- 552 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:43:10.81 ID:zG2/u6/I0
爪'ー`)y‐ 「糞が……」
塩沢の体が傾く。
辛うじて片足で立っているが、その右足には深々とナイフがめり込んでいる。
(;゚∀゚) 「間に……合ったか……?」
扉の前にはジョルジュが立っていた。
体中に弾痕が残り、血を垂れ流していたが、意識は保っているようだ。
(´・ω・`) 「ジョルジュ……お前……」
( ゚∀゚) 「はぁ…はぁ……あいつら……皆殺しにしてやった……」
(;^ω^) 「もう喋っちゃだめだお!! 死んじゃうお!!」
(;゚∀゚) 「死亡フラグなんてな……叩き折るもんなんだよ……」
ジョルジュは力なく座り込んだ。
- 553 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:43:29.45 ID:zG2/u6/I0
爪'ー`)y‐ 「魔少年……か……まさか生きているとはな……」
(;゚∀゚) 「ハッ……魔少年は永遠のコテだぜ? こんな所で死ねるかっての」
爪'ー`)y‐ 「残念……。貴様等はここで死ぬ」
塩沢は片足を引きずりながら歩き始めた。
そして壁に立て掛けてあった額縁を乱暴に取り外すと、小さく光るボタンに手を掛けた。
爪'ー`)y‐ 「私の任務はもう終わった……。後はスカルチノフの役目だ……」
(´・ω・`) 「どういう意味だ?」
爪'ー`)y‐ 「私には娘がいてな……昨夜スカルチノフとの架け橋を頼んでおいた……」
(´・ω・`) 「己の命に保険を掛けたと言う事だな?」
爪'ー`)y‐ 「分かったならば此れが何なのか分かるだろうな」
(´・ω・`) 「あらかた自爆スイッチ。って所かな」
そのとおりだ、と力なく笑う塩沢。
僕はそんな彼を見て問いかける気持ちが沸いてきた。
( ^ω^) (死ぬ覚悟? なら貴方は何の為に巨万の富を?)
そうである。金に狂っていた亡者が、数分後に死の覚悟を決めている。
何かがおかしい。何かが狂っている。何かが………。
そう考えたとき。塩沢の手がスイッチに触れた。
小さな電子音と共に、死神の声が聞えたような気がした。
- 555 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:43:43.58 ID:zG2/u6/I0
(´・ω・`) 「…………………」
( ^ω^) 「…………………」
爪'ー`)y‐ 「…………………?」
('A`) 「悪いな。このビルの電脳世界は制圧させてもらった」
(-_-) 「この自爆スイッチも、全く意味を成しませんよ」
爪'ー`)y‐ 「そんな馬鹿な………」
塩沢は力なく倒れこむ。
一瞬の静寂のあと、凱旋帰宅のような面持ちで二人は入ってきた。
ドクオとヒッキーの額には汗が流れ、いかに必死だったが分かると言う物だ。
('A`) 「急いだ方がいいぜ。監視カメラの映像だ」
ドクオのPCに監視カメラの映像が表示される。
それには、銃声に駆けつけた野次馬と、警察官達の姿があった。
('A`) 「俺達はともかく……ショボンさんは顔が割れてる。見つかったらアウトだ」
( ^ω^) 「どこかから避難するお!!」
(´・ω・`) 「裏口はどうなっている?」
('A`) 「裏口自体は大丈夫なんですが、そこから大通りへ出る道が封鎖されています」
(;゚∀゚) 「おいおい……ここで仕舞いじゃねぇか……」
あきらめかけたその時。一人の男が口を開いた。
- 556 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:43:56.89 ID:zG2/u6/I0
爪'ー`)y‐ 「屋上へ行け」
小さく呟いた一言に、全ての人物が振り向いた。
塩沢は無表情に立ち上がり、無味完結に言った。
爪'ー`)y‐ 「そこにヘリが止めてある。それで逃げなさい」
(´・ω・`) 「何でまた急に?」
爪'ー`)y‐ 「うるさいな。ビジネスだよ」
そうか。とショボンは言った。
しかし誰もが分かっていた。これがビジネスなどでは無いことを。
( ^ω^) 「塩沢。お前はどうするんだお?」
爪'ー`)y‐ 「鼻は折れて足にはナイフ。これでどうするのかね?」
塩沢は自虐的に笑うと、手に持っていた拳銃を示した。
爪'ー`)y‐ 「それに加え銃刀法違反。ブタ箱行きがいい所だろう」
爪'ー`)y‐ 「私は負けたんだ。それに、全ては託してある」
誰も、何も言わなかった。
塩沢は小さく笑うと、その手で扉を示した。
- 558 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:44:08.34 ID:zG2/u6/I0
(´・ω・`) 「死なせないよ」
ショボンさんは小さく言った。
塩沢はそれに驚いたような顔した。
爪'ー`)y‐ 「君がそんな言葉を掛けてくれるとは思わなかったね」
(´・ω・`) 「お前。娘がいるって言っただろ?」
塩沢は頷いた。ショボンは塩沢の方に近づくと、その肩を抱き上げた。
(´・ω・`) 「君みたいな人でもね。子供にとっては神なんだ」
(´・ω・`) 「だからね。絶対に子供に不幸を与えちゃだめなんだ」
塩沢は無言を貫ぬいていた。
ショボンに担がれて廊下に出ると、殊更に無言だった。
静寂に包まれた階段の中。その口から小さな嗚咽が漏れた。
- 559 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:44:22.50 ID:zG2/u6/I0
(´・ω・`) 「さて。ヘリの操縦は誰がするかだが」
(;゚∀゚) 「俺に出来ると思うか?」
( ^ω^) 「みんなで一緒に黄泉の旅をしましょうかお?」
('A`) 「バイクなら少々……」
(-_-) 「ゲームなら得意なんだけどなぁ」
結局全員無理だ。と成れば頼れるのは彼しか居ない。
爪;'ー`)y‐ 「嘘だろう? 私は怪我人だぞ?」
(´・ω・`) 「近くまでで良いんです。がんばってください」
爪;'ー`)y‐ 「それに私は敵だ。君達を道ずれにしようとするかも……」
(´・ω・`) 「先程の涙に。嘘はありませんよ」
塩沢は「馬鹿め」と毒ずくと、ヘリコプターに乗り込んだ。
足の痛みを絶えながらペダルを踏み込むと、その巨体は空へと飛翔した。
眼下に映るネオン街が、最後の戦いへの道のりを誘っているようだった。
- 561 :第七章‐後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 14:45:52.62 ID:zG2/u6/I0
( ) 「みーなさんいらーっしゃい。にゅーそくびっぷ」
( ) 「はーたらいたーらまーけかーなとおもってーる」
( ) 「びっぱーにほほえみをーあたーえらーれたーならー」
( ) 「すべーてをーけしさりーいちからーぜろーへーー」
続く
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