10 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:02:02.26 ID:WFEUX999O
第三十一話


( ^ω^)「ツン、どうするんだお?」


ξ;゚听)ξ「ハァ?」

( ;^ω^)「ハァ?
じゃなくてだお、いま僕たちの将来について語りあってるんだお」

ξ゚听)ξ「えっ?」

( ^ω^)「さぁ、返事を聞かせてくれお…」
……………
………


ξ゚听)ξ「…?」


なんだ…夢か、

ξ゚-゚)ξ「……」

………なんだってあんな夢見たんだろ、わたし

なんだろう…この気持ち

ほんの半年前までは無かった、ブーンに対するこの気持ち…

11 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:07:22.93 ID:WFEUX999O
ξ゚听)ξ

ベッドに転がったまま白い天井を眺めながら、長いこと私は考えごとをするハメになってしまった。

こんなに考えていると…人って寝ているときに見た夢によって変わっていくのかなぁ…とか考えてしまう


私は…ブーンと出会って、NSXと出会って…

やっぱり変わった気がする


こうなるのが当たり前であったかのように…この出会いがやって来た。いまならそう言えるかもしれない

ξ゚听)ξ「…今日はクリスマスイブね…」

そういえば一昨日あたり、ブーンからメールがきていたことを思い出した

『イブあたりヒマしてないかお?』


無器用なメール…デリカシーの欠片も感じられないけれどブーンらしいといえばブーンらしい


まあ人間嫌いで馴れ合いも好きじゃない私だって人のことは言えないし、イブの予定だってとうとう決まっていない。これは毎年のことだわ


でも…すぐに返事をするとカルい女だと思われてしまう。

だからあえて返事はまだしていない
14 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:11:38.56 ID:WFEUX999O
それでも今日一日をどうするか考えてみたら…



ξ゚听)ξ「やっぱり…今日はブーンと一緒…ね」


パジャマから着替え、階段を降りるころにはこういう結論になっていた。


私は、嬉しいような、少しわびしいような、複雑な気持ちでブーンにメールを送った



『今夜?まだわからないわ。』
16 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:13:54.21 ID:WFEUX999O
このメールを受信したブーンは、どんな気持ちになるだろう?


一昨日送ったはずのメールが…なかなか返信されず、半ば諦めかけていたところにこの曖昧なメールが送られてきて

きっと…嬉しいような、ガッカリなような…そんな気分になるかしら

その様子は…想像したらブーンの動揺が手にとるように浮かんできたのでちょっぴり笑えてきた


でも、とにかくメールは送ってしまった時点で、わたしの気持ちは決まっている…


ξ゚听)ξ「さて、朝ごはんにでもしますか」
18 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:21:10.21 ID:WFEUX999O
('A`)


ああ…


今日は仕事は休み、


だがまったく嬉しくなんかないぞ俺は


むしろクリスマスなんか仕事してた方がマシだ…

しかし上司がめいっぱい気を利かせてくれて
『いやドクオ君、やっぱり若いんだしさ。イブに仕事なんて気の毒だからYou休んじゃいなYO!』

というありがたあ〜いおせっかいによりしぶしぶ休むことにしてしまったあたり、俺は見栄っ張りで弱気な男だ…


19 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:24:28.98 ID:WFEUX999O
('A`)

…おかげでイブになっても努力の甲斐なく予定がなにもない。

フツーの日ならそれでもいいが今日ばかりはそれが耐えられない…
('A`)「………」

ふと、クーさんのことが頭に浮かんだ。

が、あの人とクリスマスイブを一緒に過ごそうだなんて…そんな恐れ多いことを実行に移す勇気は無かった…


('A`)「ブーンも…ヒマなのかなぁ」

アイツのことだ。どうせなにも予定がないのだろう、

俺は少し冷やかすつもりでアイツにメールを送ってみた

『今日ヒマ?』と

まあたぶんアイツもヒマだったら二人でクルマ談義でもしつつ、街中のカップル(死語)に悪態でもつくことになるんだろうな。アヒャヒャヒャヒャ\('A`)/
23 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:28:30.06 ID:WFEUX999O
('A`)「さて…返事もまだ来ないし、

予定もないからこないだ買った車高調整機能付きサスペンションキットの取り付けでもやりますか」

俺は冬のボーナスをはたいて買ったTEINを自分でスープラに組んでみることにした


まあ最後のアライメント調整だけは流石自動車に持ち込むことになるとしても…

あとは…なんとか専門誌片手に自分で出来そうだ


30 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:33:19.81 ID:WFEUX999O
('A`)

とりあえず、スープラを月六千円のジャリ駐車場から自宅の前のアスファルトに移し、ボンネットとリヤハッチを開け、ジャッキを掛けてた。
要は天下の公道でやっちまおうってことだな

('A`)「……ん?」

メールが来た。ブーンからだ。

『今夜はツンと一緒だお』



('A`)



('A`)



\('A`)/
37 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:40:45.67 ID:WFEUX999O


─首都、VIP市街─


クリスマス真っ只中の街道は輝くイルミネーションと…

渋滞で並ぶクルマのテールランプが壮大な雰囲気を壌しだす


タクシー、家族連れのエスティマ、男三人のアコードワゴン…

様々なクルマたちがうごめく中に、男女を乗せる黄色いNSXの姿もあった


ξ゚听)ξ「まったく…わたしは忙しい身なんだからね、感謝しなさいよ」


( ^ω^)「お?誘ってきたのはツンの方じゃなかったかお?」


ξ*゚听)ξ「な…なんでわたしが誘ったことになってんのよっ!ま、まあたまたま時間が空いてたからいいようなものの…」


( ^ω^)「おっおっ!」

街の明かりや溢れる歩行者に囲まれた車道で、NSXと二人はゆっくりと進んでいる
40 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:45:13.33 ID:WFEUX999O
ξ゚听)ξ「…それでこれからどこに行こうっていうのよ?」


( ^ω^)「………」

( ;^ω^)(まずいお…決めてナッシングなんて言ったら大変なことになりそうだお…)
「それはだお…ツンにケーキでもプレゼントしようかな〜…と」


あえてアクセサリー等ではなく、ケーキをプレゼントに選んだブーン。
他の物ならいざ知らず、ケーキならば押し付けがましくもなく、快く受け取ってくれるだろうというブーンにしては的確な判断だったが…

ξ#゚听)ξ「…それにしても混み過ぎよこの道!いい加減左足がだるくなってくるわ」

どうやら声が小さすぎてツンの耳には届いていなかったらしい


( ;^ω^)(まずいお…ご機嫌よろしくなくなってきたっぽいお)

せっかくクリスマスイブに上手くツンを騙してドライブに来たのはいいけれど…なにぶんブーンにはこういうシチュエーションにおける経験値が足りていなかった

よって対処法が思い浮かばない
43 : ◆rHi47N9WYc :2007/05/10(木) 21:52:02.59 ID:WFEUX999O
( ;^ω^)「と、とりあえず…海でも見にいかないかお?」

2分51秒ほど考えた末、ようやくブーンは自分なりに今日のコースを決めたようだった


ξ゚听)ξ「え〜…こんな日にベイリゾートなんか行ったって人がたくさんいてアレじゃない…」


ξ///)ξ「てかそんなとこ二人で行ったらアベックみたいに思われちゃうじゃないのよ!」


( ;^ω^)「…まあまあ、せっかくだからいこうお、疲れたなら運転替わるお」

ξ゚听)ξ「駄目に決まってるでしょ!NSXはアルミボディなんだからぶつけたら大変なんだからねっ」


( ;ω;)「ウッ…」


弱気なブーンと強気なツン、

出会って半年にもなるが無器用なこの二人がうまくやっていけるかどうかは分からない…


第三十一話  完

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