469 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 13:29:45.25 ID:CkjTuFgE0
あの日から一年。
行き場をなくした2ちゃんねらーの一部は、大規模な犯罪に出た。
それが塩沢リンチや樹海OFF。さらには裁判所占拠など様々な。
小規模な犯罪で言うならば、「突撃犯罪」と言うのもあった。
自殺するなら犯罪してから。と言わんばかりに、行き交う女を集団で浚う事件もあった。

(´・ω・`) 「警視庁はそんな事件に一石投じたいらしい」
( ^ω^) 「それで塩沢を……」
(´・ω・`) 「いうなれば彼はエサだね。僕達をおびき寄せるための」

深い溜息を付いたショボン。

(´・ω・`) 「全く馬鹿げている……そんな事であんな虐殺を……」
('A`)    「そうですよ。虐殺ですよ」

ドクオが口を開く。

('A`)    「あんな事をすれば、警視庁の是非が問われるんじゃないですか?」
(´・ω・`) 「そこがスカルチノフの頭の良い所だよ。あれは公式の部隊じゃない」
('A`)    「公式じゃない?じゃあれは……」
(´・ω・`) 「もちろん。殺人事件として処理されるだろうね」

ショボンは再びテキーラに手をかけた。

(´・ω・`) 「しかし相手は警察官。即ち……」
('A`)    「揉み消されて終わり……ですか」
(´・ω・`) 「ああ。最終的には「2ちゃんねらー」の集団自決か何かで終わるだろう」
219 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:08:31.60 ID:l1VlFqH20




(´・ω・`) 「あの軍隊は塩沢の軍だ。あいつが雇ったね」
(´・ω・`) 「金で動く輩は扱いやすい。金の為なら何でもする点ではね」

ショボンはテキーラを飲んでいる。
ドクオは少し眠くなってきたのか、ウトウトとしているようだ。

(´・ω・`) 「そこで僕等は警視庁に探りを入れながら、塩沢の行方を追っているわけなんだ」

と、扉が開く音がする。
そこに入ってきたのは魔少年こと。ジョルジュだった。

( ゚∀゚)   「ふぃー。面倒な話は終わったか?」
(´・ω・`) 「ちょうど終わった感じだけど……何か?」
( ゚∀゚)   「テレビつけてみろ。ヘマしたな。ショボン」

訝しげな表情を残し、ショボンはルームのテレビを付けた。


220 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:08:43.49 ID:l1VlFqH20




( ■■) 「えー。先程起こりました「2ちゃんねらー」による暴動は、内乱によって終局したようです!!」
( ■■) 「警察隊が来たときには、既に全員死亡していたと?」
( ■■) 「はい!!何でも……数人の男が狂って銃を乱射したとかなんとか……」

( ^ω^) 「内乱なんかする筈ないお。絆の力をなめんなよタコ」
('A`)    「まぁ黙れ。続きがあるようだ」

( ■■) 「えースタジオに入ってきたのは数秒の動画のみでしてね。これだけではなんとも……」
( ■■) 「では繰り返し、その写動画流します。心辺りのある人はすぐさま連絡を……」




(´・ω・`) 『wwヘ√レv遅いwヘ√レvv〜』!





( ■■) 「一体なんなのでしょうか……では現場の山本さん?」

221 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:08:56.36 ID:l1VlFqH20




( ゚∀゚)  「完璧に顔映ってるぜ。特定しました、なんてな」
(´・ω・`) 「チッ……。暴徒の中にスパイがいたとは……」
( ^ω^) 「やり方が卑劣だお!!」
('A`)    「あの時……俺の脇で倒れていた奴………」

一同は歯を噛み締めた。
そしてショボンは思い立ったように立ち上がると、ジョルジュに言った。

(´・ω・`) 「今回の被害者は?」
( ゚∀゚)   「およそ二万五千人。全体の六分の五だ」
(´・ω・`) 「なるほど。5000人は助かったのか」

助かったのか助けられなかったのか、その数字を一言で済ますにはあまりにも尊い。
それを感じたのか、ドクオも沈痛な顔をしている。


222 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:09:09.13 ID:l1VlFqH20


(´・ω・`) 「こうなったら仕方が無いね……」
( ゚∀゚)   「お。なんか妙案が思いついたか?」
(´・ω・`) 「塩沢を締め上げて、スカルチノフの名を吐かす」
( ゚∀゚)   「物騒なこったな」
(´・ω・`) 「他に手もあるまい。3ちゃんねるで情報を流したところで、新参共が嘲るだけだ」

ショボンは空になったテキーラを投げ捨てた。
ジョルジュはニヤリと笑いながら言う。

( ゚∀゚)   「まぁ確かに……これ以上被害者が出るのは頂けねぇな……」
(´・ω・`) 「すぐにヒッキーを起こせ。奴ほどこの任務に適役はいない」
( ゚∀゚)   「はいよっと。でもアイツ。寝起き悪いからな」

ジョルジュは参ったなと頭を掻きながら去っていった。


223 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:09:22.25 ID:l1VlFqH20


('A`)    「俺たちも同行しましょうか?」
(´・ω・`)  「ああ。だがかつてと違い塩沢はセキュリティーに護られている。油断すると危険だ」
( ^ω^) 「じゃあどうやって捕まえるんですかお?」

内藤の問いにショボンは不適に笑った。

(´・ω・`) 「だからこそ。さきほどのヒッキーが必要なのだよ」


237 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:28:34.44 ID:lfu914y+0







(;^ω^) 「すごく………汚いです……」

ショボンに連れてこられた部屋は汚かった。
否。汚いというよりも……これが連想させてくれるのは……

('A`) 「なぁ。これまんま俺の部屋なんだが」

そう。子供部屋。
いろんなものが散らかっていて足の踏み場も無い感じ。

(;゚∀゚) 「な。仕事だからさ。行こうな。な」
(-_-) 「うるさい。僕に触れるな」

その中で一つだけ君臨する物があった。
それは少年といえる若さだろうか。幼さを残した男である。

(;゚∀゚) 「お前がいないと始まらないんだって、な?」
(-_-) 「僕は今忙しいんだ。ほっといてくれ」

説得を試みるジョルジュも、少し参った表情をしていた。

238 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:29:04.02 ID:lfu914y+0

(´・ω・`) 「彼はUNIX板の住人でね。かつてソフト開発に携わっていたんだ」
( ^ω^) 「ソフト……って事は?」
(´・ω・`) 「そう。かつての閉鎖危機を助けた人物の一人なんだ」

ヒッキーはジョルジュを無視しながらタイプを続けている。
それを無心で見ていたドクオは、不意にヒッキーに近づいた。

('A`)   「なぁ。それ何してんだ?」
(-_-)  「国防省のサイトをハッキングしてるんだよ。どうせ分からないだろうけど」
('A`)   「いや。分かるさ。ちょっと退いてみ」

ヒッキーは何か言いたそうな顔をしていたが、何も言わずに脇にどけた。
PCの前に座ったドクオは、画面に写るソースに目を走らせる。

('A`)  「なるほどな……ここのロックが解けないのか……」
(-_-) 「分かるの?」
('A`)  「サイバーテロ集団を舐めんな」

ドクオは黙々とタイプを続ける。そして数分後。ヒッキーに笑顔を向けた。

('A`)   「あいよ。ハッキング完了。痕跡も消してあるから、好きにしな」
(;-_-) 「すっ……げえ……」

横で見ていたヒッキーは、ただ感嘆の声しか上げられなかった。


239 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:29:53.41 ID:lfu914y+0
(;゚∀゚) 「な。これで目的も果たせたし、来てくれるよな?」

ジョルジュの言葉には耳を貸さず、ヒッキーは目の前に立つドクオに尋ねた。

(;-_-) 「ねぇ!! どうやったらそんなに凄くなれるの!?」

ドクオは叫んだヒッキーを傍目に見た。
そしてフッと微笑むと、少ししゃがんでヒッキーの頭を撫でた。

('A`) 「安心しな。すぐに上手くなれるさ。ただし……」

ドクオはヒッキーの目を見つめた。

('A`)   「外の空気吸わねぇと……頭回んねぇぞ?」
(;-_-) 「地味について来いって言ってる?」
('A`)   「察しが良いガキは嫌いじゃないぜ」

ヒッキーはハァと短い溜息を付いた。
そしてあきらめたように微笑むと、ドクオに言った。

241 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:30:26.99 ID:lfu914y+0

(-_-) 「その代わり、帰ってきたら、ハッキングの手順教えてね」
('A`)   「しょうがねぇな。お前が弟子一号だ」

ニコリとはにかむヒッキーを撫でたドクオは、呆然と立つジョルジュを避けてショボンの前に出た。

('A`)     「さて。行きましょうか」
(;´・ω・`) 「ああ。でも君が凄すぎて、ヒッキー君の存在価値が薄れてきたよ」
('A`)     「じゃあ今回は、ヒッキーの勉強を兼ねて」

ドクオはニヤリと笑うと、僕の肩を叩いて外へ出て行った。
まるで糸が付いているかのように、ヒッキーも続いて外へ出て行く。
正直な話。ここまでドクオが頼れる男だとは思わなかった。

242 :第五章 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/14(日) 02:31:43.42 ID:lfu914y+0


そして一向は向かう。

塩沢が待つ決戦の地へ。

失った友の心を刃に込めて。

未だ祈る仲間の思いを柄に込めて。

対なす敵への憎しみを盾に構えて。



続く。

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