8 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:03:06.91 ID:GCIIe5ZcO
第二十九話


〜12月3日〜


(*゚ー゚)


あれ?こんなに簡単だったんだ…

なんだか流れに任せて…


こう言っちゃなんだけどまるで他人ごとのようにしていたのに…


印鑑、車庫証明、委任状、住民票とお金を用意したら…

どうやらこのクルマは私のものになってしまったらしい


(*゚∀゚)「おまたせしやしたっ!これがキーですからねー!」


(*゚ー゚)「あ…はぁ、どうも」

なんだか呆然としていた私のもとにやたらハイテンションな店員…

私と同じくらいの歳かな?…がこのクルマのキーを持ってきてくれた

9 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:04:16.86 ID:GCIIe5ZcO
(*゚∀゚)「それにしてもこのクルマはこんな美人さんに乗ってもらえて幸せだと思いますよ〜!

大事に乗ってあげてくださいねっ!

あ、あとこれはつまらないもんだけど一応記念品だからとりあえず持って帰ってみてよ!」

……記念品?


彼女が渡してくれたのは…


…柿の種1ダース?


(*゚ー゚)「う、うん…どうもありがとう…」

たしかに美味しいけど…

…ほんとにつまんないもんなんで私は思わず吹き出しそうになった。

お陰でちょっと緊張が解けたかも…


(*゚∀゚)「なにかあったらすぐ相談のりますんでっ!気をつけてお帰りくださいね〜!」

10 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:05:34.24 ID:GCIIe5ZcO
(*゚ー゚)


そっか…目の前にあるこのクルマはもう私のモノなのか…

ウソみたいだけどたしかに車検証の所有者欄には私の名前が乗っているし…


私はそのクルマに乗り、恐る恐るクラッチを踏みながらエンジンを掛けた。


(*゚ー゚)「………」

マニュアル車なんてひょっとして教習所以来かもしれない…


ギコ君のクルマも結局私が運転することは一度も無かったし…


ギアを一速に入れ、慎重にクラッチをつなぐと、クルマはフワッと前に進みはじめた

どうやらエンストの危機は免れたみたい。少し安心…


(*゚∀゚)「ありあとやんしたっ!」


バックミラーに店員がお辞儀する姿が映るのを確認し、

私はそのまま国道から帰路についた。

11 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:07:02.17 ID:GCIIe5ZcO
(*゚ー゚)


えーと…


夕方の国道で…ハンドルを握りながら、

私は自分を反芻していた

なんで私はこんなクルマなんか買っちゃったのか…

別に私が移動するのために買ったわけでもないのに…

ただ、最近元気のないギコ君のことを考えていたら、なぜか何も出来ない自分が不甲斐なく感じてきちゃって…

もしかしたらこのクルマでギコ君が元気になってくれたら…と思ったりもしたけど


本当のところは、自分でもよくわからない…
13 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:08:40.31 ID:GCIIe5ZcO
(*゚ー゚)


なにか衝動買いに近い感じだったけど…

それだけじゃない気もする…


とにかく、こんなに後先考えずに行動したのは初めてだった


(*゚ー゚)「道混んでるなぁ…」

マニュアル車で渋滞を流すのをもどかしく感じながら、私はなおも考える


買ったはいいけど、ギコ君に見せるべきかどうか、ちょっと迷う…
もしかしたらギコ君は怒るかもしれない。

RX-7で負ったトラウマを再び背負わせる可能性もある…

(*゚ー゚)「……ふぅ」

そんな葛藤がいまさら出てくるなんて…


(*゚ー゚)「……どうしよう…かな」

14 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:11:12.29 ID:GCIIe5ZcO
夜、VIP駅前の歓楽街


……………………



…ざわ  ざわ  ざわ…


都会の繁華街


その裏道のそのまた裏道…

薄暗い酒場に佇む男たち


疲れたサラリーマンや芯の無い若者

彼らの間を蝶のように廻るキラキラした女たち


皆、酒を飲み、タバコを吸い、


つかみどころのない雑談を交わしている…
混沌とした人々が集まる酒場だった…


15 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:12:26.68 ID:GCIIe5ZcO

…ざわ   …ざわ


カウンターには足を組んで座っている男が二人…

( ゚∀゚)「いやあ、ひさしぶりだよな、こんなとこで一緒に飲むなんてよ…」

ジョルジュはギコに向かって心底嬉しそうに話す

( ,,゚Д゚)y ̄~「…ああ、ごぶさただったよな。」


ギコは前の酒棚をぼんやりと見つめたまま答えた

その姿はどことなく気だるそうに見える…


( ゚∀゚)「…しかしまあひさしぶりだな、せっかくだから俺におっぱいでも奢ってくれないかwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「オイオイ…まさかそのために呼び出したんじゃないだろうな」


( ;゚∀゚)「いやいやジョークだってwwww
まあ特にこれといって用もないんだけどな。最近あんまり会ってなかったから」


16 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:14:53.51 ID:GCIIe5ZcO
( ,,゚Д゚)y ̄~「そうだったよな…あの件以来連絡もしてなくて…悪かったよ」


( ゚∀゚)「ときに…お前さんは今クルマ…どうしてんだ?」


( ,,゚Д゚)y ̄~「どうといわれても…

ずっと免停だったんでな。
まあ今月免許は戻ってきたんだが…

やっぱりクルマは…いいや」

( ゚∀゚)「…………」



( ゚∀゚)「………そうか」



( ,,゚Д゚)y ̄~「………」


………………



18 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:18:35.15 ID:GCIIe5ZcO
………


*(‘‘)*「どーもー、おにいさんたち飲んでますかー?」

二人とも仕方なく水割りを口にしていると 、やたらとヒラヒラした衣装の女がどこからか現れ、二人の隣の席につく


( ゚∀゚)「ああはじめまして、綺麗なネーチャンじゃねーか」


( ,,゚Д゚)「………」

店の女のコの登場に、柔軟な反応をするジョルジュ、対して意に介さず、軽く会釈するだけのギコ

*(‘‘)*「そーですかぁ、ありがとございますぅ、よろしくね〜!」


夜の女は屈託なくコロコロと笑う。

ひなげしの花のようなその笑顔は、まだあまり夜の街に慣れきっていないような…そんな雰囲気だった ふと、そこでギコが口を開く






19 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:19:38.33 ID:GCIIe5ZcO
( ,,゚Д゚)「悪い、明日は仕事が早いんでな…

悪いけど先に帰るから…ジョルジュはゆっくりしてってくれ。


…今日は奢っとくよ」

水割りを最後の一口まで飲み、そう言って席を立った

( ;゚∀゚)「え?あ…ああ、」

*(‘‘)*「えー?もう帰っちゃうんですかぁ?」


二人の声は、店の喧騒に掻き消されて…

すでに背中を向けているギコには届かない


( ;゚∀゚)「ギコ………」

20 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:21:37.73 ID:GCIIe5ZcO
( ゚∀゚)


あー…

なんでこの店はこんなに薄暗いんだよ…

みんな死人に見えちまうじゃねえか


かかってんのはやたらとしんみりした曲ばっかりだし…

まったくなんていうか、アレだ

ギコはやっぱり俺を避けてるらしい…


会話もねえし、今だってそっけなく帰っちまった…

21 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:24:37.67 ID:GCIIe5ZcO
(  ∀ )


べつにそれが気にくわねえって訳じゃあないけど…


やっぱり俺がクルマの話を出しちまったせいなのかな…


あの事故から半年も経ってたもんだから…

ぼちぼちまた乗り始めるもんだと思ってた。

どうもそんな単純な答えにはならなかったらしい

おかげで俺は今夜いたずらにギコの塞がりかけていた傷を広げてしまったのかもしれん…


ギコは…どうやら本当にクルマから降りてしまったようだ




22 名前: 果樹園経営(樺太) :2007/04/16(月) 20:26:14.28 ID:GCIIe5ZcO
( ゚∀゚)「……ハァ」


*(‘‘)*「そんなに飲んでだいじょぶ?おにーさんなにかあったの〜?」

…たしかに俺はだいぶ飲んでいたらしい。

このネーチャンに言われるまでまったく気がつかなかった

( ゚∀゚)「…大したことじゃないさ、それより…いくらだ?」

*(‘‘)*「お勘定?さっきお連れさんが払ってってくれたわよ」

( ゚∀゚)「違う。ネーチャンのおっぱいの値段だ」

*(‘‘)*「……飲みすぎよ」

( ゚∀゚)「………」

ギコは…もうクルマに乗らないだろう

そして…必然的に俺と会うことも無くなるだろう

そう考えるとなんだか胸に穴が空いちまったみたいで…

また飲まずにはいられなかった


第二十九話  完

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