笑顔を作り、言った。
- 44
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:14:13.55 ID:Rem/HpVk0
ξ゚ー゚)ξ「内藤。私はね、いつか白馬に乗った王子様が、
『姫、それがしがあなた様のいいなづけでござる。いざ鎌倉!』
と言って現れるのをずっと待っていたのよ。操を守り続けて」
( ^ω^)「いや、そんな男どこにもいねーお。第一、誤解なんですってば」
ξ#゚听)ξ「それがこんな男にぃ! こんな男にぃ! きええええええええええ!」
ツンさんは金切り声をあげ、部屋を飛び出していった。
そして、僕が風呂から上がった頃、戻ってきた。
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)「……」
和服姿で、日本刀を携えて。
- 48
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:21:18.62 ID:Rem/HpVk0
ξ゚听)ξ「……内藤」
(;゚ω゚)「ツンさん! おおおおお、落ち着いて! で、殿中でござる!」
ξ゚ー゚)ξ「ふふふ。落ち着くのはあなたよ、内藤」
ツンさんは優しい笑みでへたり込んだ僕を見据えると、日本刀を抜き、切っ先を向けた。
ξ゚听)ξ「内藤、もはやあなたには二つの道しか残されていない。
ひとつは、ここで私に切り捨てられること」
(;゚ω゚)「ちょwwwwだから誤解なんですってば!」
ξ#゚听)ξ「黙れ下郎!」
そして、またほほ笑むと、彼女は言った。
ξ゚ー゚)ξ「そしてもう一つは、ここで腹を切ることよ」
- 54
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:27:13.30 ID:Rem/HpVk0
(;゚ω゚)「ちょwwwwwだから誤解ですって!」
僕はまるでゴキブリのように部屋を這いずりまわって逃げた。
その様子がおかしかったのか、ツンさんは高らかに笑い、言った。
ξ゚ー゚)ξ「命が惜しいか、この虫けらめ。
ならばもう一つの道を与えてやるわ」
(;゚ω゚)「だから誤解wwwwww」
ξ゚ー゚)ξ「そうねぇ。なら、私の召使におなりなさい」
(;゚ω゚)「だから誤解なんだって!」
しかし聞く耳持たず、ツンさんは日本刀を仕舞うと。
ξ゚ー゚)ξ「あしたから毎日私を起こしに来なさい。以上」
そう言って、帰っていった。
- 57
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/29(月) 16:30:05.56 ID:Rem/HpVk0
(;^ω^)「ということがありまして……どうしたものかと」
('A`)「ふーん。大変だねぇ」
翌朝、朝練に珍しく顔を出したドクオさんに相談した。
ドクオさんはタバコをひとつ吸い込んだ。
('A`)「神がかってるな。そのエロゲ」
(;^ω^)「は?」
('A`)「メーカーはどこ?」
(;^ω^)「は?」
('A`)「今度、絶対に貸してね」
ドクオさんは講義があるからと言って、帰っていった。
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