- 267 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:07:05.69 ID:ndFHJSTO0
- 《最終話 ハルシオンデイズのようです》
メモ帳を握りつぶしながら、私は現在進行形で迷っていた。
うんうん。色々会って忘れていたけれど、私はバーボンハウスの所在地を知らないのだ。
こんな事ならクーにでも聞いて置けばよかったと、今更ながらに頭が痛い。
現在地が繁華街なのは解る。いや、まあ前回もここまでは解ってたわよ。
しかしバーボンハウスが何処にあるのかが解らない。……前回もそうだった。
西の方角、ビルの谷間に夕日が落ちていく。
大きくて、オレンジ色のそれがいつも以上に目に染みた。
ξ゚听)ξ「……どこにあんのよバーボンハウス!」
イラッ、と来た。強烈なデジャビュを感じる。
こんな田舎にまでヒートアイランド現象ですか、とは言わない。意地でも言うか。
「どうかしましたかお」
感じたのは、強烈なデジャビュ。
ξ゚听)ξ「っ……!」
弾かれたように私は振り返って、背後にいた奴を見る。
- 268 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:08:50.61 ID:ndFHJSTO0
- ξ゚听)ξ「ブーン!」
( ^ω^)「お」
少しだけ申し訳のなさそうに、私の背後にブーンはいた。
ブーンだ、と認識してから、私は条件付けされていたみたいに、カバンから一冊のノートを取り出し、
そして
( ^ω^)「ツン、――僕は……」
ξ゚听)ξ「そぉい!」
あの音楽ノートをブーンに投げつけた。
ビッタァァーン! と小気味いい音を立て
ブーンの顔面に直撃したノートは、以外にもあっさりと地面に落ちた。
ある意味ドリフのワンシーンみたい。
( ゜ω゜)「っむっほぉぉおお!!??」
ξ゚听)ξ「馬鹿ブーン!」
思い知ったか、と。私は声を上げる。
何を思い知らせたかったのかは、いまいち口に出した本人の私でも解らないけれど。
繁華街の往来はいつもと変わらない喧騒で私たちを包み込んでいく。
時折いぶかしげな通行人の視線が私たちに向けられる。
- 269 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:09:58.97 ID:ndFHJSTO0
( ^ω^)「これ……」
地面に落ちたノートをブーンが拾う。
パラパラと最後のページから捲り、そして一番最初(あの曲の――)で手を止める。
( ^ω^)「……僕は音譜読めませんお」
ξ゚听)ξ「…………」
ジリ、と握りこぶしを作りながら私はブーンに近寄った。
気迫に押されてかブーンが後ずさる。
( ;^ω^)「じょ、じょ冗談ですおっ!? ……これ、は」
ξ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「ハルシオン、デイズ」
ξ゚听)ξ「……覚えてたんだ?」
( ^ω^)「勿論だお! 僕は、何度この時のことふぉ夢見た事ふぁっ!?」
ξ゚听)ξ「…………」
っ――まるでこれはあの時と同じじゃないか。
ブーンの口が声を発さずそう言っている。あの時……?
デジャビュは感じるけれど、的確に思い出すことはない。ま、既視感なんてそんなものか。
- 271 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:15:05.77 ID:ndFHJSTO0
- ( ^ω^)「ツン」
ξ゚听)ξ「何よ」
( ^ω^)「ああ言った手前、もう僕に弁解の余地は残されていないのかも知れないお」
ξ゚听)ξ「……うん」
( ^ω^)「それでも、これだけは言わせてくれお」
夕日を背負いながら、ブーンが言う。
なんだかドラマのワンシーンみたいだ。
ξ゚听)ξ「……うん」
一杯一杯の相槌。
( ^ω^)「好き、だお」
過去形じゃない所にホッとしてしまった。なんか負けた気がする。
- 272 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:15:24.11 ID:ndFHJSTO0
ξ゚听)ξ「……ブーン」
( ^ω^)「お?」
だから、せめて対抗するために、私はこう答える――
ξ゚听)ξ「けて、いい? ……『新しく』続けても、いい?」
( ^ω^)「何、お?」
そこを訊くの。声に苦笑いを込めて、不思議なほどよく通る声で私は言った。
ξ゚听)ξ「私たちの、ハルシオンデイズ」
( ^ω^)「勿論だお!」
間髪入れずに帰って来た返答に、私は口元に浮かべた苦笑いを深めた。
- 273 :愛のVIP戦士:2007/02/12(月)
19:15:52.88 ID:ndFHJSTO0
そうしてまた続いていく。そうしてまた繋がっていく。
数多に別れた三叉路のような、千里に続く細い獣道のような。
偶然と必然の素晴らしさに溢れた、私たちのハルシオンデイズ。
不器用な私たちの日常。
穏やかな、ハルシオンデイズ。
ξ゚听)ξハルシオンデイズなようです(^ω^ )
- 完 -
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