- 550 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:17:13 ID:z3TA0OTw0
- 【屋外 特設ステージ】
('ω') ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ
ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ
ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ
ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ
ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ
\デタゾ…ダーツサンノ1ビョウカンニ10カイ「ゥゥルゥゥルゥゥルゥゥルゥゥィヤァァィヤアァィオォォォwwwwゥゥウゥゥェェェェ」ダ…/
(*‘ω‘ *) ステージの上にいるエキセントリックな野郎は誰だっぽ?
( ><) 知らないんですか? 所ダーツさんなんです
( <●><●>) 聞いたこともありませんね
( ><) ワタナベさんのライブでは毎回前座をつとめている、ファンの間では有名な人なんです
( ><) なんでもワタナベさんとはヒーロー養成所時代からの付き合いらしいんです
( <●><●>) 養成所……といことは彼もヒーローを?
(*‘ω‘ *) ワタナベと同じ世代のヒーローなら顔くらいは知っているはずだっぽ?
( ><) うーん、色々と謎の多い人でその辺りのことはよくわかってないんです
( ><) プライベートのことも……ワタナベさんも彼についてはあまり話したがらないみたいで……
(*‘ω‘ *) ……
(*‘ω‘ *) ……デキてるっぽね
( <●><●>) かもしれませんね
( ><) えっ
- 551 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:18:44 ID:z3TA0OTw0
- (*‘ω‘ *) 養成所時代からということは少なく見積もっても5年
(*‘ω‘ *) 5年間も苦楽を共にした男女が何にもないなんてありえねえっぽ?
( #><) ち……違うんです! 二人は同じ道を志す仲間、ただそれだけなんです!
(*‘ω‘ *) 仲間に恋しちゃいけない決まりはないっぽ? 友情が愛情に変わるのなんて一瞬だっぽ
(*‘ω‘ *) ワタナベが語りたがらないのも当然っぽ。下手なこと言ったら即スキャンダルだっぽ
( <●><●>) 可能性は十分にありますね
( ##><) いーやありえません! そういう噂が立つのを恐れてワタナベさんは無言を貫いているんです!
( ###><) ずっと一緒にいるから恋人に違いないなんてお花畑な考え方、二人の頭が心配になるんです!
(*‘ω‘ *) 頭の心配する暇があるなら膜の心配でもしてろっぽ()
(########>######<###) ウオアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!!!!
- 552 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:19:32 ID:z3TA0OTw0
- ('ω') それじゃあ皆、今日のライブ盛り上げていきましょーか!?
\Yaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!/
( 。><) 殺す……あの男絶対に殺す……
( <●><●>) なに物騒なこと言ってるんですかあなたは。あと涙拭いてください
(*‘ω‘ *) 全く……遊びで来てるんじゃないっぽ?
( <●><●>) 半分以上あなたが原因なんですけどね
(*‘ω‘ *) しかし、もし本当にあの二人がデキてたら今日のライブはあんまり乗り気じゃないかもしれないっぽね
( <●><●>) ……ああ、そうかもしれませんね
( ><) ……?
( <●><●>) ビロードあなた、もしかして知らないんですか?
( <●><●>) 素直くるうといえば、悲恋と多恋の象徴のような人物ではないですか
- 553 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:20:41 ID:z3TA0OTw0
- 「素直くるうは恋多き女性であった」
素直くるうに関する伝承は多々ありますが、これは特に有名なものの一つといえるでしょう
実在する資料を見ても、彼女は28年の人生の中で少なくとも3回の結婚と死別を経験しています
もっともそうなってしまったのは不運でもなんでもなく、彼女の結婚相手が皆、彼女の指揮する部隊の隊員であったことが原因でしょう
( ><) どういうことですか?
( <●><●>) 彼女の部隊の隊員が死ぬことは、当時の人々からすれば「当たり前」の出来事だったのです
当時のニューソクは「超大国」あめぞうを相手取った独立戦争の最中。兵と弓矢は消耗品です
一人の兵の命はその兵の足の裏と同面積の国土より軽い。そんな状況が何年にもわたって続いていました
そんな中でも素直くるうの部隊の死亡率の高さは、他の追随を許さないものでした
彼女の部隊の隊員の平均年齢はおよそ21歳前後とされており、この数値は彼らの平均寿命とほぼ一致しています
一度配属されたら戦死はまず免れられず、「運良く」不具とでもならない限り、生きて部隊を抜けることは叶わない
彼女の部隊に入るというのは、そういうことなのです
それでも彼女の部隊への入隊を希望する者が後を絶たなかったのは、やはり彼女の武勇と美貌によるものでしょう
- 554 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:21:25 ID:z3TA0OTw0
- .
ミ,,゚Д゚彡
彼女の――資料の上でのですが――最初の結婚相手は、フサという男でした
フサは精鋭揃いの彼女の部隊の中でも、とりわけ武勇に優れた軍人であったとされています
一説によると、妻であり上司でもある素直くるうにも引けを取らぬほどの実力者とも言われていたようですね
享年30歳という彼女の部隊においては異例とも言える「長命」さもそれをよく表しているといえるでしょう
( ><) そんなに優秀な人が、どうして死んでしまったんですか?
( <●><●>) 資料には「戦死」としか残っておりませんね
( <●><●>) ある言い伝えでは、敵の奇襲により窮地に陥った素直くるうを庇って致命傷を負ったとされています
( ><) 妻を庇って戦死、ですか……美談ですね
( <●><●>) ……
( <●><●>) 彼の犠牲により生き延びた素直くるうは、その躯を愛馬の背に乗せて戦場から帰還しました
( <●><●>) 彼の葬儀は彼の故郷であるシベリアにて執り行われ、多くの国民が涙を流しました
( <●><●>) 現代のシベリアにも、彼の遺体が眠るとされる墓碑が残されています
(*‘ω‘ *) 当時の戦死者は戦地で埋葬するのが一般的だっぽ
(*‘ω‘ *) 無言の帰宅なんていう「贅沢」が許されたのは、異例中の異例だっぽね
ちなみに恋人の死に激昂したくるうは瞬く間に敵将を含む十余名の首を跳ね、
その首を愛馬の尾に結わえて持ち帰ったとされています
まあ、あくまで言い伝えですので多少の脚色はあるのでしょうけれどね
- 555 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:22:52 ID:z3TA0OTw0
- ( <●><●>) ちなみにビロード
( ><) なんですか?
( <●><●>) あなたはさっきこの話を「美談」と言いましたね
( ><) ええ、確かに言いましたが
( <●><●>) たしかにこの話だけ見れば美談に思えるかもしれませんが、実はそうでもないのです
( ><) え? どういうことですか?
( <●><●>) 言ったでしょう。素直くるうは恋多き女性だったのです
( <●><●>) ……いいえ。フサの死を切欠に、恋多き女性に「なった」と言ったほうが正しいかもしれません
( ><) だからどういうことなんですか? もったいぶらないで教えて欲しいんです
(*‘ω‘ *) そうだっぽね……簡単に言うと……うん、これだっぽ
- 556 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:24:04 ID:z3TA0OTw0
- .
(*‘ω‘ *) 素直くるうはフサの戦死以後、糞ビッチになったんだっぽ
( ><) えっ
.
- 557 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:25:36 ID:z3TA0OTw0
- ( <●><●>) 下品ですよ
(*‘ω‘ *) 間違ったことは言ってないっぽ?
( <●><●>) それはそうですが……
( ;><) あの……まだよくわかんないんです……
( <●><●>) それでは、もう少し詳しく説明しましょう
当時の価値観では夫への貞節が何より重んじられており、素直くるうもまた、亡夫であるフサへ操を立てるものだと考えられていました
なぜなら彼女は軍の高官で、全ての隊員、ひいてはすべての国民の規範となるべき存在だからです
……しかしながら彼女の取った行動は、人々の考えとは全く逆のものでした
フサの遺体を連れて戦地から帰還し、彼の葬儀が執り行われるまで
彼女はその僅かな間に、両手では数えきれないほどの愛人を作りました
( <●><●>) ちなみにその愛人の殆どは、彼女の部隊の隊員だったそうです
( ><) 愛人って……つまり、そういうことなんですよね……?
( <●><●>) 亡夫の喪が明けぬうちから多数の愛人を囲い情事に耽る
( <●><●>) その姿は周囲からすれば理解し難いものであったことでしょう
(*‘ω‘ *) フサが消えた穴を埋めようとしたんだっぽね。……文字通り
( <●><●>) 下品ですよ
- 558 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:26:44 ID:z3TA0OTw0
- 彼女の二度目の結婚はなんと、フサの死からわずか半年後の出来事でした
当時彼女は既に愛人の誰かの子を身籠っており、批判を恐れた彼女の親族がその愛人と無理矢理婚姻を結ばせた
そんな説を唱える学者もいるようですね
いくら素直くるうといえど……いえ、素直くるうだからこそ、「未婚の母」の謗りは避けねばならなかった。ということでしょうか
( <●><●>) その年の秋、大きな戦いがありました
( <●><●>) あめぞうの軍隊が、このニューソクに攻め入ってきたのです
( <●><●>) その数は十万とも二十万とも言われていますが、いずれにせよニューソクにとっては絶望的な数字です
(*‘ω‘ *) 当時のニューソクはあめぞうという国の一つの地域でしかないっぽ
(*‘ω‘ *) 戦場はそこだけではないし、防衛に当たれる兵数はどんなに頑張っても一万がいいところだっぽ
(*‘ω‘ *) 戦力差ざっと十倍、まともにやりあったら勝てるわけがないっぽ?
そう、「まともにやりあったら」勝てるわけがない
ゆえにニューソク軍は大きな賭けに出て、そして見事に成功を収めました
一昼夜にして二万の首級を挙げ、五千の兵を捕虜とし、あめぞう軍を撃退したその方法とは……
( <●><●>) 寡兵による陽動、奇襲、分断、そして挟撃です
- 559 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:27:36 ID:z3TA0OTw0
- あめぞうの軍勢が陣取っている平野の付近には、タポの森と呼ばれる場所がありました
そこは左右を木々に囲まれた隘路で、少数の兵でも大軍を相手取ることのできる、我が国にとっては絶好の地形です
ニューソク軍に勝機があるとすれば、この場所を活かす他はないでしょう
( <●><●>) ニューソク軍は決戦の場をタポの森と定め、僅か一万の兵を、さらに3つの部隊へ振り分ける策を考案しました
( <●><●>) 詳細は、次のようなものです
まず、一万の兵のうち五千をもって、あめぞうの陣営を強襲します
彼らは自身の生存を第一義とし、反撃にあったならば撤退、あめぞうの軍勢をタポの森へと誘い込み、応戦します
部隊の指揮者は用兵に長け、進退の見極めに優れる者
そして、敵将の名誉欲を刺激するだけの名声を持つ者が望ましいとされました
適役として選ばれたのは老将デルタ。堅実を旨とする優秀な軍人です
( <●><●>) 彼もいろいろと逸話の多い人物ですが、それについてはまた次の機会としましょう
- 560 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:28:45 ID:z3TA0OTw0
- さて、タポの森へと誘い込まれたあめぞう軍は数的有利を活かすことが出来ず、もどかしい戦いを強いられることになるでしょう
足踏みしているあめぞう軍の背中をめがけて、残る五千のニューソク兵のうち四千が奇襲を仕掛けます
虚を突かれた集団は脆いものです。ましてや人数の差が戦力に直結しない隘路での戦い
寡兵による奇襲はこの地形において最大の効果を発揮します
奇襲部隊を指揮する者は兵からの信に厚く、さらに自身も武勇に優れる者がよいとされました
この役割にあたったのが当時まだ一介の将官に過ぎなかった「英雄」ヒロユキです
彼は今後、この戦争での活躍により「英雄」として讃えられるようになります
( <●><●>) ところでビロード、ここで問題です。ニューソク軍は残り何名の兵を残しているでしょうか?
( ><) ……千人ですね
( <●><●>) ええ、そうです。簡単ですね
( <●><●>) それでは次の問題です。残った千名の兵のうち何名がこの戦いから生還することができたでしょうか?
( ;><) え? えーっと……
( <●><●>) ヒントです。この戦いはニューソクにとって歴史的な大勝でした
( <●><●>) その証拠として一万の兵のうち、なんと七千以上の者が無傷及び軽傷で帰還しています
( <●><●>) 命に別条はない重傷者も含めると八千名近くの兵が生還ということになるようですね
- 561 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:30:11 ID:z3TA0OTw0
- ( <●><●>) さて、もう一度聞きますよ?
( <●><●>) ニューソク軍一万の兵。デルタ率いる五千の兵、ヒロユキ率いる四千の兵
( <●><●>) では、残り千の兵のうち何名がこの戦いから生還することができたと思いますか?
( ><) えっと……単純計算だと八百くらいになるはずですけど……
( ><) ワカッテマス君がわざわざ聞いてくるということは違うってことなんです
(*‘ω‘ *) ぽ。さすがによくわかってるっぽね
( <●><●>) メタな読みはいただけませんね……まあ、いいでしょう
( <●><●>) ビロードの言う通り、八百名なんて簡単な答えにはなりません
( <●><●>) 正解は、五名
( <●><●>) 千の兵士のうち二名が軽傷、三名が重傷、そして残りは全員戦死しました
( <●><●>) 兵の指揮をしていたのは……言うまでもありませんね。素直くるうです
- 562 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:31:09 ID:z3TA0OTw0
- 残った千の兵士に課せられた役割は、決死隊
森の中に身を潜め、味方があめぞう軍を挟み撃ちにするのを見届けた後、敵の軍勢の中に突撃します
その攻撃はあめぞう軍を二つに分断し、少しでも長く指揮系統を麻痺させるという狙いがありました
ニューソクの勝利には欠かせないその役割は、しかしながら大変危険な仕事でもありました
(*‘ω‘ *) 隘路とはいえたった千人の部隊が十万人にサンドイッチにされるんだっぽ
(*‘ω‘ *) 決死隊、特攻隊、自殺志願者。そう言われてもしょうがないっぽ
ええ、そうですね。はじめから、戦死が前提のような作戦です
そしてその役割を任せられる部隊など、素直くるうとその精鋭部隊をおいて他にありませんでした
素直くるうは身重の体で作戦に臨み、そして立派にその役割を果たしました
しかし彼女は救国の英雄の名誉と引き換えに、愛する夫と胎内の我が子を喪いました
( ><) 子供も……ですか……
( <●><●>) 作戦を終えニューソク軍の陣営に帰還した直後に出産し。その時点で胎児は既に死亡していました
( <●><●>) 精神的にも肉体的にも、母体へのストレスが余りにも大きかったのでしょう
( <●><●>) 二人目の夫と胎児の遺体は戦地でそのまま埋葬されました
( <●><●>) これが、二度目の死別です
- 563 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:32:47 ID:z3TA0OTw0
- ( <●><●>) 三人目の夫はこれまた彼女の部隊のt……おっと、続きはまた今度にしましょうか
( ><) どうしたんですか?
( <●><●>) そろそろ出番みたいですね
( ><) 出番? 何のことですか?
(*‘ω‘ *) ここがどこか忘れたっぽ? そろそろワタナベの出番が来るっぽ
( ><) ……
(ill*><) あっ
( <●><●>) なんですかその表情は
(*‘ω‘ *) まるでワタナベを見れる事自体は嬉しいけど件の男の影がどうしてもちらついてしまうような表情だっぽ
( <●><●>) なるほど
- 564 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:33:46 ID:z3TA0OTw0
- ( <●><●>) まあとにかく、素直くるうという人間は恋人達にとってそれくらい縁起が悪い存在なんですよ
( <●><●>)そ pipipi......
( <●><●>) おっと失礼、メールですね。マナーモードにするのを忘れていました
( <●><●>) 差出人は……おやおや、ヒッキーからのようです
(*‘ω‘ *) ヒッキーからのメールっぽ? 嫌な予感しかしないっぽね
( ><) 明るい話題を持ちかけられた記憶が無いんです
( <●><●>) それが彼の仕事ですからね。責めるわけにはいきません
( ><) それで、どういう内容なんですか?
( <●><●>) ……ふむ、『ゴーストが動く』ですか
(*‘ω‘ *) なんとも抽象的というか言葉足らずというか……どういう意味だっぽ?
( ><) ヒッキーのメールはいつもこんな感じですね
( <●><●>) ゴースト……ゴーストですか……ああ、なるほど
( <●><●>) 二人とも、ライブ鑑賞はおしまいです。仕事の時間ですよ
(*‘ω‘ *)( ><) えっ?
- 565 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:35:06 ID:z3TA0OTw0
- 【side:( ´_ゝ`)】
戦乙女のマント置かれている二階から、階段を降りて1F男子トイレへと向かう道中。俺はひどく落胆していた
目的の物が手に入る高揚感を除いたならば、今回の仕事はなんとも容易で、そして退屈で……
下見をした特設展示室の仕掛けも、所詮弟者の能力を阻害できるようなものではなく
「市営の施設とはいえ、それなりに大きなイベントならば相応の備えはしてくるだろう」
そんな俺の淡い期待は見事に裏切られてしまったのだ
『( ´_ゝ`) なんというか、期待外れ。ヌルゲーだな弟者』
そんな台詞を呟いて、溜息をひとつ吐き出した
そう、そうしていたはずなんだ
ほんの十数秒前までは
- 566 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:35:57 ID:z3TA0OTw0
- 最初「それ」に気が付いたのは弟者の方だった
下らないことを話しながら1Fの男子トイレへと向かっている道中で、突然弟者が歩みを止めた
『(´<_`; ) なあ、兄者……これって、俺達の……?』
その言葉に不穏な気配を感じて振り返ると、そこにあったのは真っ青な顔をした弟者。そして……
階段の上方から俺達の足元まで続く、二人分の真っ赤な足跡
よく見ると俺達二人の靴底は、身に覚えのない赤色の液体で濡れていた
( ;´_ゝ`) ……なんだこれ?
状況的に考えて、この足跡は俺達の物だと考えるのが妥当だろう
しかし俺達は館内に入ってからここまで何か怪しい物を踏んだ記憶はない
だいたいなんだこの色は? これじゃあまるで、血の……
ヒタ......ヒタ......
( ;´_ゝ`) ッ!?
- 567 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:36:45 ID:z3TA0OTw0
- ( ;´_ゝ`) 弟者、聞こえたか?
(´<_`; ) 足音……二階の方からだ
( ;´_ゝ`) マズイな、逃げるぞ!
足音はもうすぐ近くにいる。お上品に玄関から逃げている暇はない
……が、幸いにもここは一階だ。急いで窓から脱出しよう
そう思って窓の方に目をやると、俺より先に動き出していた弟者がひどく慌てた様子で窓を殴りつけていた
いや、正確にはそうではない
全力で振るわれているであろう弟者の拳はどういうわけか窓に触れることができない
衝突のほんの数センチ手前の所で、何かに阻まれたように動きを止めてしまうのだ
(´<_`; ) おい、なんだこれは!
( ;´_ゝ`) よくわからないが窓からの脱出は無理そうだな
( ;´_ゝ`) どこかに隠れ……いや、足跡がある限りいずれにせよ……
................コツリ
足音が、階段を降りきった
- 568 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:37:40 ID:z3TA0OTw0
- 奇妙な光景だった
濡れた靴音が木霊する廊下、足音の主の姿はない
しかし確かに「そいつ」はそこにいるのだ
俺の物でも弟者の物でもない第三の真っ赤な足跡が、足音に合わせて一歩一歩、こちらに近付いて来る
( ;´_ゝ`) 仕方ない……玄関に向かうぞ!
(´<_`; ) あ、ああ!
とにかく、この足音から距離を取らなければ。俺の本能がそう告げている
俺達が玄関を目指して走り出そうとすると、「そいつ」は急激に速度を上げて、俺達との距離を詰め始めた
( ;´_ゝ`) ええっと、玄関どっちだっけ弟者!?
(´<_`; ) そこのT字を右だ!
( ;´_ゝ`) よし、俺についてこい! で、その次はどっちだ!?
(´<_`; ) 道分からないなら先に行こうとするな兄者!
( ;´_ゝ`) ああもう、えっと、この角を右だな……うおっ!?
(´<_`; ) どうした兄者!?
- 569 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:39:00 ID:z3TA0OTw0
- 足音に追われて逃げ込んだT字の廊下
玄関へと続く右の道は、またもや見えない何かに阻まれて進むことができなかった
( ;´_ゝ`) こっちは駄目だ! 弟者、左に逃げるぞ!
(´<_`; ) ええっと、左から玄関に出るには……あ……
左の道を走りながら、弟者は何かに気付き、再び顔を青くした
( ;´_ゝ`) おい、どうした弟者?
(´<_`; ) 駄目なんだ兄者、こっちの道は……行き止まりだ……
( ;´_ゝ`) なにっ!?
(´<_`; ) この先にあるのは宿直室と放送室、それにボイラー室だけ。玄関に続く道は無い
( ;´_ゝ`) ……誘導されたってわけか
- 570 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:39:57 ID:z3TA0OTw0
- ( ;´_ゝ`) とにかく、行けるところまで行ってみよう
( ;´_ゝ`) 弟者、今言った部屋のうち逃げ込めそうな場所は?
(´<_`; ) 放送室とボイラー室は施錠されている。宿直室なら行けるはずだ
( ;´_ゝ`) 了解。宿直室だな?
足音は俺達を追い続けてはいるが、どうやら一定以上距離を詰める気は無いらしい
逃げ場のない場所に追い詰めて、そこからゆっくりと仕掛けるつもりだろうか
( ;´_ゝ`) そもそも「あいつ」は何なんだ!? あれが「くるうを見た」だってか?
(´<_`; ) はたまた警察が何かしてるのか、いずれにせよ只者じゃないだろうさ
(´<_`; ) 着いたぞ、宿直室だ。一番奥の扉だ
( ;´_ゝ`) 一番奥……こいつでいいんだな、開けるぞ!
( ;´_ゝ`) ……くそっ、この扉もだ! さっきの窓や通路と同じ、「何か」が邪魔をしている!
- 571 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:40:38 ID:z3TA0OTw0
- 扉を開けることができないのであれば、この場所はつまり袋小路
俺達は完全に追い詰められてしまったことになる
(´<_`; ) おいおい、どうする兄者?
姿は見えないが確かにそこにいる「そいつ」は、いよいよ俺達を仕留める体勢に入るのだろう
ゆっくりと近付いて来る足音に合わせ、幽かな息遣いが聞こえてくる
( ;´_ゝ`) いけるかどうかわからんが、やってみるしかないな
(´<_`; ) やってみるって、何をだ?
( ; _ゝ ) 集中……大事なのは集中力だ……
速さも、力強さもいらない。そんなものは、後から付いてくる
必要なのはただ正確に「なぞる」ことだ
俺の脳内に浮かんでいる、滑らかな孤の軌跡を
- 572 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:41:39 ID:z3TA0OTw0
- イメージはコンパス、新品の独楽、または嵐の中の風見鶏
左足を軸に全身を半回転。能力により増幅された全てのエネルギーを右足に伝達し
( #´_ゝ`) っしゃあおらあああああああああああああ!!!!
回転の勢いそのままに、宿直室の扉に叩きつける
中国武術では転身脚、プロレスではスピンキック
早い話が、回し蹴りだ
「……っ!?」
俺と扉の間を遮っていた「何か」を突き破り、俺の右足は宿直室の扉を破壊した
弟者の「よし!」という声に紛れ、姿の見えない何者かの息を呑む音が聞こえた気がした
( ;´_ゝ`) ……いけるぞ!
一か八かの賭けは成功した
物理的に突破が可能な物であるならば、見えない何かは最早脅威ではない
片っ端から蹴り壊して、さっさとここを脱出しよう
- 573 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:43:00 ID:z3TA0OTw0
- 呆然と立ち尽くしている真っ赤な足跡を尻目に、俺達は宿直室へと逃げ込んだ
室内は6畳ほどの和室で、人間一人が生活できる程度の家具が備え付けられている
そして部屋の西側、つまり俺達の真正面には、人間が通れる程度の大きさの窓
ここからなら、脱出できるかもしれない
( ´_ゝ`) 見えない壁ごとぶっ壊すぞ。弟者、少し下がってろ
窓の目の前に立ちながら、ちらりと後方を見る
室内に足跡は無し。まだ「あいつ」は入ってきていないらしい
できるならばそのまま追ってこないで欲しいものだが、そんな甘い話もないだろう
( _ゝ ) 集中……集中……
( _ゝ ) ……
( #´_ゝ`) 行くぞおおおおおおお!
気合を入れてから2、3歩後退し、助走を付けて飛び上がる
そこからさらに捻りを加え、回し蹴りの要領で窓を思い切り蹴り破る
古よりキックは跳んだ方が威力が高いと決まっているのだ
窓ガラスの手前にあった何かよくわからない障害物など、今更何の役にも立たない
- 574 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:43:52 ID:z3TA0OTw0
- 綺麗に砕け散った破片を足で払いながら、弟者の方を振り返る
( ´_ゝ`) おい弟者、さっさと逃げるぞ
( ´_ゝ`) おい返事くらいしろ。お兄ちゃん寂しくてないちゃうぞ……弟……者……?
そこには、苦悶の表情を浮かべ、空中にぶら下がっている弟者の姿があった
ロープも、踏み台も、何の支えもなく、まるで浮いているかのように空中で静止している
その首は不自然に陥没しており、人間の手のような形の溝が出来上がっていた
( <_ ill) ぐ……首……絞め……
( ;´_ゝ`) なっ……足跡なんてどこにもなかったぞ!?
気が付くと、俺や弟者の靴底を汚していた赤い液体も、いつの間にか無くなっている
それどころか部屋の外、廊下にあったはずの足跡も……
全てが、跡形もなく消滅していた
- 575 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:44:34 ID:z3TA0OTw0
- ( #´_ゝ`) くっ……離れろ!
弟者の目の前の空間を目掛けて思い切り蹴りを浴びせると、弟者の体は開放され、床へと落ちた
しかし蹴り自体には何の手応えもなく、何かを蹴り飛ばしたような感触は残っていない
( ;´_ゝ`) 弟者! 生きてるか!
( <_ ill)
弟者からの返事はない。が、死んでいるわけでもないらしい
僅かながら呼吸の音がする。気を失っているだけのようだ
,;( ;´_ゝ`) 足跡も見えない……か……
,;;,;( ;´_ゝ`) うん、こいつは厄介だな。どうしたもんかね
,;,;゚;;( ;゚_ゝ`) ……っ!?
- 576 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:45:27 ID:z3TA0OTw0
- ( ;゚_ゝ゚) うおおおおおお!?
背後に感じた何者かの気配に慌てて飛び退くと、風切り音
先程まで俺のいた空間を、何かが通り過ぎた音がした
直後、追撃
右の頬に強い衝撃を受け弾き飛ばされると、その先にはさきほど俺が破壊した窓硝子の破片
手に、足に、背中に、顔に、大小様々な破片が突き刺さる
( ;´_ゝ`) 畜生……一旦距離を……
部屋の隅に逃げ込んで、角に背を向けて構える
ここならば、襲ってくる方向も大方予想できるし、部屋全体が見渡せる
逃げ道はないが、見えない奴に見えないところから攻撃されるよりはよっぽどマシだろう
体に刺さった破片を引き抜きながら、息を整える
僅かな気配、物音も聞き逃さぬように。そして、暫しの膠着が訪れた
それは30秒にも、10分にも感じられたが、グチャグチャになった思考を整理するのには充分な時間だった
思考を整理し、冷静な脳味噌で室内を見渡し、そして気付く
弟者が、危ない
- 577 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:46:49 ID:z3TA0OTw0
- 部屋の中央近くに倒れている弟者は余りにも無防備な状態で、一方俺はこの部屋の隅っこで情けなく守りを固めている
圧倒的優位に立っている「あいつ」がその気になれば、いつでも弟者に止めを刺すことができるのだ
( ;´_ゝ`) おい弟者! 起きろ! やられるぞ!
( <_ ill)
俺の呼びかけに、弟者は応えない
髪の長い、美しい女が、腰に提げた鞘から剣を引き抜いて、無抵抗な弟者の首を切り落とす
そんな光景が脳裡に浮かぶ
( ;´_ゝ`) どうする? どうすればいい……
倒れた弟者の頭の側
畳の表面がほんの僅かに窪んだの、俺は見逃さなかった
( ;´_ゝ`) ……っ!!
( #´_ゝ`) そこかあああああああああ!!!
体から抜き取った破片を拾い上げ、「そいつ」目掛けて投げつける
狙いは畳に浮かんだ僅かな窪みのその上方
弧の動きから放たれる硝子の破片は、人体を貫くのに充分な威力を持っている
相手が「人であるならば」、致命傷は免れられないだろう
しかし、それらは「そいつ」に痛手を与えることはなく
「そいつ」の居るであろう空間に辿り着く直前で、見えない何かに阻まれて、そのまま空中で静止した
- 578 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:48:20 ID:z3TA0OTw0
- ……だが、それでいい
破片への対処に僅かに意識を逸らすことができれば、それでいい
( #´_ゝ`) 弟者、今助けるぞ!
俺は「そいつ」の虚を突いて、弟者のもとへと駆け寄った
畳の窪みが動くのが見える。頭上で何かが風を切る音が聞こえる
しかし、来る方向がわかっているのであれば、躱すことはできる
( #´_ゝ`) たぶん滅茶苦茶痛いけど、意識ないんだから我慢しろよ弟者!
弟者の襟首を服ごと掴んで、そのまま転がるようにして「そいつ」の足元から脱出する
危険な部屋の中央から逃すために、それからいつでも脱出できるように
俺は窓の真下の床に、弟者の体を投げ飛ばした
(゚<_゚ ; ) 痛っ……てええええええええええええええええ!!!!!????
起きた
- 579 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:49:07 ID:z3TA0OTw0
- ( ;´_ゝ`) おお、起きたか!
(゚<_゚ ; ) 痛ええええええええええええええええええ!!!!
( ;´_ゝ`) 泣き言は後だ! 窓から逃げるぞ!
(´<_`; ) あ、ああ、そうだったな!
窓から順番に出ようとすると、背後で再び足音が聞こえた。絶対に逃す気はないということだろう
( #´_ゝ`) これでも食らってろ!
足元の破片を拾い上げて、再び足音目掛けて投げつける
破片はやはり空中で動きを止めてしまったが、それでも多少の時間は稼げただろう
弟者が脱出したのを見届けて、破れた窓から飛び出した
- 580 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:50:55 ID:z3TA0OTw0
- ( ;´_ゝ`) とりあえず駐車場だ! 警察が動き出す前に逃げるぞ!
( ;´_ゝ`) 駐車場は……えっと……弟者!?
(´<_`# ) こっちだ! 着いて来い!
今回の仕事は失敗だ
車は途中で乗り捨てて、歩いてアジトまで帰還しよう
( ;´_ゝ`) 今回はマジで欲しいものだったのに……
( ;´_ゝ`) なんでこんな時だけ失敗しちゃうかね。もう……
(´<_` ) 失敗? 何を言っているんだ兄者?
( ´_ゝ`) えっ?
- 581 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:51:37 ID:z3TA0OTw0
- (´<_` ) まあいい、駐車場に急ぐぞ
( ´_ゝ`) いやちょっとまって
(´<_` ) ん?
( ´_ゝ`) いまのそれ、どういうこと?
(´<_` ) いやだって兄者、今回の仕事失敗って、俺の能力覚えてないのか?
(´<_` ) ほらこれ、さっき少しだけ眠っているうちに、な?
( ;´_ゝ`) えっちょっと待って、これってもしかして、本物の……
- 582 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:52:18 ID:z3TA0OTw0
- 【1F 会議室】
_、_
( ;,_ノ` ) ッ、おい! それはどういうことだ!?
从;゚ー゚V それが……私にも何が何だか……
(;´W`) どうして、こんなことが……
- 583 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:53:28 ID:z3TA0OTw0
- 【屋外 特設ステージ】
(;'ω') おいおい、どうなってんだこりゃ!?
(;><) 大変です! 大変なんです!
(;<●><●>) 観客の皆さん、落ち着いて! 落ち着いてください!
(*゚ω゚ *) 何がどうなってるんだっぽ……
从;'ー'从 そんな……どうして……どうして……
- 584 名前:名も無きAAのようです:2013/12/15(日) 23:55:04 ID:z3TA0OTw0
- .
从*;ー;从 どうして私の下着が無くなってるのよおおおおおおおおおお!!!!!?????
(´<_`* ) 「天女の羽衣」ゲットじゃあああああああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwww
( *´_ゝ`) ヒョーーーーーーーーーーーーーーーウwwwwwwwwwwwwwwww
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