632 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:23:30.20 ID:zG2/u6/I0

ヘリコプターは基地に着地した。
幸いにも地下の着陸場だったので、途中で敵を撒くことができた。
だが基地に着地してからと言う物。ある意味戦争だった。

(;゚ー゚)  「すぐに救護室へ運んで!!集中治療室もよ!!」

しぃさんは帰ってきた僕達を見るや否や、忙しなく治療を続けている。
鼻頭と太股を負傷した塩沢。腕を捻挫したショボン。そして、全身に銃弾を受けたジョルジュ。
特にジョルジュは、今意識を保っているのは不思議なのだと言う。

(´・ω・`) 「大丈夫だよ。アイツなら死んでも蘇る」

ショボンはそう言った。だけど、それからまる一日。ジョルジュは治療室から出てこなかった。
635 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:23:53.44 ID:zG2/u6/I0

爪'ー`)y‐ 「さて……と。スカルチノフの正体だったね?」
(´・ω・`) 「そうだが……話してくれるのか?」
爪'ー`)y‐ 「命の代価だ。それぐらいはかまわんだろう」

塩沢は一息つくと、口を開いた。

爪'ー`)y‐ 「私が2ちゃんねるを潰したのは、金の為でね」
爪'ー`)y‐ 「莫大な富の為に、その金を横取りたかったんだよ」
(´・ω・`) 「するとお前は……?」
爪'ー`)y‐ 「3ちゃんねるの管理人は私だ。だからお前達の行動も大体分かっていた」

ショボンは深い溜息を付くと、テキーラを勧めた。
塩沢は少し頭を下げると、それを迎え入れた。

爪'ー`)y‐ 「新田の事は知っているな?」
(´・ω・`) 「ああ。警視庁の人間だと言う事は分かっているが……それ以上は」
爪'ー`)y‐ 「正確には警視庁の人間では無い。警視総監の息子だ」
(´・ω・`) 「何?」

ショボンは驚いた顔で塩沢を見つめる。
塩沢はニヤリと笑みを浮かべると、テキーラを豪快に飲み干した。


636 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:24:05.29 ID:zG2/u6/I0

爪'ー`)y‐ 「アイツは一年前。私に金を持ってやってきた」
爪'ー`)y‐ 「この金が欲しければ、2ちゃんねるを告訴しろ。とな」

塩沢は自虐的に笑う。
その表情には、微かな後悔すらうかがえた。

爪'ー`)y‐ 「世間はあの頃。匿名巨大掲示板に脅威を成していた」
爪'ー`)y‐ 「常に殺人予告が書かれ、自殺予告が書かれ、間違った情報が流れている」
爪'ー`)y‐ 「警察としては、それになんらかの対処が必要だった」

テキーラをもう一杯注ぐ。
自棄酒とも言えるこの行動。

爪'ー`)y‐ 「金を受け取った私はひろゆきを告訴した。だがそれだけでは足りない」
爪'ー`)y‐ 「ひろゆきが裁判所に出てくれば、私の敗訴が決定だからだ」
(´・ω・`) 「それで……ひろゆきを監禁したのか」
爪'ー`)y‐ 「そうだ。去年から今まで、ひろゆきは一度足りとも日の光を拝んではいまい」

なんて事を……ともらすショボン。
それに対し塩沢は続ける。

637 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:24:18.86 ID:zG2/u6/I0

爪'ー`)y‐ 「だが今夜。ひろゆきと私は奴の監視下から外された」
爪'ー`)y‐ 「奴は間違いなく、何らかの対策を打ってくるだろう」
(´・ω・`) 「おそらくは君を指名手配するだろうね。ひろゆき誘拐の容疑者として」
爪'ー`)y‐ 「ククク……。ただでさえネラーに恨まれているのに……今度は死ぬな」
(´・ω・`) 「そうなる前に行動を起こす」

ショボンは塩沢に一枚の紙を提示した。
そこに書かれている内容を見た塩沢は、ハッと息を飲んだ。

(´・ω・`)  「これを実行すれば、君は死なず、新田は失墜する」
爪;'ー`)y‐ 「私の金は藻屑と消えるぞ……」
(´・ω・`)  「命の代価だ。文句を言うな」

塩沢は頭を抱えた。
小さな唸り声を出した彼は、あきらめたように顔を上げる。

爪'ー`)y‐ 「こんなビジネスは二度とゴメンだからな」

ショボンはニヤリと笑ってテキーラを注ぐ。
グラスを撃ちつけ乾杯した彼らは、同時にグラスを空にした。

639 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:24:29.98 ID:zG2/u6/I0

( ^ω^) 「………………」

その頃。僕は気まずいムードの中にいた。
どういう訳かアジトの総監室に呼び出され、総監の話を聞くことになったのだ。

(;^ω^) 「総監って誰だお?」

そう。僕はそれを知らない。
誰だよ。総監って。ショボンさんか? いや、アレは野菜レイパー。

(;^ω^) 「何だかんだで知らないお」

ここに来たのが三日前。
まだ知らぬ人のほうが多い。そんな状況である。
僕が少し帰ろうかな。そう思った矢先。


ガチャ


扉が開いた。

640 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:24:49.61 ID:zG2/u6/I0
( ´∀`) 「や。君が内藤君かな?」
(;^ω^) 「はっ…はいだお!!」
( ´∀`) 「よろしい。掛けたまえ」

入ってきたのは柔和な男性だった。
菩薩のような表情を保った彼は、緊張する僕の肩を叩いた。

( ´∀`) 「はじめまして。総監のモナーだ。よろしく」
(;^ω^) 「よっ……よろしくおねがしいいいいます」
( ´∀`)  「うむ。では早速……話を始めようか」

モナーは深々とした椅子に腰掛ける。
そして柔和な笑みを崩さぬまま机に手を入れると、一冊のファイルを取り出した。

( ´∀`) 「塩沢の事は僕より知っていると思う。今回呼んだのは違う件だ」

ファイルをパラパラと捲ったモナーは、途中の一ページで停止する。
そしてそのページから一枚の写真を取り出すと、それを僕に提示した。

( ´∀`) 「彼が命の保険を掛けた人間。彼の娘の話だ」
(;^ω^) 「…………え?」

僕は絶句した。
こんな事があるはず無い。こんな事。なにかの間違いだ、そう思った。
だってそこに映っているのは……

( ´∀`) 「君とドクオ君も一緒に写っていたからね。少し話しを聞こうかと」

そこに映っているのは…


641 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:25:12.54 ID:zG2/u6/I0




ξ゚听)ξ   (^ω^ )
         ('A` )









数週間前の。僕等の日常で。

僕等の優しい先輩で、僕がちょっと惹かれていた人。

ツン先輩だった。
749 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:54:46.51 ID:zG2/u6/I0

( ´∀`) 「彼女は塩沢俊平の実子だ。名は塩沢ツン」

僕は呆然と写真を見つめていた。
あのお茶を差し入れてくれたツン先輩が、撫でてくれたツン先輩が。

( ´∀`) 「彼女は「新田」と言う男とのパイプになっている。手を打つならいまだ」
(;^ω^) 「あの……それでなんで僕が……?」
( ´∀`)  「君はこの子と知り合いだと思うんでね。君にスネークして貰おうと思ったんだ」

逃げるんだスネェェェェェェェェェェェェク!!
今ならまだ間に合う。こんな任務嫌ですと言えるじゃないか!!!

( ´∀`) 「もちろん嫌と言うなら良い。ただし、そのリスクは大きい」
(;^ω^) 「どういう意味ですかお?」
( ´∀`) 「君なら発見されても「つい見かけて。」で通るかもしれない。しかし他は?」

モナーは微笑みを崩すと手でピストルを形作った。

( ´∀`) 「警察は今や敵だからね。騒がれぬ内に眠らすかあるいは……」

ピストルが発砲されるような素振りを見せる。
モナーはニヤリと笑うと、それを僕に示した。

( ´∀`) 「殺すか」
752 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:55:02.94 ID:zG2/u6/I0

( ´∀`) 「どうする? 君が嫌と言うなら他の者を送るが」
( ^ω^) 「…………ドクオじゃ駄目なんですかお?」
( ´∀`) 「彼は「新田」の事で忙しい。君は暇だろう?」

暇だろう。その言葉が胸に抉りこんだ。
僕に出来る事は何か。それを探していた。
囮すらさせてもらえない。そんな僕に、何ができるかを。

( ^ω^) 「分かりましたお……」

殺されるぐらいなら、ツン先輩の張り手を食らったほうがましだ。
ツン先輩を護る為でもあるんだ。それに……

( ^ω^) 「僕も……みんなと戦いますお」
( ´∀`)  「よろしい。では先立つ君にいい話を教えてあげよう」

モナーは微笑むと、一枚の紙を手渡した。


753 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:55:17.85 ID:zG2/u6/I0

そこには一つの家が書かれていた。
家の中には沢山の部屋があって、その中暮らす人々が書かれている。

( ´∀`) 「家があれば人は住む。人は集まってきて、家族になる」

モナーは家の上に「2ちゃんねる」と書き込んだ。

( ´∀`) 「家の中には部屋がある。部屋があれば、そこにも人は集まる」

モナーは一つの部屋の中に、「ニュー速VIP」と書き込んだ。

( ´∀`) 「そして部屋の中にいる人たちは、互いに笑ったり、泣いたり、起こったりする」
( ´∀`) 「もう分かるね。僕の言わんとする事が」

モナーはニコリと笑い、僕の頭を撫でた。
僕は無心に涙が出てきた。懐かしくて、悲しくて、嬉しくて。

( ´∀`) 「僕達は家族なんだ。固い絆で結ばれたね」
( ;ω;) 「お……おお………」
( ´∀`) 「がんばっておいで。いつでも僕達は君は迎え入れるから」
755 :第八章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 15:55:39.65 ID:zG2/u6/I0
僕は涙を拭って立ち上がった。
そして、決意を秘めた目でモナーを見つめた。

( ^ω^) 「モナーさん………」

僕は首を振った。
そしてニヤリと不適な笑みを……そう見えるように…作ると言った。

( ^ω^) 「いや。帰ってきたら言いますお」
( ´∀`) 「なんだい? 気になるじゃないか?」
( ^ω^) 「秘密ですお」

僕はそういって立ち去った。
残されたモナーは、その後ろ姿を見送ると、微笑んでこう言った。

( ´∀`) 「懐かしいな……。僕もあんな頃があったっけ……」

モナーは一人思い出に浸りながら、夕日を見つめていた。



続く

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