- 47 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:21:26.75 ID:nXFrhP9n0
- 爪'ー`)y‐ 「私は負けたんだ。それに、全ては託してある」
爪'ー`)y‐ 「こんなビジネスは二度とゴメンだからな」
爪'ー`)y‐ 「娘の為だ。それに……あの子にはヒーローが付いているんだろ?」
爪'ー`)y- 「かつての2ちゃんねらーさん。今なら分かるでしょう。どちらが上だったかをね」
- 48 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:21:41.00 ID:nXFrhP9n0
今なら分かるだろう……。 本当に上だったのは……。
- 49 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:21:53.42 ID:nXFrhP9n0
(;^ω^) 「塩沢アアアアアアアアァァァァァァ!!」
僕は叫んでいた。
かつての敵に、かつての憎い相手に、かつての僕等の敵に。
そして、今の家族に。
爪 ー )y‐ 「………………」
塩沢は目を開かない。
額を貫通した銃弾は、地下にまで広がるモニターにめり込んでいた。
( ・∀・ ) 「おや? 君は………」
僕は目を上げた。
そこには銃を撃った男。そして、悪の帝王。新田彰浩が悠然と立っていた。
- 51 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:22:09.26 ID:nXFrhP9n0
( ・∀・ ) 「内藤君……だね? ウチの塩沢を連れ去った」
(;^ω^) 「塩沢をお前の物みたいに言うなお!! もう僕等の家族だったお!!」
( ・∀・ ) 「家族……ねぇ」
新田は嘲笑うように近づいてくる。
僕はそんな新田を前にしながら、憤然と構えていた。
( ・∀・ ) 「お前は負けただの、全ては託しただの、伝説は終わるだの……」
( ・∀・ ) 「くだらん御託を並べる男に成り下がったが……それが原因か」
僕の目の前まで迫った新田は、僕を舐めるように見つめる。
( ・∀・ ) 「何が負けだ。死んだ人間が……良い気になるなよ?」
新田は足元に倒れる塩沢の頭を乱雑に踏みつけた。
- 53 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:22:26.66 ID:nXFrhP9n0
(#^ω^) 「何するお!!」
僕は無意識のうちに新田を跳ね除けていた。
新田は数歩後ろに下がると、その表情に笑みを浮かべた。
( ・∀・ ) 「馬鹿な男だ……私についてこれば……永遠に名を残せたのに」
新田は残念そうな顔をすると僕に向き直る。
( ・∀・ ) 「君は……理解者か? それとも……愚かな民か?」
(#^ω^) 「意味が分からんお!! ふざけてるのかお!!」
ニヤリと笑みを浮かべた新田は、静かに口を開いた。
( ・∀・ ) 「ならば話そう。僕の夢を」
新田は静かに目を閉じ、そして荘厳に話し始めた。
- 54 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:22:46.15 ID:nXFrhP9n0
( ‐∀‐ ) 「鮫島事件。それを書き込んだ日。私は神になった」
初っ端から何を言い出すんだ。この男は。
( ‐∀‐ ) 「誰もが私を神と崇め、敬い、奉り、私に敬意を表した」
( ‐∀‐ ) 「私は思ったよ。私は本当に神では無いかと」
僕は半場呆れた顔で新田を見つめる。
目を閉じていたのが幸いしたのだろうが、その表情は悟られなかった。
( ‐∀‐ ) 「もちろん馬鹿げている事は分かっていた。しかし……しかしだ」
( ‐∀‐ ) 「君もそうだが……2ちゃんねらーは皆。鮫島事件を追い求めていた」
新田は両手を広げる。
まるで何かが飛び込んでくるのを待つように。
( ‐∀‐ ) 「爽快だったよ。まるで愚民が神を追い求めるようなその姿」
( ‐∀‐ ) 「私は何も知らぬ振りをして書き込んだ。「それには触れるな」とね」
( ‐∀‐ ) 「だがそれにも人は群がる。そこに人は仮説を組み立て、何時しか伝説と呼ばれる物になった」
僕は静かにそれを聞いている。
あまりにも馬鹿げていて、自分勝手で、自己中心的な、その話を。
- 55 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:23:02.96 ID:nXFrhP9n0
- ( ‐∀‐ ) 「そして長くの月日に渡りそれは続いた。今も尚、とも言えるがね」
新田はそこで目を開いた。
あまりにも早く開いたので、僕は驚いて瞬きを3回連続でした。
( ・∀・ ) 「だが僕は……そこで目を疑う言動を見てしまった」
笑顔は悲しみの表情へと変わる。
本来なら憎しみや怒りに変わる所だが、そうでは無い。
それは彼が、本当に自分を神と信じているからだろうか。分からない民に哀れんでいるからだろうか。
( ・∀・ ) 「『所詮ネットはネット。伝説など在り得ない』と言う言葉をね」
( ・∀・ ) 「正直哀れんだよ。神の言葉を分からない愚か者に」
( ・∀・ ) 「だけど……愚民はその言葉に従ったんだ」
そうだよなwwwwwww所詮釣りだろwwwwww
俺は目覚めたwwwwwwお前等が神と呼ぶのは童貞wwwwwwwwww
削除以来出してこいよwwwwwww中二病wwwwwwww
( ・∀・ ) 「僕は唖然とした。何故こんな子供だましに引っかかるのか」
( ・∀・ ) 「何故……神の意思に背くのか……」
- 56 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:23:27.45 ID:nXFrhP9n0
- 真性の馬鹿だった。僕は呆れて物も言えなかった。
あまりにも幼稚で自分勝手で、教育を受けなかった子供みたいだ。
( ・∀・ ) 「そこで僕は考えたんだ。どうすれば誰もが崇める神になれるか」
新田は再び目を瞑った。
見るところ、これは自己陶酔に陥っている証拠らしい。
( ‐∀‐ ) 「そして思いついたんだよ……この事件をね……」
新田の口元が釣り上がる。
反して僕の拳には、力が込められた。
( ‐∀‐ ) 「誰もが目を疑う殺人事件。その中で唯一人生き残った青年」
( ‐∀‐ ) 「この殺戮劇の中生き残った青年は、まさに神に選ばれし者」
( ‐∀‐ ) 「血まみになった殺人鬼を前に平然と立つ青年。それはまさに神のご意思」
( ‐∀‐ ) 「神力を持って生を掴み取った……キリストの生まれ変わり」
静かに目を開ける新田。
その目には狂喜が宿り、震えるように笑っている。
( ・∀・ ) 「分かるかね!? この素晴らしさが!? 終末の輪廻曲が!?」
( ・∀・ ) 「誰もが崇める神を作り出す……この偉大さが!!」
僕はもう聞いていなかった。
拳は岩石の如く握り締められ、顔はマグマよりも熱く火照る。
こんな奴が「2ちゃんねらー」の中にいたのか。こんな馬鹿が。
世界を自分の物と勘違いしているような……全世界で一番馬鹿な厨房が。
- 57 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:23:43.21 ID:nXFrhP9n0
- ( ω ) 「それで……全部かお?」
( ・∀・ ) 「何?」
(#^ω^) 「だとすれば……お前は本当の馬鹿だお!!」
僕は新田の頬を殴った。
新田は吹っ飛び、口からは一筋の鮮血が流れ出る。
(#^ω^) 「お前の勝手で……何人が死んだと思ってるんだお!!」
僕は馬乗りになって殴り続けた。
何発も、何発も、新田の顔が原型をとどめなくなるまで。いや。それを超えて。
(# ω ) 「お前なんかに人を殺す権利があるのかお!!」
(# ω ) 「仲間達を傷つける権利があるのかお!!」
(# ω ) 「お前は……お前は……」
僕は腕を振り上げた。
そして、渾身の一撃を新田に打ち込む。
- 59 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:23:57.00 ID:nXFrhP9n0
( #)∀・ ) 「……………どうした?」
( ;ω;) 「…………・…………」
僕は拳を下ろした。
一撃は、新田の眼前で力を失った。
( #)∀・ ) 「まだ私は生きている。憎いのならば、叩き殺せ」
( ;ω;) 「できないんだお……」
( #)∀・ ) 「……何故だ?」
僕だってこんな事を認めなく無い。
だけどそう感じたのは事実で、僕はこの人にそういう思いを持っていて。
それを打ち砕くのが苦しくて、悲しくて。
( ;ω;) 「君が……家族……だからだお……」
僕の頬を伝って流れ落ちた雫は、新田の頬を伝って地に落ちた。
- 60 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:24:16.90 ID:nXFrhP9n0
( ;ω;) 「君が家族で……そして……仲間で……」
( ;ω;) 「絶対に切れない絆で結ばれている……親友だからだお」
( #)∀・ ) 「…………理解に苦しむね……」
新田は血の塊を吐き捨てる。
僕はゆっくりと新田の上から退くと、涙を拭った。
認めなく無い涙は止まらずに、僕は嗚咽を漏らした。
( #)∀・ ) 「神は全てを受け入れる者だ。君の怒りぐらい……受け入れるさ……」
( #)∀・ ) 「僕はそういう風に生きてきたんだ。そういう風にね………」
新田は立ち上がると、僕から目を背けた。
そして静かに手を広げると、何時のまにか掴んでいたリモコンのスイッチを押した。
- 61 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:24:27.19 ID:nXFrhP9n0
そこに映ったのは家族の顔。
意識を失ったショボンさん。 疲れ果てて寝ているジョルジュ。
手に包帯を巻いているモナーさん。 必死に彼らを運ぶドクオとヒッキー。
彼らを手当てする救護員達。 その中で殊更に必死なしぃさん。
ビルの下層で戦いを続ける「2ちゃんねらー」の家族達。
そして頼れる厳つい運転手。
- 62 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:24:40.25 ID:nXFrhP9n0
そして……ツン。
- 63 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:24:53.04 ID:nXFrhP9n0
( ・∀・ ) 「彼らと同じく……僕を「家族」と呼ぶのか? いや、呼べるのか?」
( ・∀・ ) 「その家族を傷つけ、殺し、消し去った僕を……「家族」と呼べるのか?」
( ;ω;) 「言えるお」
迷いは無い。
この思いに嘘は無い。
一筋も揺らぐことの無いこの気持ちは、紛れも無い僕の結論。
( ;ω;) 「たとえ……間違いを犯しても……どんなに自分勝手でも……」
( ;ω;) 「僕達は……間違いようの無い「家族」なんだお……」
涙が止まらない。
なんでこんなに悲しいのか分からない。
( ・∀・ ) 「馬鹿……だな……」
新田は小さく呟いた。
- 64 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:25:06.58 ID:nXFrhP9n0
- ( ・∀・ ) 「「家族」だなんて……良くそんな事が言えるよ……」
( ・∀・ ) 「そんな事言ったら……僕が今までしてきた事は……」
( ・∀・ ) 「僕の夢は……神は……キリストは……」
新田は言葉を切る。
そして、堪えたような嗚咽を漏らす。
( ;∀; ) 「どうなるんだよォォォォォォ!!!」
新田は泣いていた。
その体を精一杯震わせながら。
( ;∀; ) 「馬鹿。馬鹿。お前の性で……悲しくなっちゃったじゃないか!!」
( ;∀; ) 「神なんて関係なくて……みんなで楽しく語り合ってた頃……」
( ;∀; ) 「それが懐かしくなっちゃったじゃないかァァァァァァァァ!!!」
- 65 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:25:16.98 ID:nXFrhP9n0
( ;ω;) 「………それが……君だお……」
僕は小さく声を掛けた。
( ;ω;) 「人一倍弱虫で、目立ちたがり屋で、でも目立てなくて」
( ;ω;) 「それでやっと掴んだチャンスを握り締めてた……臆病な君」
( ;ω;) 「たとえどんなに間違っていると分かっていても……それを正せない」
( ;ω;) 「認めたら自分が壊れちゃうから……認められなかった君……」
僕は泣きながら新田に近づくと、その肩を抱きしめた。
( ;ω;) 「辛かったお………」
新田は何も言わずに泣いた。
「うるさい」とも「馬鹿だな」とも言わずに、ただ泣き続けた。
- 66 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:25:45.15 ID:nXFrhP9n0
数分泣き続け幾分か落ち着いた僕達は、力なく座り込んでいた。
( ・∀・ ) 「僕は……間違っていたのかな……?」
( ^ω^) 「いや。間違ってないお。人は誰しも……上に立ちたい者だお」
新田は僕を見つめる。
僕はモニターに写った眼下を見つめながら、言葉を繋げた。
( ^ω^) 「君は気づいたんだお。それが間違ってるって」
( ^ω^) 「それは……とっても偉い事だと思うお」
( ・∀・ ) 「大きい口を叩く。だけど……うれしいよ」
新田は笑った。
それは狂喜では無く、自然に。
( ・∀・ ) 「でもね……。もう手遅れなんだよ……」
それは自虐的な言葉だった。
( ・∀・ ) 「このタワーはもうすぐ……爆発するんだ……」
- 71 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:27:12.78 ID:nXFrhP9n0
ξ゚听)ξ 「あーあ。遅いなぁ。内藤」
ミ,,゚Д゚彡 「全く……。しかし何であいつ等は東階段を登ったんだろうな。他を選ばずに」
ξ゚听)ξ 「あら? 分からないの?」
運転手は不思議そうな顔をしてツンを見つめる。
ツンは微笑むと、ガラス越しに見える光を指差した。
ξ゚ー゚)ξ 「ほら。登ってきたでしょ」
ツンが指を差した先には白い光。
山並みが燃えるように輝き、遥かな空の果てまでも包み込んでいる。
ミ,,゚Д゚彡 「なるほどな……。粋な事するじゃねぇか」
彼らが見つめる先輝く光は、その姿を現す。
人々を明るく照らす太陽は皆を包み込み、夜明けを迎えた。
- 72 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:27:32.99 ID:nXFrhP9n0
(;^ω^) 「それはマズイお!! すぐに知らせないと!!」
( ・∀・ ) 「分かってる。だから……」
新田は巨大なキーボードを操作している。
小さな電子音の後、タワービル内でモーターが動き出す音が響いた。
( ・∀・ ) 「これで下へ逃げると良いよ。君だけでも助かるように」
僕は新田を見つめた。
新田は小さく頷くと、僕をエレベーターへ誘う。
だけど、僕は首を振った。
( ^ω^) 「放送機……貸してくれるかお?」
新田は僕を見つめ、そして呆れたように笑った。
( ・∀・ ) 「全く……呆れた男だ……」
- 75 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:27:48.33 ID:nXFrhP9n0
( ^ω^) 『聞えるかお。皆』
その声はビル中に響き渡った。
声を聞いた人たちは、その仔細に振り返る。
( ^ω^) 『落ち着いて聞いてくれお。まず最初に言うと……』
( ^ω^) 『このビルは…もうすぐ爆発するお』
ビル中から驚きの声が響き渡る。
まるでタワーを震わすような震動を感じた僕は、マイクを新田に手渡した。
( ・∀・ ) 『エレベーターの電力をONにした。最上階から下へ流すから、それで脱出してくれ』
( ・∀・ ) 『これは指揮官としての最後の命令だ。各自、存分に生き残ってくれ』
( ^ω^) 『近くにいる人も急いで避難だお!! とにかく急ぐんだお!!』
人々は一斉に動き始めた。
それはもう敵味方関係無く、生き残る為に必死だった。
- 77 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:28:02.07 ID:nXFrhP9n0
ミ,,゚Д゚彡 「アイツ……やりやがったな」
運転手はポツリと呟いた。
ツンは安堵の表情を浮かべ、降りてきたエレベーターに乗り込む。
('A`) 「お。ツン先輩じゃないっすか」
ξ゚听)ξ 「ドクオ君!! 無事だったの?」
('A`) 「まぁね。その代わり……急いでこの人たちを下ろして上げないと」
ドクオの周りには怪我人達が乗り込んでいる。
ツンは悲痛な面持ちを浮かべながら、そこに乗り込んだ。
ξ゚听)ξ 「内藤は?」
('A`) 「最上階にいる見たいっすからね……後で降りてくるんじゃないでしょうか?」
ξ゚ー゚)ξ 「そうよね。アイツ……やったんだものね」
タワー内の人間は避難し、タワー周辺の人間も避難していく。
完全に静寂が満ちたタワーには、未だ二人の男が横たわっていた。
- 78 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:28:21.70 ID:nXFrhP9n0
( ・∀・ ) 「あーあ。もう間に合わないよ。僕等も終わりかなぁ」
( ^ω^) 「それでも悔いは無いお」
僕はモニターで皆が避難するのを見つめていた。
彼女が乗り込んだエレベーターを確認し、僕は微笑む。
( ^ω^) (皆……無事に生きるんだお……)
寂しく微笑む僕の周りで小さな爆音が響いた。
それに続いて連動するように爆音が響く。
( ・∀・ ) 「これで……僕達も終わりだね」
( ^ω^) 「それでもいいお」
家族が無事ならば。
彼女が。彼女が無事ならば。
( ^ω^) (彼女が幸せに生きてくれれば……それで良い……)
そう思った瞬間。僕等の周りは火の海に包まれた。
- 79 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:28:54.20 ID:nXFrhP9n0
炎の渦が二人を取り巻く。
大地へ帰る事を許さぬ炎は天へと舞い上がり、彼らを冥土へと導いている。
( ^ω^) 「これで……皆逃げられたかお…?」
( ・∀・ ) 「君の思考回路には着いていけないよ。自分の命を捨ててまで」
( ^ω^) 「命を掛けてまで護る物があっただけの話だお」
( ・∀・ ) 「「家族」……だね。それで良かったのかな」
( ^ω^) 「それを判断するのは未来の人々だお。僕じゃ無くて」
馬鹿みたい、と新田は呟いた。
そして諦めたように微笑むと、僕に手を差し出した。
( ・∀・ ) 「君に会えて良かったよ」
( ^ω^) 「こちらこそ……だお」
火炎は二人を包み込んでいく。
意識が薄らいで行くのを感じながら、僕は昔から疑問に思っていた事を聞いてみた。
- 80 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:29:06.75 ID:nXFrhP9n0
( ^ω^) 「鮫島事件の事……聞いてもいいかお?」
( ・∀・ ) 「懐かしいなぁ。アレを書いたのは2ちゃんねるが出来た頃だったかな」
遠くを見るような目線を送る新田。
僕は薄まる意識の中で、その続きをたずねた。
( ^ω^) 「アレって……釣り……なのかお?」
( ・∀・ ) 「あー。あれはね………」
新田の顔が綻ぶ。
そして過去に思いを馳せたのか、右手を空に掲げると言った。
( ・∀・ ) 「秘密」
驚いた表情で見つめ返す僕に、新田は笑顔を返した。
( ・∀・ ) 「墓場まで持っていく秘密もあるって事さ」
僕等は笑顔で向き合い、目を閉じた。
身を焼くような火炎の熱さは次第に和らぎ、僕の意識は沈んでいった。
- 81 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:29:20.29 ID:nXFrhP9n0
夢を見た。
遠い昔の思い出を。
皆で馬鹿やって、笑いあって、喧嘩して、泣きあった。そんな夢を。
まどろむ向こうで、僕は笑ってたんだと思う。きっと。
- 82 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:29:29.38 ID:nXFrhP9n0
( ‐ω‐) 「………………皆……」
懐かしい友の声。
いつか僕が悩みを書き込んだとき……彼らは親身に相談に乗ってくれたっけ。
もう何時のことだか思い出せないけど……随分昔に感じる。
( ‐ω‐) 「もう……お別れなのかお……」
命の灯火は揺らいでいる。
僕の命が「datの海」に落ちていくのも、そう遠くないだろう。
( ‐ω‐) 「…………ありがとう……」
希望の風に身を奉げ、遠い未来を信じよう。
僕等が開いたこの未来に、弾む若い力が発揮されんことを。
- 83 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:29:43.23 ID:nXFrhP9n0
飛び立とう。未来を信じて。
僕の役目はもう終わり、時代は未来へと持ち越されたんだ。
だからこれは悲しい事じゃない。
僕が死ぬのは悔しい事じゃない。
皆の未来を切り開いた……そんな家族を誇りに思うべきだ。
( ‐ω‐) (だけど………)
僕の前光が差し込む。
火の海に包まれた目先に、空への階段が舞い降りた。
僕はそんな風景を見つめながら、フッと笑った。
- 84 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:29:55.39 ID:nXFrhP9n0
出来ることなら……もっと……皆と…………。
- 85 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:30:11.82 ID:nXFrhP9n0
『東京都の皆さん……2ちゃんねるは復活しました……』
『世紀の管理人ひろゆきがお送りします……かつての掲示板が帰ってきました……』
『家族の元に……仲間の元に……親友の元に……』
- 87 :最終章 後編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/18(木) 21:31:05.70 ID:nXFrhP9n0
J( 'ー`)し 「おかえり……私の可愛い子……」
終
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