620 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:14:39.36 ID:AoqvOvkO0

(;^ω^) 「皆!! 僕を見捨てて行くなんて……ひどいですお!!」

僕は根限りの力で階段を駆け上がった。
およそビル百階分にも及ぶ長さ。僕は息を切らしていた。でも……

(;^ω^) 「みんな……無事でよかったですお……」
(´・ω・`) 「全く……君は……」
( ゚∀゚)   「そうだよな。お前だけ仲間はずれってのは……いけねぇよな」
( ´∀`)  「君も家族の一員だからね。すまなかった」

うれしかった。また皆に会えて。

('A`)  「あーあ。いつの間にかツン先輩と付き合ってやんの」
(-_-) 「内藤さん。やりましたね」

隣で息を切らしていたツンは、その言葉に赤くなった。
気がつけば手を繋いだままだった。気づいた僕達は、急いで手を離す。

ξ*゚听)ξ 「ばっ……馬鹿!! 私が社内恋愛なんてする訳ないでしょ!!」
(*^ω^)  「そうだお!! 僕の好みは年下だお!! だれがこんな年増を……」

僕の頬を鉄拳が貫いた。


621 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:14:51.34 ID:AoqvOvkO0

ξ゚听)ξ 「と言うわけで、内藤君とは何もないんです」
(;´・ω・) 「分かったよ。分かったからもう止めてあげて」
(##)ω(#) 「志半ばにして散る……無念」

ショボンは深い溜息を付くと、遅れてやってきた男に言う。

(´・ω・`) 「この子の事……頼めますかな?」
ミ,,゚Д゚彡 「まかせな。大体事情は聞いたよ。あんたらも大変だな」
(´・ω・`) 「それが道ですから」

ショボンはツンの背中を押す。
ツンは振り返りながらも、運転手の元へ預かられた。

ミ,,゚Д゚彡 「安心しな。命に代えても守ってやるよ」

運転手はニヤリと笑い、ガッツポーズをした。
624 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:15:02.56 ID:AoqvOvkO0

ξ゚听)ξ 「………内藤」

小さく呟くツン。
僕はツンの元へ近づき、その華奢な体を抱きしめた。

ξ゚ー゚)ξ 「帰ってきたら……手料理。ご馳走してあげるからね」
( ^ω^) 「そんな事……別にいいんだお」

首を傾げるツン。
それに対し僕は、ニコッと笑って付け加えた。

( ^ω^) 「ツンがいる……その事だけで……僕は護られている気がするんだお」
ξ゚听)ξ 「内藤………」
( ^ω^) 「僕はきっと帰るお。ツンと僕の……未来の為に」

真っ赤になったツンを話した僕は、ショボンさんの元へ行った。
全てを察したように頷いたショボンさんは、その先へ目を向けた。

627 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:15:14.05 ID:AoqvOvkO0

(´・ω・`) 「こうなったら……生き残るしか無いね」

ショボンは壁に貼ってある地図を乱暴に剥がした。
そして北階段。南階段。西階段にバツ印をつけると、東階段を指差した。

(´・ω・`) 「全員で東階段を登ろう。たとえ罠であっても、みんなならば打ち破られる」
( ゚∀゚)   「良い考えだ。俺もそう考えてたけどな」

僕達は東階段に足を踏み入れた。
まだ見ぬ敵達は上階で待っているだろう。だけど、僕は怖くない。
僕には家族が付いている。僕には彼女が付いている。

僕には、皆の思いが付いている。
629 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:15:28.33 ID:AoqvOvkO0

( ^ω^) 「ドクオ。何でお前はいるんだお?」
('A`)    「お前に立ってる主人公フラグが……俺には無いんだろうよ」
(;^ω^)  「…………?」

暗闇の中を登る僕達。
だがおかしな事に、敵兵の姿は無かった。

(´・ω・`) 「在庫が無くなったのかもね」

ショボンは分析する。

(´・ω・`) 「上から下へ下がってくるんだ。その内に上は空になるさ」
( ゚∀゚)   「なるほどな。じゃあココはラスボスへの階段って訳か」
(´・ω・`) 「そうだけどね。でも大抵ラスボスの前には、中ボスがいるんじゃないの?」
( ゚∀゚)   「馬鹿言うな。有象無象の軍隊にそんな奴等がいる訳……」

丁度80階に足を踏み入れた時だっただろうか。
雲を突き抜けた空間は、月明かりを受けて幻妖に輝いていた。

川 ゚−゚) 「…………」

空中レストランと言われる場所。
だが今やそこは片付けられ、一つだけ置かれた椅子に女性が座っていた。
631 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:15:39.75 ID:AoqvOvkO0

川 ゚−゚)  「………彰浩に用があるのか?」
(´・ω・`) 「その通りだけど……君は?」
川 ゚−゚)  「名乗る程の者じゃない。だけど……」

腰に差した剣を抜く女性。
月光を反射した刃はそれを閃光の如く放ち返す。

川 ゚−゚)  「これ以上……彰浩を壊すと言うのなら……」

刀を構える女性。
その姿はスラリと美しく、黒い髪が見事に栄えている。

川 ゚−゚)  「この私が……滅ぼす!!」

女性は踏み込み、そして、僕等に襲い掛かった。

633 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:15:53.39 ID:AoqvOvkO0



女性は仲間達を切り裂く。
僕やドクオ。ヒッキーや指導者達を除いた家族達は、瞬く間に餌食となって行く。

( ゚∀゚) 「まさか本当に中ボスがいるとは……しかも」

ジョルジュは短刀を捨て、もう一本持っていた日本刀で立ち向かった。
刃は重なり合い、身長の差からジョルジュのアングルは女性の胸に向かう。

(*゚∀゚)  「こんなに……良い胸を持っているとは……」
川 ゚−゚) 「……下郎が。やはり貴様等が彰浩を壊した醜悪!!」

レザースーツを纏った女性は一歩下がる。
そして刀を構えなおすと、そのままジョルジュの胸を抉った。

(;゚∀゚)   「がっ………」
(´・ω・`)  「ジョルジュ!!」

ショボンは銃を乱射する。
だがそれは女性に当たる事無く、ヒラリヒラリとかわされて行く。

川 ゚−゚)  「やはり下郎……貴様等如きが……」

女性は銃弾を交わしながらショボンに迫る。
だがその行く手をモナーが遮った。
635 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:16:05.73 ID:AoqvOvkO0

( ´∀`)  「カウンターボム」

鉄拳を構えた彼は、その拳を女性の顔に叩き込んだ。
女性の顔面から一筋の血が吹き上がり、その手を離れた刀が宙を舞う。

川#゚−゚) 「舐めるな!!」

だが彼女はとどまらなかった。
すぐさま二本の小太刀を抜くと、間髪をいれずに放つ。

(;´∀`)  「痛っ!!」
(;´・ω・)  「ぐああっ!!」

モナーの手に。ショボンの腹に、小太刀が抉りこむ。
ショボンは口から血を流して倒れ、モナーは片手を支えながら肩膝をついた。

(;´∀`) 「しまった……」
川 ゚−゚) 「これで……終わりだ!!」

女性が拾い上げた刀を振り上げたとき。
光に包まれた一筋の弾丸が彼女の腹部を貫いた。


636 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:16:17.68 ID:AoqvOvkO0

川;゚−゚) 「な……に……?」

突然の痛みに襲われた女性は、肩膝をついた。
刀を取り落とした彼女は、腹から出る血を見て呟く。

川;゚−゚)  「馬鹿……な……」
( ^ω^) 「ドクオ!! ナイスだお!!」

僕はすぐさま女性に駆け寄り、その刀を蹴り飛ばした。
そして女性の体を床に捻じ伏せると、ヒッキーと共に動きを封じた。

(-_-)  「内藤さん。大丈夫です。この人、もう力が入ってません」

僕はゆっくりと手を離した。
そして、血が飛び散った周りを見渡した。

637 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:16:31.40 ID:AoqvOvkO0

皆倒れていた。
ショボンさんは呻き声を上げながら、ジョルジュさんは悔しそうな声を上げながら。
モナーさんは手を押さえながら、そして、僕等に付いてきた仲間達は命の灯火を消しながら。

('A`) 「あーあ。こりゃ行くしかねぇな」

ドクオは女性の顔を見るなり行った。
僕は不安げに見つめていたが、ドクオは僕に真剣な表情を送る。

('A`)    「内藤。お前が最上階へ行け。奴を止めるんだ」
(;^ω^)  「ええ!? そんなの無理だお!!」
(;´・ω・)  「……無理じゃないさ」

搾り出したような声を出すショボン。
僕はすぐさまそれに駆け寄り、ショボンさんを起こした。

(;´・ω・)  「君には……出来る……僕は……」
(;^ω^)  「ショボンさん。もう喋らないで下さいお。血が…血が……」
(;´・ω・)  「僕は……君を……」

ショボンさんはグッタリと倒れこんだ。
639 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:16:44.62 ID:AoqvOvkO0
それに続くようにジョルジュが口を開く。

(;゚∀゚) 「はっ……結局はお前の独り舞台か……」

額から血を流しながら、彼は喘いでいた。

(;゚∀゚) 「行って来いよ……今なら言える……お前を……」

ショボンと同じく何かを言いかけて。
ジョルジュもまた同じく意識を失う。

(;´∀`) 「皆の気持ちは同じだよ」

モナーは静かに口を開く。
その顔は優しくて、悲しくて、懐かしくて。

(;´∀`) 「君は立派に……大人になってたんだね……」
(;´∀`) 「だから言えるんだ……皆が安心して未来を託せるんだ……」

にっこりと笑ったモナーは微笑む。
そして、最後に一つだけ、小さく行った。


640 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:16:55.22 ID:AoqvOvkO0






( ´∀`)  「君を……信じている……よ…」




642 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:17:11.07 ID:AoqvOvkO0





僕はみんなに頷くと、最上階へと続く階段を駆け上がった。

出てくるのは涙ではない。それと相反するもの。闘志。

皆を助ける為に。僕等の未来を掴み取るために、僕は空へと向かう。






だけど……
644 :最終章 中編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:17:42.26 ID:AoqvOvkO0
( ・∀・ )  「どうした? まだやるのかな?」

僕が最上階で見た光景は……

爪;'ー`)y‐ 「ク…ククク……愚問だな……」

襤褸雑巾のように汚れた塩沢が

( ・∀・ )  「馬鹿だなぁ。君もネラーだったのかな?」

最後の力を振り絞って

爪;'ー`)y‐  「………ああ。誇れる過去だよ」

闇の帝王に立ち向かい

( ・∀・ )  「いい加減に……もう、飽きた」

無常にも、その命を散らす所だった。

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