573 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 21:59:15.13 ID:AoqvOvkO0

(´・ω・`) 「本当にこれで……良かったのだろうか……」

リムジンのシートに座ったショボンは溜息を付いた。
気持ちを察したのか、前に座る塩沢は微笑む。

爪'ー`)y‐  「とにかく娘は助かったしな。私は満足だ」

満足げに笑うその顔に、ジョルジュはニヤリと笑みを渡した。

( ゚∀゚)   「しかしテメェも人が悪いよな。娘を危険に晒すなんて」
爪'ー`)y‐ 「娘の為だ。それに……あの子にはヒーローが付いているんだろ?」

ショボンはニコリと笑い頷く。
今までブランデーに鼻を膨らませていたモナーは、その言葉に頬を染めた。

( ´∀`) 「全く……私は電車男をリアルで見ているみたいだったよ」

モナーは微笑みながら笑った。




574 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 21:59:42.74 ID:AoqvOvkO0
内藤がモナーと話す数時間前。
ショボンと塩沢の会話の一部分。

爪'ー`)y‐ 「新田の居場所はVIPタワービルの頂上だ」
(´・ω・`) 「なんだって? あのビルか?」

VIPタワービル。それは東京に住む者なら誰でも知っている。
ある意味町のシンボル的建造物である。少なからずショボンは驚いた。

(´・ω・`) 「驚いたな。この頃の公務員はそんな贅沢が出来るのか」
爪'ー`)y‐ 「先程の君の計画を実行するなら……戦火が上がるのは近い」
(´・ω・`) 「ああ。先程の紙にも書いていたが、内藤君とドクオ君は助けてあげたい。彼らは若い」
爪'ー`)y‐ 「若い……か。ならばいい手がある」

塩沢は小さな手帳を広げる。
そこには娘。ツンについての安全策が大量に書いてあった。

爪'ー`)y‐ 「ツンを救うために実行した策として、偽警察官に拉致させるというのがある」
爪'ー`)y‐ 「ギコと言う男に指示して、片方の少年をそちらに向かわせる口実を作らせよう」
(´・ω・`) 「ドクオ君なら僕等で何とかするよ。そちらは内藤を頼む」
爪'ー`)y‐ 「把握した。その代わり君達のほうで伝える役は頼むよ。私では信用されない」
(´・ω・`) 「分かった。ところでテキーラは如何かな?」
爪'ー`)y‐ 「もっと強いのが欲しいね。清め酒だ」
(´・ω・`) 「アンタとはもっと早く知り合いたかった」

二人はニヤリと笑うと、再びグラスを打ち付けた。



578 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:00:10.82 ID:AoqvOvkO0




('A`)   「にも係わらず……何で俺はここにいるんだよ?」

同じくリムジンに座っていたドクオは頬を膨らませる。
怪訝そうな顔でショボンを見つめていると、彼は気まずそうに口を開く。

(´・ω・`) 「やあ。バーボンハウスへよ(ry」
('A`)    「今更釣りだ何て言わないで下さいよ。アウトです」

ショボンは申し訳無さそうに頭を掻いた。

(´・ω・`) 「いや悪かったね。僕がサボったんだ、すまない」

その言葉に首を振ったドクオ。
怪訝そうに見つめるショボンに、ドクオは笑顔を返した。

('A`) 「どうせ俺なら止められたって行きますよ。地の果てまでもね」

戦いへ向かう一向の顔は綻ぶ。
しかし向かうその先。リムジンが見据えるその先には、強大なモニュメントが聳えていた。



579 : ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:00:57.16 ID:AoqvOvkO0
(´・ω・`) 「これがVIPタワービルか。間近で見るのは初めてだよ」
( ゚∀゚)   「さぁて行くか。敵将の首を取りに行こうぜ」

ジョルジュの言葉に頷く仲間達。
それを満足げに見つめていた塩沢だが、不意にポケットから携帯を取り出す。

爪'ー`)y‐ 「非通知……こんな時に着信か……」

塩沢は無言で通話ボタンを押す。
耳に押し付けたスピーカーからは、若い男の声が漏れた。


(    )  「やあ。待っていたよ」


塩沢の顔は暗く隠れる。
そして上空に聳える最上階を見据えると、通話先の男は言葉を続けた。

580 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:01:07.86 ID:AoqvOvkO0

(    )  「すぐにエスカレーターで最上階へ来てくれたまえ」
(    )  「君を迎えるために、一瞬だけ電力を回してあげよう」

爪'ー`)y‐  「…………………」

(    )  「安心したまえ。周りの俗共を引き付ける工作は練ってある」

塩沢は小さく返事を返すと、男は満足げに笑い返す。

(    )   「では君はすぐにエレベーターへ向かいたまえ。私の部下が全力で守ろう」

小さな電子音と共に通話は終了する。
塩沢が小さな溜息を漏らすのと同時に、タワーの入り口から咆哮が轟いた。

581 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:01:23.44 ID:AoqvOvkO0

( ゚∀゚) 「はっ!! 敵のお出ましだ!!」

ジョルジュは戦陣を切って突撃する。
大勢の敵兵を前に屈する事の無い彼は、手に持つ短刀で途端に三人の灯火を消した。

(´・ω・`) 「皆行くぞ。目指すは最上階、新田の首だ!!」

同じく咆哮と共に仲間達は飛び掛る。
在る者は切りかかり、在る者は銃撃し、在る者は治療する。

まさしく戦争。
かつての報復戦争などとは桁が違う。本当の命の衝突が始まったのだ。


582 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:01:38.41 ID:AoqvOvkO0

( ^ω^) 「これは……銃声?」
ξ゚听)ξ 「VIPタワービルの方から聞えるわね」

僕達は街道を走っていた。
書置きも無く出て行った所を見ると、意地でも僕を戦闘に参加させないつもりだろう。
だけど僕も家族の一員だ。僕一人、辛い戦いから退く事は出来ない。

(;^ω^) 「もう戦いが始まっているのかお……」
ξ゚听)ξ 「急ぎましょう。ここから走っても30分は掛かるわ」

僕達は手を繋いで走り出した。
先立つ家族を、仲間の元へ。その戦いに参戦するために。

(;^ω^) 「お?」

走り出した刹那。僕等の横に一台の車が停車する。
車から顔を出した男は、僕の顔を見てニヤリと笑った。

ミ,,゚Д゚彡 「よお兄ちゃん。どちらまで?」

何時かの運転手が、僕等に白い歯を覗かせていた。

584 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:01:51.93 ID:AoqvOvkO0


(,,゚Д゚) 「結局……塩沢さんは行っちまったのか……」

河原で目が覚めた偽警察官は、面倒くさげに呟いた。
煙草に火を灯した彼は、それを奥歯で加える。

(,,゚Д゚) 「………死ぬつもりなのかな」

ポツンと呟く。
水に濡れた頭を乱雑に掻き毟った彼は、その手に携帯を握った。

(,,゚Д゚) 「俺だ。すぐに昔の仲間を集めてくれ」

数分の話を終えた警察官は煙草を噛み締める。
その目には炎が宿り、携帯電話を握り締める手には力が篭る。

(,,゚Д゚) (死なせねぇぜ)

月夜で立ち上がった彼は、止めてあったバイクに跨ると、闇へ消えて行った。


585 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:02:04.79 ID:AoqvOvkO0


タワービル10階。


(´・ω・`) 「クッ……こいつ等……」

タワーを登るショボンの額を汗が伝う。
まるで機械のように攻撃を続ける敵兵達。ショボンはそれを何度と無く打ち破る。

(´・ω・`) 「一体……何のつもりなんだ!!」

ショットガンを乱暴に発砲し、立ち憚る敵を跳ね飛ばす。
後ろから続く仲間のために、ショボンは道を切り開いていた。

( ゚∀゚)   「おいおい。撃ち過ぎんなよ。弾が持たねぇぞ」

ジョルジュは身軽そうに死体を踏み越えて行く。
その死体には無論。仲間の死体だって含まれているのだ。
そんなジョルジュを見ながら、ショボンは舌打ちをした。

(´・ω・`) (一体……何が僕等を傷つけるんだ……)

握り締める拳に力が篭る。

(´・ω・`) (僕等が……何をしたっていうんだ?)

ショボンは静かにしゃがむと、事切れた仲間の瞼を閉じた。

586 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:02:15.61 ID:AoqvOvkO0


切り開いた道の先で、一人の男が才を発揮していた。

('A`) 「はっ。慣れてくると楽なもんだな」

ライフルを手にしたドクオは、物陰に潜みながら敵を狙撃していた。
隣に座るヒッキーは、それを歓喜の眼差しで見つめる。

('A`)   「ほれヒッキー。お前もやって見ろ」
(;-_-) 「なんでドクオは何でも出来るの?」
('A`)   「いいか? 何事も人生経験だ。ゲームもその一つ」

大声を上げて迫り来る敵を、ドクオは冷静に打ち抜く。
額から鮮血を吹き上げ倒れた敵兵は、そのまま動かなくなった。

(;-_-) 「………凄いね」
('A`)   「バイオ系はこれに最適だ。ところで………」

あらかた片付いた周りを見回すドクオ。
そして不穏な表情を浮かべると、ポツリと呟いた。

('A`)  「塩沢……さっきから見ねぇな」


587 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:02:29.36 ID:AoqvOvkO0

爪'ー`)y‐ 「……………」

エレベーターから降り立った塩沢は一人。モニタールームを歩いていた。
日本全域に電波を展開するタワーの頂上。そこにはあらゆる情報が流れ込む。

爪'ー`)y‐ 「いるのでしょう? 新田さん」

声が響く。
反響しながら広がり行く声に、一つの声が返事を返した。

(   )  「どうも。大丈夫だったかね?塩沢さん」

モニターを一度に見渡せる部屋の中心。
そこに座っていた男は、静かに顔を向けた。

( ・∀・ ) 「やあ。しばらく見ない内に少し痩せたんじゃないかな?」
爪'ー`)y‐ 「…………おかげさまで」

二人はニヤリと笑みを交わす。
塩沢は笑顔を向け続けながら、その手を握り締めた。

588 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:02:44.07 ID:AoqvOvkO0

2ちゃんねらー達は天を目指す。
その思いは様々に、ただ昔を目指して。

(´・ω・`) 「ここが……中層だね」
( ゚∀゚)   「チッ……参ったな。東西南北に階段があるじゃねぇか」

中層から上に伸びる階段。
北階段。南階段。東階段。西階段。
ジョルジュは面倒そうに頭をかくと、ショボンに言う。

( ゚∀゚)   「どうする? 分かれるか?」
(´・ω・`) 「そうだね。だけど……今別れれば……」
( ´∀`)  「キツイね。おそらく半分以上が死ぬ」
(´・ω・`) 「それだけで無く、敵の罠も推測されます」

ココまでに残った人数は100人弱。
それを四分割すれば、25人弱となる。それに加え……

(´・ω・`) 「それに……誰が指揮を執るんですか?」

ここまでに残っている手誰は三人。
野菜レイパー、ショボン。魔少年、ジョルジュ。そして総督、モナー。

(´・ω・`) 「分割すれば、一つの部隊には隊長が付かない事になります」

三人は黙り込む。
丁度その時、眼下から明るいライトが照らされた。


589 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:02:55.65 ID:AoqvOvkO0

( ■■) 『我々は東京都警察庁である!! 速やかに投降せよ!!』
( ■■) 『繰り返す!! 速やかに投降すれば……命は保障しよう!!』

赤いライトは眼下を埋め尽くしている。
良く見れば突撃部隊のような者も見え隠れしているようだ。

( ゚∀゚)  「おまけに警察隊か。こりゃジッとしてらんねぇな」
( ´∀`) 「警視総監の息子だったね……殲滅もあり得るな……」
( ゚∀゚)  「ここで御陀仏なら俺等は賊軍止まりだ。何とかするしか……」

刹那。タワーの入り口で爆音が響き渡る。
黒雲が高々と立ち上り、その場に大量の人影が現れた。


( ^ω^) 「うおおおおおおおおおおお!!!!」


火を吹き上げるタクシーに乗って参上したヒーロー。
それは警官隊をフッ飛ばしながら、タワーに突入していった。


590 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:03:07.26 ID:AoqvOvkO0


(´・ω・`) 「あの馬鹿……逃がしてあげたのに……」
( ゚∀゚)   「見上げた馬鹿だな。ここまで来ると英雄に見える」
( ´∀`)  「内藤君……か。君は我々の想像を超えているね」

溜息を付いた三人。
だがその顔には微笑が浮かび、その拳は握り締められる。

(´・ω・`) 「行こうか」

頷く三人。
その目には闘志が宿り、その拳には未来が宿り、その背は過去を切り捨てた。


591 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:03:33.34 ID:AoqvOvkO0

(,,゚Д゚)    「よぉし。テメェら。準備は良いな?」
( ´_ゝ`)  「何をいまさら。仲間を救いに行くのだろう?」
(´<_` )  「時に兄者。手に持つのは何だ?」
( ´_ゝ`)  「天上天下無双刀……かつて安価で作った最強の刀だ」
(´<_` )  「一円ソードが何を言う。俺はせっかくロケットランチャー持って来たのに」
(,,゚Д゚)    「クラッカーが何を言う。これは戦争なんだ。真面目に行くぞ!!」

時同じくして、ギコ率いる軍団もタワービルに集結していた。
ざっと見た感じでは3000人はいるだろうか。かつての暴徒の生き残りが集結しているように見える。

(*゚∀゚)   「さぁて……ギッタギタにしちゃうよー」
(`・ω・´)  「我が鋼の肉体にて、憎き敵を滅ぼさん!!」
( ゚д゚ )   「恐れていては始まらない!! 今こそ勇気を出すときだ!!」

声にみんなが呼応する。
叫びは叫びを呼び、爆音の如く響き渡った。
その最中でギコは思った。

(,,゚Д゚)  (俺もこの家族に入りたい)

思いは様々。世間が賊軍。暴徒と蔑む彼らはその思いを胸に、家族を護る。
593 :最終章 前編 ◆PdFSeGF7kA :2007/01/15(月) 22:04:16.10 ID:AoqvOvkO0



この世の誰もが見捨てようとも  この世の誰もが忘れようとも

           途切れぬ絆は今ここに     集いし刃は敵を打つ

   家族の思いは一つと成り   宿敵悪魔を滅ぼさん
  
                     祝え祭りを    喧嘩祭を


続く

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