- 651 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:22:28 ID:jhGCqDm.0
- ( <●><●>) 「ゴースト」を指定の場所まで飛ばしました。私達にできるのはここまででしょう
(;´W`) なるほど、これが「三人一組の能力」ですか。渋沢さんから聞いてはいましたが、なかなか……
_、_
( ,_ノ` ) まあ、滅多に見られるような物ではないですからね
( <●><●>) 後は彼とクックルの働きに期待ですね
_、_
( ,_ノ` ) 三人共ご苦労だった。後は観客の誘導にあたってくれ
( <●><●>) ええ、そうします。あの……ところで、うちのリーダーの件なんですが
_、_
( ,_ノ` ) リーダー……ああ、ビロードのことか。それで?
( <●><●>) どうなりますか?
_、_
( ,_ノ` ) どうなるか、ねえ。随分ざっくりした質問だなおい
( <●><●>) ……
_、_
( ,_ノ` ) そんな睨むなよ。まあ、悪いようにはしないさ
( <●><●>) ほう?
_、_
( ,_ノ` ) 「公衆の面前で辱めを受けたアイドルと、それに駆け寄るファンの一人」
_、_
( ,_ノ` ) 知名度の無さが幸いしたな。他のヒーローじゃこうはいかんだろうよ
( <●><●>) ……喜んでおきましょうか、今だけは
- 652 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:24:38 ID:jhGCqDm.0
- ( <●><●>) それでは仕事があるのでこの辺りで
_、_
( ,_ノ` ) おう、頼んだぞ。……おっと、最後に一つ
( <●><●>) なんでしょう?
_、_
( ,_ノ` ) 「ゴースト」はやめろ。今のあいつは「パントマイム」だ
( ´W`) ……?
( <●><●>) 名前を変えようが、過去が変わるわけではないでしょう
( <●><●>) 彼を仲間と思いたくない、そんなヒーローも少なくないということです
_、_
( ,_ノ` ) 総理の……いや、誰もが尊敬する「勇者」の決定でもか?
( <●><●>) 各々の信条を貫くこともまた、「勇者」の掲げるヒーロー像の一つです
_、_
( ,_ノ` ) ……
- 653 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:30:21 ID:jhGCqDm.0
- (;´W`) あの……話が掴めないのですが……
(;´W`) もしかしたら私は、なんと言いますか、あまり聞いてはいけない話を聞いているのではないですかな?
_、_
( ,_ノ` ) すいませんね、お恥ずかしいところを
_、_
( ,_ノ` ) ギコというヒーローは実のところ、あまりよろしくない経歴を持っていましてね
( ´W`) よろしくない、ですか?
_、_
( ,_ノ` ) ええ、ヒーローとしてはイレギュラーと言っても良いくらいに、「よろしくない」経歴です
_、_
( ,_ノ` ) 色々なしがらみの多い業界ですからね。こいつのように、それを快く思わない奴も多いんですよ
_、_
( ,_ノ` ) まあ、実力の方は確かですよ。そこは安心してください
(;´W`) はあ……
( <●><●>) 彼のやったことはそんな甘い言葉で片付けられるものではないでしょう
( <●><●>) あなたがそうやって誤魔化すつもりなら……シラヒーゲ館長、私がお話ししましょう
_、_
(; ,_ノ` ) おい!?
( <●><●>) ギコという男は、ほんの数年前まで「ゴースト」の名で恐れられた――――
( <●><●>) ――――裏の世界の、住人だったんですよ
(;´W`) え……?
- 654 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:31:59 ID:jhGCqDm.0
从 ゚∀从はヒーローになれなかったようです 番外編
( ´_ゝ`)破滅式ローグライクのようです(´<_` )
.
- 655 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:35:38 ID:jhGCqDm.0
- 「流石兄弟」の名前が初めて表に出てきたのは、俺の記憶が正しければつい3、4年ほど前のことだ
その時標的となったのはどこぞの成金の金蔵で、盗み出されたのは所謂、税金対策の隠し金というやつだった
当時は不正を暴く義賊だなんだと随分と持て囃されていたのを覚えている
尤も、その数週間後に軍の施設に侵入し、そこから戦車を盗み出すまでのほんの僅かな期間のことではあるが……
(,,゚Д゚) 流石兄弟という名から複数犯であることは予測できていたが、まさか双子とはな
(,,゚Д゚) 犯行の主幹を担うのは片割れの方か? お前の能力は明らかに戦闘に特化している
( ;´_ゝ`) ……
余計な情報を出したくないのだろうか。目の前の男は口を噤み、応えようとしない
沈黙もまた重要な情報であるということを、きっとこいつは知らないのだろう
(,,゚Д゚) アマチュアだな
( ;´_ゝ`) ……は?
(,,゚Д゚) 温いんだよ。裏の住人を名乗るには、あまりにもな
(,,゚Д゚) 手に入れた力に酔い、レジャー感覚で罪を犯す
(,,゚Д゚) お前は、いや、お前達は……ただの素人なんだよ
- 656 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:38:42 ID:jhGCqDm.0
- 流石兄弟が登場から数年で「大怪盗」の異名を得るに至ったのには、勿論相応の理由がある
一つは度重なる犯行にもかかわらず、その犯人像は謎に包まれていたこと
一つは厳重な警備の中であっても、犯行の瞬間を誰も認識することが出来なかったこと
そしてもう一つ、犯行後の現場に残る、「あるはずのない」証拠の数々
(-_-) 大量の指紋、同一の靴跡、噛み終えたガム、キスマーク付きの置き手紙……
(-_-) そこにいた形跡はいくらでも見つかるのに、光学計器では観測できず目視も不可能
(-_-) テレポートや催眠の類ではどうにも説明がつかなくてね
(-_,-) これはもう、「幽霊」でも出たんじゃないかと疑ってしまうよ
「自分と似たような能力」
ヒッキーの物言いに不快なものを感じながらも、その点については同じような考えを持っていた
それゆえに俺に一任された特設展示室の仕掛けも、
俺と同じ能力の人間に対して有効な手段として考案されたものとなっている
床にばら撒かれた無色化した塗料は能力の解除によって侵入者の足跡を示し、
出入口に張られた細糸は切断と同時に専用の器具で巻き取られ、目に見えぬ侵入者の存在を俺に伝える
俺自身もは姿を隠したまま展示室内に待機していれば、見えない何者かの侵入と同時に、犯人を確保出来るはずだった
そう、「はずだった」のだ
- 657 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:41:28 ID:jhGCqDm.0
- 流石兄弟は特設展示室に二度、足を踏み入れている
一度目は目に見えぬ侵入者として。二度目は何も知らない一般客を装って
一度目の侵入は、俺に大きな動揺と作戦についての見直しを強要した
巻き取られた糸を感知して染料の透明化を解除した俺が見た物は、展示室から玄関まで続く赤黒い足跡
侵入者は、いや、流石兄弟は「侵入と同時に建物から脱出した」のだ
喩えるならば「時間を止めているような」能力
それは明らかに俺の能力とは異質の代物だった
(-_-) 「時間を止める」ね……状況を聞いた限りじゃあ言い得て妙といった感じだね
(-_-) しかしそうなると、侵入しておいて戦乙女のマントを盗み出さなかったのは何故かという疑問が残る
(-_-) 能力に何かしらの制限が付いているのか、それとも他の理由あるのかな?
(-_-) いずれにせよ、こちらとしては大助かりなんだけどね
「流石兄弟を捕らえることができればそれに越したことはないが、マントさえ無事であればそれでいい」
そんな説明に付け加えて、ヒッキーは俺にひとつの提案を投げかけてきた
(-_-) 状況的に考えて、今回の侵入はただの下見に過ぎない。流石兄弟は再びやって来るよ
(-_-) 「時間を止める」能力で盗み出すことが出来ないのであれば、生身の体を晒してね
(-_-) 今のうちに、犯人を特定できる材料を用意しておくんだ
(-_-) 靴跡なんかがいいかもね。彼らは犯行の時はいつも同じ靴を使用している
(-_-) 現場に残った靴跡と同じ靴跡を持つ人間。そいつが犯人さ
急遽立案されたこの作戦は、「不確定な要素を省く」というヒッキーの意志により、
渋沢やビロードには伝えず、俺達だけで決行することとなった
- 658 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:43:08 ID:jhGCqDm.0
- (,,゚Д゚) 靴跡から犯人を発見し、クックルが足止め。ビロード達三人が追跡の補助をして俺が確保、か……
(,,゚Д゚) 多少のイレギュラーはあったが、ヒッキーの作戦通りだな
(,,゚Д゚) ここでお前を捕らえて、片割れの所在を吐かせる。尋問に特化した能力者が、警察には大勢いる
(,,゚Д゚) 世間を騒がせた「流石兄弟」の活躍も、それで終わりだよ
(,,゚Д゚) お前達と繋がりのある組織についても、芋蔓式に明らかになるだろう
( ;´_ゝ`) 随分自信があるじゃないか……俺はお前の正体を知った。さっきとは状況が違うんだぞ?
( ;´_ゝ`) それに、だ。そもそもそこに転がっているクックルとかいう男より、お前は強いのか?
男から返ってきた言葉には、焦燥と虚勢の色が滲んでいた
こうして向かい合っている状況自体が、こいつにとっては不都合なものなのかもしれない
(,,゚Д゚) ……確かに、純粋な戦闘力で語るのであれば、クックルに勝てる人間は少ないだろう
(,,゚Д゚) 戦闘向けの能力を持つヒーローの中でも、ほんの一握り。その一握りの中に、私は入っていない
( ;´_ゝ`) はっ、だったら……
(,, Д ) しかし、お前のようなアマチュアを屠る程度であれば……
, ; ;Д゚) そんな力は、必要ない
- 659 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:45:15 ID:jhGCqDm.0
- 「物を透明にする能力」と「透明な物体を生成する能力」
多くの人間は俺の能力について、そのような解釈をしている
しかしそれは俺に言わせれば、少しばかり語弊がある
, ; ; , ; ゚) 透明な物体は、目に見える
, ; ; , ; ) 物には屈折率というものがある。人が透明な硝子や水の存在を感知できるのはそのためだ
, ; . , ; しかし俺の能力は、そのような法則からは掛け離れた位置に存在する
. ; , , どれだけ目を凝らしてみても、どれだけ上等なカメラを使っても
「俺の姿を捉えることは、誰にも出来はしない」
このまま背後に回り込み、頸動脈を一気に締め上げてやろう
上手く行けば、それで終わりだ
- 660 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:48:12 ID:jhGCqDm.0
- ( #´_ゝ`) いきなり饒舌になりやがって……姿を見せろ!
男は腰を低く落として、足下目掛けて拳を振り下ろす
なるほど、石礫を利用するつもりなのだろう。直情型の馬鹿だと思っていたが、そういうわけでもないらしい
しかし、その手は既に読んでいる
( ;´_ゝ`) なっ……地面との間に……壁!?
男の足下は既に、目に見えぬ壁で「舗装」されている
攻撃により砕けた破片が舞い上がるのを感じたが、俺の姿を炙り出すには余りにも力不足だ
男が呆気に取られている隙に、掌から不可視の物質――俺は「グラス」と呼んでいるが――を生成する
大きさは……そう、テニスボール程度で良いだろう
俺はそれを放り投げると同時に、男の背後へと回り込んだ
男の足下に、グラスが着地する
不意に鳴った鈍い音に男は一瞬動きを止め、そしてはっとしたように飛び退いた
逃げる先は、音から最も離れることが出来る方向
そしてその注意は音の出処に向いている
近付いて来る無防備な背中
男の首に手を回し、もう一方の腕でそれを固定する
, ; ;Д゚) スリーパーホールド……軍用格闘術の中でも最もシンプルかつ強力な技の一つだ
( ;´_ゝ゚) グ……ッ!?
- 661 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:49:42 ID:jhGCqDm.0
- ( ;゚_ゝ゚) はず……く……!
,;,;゚Д゚) 思ったより早く片が付いたな
(,,゚Д゚) やはりアマチュアだよ、お前は
(,,゚Д゚) 能力者同士の戦いには駆け引きというものがある。無策で勝てる程、世の中は甘くない
(,,゚Д゚) 「いきなり饒舌になった」 お前はさっきそう言ったな?
( ;´_ゝ゚) グ……ッ!?
(,,゚Д゚) あの時お前には、俺の行動が無目的な演説に見えていたというわけだ
(,,゚Д゚) なるほど、俺は敵の目の前で意味もなく長話をするような人間だと……
(,,゚Д゚) お前がそんな勘違いをしてくれたから、俺は地面をコーティングし、土煙を防ぐ時間が稼げた
(,,゚Д゚) わかるか? これが本職の駆け引きというものだ
( ;´_ゝ゚) へっ……この長話にも、何か狙いがあるってのか?
(,,゚Д゚) ……
(,,゚Д゚) いいや、余りにも呆気なさ過ぎて、毒気を抜かれてしまっただけだ
(,,゚Д゚) さて、暫く眠っていてもらおうか。話の続きは檻の中だ
首にかけた腕をもう一度組み直し、力を込めた……その時だった
太腿に強い衝撃を受け、そして次の瞬間俺の体は宙を舞っていた
- 662 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:55:28 ID:jhGCqDm.0
- (,,; Д ) なっ……!?
一体自分の身に何が起こったのか
それを理解することが出来たのは、かろうじて着地に成功して、それからさらに数秒後
衝撃を受けた太腿の部分にくっきりと残った靴跡を確認した瞬間だった
(,,;゚Д゚) 俺の体を蹴り上げて……それもあの姿勢から……
( ;´_ゝ`) ……うむ、やってみるものだな
そのまま無言で向かい合って数秒
目の前の男の能力について、必死に思考を張り巡らせる
クックルとの戦闘で、男は相当なダメージを負っているはずだった
こうして向き合っているだけでも数カ所の裂傷、挫傷、擦過傷が確認できる
服で隠れた胴体は、恐らくそれ以上の打撃に晒されているだろう
(,,;゚Д゚) (やはり本命は身体強化の類。しかし、あの体で……なんて馬鹿げた威力だ……)
奇襲が成功しなかった以上、長期戦も覚悟するべきだ
ここからの戦いは読み合いと探り合い。何にせよまだ情報は不足している
何かしら仕掛けて、反応を伺おう
そう考えて動き出そうとしたところで、男は唐突に口を開いた
( ´_ゝ`) ああ、なるほど。そういうことか
(,,゚Д゚) ……何?
- 663 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 00:59:41 ID:jhGCqDm.0
- ( ´_ゝ`) いいや、こっちの話さ。それよりほら、続きをやろうぜ
( ´_ゝ`) まあ、俺を捕まえるつもりがないんなら、それはそれで良いんだけども
. ; ,゚Д゚) ……逃す気は無い。望み通り、続きをやってやろう
もう一度姿を隠し、男の周りを旋回しながら隙を伺う
男は周囲を見回して、俺の居場所を探しているようだった
狭い室内とは話が違う。屋外の開けた空間で俺の存在を認識するのは、索敵に特化した能力者でも難しい
( ;´_ゝ`) やはり見えんな。厄介な能力だ
( ;´_ゝ`) ……さてと、どうしたもんかね
さて、どうしたものか
先程と同じように組み付いたならば、間違いなく手痛い反撃を受けることになる
反撃の目を潰しつつ、確実に痛手を負わせる方法
, , ; ゚) (それならば、こいつが適役か)
小刀状に生成した「グラス」が5本
金属ほどの強度はないが、それでも人体を貫くには十分な代物だ
- 664 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:03:09 ID:jhGCqDm.0
- 狙いは四肢……いや、この際どこに当たろうと構わない
手傷さえ負わせることができれば、そこからの出血は着実に男の体力を消耗させる
クックルの打撃に耐えるタフネスも、刃物の前には無力だ
, , ; ゚) (当て易く自前での処置の難しい背中は、その意味では一番の狙い目か)
静かに男の背後に回り込み、小刀を構える
男の背中まで3歩か4歩。反撃を受けること無く、確実に命中させることが出来る距離
( ;´_ゝ`) とりあえず手当たり次第殴って……いや流石にそれは無いな……
( ;´_ゝ`) どうにかしてもう一発。そうすりゃいくらかはマシになると思うんだが
何かを呟きながらも、周囲への警戒は怠っていない
攻撃が気取られれば直ぐにでも、何らかの行動を起こすだろう
, , ; ゚) (不安要素は……これといって見当たらんな)
周囲を見回して、そう結論付ける
足跡の残らない硬い地面。太腿に受けたダメージは、投擲を妨げる程のものではない
男の乗っていた車から立ち上る黒煙も、風向き次第では俺の居場所を晒すことになったのだろうが……
, , ; ゚) (生憎、全くの無風だ)
どうやら天も俺に味方をしているらしい
俺は男の背中を目掛けて、小刀を投げつけた
- 665 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:07:07 ID:jhGCqDm.0
- ――――ガリッ!
( ;´_ゝ`) ――ッ! 後ろか!?
, ; ; ゚) (グ……グラスの破片!?)
投擲のために踏み込んだ足の下で、鈍い大きな音が鳴った
先程男が叩き壊した「グラス」の破片がここまで飛んで来ていたのだろう
, ; ; ゚) (攻撃は失敗だ。距離を取ってもう一度……)
物音に気づいた男は小刀を躱し、そのまま音源へと接近してくるだろう
そう考えてその場を離れようとした俺にとって、男の行動は余りにも予想外だった
( #´_ゝ`) だらっしゃあああああああああああああ!!
, ; ; ゚) は……?
先程と同様に組み付いて来るものと考えたのだろうか
男はこちらを振り向くと、そのまま目の前の空間に攻撃を仕掛けたのだ
揺れた――――いや、「ブレた」と言った方が正しいかもしれない
男の体が一瞬ブレたかと思うと、次の瞬間、その右腕のみが視界から姿を消した
次にその姿を捉えることが出来たのは地を揺らす衝撃と轟音の後
, ; ; ゚) な……何だ、それは?
血に塗れた男の右腕が、アスファルトの地面に肘まで突き刺さっていた
- 666 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:09:46 ID:jhGCqDm.0
- ( ; _ゝ ) くそ、投げナイフか……まあ、良い……
( ; _ゝ ) 今のは上手く決まりすぎた……当たってたら殺してた……
男は憎々しげに呟きながら、地面から右腕を引き抜く
小刀は男の右肩に命中しており、流れ出た血が腕を伝って滴り落ちている
結果として攻撃は成功し、俺は再び姿を眩ますことに成功した
多少のイレギュラーはあったが状況は俺に有利に動いているはずだ
しかし、俺の心に余裕は無い
, ; ; ゚) (アレを一度でも食らったら、その時点で終わりだ)
やはり、接近戦は危険だ
距離をとったまま体力を消耗させ、無力化を図るのがベストか
手持ちの小刀は4本。必要とあらば追加でいくらでも生成出来るので弾切れの心配はない
( ; _ゝ ) 傷は深いが、腕は動くな。良かった
( ; _ゝ ) それに、こいつは……
男は小刀を引き抜くとその場に蹲り、ズボンのポケットに手を入れた
ポケットから出てきたのは薄手のハンカチ
男はそれを広げ、血液の噴き出している傷口に強く押し当てた
( ; _ゝ ) おでかけの時はハンカチ持参。小学校の知識が初めて役に立ったぞ
- 667 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:11:37 ID:jhGCqDm.0
- ハンカチを使っての応急処置
長期戦を覚悟するのであれば賢明と言いたいところだが、そんな暇を与えてやる程俺は馬鹿ではない
, ; ; ゚) (そんな所に座り込んでいては、針鼠にされても文句は言えんな)
, ; ; ゚) (――っと、その前に……)
地面に散らばった「グラス」の破片。こいつらを消しておかなくては、再び先程のようなミスをしかねない
俺の能力は物質の不可視化、そして「グラス」の生成と消滅
消滅に要する時間は生成の際のそれよりも遥かに短く、ほぼ一瞬と言っても良い
(-_-) 「グラス」と言ったかな? 君の生み出すそいつは実に不思議な代物だ
(-_-) 生成、消滅に一切のエネルギーを必要としない燃費の良さ
(-_-) 熱にも、電気にも、あらゆる化学的な物質にも反応を示さない安定性
(-_-) まるで空気を……いや、空間を固めているような……
(-_-) ただ「硬さ」と「重さ」という情報だけがそこにあって、それ以外は全くの空虚というか……
(-_-) 存在の要素が希薄な、物質のなり損ない。そんな印象を抱かずにはいられないよ
以前ヒッキーが俺の能力について、そのように評価していたのを覚えている
どうでもいい事だと聞き流そうとした俺の耳に、「物質のなり損ない」という言葉がいつまでも響いていた
, ; ; ゚) (……戦場で物思いとは、我ながら緊張感の無い)
自身を諫めると共に余計な思考を振り払い、俺は再び蹲る男へと目を向けた
肩から流れ出る血の勢いは衰えず、止血にはまだまだ時間がかかるだろう
- 668 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:14:44 ID:jhGCqDm.0
- , ; ; ゚) (このまま放っておいても、出血とプレッシャーで勝手に潰れてくれそうなものだが)
いいや、片割れの存在が気にかかる。決着は速いに越したことはない
地面に生成した「グラス」とその破片を全て消滅させ、足跡を殺しながら男の周囲を旋回する
二回連続となった背後からの攻撃に、向こうも相応の警戒をしているはずだ
反撃を受ける危険は常に付き纏う。攻撃を仕掛ける方向は選ばなければならない
, ; ; ゚) (……ここだな)
, ; ; ゚) (負傷している右半身への追撃。痛む腕では回避行動も鈍る。そして何より……)
, , ; ゚) (あの右腕は、潰しておかなければならない……!!)
俺の焦りとは裏腹に緩慢な動作から放たれた小刀は、風切り音すら立てること無く男の体に向って行く
僅かな時間を置いて男の右肘に小さな穴が開き、滲み出る血液がゆっくりと衣服を染めた
( ; _ゝ ) 〜〜〜〜!
, ; ; ゚) (……よし、これであの拳は死んだ)
くぐもった呻き声。反撃の気配は感じられない
更にもう一本投擲した小刀は男の脇腹を掠め、俺はそれを確認しながら再び移動を始めた
- 669 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:17:33 ID:jhGCqDm.0
- , ; ; ゚) (攻撃を仕掛ける方向は毎回変え続けるべきか)
, ; ; ゚) (おおよその位置が知れたら、先程のように運任せ突っ込んでくる危険がある)
, ; ; ゚) (決着は速いに越したことはない。しかし、やられてしまっては元も子もない)
, ; ; ゚) (……いや、待てよ?)
最も危険な右腕は今潰した。反撃のリスクは大幅に減少したはずだ
攻撃の方向がバレたとしても正確な位置を気取られていないのであれば回避は容易く、
また仮に攻撃を食らっても、直撃さえ避けられればその後の無防備な状態を狙い撃ち出来る
, ; ; ゚) (余計な時間をかけて片割れに加勢されるのも、俺としては望ましくない)
, ; ; ゚) (ならばその博打、受けてみるのも良いかもしれないな)
- 671 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:24:58 ID:jhGCqDm.0
- 男の周囲を旋回しながら、一定のリズムで投擲を行う
腕、脚、腹、背中……命を奪うには至らないが、決して浅くはない傷
それがひとつ増える度に男は苦悶の表情を浮かべ、叫び声を噛み殺した
男の足下に広がった血溜りの中には、先程止血に使っていたハンカチが浮かんでいた
, ; ; ゚) (攻撃の規則性に気付かぬのであれば、それはそれで良い)
, ; ; ゚) (気付いているのであれば、そろそろか)
これ以上のダメージの蓄積は向こうとしても避けたいはずだ
規則性を発見し、それが確信に変わった時、窮地に立たされている男は間違いなく動き出す
俺は「グラス」の壁を生成して動きを止め、側面に回りこんで決定的な一撃を与える
, ; ; ゚) (リーチが長く殺傷力に優れる武器……槍だ……)
槍で男の足を貫き、それと同時に地面に「グラス」の塊を生成。すぐさま槍と「グラス」を結合させる
男の足は地面に縫い付けられた形になり、足による攻撃を防ぐと同時に逃亡を不可能にするだろう
, ; ; ゚) (形状は骨を避け、肉のみを貫く細槍が最適……ふん、これではまるで、留め針だな)
, ; ; ゚) (来い、流石兄弟! 俺はここに居るぞ!)
音も無く投げられた一本の小刀が、男の背中に突き刺さる
それと同時に――――
( ゚_ゝ゚)
瞳孔を見開いた男の視線が、俺を射抜いた
- 672 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:29:37 ID:jhGCqDm.0
- , ; ; ゚) (やはり、来るか!)
男は蹲った姿勢から地面を蹴り、見上げるほどの高さまで跳び上がった
着地までの猶予は2秒弱。それだけあれば、壁を生成するには十分――――
, ; ; ゚) ――――!?
たった今跳び上がったはずの男は空中で急激に加速し、
物理法則を無視した速度で俺の眼の前に現れた
, ;; ; ゚) (こいつの能力、身体強化などではない! もっと異質な……)
( #゚_ゝ゚)
男は着地と同時に重心を落とし、上半身を捻る
赤く染まった左腕がブレる。壁を生成する時間など、どこにもない
, ;; ; ゚) (壁による足止めは不可能。となれば一か八か、躱すしか無い!)
突きか、払いか。突きであれば左右に、払いであれば後方に一歩。それで致命傷は避けられる
しかし読みが外れれば、先程足に受けたあの一撃と同等の衝撃に曝されることになる
, ;; ; ゚) (先程地面に穴を開けた攻撃は、間違いなく突きによるものだ)
, ;; ; ゚) (となれば今回も同様に……だったら、横だ! 左半身に回り込み、攻撃後の伸びきった足を貫く!)
覚悟を決め、一歩踏み出したその瞬間
踏み込んだ右足から、力が抜けた
- 673 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:33:05 ID:jhGCqDm.0
- , ;; ; ゚) (なっ……!?)
男に蹴られた太腿からの、刺すような痛み
そのダメージは骨にまで達していたのか、突然の激しい動きに右足が悲鳴を上げた
反射的に足を庇った俺はバランスを崩し、力無く後方に倒れ込み、その瞬間――――
俺が踏み込もうとしていたその空間を、男の左腕が薙ぎ払った
, ;; ; ゚) (は……払いだと……!?)
, ;; ; ゚) (勝てる! 男は再び俺の居場所を見失った! このまま回り込んで……!)
, ;; ; ゚) ――――!?
- 674 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:36:11 ID:jhGCqDm.0
- ( ゚)
( ゚_ゝ
( ゚_ゝ)
( ゚_ゝ゚)
( ゚_ゝ゚) なるほど、そこに居たのか、「パントマイム」
男が放ったその言葉は、確かに俺の居る空間に目掛けて発せられたものだった
全身の血液が一瞬にして凍りついたような感覚。それは間違いなく、恐怖だった
, ;; ; ゚) (……何故だ!?)
, ;; ; ゚) (何故お前は、俺の居場所が分かった!?)
, ;; ; ゚) (……っ! あれは……!!)
- 675 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:42:53 ID:jhGCqDm.0
- たった今振り抜かれた男の左腕
その先には、男の血に濡れた一枚の布が結び付けられていた
( ゚_ゝ゚) やっぱりハンカチは便利だな。ゴーストだって捕まえられる
, ;; ; ゚) 今の一撃は俺を倒すための物ではなく、血を散蒔いて……!
( ゚_ゝ゚) いいや、お前を倒すための物さ。今の攻撃があったからこそ――――
( #゚_ゝ゚) お前に付いた血のマーク目掛けて、全力でブン殴る事ができる!!
( #゚_ゝ゚) 大事に取っといた右ストレート! 爆発四散間違い無しだオラアアアァァァァァ!!
男の体がブレて、血塗れの右腕が迫る
咄嗟に突き出した細槍は男の脇腹に突き刺さるが、拳の勢いが衰える気配は無い
避けられぬ衝撃が、やって来る
, ;; ; ゚) ぐっ……く…………
, ;; ; ゚) くっ……そおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
俺の体は為す術もなく吹き飛ばされ、自分の骨の砕ける音が聞こえた
- 676 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:52:57 ID:jhGCqDm.0
- ( ;´_ゝ゚) 散々痛めつけてくれやがって、仕返しだぞ
( ;´_ゝ゚) だが、今の感覚は……畜生、盾を……
(,,; Д ) 察しが良いな、その通りだ
「血液のマークを目掛けて殴る」
攻撃される箇所を前もって知ることが出来たのは僥倖だった
男の血液が付着していた左肩に、咄嗟に「グラス」の盾を生成したのだ
十分な強度とは言い難いものだったが、それでもそのお陰で俺はこうして立っていられる
(,,;‐Д゚) お前は相当な遣い手だ。アマチュア扱いは失礼だったのかもしれないな
(,,;゚Д゚) しかし、まあ……ここまでだな。左腕こそ潰れたが、俺はまだまだ戦える
(,,;゚Д゚) そして……お前はその脇腹の傷で詰みだ
( ;´_ゝ`) ああ、残念だがそのようだ
男の脇腹に空いた穴は、内蔵まで達しているようだった
全身の傷からの出血も酷い。今すぐ病院に運んだとしても、間に合うかは五分といったところか
とっくに気を失っていても不思議ではない。ましてや戦闘など……
- 677 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:54:43 ID:jhGCqDm.0
- (,,゚Д゚) よく頑張ったよ、お前は
(,,゚Д゚) 抵抗を止めるのであれば、病院に連れて行ってやろう
(,,゚Д゚) 所詮お前等は窃盗犯。余罪があったとしても死ななければならない程ではない
(,,゚Д゚) 5秒以内に返事をしろ。俺ではなく、お前のために、急いだ方がいい
(ill _ゝ ) ……なるほど、よくわかったよ
(ill _ゝ ) 確かにこれ以上戦うのは無理だろうな
(ill _ゝ ) 目眩に寒気、それに急激な眠気……出血によるショック症状だ……
(ill _ゝ ) だから――――
( ;゚∋゚) ギコ、右だ!
(,,゚Д゚) え?
(ill´_ゝ`) ――――止めを刺すのは、俺じゃない
一瞬視界の端に現れた影は、どこか見覚えのある黒いスポーツカーだった
- 678 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:55:44 ID:jhGCqDm.0
- ――――――――!!
――――コ! おい! 起きろ! ギコ!
(,, Д )
(,,‐Д‐)
(,,‐Д゚) ……う……ん?
( ;゚∋゚) おお、起きたか、ギコ!
( ;゚∋゚) よかった。頭から落ちていたからな、もう助からないかと思ったぞ
(,,゚Д゚) 俺は……一体……
(,,;゚Д゚) そうだ、流石兄弟はどうした! 一体何があった!?
( ;゚∋゚) すまない、俺にも何が起こったのか分からないんだ
( ;゚∋゚) 奴等が使っていた車……廃車同然だったあれが突然消えて……
( ;゚∋゚) その後どこかでエンジン音がしたと思ったら、新車同然になったそいつがお前に向かって……
(,,゚Д゚) 新車同然?
( ;゚∋゚) そうだ! 俺が殴りつけた傷も、グシャグシャに潰れたフロントも全部元通りだ!
( ;゚∋゚) あんな能力は見たことが無い! 教えてくれギコ、奴等は一体何者なんだ?
(,,゚Д゚) ……さあ、俺が知りたいくらいだな
(,,゚Д゚) とりあえず、クックル
( ゚∋゚) ん、どうした?
(,,゚Д゚) 誰か救援を呼んでくれ。両手が動かん
- 679 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:56:26 ID:jhGCqDm.0
.
- 680 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 01:58:22 ID:jhGCqDm.0
- 任務から一月後、ギプス付きの生活を送っている俺に総理から直々の呼出しが会った
事件についての報告書は既にクックルに代筆を頼んで提出している
「流石兄弟について、もっと詳しく教えて欲しい」というのが、呼び出しの名目だった
(,,゚Д゚) もっと詳しく、ですか
( ゚д゚ ) ヒーローにも警察関係者にも、流石兄弟の姿を見た人間は今まで居なかった
( ゚д゚ ) つまりお前とクックルは流石兄弟と相対した初めての人間ということだ
( ゚д゚ ) 「大怪盗」流石兄弟。お前の目に、そいつらはどう映った?
(,,゚Д゚) ……
それから15分ほどかけて、知りうる限りの情報を総理に話した
顔のよく似た二人組で、恐らくは双子だろうということ
そのうち一人は戦闘向きの能力者で、
一見身体強化の類に見えるがそれでは説明の出来ない点もあること
そして何より、犯行の主幹を担うであろうもう一人の能力
俺とクックルが体験し、そのうえでなお仮説を立てることすら出来ない謎の能力について
- 681 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 02:00:10 ID:jhGCqDm.0
- ( ゚д゚ ) ふむ……なるほどわかった。すまんな、突然呼び出してしまって
(,,゚Д゚) いえ、休養をいただいている身であれば喜んで
( ゚д゚ ) それでは最後の質問だ。流石兄弟と戦ったお前から見て……
( ゚д゚ ) 流石兄弟の確保に必要な人材とは、どういう人間だ?
(,,゚Д゚) 確保……捕えるという意味であれば、念動力
(,,゚Д゚) 近接戦闘は得策ではありません。触れずに拘束できる能力者であれば可能性は高いでしょう
(,,゚Д゚) 尤も、それは私が戦った片割れを捕える場合に限った話で、もう一人の能力がわからない以上は……
( ゚д゚ ) なるほど、参考にさせてもらおう
( ゚д゚ ) ……お……?
(,,゚Д゚) ……!?
総理からの質問が途絶え、報告もいよいよ終わりかと思えたその時だった
突然部屋の外が騒がしくなり、息を切らした男が一人、飛び込んできた
(;・∀ ・) 邸内に侵入者! 単独犯で飛行能力者かと思われます!
(;・∀ ・) 目的は不明ですが爆発物を投下し、被害は軽微ですが既に数名の負傷者が出ています!
( ゚д゚ ) ……ほう?
- 682 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 02:01:37 ID:jhGCqDm.0
- ( ゚д゚ ) そういえばギコ、言い忘れていたことが一つあってな
楽しげに口元を歪めて、総理は語りだす
言いたいことは、なんとなくわかった
( ゚д゚ ) とある筋……まあ、言ってしまえばヒッキーからの情報だが……
( ゚д゚ ) なんとかというテロ組織が俺の命を狙っているらしいのだ
( ゚д゚ ) 実を言うと犯人についての情報も受け取っている。こいつがそうだ
そう言って総理が差し出した紙束には、妙に角ばった癖字で「ハインリッヒ高岡」という表題が書かれていた
この文字の癖はヒッキーのものだろう。そして表題は、犯人の姓名
( ゚д゚ ) 経歴を漁ってみたところ、なかなかおもしろい人材でな
( ゚д゚ ) テロリストでさえなければ、うちで働いてもらいたい程だ
( ゚д゚ ) ああ、実に惜しい。どうしたものかな、何か案は無いか?
(,,゚Д゚) ……わかりました。行けばいいんでしょう
(,,゚Д゚) おい、あんた。黒服の!
(;・∀ ・) は、はい!
(,,゚Д゚) その侵入者が見えるところまで案内しろ
(;・∀ ・) でも、その腕……怪我してるんじゃあ……?
(,,゚Д゚) 飛行能力者相手であれば、四肢が潰れていても勝てる
「それじゃあよろしく」という総理の言葉を背中に受けて、俺は部屋を出る
今日、政府内部に俺の同類が、もう一人増えるらしい
- 683 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 02:02:36 ID:jhGCqDm.0
- 【Side:( ´_ゝ`)】
あれから一ヶ月後、出血多量で俺は死んだ。とても悲しい
いやまあ、嘘だけど、実際に死んでもおかしくない状況だったというのは本当だ
全身に空いた穴のせいで一週間以上病院のベッドで唸ったのも、
表の医者には頼れないので法外な価格でモグリの凄腕さんに治療を頼んだのも本当
だからこそ俺は、俺をこんな目に合わせたあの男に対して、非常に深い憤りを感じている
( #´_ゝ`) 次は殺す
(´<_` ) 落ち着け兄者。あんだけボロクソにやられて言える台詞じゃないぞ
( #´_ゝ`) 奴の弱点は分かった! 今度会った時が奴の命日だ
(´<_` ) 弱点?
( #´_ゝ`) ああ、奴の姿を消す能力は、ぶん殴ると解除されるんだ!
(´<_` ) ほう?
( #´_ゝ`) 今回は気付くのが遅すぎた! クックルとの戦いのダメージもあった!
(´<_` ) だから?
( #´_ゝ`) 今度の標的は奴の下着だ!
(´<_` ) 落ち着け兄者
- 684 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 02:03:52 ID:jhGCqDm.0
- 弟者とそんな会話をしていると、俺の携帯に何者かから着信があった
この番号は確か、シタラバ系の組織だったか
( ´_ゝ`) もしもし?
『もしもし、流石兄弟の電話でおっけ?』
電話口から聞こえてきたのは、妙に気の抜けた女の声
シタラバ系はもう少しお固い雰囲気の組織だったはずなのだが
( ´_ゝ`) あい、確かに流石兄弟だけれども
『そりゃあよかった。私、この組織のお偉いさんの友達なんだけどね』
『ちょっとお願いしたいことがあってさ。お金は弾むから頼まれてくれない?』
(´<_` ) なんて言ってる?
( ´_ゝ`) 仕事の依頼だってさ。どうする?
(´<_` ) 任す
( ´_ゝ`) あい
『話はまとまった?』
( ´_ゝ`) とりあえず内容聞いて、面白そうならやってもいいかなって
『ああそう、それじゃあ標的について説明するよ』
- 685 名前:名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 02:05:28 ID:jhGCqDm.0
lw´‐ _‐ノv 『ちょっとある人間の"骨"をね、盗ってきてほしいなって感じなんですけど』
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